JP3572887B2 - 液晶ポリエステルの製造方法 - Google Patents

液晶ポリエステルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶ポリエステルの製造方法に関する。さらに詳しくは溶融重縮合反応において繰り返しバッチ重合する事により生成する高融点異物を抑制し、高品質とりわけ耐熱性に優れた液晶ポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年プラスチックスの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数多く開発され市場に供されている。中でも、分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶ポリマーが優れた流動性と機械的性質を有する点で注目されている。
【0003】
液晶ポリエステルの製造方法としては、特開平1−149825号公報に開示されているように粘度が上昇すると撹拌数を減少させ、重合反応温度をコントロールさせることや、特開平4−225023号公報に開示されているように、缶壁面での剪断速度が10〜100(1/秒)で反応物を掻き下げる方向に撹拌しながら重合することが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の重合方法では品質的に優れた液晶ポリマーを製造することは出来るが、繰り返しバッチ重合すると反応缶内に残留するモノマー、オリゴマーが熱履歴を受け、所望のポリマー組成から大きく外れ、例えば融点が350℃でも溶融しない物質になり、重合終了後缶内から吐出する際にポリマー中に異物となって混入し、得られる液晶ポリマーの物性に悪影響を及ぼすため繰り返しバッチ重合数を多くする事が出来ないため、定期的に缶内を洗浄せざるをえないことがわかった。そこで、本発明は缶内に残留するモノマー、オリゴマー量を少なくして、缶内の洗浄周期を長くすることにより生産性を向上させ、高品質とりわけ耐熱性に優れた液晶ポリエステルの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明は(1)粉末状の液晶ポリエステル原料を含む液晶ポリエステル原料と無水酢酸とを重合装置の原料投入口から投入し、アシル化反応および脱酢酸重合により加熱重縮合して液晶ポリエステルを製造する際、攪拌機を備えたスラリー調整槽に、無水酢酸を仕込んだ後、粉末状の液晶ポリエステル原料を仕込み、スラリー状態に調整した後、原料投入口に投入することを特徴とする液晶ポリエステルの製造方法。
【0007】
(2)スラリー調整槽から原料投入口にスラリーを投入した後、無水酢酸にてスラリー調整槽内を洗浄して、洗浄液を重合装置に仕込むことを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【0009】
)粉末状の液晶ポリエステル原料が芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸から選ばれた一種以上である(1)〜()のいずれか記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【0010】
)液晶ポリエステル原料がエチレンジオキシ単位と芳香族ジカルボニル単位を重縮合して得られるポリエステルを含むことを特徴とする(1)〜()いずれか記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【0011】
)粉末状の液晶ポリエステル原料と無水酢酸を20℃〜120℃の範囲で撹拌しながらスラリー化してスラリー状態に調整することを特徴とする(1)〜()のいずれか記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【0012】
6)スラリー調整槽での撹拌条件が撹拌翼と槽壁面での剪断速度が150〜1000(1/秒)になるようにおこなわれることを特徴とする(1)〜()のいずれか記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【0013】
)液晶ポリエステルが下記(I)、(II)、(III )、(IV)の構造単位からなる液晶ポリエステルであることを特徴とする(1)〜()いずれか記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【0014】
【化4】
Figure 0003572887
(但し式中のR1は
【化5】
Figure 0003572887
から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
【化6】
Figure 0003572887
から選ばれた1種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明で製造する液晶ポリエステルは溶融時に異方性溶融相を形成し得るポリエステルであり、例えば芳香族オキシカルボニル単位などのオキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、エチレンジオキシ単位などのジオキシ単位および芳香族ジカルボニル単位などのジカルボニル単位などから選ばれた単位からなる溶融異方性を示すポリエステルなどが挙げられる。本発明の製造方法はかかる液晶ポリエステルを製造する際に用いられる。
