JP2001284168A - 薄膜電子部品および基板 - Google Patents

薄膜電子部品および基板

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JP2001284168A
JP2001284168A JP2000096540A JP2000096540A JP2001284168A JP 2001284168 A JP2001284168 A JP 2001284168A JP 2000096540 A JP2000096540 A JP 2000096540A JP 2000096540 A JP2000096540 A JP 2000096540A JP 2001284168 A JP2001284168 A JP 2001284168A
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film
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hole
electronic component
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English (en)
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Naonori Nagakari
尚謙 永仮
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】貫通孔内面に形成される膜の被覆性を向上で
き、これにより半田の電極への拡散を防止できるととも
に、外部端子と貫通孔の内壁との接続強度を向上できる
薄膜電子部品および基板を提供する。 【解決手段】支持基板1上に、電極5、7および絶縁体
層3を有する薄膜素子Aを設け、該薄膜素子A上に絶縁
性保護膜9を形成してなるとともに、該絶縁性保護膜9
に複数の貫通孔13a、13bを形成し、該複数の貫通
孔13a、13b内に、電極5、7に電気的に接続され
る異なる極性の一対の外部端子11をそれぞれ設けてな
る薄膜電子部品であって、絶縁性保護膜9の貫通孔13
a、13bが、電極5側から絶縁性保護膜9の表面側に
向かって連続的に拡径しており、貫通孔13a、13b
の内壁が電極5、7に対して所定角度αを有する直線状
傾斜面によって形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜電子部品およ
び基板に関し、例えば、薄膜コンデンサ、薄膜インダク
タ、薄膜フィルタ等に好適に用いられる高周波用途の薄
膜電子部品および基板に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、電子機器の小型化、高機能化に伴
い、電子機器内に設置される電子部品にも小型化、薄型
化、高周波対応などの要求が強くなってきている。
【0003】特に、大量の情報を高速に処理する必要の
あるコンピュータの高速デジタル回路では、パーソナル
コンピュータレベルにおいても、CPUチップ内のクロ
ック周波数は200MHzから1GHz、チップ間バス
のクロック周波数も75MHzから133MHzという
具合に高速化が顕著である。
【0004】また、LSIの集積度が高まりチップ内の
素子数の増大につれ、消費電力を抑えるために電源電圧
は低下の傾向にある。これらIC回路の高速化、高密度
化、低電圧化に伴い、コンデンサ等の受動部品も小型大
容量化と併せて、高周波もしくは高速パルスに対して優
れた特性を示すことが必須になってきている。
【0005】動作周波数が高くなるにつれ、素子の持つ
抵抗やインダクタンスがロジック回路側の電源電圧の瞬
時低下、または新たな電圧ノイズを発生させてしまい。
結果として、ロジック回路上のエラーを引き起こしてし
まう。特に最近のLSIは総素子数の増大による消費電
力増大を抑えるために電源電圧は低下しており、電源電
圧の許容変動幅も小さくなっている。今後、さらに素子
数の増大と動作周波数の増加が促進されると、実装部分
の抵抗、インダクタンス成分も無視できなくなり、ロジ
ック回路エラーの一要因となってくる。
【0006】また、素子数の増大に伴う実装精度の向上
や、部品実装に伴うリフロー耐性の向上等、前述した受
動素子自身の電気的な特性だけではなく、実装に関する
特性(実装精度、実装信頼性)も高いレベルで要求され
るようになってきている。
【0007】コンデンサの接続部のインダクタンスを低
減させため、USP4,439,813には、TiW、
Ta及びAl、Cuからなる下部電極からの電気信号を
最短距離で得るため、誘電体層、上側電極層及び保護層
に貫通孔を設け、この貫通孔内面にCr/Cu/Auか
らなる積層金属層(以下、BLM層という。)を形成し
た後、このBLM層上に半田バンプからなる外部端子を
