JP3572243B2 - 溶融炉のスラグ回収装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水汚泥、都市ごみ及び産業廃棄物等の焼却灰を溶融する灰溶融炉から出る溶融スラグを回収するスラグ回収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、下水汚泥、都市ごみ及び産業廃棄物等の焼却灰は、その資源化、減容化及び無害化を図るために、灰溶融炉によって溶融され、溶融スラグとして取り出されている。このような溶融スラグを回収するスラグ回収装置としては、例えば、図3に示すようなものがある。
このスラグ回収装置は、プラズマ灰溶融炉51の下方に設置されたケーシング52と、該ケーシング52内に格納され、かつ複数のモールド53が設けられている空冷スラグコンベヤ54と、ケーシング52の下部壁に設けられ、スラグコンベヤ54の搬送方向に沿って設置された複数個の回収ホッパ55とをそれぞれ備えており、スラグ排出位置の回収ホッパ55aの下端には、二重ダンパ56が配設されている。
【0003】
したがって、図3に示すように、灰ホッパなどから灰溶融炉51内に投入された焼却灰は、当該灰溶融炉51によって溶融され、溶融スラグ57となって排出される。この排出された溶融スラグ57は、ケーシング52の導入口より空のモールド53に導入され、スラグコンベヤ54によって搬送されながら冷却され、その後、矢印で示す如く、ケーシング52内からスラグ排出位置の回収ホッパ55a及び二重ダンパ56の排出口を介して外部に排出される。そして、スラグ排出位置でモールド53より剥離されなかったスラグは、モールド53が戻る搬送途中で温度が下がって自然落下し、各回収ホッパ55で回収されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来のスラグ回収装置では、スラグ排出位置でモールド53より剥離せず、複数個の回収ホッパ55に落下したスラグを回収するようにしているので、作業者が各回収ホッパ55の設置箇所に行って、これら回収ホッパ55に溜まったスラグを底部から取り出しており、スラグ回収作業に手間が掛かり、生産性の向上を図ることが困難であった。しかも、回収ホッパ55は、ケーシング52の下部壁に突設されていると共に、スラグを回収すべく多数設けられているので、大きなスペースが必要となり、装置の大型化及び設備費の増大を招くという不具合があった。
【0005】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶融炉から排出されるスラグの回収作業が容易となり、生産性の向上が実現できると共に、装置の小型化及びコストダウンが図れる溶融炉のスラグ回収装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明では、溶融スラグを受け入れる複数のモールドが設けられているスラグコンベヤを備え、溶融炉から出滓された溶融スラグを前記モールドに導入した後、スラグ排出位置まで搬送しながら冷却するスラグ回収装置において、前記スラグコンベヤの下方に、前記モールドに残った戻りスラグを回収すべく、前記スラグコンベヤと反対方向へ循環回転する回収コンベヤを設置すると共に、前記スラグコンベヤのスラグ排出位置と反対側に前記回収コンベヤによって搬送された戻りスラグを溜めておく回収ホッパを設けている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。ここで、図1は本発明の第1実施形態に係る溶融炉のスラグ回収装置を示す概略図である。
本実施の形態に係るスラグ回収装置は、図1に示す如く、プラズマ灰溶融炉1の下方に設備される密閉式のケーシング2と、溶融スラグ3を受け入れる複数のモールド4と、これらモールド4が一定の間隔を置いて無端体の駆動チェーンに設けられ、かつ当該モールド4を所定の速度で循環回転してなる空冷スラグコンベヤ5と、該スラグコンベヤ5の下方に設置される回収コンベヤ6とをそれぞれ備えており、これらスラグコンベヤ5及び回収コンベヤ6は、スラグ排出位置へ向かってやや上り傾斜に配置した状態で同じケーシング2内に格納されている。
【0009】
