JP3572228B2 - 薄膜電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜電子部品に関し、特に、基体上に薄膜電子部品本体を設けてなり、薄膜電子部品本体が、基体に接合される下側電極を有する、特に薄膜コンデンサに好適に用いられる薄膜電子部品に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、電子機器の小型化、高機能化に伴い、電子機器内に設置される電子部品にも小型化、薄型化、高周波対応などの要求が強くなってきている。
【0003】
特に、大量の情報を高速に処理する必要のあるコンピュータの高速デジタル回路では、パーソナルコンピュータレベルにおいても、CPUチップ内のクロック周波数は200MHzから1GHz、チップ間バスのクロック周波数も75MHzから100MHzという具合に高速化が顕著である。
【0004】
また、LSIの集積度が高まりチップ内の素子数の増大につれ、消費電力を抑えるために電源電圧は低下の傾向にある。これらIC回路の高速化、高密度化、低電圧化に伴い、コンデンサ等の受動部品も小型大容量化と併せて、高周波もしくは高速パルスに対して優れた特性を示すことが必須になってきている。
【0005】
コンデンサを小型高容量にするためには、一対の電極に挟持された誘電体を薄くし、薄膜化することが最も有効である。薄膜化は上述した電圧の低下の傾向にも適合している。
【0006】
一方、IC回路の高速動作に伴う諸問題は、各素子の小型化よりも一層深刻な問題である。このうち、コンデンサの役割である高周波ノイズの除去機能において、特に重要となるのは、論理回路の同時切り替えが発生したときに生ずる電源電圧の瞬間的な低下を、コンデンサに蓄積されたエネルギーを瞬時に供給することにより低減する機能であり、いわゆるデカップリングコンデンサと称されるものである。
【0007】
このデカップリングコンデンサに要求される性能は、クロック周波数よりも速い負荷部の電流変動に対して、いかにすばやく電流を供給できるかにある。従って、100MHzから1GHzにおける周波数領域に対してコンデンサとして確実に機能しなければならない。
【0008】
しかし、実際のコンデンサは静電容量成分の他に、抵抗成分、インダクタンス成分を持つ。容量成分のインピーダンスは周波数増加とともに減少し、インダクタンス成分は周波数の増加とともに増大する。
【0009】
このため、動作周波数が高くなるにつれ、素子の持つインダクタンスが供給すべき過渡電流を制限してしまい、ロジック回路側の電源電圧の瞬時低下、または新たな電圧ノイズを発生させてしまう。結果として、ロジック回路上のエラーを引き起こしてしまう。特に最近のLSIは総素子数の増大による消費電力増大を抑えるために電源電圧は低下しており、電源電圧の許容変動幅も小さくなっている。従って、高速動作時の電圧変動幅を最小に抑えるため、デカップリングコンデンサ自身の持つインダクタンスおよび抵抗を減少させることが非常に重要である。
【0010】
インダクタンスを減少させる方法として最も効果的な手法は電流経路の長さを最小にする方法であり、単位面積あたりの容量を増加させて小型化を図ればよく、コンデンサ素子を薄膜化することにより達成できる。特に、大容量で高周波特性の良好なコンデンサを得る目的で、誘電体厚さを1μm以下に薄膜化した例が特開昭60−94716号公報等に開示されている。
【0011】
一方、薄膜コンデンサの抵抗成分はその電極材料の抵抗率によってほぼ決定される。現在、報告されている薄膜電子部品で使用されている電極材料はPtが殆どである。Ptは耐酸化性、耐反応性に優れているが、その抵抗率は大きく、100MHzから1GHzという高周波領域で使用する薄膜コンデンサにおいては、抵抗値が大きすぎてコンデンサとして十分に機能することが期待できない。
【0012】
また、コンデンサの抵抗を下げる手法として積層化があるが、薄膜コンデンサの場合工程が複雑であるため、高コスト化につながるという問題がある。
【0013】