形成している。
【0008】図3は、この公報に開示されたコンデンサ
を示すもので、支持基板31上に、下側電極層33、絶
縁体層35、上側電極層37、保護層39を順次積層し
て構成されており、保護層39には貫通孔40が形成さ
れ、この貫通孔40内面に形成されたBLM層41に外
部端子42が接続され、上側電極層37には、保護層3
9に形成された貫通孔40とBLM層41を介して外部
端子44が接続され、外部端子44は絶縁体層35上に
形成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のような外部端子
を有するコンデンサでは、外部端子42、44が形成さ
れるBLM層41の厚み、被覆性が素子信頼性、実装信
頼性に影響する。しかしながら上記のコンデンサでは、
下側電極層33に接続される外部端子42を収容するた
めの貫通孔40の内壁に、その保護層39の高さ方向中
央部付近に平坦部47が形成されていたため、この平坦
部47の存在により貫通孔40内に突出する角部49が
形成されており、これにより、この角部49におけるB
LM層41に内部応力が集中し、BLM層41にクラッ
クが生成し易く、このクラックを介して半田が拡散した
り、また貫通孔40の内壁と外部端子42との接続強度
が劣化し、外部端子42の底面と、この底面に接続され
る電極とが剥離する等、素子信頼性および実装信頼性が
低下するという問題があった。
【0010】このようなクラックの発生を防止するため
BLM層41を厚くすることが考えられるが、この場合
にはBLM層41の内部応力が大きくなり、剥がれなど
の密着不良が生じるという問題があった。本発明は、貫
通孔内面に形成される膜の被覆性を向上でき、これによ
り半田の電極への拡散を防止できるとともに、外部端子
と貫通孔の内壁との接続強度を向上できる薄膜電子部品
および基板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜電子部品
は、支持基板上に、電極および絶縁体層を有する薄膜素
子を設け、該薄膜素子上に絶縁性保護膜を形成してなる
とともに、該絶縁性保護膜に複数の貫通孔を形成し、該
複数の貫通孔内に、前記電極に電気的に接続される異な
る極性の一対の外部端子をそれぞれ設けてなる薄膜電子
部品であって、前記絶縁性保護膜の貫通孔が、前記電極
側から前記絶縁性保護膜の表面に向かって連続的に拡径
していることを特徴とする。
【0012】このように、絶縁性保護膜の貫通孔が、前
記電極側から前記絶縁性保護膜の表面に向かって連続的
に拡径している、言い換えれば、貫通孔の内壁が前記電
極に対して所定角度を有する直線状傾斜面によって形成
されているため、貫通孔内に突出するような角部が形成
されず、貫通孔の直線状傾斜面からなる内壁面に形成さ
れる半田拡散防止層の被覆性を向上できる。
【0013】これにより、内壁面からの半田拡散に起因
するリフロー耐性の劣化を抑制できるとともに、膜厚を
薄くしても半田拡散防止効果を発揮できる為、半田拡散
防止層自身の内部応力をさらに低減でき、剥離や浮きに
起因する素子信頼性の劣化を抑制できる。
【0014】さらに、貫通孔内面に形成される半田拡散
防止層などの膜の被覆性を向上できるため、貫通孔の内
壁と、この貫通孔内に充填形成される外部端子との接続
強度を向上でき、貫通孔内に充填して形成される半田バ
ンプからなる外部端子と、その下面が接合される電極と
の剥離を防止できる。
【0015】また、本発明の薄膜電子部品では、絶縁性
保護膜の貫通孔が、絶縁体層が形成されていない絶縁体
層非形成領域に形成されており、該貫通孔内の外部端子
が、電極層を介して支持基板に設けられていることが望
ましい。
【0016】このように一対の外部端子を、絶縁体層非
形成領域に、電極層を介して支持基板に設けたので、一
対の外部端子は絶縁体層上に形成されておらず、外部端
子は絶縁体層と所定距離をおいて形成されているため、
薄膜素子の絶縁体層は、絶縁体層の厚みに対して非常に
大きな半田バンプからなる外部端子が、リフロー時に収
縮しても、リフロー工程で生じる外部端子の熱収縮に伴
う応力に対して、絶縁体層が直接ダメージを受けず、絶
縁体層に過大な応力が発生することがなく、絶縁体層に
おけるクラック発生を防止することができ、クラックに
半田が流れ込むことがなく、これにより絶縁性を確保す
ることができ、素子特性を維持した状態で、かつ実装信
頼性も確保できる。
【0017】また、本発明の貫通孔の内壁面を形成する
直線状傾斜面は、電極に対して15〜60度の角度を有
することが望ましい。これは、この範囲内で、例えば、
半田拡散防止層の貫通孔の内壁への被覆性をさらに向上
できるとともに、絶縁層の厚みを所定厚みとすることが
でき、また、薄膜電子部品の大型化を防止できる。
【0018】また、絶縁性保護膜の厚みを1.5〜6.
