JP4408614B2 - グリコール酸系重合体の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療材料用、汎用樹脂の代替用の生分解性ポリマー等として有用な高分子量グリコール酸系重合体を重縮合により製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自然環境保護の観点から、プラスチック廃棄物問題が取りあげられるようになり、自然環境中で分解するポリマー及びその成形体が求められるようになっている。ポリグリコール酸及びその共重合体は、耐熱性、機械強度及び生分解性の点においてバランスに優れる上に、ガスバリアー性が極めて高いという特性を有する。このため、近年、容器、フィルム等の包装材料用途向けの生分解性高分子材料として注目を受け、成形体として十分な機械強度を有する高分子量ポリグリコール酸及びその共重合体の製造法の開発が進められている。
【0003】
例えば、高分子量グリコール酸系重合体を製造する方法として、グリコール酸及び/又はその誘導体を一度脱水縮合した後に、加熱分解してグリコール酸環状2量体エステルを生成させ、これを触媒の存在下で、乳酸環状2量体エステル等と共に開環重合する方法が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、この方法は、高分子量体が得られる、という利点はあるものの、環状2量体エステル類を製造する工程、及び環状2量体エステルを精製する工程に多大な費用と労力がかかることから、到底、経済的な製造法とはいえなかった。
【0004】
高分子量グリコール酸系重合体を製造する方法として、グリコール酸及び/又はその誘導体を含む原料を、直接、重縮合させる方法も知られている。
重縮合法としては、例えば、(a)樹脂の融点以上で重縮合反応を行う、いわゆる溶融重合法、(b)有機溶媒存在下で重縮合反応を行う、いわゆる溶液重合法、更には、(c)樹脂の融点以下で固体状態を維持したまま重縮合反応を行う、いわゆる固相重合法等がある。
【0005】
しかしながら、これらの重合方法の内、溶融重合法によって高分子量グリコール酸系重合体を製造する方法は、重合度の上昇に伴って重合系粘度が上昇し、反応副生水等の低分子量成分の系外への留出が困難となるため、重合度を上げにくくなるという本質的な問題を有していた。更に、溶液重合法は、容積効率が悪い上に、有機溶媒の脱水乾燥、分離又は回収、及び精製等の装置が必要となること、更に、樹脂中への溶媒残留等の問題点を有していた。
【0006】
これに対し、固相重合法は、容積効率が高い等の利点を有する優れた方法であり、既にいくつかの技術が開示されている。
例えば、特許文献2には、グリコール酸酸アルキルエステルの少なくとも一部を加水分解して得られるグリコール酸を重縮合してプレポリマーを生成させ、プレポリマーが固体状態を維持する温度で固相重合する方法が提案されている。特許文献3には、グリコール酸酸アルキルエステルを重縮合してプレポリマーを生成させ、プレポリマーが固体状態を維持する温度で固相重合する方法が提案されている。
【0007】
これらの特許文献の実施例には、分子量既知のポリメタクリル酸メチル(PMMA)を標準物質とし、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による重量平均分子量が48,000〜62,000までの結晶化プレポリマーを製造した後、これを固相重合することにより、同様の測定法による重量平均分子量が451,000までのポリグリコール酸が得られたことが示されている。
【0008】
一般的に、ポリアミド等の分子量をヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とし、GPC法により測定する場合、ヘキサフルオロイソプロパノールにはトリフルオロ酢酸ナトリウム等の塩を溶解して測定する。
この点に鑑み、本発明者らは、グリコール酸単位を概ね80モル%以上含有するグリコール酸系重合体の分子量を、この重合体が可溶なHFIPを溶媒とし、更に、分子量既知のPMMAを標準物質として測定する際には、HFIPに溶解させるトリフルオロ酢酸ナトリウムの有無、又はHFIP溶媒に溶解させたトリフルオロ酢酸ナトリウムの濃度によって、得られる分子量測定値が大きく変動すること、具体的には、トリフルオロ酢酸ナトリウムを含有しない溶離液、又はこおn化合物の含有量が少ない溶離液を用いて測定する場合には、その数値には再現性がなく、分子量の測定値が著しく大きい値となることを見出した。
【0009】
更に、本発明者らが、前記特許文献2及び特許文献3の実施例にしたがって、それぞれポリグリコール酸の製造を繰り返し試みた結果、トリフルオロ酢酸ナトリウムを含有しないHFIPを溶媒とするGPCでの重量平均分子量を、繰り返し測定して得られた値は、プレポリマーにおいては7,000〜70,000であり、固相重合後のポリグリコール酸については200,000〜500,000であった。しかし、80mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させたHFIPを溶媒とするGPCでの重量平均分子量測定値は、結晶化プレポリマーの重量平均分子量は10,000以下、固相重合して得られたポリグリコール酸については、得られる分子量が大きくばらつく上に、いずれも55,000以下という、著しく低い値であった。また、得られたポリグリコール酸を成形して得られた成形体は、汎用樹脂の代替が可能であるような強度を有するものではなかった。
【0010】
特許文献4及び特許文献5には、ヒドロキシカルボン酸ユニット50%以上を含む、重量平均分子量が2,000以上100,000以下の結晶化した脂肪族ポリエステルプレポリマーを、触媒存在下で固相重合して、重量平均分子量50,000以上1,000,000以下の脂肪族ポリエステルを製造する方法が提案されている。
特許文献6には、ヒドロキシカルボン酸ユニット50%以上を含む、重量平均分子量が2,000以上100,000以下の結晶化した脂肪族ポリエステルプレポリマーを、触媒存在下で固相重合して、重量平均分子量50,000以上1,000,000以下の脂肪族ポリエステルを製造する際に、固相重合温度を途中変化させる方法が提案されている。
特許文献7には、特定条件下において特定量の吸熱及び発熱ピークを有するまで加熱結晶化させたポリヒドロキシカルボン酸を、引き続いて固相重合温度まで昇温し、吸熱ピークの開始温度以下で固相重縮合反応するポリヒドロキシカルボン酸の製造方法が提案されている。
【0011】
しかしながら、前記の特許文献には、ポリ乳酸系重合体に関する実施例は数多くあるが、グリコール酸単位を多く含むグリコール酸系重合体に関する実施例の記載が全くない。本発明者らが、グリコール酸単位を80モル%以上含有するグリコール酸系重合体を製造する方法について、前記特許文献の実施例を繰り返し試みたところ、80mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させたHFIPを溶媒とするGPC分析法において重量平均分子量が45,000〜70,000程度のバラツキを有するグリコール酸系重合体が得られるものの、溶融成形した場合において汎用樹脂の代替が可能となるような十分な強度を有する、具体的には同条件における重量平均分子量の測定値が80,000以上の高分子量のグリコール酸系重合体を安定的に製造することができなかった。
このような事情に鑑み、汎用樹脂の代替が可能となるような高分子量のグリコール酸系重合体を工業的に効率よく製造可能な技術の登場が強く求められている。
【0012】
【特許文献1】
特開昭63-17929号公報
【特許文献2】
特開平11−130847号公報
【特許文献3】
特開平11−116666号公報
【特許文献4】
特開2000−302852号公報
【特許文献5】
特開2001−122954号公報
【特許文献6】
特開2001−192444号公報
【特許文献7】
特開2001−64375号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、汎用樹脂の代替が可能となるような高分子量のグリコール酸系重合体を、有害な有機溶媒を用いることなく、安定生産性に優れた簡便な方法により、効率よく、高い重合速度で製造する方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、有機溶媒非存在下において重縮合反応して得られたグリコール酸単位を80モル%以上含むグリコール酸系プレポリマーを結晶化処理し、次いで、固相重合してグリコール酸系重合体を製造するに際し、固相重合に供する結晶化処理したグリコール酸系プレポリマーの特定条件で測定した重量平均分子量が、引き続いて実施する同一条件での固相重合反応挙動に大きく影響し、固相重合によって得られるグリコール酸系重合体の分子量が大きく異なることを見出した。更に検討を重ねた結果、特定条件で測定した特定の重量平均分子量を有する結晶化させたグリコール酸系重合体を固相重合に供することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1) 有機溶媒非存在下において重縮合反応して得られた、グリコール酸単位を75モル%以上含有する結晶化処理されたグリコール酸系プレポリマーを、固体状態を維持する温度で固相重合してグリコール酸系重合体を製造するのに際して、結晶化処理後のグリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が、80mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを含有するヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液として用い、単分散ポリメタクリル酸メチルを標準物質として測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した場合に、25,000以上100,000以下であることを特徴とするグリコール酸系重合体の製造法。
(2) 固相重合を、結晶化プレポリマーの最も低温側の融解ピーク温度以上、最も高温側の融解ピーク温度以下の範囲の温度で行うことを特徴とする(1)に記載のグリコール酸系重合体の製造法。
(3) 結晶化処理が、示差走査型熱量計(DSC)を用いて得られた発熱量の絶対値(以下、△Hc、と略記する)と吸熱量の絶対値(以下、△Hm、と略記する)との差である[△Hm−△Hc]の値が、10J/g以上のグリコール酸系プレポリマーを得る処理である(1)又は(2)に記載のグリコール酸系重合体の製造法。
【0017】
(4) グリコール酸系プレポリマーが、グリコール酸及び/又はその誘導体を含む原料を用いて、下記の[工程(A)、(B)及び(C)]を含む工程により得られたものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載のグリコール酸系重合体の製造法。
(A)原料を20℃以上160℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせることによって、重量平均分子量700以上5,000以下のグリコール酸系重合体を製造する工程[工程(A)]。
(B)[工程(A)]に引き続き、反応温度を100分以内に190℃まで昇温する工程[工程(B)]。
(C)[工程(B)]に引き続き、190℃以上300℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせて、重量平均分子量10,000以上のグリコール酸系重合体を製造する際に、グリコール酸系重合体の重量平均分子量が10,000に達するまでの重量平均分子量の増加量が、1時間あたり1,000以上となる条件下で重縮合反応を行わせる工程[工程(C)]。
(上記重量平均分子量は、請求項1記載の方法による測定値である)
【0018】
本発明におけるグリコール酸系プレポリマーに含まれるグリコール酸単位の含有率は75モル%以上であり、好ましくは75モル%以上99モル%以下、より好ましくは80モル%以上95モル%以下、最も好ましくは82モル%以上94モル%以下の範囲である。グリコール酸単位の含有率が75モル%未満の場合には、樹脂の結晶性が著しく低下するため、固相重合が極めて困難になる。一方、グリコール酸単位の含有率が99モル%を越える場合には、得られる重合体の熱安定性が低下して、溶融成形加工時における熱分解、着色、分子量低下を起しやすくなる場合がある。
【0019】
本発明におけるプレポリマーとは、さらなる重縮合が可能である重縮合物のことを意味する。
本発明において、結晶化されたグリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量は、好ましくは25,000以上、引き続いて実施される固相重合の反応速度を考慮した場合、より好ましくは30,000以上、最も好ましくは35,000以上である。結晶化されたグリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が25,000未満の場合には、固相重合後に得られるグリコール酸系重合体の重量平均分子量が低く、容器、フィルム等の成形品に必要な機械的強度が不十分となる。更に、得られるグリコール酸系重合体の重量平均分子量がばらついて、生産の安定性に問題が生じる。
【0020】
結晶化されたグリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量の上限には限定はないが、グリコール酸系重合体を製造するための溶融状態における重縮合時間が増加し、グリコール酸系重合体が著しく着色する場合があるため、150,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、80,000以下が更に好ましく、60,000以下が最も好ましい。
本発明において、グリコール酸系プレポリマー及びグリコール酸系重合体の重量平均分子量(Mw)は、80mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解したヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とする、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析法により算出される値のことをいう。具体的には、分子量既知の単分散ポリメタクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルモノマーを標準物質とし、RI検出による溶出時間から求めた検量線を予め作成し、グリコール酸系重合体の溶出時間から重量平均分子量(Mw)を算出することによって得られる値である。
【0021】
本発明における結晶化処理とは、示差走査型熱量計(DSC)を用いて−20℃から10℃の昇温速度で250℃まで測定を行い、検出された吸熱ピーク面積及び発熱ピーク面積を個別に求め、測定に供した試料重量から単位重量当たりの熱量(J/g)に換算して得られた発熱量の絶対値(以下、△Hc、と略記する)と吸熱量の絶対値(以下、△Hm、と略記する)との差である[△Hm−△Hc]の値が、10J/g以上のグリコール酸系プレポリマーを得る処理のことをいう。[△Hm−△Hc]の値が10J/g未満の場合には、引き続いて実施される固相重合が、グリコール酸系プレポリマーの融着や凝集により困難となる。結晶化グリコール酸系プレポリマーの[△Hm−△Hc]としては、20J/g以上が好ましく、30J/g以上がより好ましい。
【0022】
前記の結晶化処理を行って得られたグリコール酸系プレポリマーを、以下、本明細書では、結晶化グリコール酸系プレポリマー、という。
グリコール酸系プレポリマーを結晶化処理する方法には制限はなく、公知の方法が利用できる。例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、低級飽和炭化水素等の不活性ガス、空気等のガスから選ばれる1種又は2種以上からなるガスの雰囲気下、ガスの流通下、減圧下、加圧下、又はこれらの組み合わせにおいて行うことができる。これらの内、前記不活性ガス雰囲気下、流通下、減圧下、加圧下、又はこれらの組み合わせにおいて行うことが好ましい。
【0023】
結晶化の様式として、静置状態で行う方法、機械的撹拌を加えつつ行う方法(例えば、撹拌翼を用いる方法)、竪型、横型若しくは斜め型の槽、又は塔自体を回転、若しくは振動させることにより固体混合をさせつつ行う方法、竪型若しくは斜め型の槽若しくは塔の上部より下部へ、又は下部より上部へ移相しながら行う方法、気体により流動させつつ行う方法等が挙げられる。
結晶化させる温度において固体状のグリコール酸系重合体が溶解しない液体、例えば、水、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エーテル、エステル等と、静置、あるいは撹拌及び/又は流動状態で接触させる方法等が用いられる。これらの方法の内、液体を用いて結晶化処理した場合には、引き続いて、公知の方法により、結晶化グリコール酸系プレポリマーと液体とを分離することができる。更に、液体と分離した後、公知の方法により乾燥させることもできる。
【0024】
これらの方法の内、結晶化処理する際のグリコール酸系プレポリマーの微粉化の影響等を考慮すると、前記不活性ガス雰囲気下、流通下、減圧下、加圧下、又はこれらの組み合わせにおいて、静置状態で行う方法、竪型、横型若しくは斜め型の槽、又は塔自体を回転若しくは振動させることにより固体混合をさせつつ行う方法、竪型若しくは斜め型の槽若しくは塔の、上部より下部へ、又は下部より上部へ移相しながら行う方法、気体により流動させつつ行う方法、及び水等の液体と接触させる方法が好ましく用いられる。
【0025】
