JP3571537B2 - 自動車車体フレームのクロスメンバ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロスメンバが左右各サイドフレームから突出する基部メンバと、これら基部メンバに架設される本体メンバとを備えた自動車車体フレームのクロスメンバ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体フレームは、通常、その車幅方向の各側部を構成して前後方向に延びる左右一対のサイドフレームと、車幅方向に延びてこれら両サイドフレームに架設されてこれら両サイドフレームを互いに結合させるクロスメンバとを備えている(実開平3‐82280号公報)。
【0003】
また、上記構成において、従来、図8〜10で示されるものが提案されている。
【0004】
上記図で示したものにつき説明すると、図中、符号1は自動車の車体フレームで、矢印Frはこの自動車の前方を示している。
【0005】
上記車体フレーム1は、車幅方向の各側部を構成して前後方向に延びる左右一対の板金製サイドフレーム2と、車幅方向に延びてこれら左右サイドフレーム2に架設されてこれら両サイドフレーム2を互いに結合させる板金製クロスメンバ3とを備え、上記各サイドフレーム2の前端部にはラジエータサポート4が支持され、上記した各部材2〜4は車体の前部を構成している。
【0006】
上記車体フレーム1は、上記両サイドフレーム2の中央5を基準として左右ほぼ対称形とされている。上記クロスメンバ3は、上記各サイドフレーム2にスポット溶接(×印図示)Sにより結合されてこのサイドフレーム2から上記中央5側に向って突出する基部メンバ7と、これら左右基部メンバ7,7間に配設されると共に車幅方向に延びてその各端部が上記各基部メンバ7に結合させられる本体メンバ8とを備えている。また、上記各基部メンバ7はそれぞれ互いにスポット溶接Sにより結合させられた上、下メンバ10,11を備え、また、上記本体メンバ8も互いにスポット溶接Sにより結合させられた上、下メンバ12,13を備えている。
【0007】
上記の場合、本体メンバ8の端部における上メンバ12は下メンバ13よりも上記サイドフレーム2側に向って突出させられており、上記基部メンバ7の上メンバ10の上面に上記本体メンバ8の上メンバ12が載置されてスポット溶接Sにより結合させられている。
【0008】
上記構成の車体フレーム1を組み立てる場合には、まず、左右サイドフレーム2から予め突出させた左右基部メンバ7の上メンバ10の上面に、その上方から上記本体メンバ8の各端部の上メンバ12を載置させる。次に、上記上メンバ10,12同士を互いにスポット溶接Sさせて、上記各基部メンバ7に本体メンバ8の各端部を結合させ、もって、上記組み立てを行うこととされている。
【0009】
つまり、上記構成によれば、各基部メンバ7に単にその上方から上記本体メンバ8の各端部を載置させて結合させるという単純な作業によって、上記車体フレーム1の組み立て作業が容易にできることとされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の技術によれば、基部メンバ7の下メンバ11と本体メンバ8の下メンバ13とは、これらが上記組み立ての際に上、下方向で互いに干渉し合わないようにするため、上記基部メンバ7の下メンバ11と本体メンバ8の下メンバ13とは車幅方向で互いに離反させられていて、隙間15が生じさせられている。
【0011】
よって、上記クロスメンバ3において、上記隙間15に対応する基部メンバ7と本体メンバ8との結合部の一部では、断面係数が急減して、ここに応力集中が生じるおそれがある。
【0012】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、車体フレームの組み立て作業が容易にできるようにしたままで、クロスメンバが備える基部メンバと本体メンバとの結合部の強度をより向上させるようにすることを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の自動車車体フレームのクロスメンバ構造は、次の如くである。