0μmとすることにより、耐湿性を確保できるとともに
絶縁性保護膜自身の内部応力を小さくでき、薄膜素子と
の密着性を向上できる。
【0019】さらに、絶縁性保護膜の電極側面における
貫通孔形状を円形状とし、その直径を80〜140μm
とすることにより、外部端子と支持基板との接続強度を
確保できるとともに、外部端子の大型化を達成できる。
【0020】また、薄膜素子の電極はAuからなること
が望ましい。このようにAuからなる電極を用いること
により、薄膜素子の高周波化を促進できるとともに、こ
のようにAuからなる電極を用いたとしても、貫通孔の
内壁が直線状傾斜面であるため被覆性の良好な半田拡散
防止層を形成することができ、半田のAuへの拡散を防
止することができ、半田と電極との界面における合金層
の形成が抑制され、半田バンプの密着強度の劣化を抑制
できるとともに、リフロー時に半田成分がAuからなる
電極を介して拡散することを防止でき、電極間のショー
トや、Auからなる電極層消失による特性劣化を抑制で
き、リフロー耐性を向上できる。
【0021】さらに、薄膜素子は、絶縁体層を下側電極
層と上側電極層により挟持した受動素子であることが望
ましい。このような薄膜コンデンサ、薄膜インダクタ、
薄膜フィルタ等の薄膜電子部品では、絶縁体層が薄く、
しかも良好な高周波特性が要求されるため、本発明を用
いる意義は大きい。
【0022】さらに、本発明の基板は、基体の表面に、
上記薄膜電子部品を設けてなるものである。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の薄膜コンデンサ
からなる薄膜電子部品を示すもので、この薄膜コンデン
サは、図1に示すように、支持基板1上に、絶縁体層3
(誘電体薄膜)と電極層5、7を有する薄膜素子Aが複
数設けられて構成されている。電極層5、7はAuから
構成され、絶縁体層3は電極層5、7により挟持され
て、薄膜素子A(容量素子)が構成されている。
【0024】薄膜コンデンサの誘電体薄膜を構成する絶
縁体層3は、高周波領域において高い比誘電率を有する
ペロブスカイト型酸化物結晶からなる誘電体でよく、例
えばPb(Mg,Nb)O3系、Pb(Mg,Nb)O3
−PbTiO3系、Pb(Zr,Ti)O3系、Pb(M
g,Nb)O3−Pb(Zr,Ti)O3系、(Pb,L
a)ZrTiO3 系、BaTiO3 系、(Sr,Ba)
TiO3 系、あるいはこれに他の添加物を添加したり、
置換した化合物であってもよく、特に限定されるもので
はない。
【0025】また、絶縁体層3の膜厚は、高容量と絶縁
性を確保するため0.3〜1.0μmが望ましい。これ
は0.3μmよりも薄い場合には被覆性が良好でなく、
絶縁性が低下する場合があり、1.0μmよりも厚い場
合には、容量が小さくなる傾向があるからである。絶縁
体層3の膜厚は0.4〜0.8μmが望ましい。
【0026】Auからなる電極層5、7の膜厚は、高周
波領域でのインピーダンスと膜の被覆性を考慮すると
0.3〜0.5μmが望ましい。電極層5、7の膜厚が
0.3μmよりも薄い場合には、一部に被覆されない部
分が発生する虞があるからであり、また0.5μmより
も厚い場合は、高周波領域における導体の表皮効果を考
慮すると導体層の抵抗は殆ど変化しないからである。
【0027】ここで、支持基板1としては、アルミナ、
サファイア、窒化アルミ、MgO単結晶、SrTiO3
単結晶、表面酸化シリコン、ガラス、石英等から選択さ
れるもので特に限定されない。
【0028】そして、薄膜素子A、および絶縁体層3が
形成されていない絶縁体層非形成領域Bは保護膜9によ
り被覆され、この保護膜9には、半田バンプ11が突出
して設けられている。
【0029】保護膜9は、薄膜コンデンサの表面を保護
