JP3569528B2 - 眼用レンズ材料およびその製造法 - Google Patents

眼用レンズ材料およびその製造法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、眼用レンズ材料およびその製造法に関する。さらに詳しくは、高酸素透過性および高屈折率を有し、機械的強度が大きく、柔軟性および形状回復性にすぐれ、たとえばソフトコンタクトレンズ、眼内レンズなどの眼用レンズに好適に使用しうる眼用レンズ材料、ならびに安価な原料から短時間で該眼用レンズ材料を製造しうる方法に関する。
背景技術
従来、ソフトコンタクトレンズ用材料としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分とした含水性材料やN−ビニルピロリドンを主成分とした含水性材料が知られている。
しかしながら、前者は、酸素透過性が充分でないため、角膜の新陳代謝作用に悪影響を及ぼすおそれがあり、また後者は、高含水率を有するものであるため、機械的強度が不充分であるという欠点がある。また、これらは、いずれも含水性材料であるため、使用中にレンズ中で細菌などが繁殖しやすく、煮沸消毒を頻繁に行なう必要があり、コンタクトレンズケアの負担が大きいという欠点もある。
一方、非含水性のソフトコンタクトレンズ材料としては、シリコーンゴムを主成分とした非含水性材料やアクリル酸エステルを主成分とした非含水性材料が知られている。
しかしながら、前者は、高酸素透過性を有するものであるが、シリコーンゴム自体が疎水性を呈するため、角膜に装用したときには異物感があり、また涙液中の脂質などの汚れが付着しやすいといった欠点がある。また、かかるシリコーンゴムを主成分とした非含水性材料の欠点を解消するために、シリコーン系ポリマーと他のモノマーやポリマーとを組合わせた材料が検討されているが、一般に、シリコーン系原料は、価格が高いという欠点がある。また、後者のアクリル酸エステルを主成分とした非含水性材料としては、特開昭62−229113号公報に記載された非含水型ソフトコンタクトレンズが提案されているが、かかる材料には、重合後にかなりの長時間をかけてエステル化またはエステル交換をしなければならないという製造コスト上の不利な点がある。
一方、眼内レンズとしては、ポリメチルメタクリレートから製造された硬質レンズが主流であり、かかる硬質レンズを白内障患者の眼内に挿入するためには、眼球を大きく切開する必要がある。
しかしながら、前記硬質レンズを眼内に挿入するための切開傷が大きくなると、切開傷の縫合後に、患者が不正な乱視になりやすくなるという問題が生じる。したがって、このような白内障患者の眼内へ眼内レンズを挿入する手術は、小切開手術であることが好ましいことから、柔軟性および形状回復性にすぐれ、折りたたみが可能であり、かかる小切開手術に適用しうる眼内レンズ材料の開発が待ち望まれている。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、高酸素透過性を有し、機械的強度が大きく、柔軟性および形状回復性にすぐれ、とくにソフトコンタクトレンズ、眼内レンズなどの眼用レンズに好適に使用しうる眼用レンズ材料、ならびに安価な原料から短時間で該眼用レンズ材料を製造しうる方法を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明は、▲1▼ジエン系ポリマーおよび該ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーを主成分とした共重合成分を共重合させてえらえた共重合体からなる眼用レンズ材料、ならびに▲2▼ジエン系ポリマーおよび該ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーを主成分とした共重合成分を共重合させるに際し、ジエン系ポリマーと、該ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーとを混合したのち、共重合成分を共重合させることを特徴とする眼用レンズ材料の製造法に関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の眼用レンズ材料は、前記したように、ジエン系ポリマーおよび該ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーを主成分とした共重合成分を共重合させてえられた共重合体で構成される。
本発明に用いられるジエン系ポリマーは、一般に大量生産されており、非常に安価で容易に入手しうるものである。
前記ジエン系ポリマーの代表例としては、たとえばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体などがあげられる。これらのジエン系ポリマーのなかでは、眼用レンズ材料の表面粘着性を小さくし、透明性を向上させるという点から、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体およびイソブチレン−イソプレン共重合体は、本発明においてとくに好適に使用しうるものである。
前記ポリブタジエンの数平均分子量は、重合に供せられるモノマーとの相容性を向上させ、またそれ自身が硬くなるのを防ぎ、取扱い性を向上させるためには、1000000以下、好ましくは600000以下であることが望ましい。また、架橋後に、えられる共重合体の架橋点間の分子鎖の分子量が小さくなるのを防ぎ、機械的強度を向上させ、脆くならないようにするためには、かかるポリブタジエンの数平均分子量は、500以上、好ましくは1000以上、さらに好ましくは3000以上であることが望ましい。
