JP3573619B2 - ベンゾトリアゾール誘導体、その製造方法、並びに同誘導体を含有する紫外線吸収剤及び繊維材料用処理剤 - Google Patents

ベンゾトリアゾール誘導体、その製造方法、並びに同誘導体を含有する紫外線吸収剤及び繊維材料用処理剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なベンゾトリアゾール誘導体、その製造方法、及びプラスチック、ゴム製品や繊維材料の耐光性向上等に使用される紫外線吸収剤に関する。本発明は、また、日光による変褪色を生じるポリエステル繊維からなる繊維材料又はポリエステル繊維を含む複合繊維材料の日光堅牢度を向上させる繊維材料用処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、太陽光や蛍光灯等から発せられる250〜400nmの紫外線がポリマー中の官能基等を励起させ、その結果ポリマーの劣化が生じることが明らかとなり、この現象を防止するために紫外線吸収剤が様々な分野において使用されている。例えば、日焼け止め製剤、スキンケア製品等の化粧料やプラスチックレンズ、フィルム等のプラスチック、及びゴムのような高分子化合物の分野などその用途は幅広い。
【0003】
紫外線は長波紫外線(UV−A:320〜400nm)、中波紫外線(UV−B:290〜320nm)及び短波紫外線(〜290nm)に区分され、紫外線吸収剤は使用目的とそれ自体がもつ吸収領域によって選択して用いられる。
また、紫外線を吸収する物質としてはパラアミノ安息香酸類、サリチル酸類、メトキシ桂皮酸類、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類及びこれらの誘導体が知られており、これらの多くはUV−BからUV−Aにかけて、すなわち290〜380nmの波長の吸収領域を持っている。
【0004】
しかしながら、これらの紫外線吸収物質は吸収領域が狭く、あるいは吸光度が小さいために、UV−B及びUV−Aの領域すべての波長を逃さず吸収しているわけではない。従って、日光のような広い領域の紫外線が照射される場合には、充分な紫外線吸収の作用を示さないものが多い。
一方、ポリエステル繊維からなる繊維材料又はポリエステル繊維を含む複合繊維材料(以下、ポリエステル系合成繊維材料と略記する)においては、高度の耐久性や高度の日光堅牢度が要求されるもの、例えば、カーシート、カーマット、シートベルト等に対しては、染色浴又は捺染糊中に紫外線吸収剤を併用して加工することが一般に行われている。併用する紫外線吸収剤として、例えば、特開昭60−59185号公報及び特開平2−41468号公報には、2−(3’ −t−ブチル−2’ −ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾールが開示されているが、これらは染色後の熱処理(仕上げセット)工程で160〜190℃に加熱すると紫外線吸収剤が繊維表面から昇華してしまい、セット用機械を汚染したり、日光堅牢度を低下させるといった問題を有している。また、最近開示された2−(2’ −ヒドロキシ−4’ −メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンは耐昇華性に優れるているが、太陽光に近い波長を持っているといわれるキセノン光源での長時間照射の試験で変褪色を防止する効果がやや弱い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の如き従来技術に見られる種々の問題点を解消し、プラスチック、ゴム製品や繊維材料の耐光性向上に必要とされる紫外線吸収剤の固有吸収波長が250から400nmにかけての広い吸収領域を持ち、昇華性が小さく、耐熱性に優れ、ポリエステル系合成繊維材料に対する耐光性能(日光堅牢度)に優れ、工業的にも製造が容易である化合物を有効成分とする紫外線吸収剤及びこの化合物を含有するポリエステル系合成繊維材料用処理剤を提供することを目的として成されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を持つベンゾトリアゾール誘導体が広い範囲の紫外線吸収作用を有し、耐熱性に優れ、耐光性能が良いことを見出し、この知見に基づき本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0007】
【化4】
Figure 0003573619
【0008】
(式中、Xは水素原子又はハロゲン原子を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、R及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す)
で表されるベンゾトリアゾール誘導体を提供する。
本発明は、また、上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール誘導体を製造するに際して、下記一般式(2)
【0009】
【化5】
Figure 0003573619
【0010】
