JP3573890B2 - 化粧料 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料に関し、特に皮脂吸収性、調湿性及び使用感の改善に関する。
【０００２】
【従来の技術】
皮膚から分泌される皮脂は、外界から皮膚を守る働きがある。一方で皮脂は、ファンデーション等の油分、活性剤などと混じり、経時での化粧崩れの原因となる。また、皮脂が多く分泌されると顔の表面に皮脂が浮き、油光りするいわゆる「皮脂によるてかり」を引き起こす。そのため吸油量の高いヒドロキシアパタイトや亜鉛華等の粉末をファンデーション等に配合し、皮脂を多く吸収させることにより化粧持ちを向上させたり、皮脂によるてかりを抑える化粧料が開発されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に皮脂吸収剤として使用されるヒドロキシアパタイトは、肌上の皮脂を吸収する能力には優れているが、同時に高い吸湿性を持つので、水を含む汗をかいた場合表面がべたつくという欠点がある。また亜鉛華は、吸湿性は少ないが多量に配合すると皮膚に塗布した場合に白っぽくなってしまい、その仕上がりが不自然なものとなってしまう場合がある。さらにヒドロキシアパタイトや亜鉛華を配合した化粧料は、塗布時の伸びが重く、使用感が悪いという欠点を有する。本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は皮脂吸収性、調湿性及び使用感に優れ、しかも自然な仕上がりを有するメーキャップ化粧料を提供することにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、化粧料にアロフェンを配合すると、皮脂吸収性、調湿性の改善されたメーキャップ化粧料を得ることができ、しかも使用感がよく、自然な仕上がりを得ることが可能であることを見出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明のメーキャップ化粧料は、直径１００Å以下のアロフェンを０．５〜８０重量％配合することを特徴とする。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。本発明の化粧料に配合されるアロフェンは、天然には非晶質の含水ケイ酸アルミニウムの粘土鉱物の形で得ることができ、鹿沼土等の火山灰や軽石が風化した土壌物を脱鉄することによって得ることができる。
【０００８】
代表的なアルミノケイ酸塩化合物としては、カオリナイト、雲母等が挙げられるが、これらの化合物は層状形状をとるため、中空球形であるアロフェンに比べ、塗布時ののび、なめらかさの点で劣る。また、カオリナイト、雲母等では中空構造を持たないため、調湿性、吸湿性がない。さらにこれらの層状アルミノケイ酸塩類の層状構造には、光を正反射させる働きがあるため、肌に塗布した場合に不自然なてかりを与えてしまう。これに対し、中空球形であるアロフェンは、その構造により、水位分の調湿性、吸湿性を持ち、その球形形状により、塗布時の感触のなめらかさ、光を乱反射させることによる自然な仕上がり等の効果を与える優れたものである。
【０００９】
本発明に用いられるアロフェンとしては、直径が１００Å以下であることが好ましい。アロフェンは多孔質であり、ＳｉＯ２／Ａｌ２Ｏ３が１〜２である。
【００１０】
本発明で特に好適に用いられるアロフェンは、例えばＯ．Ｐ．Ｍｅｈｒａらの方法により、土壌物を脱鉄することにより得ることが可能である（Ｃｌａｙｓ ａｎｄ Ｃｌａｙ Ｍｉｎｅｒａｌｓ ７．３１７−３２７（１９６０））。なお、本発明においてはアロフェンを、必要に応じてアルミニウムステアレート、ジンクミリステート等の脂肪酸石鹸、キャンデリラロウ、カルナバロウ等のワックス類、メチルポリシロキサン等のシリコーンオイルで疎水化して用いることもできる。
【００１１】
