JP3573935B2 - マイクロ波回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロ波回路、特にGHz帯以上のマイクロ波回路においては、トランジスタ,キャパシタ,インダクタ,抵抗等を個別部品で構成することができなくなり、マイクロストリップ伝送線路あるいはコプレナ伝送線路を用いた集積回路が使われる。
【0003】
ここで、マイクロストリップ伝送線路は、誘電体基板を介して、一方の面の全面に接地用電極を、他方の面に信号線を配置した構造になっている。その結果、トランジスタの端子,例えばFETのソース接地で回路を構成する場合、トランジスタのソース電極と、マイクロストリップ伝送線路の接地電極をスルーホールを介して接続する必要が生じる。この場合、周波数が低く伝送線路の寸法が比較的大きく、個別部品のキャパシタ,インダクタ,抵抗,トランジスタをガラスエポキシ基板上に配置する場合には、比較的容易にスルーホールは形成することができるが、周波数がGHz以上で、半導体基板にマイクロ波回路を集積化する場合には、微細加工技術を用いて半導体基板にスルーホールを形成する必要があった。このように、マイクロストリップ伝送線路を用いたマイクロ波集積回路では、半導体デバイスを含む部品が接地導体と同一平面にないための不具合があった。
【0004】
このため、近年では、誘電体基板の表面に接地導体および信号線を配置してなるコプレナ伝送線路の開発が盛んに行なわれている。コプレナ伝送線路は、同一平面上に接地導体と信号線とが配置されるため、トランジスタの接地をスルーホールなしで容易に行なうことができるという利点がある。また、マイクロストリップ伝送線路では誘電体基板の厚さが特性インピーダンスに大きく影響されたのに対して、コプレナ伝送線路では誘電体基板の厚さは特性インピーダンスに差程影響がないという利点もある。
【0005】
図6はコプレナ伝送線路で構成されたマイクロ波集積回路の一例を示す図(平面図)である。図6の例では、FET5のソース接地の場合が図示されており、簡単のため、バイアス回路およびFET5のドレイン以降の回路は省略されている。図6の構成例では、誘電体基板として例えばGaAsが用いられ、この基板上に、接地導体1と信号線2とからなるコプレナ伝送線路が、金などの金属で形成されており、信号線2の左端の広くなっている部分は入力パッドになっている。高周波信号は、このパッドから入力し、下部電極と上部電極で誘電体(絶縁層)を挟み込んだMIM(金属層−絶縁層−金属層)キャパシタ3からなる直流阻止キャパシタを通り、オープンスタブで構成されたインピーダンス整合回路4を経てFET5に伝達されるようになっている。
【0006】
図7(a),(b)は図6のMIMキャパシタ3の部分をより詳細に説明するための図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は図7(a)のA−A線における断面図である。図7(a),(b)を参照すると、GaAsなどの化合物半導体の半絶縁基板11上に、下部電極7と、誘電体10と、上部電極8を兼用する信号線2とが順次積層されて、MIMキャパシタ3が構成されている。なお、図中、符号9は下部電極7と左側信号線2とを接続するコンタクト部である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コプレナ伝送線路を用いたMIMキャパシタでは、図7(a)に示すように、接地導体1がMIMキャパシタ3に接近して配置され、このようなコプレナ伝送線路で構成されたMIMキャパシタの電気特性は、一般的に理想的なキャパシタ特性とはならない。図8は本願の発明者等が試作した設計容量値2.9pFのMIMキャパシタの高周波特性の一例を示す図である。図8には、設計値2.9pFのMIMキャパシタのS11の測定結果と理論値(設計値)とが示されている。
【0008】
なお、S11は高周波回路の回路定数の一つである。すなわち、高周波回路での回路パラメータを表現する方法として、Sパラメータがあり、Sパラメータには、入力側からみた反射特性(FETなら入力インピーダンス)S11と、出力側からみた反射特性(FETなら出力インピーダンス)S22と、アイソレーション(出力側から入力側へ信号の透過)S12と、利得S21とがある。図8のS11は、このように回路の反射特性を示している。すなわち、コンデンサのような受動素子では利得がないことから、S11(S22はS11に等しい)だけで回路の特性を表現できる。従って、図8ではS11を使用した。
【0009】