【0016】
本発明において、液晶ポリエステルを重合して製造するための基本的な反応経路としては特に制限はなく、通常公知の方法により製造することができる。液晶ポリエステルの構造単位を構成し得る原料、即ち液晶ポリエステル重合用原料(液晶ポリエステル原料)としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸、ジオキシ単位とジカルボニル単位からなるポリエステル、およびそれらの誘導体などが挙げられ、これらの種類および組成を適宜組み合わせ、重合することにより得られる。
【0017】
芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などおよびそれらのアシル化物、フェニルエステルが挙げられる。ジヒドロキシ化合物としては、芳香族ジオールが好ましく、具体的には、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどおよびそれらのジアシル化物が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸およびジフェニルエーテルジカルボン酸などおよびそれらのジフェニルエステルが挙げられ、ジオキシ単位とジカルボニル単位からなるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0018】
液晶性ポリエステルの構造単位を構成し得る原料となり得る、芳香族オキシカルボン酸あるいはその誘導体、ジオールあるいはその誘導体、芳香族ジカルボン酸あるいはその誘導体は、多くの場合、常温で固体であり、粉末状として用いることが好ましい。また、ジオキシ単位とジカルボニル単位からなるポリエステルは、常温で固体であるが、通常、ペレット状あるいはそれを粉砕した粉末状で用いられる。
【0019】
晶ポリエステルを製造するための反応としては、例えば液晶ポリエステルを脱酢酸重合を行なうことにより製造することができる。この場合、ヒドロキシル基があらかじめアシル化された原料を用いて脱酢酸重合する場合と、液晶ポリエステルを構成する原料としてヒドロキシル基含有単量体をアシル化剤とともに用い、ヒドロキシル基をアシル化するアシル化反応と脱酢酸重合反応を行う場合があるが、本発明においては後者の方法を用いる
【0020】
本発明においてはアシル化剤として無水酢酸が用いられる
【0021】
具体的な方法としては例えば、下記(1)の方法で代表されるようなヒドロキシル基含有化合物、カルボン酸基含有化合物および無水酢酸(アシル化剤)を用い、ヒドロキシル基をアシル化した後、脱酢酸重縮合を行なう方法、この方法において、ヒドロキシル基含有化合物の一部をアシル化した化合物に置換した方法などがあるが、(1)の方法に代表されるような方法が特に好ましい。
【0022】
(1)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、無水酢酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸およびエチレングリコールと芳香族ジカルボン酸からのポリエステルやオリゴマあるいは芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルとを反応させてフェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
【0023】
この脱酢酸反応は無触媒系で行っても重合は進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウム、三酸化アンチモン、マグネシウム、酢酸ナトリウムなどの金属化合物を触媒としてあるいは触媒及び色調改良剤として効果のある次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等の化合物を添加した方が好ましい場合もある。
【0024】
本発明において液晶ポリエステルは、粉末状の液晶ポリエステル原料を含む液晶ポリエステル原料と液体とを重合装置の原料投入口から投入し、加熱重縮合することにより製造されるが、液体と粉末状の液晶ポリエステル原料をスラリー状態に調整した後、原料投入口に投入することが必要である。
【0025】
本発明において重要な点は、重合装置に仕込んだ原料が混合不足により不均一なために所望以外のポリマー組成となることを抑制する点にある。特に液晶ポリエステルの原料としてエチレンジオキシ単位と芳香族ジカルボニル単位を重縮合して得られるポリエステルを含む場合には、ポリマー組成の不均一化による高融点異物の生成が抑制され、均質なポリマーが得られるため好ましい。
【0026】
また、エチレンジオキシ単位とジカルボニル単位からなるポリエステルは、常温で固体であるが、通常、ペレット状あるいはそれを粉砕した粉末状で用いられる。
【0027】
