JP3568697B2 - フライバック型多出力dc−dcコンバータ - Google Patents

フライバック型多出力dc−dcコンバータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はフライバックトランスを用いた多出力DC−DCコンバータに関り、特に過負荷に起因するトランスの過熱による事故を防止する手段を備えたフライバック型多出力DC−DCコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の電子機器の電源装置として、電力容量に比べて安価で小型軽量であり、電力変換効率が高いため電力損失とそれに伴う発熱が少なく、定電圧制御機能も備えているDC−DCコンバータが広く用いられている。ここで、DC−DCコンバータに入力する1次直流電力が、商用の交流電源から独立した電源、例えば太陽電池,燃料電池,蓄電池等から供給されている場合は全く問題がない。
【0003】
実際問題としては、交流電源から入力する交流電力を整流平滑した1次直流電力が供給される場合が多いため、DC−DCコンバータは、1次直流電力が入力する1次側と負荷が接続される2次側との間を、トランスによって絶縁しているから、通常ならば誤まってDC−DCコンバータと負荷とを結ぶ接続ケーブルや、負荷の内部回路の絶縁されていない裸の部分に触れても、ショックを受けたり感電等の事故が生じないように配慮されている。
【0004】
図4は、従来のフライバック型多出力DC−DCコンバータの基本的な構成の一例を示す回路図である。
図4に示したDC−DCコンバータ30は、交流電源7から入力する交流電力をダイオードブリッジ8とコンデンサC0とにより整流平滑した1次直流電力を、フライバックトランス(以下単に「トランス」ともいう)34の1次巻線NpとトランジスタQとの直列回路に入力し、トランジスタQにより1次巻線Npに流れる電流をスイッチングする。
【0005】
トランス34は、トランジスタQがオンの時に励起されて磁気エネルギを蓄積し、トランジスタQがオフの時に2次巻線N1〜N3に誘起される磁気エネルギが再変換された電流を、それぞれ出力回路31〜33に供給する。それぞれトランジスタQがオフの時に電流を流すダイオードと平滑用のコンデンサからなる出力回路31〜33は、供給される電流を平滑してコンデンサに充電した2次直流電力を、各正負の出力端子を介して負荷に出力する。
【0006】
スイッチング制御回路(SWC)35は、フィードバック系の出力回路31の出力電圧を検出して、その出力電圧が予め設定された電圧になるようにトランジスタQのスイッチングを制御することにより、出力回路31を定電圧制御すると共に、出力回路32,33もそれぞれ略定電圧になる。
通常のフォーワード型DC−DCコンバータの基本的構成は、2次巻線N1〜N3の巻方向が1次巻線Npと同方向であり、トランジスタQがオンの時に出力回路31〜33に電力が供給される点が異なる以外は同様である。
【0007】
しかしながら、フォーワード型でもフライバック型でも、基本的な構成のみからなるDC−DCコンバータは、誤まって出力端子間をショートしたり、内部でショートしている負荷を知らずに接続して過負荷状態になると、定電圧制御を行なっているために、かえってDC−DCコンバータの内部に過大電流が流れて、トランスの過熱により1次2次間の絶縁が破壊されて感電する危険が生じたり、発煙,発火等の重大事故が発生する恐れがあった。
【0008】
したがって、このような過大電流による事故を防止するため、図4に示した交流電源7とダイオードブリッジ8との間の交流ライン、又はダイオードブリッジ8とコンデンサC0の両端子間を結ぶ直流ラインのいずれかに定格出力時の入力電流に応じた電流容量の電源側のヒューズを設けるか、あるいは複数の出力回路31〜33毎にその定格出力電流に応じた電流容量の出力側のヒューズを設けて、過大電流が流れた時にその電流を遮断する方法が用いられていた。
【0009】
あるいは、トランス34の内部にサーマルヒューズ又は感温素子を設け、過大電流によるトランスの温度の異常上昇を検出して電流を遮断するか、又はスイッチング制御回路35がトランジスタQに出力する駆動パルスを抑制して、トランジスタQのスイッチングを停止させることにより、トランス34の2次側への電力供給を遮断する等の方法も用いられていた。
