JP3567266B2 - 丸編地の製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、起毛丸編地の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
肌着として使用される編地は、保温を目的にする場合に、起毛品が望まれる。編地の起毛は、一般的には編成後に後加工で起毛される。この場合の丸編地は、一般に裁断して起毛機に掛けられるので、起毛後に縁縫いが必要となる。
【0003】
一方、丸編地のまま起毛しうる起毛機も出現している。その起毛機は、4000〜5000万円と非常に高価であるため、あまり実用化されていない。
【0004】
そのため、編機上で、編成と同時に起毛する研究が進められている。わが国におけるその技術の殆ど全ては、本発明の出願人の一人であるワシオ株式会社の鷲尾邦夫の個人名で出願した一連の技術からなっている。
【0005】
その起毛方法と装置は、特公昭59−14585、特公昭61−22058、特公昭63−39701、特公平2−26951、特公平3−23663、特公平3−51812、実公昭58−42476、実公昭59−17912、実公昭62−6155、実公昭62−23829、等が主なものである。
【0006】
これ等の特許と実用新案は、平編地を編成するB式とK式編機を対象にしたものである。即ち、これ等のシングル編機は、編機のシリンダ−上部が開放されてるので、シリンダー上面に広幅のアダプターを付設し、編成編地の上部に起毛ブラシを取り付けて起毛するというものである。これらの編機では、編地が、シリンダーの筒内に巻き取られるので、起毛は内面起毛となっている。
【0007】
しかしながら、パール編地やゴム編地や両面編地を編成するためのダブル丸編機は、編機のシリンダー上部に開放場所がないので、編成編地の上部に起毛ブラシを取り付けることができない。そのため、複針床のダブル丸編機を使用する場合は、編機上での同時起毛は不可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の事情に鑑み本発明は、ダブル丸編機上で編成と同時に起毛しうる方法と装置を、またパール編地やゴム編地や両面編地で、斑のない起毛丸編地を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するために、ダブル丸編機からなる丸編地の製造装置において、該編機がダイヤルと巻取りローラー間の編地の外面には、マウント角柱と該マウント角柱内にスライドしうるスライド板と前記マウント角柱に配設されたワイヤと滑車徒然期ワイヤの他端に垂下されたウエイトとからなる起毛ブラシ付勢手段を付設し、前記ブラシの対応内面に受板を固定し、該受板と起毛ブラシ間にて編成編地の外面を起毛するようにしたことを特徴とする丸編地の製造装置を構成するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳しく説明する。図1は、本発明の丸編地の製造装置の一実施例を示すダブル丸編機の一部切欠断面を含む正面図、図2は、本発明の丸編地の製造装置の一実施例を示すダブル丸編機のシリンダーとダイヤル部回りの編成状態を説明するための略示断面図である。図3は、本発明のダブル丸編機に起毛ブラシを取り付けた状態を示す一部分の斜視図、図4は、本発明の丸編地の一実施例を示すゴム編からなる組織図である。
【0013】
図1において、丸編地の製造装置1は、両面丸編機からなる本発明のダブル丸編機を示している。ここでダブル丸編機とは、小丸編機のような単針床のシングルシリンダー編機ではなく、両頭丸編機(pearl circular knitting machine)からなるダブルシリンダー編機とゴム丸編機(rib circular knitting machine)や両面丸編機(circular interlock knitting machine) からなるダイヤルシリンダー編機のことである。しかし、本発明でいうダブル丸編機1とは、シングルジャガード編機のように、シリンダー上部が開放されてない編機は、シングルシリンダー編機であってもこれを含むものである。ここでシリンダー(cylinder)とは、円筒状の針床のことで、ダイヤル(dial)とは、円板状の針床のことである。従って単針床の編機では平編の丸編地しか編成することが出来なかったが、本発明の複針床の編機1では、両頭丸編機でパール編(Pearl stitch)を、ゴム丸編機(わが国ではフライスと称されている)でゴム編(Rib stitch)を、両面丸編機で両面編(Interlock stitch)、即ち二重のゴム編地(double rib)を編成することが出来る。