上記プラズマ灰溶融炉1は、有底円筒状に形成された炉本体7を有しており、該炉本体7の下部側面には、溶融スラグ3などを排出する図外の出滓口及び出滓樋が設けられている。また、炉本体8の上下部中央には、直流電源装置に接続される主電極8及び炉底電極(図示せず)が配設され、主電極8には図示しない窒素ガス発生装置から窒素ガスが送給されるように構成されており、灰ホッパなどから投入された廃棄物などの焼却灰を高温プラズマで加熱することによって溶融するようになっている。
【0010】
一方、上記ケーシング2の上部壁であって、スラグコンベヤ5の一端側には、上方へ延びる筒状部2aにより囲まれた図示しない導入口が設けられ、該導入口を介して溶融スラグ3が空のモールド4に導入されるように構成されている。このため、各モールド4は、溶融スラグ導入位置で落下して来る溶融スラグ3を受け入れるべく、開口部が上向きの断面略コ字に形成されており、スラグコンベヤ5によって溶融スラグ導入位置の手前からスラグ排出位置までは正立状態で搬送され、スラグ排出後から溶融スラグ導入位置の手前まではひっくり返った倒立状態で搬送されるようになっている。
そして、上記ケーシング2のスラグ排出位置側の下部には、図示しないスラグ排出口に連結する二重ダンパ9が設けられている。また、この二重ダンパ9と反対側に位置するケーシング2の下部側面には、回収コンベヤ6によって搬送された戻りスラグを溜めておく回収ホッパ10が設けられている。
【0011】
上記回収コンベヤ6は、スラグ排出位置でモールド4より剥離せず、該モールド4が戻る搬送途中で温度が低下して自然落下する戻りスラグを受け取るもので、ベルト式コンベヤとして構成されている。このため、回収コンベヤ6は、図1に示す如く、スラグコンベヤ5の真下に一定の間隔を開けて位置しており、スラグコンベヤ5の全長にわたりこれに沿って配置され、所定の速度でスラグコンベヤ5と反対方向へ循環回転するようになっている。
【0012】
このようなスラグ回収装置を使用して結晶化スラグを回収するには、まず、灰ホッパなどを介して焼却灰をプラズマ灰溶融炉1の炉本体7内に投入する。すると、投入された焼却灰は主電極8等による高温プラズマで加熱されて溶融し、溶融スラグ3となる。この溶融スラグ3は、図示しない出滓口及び出滓樋を通って排出され、ケーシング2の導入口を経て、溶融スラグ導入位置へ移動させた空のモールド4内に落下して受け取られる。しかる後、溶融スラグ3が導入されたモールド4をスラグコンベヤ5によって所定距離(モールド1個分)搬送すると共に、空のモールド4を溶融スラグ導入位置へ移動させ、同様の手順で溶融スラグ3を空のモールド4内に導入する。
【0013】
そして、このような操作を繰り返して、モールド4をケーシング2の出口側であるスラグ排出位置の付近まで搬送すると、その間、溶融スラグ3はケーシング2内の空気により冷却されて固化する。その後、スラグコンベヤ5によってモールド4を搬送しながらひっくり返せば、矢印で示す如く、溶融スラグ3は結晶化スラグ3aとなってケーシング2内から二重ダンパ9を介して外部に排出されることになる(図1参照)。
【0014】
一方、スラグ排出位置でモールド4をひっくり返しても剥離しなかった溶融スラグ3は、モールド4が戻る搬送途中で次第に温度が下がり、冷却固化した時点でモールド4から剥離し、次々と下方の回収コンベヤ6の上に自然落下して受け取られる。落下した戻りスラグは、回収コンベヤ6によって回収ホッパ10まで搬送され、該回収ホッパ10に溜められた後、結晶化スラグ3aとして作業者により回収されたり、あるいは、回収ホッパ10を経てそのまま別の移送コンベヤで次工程に搬送されることになる。
【0015】
本発明の第1実施形態に係るスラグ回収装置では、複数のモールド4が設けられた空冷スラグコンベヤ5と、該スラグコンベヤ5の真下に位置し、スラグ排出位置で剥離できなかったスラグを回収する回収コンベヤ6とを同じケーシング2内に設置しているため、従来のように、作業者が複数個の回収ホッパの設置箇所に行って溜まったスラグを取り出す必要はなくなり、戻りスラグを回収コンベヤ6の最下流位置に設置した回収ホッパ10まで連続的に搬送して容易に回収できる。したがって、本実施形態のスラグ回収装置によれば、面倒な回収作業が回収ホッパ10の1回で済み、自動的にスラグを回収することも可能となる上、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
【0016】