図8からわかるように、MIMキャパシタの高周波特性の測定値は、高周波側で反射が大きくなる理想的なキャパシタから予想した理論値(設計値)と大きく異なった結果となっている。これは、MIMキャパシタを構成するための下部電極および上部電極の持つ寄生インダクタンス成分と、下部電極および上部電極とこれと接近して配置されている接地導体との間の寄生キャパシタンス成分との影響で、高周波特性が劣化するためである。図9には、MIMキャパシタの高周波等価回路が示されている。図9において、破線部分がMIMキャパシタで、Ctは上部および下部電極で挟まれた部分の容量,L1およびL2は下部電極および上部電極の寄生インダクタンス,Cp1およびCp2は線路端に寄生するエッジ・キャパシタンス,MS1およびMS2はMIMキャパシタまでの伝送線路である。このように、MIMキャパシタには、その構造から寄生成分が存在し、高周波特性を劣化させていると考えられる。
【0010】
寄生キャパシタンスを小さくするために、従来では、例えば図10(a)に示すような構成のかわりに、図10(b)に示す構成のように、MIMキャパシタの下部電極および上部電極と接地電極との間を広くするようにしており、このため、コプレナ伝送線路を用いたマイクロ波集積回路の小型化が妨げられていた。すなわち、図10(b)の構成にすることで、図10(a)に比べて、大型化してしまう(接地導体1によって取り囲まれたMIM部を含む部分の面積(MIM部を取り囲む接地導体で定義される占有面積)が大きくなってしまう)。
【0011】
本発明は、コプレナ伝送線路を用いたマイクロ波集積回路を構成する場合に、寄生キャパシタンスなどを小さくする(寄生成分を低減する)ことができるとともに、小型化を図ることの可能なマイクロ波回路を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、誘電体基板上にコプレナ伝送線路が形成されたマイクロ波回路であって、前記誘電体基板上において、コプレナ伝送線路が上部電極と下部電極とに分離されて、上部電極および下部電極により誘電体を挟み込んだMIMキャパシタが形成され、誘電体基板のMIMキャパシタ直下の領域の厚さは、誘電体基板の他の領域の厚さよりも薄くなっていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のマイクロ波回路において、前記誘電体基板の前記MIMキャパシタ直下の領域の厚さは、前記下部電極の幅および上部電極の幅よりも薄いことを特徴としている。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、誘電体基板上にコプレナ伝送線路が形成されたマイクロ波回路であって、前記誘電体基板上の一部には絶縁性部材が設けられ、前記絶縁性部材上において、コプレナ伝送線路が上部電極と下部電極とに分離されて、上部電極および下部電極により誘電体を挟み込んだMIMキャパシタが形成され、該MIMキャパシタ直下の前記誘電体基板の領域が除去されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項1,請求項2または請求項3記載のマイクロ波回路において、前記誘電体基板は化合物半導体であることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1(a),(b)は本発明に係るマイクロ波回路のMIMキャパシタ部分の第1の構成例(第1の実施形態)を示す図である。なお、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線における断面図である。図1(a),(b)を参照すると、このマイクロ波集積回路は、GaAsなどの化合物半導体の基板(半絶縁基板)11上に、下部電極7と、誘電体10と、上部電極8を兼用する信号線2とが順次積層されて、MIMキャパシタ3が構成されている。すなわち、このマイクロ波集積回路は、誘電体基板11上にコプレナ伝送線路(信号線2,接地導体1)が形成されたマイクロ波回路であって、前記誘電体基板11上には、コプレナ伝送線路(信号線2)からなる上部電極8および下部電極7により誘電体10を挟み込んだMIMキャパシタ3が形成されたものとなっている。なお、図1において、符号9は下部電極7と左側信号線2とを接続するコンタクト部である。
【0017】
ところで、コプレナ伝送線路を用いたMIMキャパシタでは、図7(a)に示すように、接地導体1がMIMキャパシタ3に接近して配置され、このようなコプレナ伝送線路で構成されたMIMキャパシタの電気特性は、一般的に理想的なキャパシタ特性とはならない。
【0018】
この問題を回避するため、本発明の第1の実施形態では、図1(b)に示すように、誘電体基板11のMIMキャパシタ部3の直下の領域12の厚みd2を、誘電体基板11の他の領域の厚みd1よりも薄くしている。
【0019】