結晶化処理する際の温度は、グリコール酸系プレポリマーの分子量、共重合組成、共重合化合物の種類、溶媒を使用する場合には使用する溶媒の種類等により異なるが、溶媒を用いる場合には、通常、1℃以上、かつ、グリコール酸系プレポリマーの融点以下、溶媒を用いない場合には、グリコール酸系プレポリマーのガラス転移温度以上、かつ、グリコール酸系プレポリマーの融点以下である。溶媒を用いる場合において、熱処理温度が1℃未満である場合、又は溶媒を用いない場合に熱処理温度がグリコール酸系プレポリマーのガラス転移温度未満の場合には、結晶化する速度が遅くなり、結晶化処理に要する時間が長くなる。グリコール酸系プレポリマーの融点を越える場合には、結晶化しない。
グリコール酸系プレポリマーを、高い結晶化速度で効率よく結晶化させる上で、数式(1)で示される範囲の温度で結晶化させることが好ましい。
【0026】
【数3】
Figure 0004408614
(ただし、Gは、小数点以下1桁を四捨五入して得られる整数値で表されるグリコール酸系プレポリマー中のグリコール酸単位の含有率(モル%)、Tは、結晶化処理する際の温度を表し、小数点以下1桁を四捨五入して整数値で表される値である)
【0027】
本発明におけるグリコール酸系プレポリマーのガラス転移温度とは、示差走査型熱量計(DSC)を用いて、−20℃から10℃の昇温速度で250℃まで測定を行って得られた中間点ガラス転移温度のことをいう。
結晶化処理する温度は、前記の範囲内の温度であれば、一定であっても、途中で変化させてもよい。結晶化処理前のグリコール酸系プレポリマーの温度が、結晶化処理温度に対して低い場合には、前記結晶化処理温度までの昇温を行うこともできる。
グリコール酸系重合体の結晶化処理に要する時間は、結晶化処理の温度や手法によっても異なり、グリコール酸系プレポリマーの[△Hm−△Hc]の値として、10J/g以上のグリコール酸系プレポリマーを得ることができれば制限はないが、結晶化速度とグリコール酸系プレポリマーの熱安定性を考慮すると、1分以上30時間以下が好ましく、2分以上10時間以下がより好ましく、5分以上6時間以下が最も好ましい。
【0028】
結晶化処理は、連続式及びバッチ式のいずれの方法でもよい。
本発明において、結晶化グリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が25,000以上であれば、結晶化処理中に重量平均分子量が変化してもよい。
結晶化処理後に引き続いて実施される固相重合反応は、回分式、連続式又はこれらの組み合わせで行うことができる。
固相重合反応は、不活性ガス流通下、減圧下、加圧下又はこれらの組み合わせで行うことができる。この際、重合により生成する水を除去することが必要であるため、不活性ガス流通下及び/又は減圧下で行うことが好ましい。固相重合を不活性ガス流通下で行う場合、不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、低級飽和炭化水素等から選ばれる少なくとも1種のガスが挙げられる。流通させる不活性ガスは、含水量ができるだけ低く、実質的に無水状態の乾燥ガスが好ましい。この場合、ガスをモレキュラーシーブ等やイオン交換樹脂等を充填した層に流通させる、又はガスを低温に冷却することにより、脱水して使用することができる。使用したガスは、必要に応じて再度、公知の方法で脱水処理し、再度使用することもできる。流通ガスの含水量を露点で示すと、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−40℃以下である。
【0029】
流通ガスの流量は、結晶化グリコール酸系プレポリマーの形状、粒径、結晶性、反応温度等を考慮し、充分に重量平均分子量が高いグリコール酸系重合体を得ることができる程度に、生成した水を留去することができればよい。一般的に、流通するガスの流量が多いほど、生成した水を除去する効率が高いが、通常、結晶化グリコール酸系プレポリマー1g当たり、常圧換算で0.002ml/分以上3000ml/分以下、好ましくは、0.05ml/分以上2500ml/分以下、より好ましくは、0.1ml/分以上2000ml/分以下、最も好ましくは、0.5ml/分以上1700ml/分以下である。
【0030】
固相重合反応を減圧下で行う場合、反応系内の減圧度は、実質的に固相重合反応の進行を維持して、充分に高い重量平均分子量を有するグリコール酸系重合体が得られればよい。重合速度及び到達重量平均分子量の観点から、好ましい減圧度は13.3Pa以上1.33×103Paの範囲である。加圧下で固相重合反応を行う場合、反応系内の圧力は、実質的に固相重合反応の進行を維持して、充分に高い重量平均分子量を有するグリコール酸系重合体が得られる範囲内であればよい。
【0031】
固相重合を行う際の反応温度は、反応系に存在する結晶化グリコール酸系プレポリマーが実質的に固体状態を維持する範囲、具体的には、結晶化プレポリマーの融点以下であれば制限されないが、反応温度が結晶化プレポリマーの最も低温側の融解ピーク温度以上、最も高温側の融解ピーク温度以下の範囲である場合には、重合速度が高まるため、好ましい。この際、固相重合を行う際の反応温度は、前記温度の範囲内であれば反応中一定である必要はなく、昇温することも、降温することも可能である。
【0032】
結晶化グリコール酸系プレポリマーの融点は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて、−20℃から10℃の昇温速度で250℃まで昇温した際に得られるDSC曲線の吸熱ピークのピークトップ温度である。この際、融解ピークが複数存在する場合には、一つのベースラインで表される融解ピークの内、最も高温側にあるピークのピークトップ温度を融点(以下、最も高温側の融解ピーク温度、と略記する場合がある)、最も低温側にある融解ピークのピークトップ温度を、最も低温側の融解ピーク温度とする。
【0033】
固相重合反応中、分子量の増加やアニール効果によりグリコール酸系重合体の融点が上昇する場合、その時点におけるグリコール酸系重合体の融点の範囲まで反応温度を上げて固相重合反応を実施することも可能である。
本発明において、用いられる固相重合の反応装置には限定はなく、公知の乾燥器、例えば、化学工学便覧第5版第5刷、p673〜691(平成7年11月15日発行、丸善株式会社発行)に記載の並行流バンド、トンネル乾燥器、通気バンド乾燥器、噴出流乾燥器、通気竪型(移動層)乾燥器、円筒及び溝型撹拌乾燥器、ねっか乾燥器、円盤乾燥器、回転乾燥器、通気回転乾燥器、流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器、噴霧乾燥器、気流乾燥器、多円筒乾燥器、又はホッパー型の乾燥器等挙げられる。
【0034】
本発明により得られる固相重合後のグリコール酸系重合体としては、重量平均分子量が80,000上1,000,000以下、グリコール酸単位の含有率が75モル%以上のものを得ることが可能である。
本発明のグリコール酸プレポリマーは、グリコール酸及び/又はその誘導体を含む原料を用いて重縮合反応によって製造される。原料としては、グリコール酸及び/又はその誘導体の他に、本発明を逸脱しない範囲内で、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物を用いることができる。
【0035】
原料中のグリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物の量は、重縮合反応後に得られるグリコール酸系プレポリマーが、グリコール酸単位を75モル%以上含有するように適宜決定される。好ましい組成は、グリコール酸及び/又はその誘導体を、グリコール酸単位の含有率として75モル%以上と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物をそれぞれの単量体単位として25モル%以下とを含む範囲である。
【0036】
原料としては、グリコール酸系重合体が、ポリグリコール酸である場合には、[1]グリコール酸及び/又はその誘導体を原料とする場合、[2]グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸及び/又はその誘導体から製造されるプレポリマーを原料とする場合、及び[3]グリコール酸及び/又はその誘導体から製造されるプレポリマーを原料とする場合が挙げられる。グリコール酸系重合体がグリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物からなる場合には、[4]グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物を原料とする場合、すなわち、単量体どうしを原料とする場合の他に、[5]これらの一種又は二種以上の組み合わせから製造されるプレポリマーどうしを原料とする場合、および[6]前記プレポリマーと前記単量体化合物とを原料とする場合、の組み合わせが例示できる。
【0037】
原料として用いられるグリコール酸の誘導体としては、グリコール酸と炭素数1以上10以下のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等とのエステルや、グリコール酸の環状2量体エステルであるグリコリド等が挙げられる。
グリコール酸及び/又はその誘導体を単独、又は二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
高分子量グリコール酸系重合体を製造するために、主原料として用いられるグリコール酸及び/又はその誘導体中には、重縮合反応を停止させるような不純物となる低分子化合物の含有量をできるだけ低減しておくことが望ましい。例えば、グリコール酸アルキルエステルとしてグリコール酸メチルを使用する場合には、メトキシ酢酸メチル、ギ酸メチル等が、グリコール酸を使用する場合には、メトキシ酢酸、ギ酸等の化合物が例示される。これら不純物単位の合計量は、通常、原料中に含有されるグリコール酸単位に対して、0.5モル%以下、好ましくは、0.1モル%以下、より好ましくは、0.07モル以下の範囲である。
【0039】
グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物としては、例えば、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸、ポリオール、ポリカルボン酸及び/又はその誘導体、アミノ酸、多価アミン、ラクタム等を用いることができる。
グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、2−ヒドロキシブタノイックアシッド、2 −ヒドロキシペンタノイックアシッド、2−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシヘプタノイッ クアシッド、2−ヒドロキシオクタノイックアシッド、 2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイックアシッド、 2−ヒドロキシ−2−メチルブタノイックアシッド、2 −ヒドロキシ−2−エチルブタノイックアシッド、2− ヒドロキシ−2−メチルペンタノイックアシッド、2− ヒドロキシ−2−エチルペンタノイックアシッド、2− ヒドロキシ−2−プロピルペンタノイックアシッド、2 −ヒドロキシ−2−ブチルペンタノイックアシッド、2 −ヒドロキシ−2−メチルヘキサノイックアシッド、2 −ヒドロキシ−2−エチルヘキサノイックアシッド、2 −ヒドロキシ−2−プロピルヘキサノイックアシッド、 2−ヒドロキシ−2−ブチルヘキサノイックアシッド、 2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−エチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−プロピルヘプタニックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ブチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−メチルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−エチルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−プロピルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ブチルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘプチルオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシプロパノイックアシッド、3−ヒドロキシブタノイックアシッド、3−ヒドロキシペンタノイックアシッド、3−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、3−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルブタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルペンタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチルペンタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチルヘキサノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−プロピルヘキサノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチルヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−プロピルヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−ブチルヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチルオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−プロピルオクタノイックアシッド、3− ヒドロキシ−3−ブチルオクタノイックアシッド、3− ヒドロキシ−3−ペンチルオクタノイックアシッド、4 −ヒドロキシブタノイックアシッド、4−ヒドロキシペンタノイックアシッド、4−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、4 −ヒドロキシオクタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルペンタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキシ −4−エチルヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−エチルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−プロピルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルオクタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−エチルオクタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−プロピルオクタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−ブチルオクタノイックアシッド、5−ヒドロキシペンタノイックアシッド、5−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、5−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、5−ヒドロキシオクタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−メチルヘキサノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−メチルヘプタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−エチルヘプタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−メチルオクタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−エチルオクタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−プロピルオクタノイックアシッド、6−ヒ ドロキシヘキサノイックアシッド、6−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、6−ヒドロキシオクタノイックアシッド、6−ヒドロキシ−6−メチルヘプタノイックアシッド、6−ヒドロキシ−6−メチルオクタノイックアシッド、6−ヒドロキシ−6−エチルオクタノイックアシッド、7−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、7−ヒドロキシオクタノイックアシッド、7−ヒドロキシ− 7−メチルオクタノイックアシッド、8−ヒドロキシオクタノイックアシッド、12−ヒドロキシステアリックアシッド、16−ヒドロキシヘキサデカノイックアシッド等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸、グリセリン酸、ジグリセリン酸等の多価ヒドロキシカルボン酸類等を挙げることができる。その他、ヘテロ原子を含むヒドロキシカルボン酸、例えば、2−ヒドロキシエトキシ酢酸、2−ヒドロキシプロポキシ酢酸等が挙げられる。更には、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類を挙げることができる。これらは単独、又は二種以上混合して用いられる。
【0040】
グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸誘導体としては、上記のヒドロキシカルボン酸と炭素数1以上10以下のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等とのエステル等や、乳酸の環状2量体エステルであるラクチド等が挙げられる。これらは単独、又は二種以上を混合して用いられる。
好ましく用いられるヒドロキシカルボン酸及びその誘導体は、乳酸、3−ヒドロキシブチリックアシッド、4−ヒドロキシブチリックアシッド、3−ヒドロキシバレリックアシッド、6−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、12−ヒドロキシステアリックアシッド、16−ヒドロキシヘキサデカノイックアシッド、グリセリン酸又はこれらの誘導体、これらの混合物等が挙げられる。原料入手の容易性から乳酸がより好ましく用いられる。
【0041】
ポリオールとしては、水酸基を2個以上含む化合物が挙げられ、炭素数2〜20のポリオールが好ましい。ポリオールとして、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、ビスフェノールA等の芳香族ポリオール、ヘテロ原子を含むジオール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等が、更に、グリセリン、ブタン−1,2,3−トリオール等のトリオール、澱粉、グルコース、セルロース、ヘミセルロース、キシラン、キシロース、キシリトール、ペンタエリスリトール、キチン、キトサン、デキストリン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、アミロペクチン、グリコーゲン等の多糖類が挙げられる。これらは単独、又は二種以上を混合して用いられる。これらのポリオール類の内、前記の脂肪族ジオール類、トリオール類、多糖類等が好ましい。
【0042】
ポリカルボン酸としては、カルボキシル基を2個以上含む化合物が挙げられ、炭素数が2〜20のポリカルボン酸が好ましい。ポリカルボン酸として、例えば、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、ジグリコール酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、プロパントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のトリカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸等のテトラカルボン酸等が挙げられる。これらは単独、又は二種以上を混合して用いられる。
【0043】
ポリカルボン酸誘導体としては、対応するポリカルボン酸と、炭素数1以上10以下のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等とのエステル、或いは、対応するポリカルボン酸無水物等の誘導体等が挙げられる。
これらのポリカルボン酸の内、前記の脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体、トリカルボン酸及び/又はその誘導体が好ましい。
アミノ酸としては、炭素数2〜20のアミノ酸が好ましい。アミノ酸として、例えば、グリシン、(+)−アラニン、β−アラニン、(−)−アスパラギン、(+)−アスパラギン酸、(−)−システイン、(+)−グルタミンサン、(+)−グルタミン、(-)−ヒドロキシリシン、(−)−ロイシン、(+)−イソロイシン、(+)−リシン、(−)−メチオニン、(−)−セリン、(−)−トレオニン、(+)−バリン、アミノ酪酸、アザセリン、アルギニン、エチオニン等が挙げられる。
【0044】
多価アミンとしては、炭素数0〜20の多価アミンが好ましい。アミンとして、例えば、ヒドラジン、メチルヒドラジン、モノメチレンジアミン、ジメチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等が挙げられる。
【0045】
ラクタムとしては、炭素数2〜20のラクタムが好ましい。ラクタムとして、例えば、グリシン無水物、プロパンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン、ε−カプロラクタム、α−メチル−カプロラクタム、β−メチル−カプロラクタム、γ−メチル−カプロラクタム、δ−メチル−カプロラクタム、ε−メチル−カプロラクタム、N−メチル−カプロラクタム、β,γ−ジメチル−カプロラクタム、γ−エチル−カプロラクタム、γ−イソプロピル−カプロラクタム、ε−イソプロピル−カプロラクタム、γ−ブチル-カプロラクタム、γ−ヘキサシクロベンジル−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−カプリルラクタム、カプリロラクタム、ラウロラクタム、カプロラクトンの2量体等が挙げられる。
【0046】
前記の化合物の内、不斉炭素原子を有し、D体、L体、及びD/L混合体が存在し得るものを用いることができる。
グリコール酸及び/又はその誘導体、並びにグリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物の形態については限定はなく、水溶液状、結晶状、液状、溶液状等の性状のものを用いることができる。
本発明におけるグリコール酸系プレポリマーを製造する際の反応条件は、有機溶媒非存在下で重縮合すること以外は目的とする分子量、グリコール酸系重合体の組成、共重合させる場合には共重合させる化合物の種類等によっても異なるため、限定されない。反応は、回分式、連続式又はこれらの組み合わせで行うことが可能である。
【0047】
重縮合反応は、原料の種類、組成、使用する重縮合器の形式等によっても異なるが、通常、反応温度が0℃以上350℃以下の範囲、好ましくは20℃以上2260℃以下の範囲が例示できる。反応温度が0℃未満の場合には、反応速度が極めて遅くなる場合やグリコール酸等の原料が析出する場合があり、350℃を越える場合にはポリマーの熱分解による着色が増加しやすくなる。
重縮合反応は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、低級飽和炭化水素等から選ばれる1種又は2種以上からなる不活性ガス雰囲気下、不活性ガス流通下、及び/又は、減圧下で行うことができる。減圧状態で反応を実施する場合、グリコール酸系重合体の組成、共重合させる化合物の種類、反応温度、触媒の有無、触媒の種類等によっても異なるが、通常、1.3Pa以上1.014×105Pa以下の範囲である。この際、反応温度及び/又は操作圧力を多段階に調節しながら実施することが好ましい。
【0048】
反応温度を変化させる場合は、一定速度である必要はない。徐々に昇温しても、前記温度範囲内で昇温を停止して一定温度を保った後に、又は降温した後に、再度昇温してグリコール酸系プレポリマーを融解した後、再度重縮合反応を実施することも可能である。
昇温及び/又は降温の方式は限定されない。例えば、重縮合反応を同一の反応器で実施する場合には、反応器内部において昇温及び/又は降温する方法、反応器から反応液を一度抜き出し、熱交換器等を経由させた後に、再度反応器に戻す機構を備えた装置を用いて反応器本体及び/又は熱交換器で昇温させる方法等を用いることができる。一方、重縮合反応を2種以上の反応器を用いて実施する場合には、移送配管中及び/又は各反応器で、昇温及び/又は降温させる等の方法を用いることができる。前記の方法を適当に組み合わせで行ってもよい。
【0049】
反応時間は、原料の種類、グリコール酸系重合体の組成、分子量、使用する重縮合器の形式、反応条件等によっても異なり、限定されるものではないが、通常、0.01秒以上100時間以下である。
本発明の重縮合の反応に用いる反応器には制限はなく、例えば、邪魔板付き又は邪魔板を設けていない撹拌槽型反応器、表面更新型撹拌槽反応器、薄膜型反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重縮合させる多孔板型反応器、支持体に沿わせて溶融ポリマーを落下させて重縮合を進行させる重縮合器、例えば、ワイヤー式多孔板型反応器等を用いることができる。これらの反応器は、一種又は二種以上を組み合わせて使用することが可能である。
【0050】
反応器として撹拌槽型反応器を用いる場合には、必要に応じて、邪魔板を設置した反応槽を用い、撹拌翼として公知のものを用いることが可能である。邪魔板の形状、設置方法等には限定はないが、例えば、化学装置9月号、p13(1981年)に記載の邪魔板の形状及び設置方法等を用いることができる。
撹拌翼の具体例としては、化学工学便覧第5版第5刷、p887〜919(平成7年11月15日発行、丸善株式会社発行)に記載のプロペラ翼、角度付き平羽根、平羽根、ピッチ付き平羽根、平羽根ディスクタービン翼、湾曲羽根、ファウドラー型翼、ブルマージン型翼、マックスブレンド翼、ヘリカルスクリュウ翼、ヘリカルリボン翼、アンカー翼、スクリュウアンカー翼、パドル翼、らせん翼等の他、化学装置9月号、p11〜17(1981年)に記載のダブルリボン翼、神鋼パンテック(株)社製商品名ログボーンが挙げられる。
【0051】
表面更新型撹拌槽反応器の具体例としては、三菱重工(株)製アドバンス リボン リアクタ(AR)(商標)、同社製バーチカル コーン リアクタ(VCR)(商標)、神鋼パンテック(株)社製ログボーン(LOGBORN)(商標)、(株)日立製作所製ねじり格子翼重合機(商標)、住友重機械(株)社製スーパーブレンド(同芯二軸型撹拌槽)(商標)、ニッセン(株)製ビスター(高粘度撹拌機)(商標)等が挙げられる。
表面更新型二軸混練反応器の具体例としては、三菱重工(株)社製横型二軸高粘度反応機(HVR)(商標)、同社製セルフクリーニング式リアクタ(SCR)(商標)、同社製新型セルフクリーニング式リアクタ(N−SCR)(商標)、(株)日立製作所製日立めがね翼式高粘度液処理機(商標)、同社製 格子翼重合機(商標)、住友重機械(株)製BIVOLAK(横型二軸反応装置)(商標)、栗本鉄工所(株)製KRCニーダ(商標)等が挙げられる。
【0052】
これらの組み合わせの内、本発明の重縮合反応においては、竪型撹拌槽及び/又は表面更新型撹拌槽反応器を組み合わせて重縮合する方法が好ましい。本発明の[工程(C)]の後に、引き続いて溶融重縮合反応を実施する場合には、槽型撹拌槽、表面更新型撹拌槽反応器、表面更新型二軸混練反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重縮合させる多孔板型反応器、支持体に沿わせて溶融ポリマーを落下させて重縮合を進行させる重縮合器を一種又は二種以上を組み合わせて用いる方法が好ましい。
重縮合に際して、溶融状態にあるグリコール酸系プレポリマーに不活性ガスを吸収させた後、減圧下で重縮合させることもできる。不活性ガスの具体例としては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、二酸化炭素、低級炭化水素等が挙げられる。これらのガスは、一種又は二種以上の混合ガスとして用いることができる。これらの内、好ましいガスは窒素である。
【0053】
本発明において、グリコール酸単位の含有率が75モル%以上のグリコール酸系プレポリマーが、本発明におけるグリコール酸系プレポリマー及びグリコール酸系重合体の重量平均分子量(Mw)の測定法と同様の方法で求めた場合に700未満である原料を用いて、下記の[工程(A)、(B)及び(C)]を含む工程により製造されたものである場合には、引き続いて実施される固相重合において、高分子量域における重合速度の低下が抑制されて、短時間で高分子量体が得られるため、好ましい。
【0054】
(A)原料を20℃以上160℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせることによって、重量平均分子量700以上5,000以下、より好ましくは、1,000以上4,000以下、更に好ましくは1,200以上3,000以下のグリコール酸系プレポリマーを製造する工程[工程(A)]。
(B)[工程(A)]に引き続き、反応温度を100分以内、より好ましくは80分以内、更に好ましくは60分以内に190℃まで昇温する工程[工程(B)]。
(C)[工程(B)]に引き続き、190℃以上260℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは240℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせて、重量平均分子量10,000以上のグリコール酸系プレポリマーを製造する際に、グリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が10,000に達するまでの重量平均分子量の増加量が、1時間あたり1,000以上、より好ましくは2,000以上、更に好ましくは3,000以上となる条件下で重縮合反応を行わせる工程[工程(C)]。
【0055】
本発明の[工程(C)]における、グリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が10,000に達するまでの1時間当たりの重量平均分子量の増加量(以下、M、と略記する場合がある)とは、反応温度が190℃となった時点を時間の基準とし、反応温度が190℃となった時点での重量平均分子量をMw1、重量平均分子量が10,000までに要した時間をT1(時間)とすると、数式(2)で示される値のことをいう。
【0056】
【数4】
Figure 0004408614
(ただし、Mは、小数点以下1桁を四捨五入して整数値で表される値である)。
重縮合に際して、触媒を加えずに実施することができるが、重縮合速度を高める為に、触媒を用いることができる。
【0057】
触媒としては、元素周期律表IA、IIA、IIIA、IV、VA、VIII、IVB、VB族の金属、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルコキサイド、金属スルホン酸塩等が挙げられる。例えば、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、亜鉛、ゲルマニウム、錫、アンチモン等の金属、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等の金属酸化物、弗化錫、弗化アンチモン、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第一錫、塩化第二錫、臭化第一錫、臭化第二錫、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸錫、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、等の金属塩、炭酸亜鉛、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化鉄、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水酸化銅、水酸化亜鉛等の金属水酸化物等、酢酸マグネシウム、酢酸アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸錫、オクタン酸錫、ステアリン酸錫、乳酸鉄、乳酸錫等の金属カルボン酸塩、マグネシウム、ランタノイド、チタン、ハフニウム、鉄、ゲルマニウム、錫、アンチモン等の金属のアルコキサイド、ジブチルスズオキサイド等の有機金属、メタンスルホン酸錫、トリフルオロメタンスルホン酸錫、p-トルエンスルホン酸錫等の有機スルホン酸塩、アンバーライト、ダウエックス等のイオン交換樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの触媒を一種、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
これらの触媒種は、例えば、原料モノマー又は水を含む原料モノマー溶液に直接添加したり、プレポリマーを得た後に添加して使用されるが、この他にも、必要に応じて、水及び/又はヒドロキシカルボン酸存在下で加水分解した後に、原料モノマーや、プレポリマーに対して添加して使用してもよい。
触媒の使用量は、好ましくは、原料として使用されたモノマー1g当たり、金属原子として1×10-10モル以上1×10-2モル以下の範囲である。原料モノマー1g当たりに使用する触媒量が、金属原子として1×10-10モル未満の場合には、重縮合速度を高める効果が充分に発揮されず、1×10-2モルを越える場合には、樹脂の着色等の副反応が著しく増大する傾向がある。
【0059】
重縮合中の熱劣化による着色を抑えるために、着色防止剤を添加して重縮合反応を行ってもよい。着色防止剤は、そのままで、又は適当な液体に溶解又は混合して反応系に添加することができる。着色防止剤の添加時期の制限はなく、原料モノマーの濃縮又は縮合過程から、実質的に重縮合反応が完結するまでの間であれば、いずれの時期に反応系に添加してもよい。添加は一括でも分割でもよい。
重縮合に使用される熱安定化剤としては、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、ポリリン酸モノエチルエステル、ポリリン酸ジエチルエステル、ピロリン酸、ピロリン酸トリエチル、ピロリン酸ヘキサメチルアミド、亜リン酸、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、トリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジtert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジtert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(モノ及びジノニルフェニル)ホスファイト等のリン酸系化合物等が好ましく用いられる。