図2は、本発明の第2実施形態に係る溶融炉のスラグ回収装置を示す概略図である。本実施形態のスラグ回収装置が上記第1実施形態のスラグ回収装置と相違する点は、図2に示す如く、空冷スラグコンベヤ5のモールド4間に、該モールド4に残った戻りスラグを回収するスクレーパ16を設けていることである。このため、本実施形態のスラグ回収装置では、第1実施形態の回収コンベヤがスラグコンベヤ5の下方に設置されていない。
本実施形態のスクレーパ16は、スラグコンベヤ5の搬送方向の上流側に位置するモールド4の側壁部を上方へ延出させることにより形成され、その長さはケーシング2の下部壁2bの内壁面上に落下している戻りスラグを掻き取ることが可能な大きさに設定されている。また、スクレーパ16は、モールド4の全幅の大きさで設置されたり、あるいはモールド4における幅の半分の大きさで、左右交互に設置されている。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0017】
本発明の第2実施形態に係る溶融炉のスラグ回収装置では、スラグ排出位置でモールド4より剥離せず、ケーシング2の下部壁2bの内壁面上に落下した戻りスラグを次々と搬送されて来るモールド4のスクレーパ16で掻き取りながら、最下流位置の回収ホッパ10まで搬送して回収しているため、回収コンベヤを設置することなく、上記第1実施形態と同様の効果が得られる上、装置の小型化及びコストダウンをより一層図ることができる。
また、スクレーパが、モールドにおける幅の半分の大きさで設置されている本発明の第2実施形態に係る溶融炉のスラグ回収装置では、モールドからオーバフローしたスラグが次のモールドへ流れる流路を設置することができる。
【0018】
以上、本発明の実施形態につき述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、既述の実施形態では、モールド4の側壁部を上方へ延出させることによりスクレーパ16を形成したが、スラグコンベヤ5上に直接板状体を起立させて設けても良い。また、プラズマ灰溶融炉1の下方にスラグ回収装置を設置したが、本発明のスラグ回収装置は、プラズマ灰溶融炉以外の抵抗溶融炉や旋回溶融炉などの溶融炉に適用しても良い。
【0019】
【発明の効果】
上述の如く、本発明に係る溶融炉のスラグ回収装置は、溶融スラグを受け入れる複数のモールドが設けられているスラグコンベヤを備え、溶融炉から出滓された溶融スラグを前記モールドに導入した後、スラグ排出位置まで搬送しながら冷却するものであって、前記スラグコンベヤの下方に、前記モールドに残った戻りスラグを回収すべく、前記スラグコンベヤと反対方向へ循環回転する回収コンベヤを設置すると共に、前記スラグコンベヤのスラグ排出位置と反対側に前記回収コンベヤによって搬送された戻りスラグを溜めておく回収ホッパを設けているので、溶融炉から排出されるスラグの回収作業を容易に行うことが可能となり、結晶化スラグの生産性を向上させると共に、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る溶融炉のスラグ回収装置を示す概略図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る溶融炉のスラグ回収装置を示す概略図である。
【図3】従来の溶融炉のスラグ回収装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 プラズマ灰溶融炉
2 ケーシング
3 溶融スラグ
4 モールド
5 空冷スラグコンベヤ
6 回収コンベヤ
10 回収ホッパ
16 スクレーパ
Claims (1)
- 溶融スラグを受け入れる複数のモールドが設けられているスラグコンベヤを備え、溶融炉から出滓された溶融スラグを前記モールドに導入した後、スラグ排出位置まで搬送しながら冷却するスラグ回収装置において、前記スラグコンベヤの下方に、前記モールドに残った戻りスラグを回収すべく、前記スラグコンベヤと反対方向へ循環回転する回収コンベヤを設置すると共に、前記スラグコンベヤのスラグ排出位置と反対側に前記回収コンベヤによって搬送された戻りスラグを溜めておく回収ホッパを設けたことを特徴とする溶融炉のスラグ回収装置。
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