また、図2(a),(b)は本発明に係るマイクロ波回路のMIMキャパシタ部分の第2の構成例(第2の実施形態)を示す図である。なお、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)のB−B線における断面図である。図2(a),(b)を参照すると、このマイクロ波集積回路は、GaAsなどの化合物半導体の基板(半絶縁基板)11上の一部に、絶縁性部材13が設けられ、絶縁性部材13上に、コプレナ伝送線路からなる上部電極8および下部電極7により誘電体10を挟み込んだMIMキャパシタ3が形成されている。
【0020】
そして、本発明の第2の実施形態では、コプレナ伝送線路を用いたMIMキャパシタにおける前述の問題を回避するために、図2(b)に示すように、MIMキャパシタ直下の誘電体基板の領域12が除去されている。すなわち、符号12で示す基板部分については、これが無くなっている。
【0021】
このように、マイクロ波回路において、MIMキャパシタ部の直下の誘電体基板(化合物半導体,例えばGaAs)の厚さを薄いものにするかあるいは完全に無くすことにより、MIMキャパシタ部3と接地導体1との間の電磁気的結合が弱くなり、寄生キャパシタンスおよび寄生インダクタンスを著しく低減させることができる。
【0022】
より詳しく説明すれば、MIMキャパシタを構成するコプレナ伝送線路の特性インピーダンスZ0とすれば、それらに寄生するキャパシタンスCおよびインダクタンスLは、次式で概算できる。
【0023】
【数1】
【0024】
ここで、cは光速、εeffは実効誘電率、lは線路の長さである。厚さが均一な誘電体基板の場合、寄生キャパシタンスを低減するためには、数1からZ0を高くすれば良いが(つまり信号線2と接地導体1との間の間隔を広くすれば良いが)、この方法では、前述したように、コプレナ伝送線路を用いたマイクロ波集積回路の小型化が妨げられるという不具合が生ずる。
【0025】
これに対し、本発明では、MIMキャパシタを形成する部分の直下の誘電体基板の部分(領域)を薄いものにするかあるいは完全に無くすことで、実効誘電率εeffを小さくすることが可能となり、同じ特性インピーダンスで比較すれば、厚さが均一な誘電体基板の場合に比べて、各寄生成分(寄生キャパシタンスおよび寄生インダクタンス)を減少させることができる。
【0026】
図3は、特性インピーダンス50Ω一定で、MIMキャパシタ3の下部電極の幅w1および上部電極の幅w2(すなわち、信号線幅w1≒w2)を50μm程度に固定した場合において、誘電体基板(誘電率ε=12.9)のMIMキャパシタ3直下の領域12の厚さd2に対する、実効誘電率εeffとの関係、接地導体と信号線との間の間隔(ギャップ長)との関係の計算結果を示す図である。なお、この計算においては、計算の便宜上、接地導体と信号線の厚さは無視した。
【0027】
図3からわかるように、実効誘電率εeffは、誘電体基板のMIMキャパシタ3直下の領域12の厚さd2が信号線幅程度の厚さ(50μm程度の厚さ)以下になると、この厚さ(50μm程度)のところを境に急激に減少することが予想される。これは、誘電体基板が薄くなると、基板の下にも電磁界が漏れ出すためと考えられる。実効誘電率εeffが減少するため、特性インピーダンスが50Ω一定の伝送線路では、接地導体1と信号線2との間の間隔(ギャップ長)を短かくすることができる。すなわち、MIMキャパシタの下の誘電体基板の厚さを薄くすることで、図10(b)ではなく図10(a)に示すような構成(接地導体1によって取り囲まれたMIM部を含む部分の面積(MIM部を取り囲む接地導体で定義される占有面積)を小さくする構成にすることができ、小型化を図ることができる。
【0028】
さらに、本願の発明者等は、図3で算出された実効誘電率εeffなどと数1(寄生成分の算出式)を用いて、単位長さ当たりの寄生インダクタンスおよび寄生キャパシタンスの基板厚み依存性を試算した。図4は試算した単位長さ当たりの寄生インダクタンスおよび寄生キャパシタンスの基板厚み依存性を示す図である。図4からわかるように、誘電体基板の厚さを薄くすることで、寄生インダクタンスおよび寄生キャパシタンスの寄生成分が低減できることが予想される。
【0029】
このように、誘電体基板のMIMキャパシタ直下の領域12の厚さを減少させることにより、コプレナ伝送線路が形成されたマイクロ波回路の小型化を図ることができるとともに、寄生成分(寄生キャパシタンスおよび寄生インダクタンス)の低減を図ることが可能になる。
【0030】
この効果は、誘電体基板のMIMキャパシタ直下の領域12の厚さをコプレナ伝送線路の信号線幅程度まで薄くすると顕著になることが予想される。また、上記効果は、図2のようにMIMキャパシタ部直下の誘電体基板の領域を全て取り除いても得られることは容易に理解できる。