するためのものであり、例えば、Si34 、SiO
2 、ポリイミド樹脂およびBCB(ベンゾシクロブテ
ン)等から構成されている。また、保護膜9の厚みは
1.5〜6.0μmであることが望ましい。これによ
り、耐湿性を確保できるとともに絶縁性保護膜自身の内
部応力を小さくでき、薄膜素子との密着性を向上でき
る。
【0030】絶縁体層非形成領域Bにおける保護膜9に
は貫通孔13a、13bが形成され、貫通孔13aの底
面には上側電極層7が露出しており、また、貫通孔13
bの底面には下側電極層5の上面に形成された金属層1
5が露出している。貫通孔13aの底面に露出した上側
電極層7は、金属層16を介して支持基板1に接合され
ており、下側電極層5は支持基板1に直接接合されてい
る。
【0031】金属層15は、絶縁体層3の表面および絶
縁体層非形成領域Bに形成された上側電極層7を、絶縁
体層非形成領域Bの周りを環状にエッチングすることに
より上側電極層7から分離されて形成されている。ま
た、金属層16は、絶縁体層非形成領域Bの周りを環状
にエッチングすることにより下側電極層5から分離され
て形成されている。
【0032】そして、絶縁体層非形成領域Bにおける貫
通孔13a、13bは、電極5、7側から絶縁性保護膜
9の表面に向かって連続的に拡径しており、その内壁は
直線状傾斜面によって形成されている。そして、この貫
通孔13a、13bの内壁は、電極5、7に対して所定
角度αを有する直線状傾斜面によって形成されている。
この貫通孔13a、13bの内壁と電極5、7との角度
αは、15〜60度であることが望ましい。角度αが1
5〜60度の範囲においては、膜厚の薄い場合でも充分
な被覆性を確保できる為、膜厚の薄い低応力の膜で半田
拡散防止層を形成することができる。一方、60度を超
える角度では、内壁の被覆性が低下し、また、15度未
満では被覆性は向上するが、絶縁保護膜の厚みを厚くす
ることが困難となり、湿気に対する信頼性が劣化するか
らである。
【0033】貫通孔13a、13bの内壁およびその周
りの表面には半田拡散防止層(半田バリア層)17が被
覆されており、この半田拡散防止金属17の表面に半田
バンプからなる異なる極性の一対の外部端子11が形成
されている。
【0034】また、絶縁性保護膜9の電極5、7側面に
おける貫通孔形状は円形状であることが望ましく、その
直径は80〜140μmであることが望ましい。これに
より、外部端子11と支持基板1との接続強度を確保で
きるとともに、外部端子11の大型化を達成できる。一
方、直径が80μm未満では、外部端子1個での接続強
度を確保することが困難となり、素子自身の接続強度を
確保する為には、多数の外部端子を必要とするからであ
り、140μmより大きくなると、素子自身の巨大化に
つながり、小型化の移行とは相反してしまうからであ
る。
【0035】半田拡散防止層17は、Ti、Cr、N
i、Cu、Pd、Pt、およびこれらの金属から選ばれ
る2種以上からなる合金のうちいずれかからなり、スパ
ッタ、蒸着、メッキ等で形成可能であれば良いが、比較
的緻密な膜を形成可能なスパッタ法で形成されるのが望
ましい。半田拡散防止層17の厚みは、半田バリアとし
ての機能を発現するためには0.3μm以上1.0μm
の厚みであれば充分である。
【0036】半田バンプからなる外部端子11は、P
b、Sn、Ag、In、Cu、Bi、SbおよびZnの
うち少なくとも2種以上の金属からなることが望まし
く、薄膜電子部品の用途に応じて、融点及び共晶温度の
異なる材料を選択すればよい。また、半田バンプ11は
スクリーン印刷、ボールマウンター等の公知の技術を用
いて形成される。
【0037】また、外部端子11と、半田拡散防止層1
7との間には、ハンダ濡れ性の良好な半田密着層が形成
されていることが望ましい。ハンダ濡れ性の良好な材料