【0060】
これらの熱安定化剤は、単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。熱安定化剤の添加率は、原料のモノマーに対して、好ましくは0.0005質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上6質量%以下の範囲である。熱安定化剤の添加率が10質量%を越えて添加しても着色を防止する効果が増加せず、添加率が0.0005質量%未満では着色を防止する効果が充分に現れない。これらの熱安定化剤の添加時期の制限はなく、原料水溶液に直接添加するか、重縮合反応の実施途中で添加するか、更には、重合反応終了後に添加することが可能である。
【0061】
溶融重縮合反応によって得られたグリコール酸系プレポリマーは、造粒することができる。グリコール酸系プレポリマーを造粒する方法には制限はないが、例えば、溶融状態のグリコール酸系重合体を、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス又は低級飽和炭化水素等の不活性ガス中で冷却固化させることにより粒状、タブレット状、塊状物又はストランドとし、これを、必要に応じて、粉砕又は裁断して粒子状、ペレット状等にする方法、水等の液体と接触させることにより、冷却固化させて粒子状、ペレット状等にする方法、水等の液体と接触させることにより塊状物とし、この塊状物を粉砕して粒子状にする方法、溶融状態のグリコール酸系重合体を押出機に移して、公知の方法により、ペレット状とする方法等が挙げられる。
【0062】
一般的に、樹脂は分子量の増加に伴って融点が上昇し、ある分子量以上でほぼ一定の融点を有するようになる。
本発明において冷却固化させるとは、グリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が少なくとも20,000以上となった後に、(3.7×G−145)℃以下の範囲に冷却することをいう(ただし、Gは、小数点以下1桁を四捨五入して得られる整数値で表されるグリコール酸系プレポリマー中のグリコール酸単位の含有率(モル%)である)。
【0063】
溶融状態のグリコール酸系重合体を水等の液体と接触させる方法は、何ら限定されるものではなく、例えば、溶融状態のグリコール酸系重合体を水に滴下して固化させることにより、球状物が得られる。
造粒されたグリコール酸系プレポリマーの粒子形状やペレット形状には制限はないが、一般的な形状は、粉末状、粉砕状、チップ状、球状、円柱状、タブレット状、マーブル状等である。
【0064】
グリコール酸系プレポリマーの粒子径は制限されない。一般的には、固体状のポリマーの粒子径は小さいほど表面積が増大するため、重合反応面では有利であるが、取り扱い性が低下するため、通常、10μm以上20mm以下、好ましくは、0.1mm以上10mm以下である。
造粒を、水等の液体と接触させることにより行う場合には、引き続いて、グリコール酸系プレポリマーと液体とを分離することができる。更に、液体と分離した後、乾燥させることもできる。
【0065】
造粒は、結晶化処理の前後又は同時に行うことが可能である。
本発明のグリコール酸系重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、核剤、可塑剤、他の脂肪族ポリエステル及びその前駆体等を添加することができる。
【0066】
本発明で得られるグリコール酸系重合体は、必要に応じ、重縮合反応後に無水酢酸等の酸無水物、エポキシ化合物等と反応させて、末端変成を行うことも可能である。
本発明に用いられる重縮合器の材質には制限はなく、通常、ガラス、ステンレススチール、カーボンスチール、ニッケル、ハステロイ、チタン、クロム、ジルコニウム、その他合金や耐熱性の高いポリマー材料等から耐食性等を考慮して選択される。重縮合器の表面は、メッキ、ライニング、不動態処理、酸洗浄、アルカリ洗浄等、必要に応じて種々の処理がされていてもよい。
【0067】
本発明のグリコール酸系重合体には、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、核剤、可塑剤等を添加することができる。
本発明によって得られるグリコール酸系重合体は、溶融させて成形体又は成形容器、フィルム又はシート、発砲体、繊維等に加工することができる。必要に応じて、成形後に、熱処理等を施すこともできる。
【0068】
成形体又は成形容器としては、例えば、飲料、化粧品、洗剤のボトル、使い捨てのカップ、トレー等の容器、保冷箱や各種カートリッジのケーシング、農業用の植木鉢や育成床、掘り出し不要のパイプや仮止め材料、ブロック等の建材・土木材料、ボールペン・シャープペン・鉛筆等文具、ゴルフ用ティー等の部材等が挙げられる。フィルム又はシートとしては、例えば、農業用マルチフィルム、ショッピングバッグ、包装用フィルム、ラップフィルム、種々のテープ、肥料袋等が挙げられる。発砲体としては、例えば、食品トレー、緩衝剤、断熱材等が挙げられる。繊維としては、例えば、釣り糸、漁網、不織布、縫合糸等が挙げられる。特殊な例としては、肥料に配合して、遅効性の肥料等、各種配合剤としても使用することができる。
得られた成形体は、必要に応じて、帯電防止剤、防曇性等を向上させる目的でコーティングやコロナ処理等の各種表面処理等を施してもよい。シール適性、防湿性、ガスバリアー性、印刷適性等を向上させる目的で、ラミネート加工、コーティング加工、アルミニウム等の真空蒸着等を施すことも可能である。
【0069】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
本発明で用いるグリコール酸系重合体の特性は、以下に示す方法により測定する。
【0070】
(1)グリコール酸系重合体を構成するグリコール酸単位の含有率
80℃、1×102Paで6時間乾燥したグリコール酸系重合体30mgに対して1mlの割合で重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒に溶解した、グリコール酸系重合体の重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール溶液に、基準物質としてテトラメチルシランを極く少量添加したものを測定試料とする。この測定試料を用いて、400MHz(日本分光社製α―400)の1H−NMRの測定を積算回数500回にて行い、得られた結果を解析してモノマー単位の構成量を算出する。
得られたグリコール酸含有率(モル%)の小数点以下1桁を四捨五入して得られる整数値を数式(1)のGに代入する値として用いる。
【0071】
【数5】
Figure 0004408614
【0072】
(2)グリコール酸系プレポリマー及び重合体の重量平均分子量の測定法
東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置8020GPCシステムを用い、以下の条件により求める。
使用する溶媒として、予め、80mMのトリフルオロ酢酸ナトリウム(和光純薬社製試薬)を溶解したヘキサフルオロイソプロパノールを調整しておく。すなわち、ヘキサフルオロイソプロパノール1000gに対して、トリフルオロ酢酸ナトリウム6.48gを溶解した溶液(以下、溶離液、と略記する)を調整する。
評価用グリコール酸系重合体の試料溶液として、試料20mgを精秤した後、前記溶離液3gに溶解し、その後、0.2μmのフィルターにて濾過したものを用いる。
【0073】
カラム温度40℃にて、溶離液を流量1ml/分の条件下でカラム[カラム構成は、ガードカラムとして東ソー(株)社製TskguardcolumnHHR−H(登録商標)を用い、東ソー(株)製Tskgel(登録商標)G5000HHR、及び東ソー(株)製Tskgel(登録商標)G3000HHRの各1本ずつを直列に配置]を通し、分子量1,577,000、685,000、333,000、100,250、62,600、24,300、12,700、4,700、1,680、1140の、分子量既知のPolymer Laboratories社製単分散ポリメタクリル酸メチル標準物質、及びメタクリル酸メチルモノマー(分子量100)のRI検出による溶出時間から求めた検量線を予め作成し、その溶出時間から重量平均分子量を算出する。
【0074】
(3)結晶化グリコール酸系プレポリマーの融解ピーク温度
JIS K7121に準じて求める。
具体的には、パーキンエルマー(株)製DSC−7を用い、40℃、4×102Paの減圧下で3時間以上乾燥させた結晶化グリコール酸系プレポリマーを直ちにアルミパンに仕込み、−20℃から10℃/分の昇温速度で250℃まで昇温させて得られるDSC曲線より求める。この際、融解ピークが複数存在する場合には、一つのベースラインで表される融解ピークの内、最も低温側にある融解ピークのピークトップ温度を、最も低温側の融解ピーク温度、一方、最も高温側にあるピークのピークトップ温度を、最も高温側の融解ピーク温度とする。
【0075】
(4)結晶化グリコール酸系プレポリマーの転移熱量の測定方法と[△Hm−△Hc]の算出法
JIS K7122に準じて求める。
具体的には、パーキンエルマー(株)製DSC−7を用い、40℃、4×102Paの減圧下で3時間以上乾燥させた結晶化グリコール酸系プレポリマーを直ちにアルミパンに仕込み、−20℃から10℃の昇温速度で250℃まで昇温した際に検出される吸熱ピーク面積及び発熱ピーク面積を個別に求め、測定に供した試料重量から単位重量当たりの熱量(J/g)に換算して、発熱量(△Hc)と吸熱量(△Hm)を求める。
得られた結果を用いて、[△Hm−△Hc]の値を算出する。
【0076】
(5)グリコール酸系プレポリマーのガラス転移温度の測定方法
JIS K7122に準じて求める。
具体的には、パーキンエルマー(株)製DSC−7を用い、グリコール酸系プレポリマーをアルミパンに仕込み、−20℃から10℃の昇温速度で250℃まで昇温して得られるDSC曲線より求める。本発明のガラス転移温度とは、中間点ガラス転移温度のことをいう。
【0077】
(6)溶融成形シートの機械物性の評価
[溶融成形シートの作製]
ポリグリコール酸を除くグリコール酸系重合体を、130℃に設定した窒素循環恒温乾燥機中で含有水分量が200ppm以下になるまで、約2時間、乾燥する。次いで、240℃に設定した加熱プレス機で5分間加熱加圧し、25℃に設定した冷却プレスで冷却し、厚み200μmのシートを作製する。
ポリグリコール酸の場合には、245℃に設定した加熱プレス機で5分間加熱プレスした以外は上記と同様の方法で厚み200μmのシートを作製する。
【0078】
[溶融成形シートの強度]
前記の厚み約200μmのシートを、一辺100mmの正方形状に切り出し、温度23℃、関係湿度65%の条件で下記の試験を行う。
向かい合った辺を、幅100mm、挟み込むシートの奥行きが10mmとなるように金属製治具で挟み込み、治具を取り付けた向かい合う辺のシートの線対称中心線を基準として、治具どうしが90度の角度をなすまでシートを曲げる。この操作を前記シートの中心線を基準として同一方向に5回まで行う。シートの強度は、シートが破損した時の曲げ回数を数値として示す。5回までの試験によりシートが破損しなかった場合は5以上とする。
【0079】
シートの強度が3以下の場合には、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度が不十分であり、4以上の場合は、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有することを表す。
上記強度は、エーアンドエムスチレン(株)社製スタイロン(登録商標)グレード名666R(一般グレード)を230℃に設定した加熱プレス機で5分間加熱加圧し、25℃に設定した冷却プレスで冷却し、厚み200μmのシートを得、これを上記と同様の試験を行った際に、強度4であったことを参考としている値である。
【0080】
(7)溶融成形シートの土中崩壊性の評価
生分解性は、土壌中での崩壊性試験によって評価することができるため、以下の手順にしたがって評価を実施する。
前記(6)[溶融成形シートの製作]記載の方法で作成したシートを、縦30mm、横100mmの短冊状に切り出し、畑地の土壌中、深さ約10cmのところに埋設し、3ヶ月毎に掘り出してその形状を確認する。形状が崩れ始める時期を観察し、12ヶ月以内に崩壊を始めた場合を、土中崩壊性有りと評価する。
【0081】
【実施例1】
ガスクロマトグラフィーにて定量分析し、重合を停止させるような不純物となる低分子化合物含有量がガスクロマトグラフィーの検出限界以下の0.01重量%未満であるグリコール酸メチルを原料として用いて以下の反応を実施した。
(a)グリコール酸メチルの加水分解
グリコール酸メチル500gと水900gを、チタン製平羽根型撹拌翼を備えた2Lチタン製オートクレーブに仕込み、撹拌回転数を毎分50回転として120℃に加熱し、65〜85℃の循環水を通したコンデンサーによって、生成メタノールを除去した。7時間後、内容物を分析した結果、グリコール酸メチルの残存率は0.5モル%であった。
【0082】
(b)グリコール酸プレポリマーの製造
(b−1)製造工程1
引き続き、上記オートクレーブからコンデンサーを取り外し、窒素雰囲気下、撹拌回転数を毎分50回転として、反応温度110℃から150℃まで徐々に加熱して、脱水を行った。水の留出がほとんどなくなった時点で、塩化第二錫0.05g(モノマー1g当たり錫金属原子として3.8×10-7モル)を加え、反応温度を180℃に昇温した後、撹拌回転数を毎分200回転に変更し、減圧を行って、圧力5.0KPaで2時間重縮合反応を行った。引き続き、反応温度を200℃に昇温し、撹拌回転数を毎分200回転に変更した後に、圧力1.0×102Paで1時間、縮合水の除去を続けた。
室温に冷却後、387gの白色の結晶化したグリコール酸プレポリマーを取り出した。得られたグリコール酸プレポリマーは、重量平均分子量が8,000、[△Hm−△Hc]が115J/g、融点が204℃であった。
【0083】
(b−2)製造工程2
内径70mm、有効長さ250mmのパイレックス(登録商標)ガラス製円筒状チューブに、上記で得られたグリコール酸プレポリマー35gを仕込み、加熱用面ヒーターを有するガラスチューブオーブン(柴田科学(株)製GTO−350RG)にセットした。室温条件下、内部を窒素置換した後に、内部の円筒形チューブの回転を開始し、反応温度235℃、圧力2.6×10Paで2.5時間溶融重縮合を行った後、乾燥窒素で常圧として室温以下まで急冷して非晶状態のグリコール酸プレポリマーを得た。非晶状態のグリコール酸プレポリマーを少量採取し、分子量の測定を行った結果、重量平均分子量は33,000であった。グリコール酸プレポリマーのガラス転移温度は38℃であった。
【0084】
(c)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
プレポリマー中のグリコール酸単位の含有率は100モル%であり、式(1)に基づく、好ましい結晶化処理温度範囲は100℃以上205℃以下の範囲であった。
再度、パイレックス(登録商標)ガラス製円筒形チューブをガラスチューブオーブンにセットし、窒素置換した後に、パイレックス(登録商標)ガラス製円筒状チューブの回転を行いながら、常圧の乾燥窒素気流下にて130℃で30分間結晶化させ、次いで、冷却、固化して、結晶化した重量平均分子量33,000の結晶化グリコール酸プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸プレポリマーには、融点ピークが192℃と218℃に認められ、[△Hm−△Hc]が115J/gであった。以下、このグリコール酸プレポリマーを、結晶化グリコール酸プレポリマーA、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸プレポリマーAを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸プレポリマーA粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0085】
(d)固相重合
結晶化グリコール酸プレポリマーA粉砕物20gを茄子型フラスコに仕込み、反応圧力1.013×105Pa(常圧)にて、流量が100mL/分(25℃での測定値)、露点温度が−85℃以下の窒素ガスを反応温度に加熱して流通させつつ、反応温度200℃で1時間、210℃で1時間、220℃で18時間、225℃で10時間、固相重合を行なった。固相重合後のポリグリコール酸の融点は237℃であった。
上記の(b−2)から(d)の一連の操作を更に2回繰り返した。
【0086】
(e)ポリグリコール酸の分析値
得られたポリグリコール酸の重量平均分子量は、90,000、88,000、87,000であり、ほぼ安定的な重量平均分子量を有するものが得られた。得られたポリグリコール酸は単褐色であった。得られた固相重合後のポリグリコール酸には、融着はあまり見られなかった。
(f)溶融成形シートの評価
得られたポリグリコール酸を用いて作成した溶融成形シートの強度は4であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有していた。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0087】
【比較例1】
ガスクロマトグラフィーにて定量分析し、重合を停止させるような不純物となる低分子化合物含有量がガスクロマトグラフィーの検出限界以下の0.01重量%未満であるグリコール酸メチルを原料として用いて以下の反応を実施した。
(a)グリコール酸メチルの加水分解
実施例1と同様にして、グリコール酸メチルの加水分解反応を行った。
(b)プレポリマーの製造と結晶化処理
引き続き、実施例1(b−1)と同様の操作を行い、白色の結晶化したグリコール酸プレポリマーを取り出した。得られたグリコール酸プレポリマーは、重量平均分子量が9,000、[△Hm−△Hc]が115J/g、融解ピークは204℃にピークトップを有する単一ピークであった。