【0031】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
【0032】
実施例1
実施例1では、図1(a),(b)のように、MIMキャパシタ部の直下の誘電体基板(GaAs)の領域12の厚さd2を他の領域11の厚さd1よりも薄くした構造のマイクロ波集積回路を作製した。すなわち、半絶縁GaAs基板11上に、MIMキャパシタを先ず形成した。このMIMキャパシタは、チタン(0.01μm)と金(0.4μm)の二層構成の下部電極7を形成し、この下部電極7上にプラズマCVD法によって誘電体であるSiO層10を成膜し、しかる後、このSiO層10上に、上部電極8を金の電界メッキで形成することによって作製された。すなわち、このMIMキャパシタは、誘電体であるSiO層10を下部電極7と上部電極8とによって挟み込んだ構成になっている。
【0033】
ここで、MIMキャパシタの下部電極7の面積,上部電極8の面積と誘電体10の材料およびその厚みは、所定の容量値になるよう選択される。また、図1(a),(b)において、左の信号線2と下部電極7はコンタクト部9で接続されている。
【0034】
このようにして、MIMキャパシタを形成した後、誘電体基板(GaAs)11のMIMキャパシタ直下の領域12を、基板11の裏面からウエットエッチングあるいはドライエッチングにより所定の厚みまで薄くして、図1(a),(b)の構造のものとした。この際、GaAs基板11のMIMキャパシタ直下の領域12の厚さd2を上部電極8および下部電極7の幅w1,w2程度以下とするのが良い。
【0035】
このようにして作製されたMIMキャパシタを構成するコプレナ伝送線路は、MIMキャパシタ直下の誘電体基板の領域12の厚さが薄くなっていることから、実効誘電率が小さくなっており、同一の特性インピーダンスのコプレナ伝送線路でMIMキャパシタを構成する場合、従来に比べて、接地導体と信号線との間の間隔(ギャップ)を狭くすることができ、従って、コプレナ伝送線路が形成されたマイクロ波回路の小型化を図ることができる。さらに、同一特性インピーダンスにおいて実効誘電率を低下させた結果、寄生キャパシタンスおよび寄生インダクタンスをも低減することが可能になり、高周波特性が改善された。
【0036】
図5は、従来方法と実施例1とで、それぞれ、MIMキャパシタを2.9pFのキャパシタンスで設計し試作したときの高周波特性測定結果が示されている。なお、図5には、寄生容量が全くない場合の理想キャパシタの計算値も併せて示されている。図5から、実施例1のMIMキャパシタは従来よりも高周波特性が改善されていることが分かる。また、これとともに、MIMキャパシタの占有面積も低減することができた。
【0037】
実施例2
実施例2では、図2(a),(b)のように、MIMキャパシタ部の直下の誘電体基板(GaAs)の領域12を全て除去した構造のマイクロ波集積回路を作製した。すなわち、半絶縁GaAs基板11上に、先ず、MIMキャパシタを保持するための絶縁性支持体13としてSiN膜をプラズマCVDで0.3μm成膜した。次いで、このSiN膜13上に、実施例1と同様にしてMIMキャパシタを形成した。すなわち、このMIMキャパシタは、チタン(0.01μm)と金(0.4μm)の二層構成の下部電極7を形成し、この下部電極7上にプラズマCVD法によって誘電体であるSiO層10を成膜し、しかる後、このSiO層10上に、上部電極8を金の電界メッキで形成することによって作製された。すなわち、このMIMキャパシタは、誘電体であるSiO層10を下部電極7と上部電極8とによって挟み込んだ構成になっている。
【0038】
ここで、MIMキャパシタの下部電極7の面積,上部電極8の面積と誘電体10の材料およびその厚みは、所定の容量値になるよう選択される。また、図2(a),(b)において、左の信号線2と下部電極7はコンタクト部9で接続されている。
【0039】
このようにして、MIMキャパシタを形成した後、誘電体基板(GaAs)11のMIMキャパシタ直下の領域12を、基板11の裏面からウエットエッチングあるいはドライエッチングにより全て除去して、図2(a),(b)の構造のものとした。
【0040】
このようにして作製されたMIMキャパシタを構成するコプレナ伝送線路は、MIMキャパシタ直下の誘電体基板の領域12が除去されていることから、実効誘電率が小さくなっており、同一の特性インピーダンスのコプレナ伝送線路でMIMキャパシタを構成する場合、従来に比べて、接地導体と信号線との間の間隔(ギャップ)を狭くすることができ、従って、コプレナ伝送線路が形成されたマイクロ波回路の小型化を図ることができる。さらに、同一特性インピーダンスにおいて実効誘電率を低下させた結果、寄生キャパシタンスおよび寄生インダクタンスをも低減することが可能になり、高周波特性が改善された。
