JP2008150617A - グリコール酸共重合体賦形化物の製造方法 - Google Patents

グリコール酸共重合体賦形化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】賦形化工程における操作安定性に優れ、工業的に効率よく、グリコール酸共重合体賦形化物を製造する方法を提供する。
【解決手段】グリコール酸と、グリコール酸と共重合可能な化合物とを出発原料とするグリコール酸共重合体を溶融重縮合により製造した後に賦形化するグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法であって、溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間が50分以下であることを特徴とするグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、本発明は、医療材料用や汎用樹脂の代替用の生分解性ポリマーとして有用な高分子量グリコール酸共重合体賦形化物を製造する方法に関するものである。
近年、自然環境保護の観点から、プラスチック廃棄物問題が取りあげられるようになり、自然環境中で分解するポリマー及びその成形体が求められるようになっている。ポリグリコール酸及びその共重合体は、耐熱性、機械強度及び加水分解性のバランスに優れるため、生分解性の高分子材料として注目され、いくつかの製造方法がすでに提案されている。
例えば、高分子量グリコール酸共重合体を製造する方法として、グリコール酸及び/又はその誘導体を一度脱水縮合した後に、加熱分解してグリコール酸環状2量体エステルを生成させ、これを触媒の存在下で、乳酸環状2量体エステル等と共に開環重合する方法が知られている(例えば、特開昭63−17929号公報(特許文献1)等)。しかし、この方法は、高分子量体が得られる、というメリットはあるものの、環状2量体エステル類を製造する工程、及び環状2量体エステルを精製する工程に多大な費用と人力がかかることから、到底、経済的な製造法とはいえなかった。
グリコール酸共重合体を経済的に製造する方法として、主としてグリコール酸及び/又はその誘導体を、直接、重縮合させる、いわゆる直接重合法が知られている。
直接重合法としては、例えば、樹脂の融点以上で重縮合反応を行う、いわゆる溶融重合法と、樹脂の融点以下で重縮合反応を行う、いわゆる固相重合法等が挙げられる。これらの内、固相重合法は、溶融重合反応工程によりグリコール酸共重合体を製造した後に、固相重合反応を実施する工程を経ることからなる。
しかしながら、これらの溶融重合反応を経て得られたグリコール酸共重合体には、重縮合反応の成長末端が存在するため、移送のための溶融滞留中にも実質的に分子量の変化を伴わない程度の極めて少量の脱水反応が進行する、熱分解等の副反応が進行し、高粘度の溶融状態にあるグリコール酸共重合体中に気泡が発生する等の問題点があった。このような気泡は、重合終了後において樹脂を賦形化する際に、操作安定性を低下させる原因となるため、好ましいものではない。
直接重合法によりグリコール酸共重合体を製造するための方法は、これまでにいくつかの開示がある。
例えば、特開平11−116666号公報(特許文献2)及び特開平11−130847号公報(特許文献3)には、グリコール酸アルキルエステル又はそれらの部分加水分解物を重縮合して結晶性のプレポリマーを生成させ、次いで、結晶化プレポリマーを固相重合するポリグリコール酸の製造方法が開示されている。しかし、これらの公報には、重合後の樹脂の払出し操作方法に関する記載はなく、実施例においては、樹脂を溶融重合反応工程に用いる反応器中で結晶化させた後に取り出す操作を行っている。
特開平2000−302852号公報(特許文献4)には、重量平均分子量2,000〜100,000を有する脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位50%以上を含む、結晶化した脂肪族ポリエステルプレポリマーを固相重合することにより、重量平均分子量50,000〜1,000,000を有する脂肪族ヒドロキシカルボン酸を製造する方法が記載されている。
特開平7−102044号公報(特許文献5)には、2−ヒドロキシカルボン酸を、分縮器を取り付けた反応装置により脱水縮合し、重量平均分子量が500〜10,000の2―ヒドロキシカルボン酸系重縮合物を製造する方法が記載されている。
特開平7−228678号公報(特許文献6)には、ヒドロキシカルボン酸類を脱水重縮合してポリヒドロキシカルボン酸類を製造するに際して、少なくとも一部の工程において竪型高粘度反応装置を使用する方法が開示されている。
しかし、これらの公報には、重縮合終了後から賦形化までの操作方法は一切記載されておらず、賦形化工程における操作安定性を向上させる方法については全く知られていなかった。
特開昭63−17929号公報 特開平11−116666号公報 特開平11−130847号公報 特開平2000−302852号公報 特開平7−102044号公報 特開平7−228678号公報
本発明の目的は、賦形化工程における操作安定性に優れ、工業的に効率よく、グリコール酸共重合体賦形化物を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、重縮合により製造された、溶融状態にあるグリコール酸共重合体を賦形化するのに際し、溶融重縮合終了時点から賦形化終了までに要する時間を特定の時間範囲内とすることにより、気泡の混入が著しく抑制され、安定的に共重合体を賦形化することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)グリコール酸と、グリコール酸と共重合可能な化合物とを出発原料とするグリコール酸共重合体を溶融重縮合により製造した後に賦形化するグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法であって、溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間が50分以下であることを特徴とするグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法。
(2)グリコール酸とグリコール酸と共重合可能な化合物とから製造される溶融重縮合が可能な重縮合物を出発原料として、グリコール酸共重合体を溶融重縮合により製造した後に賦形化するグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法であって、溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間が50分以下であることを特徴とするグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法。
(3)前記グリコール酸共重合体が、グリコール酸を75モル%以上含むことを特徴とする(1)又は(2)のグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法。
(4)(1)又は(2)の方法により製造されたグリコール酸共重合体賦形化物を結晶化させ、固体状態を維持する温度で固相重合することを特徴とするグリコール酸共重合体の製造方法。
本発明によると、賦形化工程における操作安定性を向上させ、工業的に効率よく、グリコール酸共重合体賦形化物を製造することが可能となる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のグリコール酸共重合体中に含まれるグリコール酸単位の含有率は、数式(1)の範囲内において共重合体を安定的に賦形化することが可能であれば限定されないが、得られるグリコール酸共重合体が良好なガスバリアー性を有するためには、好ましくは50モル%以上、更に、グリコール酸共重合体が良好な結晶性を有するためには、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、最も好ましくは82モル%以上である。グリコール酸共重合体の良好な熱安定性を保持し、溶融成形加工時における熱分解、着色および分子量低下を少なくするためには、好ましくは99モル%以下、より好ましくは95モル%以下、最も好ましくは94モル%以下である。