として、Ni−Cr、Au等があり、特にAuが望まし
い。さらに、半田拡散防止層17とAuからなる電極
5、7および保護層9との密着性を向上させるため、こ
れらの間に公知の密着材料であるTiやCrを介在させ
てもよい。
【0038】以上のように構成された薄膜コンデンサで
は、貫通孔13a、13bの内壁が電極5、7に対して
所定角度αを有する直線状傾斜面とされているため、貫
通孔13a、13b内には、従来のような突出する角部
が形成されておらず、貫通孔の内面に形成される半田拡
散防止層17の被覆性を向上でき、これにより、内壁面
からの半田拡散に起因するリフロー耐性の劣化を抑制で
きるとともに、膜厚を薄くしても半田拡散防止効果を発
揮できる為、半田拡散防止層17自身の内部応力をさら
に低減でき、剥離や浮きに起因する素子信頼性の劣化を
抑制できる。
【0039】また、貫通孔13a、13b内面に形成さ
れる半田拡散防止層17の被覆性を向上できるため、貫
通孔13a、13bの内壁と、この貫通孔13a、13
b内に充填形成される外部端子11との接続強度を向上
でき、貫通孔11内に充填して形成される外部端子と、
その下面が接合される電極5、7との剥離を防止でき
る。
【0040】さらに、本発明では、一対の外部端子11
を、絶縁体層非形成領域Bに、電極5、7を介して支持
基板1に設けたので、一対の外部端子11は絶縁体層3
上に形成されておらず、外部端子11は絶縁体層3と所
定距離をおいて形成されているため、薄膜素子Aの絶縁
体層3は、絶縁体層3の厚みに対して非常に大きな半田
バンプからなる外部端子11が、リフロー時に収縮して
も、リフロー工程で生じる外部端子11の熱収縮に伴う
応力に対して、絶縁体層3が直接ダメージを受けず、絶
縁体層3に過大な応力が発生することがなく、絶縁体層
3におけるクラック発生を防止することができ、クラッ
クに半田が流れ込むことがなく、これにより絶縁性を確
保することができ、素子特性を維持した状態で、かつ実
装信頼性も確保できる。
【0041】また、薄膜素子Aの電極層5、7として、
抵抗の小さいAuからなる電極層5、7を用いたため、
高周波での抵抗を低下でき、薄膜素子Aの高周波化を促
進できる。さらに、高誘電率のペロブスカイト型酸化物
を絶縁体層3として使用できるため、高容量の薄膜コン
デンサを形成でき、高周波でのインピーダンスを低下す
ることができる。
【0042】さらに、Auからなる電極層5、7を用い
たとしても、外部端子11が、貫通孔13a、13b内
に形成された半田拡散防止層17を介して電極層5、7
に電気的に接続されるため、半田と電極層5、7との界
面における合金層の形成が防止され、外部端子11の密
着強度の劣化を抑制できるとともに、リフロー時に半田
成分がAuからなる電極層5、7を介して拡散すること
を防止でき、電極層5、7間のショートや、Auからな
る電極層5、7の消失による特性劣化を抑制でき、リフ
ロー耐性を向上できる。
【0043】尚、本発明での電極層5、7の材料は低抵
抗であり、かつ高温での耐酸化性及び誘電体材料との反
応の小さいAuからなる材料であるが、支持基板1との
密着性を上げるために、電極層5、7と支持基板1との
間にTiやCrに代表される密着層を介在しても良い。
【0044】本発明の基板は、図2に示すように、上記
のようにして構成された薄膜電子部品30の外部端子1
1を、絶縁材料からなる基体50の表面に形成された電
極51に接続して構成されている。
【0045】また、上記例では、本発明を薄膜コンデン
サに適用した例について説明したが、本発明では上記例
に限定されるものではなく、例えば、薄膜インダクタ、
薄膜LCフィルタ、あるいはこれらを複合した薄膜複合
部品に適用しても良い。
【0046】また、上記例では、一層の絶縁体層を電極
