JP3572138B2 - トランスとそれを用いたスイッチング電源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はトランスとそれを用いたスイッチング電源装置に関り、特に過負荷に起因する過熱による絶縁破壊によって作業者が感電することを防止する手段を備えたトランス又はスイッチング電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の電子機器の電源装置として、電力容量に比べて安価で小型軽量であり、電力変換効率が高いため電力損失とそれに伴う発熱が少なく、定電圧制御機能も備えているスイッチング電源装置が広く用いられている。
【0003】
いうまでもなく、スイッチング電源装置は、交流電源に接続される1次側と、負荷が接続される2次側との間が、トランスによって絶縁されているから、誤まってスイッチング電源装置と負荷とを結ぶ接続ケーブルや、負荷の内部回路の絶縁されていない裸の部分に触れても、ショックを受けたり感電等の重大事故が生じないように配慮されている。
【0004】
しかしながら、誤まってスイッチング電源装置の出力端子間をショートしたり、内部でショートしている負荷を知らずに接続して過負荷状態になると、定電圧制御を行なっているために、かえってスイッチング電源装置の内部に過大な電流が流れて、スイッチング素子等の半導体素子やICが焼損したり、トランスが過熱して1次2次間の絶縁が破壊される恐れがある。
【0005】
復旧不能な部品の焼損も問題であるが、火災発生や感電等の人命に関係する重大な事故を防止するため、スイッチング電源装置にはスイッチング素子に流れる電流を常に検出して、過電流になったらスイッチングを停止したり、電源ヒューズが切れて電源を遮断する等、一般に事故原因が解消すれば直ちに復旧したり、容易に復旧可能な各種の保護手段や安全手段が設けられてはいるが、それでもそれらの保護手段や安全手段が、予期しない原因で動作しない場合がないとはいえない。
【0006】
そのため、例えば特開昭52−40764号(特公昭59−28976号)公報に示されたように、低温軟化絶縁銅線を用いた巻線に、温度検知遮断部を直列に設け、過電流によって巻線の内部温度が上昇すると、絶縁が破れてレアショートが発生し、レアショートにより発生する大量の熱によって温度検知遮断部が電流を遮断するという提案があった。
【0007】
また、従来例として図9に示すように、トランス5eに1次巻線N1,3個の2次巻線N2A〜N2C等の他に、さらにトランス5e内に設けたサーマルヒューズ11を直列に接続したセンサ巻線Nsを設け、スイッチングによってセンサ巻線Nsに誘起され抵抗R5の端子間に交流電圧が発生している間は、スイッチング制御回路7はトランジスタQ1に駆動パルスを出力するが、過負荷等によってトランス5eの内部が過熱すると、サーマルヒューズ11が熔断して抵抗R5の端子間電圧がゼロになり、スイッチング制御回路7の駆動パルス出力が停止するものもあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような重大事故防止のための手段は、他の保護手段や安全手段が動作しなかった場合の最後の手段であり、作動する確立は極めて小さいから、一度作動した時にはトランスその他が再使用不能になっても止むを得ないし、事故が発生した場合の結果を考えれば問題とはならないものである。
【0009】
しかしながら、特開昭52−40764号公報に示された提案のように、低温軟化絶縁銅線を用いた巻線の場合、一度軟化した絶縁層は温度が低下してもその形状が復旧しないため、絶縁層が軟化し始める程度の過電流が繰り返し流れると、次第に絶縁が不確実になってゆき、しかもその状態は外部から見ても分からないから、許容範囲内の負荷で作動させているにも拘わらず、何等かの原因、例えば電気的又は機械的なショックによってレアショートが発生し、スイッチング電源装置の作動が停止するという問題がある。
【0010】
さらに、スイッチング電源装置の作動が停止する直前に、レアショートによる異常発熱のために、各巻線の間に設けられている絶縁紙のレアショート部に近い部分が炭化して絶縁が破れる恐れがある。特に、1次巻線と2次巻線との間の絶縁が破れると、たとえ瞬間的であっても、感電等の重大事故を招くことになる。
【0011】