本発明は、グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物とを出発原料とするグリコール酸共重合体を溶融重合により製造した後に賦形化する技術に関するものである。本発明において、「グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物とを出発原料とする」とは、グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物を出発原料とする場合、すなわち、単量体どうしを出発原料とする場合の他に、これらの一種又は二種以上の組み合わせから製造される重縮合物どうしを出発原料とする場合、および前記重縮合物と前記単量体化合物とを出発原料とする場合を意味する。なお、ここでいう重縮合物は、さらなる溶融重合が可能であれば、分子量等には制限はない。
出発原料の具体例として、(a)グリコール酸及び又はその誘導体と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物との組み合わせ、(b)グリコール酸及び又はその誘導体と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物から製造される重縮合物との組み合わせ、(c)グリコール酸及び又はその誘導体とから製造される重縮合物と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物との組み合わせ、(d)グリコール酸及び又はその誘導体とから製造される重縮合物と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物から製造される重縮合物との組み合わせ、(e)グリコール酸及び又はその誘導体とグリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物とから製造される重縮合物、これら(a)〜(e)の少なくとも2種以上の組み合わせ等が挙げられる。
グリコール酸の誘導体としては、グリコール酸と炭素数1以上10以下のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等とのエステル、グリコール酸の環状2量体エステルであるグリコリド等を用いることができる。グリコール酸及び/又はその誘導体類は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物としては、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸類及びその誘導体、多価カルボン酸、そのエステル及び対応する多価カルボン酸無水物、多価ヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、多価アルコール、アミノ酸、多価アミン、ラクタム等を挙げることができる。このような共重合可能な化合物を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸類としては、乳酸、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチル酢酸、2−ヒドロキシ−2−酪酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸等のヒドロキシカルボン酸、グリセリン酸、ジグリセリン酸等の多価ヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。下記のヒドロキシカルボン酸誘導体、更には、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類を挙げることができる。これらは単量体又はそれらの重縮合物であってもよい。これらの内、好ましく用いられるヒドロキシカルボン酸は、乳酸及びグリセリン酸である。
ヒドロキシカルボン酸誘導体としては、上記のヒドロキシカルボン酸と炭素数1以上10以下のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等とのエステル、上記のヒドロキシカルボン酸のラクチド、更にはグリコール酸と乳酸からなる環状2量体エステルの環状ジエステル類等が挙げられる。これらを単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
多価カルボン酸としては、炭素数が2〜20のものが好ましい。このようなカルボン酸として、例えば、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、ジグリコール酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、プロパントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のトリカルボン酸等が挙げられる。これらの多価カルボン酸は、多価カルボン酸、対応する多価カルボン酸と炭素数1以上10以下のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等とのエステル、又は対応する多価カルボン酸無水物を原料として用いることができる。
多価アルコールとしては、炭素数2〜20のものが好ましい。このようなアルコールとして、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のジオール類、グリセリン、ブタン−1,2,3−トリオール等のトリオール類、澱粉、グルコース、セルロース、ヘミセルロース、キシラン、キシロース、キシリトール、ペンタエリスリトール、キチン、キトサン、デキストリン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、アミロペクチン、グリコーゲン等の多糖類が挙げられる。
アミノ酸としては、炭素数2〜20のものが好ましい。このようなアミノ酸として、例えば、グリシン、(+)−アラニン、β−アラニン、(−)−アスパラギン、(+)−アスパラギン酸、(−)−システイン、(+)−グルタミンサン、(+)−グルタミン、(−)−ヒドロキシリシン、(−)−ロイシン、(+)−イソロイシン、(+)−リシン、(−)−メチオニン、(−)−セリン、(−)−トレオニン、(+)−バリン、アミノ酪酸、アザセリン、アルギニン、エチオニン等が挙げられる。
多価アミンとしては、炭素数0〜20のものが好ましい。このようなアミンとして、例えば、ヒドラジン、メチルヒドラジン、モノメチレンジアミン、ジメチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等が挙げられる。
ラクタムとしては、炭素数2〜20のものが好ましい。このようなラクタムとして、例えば、グリシン無水物、プロパンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン、ε−カプロラクタム、α−メチル−カプロラクタム、β−メチル−カプロラクタム、γ−メチル−カプロラクタム、δ−メチル−カプロラクタム、ε−メチル−カプロラクタム、N−メチル−カプロラクタム、β,γ−ジメチル−カプロラクタム、γ−エチル−カプロラクタム、γ−イソプロピル−カプロラクタム、ε−イソプロピル−カプロラクタム、γ−ブチル−カプロラクタム、γ−ヘキサシクロベンジル−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−カプリルラクタム、カプリロラクタム、ラウロラクタム、カプロラクトンの2量体等が挙げられる。