層で挟持した単板型を示したが、複数の絶縁体層と電極
層とを交互に積層した薄膜コンデンサであっても良い。
【0047】
【実施例】電極層ならびに半田拡散防止層の形成は高周
波マグネトロンスパッタ法を、絶縁体層(誘電体薄膜)
はゾルゲル法にて作製した。
【0048】先ず、アルミナからなる支持基板上にTi
からなる3nmの密着層を形成し、この密着層の上面
に、0.3μmのAu層を形成し、下側電極層とした。
フォトリソグラフィ技術を用いて、下側電極層をパター
ン加工した。
【0049】加工された下側電極層に、ゾルゲル法にて
合成したPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 −PbTiO3
−PbZrO3 塗布溶液をスピンコート法を用いて塗布
し、乾燥させた後、380℃で熱処理、815℃で焼成
を行い、膜厚0.7μmのPb(Mg1/3 Nb2/3 )O
3 −PbTiO3 −PbZrO3 からなる絶縁体層を形
成した。その後フォトリソグラフィ技術を用いて、絶縁
体層に貫通孔を形成した。
【0050】次に、絶縁体層の上面に、膜厚30nmの
Tiからなる密着層を形成し、この密着層上に膜厚0.
3μmのAu層を形成し、上側電極層とし、フォトリソ
グラフィ技術を用いて、上側電極層および密着層を加工
した。
【0051】この後、光感光性BCBを塗布し、露光、
現像を行い、Auからなる電極層が露出するように、直
径約100μm、深さ1μmの貫通孔を有する保護膜を
形成した。
【0052】この時、保護膜の露光条件及び現像条件並
びにポストベーク条件を変更し、表1に示すように、貫
通孔の内壁と電極とのなす角度αを異ならせた。
【0053】保護膜上および貫通孔内にスパッタ法によ
り、膜厚0.5μmの半田拡散防止層を形成し、この
後、膜厚0.1μmの半田密着層Auを形成し、保護膜
の貫通孔の内壁面、および保護膜表面における貫通孔周
囲が残留するように、貫通孔を中心に直径120μmの
形状にフォトリソグラフィを用いて加工した。
【0054】最後に、スクリーン印刷を用いて、加工さ
れた半田拡散防止層の上にPbが63重量%、Snが3
7重量%からなる共晶半田ペーストを転写し、リフロー
を行い、半田バンプからなる外部端子を形成し、図1に
示したような薄膜コンデンサを得た。
【0055】得られた薄膜コンデンサの有効電極面積は
1.4mm2であり、周波数1kHzでの静電容量は約
40nFであった。
【0056】端子構造の違いを比較するため、内壁部の
半田拡散防止層の被覆性、リフロー耐性試験後のボール
シェア強度を、シェア強度テスターを用いて各リフロー
後に測定し、その結果を表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】この表1によると、貫通孔の内壁が電極側
から絶縁性保護膜の表面側に向かって連続的に拡径した
直線状傾斜面からなり、電極とのなす角度αが15〜6
0度の本発明の薄膜コンデンサでは、半田拡散防止層の
厚みが0.5μm確保できており、リフロー1回目とリ
フロー10回目のシェア強度劣化が約5%程度しかな
く、外部端子と電極とが優れた接合強度を有するととも
に、リフロー耐性も向上できていることがわかる。
【0059】一方、図3に示すような従来の薄膜電子部
品について、上記と同様の評価を行ったところ、内壁部
の半田拡散防止層の厚みは、0.5μm確保できていた
が、リフロー1回目と10回目のシェア強度劣化が50
%以上であった。断面SEMによる観察の結果、上側電
極側の半田バンプ下の誘電体層に発生したクラック、並
びに下側電極側のBLM層の階段部分のクラックから半
田の拡散が見られた。
【0060】また、半田バンプの組成以外のプロセスは
同様にして、Pb95Sn5半田、Sn−3.5Ag半