【0010】
さらに温度検出の感度を高めるため、例えば特開昭52−40764号(特公昭59−28976号)公報に示されたように、低温軟化絶縁銅線を用いた巻線に温度検知遮断部を直列に設け、過電流によって巻線の内部温度が上昇すると、絶縁が破れてレアショートが発生し、レアショートにより発生する大量の熱によって温度検知遮断部が電流を遮断するという提案があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭52−40764号公報に示された提案を含めてトランスの温度上昇を検出する方法は、コストアップを招き易いという問題がある。
さらに、電源側に設けたヒューズと同様に、複数の出力回路のうち大容量の出力回路における過負荷に対しては応答し易いが、小容量の出力回路の場合は定格の例えば10倍以上の過負荷が発生しても応答しないため、その部分でトランスの絶縁が破壊されたり、発煙,発火が発生する恐れがある。
【0012】
そのため、複数の出力回路毎にその定格出力電流に応じた出力側のヒューズを設ければ、出力回路の容量に関係なく過負荷に応答して電流が遮断されるから、安全性の点では問題がない。しかしながら、ヒューズの数が増えて装置を小型化し難いことと、保守の点から見て多種類のヒューズを用意しなければならず、誤って小容量の出力回路に大容量のヒューズを用いれば、出力回路毎にヒューズを設けた効果はゼロになってしまうという問題がある。
【0013】
このように、各過大電流防止手段は、それぞれ一長一短があるため、いずれか1つだけでは安全上問題が残るから、実際に用いられるDC−DCコンバータにおいては、複数の過大電流防止手段を併用して安全性を高めているのが実情である。そのため、安全性を高めれば高めるほど、コストの急激な上昇が避けられないという課題があった。
【0014】
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、何等のコストアップを招くことなく安全性をより向上させることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、互いに絶縁された1次巻線と複数のフライバック巻線からなる2次巻線とを有するフライバックトランスと、該フライバックトランスの複数の2次巻線にそれぞれ接続された複数の出力回路と、フライバックトランスの1次巻線と直列に接続したスイッチング素子とを備え、1次巻線とスイッチング素子との直列回路に1次直流電力を入力し、スイッチング素子をスイッチングすることによりフライバックトランスの複数の2次巻線に誘起される2次交流電力を、それぞれの出力回路が整流平滑して2次直流電力を負荷に出力すると共に、複数の出力回路のうちの1つをフィードバック系出力回路としてその出力電圧を検出し、該出力電圧が予め設定された電圧になるようにスイッチング素子のスイッチングを制御するフライバック型多出力DC−DCコンバータにおいて、フィードバック系出力回路に接続された2次巻線を除く他の2次巻線のうちの少なくとも最も電力容量の小さい2次巻線をその巻方向1次巻線の巻方向と同じフォワード巻線にしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面と実施の形態を参照して具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態であるフライバック型多出力DC−DCコンバータの基本的な構成の一例を示す回路図である。
【0018】
図1に示したDC−DCコンバータ10が図4に示したDC−DCコンバータ30と異なる所は、DC−DCコンバータ30に用いた(フライバック)トランス34の2次巻線N1〜N3がすべてフライバック巻線であるのに対して、DC−DCコンバータ10に用いたトランス14は、フィードバック系出力回路に接続された2次巻線N1を除く他の2次巻線のうちの最も電力容量の小さい2次巻線N3のみを、その巻方向が1次巻線Npの巻方向と同じフォーワード巻線としたことであり、その他の部分は(符号が異なる点を除いて)全く同様である。
【0019】