前記ポリブタジエンのシス含量が高いばあいであっても、あるいは低いばあいであっても、眼用レンズ材料の性能にはほとんど差がないので、かかるポリブタジエンのシス含量にはとくに限定がない。なお、前記ポリブタジエンのシス含量が高くなるにしたがって眼用レンズ材料の酸素透過係数が高くなり、また伸び率も大きくなる傾向があり、また該シス含量が低くなるにしたがって、眼用レンズ材料の水中における安定性が向上する傾向がある。
また、前記ポリブタジエンの1,2−結合量(ビニル含量)は、眼用レンズ材料の柔軟性を向上させるためには、70重量%以下、好ましくは50重量%以下であることが望ましく、とくに1,2−結合は含まれていなくてもよい。なお、前記ポリブタジエンを2種以上混合して用いる際に、ポリブタジエン全量に対する前記1,2−結合量を有するポリブタジエンの混合割合が40重量%以下であるばあいには、他のポリブタジエンの1,2−結合量が70重量%をこえても、眼用レンズ材料の酸素透過性、機械的強度、柔軟性などが低下するおそれがない。
前記ポリイソプレンの数平均分子量は、重合に供せられるモノマーとの相溶性を向上させ、またそれ自身が硬くなるのを防ぎ、取扱い性を向上させるためには、1000000以下、好ましくは700000以下であることが望ましい。また、架橋後に、えられる共重合体の架橋点間の分子鎖の分子量が小さくなるのを防ぎ、機械的強度を向上させ、脆くならないようにするためには、かかるポリイソプレンの数平均分子量は、1000以上、好ましくは3000以上であることが望ましい。
前記ポリイソプレンのシス含量は、とくに限定がなく、たとえばチグラー系触媒、リチウム系触媒などを用いた溶液重合法などの通常の重合法でえられた、シス含量が91〜99重量%のポリイソプレンは、性能的に大差がない眼用レンズ材料がえられるので好ましい。
前記ポリクロロプレンの数平均分子量は、重合に供せられるモノマーとの相溶性を向上させ、またそれ自身が硬くなるのを防ぎ、取扱い性を向上させるためには、1000000以下、好ましくは600000以下であることが望ましい。また、架橋後に、えられる共重合体の架橋点間の分子鎖の分子量が小さくなるのを防ぎ、機械的強度を向上させ、脆くならないようにするためには、かかるポリクロロプレンの数平均分子量は、1000以上、好ましくは3000以上であることが望ましい。
前記スチレン−ブタジエン共重合体としては、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体があげられる。本発明においては、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体および溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体をそれぞれ単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。いずれのばあいであっても、眼用レンズ材料の性能には大差がないが、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体は、その製造過程上、乳化重合の際の界面活性剤などが不純物として残るため、眼用レンズ材料としての性質上、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体が好適に用いられる。
前記スチレン−ブタジエン共重合体のスチレン含量は、スチレン−ブタジエン共重合体自体のガラス転移温度が上昇してゴム弾性が低下することに基づき、眼用レンズ材料の酸素透過性が低下し、伸びおよび柔軟性が低下するのを防ぐためには、50重量%以下、好ましくは25重量%以下であることが望ましい。
前記スチレン−ブタジエン共重合体の数平均分子量は、重合に供せられるモノマーとの相溶性を向上させ、またそれ自身の流動性を低下させず、取扱い性を向上させるためには、1000000以下、好ましくは600000以下であることが望ましい。また、架橋後に、えられる共重合体の架橋点間の分子鎖の分子量が小さくなるのを防ぎ、機械的強度を向上させ、脆くならないようにするためには、かかるスチレン−ブタジエン共重合体の数平均分子量は、1000以上、好ましくは3000以上であることが望ましい。
前記アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の数平均分子量は、重合に供せられるモノマーとの相溶性を向上させ、またそれ自身が硬くなるのを防ぎ、取扱い性を向上させるためには、1000000以下、好ましくは600000以下であることが望ましい。また、架橋後に、えられる共重合体の架橋点間の分子鎖の分子量が小さくなるのを防ぎ、機械的強度を向上させ、脆くならないようにするためには、かかるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体の数平均分子量は、1000以上、好ましくは3000以上であることが望ましい。