上記の他に、多価カルボン酸と多価アルコールとの組み合わせや、多価カルボン酸と多価アミン、多価カルボン酸と多価アルコールと多価アミンとを組み合わせて用いることもできる。
前記の化合物の内、不斉炭素原子を有し、D体、L体、及びD/L混合体が存在し得るものがある場合には、本発明では、それらのいずれをも使用することができる。
グリコール酸共重合体の製造に際して、触媒を加えずに実施することができるが、重縮合速度を高める為に、必要に応じて触媒を用いることができる。
触媒としては、元素周期律表IA、IIA、IIIA、IV、VA、VIII、IVB、VB族の金属、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルコキサイド、金属スルホン酸塩等が挙げられる。例えば、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、亜鉛、ゲルマニウム、錫、アンチモン等の金属、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等の金属酸化物、弗化錫、弗化アンチモン、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第一錫、塩化第二錫、臭化第一錫、臭化第二錫、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸錫、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、等の金属塩、炭酸亜鉛、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化鉄、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水酸化銅、水酸化亜鉛等の金属水酸化物等、酢酸マグネシウム、酢酸アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸錫、オクタン酸錫、ステアリン酸錫、乳酸鉄、乳酸錫等の金属カルボン酸塩、マグネシウム、ランタノイド、チタン、ハフニウム、鉄、ゲルマニウム、錫、アンチモン等の金属のアルコキサイド、ジブチルスズオキサイド等の有機金属、メタンスルホン酸錫、トリフルオロメタンスルホン酸錫、p−トルエンスルホン酸錫等の有機スルホン酸塩、アンバーライト、ダウエックス等のイオン交換樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。触媒を用いる場合、これらの触媒は一種だけ用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの触媒種は、例えば、原料モノマー又は水溶液を含むモノマー溶液に直接添加したり、重縮合物を得た後に添加されるが、この他にも、必要に応じて、水及び/又はヒドロキシカルボン酸存在下で加水分解した後に、原料モノマーや重縮合物に対して添加してもよい。
これらの触媒を使用する場合、その使用量は、好ましくは、原料モノマー1g当たり、金属原子として1×10−10モル以上1×10−2モル以下の範囲である。原料モノマー1g当たりに使用する触媒量が、金属原子として1×10−10モル未満の場合には、重縮合速度を高める効果が充分に発揮されず、1×10−2モルを越える場合には、樹脂の着色等の副反応が著しく増大する傾向がある。
重縮合中の熱劣化による着色を抑えるために、着色防止剤を添加して重縮合反応を行ってもよい。着色防止剤は、そのままで、又は適当な液体に溶解又は混合して反応系に添加することができる。着色防止剤の添加時期については制限はなく、原料モノマーの濃縮又は縮合過程から、実質的に重縮合反応が完結するまでの間であれば、いずれの時期に反応系に添加してもよい。添加は一括でも分割でもよい。
使用される熱安定化剤としては、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、ポリリン酸モノエチルエステル、ポリリン酸ジエチルエステル、ピロリン酸、ピロリン酸トリエチル、ピロリン酸ヘキサメチルアミド、亜リン酸、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等のリン酸系化合物等が好ましく用いられる。これらの熱安定化剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。熱安定化剤の添加率は、原料のモノマーに対して、好ましくは0.0005質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上6質量%以下の範囲である。熱安定化剤の添加率が10質量%を越えて添加しても着色を防止する効果が増加せず、添加率が0.0005質量%未満では着色を防止する効果が充分に現れない。
本発明の重縮合に用いる反応器には制限はなく、例えば、撹拌槽型反応器、表面更新型撹拌槽反応器、薄膜型反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重縮合させる多孔板型反応器、支持体に沿わせて溶融ポリマーを落下させて重縮合を進行させる重縮合器、例えば、ワイヤー式多孔板型反応器等を用いることができる。これらの反応器は、一種又は二種以上を組み合わせて使用することが可能である。
表面更新型撹拌槽反応器の具体例としては、三菱重工(株)製アドバンス リボン リアクタ(AR)(登録商標)、同社製バーチカル コーン リアクタ(VCR)(登録商標)、神鋼パンテック(株)社製ログボーン(LOGBORN)(登録商標)、(株)日立製作所製ねじり格子翼重合機(登録商標)、住友重機械(株)社製スーパーブレンド(同芯二軸型撹拌槽)(登録商標)、ニッセン(株)製ビスター(高粘度撹拌機)(登録商標)等が挙げられる。
表面更新型二軸混練反応器の具体例としては、三菱重工(株)社製横型二軸高粘度反応機(HVR)(登録商標)、同社製セルフクリーニング式リアクタ(SCR)(登録商標)、同社製新型セルフクリーニング式リアクタ(N−SCR)(登録商標)、(株)日立製作所製日立めがね翼式高粘度液処理機(登録商標)、同社製 格子翼重合機(登録商標)、住友重機械(株)製BIVOLAK(横型二軸反応装置)(登録商標)、栗本鉄工所(株)製KRCニーダ(登録商標)等が挙げられる。
本発明では、例えば、重縮合の初期に、主としてグリコール酸を含む原料又はそれらの重縮合物を、竪型撹拌槽及び/又は表面更新型撹拌槽反応器を用いて重縮合することにより溶融状態のグリコール酸共重合体を製造する方法、前記方法により得られた溶融状態のグリコール酸共重合体を表面更新型二軸混練反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重縮合させる多孔板型反応器、支持体に沿わせて溶融状態のグリコール酸共重合体を落下させて重縮合を進行させる重縮合器等からなる群より選ばれる少なくとも一種の重縮合器を用いて重縮合させる方法等が好ましく用いられる。
グリコール酸共重合体を製造する際の反応温度は、グリコール酸共重合体の組成、共重合させる化合物の種類、分子量等によっても異なるため、限定されないが、好ましくは50℃以上350℃以下、より好ましくは80℃以上250℃以下の範囲である。50℃未満の温度では反応速度が低下しやすく、350℃を越える場合にはポリマーの熱分解による着色が増加しやすくなる。
共重合反応は、不活性ガス雰囲気下及び/又は減圧下で行うことができる。減圧状態で反応を実施する場合、グリコール酸共重合体の組成、共重合コモノマーの種類、操作温度等によっても異なるが、通常、1.3Pa以上1.013×10Pa以下の範囲が例示できる。この際、減圧下又は常圧状態において、不活性ガスを流通させる方法、操作温度及び/又は操作圧力を多段階に調節しながら実施する方法、及びこれらの組み合わせることが好ましい。
反応時間は、原料の種類、重縮合前のグリコール酸共重合体の種類、分子量、更には、目的とするグリコール酸共重合体の分子量、使用する重縮合器の形式、反応条件等によっても異なり、限定されるものではないが、好ましくは0.01秒以上100時間以下、より好ましくは10分以上30時間以下である。
