JP3572168B2 - 車両検知器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば有料道路における入口自動化システムなどにおいて車両の進入や発進を検知するために用いられる車両検知器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来の車両検知器の外観および使用例を示す斜視図である。
この図に示すように車両検出器は、発光ユニット101および受光ユニット102からなる。この発光ユニット101および受光ユニット102は、車両通路Wの両側に形成されたアイランドIL,IRにそれぞれ配置される。そして発光ユニット101に内蔵された複数の発光器のそれぞれが発する光が受光ユニット102に内蔵された複数の受光器に到達するように対向される。
【0003】
そして図5に示すように、発光ユニット101と受光ユニット102との間に車両Vが存在し、この車両Vによって発光ユニット101から発せられた光Pの少なくとも一部が遮られて受光ユニット102に到達しなくなったことによって車両を検知するものとなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
さて、このような車両検知器では、検知漏れを防止するために、一般的には光軸が1つでも遮断されれば車両有りと判定し、検知信号を検知レベルとする。
このため、雪やゴミなどの小さな物体が光軸を遮った場合でも、これに応じて検知信号を検知レベルとしてしまう恐れがある。
【0005】
そこで、複数の光軸が同時に遮断されたことに応じて車両有りと判定し、検知信号を検知レベルとすることが考えられる。
しかしながらこのようにすると、図6に示すように主車両Vが細い棒状の連結部Cなどによって連結されたトレーラなどの付属車Aを牽引している場合に、連結部の検出漏れが生じる恐れがあり、この場合、主車両Vと付属車Aを別々の通過車両として検知してしまうという誤検知が生じることになる。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、雪やゴミなどの小さな物体により車両有りと判定してしまう誤検知や、1両と判定すべき車両における微小部分の検知漏れによる車両台数の誤検知のいずれも生じさせることなく、的確に車両を検知することができる車両検知器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために本発明は、例えば制御部および多数のラッチ部よりなるスキャン制御手段により、複数の発光器を互いに異なるタイミングで順次発光させるとともに、1つの発光器から発せられる光を予め各発光器に対応付けられた複数の隣接する受光器で受光した結果を取得するとともに、例えば前記受光器と同数のAND回路、2つのOR回路およびフリップフロップ回路からなる検知信号生成手段により、検知信号を非検知レベルとしている時には、各発光器のそれぞれに対応付けられた複数の受光器の全てが光を同時に検出できなくなったことに応じて前記検知信号を検知レベルに変化させるとともに、前記検知信号を検知レベルとしている時には、前記複数の発光器の発光動作が一巡する期間中に前記複数の受光器の全てが、対応付けられた全ての発光器から発せられた光を受光したことに応じて、前記検知信号を非検知レベルに変化させるようにした。
【0008】
このような手段を講じたことにより、車両の有無を判定するための光軸が1時点に対して複数設定され、この複数の光軸の全てが遮断されたことの応じて検知信号が検知レベル(車両検出状態)に変化されるとともに、この検知信号が検知レベルである状態は、複数の発光器の発光動作が一巡する期間中に前記複数の受光器の全てが、対応付けられた全ての発光器から発せられた光を受光するようになるまで維持される。従って、一度ある程度の大きさの物体が通過するまでは車両検出とはされず、その後は比較的小さな物体でも存在すれば車両検出の状態が維持される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態につき説明する。
まず、本実施形態の車両検知器は、発光ユニットと受光ユニットとからなり、図4に示すような状態で使用されるという基本構成は、従来よりある車両検知器と同様である。