以下、この結晶化グリコール酸プレポリマーを、結晶化グリコール酸プレポリマーB、と略記する。
結晶化グリコール酸プレポリマーBを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸プレポリマーB粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0088】
(c)固相重合
結晶化グリコール酸プレポリマーB粉砕物20gを茄子型フラスコに仕込み、露点温度−85℃の窒素ガスを100mL/分で流しながら、200℃で1時間、210℃で1時間、220℃で18時間、225℃で10時間、固相重合を行なった。次いで、少量サンプリングし、引き続き225℃で10時間固相重合を継続した後、再度、少量サンプリングし、引き続き225℃で5時間固相重合を継続した。固相重合後のポリグリコール酸の融点は237℃であった。
(d)ポリグリコール酸の分析値
得られた固相重合後のポリグリコール酸には、融着はあまり見られなかったが、その重量平均分子量は、固相重合時間の短いサンプリング側から46,000、50,000、50,000であり、いずれも低いものであった。
結晶化グリコール酸プレポリマーB粉砕物を用いて(c)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合後のポリグリコール酸の重量平均分子量は、それぞれ55,000、37,000であり、分子量には大きなバラツキがみられた。得られたポリグリコール酸は、いずれも褐色であった。
【0089】
(e)溶融成形シートの評価
固相重合反応終了後(合計反応時間45時間)に得られた重量平均分子量55,000のポリグリコール酸を用いて作成した溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。この溶融成形シートの強度は2であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有していなかった。
(f)参考
得られた結晶化グリコール酸プレポリマーB及び個別に3回固相重合して得られたそれぞれのポリグリコール酸の重量平均分子量を、トリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させなかったヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とした以外は本発明実施の形態と同様の方法により3回測定したところ、結晶化グリコール酸プレポリマーの重量平均分子量は25,000〜54,000、ポリグリコール酸の重量平均分子量は410,000〜500,000であった。
【0090】
【比較例2】
ガスクロマトグラフィーにて定量分析し、重合を停止させるような不純物となる低分子化合物含有量がガスクロマトグラフィーの検出限界以下の0.01重量%未満であるグリコール酸メチルを原料として用いて以下の反応を実施した。
(a)グリコール酸プレポリマーの製造と結晶化処理
グリコール酸メチル500gと塩化第二錫0.1gを、チタン製平羽根型撹拌翼を備えた1Lチタン製オートクレーブに仕込んだ(モノマー1g当たり錫金属原子として7.7×10-7モル)。撹拌回転数を毎分50回転として、反応温度を130℃から150℃まで徐々に昇温しながら重縮合反応を実施し、メタノールを除去した。3時間反応後、反応温度を180℃に昇温した後、撹拌回転数を毎分400回転に変更し、次いで、減圧を行って、圧力5KPaで2時間重縮合反応を続けた。室温に冷却後、260gの白色の結晶化グリコール酸プレポリマーを取り出した。得られた結晶化グリコール酸プレポリマーは、重量平均分子量が7,000、[△Hm−△Hc]が116J/g、融解ピークは205℃にピークトップを有する単一ピークであった。
以下、この結晶化グリコール酸プレポリマーを、結晶化グリコール酸プレポリマーC、と略記する。
結晶化グリコール酸プレポリマーCを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸プレポリマーC粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0091】
(b)固相重合
結晶化グリコール酸プレポリマーC粉砕物20gを茄子型フラスコに仕込み、1.0×102Paの減圧条件下、200℃で2時間、215℃で38時間、固相重合を行なった後、乾燥窒素で常圧として少量サンプリングし、引き続き1.0×102Paの減圧条件下、215℃で10時間固相重合を継続した後、再度、 燥窒素で常圧として少量サンプリングし、引き続き1.0×102Paの減圧条件下、215℃で5時間固相重合を継続した。固相重合後のポリグリコール酸の融点は228℃であった。
【0092】
(c)ポリグリコール酸の分析値
得られた固相重合後のポリグリコール酸には、融着はあまり見られなかったが、その重量平均分子量は、固相重合時間の短いサンプリング側から32,000、35,000、35,000であり、いずれも低いものであった。
結晶化グリコール酸プレポリマーC粉砕物を用いて(b)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合後のポリグリコール酸の重量平均分子量は、それぞれ42,000、28,000であり、分子量には大きなバラツキがみられた。得られたポリグリコール酸は、いずれも褐色であった。
(d)溶融成形シートの評価
固相重合反応終了後(合計反応時間55時間)に得られた重量平均分子量42,000ポリグリコール酸を用いて作成した溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。この溶融成形シートの強度は1であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有していなかった。
【0093】
(e)参考
得られた結晶化グリコール酸プレポリマーC及び個別に3回固相重合して得られたそれぞれのポリグリコール酸の重量平均分子量を、トリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させなかったヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とした以外は本発明実施の形態と同様の方法により3回測定したところ、結晶化グリコール酸プレポリマーの重量平均分子量は40,000〜70,000、ポリグリコール酸の重量平均分子量は200,000〜382,000であった。
【0094】
【実施例2】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
(a−1)製造工程1
留出管及び平羽根型撹拌翼を備えた内容積350mlの邪魔板付きパイレックス(登録商標)ガラス製セパラブルフラスコに、原料として、メトキシ酢酸、ギ酸及びジグリコール酸の合計含有量が、グリコール酸に対して0.01モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を296g、90質量%L−乳酸水溶液を60g、及び原料水溶液に対して0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10-6モル)を仕込んだ後に、窒素置換を行った。原料の仕込み組成は、グリコール酸単位82モル%、乳酸単位18モル%、メトキシ酢酸単位、ギ酸単位及びジグリコール酸単位の合計含有量は、定量分析の下限値(0.005モル%)以下であった。
【0095】
引き続いて、セパラブルフラスコを温度150℃のオイルバスに浸積し、撹拌回転数を毎分200回転として窒素気流下にて1.5時間保持して脱水を行った。次いで、オイルバス温度を150℃のままで、5.0×104Paで1時間、2.5×104Paで0.5時間、1.0×104Paで50分、5.0×103Paで50分、2.0×103Paで50分重縮合反応を実施した。この間、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×104Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した[工程(A)]。本工程終了後の、グリコール酸系プレポリマーの分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は、1,900であった。
【0096】
引き続いて、撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで130分かけて徐々に昇温した。反応温度が190℃におけるグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、2,600であった。
引き続き、反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更し、減圧度4.0×102Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として2.5時間反応を継続し、重量平均分子量14,300のグリコール酸系プレポリマーを得た。
【0097】
反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸系重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は95分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は、4,674であった。
得られた溶融状態のグリコール酸系プレポリマーを冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸系プレポリマーの重縮合反応を行った。
【0098】
(a−2)製造工程2
反応温度を200℃とし、反応時間を3.2時間としたこと以外は実施例1(b−2)記載の方法と同様に操作を実施した。得られた非晶状態のグリコール酸プレポリマーを少量採取し、分析を行った結果、重量平均分子量が40,000、ガラス転移温度が42℃、グリコール酸単位の含有率は82モル%であった。
これより、式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は100℃以上143℃以下の範囲である。
【0099】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
再度、パイレックス(登録商標)ガラス製円筒形チューブをガラスチューブオーブンにセットし、窒素置換した後に、パイレックス(登録商標)ガラス製円筒状チューブの回転を行いながら、常圧の乾燥窒素気流下にて、150℃で10時間、続いて、155℃で5時間、引き続いて、160℃で3時間、更に引き続いて、165℃で2時間結晶化させ、次いで、冷却、固化して、結晶化した重量平均分子量40,000のグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、単一の融点ピークが180℃に認められ、[△Hm−△Hc]が49J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーD、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーDを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーD粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0100】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
内径40mm、有効長さ50mmのSUS316製円筒状竪型反応器に、粉砕した結晶化グリコール酸系プレポリマーD粉砕物25gを充填し、反応圧力1.013×105Pa(常圧)にて、流量が30NL/分(25℃での測定値)、露点温度が−85℃以下の窒素ガスを170℃に加熱して流通させながら、10時間毎に少量サンプリングしつつ、合計30時間反応させた。
【0101】
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、62,000、82,000、90,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には、融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーD粉砕物を用いて(c)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ91,000、89,000であり、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0102】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量91,000のグリコール酸系重合体を用いて作成した溶融成形シートの強度は4であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0103】
【実施例3】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
実施例2(a−1)により得られたプレポリマーを用い、実施例2(a−2)における反応時間を3.5時間としたこと以外は実施例2(a−2)記載の方法と同様に操作を実施した。
得られた非晶状態のグリコール酸プレポリマーを少量採取し、分析を行った結果、重量平均分子量が43,000、ガラス転移温度が42℃、グリコール酸単位の含有率は82モル%であった。
これより、式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は100℃以上143℃以下の範囲である。
【0104】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
結晶化処理の温度と時間を150℃で20時間とした以外は実施例2(b)と同様にして結晶化させ、次いで、冷却、固化して、結晶化した重量平均分子量43,000のグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが163℃、179℃に認められ、[△Hm−△Hc]が49J/gであった。
以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーE、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーEを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーE粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0105】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーE粉砕物を用い、反応温度を166℃で10時間、引き続き昇温して、170℃で20時間とした以外は実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、97,000、149,000、178,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には、融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーE粉砕物を用いて(c)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ177,000、176,000で、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0106】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量178,000のグリコール酸系重合体を用いて作成した溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0107】
【実施例4】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
(a−1)製造工程1
実施例2(a−1)と同様の反応装置に、原料として、メトキシ酢酸、ギ酸及びジグリコール酸の合計含有量が、グリコール酸に対して0.01モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を296g、90質量%L−乳酸水溶液を60g、及び原料水溶液に対して0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10-6モル)を仕込んだ(原料の仕込み組成は、グリコール酸単位82モル%、乳酸単位18モル%、メトキシ酢酸単位、ギ酸単位及びジグリコール酸単位の合計含有量は、定量分析の下限値(0.005モル%)以下であった)後、実施例2(a−1)の[工程(A)]と同様の操作を行った。[工程(A)]終了後の重量平均分子量は、1,900であった。
引き続き、撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで50分かけて徐々に昇温した[工程(B)]。反応温度が190℃におけるグリコール酸系プレポリマーの分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は、2,200であった。
【0108】
引き続き、反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更し、減圧度4.0×102Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として2.5時間反応を継続し、重量平均分子量13,900のグリコール酸系プレポリマーを得た[工程(C)]。この際、反応液の温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は100分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,680であった。