図1に示したDC−DCコンバータ10は、1次巻線Npとフライバック巻線からなる2次巻線N1,N2とフォーワード巻線からなる2次巻線N3とを有するフライバックトランス14と、その1次巻線Npに直列に接続されたスイッチング素子であるトランジスタ(FETでもよい)Qと、それぞれ整流用のダイオードD1〜D3及び平滑用のコンデンサC1〜C3からなり2次巻線N1〜N3に接続された出力回路1〜3と、フィードバック系出力回路である出力回路1の出力電圧を検出してトランジスタQに駆動パルスを出力するスイッチング制御回路(SWC)5とにより構成されている。
【0020】
トランス14の1次巻線NpとトランジスタQとの直列回路には、交流電源7から入力する交流電力をダイオードブリッジ8とコンデンサC0とにより全波整流平滑した1次直流電力が入力する。
1次巻線Npに流れる1次直流電力の電流は、スイッチング制御回路5から入力する駆動パルスに応じてスイッチングするトランジスタQによりオン・オフされる。
【0021】
トランジスタQがオンの時に1次巻線Npに流れる電流により、その電力の一部は2次巻線N3に誘起される上端が正である起電力になり、電流I3はダイオードD3を介してコンデンサC3を充電し、平滑されて出力回路3の2次直流電力になる。2次巻線N1,N2に誘起される起電力は、上端が負になるから電流I1,I2はダイオードD1,D2に遮ぎられるため、残りの電力はトランス14を励起する、すなわち磁気エネルギとして蓄積される。
【0022】
トランジスタQがオフになると、2次巻線N1〜N3に誘起される起電力の極性がそれぞれ反転するから、2次巻線N3に誘起された起電力による電流I3はダイオードD3に遮ぎられてコンデンサC3に流れず、トランス14に蓄積された磁気エネルギが再変換された電流は、2次巻線N1,N2からそれぞれ電流I1,I2となってダイオードD1,D2を介してコンデンサC1,C2に流れ、平滑されて出力回路1,2の2次直流電力として負荷に出力される。
【0023】
スイッチング制御回路(SWC)5は、フィードバック系出力回路である出力回路1の出力電圧(コンデンサC1の端子間電圧)を検出して、検出された出力電圧が予め設定された設定電圧より高ければ、トランジスタQのオン時間を減らすように、設定電圧より低ければオン時間を増すように、それぞれ駆動パルスを出力することにより、交流電源7の電圧変動や負荷変動があっても、出力回路1の出力電圧が設定電圧を保持するように定電圧制御するが、同時に出力回路2,3の出力電圧もそれぞれ略定電圧に維持される。
【0024】
図2は、DC−DCコンバータ10のトランス14(従来例のトランス34も同様)の起磁力EmとインダクタンスLとの関係の一例を示す線図である。インダクタンスLの単位はいうまでもなくヘンリであるが、トランスのコアのサイズによって値が異ってくるから、ここでは相対的な%で示している。起磁力Emの単位はAT(アンペア・ターン)であり、数1に示すように巻線に流れる電流Iと巻線Nとの積であり、複数の巻線があれば各巻線毎の積に和になる。
【0025】
【数1】
Figure 0003568697
【0026】
図2に示したように、起磁力Emが小さい間はインダクタンスLは一定の値すなわち100%を示しているが、起磁力Emが或る値を超えるとインダクタンスLが急に低下する傾向が現われる。
一般に、インダクタンスLが90%になった時の起持力Emを限界値Emsとして、それ以下を不飽和領域、限界値Emsを超えると飽和領域としている。
【0027】
図3は、図2に示したコアの飽和の一例を、磁界の強さHと磁束密度Bとの関係で示す線図である。磁界の強さHは起磁力Emを磁路の長さで割った値すなわち磁路の単位長当りの起磁力であり、その単位はAT/mである。磁束密度Bは磁界の強さHと眞空の透磁率μ との積であり、磁束Φを磁路の断面積で割った値でもある。
【0028】
図3に示したように、磁界の強さHが小さい間は、磁束密度Bが磁界の強さHに比例して増加してゆくが、磁界の強さHが或る値Hsを超えると、磁束密度Bはそれ以上増えない最大磁束密度Bmになる。すなわち、飽和領域に入ったことにより、このコアを用いたトランスのインダクタンスLは、図2に示したように急に低下し始める。
【0029】
図1に示したこの発明の一実施形態であるDC−DCコンバータ10と、図4に示した従来のDC−DCコンバータ30とは、それぞれ各部の作用が殆んど同様であり、回路図上ではトランス14とトランス34の各2次巻線N3の巻方向が互いに逆である点が異なるだけである。