(式中、Xは水素原子又はハロゲン原子を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す)
で表される化合物と、下記一般式(3)
【0011】
【化6】
Figure 0003573619
【0012】
(式中、Xはハロゲン原子を表し、R及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す)
で表される化合物とを反応させることを含む方法を提供する。
本発明は、更に、上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール誘導体を有効成分とする紫外線吸収剤及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種を含む、ポリエステル繊維からなる繊維材料又はポリエステル繊維を含む複合繊維材料用処理剤を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のベンゾトリアゾール誘導体(一般式(1))は、例えば以下に示す如く、2−(2’ −ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体(一般式(2))とハロゲン化ベンゾイル誘導体(一般式(3))を反応させて、下記に示すようなエステル化合物(一般式(4))を合成し、これにルイス酸を用いて、ベンゾイル基を転位させることにより製造することができる。
【0014】
【化7】
Figure 0003573619
【0015】
(式中、X、X、R、R及びR前記規定に同一のものを表す)
更に詳しく説明すると、例えば、2−(2’ −ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体(一般式(2))とハロゲン化ベンゾイル誘導体(一般式(3))を脱塩酸剤としての炭酸カリウムの存在下に、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する)をエステル化反応溶媒として用いて、反応温度約90℃でエステル化反応させてエステル化合物(一般式(4))を合成する。次に、このエステル化合物)を転移反応溶媒中、ルイス酸の存在下で、反応温度80〜150℃にて転位反応をさせることにより目的の化合物であるベンゾトリアゾール誘導体(一般式(1))を得ることができる。
【0016】
本発明において、エステル化合物(一般式(4))を製造する際には、2−(2’ −ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体(一般式(2))の3’ 位あるいは5’ 位にベンゾイル基が直接入るものも副生するが、その量は僅かであり、3’ 位にベンゾイル基の入ったものは本発明の目的の化合物であり、5’ 位にベンゾイル基が入ったものはその構造から紫外線吸収能は弱いものである。
【0017】
本発明において、2−(2’ −ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体(一般式(2))、ハロゲン化ベンゾイル誘導体(一般式(3))、脱塩酸剤、エステル化反応溶媒、転移反応溶媒、ルイス酸としては以下に示すものが適しているが、これらに限定されるものでない。2−(2’ −ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体としては、2−(2’ −ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’ −ヒドロキシ−5’ −エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’ −ヒドロキシ−5’ −イソプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’ −ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’ −ヒドロキシ−5’ −エチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’ −ヒドロキシ−5’ −イソプロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。ハロゲン化ベンゾイル誘導体としては、ヨウ化ベンゾイル、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、塩化o−トルオイル、塩化m−トルオイル、塩化p−トルオイル、3−クロロ−o−トルオイルクロライド、4−クロロ−o−トルオイルクロライド、5−クロロ−o−トルオイルクロライド、4−クロロ−m−トルオイルクロライド、5−クロロ−m−トルオイルクロライド、6−クロロ−m−トルオイルクロライド、2−クロロ−p−トルオイルクロライド、3−クロロ−p−トルオイルクロライドなどが挙げられる。脱塩酸剤としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、ピリジンなどが挙げられ、エステル化反応溶媒としてはDMFが好ましい。転移反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒が適している。ルイス酸としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、五塩化アンチモン、三塩化アンチモン、塩化ジルコニウム、塩化スズ、塩化ホウ素、フッ化ホウ素等が挙げられ、その使用量は、一般には、エステル化合物に対して1モル当量以上であるのがよく、好ましくは1.1〜2.0モル当量程度である。