本発明の化粧料におけるアロフェンの配合量は、適用する化粧料の種類、形状等によって異なるが、通常０．１〜９８重量％であり、好ましくは０．５〜８０重量％である。配合量が０．１重量％未満では、所望の効果を得ることができなくなる場合があり、一方９８重量％以上配合してもさらなる効果の上昇は認められない。
【００１２】
本発明のメーキャップ化粧料は、例えば、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、軟膏状、液体状等の形態をとることができる。具体的には、ファンデーション、口紅、アイシャドー、頬紅、アイライナー、ネイルエナメル、マスカラ等のメーキャップ化粧料が挙げられる。
【００１３】
なお、本発明の化粧料には、上記必須成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で通常化粧料に用いられる各種成分を配合することができる。例えば、ワセリン、ラノリン、セレシン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、高級脂肪酸、高級アルコール等の固形、半固形油分；スクワラン、流動パラフィン、エステル油、トリグリセライド等の流動油分、シリコーン油等の油分、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン等の保湿剤、カチオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、染料、顔料、防腐剤、香料、賦活剤等を適宜配合することができる。
【００１４】
【実施例】
本発明の実施例を挙げ、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。なお、配合量は特に示さない限り重量％で示す。
【００１５】
まず、下記表１の処方に従いベビーパウダーを調製し、吸湿性について検討を行った。吸湿量の測定は以下の方法で行った。
（吸湿量の測定）
１０５℃で乾燥させたベビーパウダーをそれぞれ相対湿度９３％、４３％に調整したデシケーター及び、シリカゲルを入れ乾燥状態にしたデシケーターに入れ、３時間後にベビーパウダー１００ｇが吸収した水分の量を測定することによりベビーパウダーの吸湿性を評価した。
【００１６】
（製法）
（１）又は（２）に成分（３）及び（４）を添加し、よく混合した後、（５）を噴霧し均一に混合した。これを粉砕器で粉砕した後、ふるいを通し、ベビーパウダーを得た。
【００１７】
タルクは比較的吸湿量が多いためベビーパウダー等によく用いられる粉末であるが、上記結果より明らかなように、実施例１と比較例１を比べると、実施例１の方が高い吸湿力を示し、しかも、比較例１では吸湿量は外部の湿度に関係なく、同等の値を示しているが、実施例１では外部の湿度が高いほど水分をよく吸収しており、中空球形アルミノケイ酸塩が水分コントロール機能を有することが示唆される。
【００１８】
次に、下記表２に処方に従いパウダリーファンデーションを調製し、吸油量について検討を行った。なお、吸油量の測定は以下の方法で行った。
（吸油量の測定）
軟膏板の上にパウダリーファンデーションを５ｇとり、皮脂類似油分としてスクワランを滴下し、へらで均一に練りながらファンデーションが一つの固まりとしてまとまったところを終点とし、そのときまでに滴下したスクワランの量をそのファンデーションの吸油量とした。
【００１９】
（製法）
（１）及び（９）〜（１１）をヘンシェルミキサーで混合し、この混合物に（２）〜（８）を添加してよく混合してから（１３）〜（１８）を７０℃で加熱溶解したものを添加混合した。この後、５ＨＰパルペライザー（細川ミクロン）で粉砕し、これを中皿に成形して目的のパウダリーファンデーションを得た。
【００２０】
カオリンは皮膚への付着性が高く吸油性に富んだ粉末として一般に化粧料に用いられる粉末であるが、上記結果より明らかなように、実施例２と比較例２を比べると、実施例２の方が、スクワランの吸油量が高く、皮脂吸収能が優れていることが示唆される。