引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸系重合体の重合を行った。
【0109】
(a−2)製造工程2
実施例3(a―2)と同様の操作を行い、重量平均分子量が43,000、ガラス転移温度が42℃、グリコール酸単位を82モル%含有する非晶状態のグリコール酸プレポリマーを得た。式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は、100℃以上143℃以下の範囲である。
【0110】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
実施例2(b)と同様の方法で結晶化処理して、重量平均分子量43,000の結晶化したグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、単一の融点ピークが180℃に認められ、[△Hm−△Hc]が50J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーF、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーFを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーF粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0111】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーF粉砕物を用い、実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、78,000、120,000、150,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には、融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーF粉砕物を用いて(c)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ153,000、151,000であり、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0112】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量153,000のグリコール酸系重合体を用いて成形した溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0113】
【比較例3】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
実施例2(a−1)により得られたプレポリマーを用い、実施例2(a−2)において反応時間を1時間としたこと以外は実施例2(a)記載の方法と同様に操作を実施した。
得られた非晶状態のグリコール酸プレポリマーを少量採取し、分析を行った結果、重量平均分子量が20,000、ガラス転移温度が40℃、グリコール酸単位を82モル%含有する非晶状態のグリコール酸プレポリマーを得た。式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は、100℃以上143℃以下の範囲である。
【0114】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
実施例2(b)と同様の方法で結晶化処理して、重量平均分子量21,000の結晶化したグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、単一の融点ピークが180℃に認められ、[△Hm−△Hc]が49J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーG、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーGを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーG粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0115】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーG粉砕物を用い、10時間後と20時間後のサンプリングを行わずに30時間後に少量のサンプリングを行った後、引き続き同様の条件で10時間固相重合を継続した以外は実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の30時間後の重量平均分子量は58,000、40時間後の重量平均分子量は58,000であり、高分子量体は得られなかった。固相重合後のグリコール酸系重合体には融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーG粉砕物を用いて(c)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合40時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ43,000、50,000であり、大きくバラツキが見られた。得られたグリコール酸系重合体はいずれもほぼ白色であった。
【0116】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量58,000のグリコール酸系重合体を用いて作成した溶融成形シートは土中崩壊性を有していたが、この溶融成形シートの強度は2であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有していなかった。
【0117】
【比較例4】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
(a−1)製造工程1
原料として、メトキシ酢酸、ギ酸及びジグリコール酸の合計含有量がグリコール酸に対して0.01モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を250g、90質量%L−乳酸水溶液を99g、及び原料水溶液に対して0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.1×10-6モル)を仕込んだ(原料の仕込み組成は、グリコール酸単位70モル%、乳酸単位30モル%、メトキシ酢酸単位、ギ酸単位及びジグリコール酸単位の合計含有量は、定量分析の下限値(0.005モル%)以下であった)こと以外は実施例2(a−1)記載の[工程(A)、(B)及び(C)]と同様の操作を行った。
【0118】
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×104Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は1,800であった。
引き続いて、撹拌回転数及び減圧状態を保持たまま、反応温度190℃まで130分かけて徐々に昇温した。反応温度が190℃におけるグリコール酸系重合体の重量平均分子量は2,400であった。
【0119】
引き続き、反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更し、減圧度4.0×102Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として2.5時間反応を継続し、重量平均分子量13,500のグリコール酸系プレポリマーを得た。
反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸系重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は105分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,343であった。
得られた溶融状態のグリコール酸系プレポリマーを冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸系プレポリマーの重縮合反応を行った。
【0120】
(a−2)製造工程2
実施例3(a―2)と同様の操作を行い、重量平均分子量が42,000、ガラス転移温度が43℃、グリコール酸単位を70モル%含有する非晶状態のグリコール酸プレポリマーを得た。式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は100℃以上102℃以下の範囲である。
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
結晶化処理温度を101℃とし、結晶化処理を20時間、更に引き続いて20時間の合計40時間実施した、実施例2(b)と同様の方法で結晶化処理を試みたが、いずれの時間においても、結晶化処理後の[△Hm−△Hc]は0J/gであり、結晶化しなかった。これより、以下の検討は行わなかった。
【0121】
【実施例5】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
(a−1)製造工程1
実施例2と同様の反応装置に、メトキシ酢酸、ギ酸及びジグリコール酸の合計含有量が、グリコール酸に対して0.01モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、及び原料水溶液に対して0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10-6モル)を仕込んだ(原料の仕込み組成は、グリコール酸単位89モル%、乳酸単位11モル%、メトキシ酢酸、ギ酸及びジグリコール酸単位の合計含有量は、定量分析の下限値(0.005モル%)以下であった。)こと以外は実施例4(a−1)記載の[工程(A)]と同様の操作を行った。
【0122】
本工程[工程(A)]終了後の、グリコール酸系プレポリマーの分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は1,900であった。
撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで25分かけて徐々に昇温した[工程(B)]。反応温度が190℃におけるグリコール酸系プレポリマーの分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は、2,100であった。
【0123】
引き続き、反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更し、減圧度4.0×102Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として2.5時間反応を継続し、重量平均分子量13,800のグリコール酸系プレポリマーを得た[工程(C)]。この際、反応液の温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は100分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,740であった。
得られた溶融状態のグリコール酸系プレポリマーを冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸系プレポリマーの重縮合を行った。
【0124】
(a−2)製造工程2
反応時間を2時間としたこと以外は実施例2(a−2)と同様に操作を実施した。得られた非晶状態のグリコール酸プレポリマーを少量採取し、分析を行った結果、重量平均分子量が27,000、ガラス転移温度が40℃、グリコール酸単位の含有率は89モル%であった。 これより、式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は100℃以上167℃以下の範囲である。
【0125】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
結晶化処理の温度と時間を130℃で4時間結晶化させた以外は実施例2(b)と同様の方法で結晶化処理して、重量平均分子量28,000の結晶化したグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが146℃、167℃、185℃に認められ、[△Hm−△Hc]が60J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーH、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーHを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーH粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0126】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーH粉砕物を用い、実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、60,000、97,000、119,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には、融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーH粉砕物を用いて(c)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ119,000、116,000で、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0127】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量119,000のグリコール酸系重合体を用いて作成した溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0128】
【実施例6】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
(a−1)製造工程1
実施例5(a−1)と同様の操作を行い、重量平均分子量13,800のグリコール酸系プレポリマーを得た。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×104Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、1,900であった。
反応温度が190℃におけるグリコール酸系重合体の重量平均分子量は2,100であった。
【0129】
反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸系重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は100分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,740であった。
得られた溶融状態のグリコール酸系プレポリマーを冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸系プレポリマーの重縮合を行った。
【0130】
(a−2)製造工程2
反応時間を3.5時間としたこと以外は実施例2(a−2)と同様の操作を行い、重量平均分子量が43,000、ガラス転移温度が40℃、グリコール酸単位を89モル%含有する非晶状態のグリコール酸プレポリマーを得た。式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は100℃以上167℃以下の範囲である。
【0131】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
実施例5(b)と同様の方法で結晶化処理して、重量平均分子量43,000の結晶化したグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが142℃、164℃、182℃に認められ、[△Hm−△Hc]が61J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを結晶化グリコール酸系プレポリマーI、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーIを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーI粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0132】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーI粉砕物を用いた以外は実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、100,000、155,000、183,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーI粉砕物を用いて(c)の操作を個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ180,000、181,000で、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0133】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量183,000のグリコール酸系重合体を用いて成形した溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0134】