【0018】
また、本発明では、転移反応溶媒中にルイス酸を存在させておき、2−(2’ −ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体とハロゲン化ベンゾイル誘導体を反応させることにより、エステル化合物を単離することなく、アシル化反応を利用してベンゾトリアゾール誘導体を製造することもできる。この方法においても、2−(2’ −ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体(一般式(2))の5’ 位にベンゾイル基が入るものも副生するが、紫外線吸収能はその構造から弱いものである。
【0019】
本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、1分子中にベンゾトリアゾール骨格とベンゾフェノン骨格を併せ持つことから、紫外線の吸収領域が広く、しかもこのベンゾトリアゾール誘導体を有効成分とする紫外線吸収剤は紫外線吸収作用に優れている。
本発明の紫外線吸収剤は、一般式(1)のベンゾトリアゾール誘導体を2種以上含むものであってもよく、あるいは必要に応じ従来公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤などと併用して用いられてもよい。
【0020】
ポリエステル系合成繊維材料に一般式(1)のベンゾトリアゾール誘導体を適用する方法としては、水系分散液のパディングによる連続処理、浸漬による吸着処理、捺染糊に配合して用いる印捺処理、あるいは溶剤に溶解して処理する溶液処理等の方法を用いることができるが、これらに特に限定されるものではない。これらの処理は、染色工程や捺染工程の前もしくは後に、あるいは染色工程や捺染工程と同時に行ってもよい。水系で処理する際には、前記一般式(1)のベンゾトリアゾール誘導体を水中に安定に均一分散する必要があるが、水への分散は従来公知の方法により容易に行うことができる。一般式(1)のベンゾトリアゾール誘導体は水に不溶であるので、例えば、この化合物をアニオン又はノニオン系界面活性剤を分散剤として用いて水に分散させて、5〜50重量%の濃度の一次分散液を調製し、さらにビーズミル等を使用し、物理的に粉砕することにより、安定な微粒子水分散液が得られる。粒子の大きさは特に限定されないが、平均粒子系が2μm以下の大きさに粉砕した状態で使用するのが望ましい。
【0021】
分散剤として用いるアニオン又はノニオン系界面活性剤としては下記のような界面活性剤が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(a)ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物。
(b)炭素数8〜12のアルキルフェノールの4〜50モルのアルキレンオキシド付加物、その硫酸化物あるいは炭素数8〜20の脂肪酸とのエステル化物。ここで、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドを挙げることができ、その単独付加物、2者又は3者のブロックあるいはランダム付加物のいずれでもよい。
(c)3〜8モルのスチレンを付加したフェノールの4〜50モルのアルキレンオキシド付加物、その硫酸化物あるいは炭素数8〜20の脂肪酸とのエステル化物。ここで、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドを挙げることができ、その単独付加物、2者又は3者のブロックあるいはランダム付加物のいずれでもよい。
(d)1〜2モルのスチレンを付加した、炭素数8〜12のアルキル基を有するアルキルフェノールの4〜50モルのアルキレンオキシド付加物、その硫酸化物あるいは炭素数8〜20の脂肪酸とのエステル化物。ここで、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドを挙げることができ、その単独付加物、2者又は3者のブロックあるいはランダム付加物のいずれでもよい。
(e)ポリオキシアルキレンオキシド、その硫酸化物あるいは炭素数8〜20の脂肪酸とのエステル化物。ここで、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドを挙げることができ、その単独付加物、2者又は3者のブロックあるいはランダム付加物のいずれでもよい。