本発明においては液晶ポリエステルをアシル化剤として無水酢酸を用いて、アシル化、脱酢酸重合するので無水酢酸とともに液晶ポリエステル原料をスラリー化する。
【0028】
多くの場合、液晶ポリエステルの構造単位を構成するための原料は常温〜120℃以下では固体状であり、多くの場合、粉末状として用いられるため、粉末状のポリエステル粉末原料と無水酢酸を混合してスラリー化する
【0029】
以下、これらの点について詳述する。粉末状の液晶ポリエステル原料と液体を混合してスラリー化する方法としては、均一にスラリー化し得る方法であればよい。
【0030】
ここでいう粉末状の液晶ポリエステル原料の平均粒子径は通常、1mm以下のものであり、好ましくは0.7mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下のものである。ここでいう平均粒径は5〜600メッシュのふるいを用い、1つのふるいとそれに最も近くかつ大きいメッシュ数を有するふるいのメッシュ数の関係が1.5〜2倍程度となるようメッシュ数の小さいものから下段に向かって大きくなるように重ね、最も下にはメッシュのない容器を置き(ただし、最も上のふるいと最も下の容器に残る重量比が5%未満となるようにする)、振動ふるい機を用いふるい分けし、各ふるいに残ったp−ヒドロキシ安息香酸の重量比を求め、それにそのふるいの目開き間隔とその上にあったふるいの目開き間隔の平均を積し、(但し、最上部のふるいに残ったものは最上部のふるいの目開き間隔を積し、最下部の容器に残ったものは最もメッシュ数の大きいふるいの目開き間隔を積する)各々のふるいについて和することによって求めることができる。
【0031】
装置面では重合装置とは別に攪拌機を備えたスラリー調整槽を設ける。
【0032】
スラリー化の撹拌速度としては、撹拌翼と缶壁面での剪断速度が150(1/秒)以上、特に200〜700(1/秒)で行なわれることが好ましい。攪拌速度をかかる範囲とする場合には、粉末状の液晶ポリエステル原料の分散が重合装置内で良好な状態となり、所望の組成のポリマーが生成する比率が高くなり、350℃でも溶融しない異物となってポリマー中に混入することが抑制されるため、缶内を洗浄する周期を従来より長くすることができる。ここで撹拌翼と缶壁面での剪断速度とは下記式より求められた値を言う。
【0033】
剪断速度(1/秒)=2×2×3.14×撹拌数(回転/秒)×缶内径×缶内径/(缶内径×缶内径−撹拌翼外径×撹拌翼外径)
混合順序としては、液体状の液晶ポリエステル原料の一部または全部、粉末原料の順に仕込むことが好ましい
スラリー化は、スラリー調整槽の温度を120℃以下とすることが所望以外の反応を抑制し、原料の蒸発を抑制することにより、所望の組成を有する液晶ポリエステルが得られる点から好ましく、下限としては10℃以上であることが好ましい。特に20℃〜50℃の範囲で行うことが好ましい。
【0034】
スラリー化の固形分濃度としては40〜70重量%、好ましくは50〜65%に調整して撹拌する。この際残った液体原料をスラリー化仕込後のスラリー混合槽を洗浄しながら上記重合装置に仕込む方法が好ましい。
ここで固形分濃度とは下記式より求められた値を言う。
固形分濃度(重量%)=粉末原料重量/(粉末原料重量+液体原料重量)×100%
なお、構造単位(III)を含み、原料としてポリエチレンテレフタレートのポリマーをペレット状など非粉末状で用いる場合はスラリーの分散性の点から直接原料供給口に投入することが好ましい。
【0035】
本発明に用いる重合装置としては、原料投入口と撹拌装置及び排出口を備えた反応缶と反応中反応缶から留出する蒸気を凝縮させるためのコンデンサー、凝縮液受け槽及び、減圧重合時の真空発生装置からなる竪型反応装置が好ましく挙げられ、反応缶は1缶でも良いが2缶以上有する装置が好ましい。さらに、反応缶の縦と横の長さの比が1より大きく3未満の形状の物が好ましい。
【0036】
液晶ポリエステルの製造用反応装置としては上記に示した通りで、上記(1)の方法で製造する場合は一般的に反応缶は一般的に反応缶は2基以上使って行われる。
【0037】
反応缶を2基を使ってアシル化反応および脱酢酸重合により行う場合、通常、反応缶1に予めスラリー化した原料あるいはスラリー化した原料とその他の原料を仕込、昇温して130℃〜150℃で1時間アシル化後、さらに200℃〜300℃に昇温してアシル化により生成する留出物および未反応のアシル化剤を留出させる。次に真空発生装置の付いた反応缶2に移して、さらに250℃〜400℃に昇温して減圧および真空下で重縮合する。
【0038】
本発明の液晶ポリエステルの製造方法は、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、エチレンジオキシ単位と芳香族ジカルボニル単位からなるポリエステルなどから選択された1種以上の単量体と、p−ヒドロキシ安息香酸とを無水酢酸などのアシル化剤を用いてアシル化反応、脱酢酸重合する場合に有効である。
【0039】
なかでもエチレンジオキシ単位と芳香族ジカルボニル単位からなるポリエステルを液晶ポリエステルの原料として用いた場合、特にp−ヒドロキシ安息香酸、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、上記ポリエステルを原料とする液晶ポリエステルを製造する際、すなわち下記(I)、(II)、(III )、(IV)の構造単位からなる液晶ポリエステルを製造する際に顕著にその効果を発揮する。