【実施例7】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
(a−1)製造工程1
実施例2と同様の反応装置に、メトキシ酢酸、ギ酸及びジグリコール酸の合計含有量が、グリコール酸に対して0.01モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、及び原料水溶液に対して0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10-6モル)を仕込んだ(原料の仕込み組成は、グリコール酸単位89モル%、乳酸単位11モル%、メトキシ酢酸、ギ酸及びジグリコール酸単位の合計含有量は、定量分析の下限値(0.005モル%)以下であった。)こと以外は実施例2(a−1)記載の[工程(A)、(B)及び(C)]と同様に反応を実施した。
【0135】
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×104Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。[工程(A)]終了後の、グリコール酸系プレポリマーの分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は1,900であった。
引き続き、撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで130分かけて徐々に昇温した。反応温度が190℃におけるグリコール酸系プレポリマーの分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は2,600であった。
【0136】
引き続き、反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更し、減圧度4.0×102Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として2.5時間反応を継続して、重量平均分子量14,300のグリコール酸系プレポリマーを得た。この際、反応液の温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は95分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,674であった。
得られた溶融状態のグリコール酸系プレポリマーを冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸系プレポリマーの重縮合反応を行った。
【0137】
(a−2)製造工程2
実施例6(a−2)と同様に反応を実施した後、乾燥窒素で常圧とし、急冷、固化して非晶状態のグリコール酸プレポリマーを得た。非晶状態のグリコール酸プレポリマーを少量採取し、分析を行った結果、重量平均分子量が44,000、ガラス転移温度が40℃、グリコール酸単位を89モル%含有する非晶状態のグリコール酸プレポリマーを得た。式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は、100℃以上167℃以下の範囲である。
【0138】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
実施例5(b)と同様の方法で結晶化処理して、重量平均分子量44,000の結晶化したグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが143℃、166℃、182℃に認められ、[△Hm−△Hc]が60J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーJ、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーJを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーJ粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0139】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーJ粉砕物を用いた以外は実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、90,000、130,000、140,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には、融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーJ粉砕物を用いて(c)の操作を個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ143,000、141,000であり、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。また、得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0140】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量143,000のグリコール酸系重合体を用いて成形した溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0141】
【実施例8】
(a)グリコール酸系プレポリマー
実施例4(a−1)、(a−2)により得られた、重量平均分子量が43,000、ガラス転移温度が42℃、グリコール酸単位の含有率は82モル%の非晶状態のグリコール酸プレポリマーを用いた。式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は100℃以上143℃以下の範囲である。
【0142】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
結晶化条件を、乾燥窒素雰囲気下ではなく、1×102Paで実施した以外は実施例7(b)と同様の方法で結晶化処理して、重量平均分子量43,000の結晶化したグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが145℃、162℃、177℃に認められ、[△Hm−△Hc]が50J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーK、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーKを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーK粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0143】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーK粉砕物を用い、反応温度を165℃で10時間、引き続き昇温して170℃で20時間とした以外は実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、96,000、152,000、179,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーK粉砕物を用いて(c)の操作を個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ177,000、176,000で、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0144】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量179,000のグリコール酸系重合体を用いて成形した溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0145】
【実施例9】
(a)グリコール酸系プレポリマー
実施例5(a−1)、(a−2)により得られた重量平均分子量が27,000、ガラス転移温度が40℃、グリコール酸単位の含有率は89モル%のグリコール酸系プレポリマーを用いて以下の検討を行った。
式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は、100℃以上167℃以下の範囲である。
【0146】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
結晶化処理温度を160℃とした以外は実施例5(b)と同様の結晶化処理を行い、重量平均分子量28,000のグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが174℃、188℃に認められ、[△Hm−△Hc]が60J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーL、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーLを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーL粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0147】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーL粉砕物を用いた以外は実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、55,000、85,000、100,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には、融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーL粉砕物を用いて(c)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ99,000、101,000で、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0148】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量101,000のグリコール酸系重合体を用いて成形した溶融成形シートの強度は4であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0149】
【実施例10】
(a)グリコール酸系プレポリマー
実施例6(a−1)、(a−2)により得られた重量平均分子量が43,000、ガラス転移温度が40℃、グリコール酸単位の含有率は89モル%のグリコール酸系プレポリマーを用いて以下の検討を行った。
式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は100℃以上167℃以下の範囲である。
【0150】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
結晶化処理の温度を170℃とした以外は実施例5(b)と同様の結晶化処理を行い、重量平均分子量44,000のグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られたグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが175℃、190℃に認められたが、[△Hm−△Hc]が5J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、グリコール酸系プレポリマーP−1、と略記する。
再度、(a)と同様のプレポリマーを新たに仕込み、結晶化処理の温度と時間を170℃で15時間とした以外は実施例5(b)と同様の結晶化処理を行い、重量平均分子量44,000のグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
【0151】
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが176℃、192℃に認められ、[△Hm−△Hc]が25J/gであった。これより、好ましい範囲の結晶化処理温度を超える温度では結晶化速度が低下し、効率が悪化することがわかる。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーM、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーMを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーM粉砕物を得た。
更に、得られたグリコール酸系プレポリマーP−1を冷却して粉砕して篩にかけ、粒径100〜300μmのグリコール酸系プレポリマーP−1粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0152】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーM粉砕物を用い、固相重合反応温度を180℃とした以外は実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
更に、グリコール酸系プレポリマーP−1粉砕物を用いた以外は結晶化グリコール酸系プレポリマーJ粉砕物を用いた場合と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
【0153】
(d)グリコール酸系重合体の分析値
結晶化グリコール酸系プレポリマーM粉砕物を用いて固相重合反応を実施して得られた、グリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、102,000、157,000、187,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には、融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーM粉砕物を用いて(c)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ184,000、185,000で、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
一方、グリコール酸系プレポリマーP−1粉砕物を用いて固相重合反応を実施した場合には、固相重合反応中のグリコール酸系重合体の融着が著しかった。
【0154】
(e)溶融成形シートの評価
結晶化グリコール酸系プレポリマーM粉砕物を用いて固相重合反応を実施して得られた、重量平均分子量187,000のグリコール酸系重合体を用いて成形した溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0155】
【実施例11】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
(a−1)製造工程1
実施例2と同様の反応装置に、同様の原料を仕込んだ後、セパラブルフラスコを温度150℃のオイルバスに浸積し、撹拌回転数を毎分100回転として窒素気流下にて1.5時間保持して脱水を行った。次いで、オイルバス温度を150℃のままで、5.0×104Paで1時間、2.5×104Paで0.5時間、1.0×104Paで50分、5.0×103Paで20分間、重縮合反応を実施した。この間、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×104Paとした時点から反応液の温度は146℃であり、ほぼ一定値を示した[工程(A)]。前記工程終了後の、グリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は900であった。
撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで25分かけて徐々に昇温した[工程(B)]。反応温度が190℃におけるグリコール酸系プレポリマーの分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は、1,100であった。
【0156】
引き続き、反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更し、減圧度4.0×102Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として2.5時間反応を継続し、重量平均分子量12,800のグリコール酸系プレポリマーを得た[工程(C)]。この際、反応液の温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は115分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,643であった。
得られた溶融状態のグリコール酸系プレポリマーを冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸系プレポリマーの重縮合を行った。
【0157】
(a−2)製造工程2
実施例6(a―2)と同様の操作を行い、重量平均分子量が42,000、ガラス転移温度が40℃、グリコール酸単位を89モル%含有する非晶状態のグリコール酸プレポリマーを得た。式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は、100℃以上167℃以下の範囲である。