(f)エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類のアルキレンオキシド付加物、その硫酸化物あるいは炭素数8〜20の脂肪酸とのエステル化物。ここで、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドを挙げることができ、その単独付加物、2者又は3者のブロックあるいはランダム付加物のいずれでもよい。
(g)炭素数8〜12のアルキル基を有するアルキルジフェニルエーテルの硫酸化物。
(h)ポリビニルアルコール。
(i)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル等のビニル系モノマーの重合物および共重合物。
(j)カルボキシメチルセルロース。
(k)アルギン酸ソーダ。
(l)ローカストビーンガム、グアーガム等の天然多糖類のアルキレンオキシド付加物。ここで、アルキレンオキシドは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドである。
【0022】
本発明の処理剤による処理に特に適する繊維材料としては、ポリエステル繊維又はポリエステル繊維と他の繊維、例えば、綿、レーヨン、ウール、ナイロン、アセテート等との複合繊維からなる不織布、織物、編物、及びそれらの起毛品からなるカーペット、カーマット、カーシート、シートベルト等を挙げることができる。
【0023】
実際の処理に際しては、浸染用の染色浴においては、前記一般式(1)のベンゾトリアゾール誘導体を5〜50重量%含有する水分散液を、繊維重量に対して0.2〜10%の重量で使用し、他に分散染料等の染料、均染剤としての界面活性剤、酢酸等のpH調整剤、EDTA類もしくはポリアクリル酸ソーダ等のキレート剤、酸化防止剤、消泡剤等の通常の染色に用いられる薬剤が使用される。染色加工工程は、従来実施されているものと同様であってよく、繊維製品を精練し、又は精練せずに、液流染色機、ビーム染色機、チーズ染色機等の染色機中において120〜140℃で20〜60分間染色した後、仕上工程を実施する。
【0024】
連続染色では、前記一般式(1)のベンゾトリアゾール誘導体を5〜50重量%含有する水分散液を0.2〜10重量%含み、かつ、染料、アルギン酸ソーダ、アクリル酸とアクリルアミド共重合物等のマイグレーション防止剤、及び濃染剤、均染剤、浸透剤としての界面活性剤、塩素酸ソーダ等の還元防止剤、クエン酸、リンゴ酸等のpH調整剤を含む染色浴に、精練した繊維製品を浸漬し、絞り、次いで乾燥し、サーモゾール、スチーミング等の固着処理を実施する。その後、ソーピングし、仕上処理を行う。
【0025】
また、捺染においては、繊維材料を精練せず、又は精練後、あるいは染色後に捺染糊を印捺する。捺染糊中には、0.2〜10%重量の前記一般式(1)のベンゾトリアゾール誘導体の水分散液と、他にアルギン酸ソーダ、加工澱粉、グアーガム系糊剤、カルボキシメチルセルロース等の捺染用糊剤、pH調整用のクエン酸、リンゴ酸等の有機酸、塩素酸ソーダ等の還元防止剤、濃染剤としての界面活性剤やターペンエマルジョン、及び消泡剤等の、通常の捺染において使用される薬剤が用いられる。印捺後乾燥し、HTスチーミング、サーモゾール等での固着処理を行い、次いでソーピングし、仕上処理を行う。
【0026】
本発明に係る一般式(1)のベンゾトリアゾール誘導体は、その少なくとも1種を、一般には繊維重量に対して0.01〜10%、好ましくは0.1〜5%の量を、ポリエステル系合成繊維材料に吸着又は付着させることにより日光堅牢度が向上し、また耐昇華性に優れているため熱処理工程後もセット用機械の汚染や耐光性の低下を生じさせることが少なく、ポリエステル合成繊維材料用処理剤として極めて有効である。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
例中に示す融点は、島津製作所社製の示差走差熱量計DSC−50の吸熱ピークより求めた。核磁気共鳴スペクトル(以下、NMRと略記する)は、日立製作所社製のFT−NMR R−1900を用いて重クロロホルム溶媒(テトラメチルシラン標準(δ=0.00))にて測定した。赤外スペクトル(以下、IRと略記する)は、パーキンエルマー社製のパーキンエルマー1650を用いて臭化カリウムペレットにて測定した。紫外吸収スペクトルは、日立製作所社製のスペクトロフォトメーターUー3410を用いて10ppm 濃度のクロロホルム溶液で測定した。また、熱減量率は、島津製作所社製の示差熱熱重量同時測定装置DTG−50を用いて測定した。
【0028】
実施例1
2−(3’ −ベンゾイル−2’ −ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル)ベンゾトリアゾールの合成(I)
反応容器に2−(2’ −ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル)ベンゾトリアゾール225g(1.00mol )、炭酸カリウム138g(1.00mol )をDMF450gに懸濁させて仕込み、90℃にて塩化ベンゾイル148g(1.05mol )を約30分かけて滴下した。その後、同温度で2時間熟成反応させた後、冷却し、内容物を約2リットルの水中に徐々に注ぎ、その後希塩酸にて中和した。析出した結晶を減圧ろ過にてろ別し、ろ滓をイソプロパノールにより再結晶し、白色結晶273gを得た。生成物の収率は83%で、融点は114℃であり、NMR分析(図1)及びIR分析(図2)はいずれも2−(2’ −ベンゾイルオキシ−5’ −メチルフェニル)ベンゾトリアゾールであることを示していた。