通常、低抵抗な電極材料として、Cu、Ni、AgおよびAuが考えられる。しかしながら、Cu、Niは耐酸化性に問題があり、誘電体薄膜層形成時の高温での処理が必要な薄膜コンデンサにおいては電極として使用するのが困難である。Agは耐酸化性の点ではCu、Niに比較して優れているものの、マイグレーションおよび誘電体との反応の問題があり、薄膜コンデンサの電極として使用するのは困難である。
【0014】
一方、Auは耐酸化性が良好であり、誘電体との反応もないため、薄膜コンデンサの電極として十分使用可能である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、単にAuを下側電極として使用して薄膜コンデンサを形成しようとすると、基体とAuとの密着不良が多発し、薄膜コンデンサを基体上に形成することができないという問題があった。
【0016】
このような基体とAuとの密着不良を防止するため、Auと基体との間に密着層を介装することが行われている。例えば、特開昭56−50505号公報(マイクロ波MOMコンデンサの製造方法)には、Au/Pt/Ti、またはCu/Ti/Crが下側電極の層構成として提案されている。
【0017】
また、特開昭56−83917号公報(薄膜コンデンサ)、特開昭56−147465号公報(薄膜コンデンサの製造方法)には、Au/Pt/Crが下側電極の層構成として提案されている。
【0018】
しかし、上記した下側電極の層構成では400℃以下の低温合成のSiO2 等を誘電体薄膜として使用する薄膜コンデンサでは問題は生じないが、例えば、スパッタリング方やCVD法、ゾルゲル法を用いて合成される様な高誘電率を示すペロブスカイト型酸化物を誘電体層として用いる場合、形成温度が500〜850℃となるため、密着層として用いたTiやCrが誘電体層へ拡散し、誘電体層の結晶性を劣化させてしまうという問題点があった。
【0019】
また、特にゾルゲル法では、一般的に大気もしくは酸素中での高温でのアニールが必要となるため、TiやCrからなる密着層の酸化が生じ、密着層が金属として存在しなくなり、密着不良が生じてしまうという問題があり、高誘電率を示すペロブスカイト型誘電体を誘電体層として用いる薄膜コンデンサの下側電極には使用できなかった。
【0020】
高温プロセスにおける密着層の拡散及び酸化を防止する電極層の層構成として、Pt/Ti/TiO2 の層構成が提案されており(表面技術,Vol.45,No.12,1994、表面技術, Vol.46,No.8,1995)、これらの文献によると、Pt/Ti/TiO2 の層構成にすることによって、1100℃の大気中アニールを行っても、Tiの拡散並びにTiの酸化が抑制され、密着性の劣化しない電極を得ることができるものであった。
【0021】
しかしながら、この文献に記載された電極の層構成では、上記したように、Ptを用いていたため、抵抗が高すぎるため、インピーダンスが高くなり、高周波用途の薄膜コンデンサとしては用いることができなかった。
【0022】
本発明は、電子部品本体の基体への接合強度を向上できる薄膜電子部品を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜電子部品は、基体と、該基体上に形成された金属酸化物層と、該金属酸化物層上に形成され、該金属酸化物層と同一の金属からなる金属層と、該金属層上に形成されたAu層と、該Au層上に接合された薄膜電子部品本体とからなるとともに、前記金属酸化物層および前記金属層に含まれる金属がTiまたはCrであり、前記金属層の厚みが30nm以下である。
【0024】
本発明では、金属酸化物層は、基体と密着層との接合強度を向上するための中間層として用いられる。また、金属酸化物層と金属層は、同一金属を用いているため、金属層の金属酸化物層への濡れ性及び被覆性が向上でき、金属層の厚みが薄い場合でも、金属層とAu層、並びに金属層と金属酸化物層の接合強度を確保することができる。また、さらには、高温アニール下における密着層の拡散や酸化を抑制できるので、高温プロセスを用いるような薄膜電子部品の電極として使用可能となる。
【0025】
また、例えば、薄膜電子部品本体が薄膜容量素子である場合には、Au層は低抵抗であり、耐酸化性に優れており、しかも、誘電体層との反応も小さいので、誘電体層の結晶性を劣化させることがなく、高容量のコンデンサを形成することができる。
【0026】