【0030】
しかしながら、トランジスタQがオンの時にトランス14の2次巻線N3に流れる電流I3をIfwとし、トランジスタQがオフの時にトランス34の2次巻線N3に流れる電流I3をIfbとすれば、フォーワード巻線に流れる電流Ifwは、フライバック巻線に流れる電流Ifbに比べて、そのピーク電流が数倍程度大きくなるから、出力回路3と出力回路33の出力電圧と出力電流とを同じにするためには、トランス14とトランス34の各2次巻線N3の巻数を変えなければならない。
【0031】
すなわち、図1に示したDC−DCコンバータ10の一実施例として、出力回路1,2の出力容量が共に電圧24V,電流4Aであり、出力回路3の出力容量が電圧15V,電流0.1Aであるとすると、トランス14の2次巻線N1,N2の巻数N1,N2が共に12T(ターン)、フォーワード2次巻線N3の巻数Nfwは3Tになる。
【0032】
一方、図4に示した従来例のDC−DCコンバータ30の各出力回路31〜33の出力容量を、それぞれDC−DCコンバータ10の各出力回路1〜3の出力容量と同じにするためには、トランス34の2次巻線N1,N2の巻数N1,N2は共に12Tと同じでよいが、フライバック2次巻線N3の巻数Nfbは9Tになって、巻数Nfwの3倍なければならない。
逆にいえば、実施例に用いたトランス14は、2次巻線N3をフォーワード巻線にしたために、巻数は1/3に減少したことになる。
【0033】
数1に示した起磁力Emの式において、トランス14とトランス34の各2次巻線N1,N2に流れる電流I1,I2とその巻数N1,N2とがそれぞれ同じくI1=I2=4A,N1=N2=12Tであるから、起磁力Em全体に占める2次巻線N1,N2による部分、すなわち(4A×12T)×2=96ATは同じであり、それぞれの2次巻線N3による部分だけが異なることになる。
【0034】
トランス(インダクタも同様)のコアは、それぞれの形状やサイズ及びギャップがあればその形状やサイズによって決定される固有のインダクション係数Kを有するが、トランス14とトランス34のコアは互いに同じ形状,サイズからなっていることを前提として、両者のインダクション係数Kも同じである。一般にインダクタンスLは、数2に示すように、インダクション係数Kと巻数Nとの積になる。
【0035】
【数2】
Figure 0003568697
【0036】
トランス14及びトランス34における各2次巻線N3によるインダクタンスLを、それぞれLfw及びLfbとすれば、数2に示した巻線NにそれぞれNfw=3及びNfb=9を代入すればよいから、各インダクタンスLは数3に示すように、Lfw=9K及びLfb=81Kになる。したがって、トランス14及びトランス34の各2次巻線N3にそれぞれ流れる電流I3のピーク値で比較すると、電流IはインダクタンスLに反比例するから、これも数3に示すように、トランス14における電流Ifwがトランス34における電流Ifbの9倍になる。
【0037】
【数3】
Figure 0003568697
【0038】
トランス14及びトランス34の互いに同じ形状,サイズからなるコアの飽和は、各2次巻線N1,N2及びN3に流れる電流のそれぞれピーク値で考えなければならないから、数3に示したIfbをI3pとし、電流I1,I2のピーク値をそれぞれI1p,I2pとすれば、トランス14における起磁力Em(fw)p及びトランス34における起磁力Em(fb)pは、それぞれ数4に示す式で求めることが出来る。
【0039】
【数4】
Figure 0003568697
【0040】
数4から明らかなように、トランス14における起磁力Em(fw)p及びトランス34における起磁力Em(fb)pは、電流I1p,I2pによる起磁力Emは全く同じであるが、電流I3pによる起磁力Emだけが異なっている。
なお、ピーク電流I1p〜I3pは、それぞれの巻線N1〜N3に流れる電流I1〜I3に比例すると考えてよいから、数4に示したI1p〜I3pをそれぞれI1〜I3に置き換えた時には、数5に示すように、ピーク電流値でなく普通の電流値I1〜I3による起磁力Em(fw)及びEm(fb)を求める式が得られる。
【0041】
【数5】