【００２１】
次に、表３の処方に従い両用ファンデーションを調製し、吸油量及び使用時の白浮きについての評価を行った。評価は吸油量については上述の方法に従って行い、使用時の白浮きについては各実施例及び比較例につき６名のパネラーによる官能評価により以下の基準で評点し、各実施例及び比較例についての平均評点により行った。
（評価基準）
（白浮き）
５：白っぽさを感じさせず自然
４：どちらかというと白っぽさを感じさせず自然
３：どちらともいえない
２：白っぽく不自然
１：非常に白っぽく不自然
【００２２】
（製法）
（１）〜（１０）をヘンシェルミキサーで混合してから（１１）〜（１８）を７０℃で加熱溶解したものを添加混合した。この後、５ＨＰパルペライザー（細川ミクロン）で粉砕し、これを中皿に成形して目的の両用ファンデーションを得た。
【００２３】
亜鉛華は、皮脂吸収剤として一般に用いられる粉末であるが、多量に配合すると、肌上に塗布した場合に白浮きするという欠点がある。上記結果より明らかなように、実施例３と比較例３を比べると吸油量の点では差がないものの、官能評価の評点では本発明は白浮きせず、優れた使用感を有することが示唆される。
【００２４】
次に、表４の処方に従い乳化ファンデーションを調製し、吸油量及び使用時のべたつきについて評価を行った。評価は吸油量については上述の方法により、また使用時のべたつきについては、各実施例及び比較例につき６名のパネラーによる官能評価により以下の基準で評点し、各実施例及び比較例についての平均評点により行った。
（評価基準）
（べたつき）
５：べたつきがなく非常にさらさら
４：どちらかというとさらさら
３：どちらともいえない
２：ややべたつく
１：非常にべたつく
【００２５】
（製法）
（１）〜（４）を７０℃に加熱撹拌後、（８）〜（１４）を添加し分散処理した。これをあらかじめ７０℃に加熱しておいた（５）〜（７）に添加して乳化分散した。その後室温まで撹拌冷却して（１４）を加え目的の乳化ファンデーションを得た。
【００２６】
ヒドロキシアパタイトは一般に皮脂吸収剤として使用される粉末であるが、肌上での皮脂吸収能は優れているものの、吸湿性も併せ持つため、水を含んだり、汗をかいたりした場合に表面がべたつくという欠点がある。上記結果より明らかなように、実施例４と比較例４を比べると、吸油量の点では差がないものの、比較例４ではべたつきが生じてしまうが、実施例４ではべたつきが抑えられ、優れた使用感を得ることができる。
【００２７】
次に、表５の処方に従い油性スティックファンデーションを調製し、使用時のざらつきについて評価を行った。評価は、各実施例及び比較例につき６名のパネラーによる官能評価により以下の基準で評点し、各実施例及び比較例についての平均評点により行った。
（評価基準）
（ざらつき）
５：ざらつきがなく非常になめらか
４：どちらかというとなめらか
３：どちらともいえない
２：ややざらつく
１：非常にざらつく
【００２８】
（製法）
（１０）〜（１６）を８５℃で溶解し、これに（１）〜（９）を添加し、ディスパー混合後、コロイドミルで分散する。これに（１７）を添加し、脱気後、７０℃で容器に流し込み冷却して得る。
【００２９】
上記結果より明らかなように、一般に、亜鉛華等の粉末は化粧料に配合しても粒子が小さいため製品使用時のざらつきが生じにくいが、中空球形アルミノケイ酸塩を配合した実施例５によれば、さらに使用時のざらつきの抑えられた化粧料を得ることができることが示唆される。
【００３０】
以下、本発明の好適な配合例を示す。なお、本発明はこれらの配合例に限定されるものではない。なお、配合量は重量％で示す。
【００３１】
配合例１ 粉白粉
（１）中空球形アルミノケイ酸塩 ７５．０重量％
（２）酸化チタン ３．０
（３）カオリン ５．０
（４）ミリスチン酸亜鉛 ５．０
（５）炭酸マグネシウム ５．０
（６）セリサイト ７．０