共重合に際して、溶融状態のグリコール酸共重合体に不活性ガスを吸収させた後、減圧下で重縮合させることが好ましい。不活性ガスの具体例としては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、二酸化炭素、低級炭化水素等が挙げられる。これらのガスは、一種又は二種以上の混合ガスとして用いることができる。これらの内、好ましいガスは窒素である。
次に、本発明における、溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間について説明する。
溶融重縮合反応を回分式反応により実施する場合、本発明における溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間とは、触媒存在下又は非存在下で、減圧条件及び/又は不活性ガス流通下において重縮合反応を実施した後に、得られたグリコール酸共重合体の払出しを開始した時点から、実質的にほぼ全ての樹脂が冷却媒体との接触を完了するまでの時間をいう。ここで、払出しにおける、実質的にほぼ全ての樹脂とは、実質的に連続排出が可能な樹脂のことをいい、壁面に付着し、連続的な排出が困難な樹脂は含まれない。
溶融重縮合反応を連続式反応により実施する場合、本発明における溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間とは、溶融状態にあるグリコール酸共重合体が、重縮合反応器から最初に排出された時点から、最初に排出された共重合体が冷却媒体に触れるまでの平均滞留時間のことをいう。
本発明におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量(Mw)とは、80mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解したヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析法により算出された値のことである。具体的には、分子量既知の単分散ポリメタクリル酸メチルとメタクリル酸メチルモノマーを標準物質とし、RI検出による溶出時間から求めた検量線を予め作成し、グリコール酸共重合体の溶出時間から重量平均分子量(Mw)を算出する。
本発明において、目的とする分子量には制限はないが、本発明の特徴を明確に発現させる上から、通常、重量平均分子量は5,000以上、好ましくは10,000以上500,000以下、より好ましくは20,000以上450,000以下、最も好ましくは25,000以上400,000以下の範囲である。
本発明において、グリコール酸共重合体を溶融重縮合により製造した後に賦形化するのに際し、溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間t(分)が、グリコール酸共重合体の温度T(℃)とグリコール酸共重合体の重量平均分子量(Mw)とで表される、数式(1)の範囲を満たすことが必要である。
Figure 2008150617
溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間が、数式(1)の関係を満足しない場合には、例えば、溶融滞留している共重合体融液中に気泡が発生する等の原因に基づく大きな粘度変動により、その後の賦形化工程において、例えば、ストランド切れ等に代表される操作安定性及び成型加工時の生産性を低下させる。溶融重縮合終了時点から冷却までの間、溶融状態にあるグリコール酸共重合体の重量平均分子量(Mw)は一定であっても、変化してもよい。溶融状態にあるグリコール酸共重合体の重量平均分子量(Mw)が変化した場合、数式(1)中のグリコール酸共重合体の重量平均分子量(Mw)は、変化した範囲の値の範囲内の最小値を表す。
溶融重縮合終了時点から冷却までの間において、溶融状態にあるグリコール酸共重合体の温度は一定温度であっても、変化してもよい。溶融状態にある、グリコール酸共重合体の温度(T)を変化させる場合に、数式(1)におけるグリコール酸共重合体の温度T(℃)は、変化した温度とその温度において保持された時間の相乗平均により算出される温度T(℃)を表す。
溶融重縮合終了時点から冷却までに溶融滞留するグリコール酸共重合体の温度は、グリコール酸共重合体の組成比、共重合させる化合物の種類、分子量等によっても異なるため限定されないが、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは170℃以上280℃以下、最も好ましくは180℃以上250℃以下の範囲である。
溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間の下限には制限はなく、早ければ早いほど、溶融滞留中のグリコール酸共重合体の分解を抑制できることから好ましい。
溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間の上限の好ましい範囲は数式(2)で示される範囲、より好ましくは数式(3)で示される範囲である。
Figure 2008150617

Figure 2008150617
グリコール酸共重合体を溶融重縮合により製造した後に冷却するための反応器からの払出し形式の制限はなく、例えば、反応器から自重で落下させる方法、加圧の不活性ガスで押し出す方法、ギアポンプ又は押出機に移して払い出す等の方法、ピストンフロー性による排出による方法、これらの組み合わせによる方法等が挙げられる。
本発明において、賦形化とは、溶融状態にあるグリコール酸共重合体を造粒することをいう。賦形化する方法としては、溶融状態にあるグリコール酸共重合体を冷却し、固化させた後、必要に応じて裁断処理及び/又は粉砕処理する方法、溶融状態にあるグリコール酸共重合体を液滴として移動体上に滴下し、冷却し、固化した後、必要に応じて裁断処理及び/又は粉砕処理する方法、溶融状態にあるグリコール酸共重合体を溶融状態において裁断処理した後に冷却し、必要に応じて裁断処理及び/又は粉砕処理する方法等が挙げられる。この際、冷却し、固化させる過程でグリコール酸共重合体が結晶化するものも含まれる。
本発明において、グリコール酸共重合体賦形化物とは、賦形化されたグリコール酸共重合体をいう。
グリコール酸共重合体を冷却する方法には制限はないが、例えば、グリコール酸共重合体の粒状物、塊状物、糸状又はひも状物(以下、ストランドと記する場合もある)等を、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス又は低級飽和炭化水素等の不活性ガス中、空気中、又はこれらの混合物中で冷却する方法、水等の液体と接触させて冷却する方法等が挙げられる。
グリコール酸共重合体賦形化物の形状には制限はないが、一般的な形状は、球状、マーブル状、タブレット状、粉末状、粉砕状、チップ状、小直方体状、円柱状、又はこれらの混合物からなるものである。これらの内、球状、円柱状、マーブル状及びタブレット状が好ましい。
賦形化を、水等の液体と接触させることにより行う場合には、引き続いて、公知の方法により乾燥を行うこともできる。
グリコール酸共重合体賦形化物の大きさには制限はないが、取り扱い性の点において、通常、10μm以上20mm以下、好ましくは、0.1mm以上15mm以下、より好ましくは、0.2mm以上10mm以下である。
グリコール酸共重合体が結晶性を有する場合には、賦形化後に結晶化処理を行うことができる。結晶化処理する方法には制限はなく、公知の方法が利用できる。例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、低級飽和炭化水素等の不活性ガス雰囲気下、流通下、減圧下若しくは加圧下、又はこれらの組み合わせにおいて、機械的撹拌及び/又は流動を行いながら加熱することにより結晶化させる方法、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、低級飽和炭化水素等の不活性ガス雰囲気下、流通下若しくは減圧下、又はこれらの組み合わせにおいて、気体による撹拌、流動を行いながら加熱することにより行う方法、結晶化させる温度において固体状のグリコール酸共重合体が溶解しない液体と接触させる方法等が用いられる。