また、本発明の薄膜電子部品では、薄膜電子部品本体には誘電体層を有しており、該誘電体層がペロブスカイト型酸化物からなることが望ましい。
【0027】
また、下側電極の金属層の厚みが30nm以下である。このように、金属層の厚みが薄いことにより、高温でのアニールや焼成条件下等においても、金属層のAu層や誘電体層への拡散や、金属層自身の酸化が抑制される為、下側電極層Auの金属層への密着性を向上することが可能となる。
【0028】
またAu電極表面に、金属層の金属の拡散が生じないので、高温アニール下でのペロブスカイト型酸化物の結晶性を劣化させることなく、誘電体層を形成できるので、例えば、高容量の薄膜コンデンサを形成することが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の薄膜電子部品を薄膜コンデンサを例に説明する。本発明の薄膜コンデンサは、図1に示すように、基体1上に薄膜電子部品本体(薄膜容量素子)Aが設けられており、この薄膜電子部品本体Aは、基体1上に形成された金属酸化物層2と、金属酸化物層2上に形成された金属層3と、金属層3上に形成されたAu層4とからなる下側電極5を有している。
【0030】
ここで、薄膜電子部品本体Aが形成される基体1としては、アルミナ、サファイア、窒化アルミ、MgO単結晶、SrTiO3 単結晶、表面酸化シリコン、ガラス、石英等から選択されるもので特に限定されない。
【0031】
そして、本発明では、金属酸化物層2に含有されている金属と、金属層3を構成する金属は同一とされており、特に、他の金属や金属酸化物との反応性が高いという点からTiまたはCrであることが望ましい。これらの合金であっても良い。
【0032】
下側電極5の金属層3の厚みは30nm以下であることが望ましい。これは、金属層3の厚みが30nmよりも厚いと、高温アニール下において、金属相の拡散や酸化が生じ易くなるからであり、特に誘電体の結晶性向上という点から3〜20nmであることが望ましい。下側電極5はスパッタ、蒸着等の手法で形成することができる。
【0033】
Au層4の膜厚は高周波領域でのインピーダンスと膜の被覆性を考慮すると0.3〜0.5μmが望ましい。Au層4の膜厚が0.3μmよりも薄い場合には、一部に被覆されない部分が発生する虞があるからであり、また0.5μmよりも厚い場合は、高周波領域における導体の表皮効果を考慮すると導体層の抵抗は殆ど変化しないからである。
【0034】
この下側電極5には、ペロブスカイト型酸化物からなる誘電体膜6が形成され、この誘電体膜6上にはAuからなる上側電極層7が形成されている。
【0035】
誘電体膜6は、高周波領域において高い比誘電率を有するペロブスカイト型酸化物結晶からなる誘電体でよく、例えばPb(Mg,Nb)O3 系、Pb(Mg,Nb)O3 −PbTiO3 系、Pb(Zr,Ti)O3 系、Pb(Mg,Nb)O3 −Pb(Zr,Ti)O3 系、(Pb,La)ZrTiO3 系、BaTiO3 系、(Sr,Ba)TiO3 系、あるいはこれに他の添加物を添加したり、置換した化合物であってもよく、特に限定されるものではない。
【0036】
また、上側電極層7はAuからなるものである。薄膜コンデンサの電極として十分使用可能だからである。このような上側電極層7はスパッタ、蒸着等の手法で形成可能であれば良く、その膜厚は、下側電極層5の場合と同様の理由から0.3〜0.5μmが望ましい。即ち、0.3μmよりも薄い場合には、一部に被覆されない部分が発生する虞があるからであり、また0.5μmよりも厚い場合は、高周波領域における導体の表皮効果を考慮すると導体層の抵抗は殆ど変化しないからである。
【0037】
また、誘電体膜6の膜厚は、高容量と絶縁性を確保するため0.3〜1.0μmが望ましい。これは0.3μmよりも薄い場合には被覆性が良好でなく、絶縁性が低下する場合があり、1.0μmよりも厚い場合には、容量が小さくなるからである。誘電体膜3の膜厚は特に0.4〜0.8μmが望ましい。
【0038】
上側電極層7上には、Ni等に代表される拡散防止層8が形成され、この拡散防止層8上には、ハンダバンプ9が形成されている。拡散防止層8はNiからなるものであり、スパッタ、蒸着、メッキ等で形成可能であれば良い。拡散防止層8のNi膜厚は公知技術であるが、一般的に0.5〜1μmが望ましい。拡散防止層8は少なくともハンダバンプ9が形成される部分のみに形成されていれば良く、コストの点を除けば上側電極層7の全面に形成しても良い。