【0041】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1記載の発明によれば、上部電極および下部電極により誘電体を挟み込んだMIMキャパシタ直下の誘電体基板の領域の厚さを薄くするので、MIMキャパシタを構成するコプレナ伝送線路の実効誘電率を減少させ、同一特性インピーダンスをもたせる場合に、従来に比べて、コプレナ伝送線路が形成されたマイクロ波回路の小型化を図ることができ、かつ寄生キャパシタンスおよび寄生インダクタンスを減少させて高周波特性を改善することができる。
【0042】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載のマイクロ波回路において、前記MIMキャパシタ直下の前記誘電体基板の領域の厚さを、前記下部電極の幅および上部電極の幅よりも薄くすることにより、MIMキャパシタを構成するコプレナ伝送線路の実効誘電率をより一層減少させ、コプレナ伝送線路が形成されたマイクロ波回路のより一層の小型化を図り、かつ寄生キャパシタンスおよび寄生インダクタンスをより一層減少させて、より一層の高周波特性を改善することができる。
【0043】
また、請求項3記載の発明によれば、誘電体基板上にコプレナ伝送線路が形成されたマイクロ波回路であって、前記誘電体基板上の一部には絶縁性部材が設けられ、前記絶縁性部材上において、コプレナ伝送線路が上部電極と下部電極とに分離されて、上部電極および下部電極により誘電体を挟み込んだMIMキャパシタが形成され、該MIMキャパシタ直下の前記誘電体基板の領域が除去されていることにより、実効誘電率をさらにより一層低下させることが可能となり、コプレナ伝送線路が形成されたマイクロ波回路のより一層の小型化を図り、かつ寄生キャパシタンスおよび寄生インダクタンスをより一層減少させて、より一層の高周波特性を改善することができる。
【0044】
また、請求項4記載の発明によれば、誘電体基板を半絶縁化が可能な化合物半導体とすることで、他のインダクタ,抵抗などの受動部品とトランジスタなどの能動部品をも、1つの基板上に集積化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマイクロ波回路の第1の構成例を示す図である。
【図2】本発明に係るマイクロ波回路の第2の構成例を示す図である。
【図3】特性インピーダンスを一定とした場合の、基板の厚みに対する、実効誘電率εeffとの関係、接地導体と信号線間のギャップ長との関係の計算結果を示す図である。
【図4】試算した単位長さ当たりの寄生インダクタンスおよび寄生キャパシタンスの基板厚み依存性を示す図である。
【図5】従来方法と実施例1とで、それぞれ、MIMキャパシタを2.9pFのキャパシタンスで設計し試作したときの高周波特性測定結果を示す図である。
【図6】コプレナ伝送線路で構成されたマイクロ波集積回路の一例を示す図(平面図)である。
【図7】図6のMIMキャパシタの部分をより詳細に説明するための図である。
【図8】設計容量値2.9pFのMIMキャパシタの高周波特性の一例を示す図である。
【図9】MIMキャパシタの高周波等価回路を示す図である。
【図10】占有面積の小さなマイクロ波回路と占有面積の大きなマイクロ波回路を示す図である。
【符号の説明】
11 基板
1 接地導体
2 信号線
3 MIMキャパシタ部
7 下部電極
8 上部電極
9 コンタクト部
7 ゲート電極
10 誘電体
Claims (4)
- 誘電体基板上にコプレナ伝送線路が形成されたマイクロ波回路であって、前記誘電体基板上において、コプレナ伝送線路が上部電極と下部電極とに分離されて、上部電極および下部電極により誘電体を挟み込んだMIMキャパシタが形成され、誘電体基板のMIMキャパシタ直下の領域の厚さは、誘電体基板の他の領域の厚さよりも薄くなっていることを特徴とするマイクロ波回路。
- 請求項1記載のマイクロ波回路において、前記誘電体基板の前記MIMキャパシタ直下の領域の厚さは、前記下部電極の幅および上部電極の幅よりも薄いことを特徴とするマイクロ波回路。
- 誘電体基板上にコプレナ伝送線路が形成されたマイクロ波回路であって、前記誘電体基板上の一部には絶縁性部材が設けられ、前記絶縁性部材上において、コプレナ伝送線路が上部電極と下部電極とに分離されて、上部電極および下部電極により誘電体を挟み込んだMIMキャパシタが形成され、該MIMキャパシタ直下の前記誘電体基板の領域が除去されていることを特徴とするマイクロ波回路。
- 請求項1,請求項2または請求項3記載のマイクロ波回路において、前記誘電体基板は化合物半導体であることを特徴とするマイクロ波回路。
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