また、図9に示した従来例は、すでに1次巻線N1,2次巻線N2A〜N2Cと、スイッチング制御回路7用の電源巻線N3及び突入電流防止回路2用の駆動巻線Ndが巻かれているトランス5eに、さらにセンサ巻線Nsを巻く必要がある。そのため、スイッチング周波数に対応する高周波用のトランスとして電力容量に比べて小型化されていたトランス5eのサイズが、逆に大きくなるという問題が生じる。
【0012】
この発明は上記の点に鑑みてなされたものでり、他の保護手段や安全手段が作動しなかった場合でも、過熱による発火のみならず、特に感電事故のような人命に関わる重大事故の発生を防止することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、スイッチング電源装置のトランスにおいて、
突入電流防止回路用の駆動巻線を設けると共に、トランスの内部に、温度が予め設定した値を超えた時に回路を開く感温遮断手段を駆動巻線と直列に設けたものである。
【0014】
あるいは、スイッチング電源装置のトランスにおいて、
スイッチングパルスを出力するスイッチング制御回路用の電源巻線を設けると共に、トランスの内部に、温度が予め設定した値を超えた時に回路を開く感温遮断手段を電源巻線と直列に設けたものである。
【0015】
上記のいずれかのトランスを用いたスイッチング電源装置において、
トランスの2次巻線が互いに独立した複数の2次巻線からなり、該複数の2次巻線のうち少くとも1個の2次巻線に直列に、該2次巻線の電流容量に応じた過電流遮断手段を設けるとよい。
【0016】
または、トランスの2次巻線が単出力の1個の2次巻線であって、該2次巻線に誘起されて整流平滑された2次直流電力を入力し、複数の3次直流電力に変換して出力する多出力DC−DCコンバータを設けてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態であるトランスとそのトランスを用いたスイッチング電源装置の構成を示す回路図であり、図9に示した従来例と同一部分には同一符号を付して、従来例において説明を省略した部分も併せて説明する。
【0018】
図1に示した高周波用のトランス5aは、それぞれパワー巻線である1次巻線N1及び互いに独立した出力を得るための3個の2次巻線N2A,N2B,N2Cと、スイッチング制御回路7用の電源巻線N3と、突入電流防止回路2用の駆動巻線Ndと、トランス5a内にあって駆動巻線Ndに直列に接続された感温遮断手段であるサーマルヒューズ11とにより構成されている。
【0019】
このトランス5aを用いたスイッチング電源装置の1次側は、突入電流防止回路2,ダイオードブリッジ3,1次平滑回路4及びトランス5aの1次巻線N1と直列に接続されたトランジスタ(FETでもよい)Q1と、ダイオードD5,コンデンサC3からなる整流平滑回路を介して電源巻線N3を電源とし、トランジスタQ1に駆動パルスを出力するスイッチング制御回路7とからなり、突入電流防止回路2の2個のトリガ端子2tには、駆動巻線Ndとサーマルヒューズ11の直列回路の両端がそれぞれ接続されている。
【0020】
スイッチング電源装置の2次側には、それぞれトランス5aの2次巻線N2A〜N2Cと2次整流平滑回路6A〜6Cとからなり、互いに独立した出力電圧,出力電流すなわち電力容量を備えた3組の出力回路があり、それぞれ出力端子8を介して図示しない負荷に2次直流電力を出力する。それらのうち、2次巻線N2Aと2次整流平滑回路6Aとの間には過電流遮断手段であるヒューズ12が挿入され、2次整流平滑回路6Cの出力電圧は、スイッチング制御回路7にフィードバックされている。
【0021】
図2は、図1に示した1次平滑回路4の構成の一例を示す回路図であり、図2の(A),(B),(C)にそれぞれ示した1次平滑回路4a〜4cは、いずれも整流された直流電力が入力するソース端子4sと、平滑された直流電力が出力するパワー端子4pと、グランドラインに接続されるグランド端子4gの3端子を備えている。
【0022】
図2の(A)及び(B)に示した1次平滑回路4a及び4bは、平滑用のコンデンサC1のみからなるコンデンサ入力型の平滑回路及び低周波用のチョークコイルCHとコンデンサC1からなるチョーク入力型の平滑回路として、それぞれよく知られ、チョーク入力型の方が大型で重くなりコストも高いが、力率が優れていることも衆知であるから、詳しい説明を省略する。