Figure 0003568697
【0042】
各2次巻線N1〜N3にそれぞれ定格電流を流した時の起磁力Emは、数5に示した式にそれぞれI1=I2=4(A),I3=0.1(A)を代入すれば、それぞれ実施例のトランス14ではEm(fw)=98.7AT、従来例のトランス34ではEm(fb)=96.9ATになる。
【0043】
トランス14及びトランス34のコアの起磁力の限界値Emsを、それぞれ上記の値に設定しておけば、各出力回路1〜3及び31〜33が定格電流を出力している時に、いずれかの出力回路が過負荷になって定格電流より大きな過大電流が流れると、コアが飽和領域(図2)に入ってインダクタンスLが減少するから、1次巻線NpとトランジスタQとの直列回路には、過大電流を含んだ全出力電流に対応する1次電流よりも遥かに大きな電流が流れる。
【0044】
そのため、トランス14又はトランス34が過大電流によって温度が異常に上昇する前に、その1次側回路すなわち1次巻線NpとトランジスタQとの直列回路に流れる電流が、トランジスタQの最大定格電流を遥かに超えて、トランジスタQが瞬時に破壊されるから、スイッチングが停止してトランスの絶縁破壊による感電や発火等の重大事故を未然に防止することが出来る。
【0045】
【表1】
Figure 0003568697
【0046】
実際問題としては、コアの起磁力の限界値Emsを、定格電流が流れている時の起磁力Em(fw)又はEm(fb)よりも余裕をもって高めに設定する。
表1は、例えば起磁力の限界値をEms=120ATに設定した場合において、実施例及び従来例の各数値を対比して示す表であり、それぞれ定格電流を流した時の起磁力Emが98.7AT又は96.9ATである実施例又は従来例の限界値Emsに対する起磁力の余裕分は表1に示したように21.3AT又は23.1ATになる。
【0047】
したがって、出力電流I1又はI2のいずれか、あるいはその和が、それぞれ数5に示した係数12(T)によって起磁力の余裕分の1/12、すなわち実施例又は従来例において定格電流(4Aあるいは8A)より1.775A又は1.925Aだけ超えた時に、設定した限界値Emsである120ATに達する。定格電流(4A)に対する比率でいえば、それぞれ44%又は48%オーバの状態である。
【0048】
一方、出力電流I3について同様に計算すると、実施例又は従来例において、それぞれ数5に示した係数27(T)又は9(T)によって起磁力の余裕分の1/27又は1/9すなわち定格電流(0.1)より0.789A又は2.567Aだけ超えた時に限界値Emsに達する。これは比率でいえばそれぞれ790%又は2570%オーバの状態、すなわち定格電流の8.9倍又は26.7倍の過大電流が流れると、コアが飽和することになる。
【0049】
このように、定格出力電流(又は電力)の小さい出力回路ほど過大電流の検出感度が低くなる傾向は各出力回路毎にその定格電流に応じた容量のヒューズを設けるという保守上煩雑な手段以外には、交流電源入力側にヒューズを設けるにしても、トランスの温度の異常上昇を検出して回路を遮断するにしても、避けられない問題である。
【0050】
しかしながら、図1に示したこの発明の一実施形態であるDC−DCコンバータ10は、そのトランス14の最も電力容量の小さい2次巻線N3の巻方向を、従来DC−DCコンバータ30(図4)のトランス34のフライバック巻線からなる2次巻線N3とは逆に、1次巻線Npと同方向のフォーワード巻線としたことにより、実施例の出力回路3と従来例の出力回路33とを同一出力容量(15V,0.1A)にした場合に2次巻線N3の巻数が、それぞれ3Tと9Tになった。
【0051】
すなわち、実施例の巻数は従来例に比べて1/3である。その結果、数1に示したように、従来例では出力電流I3が定格電流(0.1A)の27倍を超える過大電流が流れた時にトランジスタQが破壊されてスイッチングが停止し、重大事故を防止するのに対して、実施例では過大電流が9倍を超えるとスイッチングが停止するから、過大電流検出感度は略3倍に改善されたことになる。
【0052】
一般に、2次巻線をフライバック巻線からフォーワード巻線に変えた時に巻数が1/Mになったとすれば、それぞれ数3に示したように、インダクタンスLは1/M に減少し、インダクタンスLに反比例する電流IはM 倍になる。