【0010】
しかし本発明の車両検知器は、電気的な詳細構成が以下に詳述するような特徴的な構成をなす。
図1は本実施形態に係る車両検知器の要部構成を示すブロック図である。
【0011】
この図に示すように本実施形態の車両検知器は、多数の発光器1、多数の受光器2、多数のラッチ部3、多数のAND回路4、OR回路5、NOT回路6,7、D形のフリップフロップ回路8、OR回路9および制御部10を有している。
【0012】
発光器1、受光器2、ラッチ部3およびAND回路4の個数は同数であるが、図1では3つの発光器1n−1 ,1 ,1n+1 、5つの受光器2n−2 ,2n−1 ,2 ,2n+1 ,2n+2 、5つのラッチ部3n−2 ,3n−1 ,3 ,3n+1 ,3n+2 、および3つのAND回路4n−1 ,4 ,4n+1 のみを示している。
【0013】
発光器1および受光器2は例えば35個ずつが、図2に示すように発光ユニットの筐体21および受光ユニットの筐体22に発光ポイントE(E 〜E35)および受光ポイントR(R 〜R35)を形成するように互いに対向して配置されている。そして、1つの発光ポイントE から出射する光は、対向する1つの受光ポイントR とそれに隣接する2つの受光ポイントRi−1 ,Ri+1 とにそれぞれ入射する。すなわち1つの発光器1 から発せられた光は、発光器1 ,1i−1 ,1i+1 のそれぞれにて受光される。なお、発光器1および受光器2のうち、下から1番目乃至下から17番目は所定間隔Lで等間隔に配置され、また下から17番目乃至下から35番目は所定間隔2Lで等間隔に配置されている。
【0014】
ラッチ部3は、それぞれ受光器2に一対一で対応付けられている。ラッチ部3はそれぞれ、#1,#2,#3なる3つのラッチ回路を有しており、これらのラッチ回路のそれぞれに、上記対応付けられている受光器2の出力が与えられいる。そしてラッチ部3の各ラッチ回路は、制御部10の制御の下に個別のタイミングで上記対応付けられている受光器2の出力を取込んで保持する。ただし、最も下に位置する受光器2に対応付けられたラッチ部3は#1,#2なる2つのラッチ回路のみを、また最も上に位置する受光器2に対応付けられたラッチ部3は#2,#3なる2つのラッチ回路のみをそれぞれ有する。
【0015】
AND回路4は、3つの入力端を有し、これらの入力端への入力レベルの論理積をとる。任意のAND回路4 の入力端には、ラッチ部3i−1 のラッチ回路#1の出力、ラッチ部3 のラッチ回路#2の出力およびラッチ部3i+1 のラッチ回路#3の出力がそれぞれ入力されるものとなっている。すなわち、AND回路4 の入力端には、ラッチ部3n−1 のラッチ回路#1の出力、ラッチ部3 のラッチ回路#2の出力およびラッチ部3n+1 のラッチ回路#3の出力がそれぞれ入力される。
【0016】
OR回路5は、AND回路4と同数の入力端を有し、これらの入力端への入力レベルの論理和をとる。このOR回路5の入力端には全てのAND回路4の出力がそれぞれ入力される。そしてOR回路5の出力は、NOT回路6,7を介してフリップフロップ回路8のクロック入力端子に入力される。
【0017】
フリップフロップ回路8は、データ端子が高レベルに相当する電圧Vccが与えられている。そしてフリップフロップ回路8の非反転出力端子からの出力が、検知信号とされる。
【0018】
OR回路9は、ラッチ部3の数をmとしたときに[m×3−2]なる数の入力端を有し、これらの入力端への入力レベルの論理和をとる。このOR回路9の入力端には、ラッチ部3が有しているラッチ回路の全ての出力がそれぞれ入力される。そしてOR回路9の出力は、フリップフロップ回路8のリセット端子に入力される。
【0019】
制御部10は、発光器1を所定の順序で順次発光させ、スキャンを行う。また制御部10は、発光器1のスキャンに同期して、発光している発光器1に対応した所定のラッチ回路に取込み動作を行わせる。
【0020】
次に以上のように構成された車両検知器の動作につき説明する。
まず制御部10は、35個の発光器1を所定の順番で順次発光させる。ここでは、図2における発光ポイントE からE35に向かって順に発光するように、各発光ポイントEに対応した発光器1を発光させる。かくして、下からn−1番目の発光ポイントEn−1 に対応する発光器1n−1 、下からn番目の発光ポイントE に対応する発光器1 および下からn+1番目の発光ポイントEn+1 に対応する発光器1n+1 のそれぞれの発光タイミングは、図3に示すような関係となる。