【0023】
図2の(C)に示した1次平滑回路4cは、力率を更に100%近くまで向上させるためのアクティブフィルタ17とコンデンサC1とからなっている。
アクティブフィルタ17の駆動パルス発生回路(DPG)19は、ソース端子4sに入力する全波整流波形の瞬時値を検出して分圧した基準信号を形成する。駆動パルス発生回路19が出力する駆動パルスに応じてトランジスタQ2がオンになると、高周波用のインダクタL1は流れる電流によって励起され、その電流はカレントトランス(CT)18により検出される。
【0024】
カレントトランス18の検出電圧が基準信号に等しくなると、駆動パルスがゼロになってトランジスタQ2がオフになり、励起によってインダクタL1に蓄積された磁気エネルギは電流に再変換されて、逆流防止用のダイオードD1を介してコンデンサC1を充電する。コンデンサC1の端子間電圧は駆動パルス発生回路19にフィードバックされ、一定の電圧を保持するように制御される。
【0025】
このアクティブフィルタ17の作用によって、交流電源1から入力する交流電力の電圧の絶対値に比例した交流電流が、ダイオードブリッジ3により全波整流されてコンデンサC1を充電するから、力率は殆んど100%近くまで向上し、ピーク電流が抑えられてノイズが減少し、交流電源1及びそれに接続された他の電子機器に悪影響を及ぼすことがない。しかしながら、その分だけコストがかかるから、すべてのスイッチング電源装置に用いられるまでには至っていない。
【0026】
図3は、図1に示した突入電流防止回路2の構成の一例を示す回路図である。図3に示した突入電流防止回路2は、電源オン時にコンデンサC1の端子間電圧がゼロであるために発生する過大な突入電流を抑制するための回路があり、交流電力(又は直流電力)を入力するソース端子2s及び出力するパワー端子2pと、トリガ信号が入力する一対のトリガ端子2tの4端子を備えている。
【0027】
内部で互いに接続された一方のトリガ端子2t及びパワー端子2pとソース端子2sとの間には、直列に接続されたサーマルヒューズ,抵抗が一体になったヒューズ抵抗21と双方向スイッチ素子であるトライアック22との並列回路が接続され、トライアック22のゲートにはトリガ端子2t間に入力するトリガ信号がダイオードD2で整流され抵抗R1,R2で分圧された信号が印加される。
【0028】
電源オン時には、図1に示したトランジスタQ1のスイッチングが始まっていないから、トランス5aの駆動巻線Ndとサーマルヒューズ11の直流回路が接続されているトリガ端子2t間の信号はゼロであり、トライアック22はオフのままである。したがって、交流電源1から入力する交流電流(突入電流)は、ヒューズ抵抗21の抵抗分によって抑制される。コンデンサC1が充電されて端子間電圧が上昇すると、トランジスタQ1のスイッチングがスタートし、駆動巻線Ndに誘起される交流信号がトリガ端子2t間に入力し、トライアック22がオンになるから、交流電流はトライアック22をショート的に流れて電圧降下は殆どゼロになり、ヒューズ抵抗21には流れなくなる。
【0029】
すなわち、ヒューズ抵抗21には電源オン直後に大きな電流が流れるが、その時間が極めて短いから、その間の発熱によってサーマルヒューズが熔断するような恐れはない。
しかしながら、何等かの原因によってトライアック22がオフになってヒューズ抵抗21に電流が流れ、しかもその電流値が大きい状態が或る時間続くと、その抵抗分による発熱でサーマルヒューズが熔断して電源を遮断し、重大事故を防止するように作用する。
【0030】
図4は、図1の2次側に示した2次整流平滑回路6A〜6Cのそれぞれ同様な構成の一例を示す回路図である。
図4に示した2次整流平滑回路6は、整流用のダイオードD3,転流用のダイオードD4,高周波用のインダクタL2及び2次平滑用のコンデンサC2により構成され、2次交流入力側にはトランス5aのいずれかの2次巻線N2が、2次直流出力側には正負一対の出力端子8がそれぞれ接続されている。
【0031】
トランス5aが例えばフォーワード型トランスであれば、スイッチングによってトランジスタQ1がオンの間に2次巻線N2に誘起される2次交流電力はダイオードD3により整流され、インダクタL2,コンデンサC2を流れて、コンデンサC2を充電すると共にインダクタL2を励起する。トランジスタQ1がオフになると、励起状態のインダクタL2に蓄積された磁気エネルギは電流に再変換され、コンデンサC2,ダイオードD4を流れて、コンデンサC2を更に充電する。コンデンサC2に充電され平滑された2次直流電力は、出力端子8を介して負荷に供給される。