数4及び数5に示した起磁力Emの式のピーク電流I3p又は電流I3の係数は、電流と巻数との積であるから、フォーワード巻線の場合の係数はフライバック巻線に比べてM倍になる。
【0053】
したがって、表1に示した定格時の起磁力Emの僅かな違い(1.8AT)を無視して、起磁力Emの余裕分が同じであるとすれば、DC−DCコンバータ10のトランス14のコアは、DC−DCコンバータ30のトランス34のコアに比べて、電流I3の定格電流に対する超過分が1/Mで飽和に達するから、検出感度はM倍になり、それだけ過大電流による重大事故に対する安全性が向上している。
【0054】
以上説明した効果は、フライバック型多出力DC−DC コンバータのフィードバック系出力回路1以外の他のいずれかの出力回路に接続する2次巻線に適用してもある程度得られるが、上述したDC−DCコンバータ10のように他の2次巻線のうち最も電力容量の小さい(通常は最も電流容量の小さい)2次巻線N3に適用することによって大きな効果が得られる
【0055】
もし、2次巻線N3より電力容量の遥かに大きい2次巻線N2に適用すると、表1からも容易に推定できるように、過大電流の検出感度が上がり過ぎて、僅かな過大電流でもトランジスタQが破壊してしまい、実用上問題である。
しかしながら、出力回路の数がもっと多いDC−DCコンバータの場合は、フォーワード巻線に変換する2次巻線は1個に限定されるものではなく、電力容量の小さい出力回路から順に2個以上の2次巻線をフォーワード巻線にしてもよいことはいうまでもない。
【0056】
あるいは、出力回路の数がもっと多いDC−DCコンバータであって、その各出力回路の電力容量(又は電流容量)が同じである場合には、過大電流の検出感度が上がり過ぎない範囲で出力回路の数に応じて1個又はそれ以上の2次巻線をフォーワード巻線に変換することも可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によるフライバック型多出力DC−DCコンバータは、何等のコストアップを招くことなく、安全性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態であるフライバック型多出力DC−DCコンバータの構成の一例を示す回路図である。
【図2】DC−DCコンバータに使用されるフライバックトランスの起磁力とインダクタンスとの関係の一例を示す線図である。
【図3】DC−DCコンバータに使用されるフライバックトランスの磁界の強さと磁束密度との関係の一例を示す線図である。
【図4】従来のフライバック型多出力DC−DCコンバータの構成の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
1:出力回路(フィードバック系出力回路)
2,3:出力回路 5:スイッチング制御回路
10:DC−DCコンバータ
14:トランス(フライバックトランス)
N1〜N3:2次巻線 Np:1次巻線
Q:トランジスタ(スイッチング素子)

Claims (1)

  1. 互いに絶縁された1次巻線と複数のフライバック巻線からなる2次巻線とを有するフライバックトランスと、該フライバックトランスの複数の2次巻線にそれぞれ接続された複数の出力回路と、前記フライバックトランスの1次巻線と直列に接続したスイッチング素子とを備え、
    前記1次巻線とスイッチング素子との直列回路に1次直流電力を入力し、前記スイッチング素子をスイッチングすることにより前記フライバックトランスの複数の2次巻線に誘起される2次交流電力を、それぞれ前記複数の出力回路が整流平滑して2次直流電力を負荷に出力すると共に、前記複数の出力回路のうちの1つをフィードバック系出力回路としてその出力電圧を検出し、該出力電圧が予め設定された電圧になるように前記スイッチング素子のスイッチングを制御するフライバック型多出力DC−DCコンバータにおいて、
    前記フィードバック系出力回路に接続された2次巻線を除く他の2次巻線のうちの少なくとも最も電力容量の小さい2次巻線をその巻方向前記1次巻線の巻方向と同じフォーワード巻線にしたことを特徴とするフライバック型多出力DC−DCコンバータ。
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