JP3572184B2 - ベルトフィルタの制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排煙脱硫装置で石膏スラリの脱水に用いられるベルトフィルタの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
排煙脱硫装置に用いられる石膏スラリ用脱水機は、設備費、運転費、制御性、保守費及び脱水性能等の観点で、遠心分離機(バスケット形)方式からベルトフィルタによる真空吸引脱水方式に移行しつつある。
一般に、ベルトフィルタは安定した脱水性能を得るためベルトフィルタ上に乗っているケーキ(石膏)厚みを、赤外線フィルタによって検出し、ケーキ厚みが一定となるようにベルトフィルタの回転数を制御していた。要するにスラリのフィード量が少なくなったときに回転数を小さくし、フィード量が増えたら回転数を大きくして、ケーキの厚みが一定となるように制御していた。
ここで、ベルトフィルタ上のケーキ厚みは、フィルタに供給する流量を一定にキープしたとしても、完全に均一とはならないため、厚みに対するベルト回転速度の感度は非常ににぶく設定されている。ところが、ベルトフィルタへ供給を開始した直後等流量が急激に変化する場合には、ケーキ厚みに対するベルト回転速度が追従できず、ベルトフィルタ上のケーキ厚みが厚くなり過ぎて性能が落ちたり、フィルタからオーバーフローしてしまうといった可能性があった。
【0003】
また、吸収塔のスラリ濃度が、循環ポンプ発停、吸収塔内における可動翼ポンプの開度の変化等の影響で急激に変化した際、スラリのフィード量が同じでもケーキ厚みが変化してしまう。この場合、厚みのみを測定していても、ベルトフィルタの回転数を適性に保つのは困難である。厚みが変化した後に回転数を調整するので、遅延時間が生じるのを免れないからである。ケーキ厚みが一定厚み以下に適性に保たれないと、脱水性能にも影響を与えてしまい不都合である。
ここで、厚みセンサーの感度を良くして厚みの変化に対応することも考えられるが、ベルトの動きがスムースでなくなり、かえってケーキ厚みにバラツキを生ずる、といった難点があった。
【0004】
一方、排煙脱硫装置で生成する石膏の量は、ボイラ負荷にほぼ比例している。すなわち、生成するSO2 ガスの量にほぼ比例している。そこで、ボイラ負荷が変動した場合、ベルトフィルタ上のケーキ厚みを検知して、これが一定になるようにすれば、ボイラ負荷変動に対応できるように考えられる。
しかし、ボイラ負荷の変動に対しても遅延が生じていた。すなわち、ボイラ負荷が変化しても、スラリタンクがバッファーの役割をはたすため、固形物の濃度はすぐには変動しない。ベルトフィルタで石膏を除去したろ液は、ろ液槽から、一部吸収剤調整槽を経て全量スラリタンク内に戻される。ボイラ負荷が減少した際は、スラリタンクへの水の供給量も少なくて良い。この供給量は、ボイラ負荷変動に即座に対応している。したがって、ボイラ負荷減少前のままろ液の量が保たれると、ろ液のうち吸収剤調整槽及びスラリタンク内に戻される量が減っているため、ろ液槽から余分な水がオーバーフローするおそれがあった。
【0005】
このことを図2について、具体的数値を挙げて説明する。図2において、例えば、ボイラ負荷が100%の時には、吸収塔201から87tの水がベルトフィルタ202に送られる。ベルトフィルタ202を経由すると、水は72tとなる。このうち29tがろ液タンク203等を経て吸収塔201に循環する。43tについては、吸収剤調整槽204で中和剤を添加した後に吸収塔201に循環する。43tが吸収塔201に戻される。したがって、総計72tの水が吸収塔201に戻されるので均衡が取れている。
しかし、ボイラ負荷が50%に下がった場合、しばらくの間50%運転時の水の循環とはならない。吸収剤調整槽204から戻される水及び直接吸収塔に戻される水のみが、ボイラ負荷に直接従属して50%負荷の場合に対応して減量する。これが例えば21tと17tに減ったとすると、33tの水がろ液タンク203からオーバーフローするおそれがある。
ここで、設置スペースが十分ある場合には、このようなろ液タンクに余裕を設けて大容量とできるが、このような対応は、装置を過大としてしまうという難点を持っていた。