結晶化処理する際の温度は、グリコール酸共重合体の共重合させる化合物の種類や、組成比により異なるが、概ね、グリコール酸共重合体のガラス転移温度以上220℃以下の範囲である。この結晶化処理は、上記温度範囲にて多段階に分けて実施することもできる。
結晶化処理に要する時間は、結晶化処理温度条件下で結晶化すればよく、結晶化温度等を考慮して任意に設定される。一般的には、0.5分以上600分以下、好ましくは、1分以上240分以下、より好ましくは5分以上180分以下である。
結晶化処理は、連続式及びバッチ式のいずれの方法によっても行うことができる。
結晶化して得られたグリコール酸共重合体を、本発明において、結晶化グリコール酸共重合体という。グリコール酸共重合体を賦形化する際に、グリコール酸共重合体が既に結晶化している場合には、グリコール酸共重合体賦形化物も結晶化グリコール酸共重合体に含まれる。
結晶化グリコール酸共重合体を固相重合することも可能である。固相重合に供する際の結晶化グリコール酸共重合体の分子量には制限はないが、重量平均分子量で、通常、5,000以上500,000以下、好ましくは、8,000以上400,000、より好ましくは、10,000以上150,000である。重量平均分子量が5,000未満の場合には、その後の固相重合工程に要する時間が増大する傾向がみられること、及び/又は固相重合工程において微粉化等の好ましくない現象を生じる場合がある。一方、重量平均分子量が500,000を越える場合には、グリコール酸共重合体を合成するための溶融重縮合時間が増加し、グリコール酸共重合体の着色や副反応が生じやすくなる場合がある。
固相重合反応は、不活性ガス流通下、減圧下、加圧下又はこれらの組み合わせで行うことができる。この際、重合により生成する水を除去することが必要であるため、固相重合反応は、不活性ガス流通下及び/又は減圧下で行うことが好ましい。
固相重合を不活性ガス流通下で行う場合、不活性ガスとして、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、低級飽和炭化水素等が用いられる。流通させる不活性ガスは、含水量ができるだけ低く、実質的に無水状態のガスが好ましい。この場合、ガスをモレキュラーシーブ等やイオン交換樹脂等を充填した層に流通させる、又はガスを極低温に冷却することにより脱水して使用することができる。流通ガスの含水量を露点で示すと、好ましくは、−10℃以下、より好ましくは−40℃以下である。
流通ガスの流量は、プレポリマーの形状、粒径、結晶性、反応温度等を考慮し、充分に重量平均分子量が高いグリコール酸共重合体を得ることができる程度に生成した水を留去することができればよい。一般的に、流通するガスの流量が多いほど、生成した水を除去する効率が高いが、通常、結晶化プレポリマー1g当たり、常圧換算で0.002ml/分以上2000ml/分以下、好ましくは、0.05ml/分以上1600ml/分以下、より好ましくは、0.1ml/分以上1000ml/分以下、最も好ましくは、0.5ml/分以上100ml/分以下である。
固相重合反応を減圧下で行う場合、反応系内の減圧度は、実質的に固相重合反応の進行を維持して、充分に高い重量平均分子量を有するグリコール酸共重合体が得られればよい。重合速度及び到達重量平均分子量の観点から、好ましい減圧度は1.33Pa以上1.33×10Pa以下の範囲である。
一方、加圧下で固相重合反応を行う場合、反応系内の圧力は実質的に固相重合反応の進行を維持して、充分に高い重量平均分子量を有するグリコール酸共重合体が得られる範囲内であればよい。
固相重合を行う際の反応温度は、反応系に存在する結晶化グリコール酸共重合体が実質的に固体状態を維持していれば制限されないが、重合速度を考慮して、100℃以上、結晶化グリコール酸共重合体の融点以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上、結晶化グリコール酸共重合体の融点−5℃以下の温度範囲である。この際、固相重合反応温度は、前記の温度の範囲内であれば、反応中一定である必要はない。
固相重合反応中、分子量の増加やアニール効果により結晶化グリコール酸共重合体の融点が上昇する場合、その時点における結晶化グリコール酸共重合体の融点の範囲まで反応温度を上げて固相重合反応を実施することも可能である。
本発明により得られる固相重合後のグリコール酸共重合体の分子量には制限はなく、通常、重量平均分子量で10,000以上1,000,000以下の範囲である。
本発明で得られるグリコール酸共重合体は、必要に応じ、賦形化後に無水酢酸等の酸無水物と反応させ、エステル化処理することができる。
本発明に用いられる重縮合器の材質には制限はなく、通常、ガラス、ステンレススチール、カーボンスチール、ニッケル、ハステロイ、チタン、クロム、ジルコニウム、その他合金や耐熱性の高いポリマー材料等の内、耐腐食性を考慮したものが用いられる。また、重縮合器の表面はメッキ、ライニング、不動態処理、酸洗浄、アルカリ洗浄等、必要に応じて種々の処理がされていてもよい。
本発明によって得られるグリコール酸共重合体は、溶融させて、成形体、成形容器、フィルム、シート、発砲体、繊維等に加工することができる。必要に応じて、成形後に熱処理等を施すこともできる。
成形体又は成形容器としては、例えば、飲料、化粧品、洗剤のボトル、使い捨てのカップ、トレー等の容器、保冷箱や各種カートリッジのケーシング、農業用の植木鉢や育成床、掘り出し不要のパイプや仮止め材料、ブロック等の建材・土木材料、ボールペン・シャープペン・鉛筆等文具、ゴルフ用ティー等の部材等が挙げられる。フィルム又はシートとしては、例えば、農業用マルチフィルム、ショッピングバッグ、包装用フィルム、ラップフィルム、種々のテープ、肥料袋等が挙げられる。発砲体としては、例えば、食品トレー、緩衝剤、断熱材等が挙げられる。繊維としては、例えば、釣り糸、漁網、不織布、縫合糸等が挙げられる。特殊な例としては、肥料に配合して、遅効性の肥料等、各種配合剤としても使用することができる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
本発明で用いるグリコール酸共重合体の特性は、以下に示す方法により測定する。
(1)グリコール酸共重合体を構成する特定モノマー単位の含有率
グリコール酸共重合体を形成する特定モノマー単位の含有率は、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とした400MHzのH−NMRの測定を行い、得られた結果を解析して全モノマー単位数に対する特定モノマー単位数の存在量をモル%で算出する。
(2)グリコール酸共重合体の重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置を用い、以下の条件により求める。
80mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解したヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とし、カラム温度40℃、溶離液流量1ml/分の条件下でカラム( カラム構成は、東ソー(株)製Tskgel(登録商標)G5000HHR、及び東ソー(株)製Tskgel(登録商標)G3000HHRの各1本づつの直列からなる)を通し、分子量1,577,000、685,000、333,000、100,250、62,600、24,300、12,700、4,700、1,680、1140の分子量既知の単分散ポリメタクリル酸メチル標準物質及びメタクリル酸メチルモノマー(分子量100)のRI検出による溶出時間から求めた検量線を予め作成し、その溶出時間から重量平均分子量を算出する。