【0029】
この生成物を反応容器に塩化アルミニウム221g(1.66mol )とともにニトロベンゼン550gに懸濁させて仕込み、反応温度110℃にて1時間撹拌反応させた。その後冷却し、希塩酸を加えて過剰の塩化アルミニウムを分解させた後、有機層を数回水洗した。有機層にメタノール約1リットルを加え、析出した結晶を減圧ろ過にてろ別した。得られたろ滓をアセトンにより再結晶し、目的の化合物の白色結晶202gを収率74%で得た。この化合物の融点は166.1℃で、紫外線極大吸収波長λmax (εmax )は348nm(16600)、303nm(14900)であり、NMR分析(図3)及びIR分析(図4)はいずれも目的の化合物であることを示していた。
【0030】
実施例2
2−(3’ −ベンゾイル−2’ −ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル)ベンゾトリアゾールの合成(II)
反応容器に2−(2’ −ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル)ベンゾトリアゾール180g(0.80mol )、塩化アルミニウム213g(1.60mol )をニトロベンゼン360gに懸濁させて仕込み、110℃にて塩化ベンゾイル124g(0.88mol )を約30分かけて滴下した。その後、同温度で2時間反応させた後、冷却し、希塩酸を加えて過剰の塩化アルミニウムを分解した後、有機層を数回水洗した。有機層にメタノール約1リットルを加え、析出した結晶を減圧ろ過にてろ別した。得られたろ滓をアセトンより再結晶し、目的の化合物の白色結晶195gを収率74%で得た。この化合物の融点は166.0℃で、紫外線極大吸収波長λmax (εmax )は348nm(16600)、303nm(14900)であり、NMR分析及びIR分析はいずれも実施例1と同様、目的の化合物であることを示していた。
【0031】
実施例3
2−{3’ −(p−トルオイル)−2’ −ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル}ベンゾトリアゾールの合成
反応容器に2−(2’ −ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル)ベンゾトリアゾール180g(0.80mol )、塩化アルミニウム213g(1.60mol )をニトロベンゼン360gに懸濁させて仕込み、110℃にて塩化p−トルオイル136g(0.88mol )を約30分かけて滴下した。その後、同温度にて2時間熟成反応させた後、冷却し、希塩酸を加えて過剰の塩化アルミニウムを分解した後、有機層を数回水洗した。有機層にメタノール約1リットルを加え、析出した結晶を減圧ろ過にてろ別した。得られたろ滓をアセトンにより再結晶し、目的の化合物の白色結晶206gを収率75%で得た。この化合物の融点は153.4℃で、紫外線極大吸収波長λmax (εmax )は347nm(16200)、269nm(20000)であり、NMR分析(図5)及びIR分析(図6)はいずれも目的の化合物であることを示していた。
【0032】
比較例1
2−(2’ −ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
比較例2
5−クロロ−2−(2’ −ヒドロキシ−4’ −ベンゾイルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール
比較例3
2−(2’ −ヒドロキシ−3’ −t−ブチル−5’ −メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
比較例4
2−(2’ −ヒドロキシ−4’ −メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン
評価試験
紫外線吸収能
実施例1及び3、比較例1及び2の化合物の紫外線吸収スペクトルをそれぞれ図7〜10に示す。
【0033】
本発明のベンゾトリアゾール誘導体の紫外線吸収スペクトルは短波長においても吸収が大きく、吸収領域が広いものである。
耐熱性
実施例1及び3、比較例1及び3の化合物について、空気中、昇温速度5℃/分で昇温したときの、120〜400℃の熱減量率(重量%)の結果を下記の表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003573619
【0035】
実施例1及び3の化合物は、比較例に比べて熱減量率が少なく、優れた耐昇華性及び耐熱性を有していることが認められる。
耐光堅牢度試験
〔水分散液の調製〕