【0040】
【化7】
Figure 0003572887
(但し式中のR1は
【化8】
Figure 0003572887
から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
【化9】
Figure 0003572887
から選ばれた1種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III )はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸およびジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。
【0041】
これらのうち特にR1が
【化10】
Figure 0003572887
であるものが構造単位(II)の70モル%以上を、R2が
【化11】
Figure 0003572887
であるものが構造単位(IV)の70モル%以上を占めるものが特に好ましい。
【0042】
上記構造単位(I)、(II)、(III )、(IV)の共重合量は任意である。しかし、流動性の点から次の共重合量であることが好ましい。
【0043】
すなわち、耐熱性、難燃性および機械的特性の点から上記構造単位(I)および(II)の合計は(I)、(II)および(III )の合計の60〜95モル%が好ましく、82〜93モル%がより好ましい。また、構造単位(III )は(I)、(II)および(III )の合計の40〜5モル%が好ましく、18〜7モル%がより好ましい。また、構造単位(I)と(II)のモル比[(I)/(II)]は耐熱性と流動性のバランスの点から好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III )の合計と実質的に等モルであることが好ましい。
【0044】
上記好ましい液晶ポリエステルは、上記構造単位を生成し得る単量体を液晶ポリエステルを構成し得る原料として、アシル化反応、脱酢酸重合により製造する。この場合、無水酢酸液体状のアシル化剤を用い、構造単位(I)を生成し得る単量体、構造単位(II)を生成しうる単量体と実質的に等モル量の構造単位(IV)を形成し得る単量体を粉末状の原料とし、構造単位(III)と、それと実質的に等モル量の構造単位(IV)からなるポリエステルをペレット状など非粉末状の原料とし、粉末状の原料と液体状のアシル化剤をスラリー化し、それと非粉末状の原料を重合装置の原料供給口に投入することがスラリーの分散性の点で好ましい。
【0045】
なお、上記好ましいポリエステルを重縮合する際には上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3´−ジフェニルジカルボン酸、2,2´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン等の芳香族ジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを液晶性を損なわない程度の量でさらに共重合せしめることができる。
【0046】
本発明で製造する液晶ポリエステルはペンタフルオロフェノール中で対数粘度を測定することが可能なものもあり、その際には0.1g/dlの濃度で60℃で測定した値で0.3dl/g以上が好ましく、0.5〜3.0dl/gが特に好ましい。
【0047】
また、本発明における液晶ポリエステルの溶融粘度は10〜20,000ポイズが好ましく、特に20〜10,000ポイズがより好ましい。
【0048】
なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で(株)島津製作所フローテスターCFT−500によって測定した値である。
【0049】
ここで、融点(Tm)とは示差走査熱量計において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
【0050】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳述する。
【0051】
実施例1
内容積1.5m、缶の内径1.2m、缶内壁面と撹拌機との距離が2cmのスラリー混合槽に無水酢酸200kgを仕込んだあと缶内を30回転/分で5分間撹拌後、80回転/分まで上げ、p−ヒドロキシ安息香酸(平均粒子径0.3mm以下)220kg、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(平均粒子径0.3mm以下)27.8kg及びテレフタル酸(平均粒子径0.3mm以下)24.8kgを仕込んだ。その後スラリー槽内の温度を25℃〜35℃に保ち30分間撹拌を続けた後全量を下記形状の反応缶1に仕込み、更にスラリー混合槽内に無水酢酸11.8kgをスプレー状に仕込んでスラリー槽内を洗浄して洗浄液を反応缶1に仕込んだ。このときのスラリー槽撹拌翼と缶壁面での剪断速度は255(1/秒)であった。内容積1.6m、缶の内径1.2m、缶内壁面と撹拌機との距離が1cmの反応缶1と内容積0.8m、缶の内径1.1m缶内壁面と撹拌翼との距離が2cmの反応缶2の2缶を使い、次のように重合した。