田、Sn−3Ag−0.7Cu半田の半田バンプを有す
る薄膜コンデンサを作製し、同様の評価を行った。リフ
ロー温度こそ半田バンプ組成によって異なるものの、被
覆性、密着強度の劣化の挙動は共晶半田バンプでの結果
と同様であり、本発明の構造が外部端子の接続強度およ
びリフロー耐性に対して大きな効果があることを確認し
た。
【0061】
【発明の効果】以上の詳述したように、本発明によれ
ば、貫通孔の内壁が電極側から絶縁性保護膜の表面側に
向かって連続的に拡径し、電極に対して所定角度を有す
る直線状傾斜面によって形成しているために、貫通孔内
に突出する角部が形成されず、貫通孔の内面に形成され
る半田拡散防止層の被覆性を向上でき、これにより、半
田拡散に起因するリフロー耐性の劣化を抑制できるとと
もに、膜厚を薄くしても半田拡散防止効果を発揮できる
為、半田拡散防止層自身の内部応力をさらに低減でき、
剥離や浮きに起因する素子信頼性の劣化を抑制できる。
【0062】また、貫通孔内面に形成される膜の被覆性
を向上できるため、貫通孔の内壁と、この貫通孔内に充
填形成される外部端子との接続強度を向上でき、貫通孔
内に充填して形成される外部端子と、その下面が接合さ
れる電極との剥離を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜電子部品を示す断面図である。
【図2】本発明の基板を示す断面図である。
【図3】従来の薄膜電子部品を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・支持基板 3・・・絶縁体層 5、7・・・電極層 9・・・保護層 11・・・外部端子 13a、13b・・・貫通孔 17・・・半田拡散防止層 A・・・薄膜素子 B・・・絶縁体層非形成領域

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持基板上に、電極および絶縁体層を有す
    る薄膜素子を設け、該薄膜素子上に絶縁性保護膜を形成
    してなるとともに、該絶縁性保護膜に複数の貫通孔を形
    成し、該複数の貫通孔内に、前記電極に電気的に接続さ
    れる異なる極性の一対の外部端子をそれぞれ設けてなる
    薄膜電子部品であって、前記絶縁性保護膜の貫通孔が、
    前記電極側から前記絶縁性保護膜の表面側に向かって連
    続的に拡径していることを特徴とする薄膜電子部品。
  2. 【請求項2】貫通孔の内壁面に半田拡散防止層が形成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の薄膜電子部
    品。
  3. 【請求項3】絶縁性保護膜の貫通孔が、絶縁体層が形成
    されていない絶縁体層非形成領域に形成されており、該
    貫通孔内の外部端子が、電極層を介して支持基板に設け
    られていることを特徴とする請求項1または2記載の薄
    膜電子部品。
  4. 【請求項4】貫通孔の内壁面が電極に対して15〜60
    度の角度を有する直線状傾斜面によって形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載
    の薄膜電子部品。
  5. 【請求項5】絶縁性保護膜の厚みは1.5〜6.0μm
    であることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか
    に記載の薄膜電子部品。
  6. 【請求項6】基体の表面に、請求項1乃至5のうちいず
    れかに記載の薄膜電子部品を設けてなることを特徴とす
    る基板。
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