【0021】
また制御部10は、上述のような発光器1の発光制御に並行して、ラッチ部3における取込みを制御する。すなわち、任意の発光器1 が発光中である時、ラッチ部3i−1 のラッチ回路#1、ラッチ部3 のラッチ回路#2およびラッチ部3i+1 のラッチ回路#3のそれぞれに取込みを行わせる。かくして、ラッチ部3n−2 ,3n−1 ,3 ,3n+1 ,3n+2 のそれぞれの取込みタイミングは、図3に示すような関係となる。
【0022】
このようにして制御部10は、発光している発光器1 に対向した受光器2 からの出力を、その受光器2 に対応したラッチ部3 のラッチ回路#2に保持させるとともに、発光している発光器1 に対向した受光器2 に隣接する受光器2i−1 および受光器2i+1 からの出力を、その受光器2i−1 に対応したラッチ部3i−1 のラッチ回路#1および受光器2i+1 に対応したラッチ部3i+1 のラッチ回路#3にそれぞれ保持させる。
【0023】
さて、1つの発光器1 から発せられた光は、物体が遮光していない限りは、その発光器に対向した受光器2 と、その受光器2 に隣接した2つの受光器2i−1 ,2i+1 のぞれぞれで受光される。従って、1つの発光器1 から発せられた光は3つの受光器2i−1 ,2i+1 によってそれぞれ受光が試みられるが、その受光結果はラッチ部3i−1 のラッチ回路#1、ラッチ部3 のラッチ回路#2およびラッチ部3i+1 のラッチ回路#3にそれぞれ保持される。そしてこのように1つの発光器1 から発せられた光の受光結果を保持する3つのラッチ回路のそれぞれの出力は、いずれも同一のAND回路4 に入力されるものとなっており、1つの発光器1 から発せられた光の受光結果の論理積がAND回路4 にて求められることとなる。
【0024】
ここで受光器2は、発光器1から発せられた光を受光した場合に低レベルを、また受光できない場合に高レベルをそれぞれ出力する。このため、AND回路4 の出力は、発光器1 から発せられた光を受光器2 ,2i−1 ,2i+1 のいずれでも受光できなかった場合にのみ高レベルとなる。
【0025】
そして各AND回路4の出力の論理和がOR回路5で求められ、これがNOT回路6,7を介してフリップフロップ回路8のクロック入力端子に与えられる。ここで、フリップフロップ回路8のデータ端子には高レベルが与えられているので、AND回路4のいずれかの出力が高レベルとなった時、すなわち発光器1 から発せられた光を受光器2 ,2i−1 ,2i+1 のいずれでも受光できない状況が発生した時にフリップフロップ回路8に光レベルが取込まれ、検知信号が「車両検知」を示す高レベルとされる。
【0026】
一方、フリップフロップ回路8のリセット信号を生成するOR回路9には、35個のラッチ部3が有する全てのラッチ回路の出力が入力されている。従って、35個のラッチ部3が有する全てのラッチ回路のそれぞれの出力が全て低レベルとなった場合にのみOR回路9の出力が低レベルとなり、フリップフロップ回路8がリセットされる。フリップフロップ回路8はリセットされると、非反転出力端子から低レベルを出力する状態となるので、検知信号が低レベルとされる。かくして、35個の受光器2の全てが、対向する発光器およびその発光器に隣接する2つの発光器のうちのいずれが発した光をも受光することができなくなったことに応じて、検知信号が「車両なし」を示す低レベルとされる。
【0027】