上記したように、ケーキ厚みのみをパラメータとしてベルトフィルタの使用状態を制御しても、スラリ供給量、スラリ濃度、ボイラ負荷の変動に適切に対応することはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に対して、スラリ供給量、スラリ濃度、ボイラ負荷の変動に適切に対応して、ベルトフィルタによる石膏スラリの脱水を良好に行うようにしたベルトフィルタの制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、真空脱水装置によって排煙脱硫装置からの石膏スラリを吸引脱水するようにしたベルトフィルタの制御方法において、上記排煙脱硫装置のスラリ酸化タンクから供給される石膏スラリの流量情報を流量指示制御計によって監視し、濃度指示制御計によって上記石膏スラリのスラリ濃度を監視し、上記スラリ酸化タンクから供給される石膏スラリの流量、濃度が変化しても回転制御計によってベルトフィルタの速度を制御して上記ベルトフィルタ上のケーキの厚みを一定に保つと共に、上記流量指示制御計によってボイラ負荷情報を監視することにより該流量指示制御計によって弁を制御して上記ベルトフィルタに送る石膏スラリの量を変動させ、ろ液タンク等からろ液がオーバーフローしないようにしたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面に示した実施の形態を参照して、本発明にかかるベルトフィルタを説明する。
図1は、本発明にかかるベルトフィルタの制御方法を実施する湿式排煙脱硫装置の一実施の形態を示す。
この装置は、脱硫そのものを行う主な構成要素として吸収塔1とスラリタンク2とを備える。排煙導入部1aからの未処理排煙Aは、ヘッダパイプ5のノズルから噴射される吸収液とともに充填部6を脱硫されながら通過する。そして、スラリタンク2において、さらに反応が進行する。その際、エアスパージャ3による攪拌及び空気Cの供給が行われる。これによって石膏が生成する。吸収液は、循環ポンプ4によってスラリタンク2から循環ポンプ4によってヘッダパイプ5に供給される。処理済の排煙Bは、排煙導出部1bから導出される。
【0009】
吸収液中の吸収剤と排煙中のSO2 とが反応して得られる石膏を含む石膏スラリは、スラリポンプ7によって抜き出され、ベルトフィルダ8の供給ヘッダより供給され、脱水操作にかけられる。ベルトフィルタ8から真空ポンプ9によって真空吸引されるろ液は、真空タンク10に送られる。ろ液の除かれた石膏Dはベルトフィルタ8の末端より系外に取り出される。
上記ろ液は、ろ液タンク11に導かれ、さらにポンプ12によって吸収剤調整槽13、又はスラリタンク2に直接戻る。吸収剤調整槽13内の吸収液は、原料アルカリ(石灰石等)Eを適量補充し、スラリポンプ14によってスラリタンク2に戻される。ろ液タンク11内の液量は、適当なセンサによって流量指示制御計によって監視され、液量情報に従って弁16を制御し、スラリタンク2に直接戻すろ液の量を適切にコントロールする。
【0010】
本実施の形態では、さらに、濃度指示制御計17によってスラリタンク2内からの石膏スラリ導出ラインのセンサから得られる固形物濃度を監視し、流量センサからの情報を流量指示制御計18によって監視する。これらの濃度情報及び流量情報に従って、適宜演算19を行い、ベルトフィルタ8の駆動用モータ21の回転を回転制御計22によって制御する。
また、本実施の形態では、ボイラ負荷情報23を流量指示制御計に送り、弁24を制御することによって、ベルトフィルタ8に供給する石膏スラリの量をコントロールする。
なお、運転監視の目的でベルトフィルタ8上のケーキ厚みを厚み検知手段25によって監視しても良い。
図示の実施の形態では、制御機器類として、制御計15、17、18、19、22、25のみを示したが、これ以外にも装置運転上必要な制御機器を含むものとし、図中には本発明の基本的概念を説明するために必要なもののみを示した。また、制御機器類は、図示しない中央制御部において、適切な演算処理装置によって統括・監視される。
【0011】
本実施の形態では、スラリタンク2から供給される石膏スラリの濃度、流量が変化しても、これを濃度指示制御計17及び流量指示制御計18によって監視し、駆動用モータ21の回転を回転制御計22によって制御する。すなわち、石膏分の供給が多い場合には、駆動用モータ21の回転数を上げて、ベルトフィルタ8の速度を上げ、石膏スラリがオーバーフローしないようにする。石膏分の供給が少ない場合には、駆動用モータ21の回転数を下げて、ベルトフィルタ8の速度を下げる。このようにして、ベルトフィルタ8上のケーキの厚みを一定に保つようにする。
【0012】
また、本実施の形態では、ボイラ負荷が変動した際、その情報を流量指示制御計18に送り、弁24をコントロールすることによって、ベルトフィルタ8以降に送る石膏スラリの量を適切に保つ。例えば、ボイラ負荷が半減した際には、スラリタンク2からベルトフィルタ8に送られる石膏スラリを減少させる。これによって、ろ液タンク11等からろ液がオーバーフローしないようにする。