【0052】
スラリーを仕込んだ後反応缶1の撹拌を30回転/分で行いながらペレット状のポリエチレンテレフタレート47.8kgを仕込み、昇温を開始し、同時に60回転/分まで上げ、0.75時間で缶内温度が140℃に到達後、140℃で1時間反応後反応缶1温度を140℃から250℃まで3.5時間かけて昇温し缶内温度を250℃とした。その後反応缶2に移行して、撹拌数を30回転/分で撹拌しながら3時間かけて250℃から320℃にし、重合缶を1Torrまで減圧し、320℃で0.5時間撹拌を続け重縮合反応を完了した。その後反応缶2内を1kg/cmに加圧後口金を経由してポリマをストランド状に吐出してペレットにした。このポリマーの理論構造式を下記する。
【0053】
【化12】
Figure 0003572887
k/l/m/n=80/7.5/12.5/20
上記の方法で、上記組成のポリマーを繰り返しバッチ重合したところ、重合終了後の吐出ポリマー中に混入して異物となる現象は40バッチ目まで発生せず、長期間繰り返し重合が可能となった。
【0054】
比較例1
スラリー混合槽を使用しないで実施例1と同じ原料、同じ量を直接反応缶1に仕込み、同じ条件で繰り返しバッチ重合したところ20バッチ目で350℃でも溶融しない組成物となって、重合終了後の吐出ポリマー中に混入して異物となる現象が現れたため繰り返し重合を中断して缶内を洗浄した。
【0055】
比較例2
比較例1と同様にスラリー槽を使用しないで直接反応缶1に原料を仕込み、反応缶1の撹拌速度を20回転/分とした以外は実施例1と同じ条件で繰り返しバッチ重合したところ10バッチ目で、350℃でも溶融しない組成物となって、重合終了後の吐出ポリマー中に混入して異物となる現象が現れたため繰り返し重合を中断して缶内を洗浄した。
【0056】
なお、20回転/分の反応缶1の撹拌による撹拌翼と缶壁面での剪断速度は127(1/秒)であった。
【0057】
以上のように本発明の実施例は比較例に比べて連続バッチ性の高い事がわかる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば液晶ポリエステルの生産性が向上し、耐熱性に優れた高品質のポリマーが得られる。

Claims (7)

  1. 粉末状の液晶ポリエステル原料を含む液晶ポリエステル原料と無水酢酸とを重合装置の原料投入口から投入し、アシル化反応および脱酢酸重合により加熱重縮合して液晶ポリエステルを製造する際、攪拌機を備えたスラリー調整槽に、無水酢酸を仕込んだ後、粉末状の液晶ポリエステル原料を仕込み、スラリー状態に調整した後、原料投入口に投入することを特徴とする液晶ポリエステルの製造方法。
  2. スラリー調整槽から原料投入口にスラリーを投入した後、無水酢酸にてスラリー調整槽内を洗浄して、洗浄液を重合装置に仕込むことを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステルの製造方法
  3. 粉末状の液晶ポリエステル原料が芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸から選ばれた一種以上である請求項1〜のいずれか記載の液晶ポリエステルの製造方法。
  4. 液晶ポリエステル原料がエチレンジオキシ単位と芳香族ジカルボニル単位を重縮合して得られるポリエステルを含むことを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の液晶ポリエステルの製造方法。
  5. 粉末状の液晶ポリエステル原料と無水酢酸を20℃〜120℃の範囲で撹拌しながらスラリー化してスラリー状態に調整することを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の液晶ポリエステルの製造方法。
  6. ラリー調整槽での撹拌条件が撹拌翼と槽壁面での剪断速度が150〜1000(1/秒)になるようにおこなわれることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の液晶ポリエステルの製造方法。
  7. 液晶ポリエステルが下記(I)、(II)、(III )、(IV)の構造単位からなる液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の液晶ポリエステルの製造方法。
    Figure 0003572887
    (但し式中のR1は
    Figure 0003572887
    から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
    Figure 0003572887
    から選ばれた1種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)
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