また、前記アクリロニトリル−ブタジエン共重合体と親水性モノマーとを共重合させると、含水性眼用レンズ材料とすることができる。アクリロニトリル−ブタジエン共重合体のアクリロニトリル含量が高くなると、該アクリロニトリル−ブタジエン共重合体と親水性モノマーとの相溶性が向上し、また眼用レンズ材料の含水率も高くなる。またアクリロニトリル含量が低くなると、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体と親水性モノマーとの相溶性が低下し、眼用レンズ材料の含水率も低くなるが、機械的強度にすぐれた材料がえられる。したがって、より高含水率を有する眼用レンズ材料をうるためには、アクリロニトリル含量が43重量%以上のアクリロニトリル−ブタジエン共重合体を用いることが好ましい。また、より高機械的強度を有する眼用レンズ材料をうるためには、アクリロニトリル含量が25重量%以下のアクリロニトリル−ブタジエン共重合体を用いることが好ましい。しかしながら、良好な親水性モノマーとの相溶性にもとづく良好な含水率を有し、良好な酸素透過性および適度な機械的強度を有する眼用レンズ材料をうるためには、用いるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のアクリロニトリル含量が15〜50重量%であることが好ましい。
前記イソブチレン−イソプレン共重合体の数平均分子量は、重合に供せられるモノマーとの相溶性を向上させ、またそれ自身の流動性を低下させず、取扱い性を向上させるためには、1000000以下、好ましくは600000以下であることが望ましい。また、架橋後に、えられる共重合体の架橋点間の分子鎖の分子量が小さくなるのを防ぎ、機械的強度を向上させ、脆くならないようにするためには、かかるイソブチレン−イソプレン共重合体の数平均分子量は、1000以上、好ましくは3000以上であることが望ましい。
なお、本発明においては、前記各種ジエン系ポリマーは、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
前記ジエン系ポリマーの共重合成分における含有量は、眼用レンズ材料を構成する共重合体のガラス転移温度を低くし、酸素透過性を高め、柔軟性を向上させるためには、10重量%以上、好ましくは30重量%以上であることが望ましい。また該ジエン系ポリマーの共重合成分における含有量は、眼用レンズ材料に好ましい親水性を付与するためには、95重量%以下、好ましくは70重量%以下であることが望ましい。
前記ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーとしては、たとえば親水性モノマー、疎水性モノマーなどがあげられる。
前記親水性モノマーは、眼用レンズ材料に親水性を付与するための成分である。
前記親水性モノマーの代表的としては、たとえば(メタ)アクリル酸;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルラクタム;エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリ」は、アクリまたはメタアクリを意味し、両者を総称して表現している。
ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーとして、前記親水性モノマーを用いるばあい、かかる親水性モノマーは、眼用レンズ材料に適度な親水性を付与するためには、非重合成分中に5重量%以上含有されることが好ましく、さらにジエン系ポリマーと混合したときの混合物自体の流動性を向上させ、粘着性を低下させ、取扱いやすくするためには、共重合成分中に10重量%以上含有されることがより好ましい。また、該親水性モノマーは、眼用レンズ材料に適度な柔軟性を付与するためには、共重合成分中に90重量%以下含有されることが好ましく、さらに眼用レンズ材料の酸素透過性を向上させるためには、共重合成分中に70重量%以下含有されることがより好ましい。
前記アクリロニトリル−ブタジエン共重合体を用いて、含水性眼用レンズ材料をうるばあい、親水性モノマーは、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体と混合したときの混合物自体の流動性を向上させ、成形加工性を向上させるためには、共重合成分中に10重量%以上含有されることが好ましく、さらに眼用レンズ材料に適度な酸素透過性を付与するのに必要な含水率をうるためには、共重合成分中に30重量%以上含有されることがより好ましい。また、含水性眼用レンズ材料をうるばあい、該親水性モノマーは、眼用レンズ材料に適度な機械的強度を付与するためには、共重合成分中に95重量%以下含有されることが好ましく、さらに眼用レンズ材料に適度なレンズ形状維持性(腰の強さ)を付与するためには、共重合成分中に85重量%以下含有されることがより好ましい。
前記親水性モノマーのなかでは、(メタ)アクリル酸は、ジエン系ポリマーとの相溶性にすぐれたものであり、とくにジエン系ポリマーに対して相溶化剤的な作用を呈する疎水性モノマーをジエン系ポリマーに配合しなくても、それ単独で該ジエン系ポリマーに配合して用いることができ、眼用レンズ材料にすぐれた親水性を付与することができる。