【0013】
本実施の形態では、濃度指示制御計及び流量指示制御計によって、ベルトフィルタの速度を制御することによりベルトフィルタ上のケーキの厚みを一定に保つようにでき、ベルトフィルタ上の石膏スラリがオーバーフローすることがない。それと共に、流量指示制御計が、石膏スラリの性状を監視すると同時に、ボイラ負荷情報をも監視し、ベルトフィルタへの石膏スラリ供給量を弁でコントロールすることにより、ベルトフィルタ後流のろ液タンク等から、ろ液がオーバーフローしないようにすることができる。
他の実施の形態
ベルトフィルタの速度は、駆動用モータそのものの回転数を変化させなくても、変速手段のギヤ比を変更するようにする等他の手段としても良い。その他、当業者にとって自明な変更・付加等は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したところから明かなように、本発明によれば、濃度指示制御計及び流量指示制御計を備え、石膏スラリの性状を監視すると同時に、流量指示制御計がボイラ負荷情報をも監視し、石膏スラリの性状、ボイラ負荷のいずれの変動をも検知して、ベルトフィルタの速度制御と弁の制御を行うので、スラリ供給量、スラリ濃度、ボイラ負荷の変動に適切に対応して、ベルトフィルタによる石膏スラリの脱水を良好に行うようにしたベルトフィルタの制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるベルトフィルタの制御方法を実施する湿式排煙脱硫装置の一実施の形態を説明する概念図である。
【図2】従来のベルトフィルタの制御方法を実施する湿式排煙脱硫装置を説明する概念図である。
【符号の説明】
1、201 吸収塔
1a 排煙導入部
1b 排煙導出部
2 スラリタンク
3 エアスパージャ
4 循環ポンプ
5 ヘッダパイプ
6 充填部
8、202 ベルトフィルタ
9 真空ポンプ
10 真空タンク
11、203 ろ液タンク
13、204 吸収剤調整槽
15 液量指示制御計
17 濃度指示制御計
18 流量指示制御計
21 ベルトフィルタ駆動用モータ
23 ボイラ負荷情報
A 未処理排煙
B 処理済排煙
C 空気
E 原料アルカリ
D 石膏
Claims (1)
- 真空脱水装置によって排煙脱硫装置からの石膏スラリを吸引脱水するようにしたベルトフィルタの制御方法において、上記排煙脱硫装置のスラリ酸化タンク2から供給される石膏スラリの流量情報を流量指示制御計18によって監視し、濃度指示制御計17によって上記石膏スラリのスラリ濃度を監視し、上記スラリ酸化タンク2から供給される石膏スラリの流量、濃度が変化しても回転制御計22によってベルトフィルタ8の速度を制御して上記ベルトフィルタ8上のケーキの厚みを一定に保つと共に、上記流量指示制御計18によってボイラ負荷情報23を監視することにより該流量指示制御計18によって弁24を制御して上記ベルトフィルタ8に送る石膏スラリの量を変動させ、ろ液タンク11等からろ液がオーバーフローしないようにしたことを特徴とするベルトフィルタの制御方法。
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JP31784997A JP3572184B2 (ja) | 1997-11-19 | 1997-11-19 | ベルトフィルタの制御方法 |
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JP31784997A JP3572184B2 (ja) | 1997-11-19 | 1997-11-19 | ベルトフィルタの制御方法 |
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JP31784997A Expired - Lifetime JP3572184B2 (ja) | 1997-11-19 | 1997-11-19 | ベルトフィルタの制御方法 |
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1997
- 1997-11-19 JP JP31784997A patent/JP3572184B2/ja not_active Expired - Lifetime
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