（７）着色顔料 適 量
（８）香料 適 量
［製法］
（１）と（７）をブレンダーで混合し、これに（２）〜（６）を添加し、よく混合した後、（８）を噴霧し均一に混合する。これを粉砕機で粉砕した後、ふるいを通し、目的物を得る。
【００３２】
配合例２ 油性口紅
（１）中空球形アルミノケイ酸塩 ５．０重量％
（２）赤色２０１号 ０．６
（３）赤色２０２号 １．０
（４）赤色２０３号 ０．２
（５）キャンデリラロウ ９．０
（６）固形パラフィン ８．０
（７）ミツロウ ５．０
（８）カルナバロウ ５．０
（９）ラノリン １１．０
（１０）ヒマシ油 ２５．０
（１１）２−エチルヘキサン酸セチル ２０．０
（１２）イソプロピルミリスチン酸エステル １０．０
（１３）酸化防止剤 適 量
（１４）香料 適 量
［製法］
（１）〜（３）を（１０）の一部に加え、ローラーで処理する（顔料部）。別に（４）を（１０）の一部に溶解する（染料部）。（５）〜（１４）を９０℃に加熱溶解し顔料部、染料部を加えホモミキサーで均一に分散する。分散後、所定の容器に充填して、目的の油性口紅を得る。
【００３３】
配合例３ サンスクリーン剤
（１）中空球形アルミノケイ酸塩 ５．０重量％
（２）イオン交換水 ５４．９５
（３）１，３−ブチレングリコール ７．０
（４）エデト酸二ナトリウム ０．０５
（５）トリエタノールアミン １．０
（６）オキシベンゾン ２．０
（７）パラメトキシケイ皮酸オクチル ５．０
（８）スクワラン １０．０
（９）ワセリン ５．０
（１０）ステアリルアルコール ３．０
（１１）ステアリン酸 ３．０
（１２）グリセリルモノステアレート ３．０
（１３）ポリアクリル酸エチル １．０
（１４）酸化防止剤 適 量
（１５）防腐剤 適 量
（１６）香料 適 量
［製法］
（２）〜（５）を７０℃に加温し溶解させる。これに（１）を加え、十分に分散させる。これに、（６）〜（１６）を加熱溶解させたものを加え、ホモジナイザーを用いて乳化分散する。その後、室温まで撹拌冷却し、目的のサンスクリーン剤を得る。
【００３４】
配合例４ Ｗ／Ｏ型サンスクリーン剤
（１）イオン交換水 ３８．３重量％
（２）１，３−ブチレングリコール ５．０
（３）シリコーン処理中空球形アルミノケイ酸塩 ３．０
（４）パラメトキシケイ皮酸オクチル ５．０
（５）オキシベンゾン ３．０
（６）４−ｔｅｒｔ−４’−メトキシベンゾイルメタン １．０
（７）スクワラン ４０．０
（８）ジイソステアリン酸グリセリン ３．０
（９）有機変性モンモリロナイト １．５
（１０）防腐剤 適 量
（１１）香料 適 量
［製法］
（４）〜（１１）を７０℃に加熱し溶解させる。これに（３）を加え、十分分散させる。これに（１）、（２）を加熱溶解させたものを加え、ホモジナイザーを用いて乳化分散する。その後、室温まで撹拌冷却して、目的のＷ／Ｏ型サンスクリーン剤を得る。
【００３５】
配合例５ 頬紅
（１）カオリン １９．０重量％
（２）中空球形アルミノケイ酸塩 ５．０
（３）ベンガラ ０．３
（４）赤色２０２号 ０．５
（５）セレシン １５．０
（６）ワセリン ２０．０
（７）流動パラフィン ２５．０
（８）イソプロピルミリスチン酸エステル １５．０
（９）酸化防止剤 適 量
（１０）香料 適 量
［製法］
（１）〜（４）を（７）の一部に加え、ローラーで処理する（顔料部）。（５）〜（１０）を９０℃に加熱溶解し、顔料部を加え、ホモミキサーで均一に分散する。分散後、所定の容器に充填して目的の頬紅を得る。
【００３６】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、メーキャップ化粧料に直径１００Å以下のアロフェンを０．５〜８０重量％配合することにより、皮脂吸収性が高く、また、調湿性を有し、しかも使用感がよく、また自然な仕上がりを有するメーキャップ化粧料を得ることが可能である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料に関し、特に皮脂吸収性、調湿性及び使用感の改善に関する。