前記親水性モノマーのなかでは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドおよびアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、ジエン系ポリマーとは均一に混合しがたいものであるため、これらの親水性モノマーを用いる際には、ジエン系ポリマーに対して相溶化剤的な作用を呈する疎水性モノマーをジエン系ポリマーに配合することが好ましい。また、これらの親水性モノマーは、吸水性が強いものであるため、眼用レンズ材料が水中で白濁するおそれをなくすためには、該親水性モノマーは、共重合成分中に30重量%以下含有されることが好ましい。また、眼用レンズ材料に、より良好な親水性を付与せしめるためには、これらの親水性モノマーを、(メタ)アクリル酸とともに用いることが好ましい。
前記疎水性モノマーは、眼用レンズ材料に親水性を付与するための親水性モノマーとジエン系ポリマーとの相溶化剤としての作用を呈する成分である。
前記疎水性モノマーの代表例としては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物;酢酸ビニルなどのビニルエステルなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記疎水性モノマーを使用するに際しては、以下の3つの疎水性モノマーの選択基準がある。
第1の疎水性モノマーの選択基準は、本発明の眼用レンズ材料に親水性を付与するための親水性モノマーとジエン系ポリマーとの相溶性を高めることにある。かかる観点から、好ましい疎水性モノマーとしては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルなどの1分子中における極性基の割合が大きいモノマーがあげられる。これらの疎水性モノマーを用いたばあいには、親水性モノマーの含有量を多くすることができるので、眼用レンズ材料の親水性をより高めることができ、またジエン系ポリマーと親水性モノマーとの混合時間を大幅に短縮することができるので、生産効率を向上させることができる。
第2の疎水性モノマーの選択基準は、疎水性モノマーを単独重合させてえられたホモポリマーのガラス転移温度が低いことにある。そのホモポリマーのガラス転移温度が低い疎水性モノマーとしては、たとえば直鎖アルキル(メタ)アクリレートなどが好ましい例としてあげられる。かかる疎水性モノマーを用いたばあいには、眼用レンズ材料の酸素透過性をより高めることができる。
第3の疎水性モノマーの選択基準は、本発明の眼用レンズ材料の引張強度などの機械的強度を大きくすることにある。かかる観点から、好ましい疎水性モノマーとしては、たとえばt−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレンなどの分子中にハードセグメントを有するモノマーがあげられる。
本発明においては、前記第1〜3の疎水性モノマーの選択基準に応じて疎水性モノマーを選択することにより、所望の物性を眼用レンズ材料に付与することができる。
前記第1〜3の疎水性モノマーの選択基準を考慮すれば、前記疎水性モノマーのなかでは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基が直鎖で炭素数が1〜12のアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。なお、アルキル基の炭素数が13以上であるばあいには、眼用レンズ材料の引張強度が小さくなる傾向がある。
前記したように、親水性モノマーとして(メタ)アクリル酸を用いたばあいには、前記疎水性モノマーをとくに用いなくても、ジエン系ポリマーと(メタ)アクリル酸とを均一に混合することができるが、かかる(メタ)アクリル酸以外の親水性モノマーを用いるばあいには、疎水性モノマーをジエン系ポリマーに配合することが好ましい。
前記疎水性モノマーの含有量は、用いられる親水性モノマーの種類や含有量などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、ジエン系ポリマーと親水性モノマーとの相溶性を考慮すれば、共重合成分中における含有量が5重量%以上、好ましくは10重量%以上であることが望ましい。なお、眼用レンズ材料に充分な親水性を付与するためには、かかる疎水性モノマーの含有量は、通常、共重合成分中に疎水性モノマーが85重量%以下、好ましくは70重量%以下含有されることが望ましい。
また眼用レンズ材料の光学物質、力学物質をより向上させるために、多官能モノマーなどを前記親水性モノマーおよび疎水性モノマーと併用してもよい。
前記多官能モノマーの代表例としては、たとえばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼンなどの分子内に重合性二重結合を2以上有するモノマーなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
なお、共重合成分中のジエン系ポリマーの含有量が少ないばあい、用いる親水性モノマーおよび疎水性モノマーの種類にもよるが、眼用レンズ材料の機械的強度が低下することもある。そのようなばあいに眼用レンズ材料の機械的強度を向上させるためには、前記多官能モノマーの共重合成分中における含有量は、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上であることが望ましい。また眼用レンズ材料の柔軟性を損なわないようにするためには、これら多官能モノマーの共重合成分中における含有量は、30重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下であることが望ましい。