【0032】
図1に示したスイッチング電源装置において、交流電源1から入力する1次交流電力は、突入電流防止回路2のソース端子2s,パワー端子2p間を通ってダイオードブリッジ3の交流入力端子間を流れ、ダイオードブリッジ3によって全波整流された1次直流電力は1次平滑回路4のソース端子4s,グランド端子4g間に入力して、1次平滑回路4内のコンデンサC1を充電する。
【0033】
コンデンサC1の両端はそれぞれパワー端子4p,グラント端子4gを介して、トランス5aの1次巻線N1とトランジスタQ1との直列回路に接続されている。トランジスタQ1がスイッチング制御回路7から入力する駆動パルスに応じてスイッチングすることにより、1次巻線N1に流れる電流がオン・オフすると、2次巻線N2A〜N2C,電源巻線N3,駆動巻線Ndにそれぞれ交流電力が誘起される。
【0034】
2次巻線N2A〜N2Cに誘起される2次交流電力は、それぞれ互いに独立した2次整流平滑回路6A〜6Cによって平滑された2次直流電力に変換され、それぞれの出力端子8に接続された図示しない負荷に出力される。それらのうちの1個、例えば2次整流平滑回路6Cの出力電圧はスイッチング制御回路7にフィードバックされ、スイッチング制御回路7がフィードバックされた電圧に応じて駆動パルスのオンデューティ比を制御することにより、2次整流平滑回路6Cの出力電圧は予め設定された電圧に保持(定電圧制御)される。それに応じて、他の2個の2次整流平滑回路6A,6Bの出力電圧もほぼ定電圧に保持される。
【0035】
電源巻線N3に誘起される交流電力は、ダイオードD3とコンデンサC3とによって整流平滑され、スイッチング制御回路7に電源として供給される。
駆動巻線Ndに誘起される交流電力は、サーマルヒューズ11を介して突入電流防止回路2のトリガ端子2tに入力し、トリガ信号となってトライアック22をオンにする。なお、一度オンになってトライアック22は、入力交流電圧がゼロになった時にオフに戻るが、トランジスタQ1のスイッチング周波数は商用交流周波数に比べて桁ちがいに高いから、瞬時にオン状態に復帰し、ヒューズ抵抗21には殆んど電流が流れない。
【0036】
万一、何等かの原因で過負荷の状態になったにも拘らず他の保護手段や安全手段が作動しなかった場合には、トランス5aの内部温度が上昇する。その内部温度が予め設定した温度を超えると、サーマルヒューズ11が熔断して、突入電流防止回路2のトリガ端子2tに駆動信号が入力しなくなり、トライアック22はオフのままになる。そのため、ヒューズ抵抗21の温度が上昇して内部のサーマルヒューズが熔断し、交流電力の入力を遮断して重大事故の発生を防止する。
【0037】
このような場合に、突入電流防止回路2内のヒューズ抵抗21の交換は簡単であるが、トランス5a内の熔断したサーマルヒューズ11の交換は容易ではない。使用したサーマルヒューズ11の熔断温度にもよるが、熔断温度が高ければトランス5a内の絶縁部材も損傷を受けていると考えられるから、トランス5a全体を交換した方が安全である。
【0038】
しかしながら、感温遮断手段はサーマルヒューズに限定されるものではない。例えば、サーマルヒューズ11に代えて、温度が低い間は回路を閉じ、予め設定した温度を超えた時に回路を開くバイメタルを使用してもよい。バイメタルはサーマルヒューズと異なり、温度が下がれば再び回路が閉じるから、交換する必要がない。しかも再び回路が閉じても、その時はヒューズ抵抗21が熔断した後であるから、何等問題はない。
【0039】
したがって、バイメタルが回路を開く温度を、トランス5aが損傷を受ける温度より低く設定しておけば、この発明の作用によってヒューズ抵抗21が熔断して入力交流電力が遮断されても、ヒューズ抵抗21だけ交換すればよい。
また、交換を要しないバイメタルは、トランス5a内のいかなる所に設けることも可能になるから、過負荷によって最も高温になると考えられる箇所に設けることが出来る。
【0040】