【0158】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
実施例5(b)と同様の方法で結晶化処理して、重量平均分子量42,000の結晶化したグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが144℃、165℃、184℃に認められ、[△Hm−△Hc]が59J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーN、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーNを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーN粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0159】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーN粉砕物を用い、実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、93,000、140,000、158,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には、融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーN粉砕物を用いて(c)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ157,000、155,000で、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0160】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量158,000のグリコール酸系重合体を用いて成形した溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0161】
【実施例12】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
(a−1)製造工程1
[工程(B)]終了後、引き続き、反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分200回転に維持したまま、減圧度4.0×102Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として6時間反応を継続したこと以外は実施例5(a−1)と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い、重量平均分子量12,000のグリコール酸系重合体を得た。
【0162】
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×104Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量は1,900、反応温度が190℃におけるグリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量は2,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は290分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は1,634であった。
得られた溶融状態のグリコール酸系プレポリマーを冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸系プレポリマーの重縮合を行った。
【0163】
(a−2)製造工程2
実施例6(a−2)と同様に操作を実施した。得られた非晶状態のグリコール酸プレポリマーを少量採取し、分析を行った結果、重量平均分子量が41,000、ガラス転移温度が40℃、グリコール酸単位を89モル%含有する非晶状態のグリコール酸プレポリマーを得た。式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は、100℃以上167℃以下の範囲である。
【0164】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
実施例5(b)と同様の方法で結晶化処理して、重量平均分子量42,000の結晶化したグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが143℃、164℃、183℃に認められ、[△Hm−△Hc]が61J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーO、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーOを粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸系プレポリマーO粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0165】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーO粉砕物を用い、実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、93,000、141,000、160,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーO粉砕物を用いて(c)の操作を個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ159,000、158,000で、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0166】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量160,000のグリコール酸系重合体を用いて成形した溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0167】
【実施例13】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
(a−1)製造工程1
実施例2と同様の反応装置に、メトキシ酢酸、ギ酸、ジグリコール酸の合計含有量がグリコール酸に対して0.01モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を338g、3−ヒドロキシブチリックアシッドを30g、及び原料水溶液に対して0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10-6モル)を仕込んだ(原料の仕込み組成は、グリコール酸単位89モル%、3−ヒドロキシブチリックアシッド単位11モル%、メトキシ酢酸単位、ギ酸単位、ジグリコール酸単位の合計含有量は、定量分析の下限値(0.005モル%)以下である)以外は実施例5(a−1)と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量13,800のグリコール酸系プレポリマーを製造した。
【0168】
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×104Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量は1,900、反応温度が190℃におけるグリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量は2,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は100分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,740であった。
【0169】
(a−2)製造工程2
実施例6(a−2)と同様の操作を行い、重量平均分子量が43,000、ガラス転移温度が40℃、グリコール酸単位を89モル%含有する非晶状態のグリコール酸プレポリマーを得た。式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は、100℃以上167℃以下の範囲である。
【0170】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
結晶化処理温度を140℃とした以外は実施例5(b)と同様の方法で結晶化処理して、重量平均分子量43,000の結晶化したグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが152℃、169℃、184℃に認められ、[△Hm−△Hc]が58J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーP、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーPを粉砕し、篩にかけて、粒径1mm〜1.5mmの結晶化グリコール酸系プレポリマーP粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0171】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーP粉砕物を用い、実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、100,000、155,000、188,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には、融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーP粉砕物を用いて(c)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ190,000、187,000で、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0172】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量190,000のグリコール酸系重合体を用いて成形した溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであると共に、この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0173】
【実施例14】
(a)グリコール酸系プレポリマーの製造
(a−1)製造工程1
実施例2と同様の反応装置に、メトキシ酢酸、ギ酸、ジグリコール酸の合計含有量がグリコール酸に対して0.01モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を38g、ネオペンチルグリコール1.54g、アジピン酸2.16g、及び原料水溶液に対して0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10-6モル)を仕込んだ(原料の仕込み組成は、グリコール酸単位89.0モル%、乳酸単位10.2モル%、ネオペンチルグリコール単位0.4モル%、アジピン酸単位0.4モル%、メトキシ酢酸単位、ギ酸単位、ジグリコール酸単位の合計含有量は、定量分析の下限値(0.005モル%)以下であった)こと、以外は実施例5(a−1)と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量14,200のグリコール酸系プレポリマーを製造した。
【0174】
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×104Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量は1,900、反応温度が190℃におけるグリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量は2,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は100分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,740であった。
【0175】
(a−2)製造工程2
実施例6(a−2)と同様の操作を行い、重量平均分子量が44,000、ガラス転移温度が40℃、グリコール酸単位を89モル%含有する非晶状態のグリコール酸プレポリマーを得た。式(1)に基づく好ましい結晶化処理温度範囲は、100℃以上167℃以下の範囲である。
【0176】
(b)グリコール酸プレポリマーの結晶化処理
結晶化処理温度を120℃とした以外は実施例5(b)と同様の方法で結晶化処理して、重量平均分子量44,000の結晶化したグリコール酸系プレポリマーを取り出した。
得られた結晶化したグリコール酸系プレポリマーは、融点ピークが138℃、165℃、183℃に認められ、[△Hm−△Hc]が57J/gであった。以下、このグリコール酸系プレポリマーを、結晶化グリコール酸系プレポリマーQ、と略記する。
得られた結晶化グリコール酸系プレポリマーQを粉砕し、篩にかけて、粒径1mm〜1.5mmの結晶化グリコール酸系プレポリマーQ粉砕物を得た。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
【0177】
(c)結晶化グリコール酸系プレポリマーの固相重合
結晶化グリコール酸系プレポリマーQ粉砕物を用い、実施例2(c)と同様の操作を行って、固相重合反応を実施した。
(d)グリコール酸系重合体の分析値
得られたグリコール酸系重合体の10時間後、20時間後、30時間後の重量平均分子量はそれぞれ、100,000、155,000、190,000であり、固相重合後のグリコール酸系重合体には融着はあまり見られなかった。
結晶化グリコール酸プレポリマーQ粉砕物を用いて(c)の操作を、個別に2回、更に繰り返した。
個別に固相重合を実施して、最終的に得られた固相重合30時間後のグリコール酸系重合体の重量平均分子量は、それぞれ190,000、192,000で、ほぼ同一の分子量を有するグリコール酸系重合体が得られた。得られたグリコール酸系重合体は、いずれもほぼ白色であった。
【0178】
(e)溶融成形シートの評価
得られた重量平均分子量192,000のグリコール酸系重合体を用いて成形した溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであった。この溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
【0179】
【発明の効果】
本発明により、生分解性を有し、容器、フィルム等の包装材料用樹脂の代替が可能な強度を有する高分子量のグリコール酸系重合体を、安定生産性に、極めて簡便な方法により、効率よく、高い重合速度で製造することが可能となる。

Claims (4)

  1. 有機溶媒非存在下において重縮合反応して得られた、グリコール酸単位を75モル%以上含有する結晶化処理されたグリコール酸系プレポリマーを、固体状態を維持する温度で固相重合してグリコール酸系重合体を製造するに際して、結晶化処理後のグリコール酸系プレポリマーの重量平均分子量が、80mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを含有するヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液として用い、単分散ポリメタクリル酸メチルを標準物質として測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した場合に、25,000以上100,000以下であることを特徴とするグリコール酸系重合体の製造法。
  2. 固相重合を、結晶化プレポリマーの最も低温側の融解ピーク温度以上、最も高温側の融解ピーク温度以下の範囲の温度で行うことを特徴とする請求項1記載のグリコール酸系重合体の製造法。
  3. 結晶化処理が、示差走査型熱量計(DSC)を用いて得られた発熱量の絶対値(以下、△Hc、と略記する)と吸熱量の絶対値(以下、△Hm、と略記する)との差である[△Hm−△Hc]の値が、10J/g以上のグリコール酸系プレポリマーを得る処理である請求項1又は請求項2に記載のグリコール酸系重合体の製造法。
  4. グリコール酸系プレポリマーが、グリコール酸及び/又はその誘導体を含む原料を用いて、下記の[工程(A)、(B)及び(C)]を含む工程により得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリコール酸系重合体の製造法。
    (A)原料を20℃以上160℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせることによって、重量平均分子量700以上5,000以下のグリコール酸系重合体を製造する工程[工程(A)]。
    (B)[工程(A)]に引き続き、反応温度を100分以内に190℃まで昇温する工程[工程(B)]。
    (C)[工程(B)]に引き続き、190℃以上300℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせて、重量平均分子量10,000以上のグリコール酸系重合体を製造する際に、グリコール酸系重合体の重量平均分子量が10,000に達するまでの重量平均分子量の増加量が、1時間あたり1,000以上となる条件下で重縮合反応を行わせる工程[工程(C)]。
    (上記重量平均分子量は、請求項1記載の方法による測定値である)
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