本発明の眼用レンズ材料に用いられる共重合体を調製する際には、まず、ジエン系ポリマーを該ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーで溶解または膨潤させるなどして、該ポリマーとモノマーとを均一な組成となるように混合する。なお、ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーのなかでも、親水性モノマーとして(メタ)アクリル酸のみを用いるばあいには、疎水性モノマーを用いてジエン系ポリマーを溶解または膨潤させる必要はなく、単にジエン系ポリマーと(メタ)アクリル酸とを混合すればよい。一方、かかる(メタ)アクリル酸以外の親水性モノマーを用いるばあいには、ジエン系ポリマーをあらかじめ疎水性モノマーで溶解または膨潤させておくことが好ましい。
つぎに、親水性モノマーとして、(メタ)アクリル酸以外の親水性モノマーを用いるばあいには、かくして溶解または膨潤されたジエン系ポリマーに、該親水性モノマーを配合する。
なお、ジエン系ポリマーを該ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーで溶解または膨潤させる際に、親水性モノマーと疎水性モノマーとを同時に用いたばあいには、これらのモノマーでジエン系ポリマーを溶解または膨潤させるのに長時間を要するので、本発明においては、最初に疎水性モノマーでジエン系ポリマーを溶解または膨潤させることが好ましい。
前記共重合成分を共重合させる際には、熱分解またはレドックス系助剤によってラジカルを発生する重合開始剤を用いることが好ましい。かかる重合開始剤としては、たとえばラジカル重合開始剤などがあげられる。
前記ラジカル重合開始剤としては、たとえばベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記重合開始剤の使用量は、とくに限定がないが、通常共重合成分100重量部に対して0.001〜10重量部程度であることが好ましい。
前記重合開始剤を共重合成分に配合したのち、該重合開始剤の分解温度近傍または該分解温度以上の温度に混合物を加熱し、共重合を完結させ、共重合体からなる眼用レンズ材料をえる。
なお、本発明の眼用レンズ材料からコンタクトレンズをうる方法としては、たとえば前記共重合成分に重合開始剤を添加した混合物を、コンタクトレンズに対応する形状を有する射出成形型内に圧入または注型用成形型内に注入したのち、所定の温度に加熱する方法、雄型と雌型とのあいだに前記混合物を挟みこんで圧縮、加熱する方法などがあげられるが、本発明はかかる方法のみに限定されるものではない。また、本発明の眼用レンズ材料から眼内レンズをうる方法としては、たとえば前記コンタクトレンズをうる方法と同様の方法などがあげられる。なお、眼用レンズをうる際には、光学部と支持部とを一度に成形してもよく、これらを別々に成形したのち、これらを一体化させてもよい。
本発明の眼用レンズ材料の製造法の特徴は、きわめて短時間で該眼用レンズ材料をうることができる点にもある。
このように、本発明の製造法によれば、きわめて短時間で眼用レンズ材料をうることができるのは、本発明で主剤として用いられているジエン系ポリマーに存在する多数の不飽和二重結合が反応点となり、かかる不飽和二重結合の部分で該ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーとがグラフト状に速やかに反応していくことにもとづくものと考えられる。
したがって、従来、眼用レンズ材料をうるためには、重合の際に数十時間という長時間を要していたが、本発明によれば、用いられる重合開始剤の種類やその使用量によって異なるが、5秒〜24時間程度ときわめて短時間で共重合を行なうことができる。
前記重合開始剤として、たとえばベンゾイルパーオキサイドを用いたばあいには、共重合に要する時間は30秒〜20分間程度ときわめて短くなる。その一例として、たとえば共重合成分100重量部に対してベンゾイルパーオキサイドを1重量部添加し、これらを混合したのち、混合物を成形型内に注入し、成形型を130℃程度に昇温させれば、約2〜3分間経過後には眼用レンズ材料がえられる。また、成形型をあらかじめたとえば70〜80℃程度に予備加熱しておけば、所定の温度への昇温時間を短縮させることができるので、成形に要する時間をさらに短縮させることができる。
また、重合開始剤として、たとえば1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを用いたばあいには、共重合成分100重量部に対して1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.02重量部を添加し、これらを混合したのち、混合物を成形型内に注入し、成形型を180℃程度に昇温させれば、約2〜4分間経過後には眼用レンズ材料がえられる。また、成形型をあらかじめたとえば100〜120℃程度に予備加熱しておけば、所定の温度への昇温時間を短縮させることができるので、成形に要する時間をさらに短縮させることができる。
なお、本発明の眼用レンズ材料には、所定形状の眼用レンズに成形したのち、レンズ表面の親水性を高めるために、アルカリ水溶液で処理を施してもよい。
かくしてえられる本発明の眼用レンズ材料は、柔軟性および形状回復性にすぐれ、しかも機械的強度が大きく、高酸素透過性および高屈折率を有するものである。したがって、たとえば従来のソフトコンタクトレンズでは機械的強度面でなしえなかった中心部分の薄肉化が可能となるので、酸素透過性がより一層高められたソフトコンタクトレンズをうることができ、またたとえば折りたたみが可能であり、小切開手術に適用しうる眼内レンズをうることができる。