以上説明したサーマルヒューズ11(とヒューズ抵抗21と)による事故防止は、図1に示したスイッチング電源装置の全出力の和が過負荷になった場合に有効であるが、互いに独立した電力容量を有する2次出力回路のうちの1個が過負荷になっても対応しない場合がある。例えば、他の出力回路に比べて電力容量の小さい出力回路が過負荷になっても、あるいは電力容量に大きな差はないが出力回路数が多い場合にそのうちの1個だけ過負荷になっても、総電力容量が設定値以内に収まっている場合がある。
【0041】
そのため、例えば図1に示したように、2次巻線N2Aと2次整流平滑回路6Aとの間に、2次巻線N2Aの電流容量に応じた過電流遮断手段であるヒューズ12(サーキットブレーカでもよい)を設けることにより、その出力回路の過負荷による事故を防止することが出来る。ヒューズ12は、トランス5a内に設けても効果は変らないが、ヒューズ12の交換を考えればトランス5aの外に設けた方がよい。
【0042】
図5は、この発明の第2の実施形態であるトランスとそのトランスを用いたスイッチング電源装置の構成を示す回路図であり、図1に示した第1の実施形態であるトランスとそれを用いたスイッチング電源装置と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
図5に示したトランス5bが図1に示したトランス5aと異なる所は、トランス内に設けたサーマルヒューズ11を、駆動巻線Ndに代えて電源巻線N3と直列に接続したことである。また、そのトランスを除いて、図5に示したスイッチング電源装置が図1に示したスイッチング電源装置と異なる所は、2次巻線N2Aと2次整流平滑回路6Aとの間に設けたヒューズ12aに加えて、さらに2次巻線N2Bと2次整流平滑回路6Bとの間にも、同様な効果を有するヒューズ12bを設けたことである。
【0044】
トランス5bが、その内部のサーマルヒューズ11を電源巻線N3と直列に接続したことにより、過負荷が発生してトランス5bの内部温度が上昇し、サーマルヒューズ11が熔断すると、電源巻線N3から供給されていた交流電力の供給が断たれるから、コンデンサC3の端子間電圧が低下して、スイッチング制御回路7から駆動パルスが出力されなくなり、トランジスタQ1のスイッチングが停止する。
【0045】
したがって、2次側の直流電力の出力がゼロになって、重大事故の発生が防止される。突入電流防止回路2は、そのトリガ端子2tに入力する信号もゼロになるから、トライアック22がオフになり、ヒューズ抵抗21に電流が流れるようになるが、1次平滑回路4のコンデンサC1が入力交流電圧のピーク値まで充電されると、もはや交流電源1からの電流が入力しなくなるから、ヒューズ抵抗21が熔断することはない。
【0046】
図5に示したスイッチング電源装置の場合は、その作用が停止しても1次平滑回路4のコンデンサC1は一杯に充電されたままであるから、もしサーマルヒューズ11に代えてバイメタルを用いると、トランス5bの温度が下がってきた時に、過負荷の原因が除かれないまま、再びスイッチングが再開される恐れがある。したがって、バイメタルのように再帰性のある素子は使用に適さない。
【0047】
また、図5に示したスイッチング電源装置において、2次巻線N2Bと2次整流平滑回路6Bとの間に設けたヒューズ12bの作用,効果は、(図1おけるヒューズ12に対応する)ヒューズ12aと同じであるから、説明を省略する。
このようにヒューズ12は、2次巻線N2Cと2次整流平滑回路6Cとからなるフィードバック系の出力回路を除いて、どの出力回路に設けてもよく、2次整流平滑回路6A又は6Bとその出力端子8との間に設けてもよい。
【0048】
ただ、多出力のスイッチング電源装置のフィードバック系の出力回路に、ヒューズ12を設けることは不可である。何故ならば、2次整流平滑回路6Cの出力ラインとフィードバックのためのラインとの接続点Fに対してヒューズ12を前又は後に設けると、ヒューズ12が熔断した時にフィードバック電圧がゼロ又は過大になって、スイッチング制御回路7が出力する駆動パルスのオンデューティ比が最大又は最小になるから、他の出力回路の出力電圧が過大電圧又はゼロに近くなって、接続された負荷に悪影響を及ぼすためである。
【0049】
図6は、この発明の第3の実施形態であり、上記のトランスを用いた単出力スイッチング電源装置と多出力DC−DCコンバータとからなる多出力のスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