(3)グリコール酸共重合体の融点
JIS K7121に準じて求める。
パーキンエルマー(株)製DSC−7を用い、グリコール酸共重合体を−20℃から10℃/分の昇温速度で250℃まで昇温させて得られるDSC曲線より求める。この際、融解ピークが複数存在する場合には、一つのベースラインで表される融解ピークの内、最も高温側にあるピークのピークトップ温度を融点とする。
(参考例1)
留出管及び撹拌翼を備えたグラスライニング製竪型撹拌槽に70質量%グリコール酸水溶液と90質量%L−乳酸水溶液を質量比で100対60の割合で仕込み、更に、この原料水溶液に対して0.04質量%の塩化第1錫(モノマー1g当たり錫金属原子として2.7×10−6モル)を仕込んだ後に、窒素置換を行った。その後、窒素気流下にて130℃から150℃にて2時間かけて昇温し、150℃にて1時間保持して脱水を行った。この後、温度を150℃で、1.013×10Paから6.7×10Paまで1時間かけて減圧し、引き続いて、減圧度6.7×10Paで3時間反応を行って縮合水の除去を続けた。その後、200℃に昇温し、昇温後、減圧度2.0×10Paで3時間反応を行って、グリコール酸単位の含有率60モル%、重量平均分子量13,000のグリコール酸−乳酸共重合体(以下、共重合体A、と略記する)を製造した
(参考例2)
原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.1×10−6モル)を仕込んだ以外は、参考例1と同様にグリコール酸−乳酸共重合体を製造した。得られた共重合体は、グリコール酸単位の含有率60モル%、重量平均分子量13,000であった(以下、共重合体B、と略記する)。
(参考例3)
70質量%グリコール酸水溶液と90質量%L−乳酸水溶液を質量比で100対11.5の割合で仕込んだこと、200℃に昇温した後の減圧度2.0×10Paでの重合時間を5時間とした以外は、参考例2と同様にグリコール酸−乳酸共重合体を製造した(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)。得られた共重合体は、グリコール酸単位の含有率89モル%、重量平均分子量24,000であった(以下、共重合体C、と略記する)。
(参考例4)
触媒を仕込まなかった以外は、参考例3と同様にしてグリコール酸−乳酸共重合体を製造した。得られた共重合体は、グリコール酸単位の含有率89モル%、重量平均分子量11,000であった(以下、共重合体D、と略記する)。
(参考例5)
原料として70質量%グリコール酸水溶液、90質量%L−乳酸水溶液、エチレングリコール、アジピン酸を質量比で10000対1157対0.53対1.86の割合で仕込んだこと、200℃に昇温した後の減圧度2.0×10Paでの重合時間を5時間とした以外は、参考例1と同様にしてグリコール酸−乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体を製造した(モノマー1g当たり錫金属原子として2.9×10−6モル)。得られた共重合体は、グリコール酸単位、乳酸単位、エチレングリコール単位、アジピン酸単位の含有率がそれぞれ、88.82モル%、11.16モル%、0.008モル%、0.012モル%で、重量平均分子量27,000であった(以下、共重合体E、と略記する)。
(実施例1)
留出管及び逆円錐リボン翼式撹拌翼を備えた内容積90LのSUS製竪型表面更新型反応器(三菱重工(株)製、商品名VCR)と全長3mの水冷バス、更に、チップカッターからなる一連の設備を用いてグリコール酸―乳酸共重合体賦形化物の製造を行った。
本実施例は、溶融重縮合反応を回分式反応により実施する例である。
SUS製竪型表面更新型反応器に参考例1で製造した共重合体A30kgを仕込み、窒素置換した後、200℃に昇温した。昇温後、留出管を100℃に加熱保温し、次いで、反応器内部を減圧度1.3×10Paまで減圧し、引き続いて、減圧度1.3×10Paで5時間反応を実施して、グリコール酸単位の含有率60モル%、重量平均分子量40,000、グリコール酸単位の含有率が60モル%のグリコール酸−乳酸共重合体を製造した。
重合終了後、窒素により減圧を解除し、引き続き、窒素で内部を0.3MPaに加圧し、ボトムの1つの排出口よりひも状のグリコール酸−乳酸共重合体の排出を行いつつ、連続的に水冷バスにて冷却し、固化した後に、チップカッターで円柱状にグリコール酸−乳酸共重合体を切断回収してグリコール酸―乳酸共重合体賦形化物を製造した。
得られた円柱状のペレットには気泡が含有されていなかった。
本実施例における溶融重縮合終了時点は、減圧下での溶融重縮合を終了し、溶融状態にあるグリコール酸−乳酸共重合体の排出を開始した時点である。本実施例における溶融重縮合終了時点から、実質的にほぼ全ての樹脂が払い出されて冷却媒体である水に触れるまでに要した時間は50分、払出し操作中に溶融状態にあったグリコール酸―乳酸共重合体の重量平均分子量は40,000から42,000の範囲、温度は200℃であった。これより、数式(1)の左辺は50分であり、右辺の値124分よりも短く、数式(1)の関係を満たしていた。
(比較例1)
払出しの操作条件を、窒素で内部を0.1MPaに加圧することに変更し、グリコール酸−乳酸共重合体の実質的にほぼ全てが払い出されて冷却媒体である水に触れるまでに要する時間を180分とした以外は実施例1と同様にしてグリコール酸―乳酸共重合体賦形化物を製造した。
本比較例は、溶融重縮合反応を回分式反応により実施する例である。
この際、途中より気泡が含有されたひも状のグリコール酸−乳酸共重合体が払い出されるようになり、冷却固化したひも状のグリコール酸−乳酸共重合体の変形や切れが生じ、安定的にカッティングすることができなくなった。更に、得られたペレットには、多数の気泡が含有されていた。
本比較例における溶融重縮合終了時点は、減圧下での溶融重縮合を終了し、溶融状態にあるグリコール酸−乳酸共重合体の排出を開始した時点である。本比較例における溶融重縮合終了時点から、実質的にほぼ全ての樹脂が払い出されて冷却媒体である水に触れるまでに要した時間は180分であり、払出し操作中に溶融状態にあったグリコール酸―乳酸共重合体の重量平均分子量は39,000から43,000の範囲、温度は200℃であった。これより、数式(1)の左辺は180分であり、右辺118分よりも長く、数式(1)の関係を満たしていなかった。
(実施例2)
供給口、排出口及び真空ベント口が設置されている、回転直径0.4mの撹拌軸を2本有する内容積1.5m、長さ4mのSUS316製二軸横型撹拌反応器と全長2mの水冷バス、更にチップカッターからなる一連の設備を用いてグリコール酸―乳酸共重合体賦形化物の製造を行った。
本実施例は、溶融重縮合反応を連続式反応により実施する例である。
二軸横型撹拌反応器からの排出ラインは1インチの配管からなり、排出ラインの出口側に設置された2つの排出口より、ひも状のグリコール酸−乳酸共重合体の払出しが行えるようになっている。
二軸横型撹拌反応器の供給口より、参考例2で製造した共重合体Bを60Kg/hrの流量で供給した。重縮合温度、減圧度及び撹拌軸の回転数はそれぞれ、190℃、1.3×10Pa、15rpmである。
連続運転をはじめて25時間後、30時間後及び35時間後に測定した二軸横型撹拌反応器出口のグリコール酸―乳酸共重合体の重量平均分子量は、それぞれ99,000、100,000、98,000、グリコール酸単位の含有率はいずれも60モル%であった。
得られた円柱状のペレットを確認したところ、ペレットには気泡が含有されていなかった。
本実施例における溶融重合終了時点は、溶融状態のグリコール酸―乳酸共重合体が二軸横型撹拌反応器から排出された時点であり、その後、溶融状態のグリコール酸―乳酸共重合体は排出ライン配管内を移送され、冷却媒体である水に触れるまでに要した配管内での平均滞留時間を実測したところ5分であった。