また、本発明の製造法によれば、前記したような眼用レンズ材料を、安価な原料から短時間で製造することができるので、低コスト化および生産性の向上が図られる。
つぎに、本発明の眼用レンズ材料およびその製造法を実施例にもとづいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
ポリブタジエン(数平均分子量:180000、1,2−結合量:1重量%、日本ゼオン(株)製、BR1220)50重量部およびn−ヘキシルメタクリレート35重量部を撹拌混合機(カスタム・サイエンティフィック・インストルメンツ社製、CS−183MMX)を用いて室温で1時間混合し、ついでメタクリル酸15重量部および重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1重量部を添加し、これらを混合撹拌機を用いてさらに室温で1時間混合した。
えられた混合物をホットプレス機(テスター産業(株)製、SA3 03−II−S)中で130℃で3分間加熱・加圧重合させ、厚さ0.2mmの無色透明なフィルムをえた。
なお、本実施例において、厚さ0.2mmのフィルムを成形しているが、かかるフィルムを成形したのは、以下の物性を測定するためであり、かかるフィルムを成形することができることは、換言すればコンタクトレンズおよび眼内レンズを成形しうることを意味する。以下の実施例についても同様である。
つぎに、えられたフィルムの物性として、酸素透過係数、引張強度、伸び率、屈折率、柔軟性および形状回復性を以下の方法にしたがって調べた。その結果を表1に示す。
(イ)酸素透過係数
厚さ0.2mmのフィルムの酸素透過係数を、製科研式フィルム酸素透過率計を用いて0.9%生理食塩水中で35℃で測定した。
(ロ)引張強度および伸び率
引張圧縮試験機(今田製作所(株)製、SV−201)を用い、厚さ0.2mmのフィルムをポンチで打ち抜いて試験片を作製し、室温(23℃)で引張速度10mm/minにて、試験片の破壊時における荷重および試験片の破壊時の長さを測定し、引張強度および伸び率をそれぞれ以下の式にもとづいて求めた。なお、ここでいう引張強度は、引張破壊強度であり、伸び率は、引張破壊時の伸び率である。
Figure 0003569528
(ハ)屈折率
アッベ屈折計((株)アタゴ製)を用い、20℃で厚さ0.2mmのフィルムの屈折率を測定した。
(ニ)柔軟性
厚さ0.2mmのフィルムを打ち抜いて直径6mmの円形の試験片を作製し、該試験片を平面台上に置いた。該試験片の一端をピンセットでつまんで中央部分で2つ折りにしたときの試験片の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に基いて評価した。
(評価基準)
A:試験片の両端が接触するまで試験片の折り曲げが可能であり、折り曲げ後に折り目が残らない。
B:試験片の両端が接触するまでは試験片を折り曲げることができないが、折り曲げの角度が90゜以上であり、折り曲げ後に折り目が残らない。
C:試験片の両端が接触するまで試験片の折り曲げが可能であるが折り曲げ後に折り目が残る、または折り曲げの角度が90゜未満である、または試験片を折り曲げたときに折り目に亀裂が生じる。
なお、かかる柔軟性の評価がAであるばあいには、試験片が、とくに眼内レンズに必要とされる柔軟性を有していることが認められる。
(ホ)形状回復性
前記(ニ)柔軟性と同様の方法で試験片の一端をピンセットでつまんで中央部分で2つ折りにしたのち、試験片を保持していたピンセットを試験片から離した。ピンセットを試験片から離してから、2つ折りにされた試験片がもとの平らな状態に戻るまでの時間を測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
A:時間が1分間未満である。
B:時間が1分間以上および2分間未満である。
C:時間が2分間以上および5分間未満である。
D:時間が5分間以上である。
実施例2〜17
実施例1において、共重合成分の組成を表1に示すように変更したほかは、実施例1と同様にして厚さ0.2mmの無色透明なフィルムをえた。
えられたフィルムの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
実施例18〜22
実施例1において、共重合成分の組成を表1に示すように変更し、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1重量部のかわりに1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.2重量部を用い、混合物を170℃で4分間加熱・加圧重合させたほかは、実施例1と同様にして厚さ0.2mmの無色透明なフィルムをえた。
えられたフィルムの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
なお、表1中、各略号は、以下のことを意味する。
(ジエン系ポリマー)
BR1:ポリブタジエン(数平均分子量:180000、1,2−結合量:1重量%、日本ゼオン(株)製、BR1220)
BR2:ポリブタジエン(数平均分子量:170000、1,2−結合量:10重量%、日本ゼオン(株)製、BR1241N)