下記の試験に供する実施例1〜3、比較例3及び4の化合物の水分散液を次のようにして調製した。化合物150g、リポトールB−12(日華化学(株)製アニオン系界面活性剤)100g、及び水250gを撹拌機で予備分散した後、五十嵐機械製造(株)製サンドグラインダーで4時間処理して、平均粒子径約0.4μmのそれぞれの微粒子水分散液を得た。なお、粒子径は島津製作所(株)製粒度分布測定機SALD−1100により測定した。
【0036】
〔試験方法〕
上記で得られたそれぞれの微粒子水分散液を処理剤として用いて処理し、その性能を評価した。
(a)供試布
レギュラーポリエステルニットを下記の方法により処理した後、日光堅牢度試験に供した。
【0037】
(b)処理方法
下記のそれぞれの処理浴組成で、130℃で30分間染色処理(テクサム技研(株)製染色機ミニカラーにて)後、80℃で30分間還元洗浄し、水洗し、乾燥し、グレーの染色処理布を得た。次いで、上野山鉄工(株)製ピンテンターを用い、160℃で2分間の乾熱処理を行った。
【0038】
Figure 0003573619
(c)日光堅牢度
下記の試験1及び試験2の方法で日光堅牢度を評価した結果を表2に示す。
【0039】
試験1
上記(b)の乾熱処理後のそれぞれの処理布に厚さ1cmのポリウレタン製スポンジを裏打ちし、高温フェード・オ・メーター(スガ試験機(株)製)を用い、83℃で200時間照射した。変褪色の度合いを変褪色グレースケール(JIS L 0804)により級数で判定した。級数が大きいほど日光堅牢度は良好である。
【0040】
試験2
上記(b)の乾熱処理後のそれぞれの処理布に厚さ1cmのポリウレタン製スポンジを裏打ちし、キセノンフェード・オ・メーター(スガ試験機(株)製)を用い、73℃で48時間照射後、38℃で1時間暗黒を1サイクルとして38サイクル繰り返した。変褪色の度合いを変褪色グレースケール(JIS L 0804)により級数で判定した。結果を下記の表2に示す。級数が大きいほど日光堅牢度は良好である。
【0041】
【表2】
Figure 0003573619
【0042】
本発明の実施例1〜3の処理剤は、日光堅牢度に優れた性能を有していることが認められる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、広い範囲の紫外線吸収領域を持ち、耐熱性に優れたベンゾトリアゾール誘導体系の紫外線吸収剤が得られる。従って、この紫外線吸収剤を含有する繊維処理剤を用いれば、高温条件での加工や、加工製品の高温時使用での昇華を押さえることができ、日光堅牢度の低下の少ないポリエステル系合成繊維材料の染色物又は捺染物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2−(2’ −ベンゾイルオキシ−5’ −メチルフェニル)ベンゾトリアゾールのNMRチャート。
【図2】2−(2’ −ベンゾイルオキシ−5’ −メチルフェニル)ベンゾトリアゾールのIRチャート。
【図3】実施例1のNMRチャート。
【図4】実施例1のIRチャート。
【図5】実施例3のNMRチャート。
【図6】実施例3のIRチャート。
【図7】実施例1の紫外線吸収スペクトル。
【図8】実施例3の紫外線吸収スペクトル。
【図9】比較例1の紫外線吸収スペクトル。
【図10】比較例2の紫外線吸収スペクトル。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0003573619
    (式中、Xは水素原子又はハロゲン原子を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、R及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す)
    で表されるベンゾトリアゾール誘導体。
  2. 請求項1 に規定した一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール誘導体を製造するに際して、下記一般式(2)
    Figure 0003573619
    (式中、Xは水素原子又はハロゲン原子を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す)
    で表される化合物と、下記一般式(3)
    Figure 0003573619
    (式中、Xはハロゲン原子を表し、R及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す)
    で表される化合物とを反応させることを含む方法。
  3. 請求項1に規定した一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール誘導体を有効成分とする紫外線吸収剤。
  4. 請求項1に規定した一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール誘導体から選ばれる少なくとも1種を含む、ポリエステル繊維からなる繊維材料又はポリエステル繊維を含む複合繊維材料用処理剤。
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