この間に変動したグリコール酸―乳酸共重合体の重量平均分子量は98,000から100,000の範囲、排出ラインを移送されたグリコール酸―乳酸共重合体の温度は190℃であった。これより、数式(1)の左辺は5分であり、右辺の値1143分よりも短く、数式(1)の関係を満たしていた。
(実施例3)
原料として参考例3で製造した共重合体Cを用いること、200℃、減圧度1.3×10Paでの反応時間を10時間としたこと、払出しの際の窒素圧力を0.45MPaとしたこと、全長3mの水冷バス、更に、チップカッターからなる賦形化設備の代わりに、長さ1.5mのスラーダーを有し、冷却水と共にひも状のグリコール酸−乳酸共重合体がスライダーを落下して、水存在下にて共重合体をカッティングする装置を用いた以外は、実施例1と同様にしてグリコール酸―乳酸共重合体賦形化物を製造した。
本実施例は、溶融重縮合反応を回分式反応により実施する例である。
反応時間10時間後に製造されたグリコール酸―乳酸共重合体の重量平均分子量は60,000、グリコール酸単位の含有率は89モル%であった。
払出し操作中の樹脂温度は、200℃であり、得られた円柱状のペレット(直径が概ね1.3mm、長さが概ね2.5mm)には気泡が含有されていなかった。
本実施例における溶融重縮合終了時点は、減圧下での溶融重縮合を終了し、溶融状態にあるグリコール酸−乳酸共重合体の排出を開始した時点である。本実施例における溶融重縮合終了時点から、実質的にほぼ全ての樹脂が払い出されて冷却媒体である水に触れるまでに要した時間は50分、払出し操作中に溶融状態にあったグリコール酸―乳酸共重合体の重量平均分子量は59,000から62,000の範囲、温度は200℃であった。これより、数式(1)の左辺は50分であり、右辺の値264分よりも短く、数式(1)の関係を満たしていた。
(比較例2)
払出しの際の窒素圧力を0.1MPaとした以外は実施例3と同様にして、グリコール酸―乳酸共重合体賦形化物を製造した。
本比較例は、溶融重縮合反応を回分式反応により実施する例である。
賦形化工程において、途中より気泡が含有されたひも状のグリコール酸−乳酸共重合体が払出されるようになり、冷却固化したひも状のグリコール酸−乳酸共重合体の変形や切れが生じ、安定的にカッティングすることができなくなった。更に、得られたペレットには、多数の気泡が含有されていた。
本比較例における溶融重縮合終了時点は、減圧下での溶融重縮合を終了し、溶融状態にあるグリコール酸−乳酸共重合体の排出を開始した時点である。本比較例における溶融重縮合終了時点から、実質的にほぼ全ての樹脂が払い出されて冷却媒体である水に触れるまでに要した時間は300分であり、払出し操作中に溶融状態にあったグリコール酸―乳酸共重合体の重量平均分子量は、59,000から63,000の範囲、温度は200℃であった。これより、数式(1)の左辺は300分であり、右辺264分よりも長く、数式(1)の関係を満たしていなかった。
(実施例4)
図1に示すような、不活性ガス吸収設備1と複数の円柱状支持体13を有する重縮合器10からなる同じ装置5基を直列に、それぞれ供給口2と排出口19を連続接続した。この装置の最終重合器の排出口に、1インチの配管からなり、最終重合器の排出口とは異なるラインの出口側に設置された2つの排出口よりひも状のグリコール酸−乳酸共重合体の払出しが行えるようになっている排出ライン、ひも状のグリコール酸―乳酸共重合体を連続的に冷却固化する全長3mの水冷バス及びチップカッターからなる一連の設備を用いてグリコール酸―乳酸共重合体賦形化物の製造を行った。
本実施例は、溶融重縮合反応を連続式反応により実施する例である。
不活性ガス吸収設備1は、太さ2mm、長さ4mのSUS316製円柱状支持体4を7本備えており、供給口2から供給された溶融ポリマーは分散板3により各円柱状支持体4に均一に分配される。不活性ガス吸収設備下部には不活性ガス供給口5が備えられており、上部には不活性ガス供給設備の圧力をコントロールするためのベント口6が備えられている。不活性ガス吸収設備1の外側はジャケットになっており、熱媒で加温されている。重縮合器10は、太さ2mm、長さ8mのSUS316製孔径4mmの孔を、孔と孔の中心の距離で8mmの六方最密配置で62個円柱状支持体13を62本備えており、供給口11から供給された溶融ポリマーは分散板12により各支持体13に均一に分配される。重縮合器下部には不活性ガス供給口14が備えられており、上部には真空ベント口15が備えられている。重縮合器10の外側はジャケットになっており、熱媒で加温されている。
不活性ガス吸収装置及び重縮合器の組み合わせを、前工程側から、それぞれ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)として表す。
参考例3で製造した共重合体Cを、供給口2より10Kg/hrの流量で連続的に供給しグリコール酸−乳酸共重合体の製造を行った。
不活性ガス吸収設備1は、(a)〜(e)において、温度200℃、圧力100,000Paの条件であり、ベント口はそれぞれ閉じられた状態で(a)〜(d)では圧力100,000Pa、(e)では圧力200,000Paを保つように、不活性ガス供給口5より窒素を供給した。(a)〜(e)における窒素の供給量は概ね0.3NL/hrであった。(a)〜(e)における不活性ガス吸収設備1のボトムの溶融ポリマー7の量が一定となるように(a)〜(e)の各排出ポンプ9によって溶融ポリマーを供給口11より重縮合器10に連続的に供給し、(a)〜(e)の重縮合器10のボトムのグリコール酸−乳酸共重合体16の量が一定となるように(a)〜(e)の排出ポンプ18によって排出口からグリコール酸−乳酸共重合体を連続的に抜き出しながら重縮合を行った。サイトグラス20より、発泡した溶融ポリマーが各円柱状支持体13上を良好に表面更新されながら落下する状態が観察された。
重縮合器10における条件は(a)〜(e)において200℃、93Paであった。また、(a)〜(e)の不活性ガス供給口14からは、窒素を1NL/hr供給した。
連続運転開始50、55、60時間後に(e)の排出口17から排出ライン内を移送されて排出される、重縮合反応の進行が実質的に終了した溶融状態のグリコール酸−乳酸共重合体は、重量平均分子量がそれぞれ140,000、139,000、141,000、グリコール酸単位の含有率は89モル%であった。
得られた円柱状のペレットを確認したところ、ペレットには気泡が含有されていなかった。
本実施例における溶融重合終了時点は、溶融状態のグリコール酸―乳酸共重合体が重縮合器(e)から排出された時点であり、その後、該溶融状態のグリコール酸―乳酸共重合体は排出ライン配管内を移送され、冷却媒体である水に触れるまでに要した配管内での平均滞留時間を実測したところ7分であった。
この間に変動したグリコール酸―乳酸共重合体の重量平均分子量は139,000から141,000の範囲、排出ラインを移送されたグリコール酸―乳酸共重合体の温度は200℃であった。これより、数式(1)の左辺は7分であり、右辺の値1391分よりも短く、数式(1)の関係を満たしていた。
(実施例5)
原料として参考例4で製造した共重合体Dを用いること、反応温度を220℃、としたこと、払出しの際の窒素圧力を0.3MPaとしたこと以外は、参照例1と同様にしてグリコール酸―乳酸共重合体賦形化物を製造した。
本実施例は、溶融重縮合反応を回分式反応により実施する例である。
反応時間5時間後に製造されたグリコール酸―乳酸共重合体の重量平均分子量は30,000、グリコール酸単位の含有率は89モル%であった。
払出し操作中の樹脂温度は、220℃であり、得られた円柱状のペレットには気泡が含有されていなかった。
本実施例における溶融重縮合終了時点は、減圧下での溶融重縮合を終了し、溶融状態にあるグリコール酸−乳酸共重合体の排出を開始した時点である。本実施例における溶融重縮合終了時点から、実質的にほぼ全ての樹脂が払い出されて冷却媒体である水に触れるまでに要した時間は25分、払出し操作中に溶融状態にあったグリコール酸―乳酸共重合体の重量平均分子量は、30,000から32,000の範囲、温度は220℃であった。これより、数式(1)の左辺は25分であり、右辺の値31分よりも短く、数式(1)の関係を満たしていた。