【０００２】
【従来の技術】
皮膚から分泌される皮脂は、外界から皮膚を守る働きがある。一方で皮脂は、ファンデーション等の油分、活性剤などと混じり、経時での化粧崩れの原因となる。また、皮脂が多く分泌されると顔の表面に皮脂が浮き、油光りするいわゆる「皮脂によるてかり」を引き起こす。そのため吸油量の高いヒドロキシアパタイトや亜鉛華等の粉末をファンデーション等に配合し、皮脂を多く吸収させることにより化粧持ちを向上させたり、皮脂によるてかりを抑える化粧料が開発されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に皮脂吸収剤として使用されるヒドロキシアパタイトは、肌上の皮脂を吸収する能力には優れているが、同時に高い吸湿性を持つので、水を含む汗をかいた場合表面がべたつくという欠点がある。また亜鉛華は、吸湿性は少ないが多量に配合すると皮膚に塗布した場合に白っぽくなってしまい、その仕上がりが不自然なものとなってしまう場合がある。さらにヒドロキシアパタイトや亜鉛華を配合した化粧料は、塗布時の伸びが重く、使用感が悪いという欠点を有する。本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は皮脂吸収性、調湿性及び使用感に優れ、しかも自然な仕上がりを有するメーキャップ化粧料を提供することにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、化粧料にアロフェンを配合すると、皮脂吸収性、調湿性の改善されたメーキャップ化粧料を得ることができ、しかも使用感がよく、自然な仕上がりを得ることが可能であることを見出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明のメーキャップ化粧料は、直径１００Å以下のアロフェンを０．５〜８０重量％配合することを特徴とする。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。本発明の化粧料に配合されるアロフェンは、天然には非晶質の含水ケイ酸アルミニウムの粘土鉱物の形で得ることができ、鹿沼土等の火山灰や軽石が風化した土壌物を脱鉄することによって得ることができる。
【０００８】
代表的なアルミノケイ酸塩化合物としては、カオリナイト、雲母等が挙げられるが、これらの化合物は層状形状をとるため、中空球形であるアロフェンに比べ、塗布時ののび、なめらかさの点で劣る。また、カオリナイト、雲母等では中空構造を持たないため、調湿性、吸湿性がない。さらにこれらの層状アルミノケイ酸塩類の層状構造には、光を正反射させる働きがあるため、肌に塗布した場合に不自然なてかりを与えてしまう。これに対し、中空球形であるアロフェンは、その構造により、水位分の調湿性、吸湿性を持ち、その球形形状により、塗布時の感触のなめらかさ、光を乱反射させることによる自然な仕上がり等の効果を与える優れたものである。
【０００９】
本発明に用いられるアロフェンとしては、直径が１００Å以下であることが好ましい。アロフェンは多孔質であり、ＳｉＯ２／Ａｌ２Ｏ３が１〜２である。
【００１０】
本発明で特に好適に用いられるアロフェンは、例えばＯ．Ｐ．Ｍｅｈｒａらの方法により、土壌物を脱鉄することにより得ることが可能である（Ｃｌａｙｓ ａｎｄ Ｃｌａｙ Ｍｉｎｅｒａｌｓ ７．３１７−３２７（１９６０））。なお、本発明においてはアロフェンを、必要に応じてアルミニウムステアレート、ジンクミリステート等の脂肪酸石鹸、キャンデリラロウ、カルナバロウ等のワックス類、メチルポリシロキサン等のシリコーンオイルで疎水化して用いることもできる。
【００１１】
本発明の化粧料におけるアロフェンの配合量は、適用する化粧料の種類、形状等によって異なるが、通常０．１〜９８重量％であり、好ましくは０．５〜８０重量％である。配合量が０．１重量％未満では、所望の効果を得ることができなくなる場合があり、一方９８重量％以上配合してもさらなる効果の上昇は認められない。