図6に示したスイッチング電源装置は、図1又は図5に示したスイッチング電源装置から2次巻線N2A,N2Bと2次整流平滑回路6A,6Bとを除いたフィードバック系の出力回路のみからなる単出力スイッチング電源装置15と、その単出力スイッチング電源装置15を電源とする多出力DC−DCコンバータ16とによって構成されている。
【0050】
図6に示した単出力スイッチング電源装置15と多出力DC−DCコンバータ16は、それぞれスイッチング関係部分を省き、主要構成部分のみで示した略式の回路図である。
単出力スイッチング電源装置15については、出力回路が1個であるだけで、その他は図1又は図5に示したスイッチング電源装置と同じであるから、詳しい説明は省略し、多出力DC−DCコンバータ16については、図7及び図8に詳しい回路図を示して後述する。
【0051】
図6に示した第3の実施形態であるスイッチング電源装置は、今までに説明した過負荷に対する万一の場合の危険防止手段を備えた単出力スイッチング電源装置15と、多出力DC−DCコンバータ16との2段構成になっているから、たとえ多出力DC−DCコンバータ16が通常の保護手段又は安全手段のみで、万一の場合の危険防止手段を備えていなくても、使用者が感電するという重大事故を招く恐れがない。
【0052】
すなわち、万一の場合には、単出力スイッチング電源装置15が作用して直流電力の出力を停止するから、それに伴って多出力DC−DCコンバータ16の出力もゼロになる。
また、仮に多出力DC−DCコンバータ16の複数の出力回路のうちの1個だけが過負荷になって、そのトランスの内部温度が上昇し、1次側と2次側の間の絶縁が破れるような事態になっても、単出力スイッチング電源装置15のトランスによって絶縁が保たれている。両者のトランスの1次・2次間の絶縁が同時に破れることは、まず考えられない。
【0053】
しかしながら、感電の危険を防止出来ても、万一の場合の多出力DC−DCコンバータ16の過熱による発煙,発光の恐れは残っているから、多出力DC−DCコンバータ16にもこの発明による危険防止手段を設けた方がよいことは、いうまでもない。
図7及び図8に示す多出力DC−DCコンバータは、図1又は図5に示したスイッチング電源装置と同様に、危険防止手段を設けた場合の例である。
【0054】
図7に示した多出力DC−DCコンバータにおいて、交流電源1に代る直流電源10は、単出力スイッチング電源装置15に相当するものである。
図7に示した多出力DC−DCコンバータを、図1に示したスイッチング電源装置と比較すると、交流電源1の代りに直流電源10を接続してダイオードブリッジ3を廃したこと、1次平滑回路4を図2の(A)に示した1次平滑回路4aにしたこと、及びトランス5cの1次巻線N1と駆動巻線Ndとをサーマルヒューズ11によって接続したことが異なるだけで、それ以外は全く同様であるから、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
図8に示した多出力DC−DCコンバータは、図7に示した多出力DC−DCコンバータの突入電流防止回路2を、もっと簡単なパワーサーミスタ13で代用すると共に、トランス5cから駆動巻線Ndを除き、サーマルヒューズ11を電源巻線N3に直列に接続したトランス5dを用いたものである。
【0056】
パワーサーミスタ13は、常温ではやや高い抵抗値を有しているから、電源オン直後の突入電流を抑制し、電流が流れ始めて温度が上昇すると、抵抗値が下がって常時流れる電流に対する電圧降下は問題にならなくなる。
突入電流防止回路2の代わりにパワーサーミスタ13を用いたことにより、トランス5dを含めたコストは安くなるが、パワーサーミスタ13は過大電流が流れても抵抗値がより低くなるだけで、相当な大電流が流れて焼損しない限り、ヒューズ抵抗21のような電流遮断の効果は期待することが出来ない。
【0057】
そのため、図5に示したスイッチング電源装置と同様に、サーマルヒューズ11を電源巻線N3と直列に接続したものであるから、その作用及び効果も同様である。したがって、図5に示したスイッチング電源装置と同一部分には同一符号を付して、説明を省略する。
【0058】