(比較例3)
払出しの際の窒素圧力を0.1MPaとしたこと以外は、実施例5と同様にしてグリコール酸―乳酸共重合体賦形化物を製造した。
本比較例は、溶融重縮合反応を回分式反応により実施する例である。
払出し操作中の樹脂温度は220℃であったが、賦形化工程において、途中より気泡が含有されたひも状のグリコール酸−乳酸共重合体が払出されるようになり、冷却固化したひも状のグリコール酸−乳酸共重合体の変形や切れが生じ、安定的にカッティングすることができなくなった。更に、得られたペレットには、多数の気泡が含有されていた。
本比較例における溶融重縮合終了時点は、減圧下での溶融重縮合を終了し、溶融状態にあるグリコール酸−乳酸共重合体の排出を開始した時点である。本比較例における溶融重縮合終了時点から、実質的にほぼ全ての樹脂が払い出されて冷却媒体である水に触れるまでに要した時間は80分、払出し操作中に溶融状態にあったグリコール酸―乳酸共重合体の重量平均分子量は、30,000から32,000の範囲、温度は220℃であった。これより、数式(1)の左辺は80分であり、右辺の値31分よりも長く、数式(1)の関係を満たしていた。
(実施例6)
供給口と排出口を有する、全容量25L、張り込み量6LのSUS316製真空ベント付き横型メガネ翼重合器((株)日立製作所製、日立メガネ翼重合器(商標))と、全長2mの水冷バス、更に、チップカッターとからなる一連の設備を用いてグリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体賦形化物の製造を行った。横型メガネ翼重合器からの排出ラインは、1/2インチの配管からなり、排出ラインの出口側に設置された1つの排出口より、ひも状のグリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体の払出しが行えるようになっている。
本実施例は、溶融重縮合反応を連続式反応により実施する例である。
参考例5で製造した共重合体Eを供給口より1.5Kg/hrで連続的に供給した。
重縮合温度、減圧度、撹拌軸の回転数はそれぞれ、200℃、1.3×10Pa、15rpmであった。
連続運転をはじめて15時間後、18時間後、21時間後に測定した横型メガネ翼重合器出口のグリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体の重量平均分子量は、それぞれ55,000、54,000、56,000、グリコール酸単位の含有率はいずれも88.82モル%であった。
得られた円柱状のペレット(直径が概ね1.5mm、長さが概ね2mm)を確認したところ、ペレットには気泡が含有されていなかった。
本実施例における溶融重合終了時点は、溶融状態のグリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体が二軸横型撹拌反応器から排出された時点であり、その後、溶融状態のグリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体は排出ライン配管内を移送され、冷却媒体である水に触れるまでに要した配管内での平均滞留時間を実測したところ5分であった。
この間に変動したグリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体の重量平均分子量は54,000から56,000の範囲、排出ラインを移送されたグリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体の温度は200℃であった。これより、数式(1)の左辺は5分であり、右辺の値222分よりも短く、数式(1)の関係を満たしていた。
(実施例7)
実施例3にて得られた重量平均分子量59,000から62,000のグリコール酸−乳酸共重合体賦形化物を、80℃の乾燥窒素循環乾燥機にて1時間乾燥した。次いで、得られた乾燥ペレットを、窒素雰囲気下、130℃で30分、引き続いて150℃で1時間結晶化させ、結晶化グリコール酸−乳酸共重合体を得た。結晶化グリコール酸−乳酸共重合体の融点は189℃であり、重量平均分子量は60,000であった。
引き続き、SUS製竪型反応器で固相重合反応を行った。反応は、露点−85℃の窒素ガスを、仕込みグリコール酸−乳酸共重合体1Kgあたりの流量として50NL/分流通させながら、温度170℃で30時間行った。
固相重合後に得られたグリコール酸−乳酸共重合体はほぼ白色であり、重量平均分子量は183,000であった。
(実施例8)
実施例6にて得られた重量平均分子量54,000から56,000のグリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体賦形化物を、80℃の乾燥窒素循環乾燥機にて1時間乾燥した。次いで、得られた乾燥ペレットを窒素雰囲気下、130℃で30分、引き続いて150℃で1時間結晶化させ、結晶化グリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体を得た。結晶化グリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体の融点は190℃であり、重量平均分子量は、55,000であった。
引き続き、SUS製竪型反応器で固相重合反応を行った。反応は、露点−85℃の窒素ガスを、グリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体1Kgあたりの流量として100NL/分流しながら、温度170℃で10時間、温度180で10時間の合計20時間行った。
固相重合後に得られたグリコール酸―乳酸−エチレングリコール−アジピン酸共重合体はほぼ白色であり、重量平均分子量は158,000であった。
本発明で用いる重縮合反応装置の一例を示す模式図。
符号の説明
1 不活性ガス吸収設備
2、11 供給口
3、12 分散板
4、13 円柱状支持体
5、14 不活性ガス供給口
6 ベント口
7 溶融状態のグリコール酸共重合体
8、17、19 排出口
9、18 排出ポンプ
10 重縮合器
15 真空ベント口
16 溶融状態のグリコール酸共重合体
20 サイドグラス

Claims (4)

  1. グリコール酸と、グリコール酸と共重合可能な化合物とを出発原料とするグリコール酸共重合体を溶融重縮合により製造した後に賦形化するグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法であって、溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間が50分以下であることを特徴とするグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法。
  2. グリコール酸とグリコール酸と共重合可能な化合物とから製造される溶融重縮合が可能な重縮合物を出発原料として、グリコール酸共重合体を溶融重縮合により製造した後に賦形化するグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法であって、溶融重縮合終了時点から冷却までに要する時間が50分以下であることを特徴とするグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法。
  3. 前記グリコール酸共重合体が、グリコール酸を75モル%以上含むことを特徴とする請求項1又は2記載のグリコール酸共重合体賦形化物の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の方法により製造されたグリコール酸共重合体賦形化物を結晶化させ、固体状態を維持する温度で固相重合することを特徴とするグリコール酸共重合体の製造方法。
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