【００１２】
本発明のメーキャップ化粧料は、例えば、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、軟膏状、液体状等の形態をとることができる。具体的には、ファンデーション、口紅、アイシャドー、頬紅、アイライナー、ネイルエナメル、マスカラ等のメーキャップ化粧料が挙げられる。
【００１３】
なお、本発明の化粧料には、上記必須成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で通常化粧料に用いられる各種成分を配合することができる。例えば、ワセリン、ラノリン、セレシン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、高級脂肪酸、高級アルコール等の固形、半固形油分；スクワラン、流動パラフィン、エステル油、トリグリセライド等の流動油分、シリコーン油等の油分、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン等の保湿剤、カチオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、染料、顔料、防腐剤、香料、賦活剤等を適宜配合することができる。
【００１４】
【実施例】
本発明の実施例を挙げ、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。なお、配合量は特に示さない限り重量％で示す。
【００１５】
まず、下記表１の処方に従いベビーパウダーを調製し、吸湿性について検討を行った。吸湿量の測定は以下の方法で行った。
（吸湿量の測定）
１０５℃で乾燥させたベビーパウダーをそれぞれ相対湿度９３％、４３％に調整したデシケーター及び、シリカゲルを入れ乾燥状態にしたデシケーターに入れ、３時間後にベビーパウダー１００ｇが吸収した水分の量を測定することによりベビーパウダーの吸湿性を評価した。
【００１６】
（１）又は（２）に成分（３）及び（４）を添加し、よく混合した後、（５）を噴霧し均一に混合した。これを粉砕器で粉砕した後、ふるいを通し、ベビーパウダーを得た。
【００１７】
タルクは比較的吸湿量が多いためベビーパウダー等によく用いられる粉末であるが、上記結果より明らかなように、実施例１と比較例１を比べると、実施例１の方が高い吸湿力を示し、しかも、比較例１では吸湿量は外部の湿度に関係なく、同等の値を示しているが、実施例１では外部の湿度が高いほど水分をよく吸収しており、中空球形アルミノケイ酸塩が水分コントロール機能を有することが示唆される。
【００１８】
次に、下記表２に処方に従いパウダリーファンデーションを調製し、吸油量について検討を行った。なお、吸油量の測定は以下の方法で行った。
（吸油量の測定）
軟膏板の上にパウダリーファンデーションを５ｇとり、皮脂類似油分としてスクワランを滴下し、へらで均一に練りながらファンデーションが一つの固まりとしてまとまったところを終点とし、そのときまでに滴下したスクワランの量をそのファンデーションの吸油量とした。
【００１９】
（１）及び（９）〜（１１）をヘンシェルミキサーで混合し、この混合物に（２）〜（８）を添加してよく混合してから（１３）〜（１８）を７０℃で加熱溶解したものを添加混合した。この後、５ＨＰパルペライザー（細川ミクロン）で粉砕し、これを中皿に成形して目的のパウダリーファンデーションを得た。
【００２０】
カオリンは皮膚への付着性が高く吸油性に富んだ粉末として一般に化粧料に用いられる粉末であるが、上記結果より明らかなように、実施例２と比較例２を比べると、実施例２の方が、スクワランの吸油量が高く、皮脂吸収能が優れていることが示唆される。
【００２１】