図7又は図8に示した多出力DC−DCコンバータにおいても、図1又は図5に示したスイッチング電源装置と同様に、トランス5c又は5dの2次側のフィードバック系の出力回路を除く出力回路に、ヒューズ12を設けてもよい。
【0059】
また、図1又は図5に示した多出力のスイッチング電源装置においては、フィードバック系の出力回路にヒューズ12を設けることは不可であると説明したが、図6に示した単出力スイッチング電源装置15の場合は、他の出力回路がないから、フィードバック系の出力回路であってもヒューズ12を設けることが出来る。したがって、単出力スイッチング電源装置15と多出力DC−DCコンバータ16との間に、ヒューズ12を設けるとよい。
【0060】
図7又は図8に示したような、危険防止手段を備えた多出力DC−DCコンバータ16を用いることにより、図6に示したスイッチング電源装置は、感電防止のみならず、発煙,発火のような事故も防止することが出来るから、安全性は更に向上する。
【0061】
以上説明したようにこの発明によるトランス及びそのトランスを用いたスイッチング電源装置は、他の保護手段や安全手段が作動しなかった場合でも、過熱による発火のみならず感電事故の発生を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態であるトランスと、そのトランスを用いたスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図2】図1に示した1次平滑回路の構成の一例を示す回路図である。
【図3】図1に示した突入電流防止回路の構成の一例を示す回路図である。
【図4】図1に示した2次整流平滑回路の構成の一例を示す回路図である。
【図5】この発明の第2の実施形態であるトランスと、そのトランスを用いたスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図6】この発明によるトランスを用いた第3の実施形態であるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図7】図6に示した多出力DC−DCコンバータの構成の一例を示す回路図である。
【図8】図6に示した多出力DC−DCコンバータの構成の他の一例を示す回路図である。
【図9】スイッチング電源装置の従来例の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1:交流電源 2:突入電流防止回路
3:ダイオードブリッジ 4:1次平滑回路
5,5a〜5d:トランス
6,6A〜6C:2次整流平滑回路
7:スイッチング制御回路 8:出力端子
11:サーマルヒューズ(感温遮断手段)
12:ヒューズ(過電流遮断手段)
15:単出力スイッチング電源装置
16:多出力DC−DCコンバータ
N1:1次巻線
N2,N2A〜N2C:2次巻線
N3:電源巻線
Nd:駆動巻線
Claims (4)
- スイッチング電源装置のトランスにおいて、
突入電流防止回路用の駆動巻線を設けると共に、
前記トランスの内部に、温度が予め設定した値を超えた時に回路を開く感温遮断手段を前記駆動巻線と直列に設けたことを特徴とするスイッチング電源装置のトランス。 - スイッチング電源装置のトランスにおいて、
スイッチングパルスを出力するスイッチング制御回路用の電源巻線を設けると共に、
前記トランスの内部に、温度が予め設定した値を超えた時に回路を開く感温遮断手段を前記電源巻線と直列に設けたことを特徴とするスイッチング電源装置のトランス。 - 請求項1又は2記載のトランスを用いたスイッチング電源装置において、
前記トランスの2次巻線が互いに独立した複数の2次巻線からなり、
該複数の2次巻線のうち少くとも1個の2次巻線に直列に、該2次巻線の電流容量に応じた過電流遮断手段を設けたことを特徴とするスイッチング電源装置。 - 請求項1又は2記載のトランスを用いたスイッチング電源装置において、
前記トランスの2次巻線が単出力の1個の2次巻線であって、
該2次巻線に誘起されて整流平滑された2次直流電力を入力し、複数の3次直流電力に変換して出力する多出力DC−DCコンバータを設けたことを特徴とするスイッチング電源装置。
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-
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