【0039】
また、ハンダバンプ9と拡散防止層8との間に、ハンダ濡れ性の良好な密着層を形成しても良い。ハンダ濡れ性の良好な材料として、Ni−Cr、Au等があり、特にAuが望ましい。
【0040】
薄膜電子部品本体Aは、ハンダバンプ9の先端部が露出するように、例えば、感光性樹脂からなる保護膜10で被覆されている。保護膜10としては薄膜コンデンサの表面を保護するためのものであり、例えば、Si3 N4 、SiO2 、ポリイミド樹脂およびBCB(ベンゾシクロブテン)等からなるもので、上記例ではBCB樹脂を用いた。
【0041】
保護膜10は、ハンダバンプ9が形成されている部分が除去されて、拡散防止層8を露出し、この露出した拡散防止層8にハンダバンプ9が形成されている。ハンダバンプ9はスクリーン印刷、ボールマウンター等の公知の技術を用いて形成されている。
【0042】
上記のようにして構成された薄膜コンデンサは、上側電極層7上に形成されたハンダバンプ9を、電子部品が搭載される母基板の表面の電極に接続して用いられる。
【0043】
以上のように構成された薄膜コンデンサでは、抵抗の小さいAuからなる電極層5、7を用いたため高周波での抵抗を低下できるとともに、高誘電率のペロブスカイト型酸化物を誘電体層6として使用可能であるため、高容量の薄膜コンデンサが形成でき、高周波でのインピーダンスを低下することが可能となる。
【0044】
尚、上記例では、本発明を薄膜コンデンサに適用した例について説明したが、本発明では上記例に限定されるものではなく、例えば、薄膜インダクタ、薄膜LCフィルタ、あるいはこれらを複合した薄膜複合部品に適用しても良い。
【0045】
また、上記例では、一層の誘電体層を電極で挟持した単板型を示したが、複数の誘電体層と電極とを交互に積層した薄膜コンデンサであっても良い。
【0046】
【実施例】
電極層ならびに拡散防止層の形成は高周波マグネトロンスパッタ法を、誘電体膜層はゾルゲル法にて作製した。
【0047】
先ず、アルミナ基体上に膜厚40nmのTi層を形成した後、750℃10分の大気中アニールによって、TiO2 からなる金属酸化物層とした。その後、同じくスパッタ法により、Tiからなる金属層と、0.3μmのAu層を形成し、下側電極層とした。この時、金属層を0nm、3nm、6nm、10nm、20nm、30nmの6種の厚みで形成した。
【0048】
そして、下側電極層上に、ゾルゲル法にて合成したPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 −PbTiO3 −PbZrO3 塗布溶液をスピンコート法を用いて塗布し、乾燥させた後、380℃で熱処理、815℃で焼成を行い、膜厚0.7μmのPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 −PbTiO3 −PbZrO3 からなる誘電体膜を形成した。
【0049】
次に、誘電体膜の上面に、膜厚0.3μmのAu、30nmのTiからなる上側電極層を形成し、薄膜コンデンサとした。
【0050】
これら薄膜コンデンサの形成状態、および25℃、1KHzにおける誘電体膜の比誘電率、並びに誘電体膜の結晶性を表1に示した。結晶性としては高誘電率層であるペロブスカイト層と低誘電率であるパイロクロア層の存在比率をX線回折の強度比で示した。
【0051】
【表1】
【0052】
Ti層0nmの試料No.1では、基体上に形成される金属酸化物層とAu層との間で剥離が生じ、誘電体膜焼成後、剥離が生じ、薄膜コンデンサを形成できなかった。金属層30nmの試料では剥離は生じなかったが、誘電体膜の比誘電率が低下した。。この場合、ペロブスカイト層の存在比率は70%と小さく、若干、金属相の拡散が生じ、誘電体膜の結晶性が低下したと考えられる。
【0053】
金属層3nm、6nm、10nm、20nmでは剥離は生じず、Tiからなる金属層が密着層として機能していることがわかる。また、誘電体膜の結晶性も85%以上であり、比誘電率として2500以上の高い誘電率を有する誘電体膜が形成できるのがわかる。
【0054】