BR3:ポリブタジエン(数平均分子量:2000、1,2−結合量:64重量%、日本石油(株)製、B−2000)
IR:ポリイソプレン(数平均分子量:530000、シス含量:98重量%、日本ゼオン(株)製、IR2205)
SBR:スチレン−ブタジエン共重合体(数平均分子量:140000、スチレン含量:19.5重量%、日本ゼオン(株)製、NS218)
(ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマー)
MAc:メタクリル酸
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
NVP:N−ビニルピロリドン
MMA:メチルメタクリレート
nBuMA:n−ブチルメタクリレート
nHMA:n−ヘキシルメタクリレート
CyHMA:シクロヘキシルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
AMA:アリルメタクリレート
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
Figure 0003569528
表1に示された結果から、実施例1〜22でえられたフィルムは、いずれも高酸素透過係数を有し、引張強度および伸び率が大きく、柔軟性および形状回復性にすぐれ、さらには1.51程度以上の高屈折率を有するものであることがわかる。
さらに、実施例1〜18でえられたフィルムと実施例19〜20でえられたフィルムとの比較、および実施例21でえらえたフィルムと実施例22でえられたフィルムとの比較から明らかなように、実施例19〜20および実施例22のように、多官能モノマーを用いたばあいには、さらに引張強度が大きいフィルムをうることができることがわかる。
つぎに、実施例18および22でえられたフィルムを用い、昭和60年5月10日薬発第489号薬務局長通知「眼内レンズ承認基準」中の、「III.6溶出物試験」の項目の「(3)水による溶出物、オ.過マンガン酸カリウム還元性物質の滴定試験方法」に準拠して溶出物試験を行なった。各フィルムを蒸留水で30分間煮沸処理したのち、その処理液の過マンガン酸カリウムの消費量を調べた。その結果、実施例18でえられたフィルムについては、フィルムを蒸留水で30分間煮沸処理したのちの処理液の過マンガン酸カリウムの消費量と、処理前の蒸留水の過マンガン酸カリウムの消費量との差が0.27mlであり、実施例22でえられたフィルムについては、かかる両者の差が0.77mlであった。前記両者の差が1.0ml以下のばあい、前記溶出物試験の合格基準を満足する。したがって、実施例18および22でえられたフィルムは、いずれも前記合格基準を満足するものであり、水中における安定性にすぐれたものであることがわかる。
実施例23
共重合成分の組成を表2に示すように変更したほかは、実施例1と同様にして厚さ0.2mmの無色透明なフィルムをえた。
えられたフィルムに含水膨潤処理を施し、含水膨潤処理されたフィルムの酸素透過係数および含水率を測定した。その結果を表2に示す。
なお、表2中、各略号は、以下のことを意味する。
NBR:アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(数平均分子量:470000、アクリロニトリル含量:33.5重量%、日本ゼオン(株)製、DN200)
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
また、酸素透過係数は、実施例1と同様にして測定し、含水率は、次式にもとづいて求めた。
Figure 0003569528
Figure 0003569528
表2に示された結果から、実施例23でえられたフィルムは、高酸素透過係数を有し、かつ高含水率を有するものであることがわかる。
実施例24
実施例17と同様の組成の共重合成分に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1重量部を添加し、これらを実施例17と同様にして混合撹拌機で混合した。
えられた混合物をステンレス鋼製のコンタクトレンズ成形型内に注入したのち、あらかじめ130℃に予熱された実施例1で用いたものと同じホットプレス機に該コンタクトレンズ成形型をセットした。
つぎに、ホットプレス機内のコンタクトレンズ成形型をプレス圧50kg/cm2で4分間加熱したのち、コンタクトレンズ成形型をホットプレス機から取出し、放冷した。ついで、コンタクトレンズ成形型を開き、成形されたコンタクトレンズを取出した。
えられたコンタクトレンズは、中心厚さが0.07mm、ベースカーブが8.40mmであり、透明で弾力性を有するものであった。また、かかるコンタクトレンズは、実施例17でえられたフィルムと同等のすぐれた物性を有するものであった。
実施例25
実施例19と同様の組成の共重合成分に、重合開始剤として1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.2重量部を添加し、これらを実施例19と同様にして混合撹拌機で混合した。
えられた混合物をステンレス鋼製の眼内レンズ(光学部)成形型内に注入したのち、あらかじめ180℃に予熱された実施例1で用いたものと同じホットプレス機に該眼内レンズ成形型をセットした。
つぎに、ホットプレス機内の眼内レンズ成形型をプレス圧60kg/cm2で4分間加熱したのち、眼内レンズ成形型をホットプレス機から取出し、放冷した。ついで、眼内レンズ成形型を開き、成形された眼内レンズの光学部を取出した。
