JP3568293B2 - 2,3−ジメチル−2−ブテンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2,3−ジメチル−2− ブテン(DMB−2 )の製造方法に関し、詳しくは2,3−ジメチル−1− ブテン(DMB−1 )を異性化させてDMB−2 を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
DMB−2 は、農薬、医薬、香料、化粧品などの基幹中間体として重要な化合物であり、触媒を用いてDMB−1 を異性化して製造することも知られている。
例えば、触媒としてAlEt3 /ハロゲン化フェノール類を用いる方法(特開昭57−48094号公報)、AlEt3 /1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール類を用いる方法(特開昭62−209028 公報など)等が知られているが、これらの方法では触媒調製時における発熱や水分による触媒の失活に注意を要し、触媒の調製が煩雑であるという問題を有していることに加えて、反応後の触媒の分離に際して抽出等の処理が必要となる。
さらに触媒として硫酸又はスルホン酸類を用いる方法(特開平6−312945公報)も知られているが、この方法では反応後の触媒の分離に中和処理が必要であるという問題のみならず、DMB−1 からDMB−2 への選択率も必ずしも十分満足し得るものではないという問題があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、触媒としてヘテロポリ酸類という特定の触媒を使用することにより、煩雑な調製をすることなしに高い活性を示す触媒が得られ、DMB−1 からDMB−2 を効率よく製造し得ることを見出すと共に反応後の触媒の処理も容易であることを見出し、さらに種々の検討を加えて本発明を完成した。
【0004】
すなわち本発明は、2,3−ジメチル−1− ブテン(DMB−1 )を異性化して2,3−ジメチル−2− ブテン(DMB−2 )を製造するにあたり、触媒としてヘテロポリ酸類を使用することを特徴とする工業的に優れたDMB−2 の製造方法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられるDMB−1 は、例えばプロピレンを二量化することにより製造される(例えば、特開昭57−167932号公報など)。
本発明において用いられる触媒はヘテロポリ酸類であり、例えばケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸等が挙げられる。好ましくはケギン型ヘテロポリ酸類であり、具体的には、H4SiW12O40、H4SiMo12O40、H3 PW12O40、H
3 PMo12O40又はCs2.5H0.5PW12O40などの組成を持つ化合物、これら
のアルカリ金属塩又はこれらのアンモニウム塩等が挙げられる。
これらのヘテロポリ酸類は、単独で用いることもできるし、混合物として用いることもできる。
【0006】
該ヘテロポリ酸類は通常焼成してから使用し、例えば、減圧下又は窒素下で、50℃〜150 ℃、好ましくは70℃〜120 ℃で焼成して用いることが好ましい。又、該ヘテロポリ酸は活性炭に担持して使用することもできる。この担持方法としては、例えば、該ヘテロポリ酸類を水やアルコール中で活性炭等の担体と混合し、その後減圧下又は窒素下、80℃〜120 ℃で乾燥及び焼成する方法が挙げられる。
【0007】
本発明の方法は上記のようなヘテロポリ酸類を触媒をとして用いることを特徴とするものであるが、この反応はバッチ式又は流通式のいずれにおいても実施し得る。
【0008】
バッチ式の場合、反応は例えば、DMB−1 と該ヘテロポリ酸類を攪拌下で混合することにより行われる。該ヘテロポリ酸類の使用量はDMB−1 に対して通常0.5 〜10wt%、好ましくは1〜5wt%である。反応温度は通常0〜200 ℃、好ましくは20〜150 ℃である。200 ℃を越える反応温度では異性化効率は低下する傾向にあり、0℃より低い温度では反応速度が低下する傾向にあるため、いずれも好ましくない。
【0009】
一方流通式の場合は、例えば該ヘテロポリ酸類を反応管に充填し、これにDMB−1 を流通させることにより行われる。反応温度は特に限定されないが、異性化効率を高める観点から通常−20〜150 ℃、好ましくは−10〜150 ℃で行われる。流通速度は温度などの反応条件にもよるが、液空塔速度にして通常1〜10h −1程度である。
【0010】
本発明においては、バッチ式又は流通式のいずれにおいても、必要に応じて加圧下で反応を行うこともできる。又、必要に応じて反応に不活性な溶媒を共存させることもできる。かかる溶媒としては、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。
【0011】
本発明において、反応後の触媒は、バッチ式の場合、例えば濾過等の操作により反応液から容易に分離することができる。流通式の場合は、流通した反応液が触媒から分離された形で得られるため、さらなる触媒の分離操作は不要である。又DMB−2 は、溶媒を用いた場合はその溶媒を留去することにより得ることができ、必要に応じて蒸留することにより精製することもできる。
【0012】
【発明の効果】