尚、基体表面に直接Tiからなる厚さ10nmの金属層を形成し、この表面に0.3μmのAu層を形成する以外は上記と同様にして、比較例の試料No.7を作製したところ、金属酸化物層がない場合には、剥離やAu層の凝集が多発し、薄膜コンデンサを形成できないことが判る。
【0055】
実施例2
また、金属酸化物層および金属層の金属をCrで形成する以外は、上記実施例1と同様にして薄膜コンデンサを作製した。その後、拡散防止層を形成した後、膜厚3.5μmのBCB樹脂からなる保護膜層を形成し、この保護膜層のハンダバンプの形成位置部分にヴィアホール加工を施し、拡散防止層を露出させた。
【0056】
【表2】
【0057】
Tiからなる金属層を用いた場合と同様に、Crからなる金属層を用いた場合も、その厚みが3nm、6nm、10nm、20nmでは、剥離は生じず、金属層が密着層として機能していることがわかる。また、誘電体膜の結晶性も85%以上であり、比誘電率として2500以上の高い誘電率を有する誘電体膜が形成できているのがわかる。但し、30nmでは、剥離を生じず、薄膜コンデンサの形成が可能であったが、Crの拡散が生じはじめ、誘電率が低下ことが判る。
【0058】
次に、スクリーン印刷により、ハンダペーストを印刷した後、リフロー処理し、図1に示したようなハンダバンプを有する薄膜コンデンサを得た。
【0059】
作製した薄膜コンデンサの1MHzから1.8GHzでのインピーダンス特性をインピーダンスアナライザー(ヒューレットパッカード社製HP4291A)を用いて評価した。その結果を図2に示した。
【0060】
この図2から、本発明の薄膜コンデンサは、共振周波数(190MHz)で0.07Ωのインピーダンスを有するとともに、容量も30nF(1MHz)という優れた特性を有することが判る。
【0061】
また、比較例として、本発明者は、下側電極層を、TiO2 からなる金属酸化物層、Tiからなる金属層、Pt層とから構成し、上側電極層としてAuを有する薄膜コンデンサを形成し、インピーダンス特性を評価した。作製した薄膜コンデンサの特性結果を図2に比較例として示す。本発明の薄膜コンデンサは、比較例(0.3Ω)よりもインピーダンスが非常に小さいことが判る。従って、Ptからなる金属層を用いたい場合には、低インピーダンス特性を示す薄膜コンデンサを得ることができないことが判る。
【0062】
【発明の効果】
以上の詳述したように、本発明によれば、下側電極を、基体上に形成される金属酸化物層と、該金属酸化物層上に形成され、該金属酸化物層と同一の金属からなる金属層と、該金属層上に形成されたAu層とから構成したので、基体と金属酸化物との接合強度を向上でき、金金属層の厚みが薄い場合でも金属酸化物層と金属層との接合強度を向上でき、金属層とAu層との接合強度を向上でき、電子部品本体の基体への接合強度を向上できる。
【0063】
本発明の薄膜電子部品を薄膜コンデンサに適用した場合には、Au層は低抵抗であり、耐酸化性に優れており、しかも、下側電極の金属層の金属が誘電体層へ拡散することがなく、誘電体層の結晶性を劣化させることがなく、低抵抗かつ高容量の低インピーダンスの薄膜コンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜コンデンサを示す断面図である。
【図2】薄膜コンデンサのインピーダンス特性を示す図である。
【符号の説明】
1・・・基体
2・・・金属酸化物層
3・・・金属層
4・・・Au層
5・・・下側電極
6・・・誘電体膜
7・・・上側電極層
8・・・拡散防止層
9・・・ハンダバンプ
10・・・保護膜層
A・・・薄膜電子部品本体
Claims (2)
- 基体と、該基体上に形成された金属酸化物層と、該金属酸化物層上に形成され、該金属酸化物層と同一の金属からなる金属層と、該金属層上に形成されたAu層と、該Au層上に接合された薄膜電子部品本体とからなるとともに、前記金属酸化物層および前記金属層に含まれる金属がTiまたはCrであり、前記金属層の厚みが30nm以下であることを特徴とする薄膜電子部品。
- 薄膜電子部品本体が薄膜容量素子であることを特徴とする請求項1記載の薄膜電子部品。
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