【0014】
請求項1の発明は、左右サイドフレーム2に架設されるクロスメンバ3が、上記各サイドフレーム2からこれら両サイドフレーム2の中央5側に向って突出する基部メンバ7と、これら左右基部メンバ7,7間に配設されると共に車幅方向に延びてその各端部が上記各基部メンバ7に結合させられる本体メンバ8とを備え、上記各基部メンバ7と本体メンバ8がそれぞれ互いに結合させられた上、下メンバ10〜13を備えた自動車車体フレームにおいて、
【0015】
上記基部メンバ7の上メンバ10よりもその下メンバ11を上記中央5側に向って突出させる一方、上記本体メンバ8の端部における上メンバ12をその下メンバ13よりも上記サイドフレーム2側に向って突出させ、上記基部メンバ7の上メンバ10の上面に上記本体メンバ8の上メンバ12を、上記基部メンバ7の下メンバ11の上面に上記本体メンバ8の下メンバ13をそれぞれ載置させて結合させ
【0016】
記各上、下メンバ10〜13の断面をそれぞれほぼU字形状としてこれら各上、下メンバ10〜13が、それぞれ前後方向で離れて対面する一対の側板17,17と、これら両側板17,17の各端縁を結合させる連結板18とを備え、互いに結合させられる上メンバ10,12同士と、下メンバ11,13同士とをそれぞれ互いに嵌合させると共に、上記各上メンバ10,12の側板17,17同士と、連結板18,18同士とを互いに面接合させてそれぞれ結合させ、かつ、上記各下メンバ11,13の側板17,17同士と、連結板18,18同士とを互いに面接合させてそれぞれ結合させたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0018】
図1〜7は、本発明の実施の形態を示している。
【0019】
この実施の形態は、前記従来の技術と基本構成が同じであるため、上記図8〜10と共通の符号を上記各図面に付して、その重複した説明を省略する。
【0020】
上記各上、下メンバ10〜13はそれぞれプレス成形されたもので、その車幅方向(長手方向)の各部断面は、それぞれ倒立のほぼU字形状とされている。より具体的には、上記上、下メンバ10〜13は、それぞれ前後方向で少し離れて対面する前後一対の側板17,17と、これら両側板17,17の各上端縁を一体的に結合させる連結板18と、上記各側板17の各下端縁にそれぞれ一体形成される外向きフランジ19,19とを備え、断面が単なる平板状のメンバに比べて十分の強度と剛性とを有している。
【0021】
上記構成において、左右サイドフレーム2に架設されるクロスメンバ3は、上記各サイドフレーム2からこれら両サイドフレーム2の中央5側に向って突出する基部メンバ7と、これら左右基部メンバ7,7間に配設されると共に車幅方向に延びてその各端部が上記各基部メンバ7に結合させられる本体メンバ8とを備え、上記各基部メンバ7と本体メンバ8とはそれぞれ互いに結合させられた上、下メンバ10〜13を備えている。
【0022】
上記基部メンバ7の上メンバ10よりもその下メンバ11が上記中央5側に向って突出させられる一方、上記本体メンバ8の端部における上メンバ12がその下メンバ13よりも上記サイドフレーム2側に向って突出させられ、上記基部メンバ7の上メンバ10の上面に上記本体メンバ8の上メンバ12が、上記基部メンバ7の下メンバ11の上面に上記本体メンバ8の下メンバ13がそれぞれ載置させられて結合させられている。
【0023】
上記構成の車体フレーム1を組み立てる場合には、まず、左右サイドフレーム2から予め突出させた左右基部メンバ7の上メンバ10の上面に、その上方から上記本体メンバ8の各端部の上メンバ12を載置させ、かつ、上記基部メンバ7の下メンバ11の上面に、その上方から上記本体メンバ8の各端部の下メンバ13を載置させる。次に、上記上メンバ10,12同士、および下メンバ11,13同士をそれぞれ互いにスポット溶接Sさせて、上記各基部メンバ7に本体メンバ8の各端部を結合させ、もって、上記組み立てを行うこととされている。