以上のように本実施形態によれば、発光器1 と3つの受光器2 ,2i−1 ,2i+1 との間にそれぞれ形成される3本の光軸が同時に遮断されたことに応じて「車両検知」とし、このように一旦「車両検知」の状態となったのちには、35個の発光器と35個の受光器との間に形成される[35×3−2]本、すなわち103本の光軸のいずれも遮断されない状態となったことに応じて「車両なし」とする。従って、雪やゴミは通常は3本の光軸を遮るほどに大きくはないので、雪やゴミなどが発光ユニットと受光ユニットとの間を横切ったとしても、これによって「車両検知」としてしまうことがない。そして、一旦「車両検知」としたのちには、いずれか1本の光軸でも遮られれば「車両検知」の状態を維持するので、図6に示すように細い棒状の連結部などより連結された主車両Vと付属車Aとを1両の車両として確実に検知することができる。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、基本的には1つの発光器1から発せられた光を3つの受光器2でそれぞれ受光するものとしているが、1つの発光器1から発せられた光を2つまたは4つ以上の受光器2で受光するようにした場合にも本発明の適用が可能である。ただしこの場合には、ラッチ部3のラッチ回路の数を、対応する受光器2で受光する光の数(1つの受光器2と発光器1との間に形成される光軸の数)と同数とする。
【0029】
このほか、検知信号を高レベルおよび低レベルに変化させるタイミングを決定するための具体的な構成などについては、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、スキャン制御手段により、複数の発光器を互いに異なるタイミングで順次発光させるとともに、1つの発光器から発せられる光を予め各発光器に対応付けられた複数の隣接する受光器で受光した結果を取得するとともに、検知信号生成手段により、検知信号を非検知レベルとしている時には、各発光器のそれぞれに対応付けられた複数の受光器の全てが光を同時に検出できなくなったことに応じて前記検知信号を検知レベルに変化させるとともに、前記検知信号を検知レベルとしている時には、前記複数の発光器の発光動作が一巡する期間中に前記複数の受光器の全てが、対応付けられた発光器の全てから発せられた光を受光したことに応じて、前記検知信号を非検知レベルに変化させるようにしたので、雪やゴミなどの小さな物体により車両有りと判定してしまう誤検知や、1両と判定すべき車両における微小部分の検知漏れによる車両台数の誤検知のいずれも生じさせることなく、的確に車両を検知することができる車両検知器となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両検知器の要部構成を示すブロック図。
【図2】発光ユニットの筐体21および受光ユニットの筐体22における発光ポイントE(E 〜E35)および受光ポイントR(R 〜R35)の形成状況の一例を示す図。
【図3】発光器1の発光タイミングおよびラッチ部3での取込みタイミングの関係を示す図。
【図4】従来の車両検知器の外観および使用例を示す斜視図。
【図5】車両検知器における車両検知の原理を説明する図。
【図6】主車両Vが連結部Cによって連結された付属車Aを牽引している例を示す図。
【符号の説明】
1(1n−1 ,1 ,1n+1 )…発光器
2(2n−2 ,2n−1 ,2 ,2n+1 ,2n+2 )…受光器
3(3n−2 ,3n−1 ,3 ,3n+1 ,3n+2 )…ラッチ部
4(4n−1 ,4 ,4n+1 )…AND回路
5…OR回路
6,7…NOT回路
8…フリップフロップ回路
9…OR回路
10…制御部

Claims (1)

  1. 発光ユニットに設けられた複数の発光器から発せられた光を受光ユニットに設けられた複数の受光器で受光する構成を有し、前記複数の受光器での受光状況に基づいて前記発光ユニットと前記受光ユニットとの間における車両の有無を検知し、その検知内容を示す検知信号を出力する車両検知器において、
    前記複数の発光器を互いに異なるタイミングで順次発光させるとともに、1つの発光器から発せられる光を予め各発光器に対応付けられた複数の隣接する受光器で受光した結果を取得するスキャン制御手段と、
    前記検知信号を非検知レベルとしている時には、各発光器のそれぞれに対応付けられた複数の受光器の全てが光を同時に検出できなくなったことに応じて前記検知信号を検知レベルに変化させるとともに、前記検知信号を検知レベルとしている時には、前記複数の発光器の発光動作が一巡する期間中に前記複数の受光器の全てが、対応付けられた全ての発光器から発せられた光を受光したことに応じて、前記検知信号を非検知レベルに変化させる検知信号生成手段とを具備したことを特徴とする車両検知器。
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