かくしてDMB−2 が得られるが、本発明によれば、DMB−1 を異性してDMB−2 を製造するにあたり、触媒としてヘテロポリ酸類を使用することにより、煩雑な調製を必要とせずに高い活性を示す触媒が得られ、DMB−2 を極めて効率よく製造し得る。その上反応後の触媒の処理も容易であるので、本発明はDMB−2 の工業的製造方法として有利である。
【0013】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0014】
実施例1
減圧下100 ℃にて2 時間焼成したケイタングステン酸(H4SiW12O40)0.3gを100ml オートクレーブに入れ、DMB−1 10g を加えた後、50℃で6 時間攪拌した。次いで0 ℃まで冷却し、濾過してケイタングステン酸を除去することにより粗DMB−2 を得た。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、異性化率は91.1%、DMB−1,2 回収率は98.7%であった。これを蒸留し、DMB−2 (沸点72〜74℃)7.9gを得た。なお異性化率及びDMB−1,2 回収率は以下の式で各々算出した。
異性化率(%)={DMB−2 量/(DMB−1 量+DMB−2 量) }×100
DMB−1,2 回収率(%)={反応後の(DMB−1 量+DMB−2 量)/反応前の(DMB−1 量+DMB−2 量)}×100
【0015】
実施例2
ケイタングステン酸(H4SiW12O40)の焼成時間を6 時間に反応温度を40℃に、反応時間を7 時間に替える以外は実施例1に準拠してDMB−2 を得た。異性化率は92.2%、DMB−1,2 回収率は97.2%であった。
【0016】
実施例3
ケイタングステン酸(H4SiW12O40)0.3gの替わりにリンモリブデン酸(H3 PMo12O40)0.3gを使用し、反応温度を150 ℃に、反応時間を4 時間に替える以外は実施例1に準拠してDMB−2 を得た。異性化率は84.2%、DMB−1,2 回収率は95.7%であった。
【0017】
実施例4
リンモリブデン酸(H3 PMo12O40)0.3gの替わりにリンタングステンモリブデン酸0.3gを使用する以外は実施例3に準拠してDMB−2 を得た。異性化率は80.6%、DMB−1,2 回収率は89.0%であった。
【0018】
実施例5
ケイタングステン酸(H4SiW12O40)0.05g を溶解した水溶液10mlを50mlフラスコに入れ、活性炭1gを加え、20〜30℃下で攪拌した後、水を減圧留去し、得られた固体を減圧下100 ℃にて4 時間焼成する以外は実施例1に準拠してDMB−2 を得た。異性化率は91.8%、DMB−1,2 回収率は97.6%であった。
【0019】
実施例6
実施例5に準拠して活性炭に担持し焼成した触媒0.94g を内径7mm のガラス管に充填し、そこへDMB−1 を、20℃下、液空塔速度6.5h−1で流通させることによりDMB−2 を得た。DMB−1 1980ml( 1386 g) 流通後も触媒の活性は保たれていた。異性化率は91.2%、DMB−1,2 回収率は98.9%であった。
【0020】
実施例7
DMB−1 を、30℃下、液空塔速度5.6h−1で流通する以外は実施例1に準拠してDMB−2 を得た。異性化率は93.1%、DMB−1,2 回収率は99.3%であった。
Claims (6)
- 2,3-ジメチル-1- ブテンを異性化し2,3-ジメチル-2- ブテンを製造するにあたり、触媒として焼成したヘテロポリ酸を使用することを特徴とする2,3-ジメチル-2- ブテンの製造方法。
- 2,3-ジメチル-1- ブテンを異性化し2,3-ジメチル-2- ブテンを製造するにあたり、触媒として活性炭に担持させて焼成したヘテロポリ酸を使用することを特徴とする2,3-ジメチル-2- ブテンの製造方法。
- ヘテロポリ酸がケギン型ヘテロポリ酸である請求項1〜2のいずれかに記載の2,3-ジメチル-2- ブテンの製造方法。
- ケギン型ヘテロポリ酸がH4SiW12O40の組成を有する請求項3に記載の2,3-ジメチル-2- ブテンの製造方法。
- ヘテロポリ酸がリンタングステンモリブデン酸である請求項1〜2のいずれかに記載の2,3-ジメチル-2- ブテンの製造方法。
- 流通式で実施する請求項1〜5のいずれかに記載の2,3-ジメチル-2- ブテンの製造方法。
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JP26598795A JP3568293B2 (ja) | 1995-10-13 | 1995-10-13 | 2,3−ジメチル−2−ブテンの製造方法 |
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JP4505947B2 (ja) * | 1999-05-28 | 2010-07-21 | 住友化学株式会社 | 2,3−ジメチルブテン−1と2,3−ジメチルブテン−2の併産方法 |
-
1995
- 1995-10-13 JP JP26598795A patent/JP3568293B2/ja not_active Expired - Fee Related
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