【0024】
つまり、上記構成によれば、各基部メンバ7に単にその上方から上記本体メンバ8の各端部を載置させて結合させるという単純な作業によって、上記車体フレーム1の組み立て作業が容易にできることとされている。
【0025】
そして、上記構成によれば、基部メンバ7の上、下メンバ10,11と、本体メンバ8の上、下メンバ12,13とがそれぞれ互いに結合されたことから、下メンバ11,13同士が互いに結合されていない従来の技術に比べて、上記基部メンバ7と本体メンバ8との結合部の一部に応力集中が生じることは防止される。
【0026】
よって、車体フレーム1の組み立て作業が容易にできるようにしたままで、上記クロスメンバ3が備える基部メンバ7と本体メンバ8の結合部の強度がより向上させられている。
【0027】
また、上記の場合、上記各上、下メンバ10〜13の断面がそれぞれほぼU字形状とされて、互いに結合させられる上メンバ10,12同士と、下メンバ11,13同士とがそれぞれ互いに嵌合させられている。より具体的には、上記基部メンバ7の上メンバ10にその上方から上記本体メンバ8の上メンバ12が外嵌させられ、また、上記基部メンバ7の下メンバ11にその上方から本体メンバ8の下メンバ13が外嵌させられており、それぞれの各側板17,17同士と、連結板18,18同士とが互いに面接合させられて、それぞれスポット溶接Sにより結合させられている。
【0028】
上記構成によれば、各上、下メンバ10〜13がそれぞれ強度と剛性の高いU字形状であることから、上記基部メンバ7と本体メンバ8の結合部の強度は更に向上することとなる。
【0029】
しかも、上記車体フレーム1の組み立ての際、上メンバ10,12同士と、下メンバ11,13同士は互いに嵌合させられるため、これらの嵌合で、上メンバ10,12同士と、下メンバ11,13同士の互いの位置決めが簡単かつ正確にできるため、上記組み立て作業がより容易にできるという利点もある。
【0030】
また、上記のように、互いに嵌合した上メンバ10,12による上接合体と、互いに嵌合した下メンバ11,13による下接合体とによって、上記基部メンバ7と本体メンバ8の結合部の断面は閉じられた箱形とされている。
【0031】
よって、上記基部メンバ7と本体メンバ8の結合部の強度はより向上させられる。
【0032】
なお、以上は図示の例によるが、各上、下メンバ10〜13の断面は、正立のほぼU字形状であってもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明による効果は、次の如くである。
【0034】
請求項1の発明は、左右サイドフレームに架設されるクロスメンバが、上記各サイドフレームからこれら両サイドフレームの中央側に向って突出する基部メンバと、これら左右基部メンバ間に配設されると共に車幅方向に延びてその各端部が上記各基部メンバに結合させられる本体メンバとを備え、上記各基部メンバと本体メンバがそれぞれ互いに結合させられた上、下メンバを備えた自動車車体フレームにおいて、
【0035】
上記基部メンバの上メンバよりもその下メンバを上記中央側に向って突出させる一方、上記本体メンバの端部における上メンバをその下メンバよりも上記サイドフレーム側に向って突出させ、上記基部メンバの上メンバの上面に上記本体メンバの上メンバを、上記基部メンバの下メンバの上面に上記本体メンバの下メンバをそれぞれ載置させて結合させてあり、次の効果が生じる。
【0036】
即ち、上記構成の車体フレームを組み立てる場合には、まず、左右サイドフレームから予め突出させた左右基部メンバの上メンバの上面に、その上方から上記本体メンバの各端部の上メンバを載置させ、かつ、上記基部メンバの下メンバの上面に、その上方から上記本体メンバの各端部の下メンバを載置させる。次に、上記上メンバ同士、および下メンバ同士をそれぞれ互いにスポット溶接させて、上記各基部メンバに本体メンバの各端部を結合させ、もって、上記組み立てを行うこととされている。
【0037】