【0014】
図2はゴム編の編成過程を示しているが、垂直に運動するシリンダー針2と、水平に運動するダイヤル針3とによって編成される。シリンダー針2の方は、シリンダー4の内周にあって、バット5aがカムプレート6上の上げカム7aと下げカム8aによって上下動される。一方、ダイヤル針3は、ダイヤル9の上部にあって、バット5bが上げカム7bと下げカム8bによって前後動される。編糸10は給糸口11から供給されて、編地12が編成される。
【0015】
図2に示すダブル丸編機の一部は、Pが上部であり、Oが外面であるが、編成される編地12は、編成直後からシリンダー4の外面Oに引き取られる。そして編地12の上部Pには、ダイヤル9が覆装しているので、開放空間は存在していない。従って、シリンダーの上部に起毛ブラシを取り付けることができない。
【0016】
図1に戻って、ダブル丸編機1にはダイヤル9と巻取ロ−ラ−13との間に、編成編地12が開放された空間を有している。編成された編地12は、プレスローラー14で折り畳まれるため、起毛はプレスローラー14より上部の回転している筒状編地部分で行なうのがよい。具体的には図3に示すように、ミドルベース架台15の下部で、軸芯棒16に取り付けられている下部円盤17より上部の編地12が平行な円筒状に保たれている位置で行なうことが好ましい。従って、本実施例の場合には、この位置で、回転するシリンダー4とダイヤル9には取り付けず、図3のようにミドルベース架台15から起毛ブラシ18を取り付けるようにしている。また編地12は、外面Oより起毛ブラシ18を当接させれば、その対応内面Iには受板19を設ける必要があり、受板19は本実施例の場合、軸芯棒16よりロッド20で取り付けている。
【0017】
回転しながら巻き取られる編成編地12に対し、起毛ブラシ18と対応内面から固定した受板19を当接することになる。従って、起毛ブラシ18が浮き上がらないよう編地に常に接触させなければならない。そのために、起毛ブラシ18は、編地に付勢して付設する必要がある。付勢は、スプリングによる方法でもよいが、本実施例の場合には、付勢手段は下記のとおりである。
即ち、中空のマウント角柱21はミドルベース架台15に取り付けられたアングル22に溶接され固定されている。マウント角柱21には一端に滑車24、他端に滑車25を設けている。マウント角柱21内にはスライド角筒26がマウント角柱21内を前後にスライドしうるように内挿されており、スライド角筒26の一端にはワイヤ23を固定するピン27を取り付けている。したがって、ワイヤ23は一端をピン27に取り付けられ、滑車25,24を巻回して他端にウエイト28を釣り下げて垂下させるようにしている。そして、スライド角筒26の先端にL型金具29を介して取り付けたブラシ18が、ウエイト28によって常に矢印Aの方向に付勢し、起毛ブラシ18が編地を押圧するようにしている。
【0018】
本発明に用いられる起毛ブラシ18は、回転する編地12の表面に付勢して当接させるので、編地がもつれることなく、斑のない起毛が得られるように特別な配慮が必要である。本実施例の起毛ブラシ18は、(株)日本ブラシ製のワイヤ−黒線0.5φの小波付き、植込穴径5.5φ、毛丈50mm、ピッチ11×12mm前後のものを使用した。これは、軟らかい編地12に当てるブラシではあるが、普通のブラシは針が太いものでも0.4φに止まるのに対し、逆に0.5φと硬くて太い曲がりにくい鋼線を使用しており、しかも針先は角落としして均一に揃えたものを使用している。
【0019】
本発明の丸編地は、以上のように編機1上で編成される編地12の外面Oに起毛ブラシ18を当接し、編成と同時に編地12の外面を起毛するようにして製造される。しかし、本発明の編機1はダブル丸編機であるので、丸編地はパール編かゴム編か両面編の組織地となる。図4はゴム編Gの例を示すが、編糸10は1本に限るものではなく、表糸に裏糸を添えて添え糸編(Plating stitch)等にすることも出来る。図4に示す組織Gは、1×1ゴム編の例を示しているので、縦方向に表目のウェールW1と裏目のウェールW2とが交互に配列している。