次に、表３の処方に従い両用ファンデーションを調製し、吸油量及び使用時の白浮きについての評価を行った。評価は吸油量については上述の方法に従って行い、使用時の白浮きについては各実施例及び比較例につき６名のパネラーによる官能評価により以下の基準で評点し、各実施例及び比較例についての平均評点により行った。
（評価基準）
（白浮き）
５：白っぽさを感じさせず自然
４：どちらかというと白っぽさを感じさせず自然
３：どちらともいえない
２：白っぽく不自然
１：非常に白っぽく不自然
【００２２】
（１）〜（１０）をヘンシェルミキサーで混合してから（１１）〜（１８）を７０℃で加熱溶解したものを添加混合した。この後、５ＨＰパルペライザー（細川ミクロン）で粉砕し、これを中皿に成形して目的の両用ファンデーションを得た。
【００２３】
亜鉛華は、皮脂吸収剤として一般に用いられる粉末であるが、多量に配合すると、肌上に塗布した場合に白浮きするという欠点がある。上記結果より明らかなように、実施例３と比較例３を比べると吸油量の点では差がないものの、官能評価の評点では本発明は白浮きせず、優れた使用感を有することが示唆される。
【００２４】
次に、表４の処方に従い乳化ファンデーションを調製し、吸油量及び使用時のべたつきについて評価を行った。評価は吸油量については上述の方法により、また使用時のべたつきについては、各実施例及び比較例につき６名のパネラーによる官能評価により以下の基準で評点し、各実施例及び比較例についての平均評点により行った。
（評価基準）
（べたつき）
５：べたつきがなく非常にさらさら
４：どちらかというとさらさら
３：どちらともいえない
２：ややべたつく
１：非常にべたつく
【００２５】
（１）〜（４）を７０℃に加熱撹拌後、（８）〜（１４）を添加し分散処理した。これをあらかじめ７０℃に加熱しておいた（５）〜（７）に添加して乳化分散した。その後室温まで撹拌冷却して（１４）を加え目的の乳化ファンデーションを得た。
【００２６】
ヒドロキシアパタイトは一般に皮脂吸収剤として使用される粉末であるが、肌上での皮脂吸収能は優れているものの、吸湿性も併せ持つため、水を含んだり、汗をかいたりした場合に表面がべたつくという欠点がある。上記結果より明らかなように、実施例４と比較例４を比べると、吸油量の点では差がないものの、比較例４ではべたつきが生じてしまうが、実施例４ではべたつきが抑えられ、優れた使用感を得ることができる。
【００２７】
次に、表５の処方に従い油性スティックファンデーションを調製し、使用時のざらつきについて評価を行った。評価は、各実施例及び比較例につき６名のパネラーによる官能評価により以下の基準で評点し、各実施例及び比較例についての平均評点により行った。
（評価基準）
（ざらつき）
５：ざらつきがなく非常になめらか
４：どちらかというとなめらか
３：どちらともいえない
２：ややざらつく
１：非常にざらつく
【００２８】
（１０）〜（１６）を８５℃で溶解し、これに（１）〜（９）を添加し、ディスパー混合後、コロイドミルで分散する。これに（１７）を添加し、脱気後、７０℃で容器に流し込み冷却して得る。
【００２９】
上記結果より明らかなように、一般に、亜鉛華等の粉末は化粧料に配合しても粒子が小さいため製品使用時のざらつきが生じにくいが、中空球形アルミノケイ酸塩を配合した実施例５によれば、さらに使用時のざらつきの抑えられた化粧料を得ることができることが示唆される。
【００３０】
以下、本発明の好適な配合例を示す。なお、本発明はこれらの配合例に限定されるものではない。なお、配合量は重量％で示す。
【００３１】
配合例１ 粉白粉
（１）中空球形アルミノケイ酸塩 ７５．０重量％
（２）酸化チタン ３．０
（３）カオリン ５．０
（４）ミリスチン酸亜鉛 ５．０
（５）炭酸マグネシウム ５．０
（６）セリサイト ７．０
（７）着色顔料 適 量
（８）香料 適 量
［製法］
（１）と（７）をブレンダーで混合し、これに（２）〜（６）を添加し、よく混合した後、（８）を噴霧し均一に混合する。これを粉砕機で粉砕した後、ふるいを通し、目的物を得る。