つまり、上記構成によれば、各基部メンバに単にその上方から上記本体メンバの各端部を載置させて結合させるという単純な作業によって、上記車体フレームの組み立て作業が容易にできることとされている。
【0038】
そして、上記構成によれば、基部メンバの上、下メンバと、本体メンバの上、下メンバとがそれぞれ互いに結合されたことから、下メンバ同士が互いに結合されていない従来の技術に比べて、上記基部メンバと本体メンバとの結合部の一部に応力集中が生じることは防止される。
【0039】
よって、車体フレームの組み立て作業が容易にできるようにしたままで、上記クロスメンバが備える基部メンバと本体メンバの結合部の強度をより向上させることができる。
【0040】
また、上記各上、下メンバの断面をそれぞれほぼU字形状としてこれら各上、下メンバが、それぞれ前後方向で離れて対面する一対の側板と、これら両側板の各端縁を結合させる連結板とを備え、互いに結合させられる上メンバ同士と、下メンバ同士とをそれぞれ互いに嵌合させると共に、上記各上メンバの側板同士と、連結板同士とを互いに面接合させてそれぞれ結合させ、かつ、上記各下メンバの側板同士と、連結板同士とを互いに面接合させてそれぞれ結合させてある。
【0041】
このため、上記各上、下メンバがそれぞれ強度と剛性の高いU字形状であって、上記したようにそれぞれの各側板同士と、連結板同士とを互いに面接合させて、それぞれ結合させたことから、上記基部メンバと本体メンバの結合部の強度は更に向上することとなる。
【0042】
しかも、上記車体フレームの組み立ての際、上メンバ同士と、下メンバ同士は互いに嵌合させられるため、これらの嵌合で、上メンバ同士と、下メンバ同士の互いの位置決めが簡単かつ正確にできるため、上記組み立て作業がより容易にできるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】車体フレームの一側部の正面図である。
【図2】図1の展開部分断面図である。
【図3】図2で示したものの斜視図である。
【図4】図1の4‐4線矢視断面図である。
【図5】図1の5‐5線矢視断面図である。
【図6】図1の6‐6線矢視断面図である。
【図7】図1の7‐7線矢視断面図である。
【図8】従来の技術で、図1に相当する図である。
【図9】従来の技術で、図2に相当する図である。
【図10】従来の技術で、図3に相当する図である。
【符号の説明】
1 車体フレーム
2 サイドフレーム
3 クロスメンバ
5 中央
7 基部メンバ
8 本体メンバ
10 上メンバ
11 下メンバ
12 上メンバ
13 下メンバ
17 側板
18 連結板
S スポット溶接

Claims (1)

  1. 左右サイドフレームに架設されるクロスメンバが、上記各サイドフレームからこれら両サイドフレームの中央側に向って突出する基部メンバと、これら左右基部メンバ間に配設されると共に車幅方向に延びてその各端部が上記各基部メンバに結合させられる本体メンバとを備え、上記各基部メンバと本体メンバがそれぞれ互いに結合させられた上、下メンバを備えた自動車車体フレームにおいて、
    上記基部メンバの上メンバよりもその下メンバを上記中央側に向って突出させる一方、上記本体メンバの端部における上メンバをその下メンバよりも上記サイドフレーム側に向って突出させ、上記基部メンバの上メンバの上面に上記本体メンバの上メンバを、上記基部メンバの下メンバの上面に上記本体メンバの下メンバをそれぞれ載置させて結合させ
    記各上、下メンバの断面をそれぞれほぼU字形状としてこれら各上、下メンバが、それぞれ前後方向で離れて対面する一対の側板と、これら両側板の各端縁を結合させる連結板とを備え、互いに結合させられる上メンバ同士と、下メンバ同士とをそれぞれ互いに嵌合させると共に、上記各上メンバの側板同士と、連結板同士とを互いに面接合させてそれぞれ結合させ、かつ、上記各下メンバの側板同士と、連結板同士とを互いに面接合させてそれぞれ結合させた自動車車体フレームのクロスメンバ構造。
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