えられた眼内レンズの光学部は、中心厚さが0.7mm、直径が6.0mmであり、透明で柔軟性を有するものであった。また、かかる光学部は、実施例19でえられたフィルムと同等のすぐれた物性を有するものであり、折りたたみが可能であった。
つぎに、えられた光学部に、支持部としてポリプロピレン製のループをシアノアクリレート系接着剤にて接着し、眼内レンズをえた。
実施例26
実施例19と同様の組成の共重合成分に、重合開始剤として1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.2重量部を添加し、これらを実施例19と同様にして混合撹拌機で混合した。
えられた混合物をステンレス鋼製のワンピース眼内レンズ成形型内に、注入したのち、あらかじめ180℃に予熱された実施例1で用いられたものと同じホットプレス機に該眼内レンズ成形型をセットした。
つぎに、ホットプレス機内の眼内レンズ成形型をプレス圧60kg/cm2で4分間加熱したのち、眼内レンズ成形型をホットプレス機から取出し、放冷した。ついで、眼内レンズ成形型を開き、成形されたワンピース眼内レンズを取出した。
えられたワンピース眼内レンズは、光学部の中心厚さが0.7mmおよび直径が6.0mm、支持部を含む全長が13.0mmであり、透明で柔軟性を有するものであった。また、かかる眼内レンズは、実施例19でえられたフィルムと同等のすぐれた物性を有するものであり、折りたたみが可能であった。
産業上の利用可能性
本発明の眼用レンズ材料は、柔軟性および形状回復性にすぐれ、非常に機械的強度が大きく、高酸素透過性および高屈折率を有するものである。したがって、たとえば中心の厚さが非常に薄いソフトコンタクトレンズなどのコンタクトレンズをうることができ、えられたコンタクトレンズは、レンズ材料自体の高酸素透過性に加えて、より酸素透過性にすぐれる。また、このほかにも、本発明の眼用レンズ材料は、とくに柔軟性および形状回復性にすぐれるので、かかる眼用レンズ材料から、たとえば折りたたみが可能であり、小切開手術に適用しうる眼内レンズをうることができる。
また、本発明の眼用レンズ材料の製造法は、従来の眼用レンズ材料の製造法と比べて非常に安価な原料を用い、非常に簡素で短時間の製造工程を有するものである。したがって、かかる製造法によれば、前記したようなすぐれた特性を有する眼用レンズ材料を容易に製造することができ、さらに低コスト化および生産性の向上が図られる。

Claims (9)

  1. ジエン系ポリマーおよび該ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーを主成分とした共重合成分を成形型内で共重合させてえられた柔軟性を有する眼用レンズ材料であって、柔軟性が厚さ0.2mm、直径6mmの円形 に成形した前記材料において、中央部分で2つ折りにし たときに両端が接触するまで折り曲げることが可能であ り、かつ、折り曲げ後に折り目が残らない性質である眼 用レンズ材料
  2. 共重合成分が、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体およびイソブチレン−イソプレン共重合体から選ばれた少なくとも1種のジエン系ポリマーを10〜95重量%含有したものである請求の範囲第1項記載の眼用レンズ材料。
  3. ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーが親水性モノマーを含有したものである請求の範囲第1項記載の眼用レンズ材料。
  4. 親水性モノマーの共重合成分における含有量が5〜90重量%である請求の範囲第項記載の眼用レンズ材料。
  5. 親水性モノマーが(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタムおよびアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートから選ばれた少なくとも1種である請求の範囲第項記載の眼用レンズ材料。
  6. ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーが疎水性モノマーを含有したものである請求の範囲第1項記載の眼用レンズ材料。
  7. 疎水性モノマーの共重合成分における含有量が85重量%以下である請求の範囲第項記載の眼用レンズ材料。
  8. 疎水性モノマーがアルキル(メタ)アクリレート、スチレン系化合物およびビニルエステルから選ばれた少なくとも1種である請求の範囲第項記載の眼用レンズ材料。
  9. ジエン系ポリマーおよび該ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーを主成分とした共重合成分を共重合させるに際し、ジエン系ポリマーと、該ジエン系ポリマーと共重合可能なモノマーとを混合したのち、共重合成分を成形型内で共重合させることによって得られる柔軟性を有する眼用レンズ材料の製造法であって、柔 軟性が厚さ0.2mm、直径6mmの円形に成形した前記材料に おいて、中央部分で2つ折りにしたときに両端が接触す るまで折り曲げることが可能であり、かつ、折り曲げ後 に折り目が残らない性質である眼用レンズ材料の製造
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