【００３２】
配合例２ 油性口紅
（１）中空球形アルミノケイ酸塩 ５．０重量％
（２）赤色２０１号 ０．６
（３）赤色２０２号 １．０
（４）赤色２０３号 ０．２
（５）キャンデリラロウ ９．０
（６）固形パラフィン ８．０
（７）ミツロウ ５．０
（８）カルナバロウ ５．０
（９）ラノリン １１．０
（１０）ヒマシ油 ２５．０
（１１）２−エチルヘキサン酸セチル ２０．０
（１２）イソプロピルミリスチン酸エステル １０．０
（１３）酸化防止剤 適 量
（１４）香料 適 量
［製法］
（１）〜（３）を（１０）の一部に加え、ローラーで処理する（顔料部）。別に（４）を（１０）の一部に溶解する（染料部）。（５）〜（１４）を９０℃に加熱溶解し顔料部、染料部を加えホモミキサーで均一に分散する。分散後、所定の容器に充填して、目的の油性口紅を得る。
【００３３】
配合例３ サンスクリーン剤
（１）中空球形アルミノケイ酸塩 ５．０重量％
（２）イオン交換水 ５４．９５
（３）１，３−ブチレングリコール ７．０
（４）エデト酸二ナトリウム ０．０５
（５）トリエタノールアミン １．０
（６）オキシベンゾン ２．０
（７）パラメトキシケイ皮酸オクチル ５．０
（８）スクワラン １０．０
（９）ワセリン ５．０
（１０）ステアリルアルコール ３．０
（１１）ステアリン酸 ３．０
（１２）グリセリルモノステアレート ３．０
（１３）ポリアクリル酸エチル １．０
（１４）酸化防止剤 適 量
（１５）防腐剤 適 量
（１６）香料 適 量
［製法］
（２）〜（５）を７０℃に加温し溶解させる。これに（１）を加え、十分に分散させる。これに、（６）〜（１６）を加熱溶解させたものを加え、ホモジナイザーを用いて乳化分散する。その後、室温まで撹拌冷却し、目的のサンスクリーン剤を得る。
【００３４】
配合例４ Ｗ／Ｏ型サンスクリーン剤
（１）イオン交換水 ３８．３重量％
（２）１，３−ブチレングリコール ５．０
（３）シリコーン処理中空球形アルミノケイ酸塩 ３．０
（４）パラメトキシケイ皮酸オクチル ５．０
（５）オキシベンゾン ３．０
（６）４−ｔｅｒｔ−４’−メトキシベンゾイルメタン １．０
（７）スクワラン ４０．０
（８）ジイソステアリン酸グリセリン ３．０
（９）有機変性モンモリロナイト １．５
（１０）防腐剤 適 量
（１１）香料 適 量
［製法］
（４）〜（１１）を７０℃に加熱し溶解させる。これに（３）を加え、十分分散させる。これに（１）、（２）を加熱溶解させたものを加え、ホモジナイザーを用いて乳化分散する。その後、室温まで撹拌冷却して、目的のＷ／Ｏ型サンスクリーン剤を得る。
【００３５】
配合例５ 頬紅
（１）カオリン １９．０重量％
（２）中空球形アルミノケイ酸塩 ５．０
（３）ベンガラ ０．３
（４）赤色２０２号 ０．５
（５）セレシン １５．０
（６）ワセリン ２０．０
（７）流動パラフィン ２５．０
（８）イソプロピルミリスチン酸エステル １５．０
（９）酸化防止剤 適 量
（１０）香料 適 量
［製法］
（１）〜（４）を（７）の一部に加え、ローラーで処理する（顔料部）。（５）〜（１０）を９０℃に加熱溶解し、顔料部を加え、ホモミキサーで均一に分散する。分散後、所定の容器に充填して目的の頬紅を得る。
【００３６】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、メーキャップ化粧料に直径１００Å以下のアロフェンを０．５〜８０重量％配合することにより、皮脂吸収性が高く、また、調湿性を有し、しかも使用感がよく、また自然な仕上がりを有するメーキャップ化粧料を得ることが可能である。
Claims (1)
- 直径１００Å以下のアロフェンを０．５〜８０重量％含むことを特徴とするメーキャップ化粧料。
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