【0020】
編糸10が外面になる表目のウェールW1は、起毛ブラシが当たるので起毛30され、本発明の丸編地12は片面が起毛30されたものとなる。この際、起毛30をしやすくするように、編糸10に甘撚糸(Soft Twist Yarn) を使用している。
【0021】
一般に糸に掛けられる撚りの程度は、次式の撚り係数によって表示される。
T=K±√N
ここで、Tは撚り数であり、Nは番手であり、Kは撚り係数である。例えば、撚数を1インチ間あたりで表すと、英式綿糸番手の場合は、一般の糸の撚り係数は3.8〜4.0程度が普通であり、編糸として使用する甘撚り綿糸の場合も3.65程度の撚り係数に止まっている。これに対し、本実施例の編糸10は、起毛をしやすくするために、撚り係数は、綿番手では3.5以下の甘撚糸を使用するのが望ましい。しかし、あまり甘撚にすると編地12が弱くなるので、その程度は2.8程度の撚り係数に止めることが好ましい。これは甘撚糸の程度を、仮に綿番手に換算した場合で表示したものであって、勿論本発明の丸編地12に使用される編糸10は、綿糸に限ることなく、アクリル糸や梳毛糸等各種繊維の編糸を使用することができる。従って、夫々の繊維の番手表示に応じて、換算しうるものである。本発明の丸編地12は、このような甘撚糸を使用することによって斑のない均一な起毛が可能となった。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、両頭丸編機やゴム丸編機や両面丸編機で編成されるパール編やゴム編や両面編からなる丸編地を、初めてその外面を編成と同時に、起毛することができるようになった。
【0023】
本発明の方法と装置は、従来のような後起毛ではなく、編機上で起毛を済ませるため、製品単価を安価にすることができた。
【0024】
本発明の丸編地は、起毛面を内面にして縫製すれば、各種の保温肌着に利用でき、その起毛面は斑のない均一なものとなっており、丁度フランネルのような軟らかい風合いが保持できたので、高級品とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の丸編地の製造装置の一実施例を示すダブル丸編機の一部切欠断面を含む正面図である。
【図2】本発明の丸編地の製造装置の一実施例を示すダブル丸編機のシリンダーとダイヤル部回りの編成状態を説明するための略示断面図である。
【図3】本発明のダブル丸編機に起毛ブラシを取り付けた状態を示す一部分の斜視図である。
【図4】本発明の丸編地の一実施例を示すゴム編からなる組織図である。
【符号の説明】
1 : ダブル丸編機
2 : シリンダー針
3 : ダイヤル針
4 : シリンダー
5a,5b : バット
6 : カムプレート
7a,7b : 上げカム
8a,8b : 下げカム
9 : ダイヤル
10 : 編糸
11 : 給糸口
12 : 編地
13 : 巻取ローラー
14 : プレスローラー
15 : ミドルベース架台
16 : 軸芯棒
17 : 下部円盤
18 : 起毛ブラシ
19 : 受板
20 : ロッド
21 : マウント角柱
22 : アングル
23 : ワイヤ
24 : 滑車
25 : 滑車
26 : スライド角筒
27 : ピン
28 : ウエイト
29 : L型金具
30 : 起毛
A : 押圧方向の矢印
G : ゴム編
K : 撚り係数
I : 編機の内面
N : 編糸の番手
O : 編機の外面
P : 編機の上部
T : 撚り数
W1 : 表目のウエール
W2 : 裏目のウエール

Claims (2)

  1. ダブル丸編機からなる丸編地の製造装置において、該編機がダイヤルと巻取りローラー間の編地の外面には、マウント角柱と該マウント角柱内にスライドしうるスライド板と前記マウント角柱に配設されたワイヤと滑車と前記ワイヤの他端に垂下されたウエイトとからなる起毛ブラシ付勢手段を付設し、前記ブラシの対応内面に受板を固定し、該受板と起毛ブラシ間にて編成編地の外面を起毛するようにしたことを特徴とする丸編地の製造装置。
  2. 前記起毛ブラシは、0.5φ、植込穴径5.5φ、毛丈50mm、ピッチ11×12mm前後の鋼線からなる請求項1記載の丸編地の製造装置。
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