JP3566899B2 - 重合体微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、重合体微粒子の製造方法に関するものであり、とくに内部に複数個の泡を持った重合体微粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
重合体の微粒子は色々な方面で使用されている。そのうちでも、平均粒子径が1〜100μmの微細な重合体粒子は、これに光が当たると光を屈折させるために外からは白色に輝いて見える。とりわけ、粒子内に泡を含んだ微粒子は光を複雑に屈折させるために真白に見える。従って、このような微粒子は白色顔料として有用なものである。とくに、粒子内に複数個の泡を含んだ微粒子は、唯1つの泡を含んだ微粒子よりも白さが一層鮮やかになる。そこで、複数個の泡を含んだ平均粒子径が1〜100μmの重合体微粒子は、白色顔料として塗料、インク、化粧品などの分野で重宝されている。
【0003】
特開昭56−32513号公報は、内部に泡を含んだ重合体粒子の製造方法を記載している。この方法は、アルカリ膨潤性のコアを持ったコアシェルラテックスを作り、シェルのガラス転移点以上の温度でアルカリ処理し、コアを膨潤させることによりシェルを膨張させ、冷却してシェルを膨張させたままコアだけを収縮させ、コアの収縮により空洞を形成するという方法である。この方法では、コアを収縮させたあとに泡を生成させるのであるから、1つの粒子内に複数の泡を生成させることが困難であり、また平均粒子径が1〜100μmというような粒子を作ることが困難である。
【0004】
特開昭59−193901号公報は、水相/モノマー相/水相系の多重エマルジョンを懸濁重合させて、1つの粒子内に1個又は2個以上の球状の泡を含んだ重合体粒子を作る方法を記載している。この方法では、水相及びモノマー相中にそれぞれイオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を何れも大量に加える必要があるため、費用がかかるだけでなく、界面活性剤を除くのに手間を要するので、泡を含んだ微粒子を能率よく作ることができない。
【0005】
また、特開平5−125127号公報は、1つの粒子内に唯1個の泡を含んだ重合体粒子の製造方法を記載している。この方法は、親水性単量体と架橋性単量体とからなる単量体混合物中に異種ポリマーを共存させて懸濁重合を行い、その際、異種ポリマーとして上記単量体混合物には溶解するが単量体混合物の重合によって生成した重合体には溶解しないような特殊なポリマーを用いることによって、唯1個の泡を含んだ重合体粒子を得ることとしている。だから、この方法では複数個の泡を含んだ粒子を作ることができない。
【0006】
また、発泡性粒子の発泡によって複数個の泡を含んだ重合体微粒子を作ることができるが、発泡した粒子は平均粒子径を1〜100μmの程度に微細にすることが困難である。
【0007】
このように、これまでは粒子内に複数個の泡を含んだ重合体の微粒子を能率よく製造することができなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、内部に複数個の泡を含んだ重合体の微粒子を簡単な操作によって容易に、しかも能率よく製造できる方法を提供しようとしてなされたものである。
【0009】
【課題解決のための手段】
この発明者は、単量体を重合させる過程で、粒子中に泡を含ませようと企てた。そのために色々な単量体を用いてこれを懸濁重合させることを試みた。そのうちに、この発明者は、メタクリル酸エステル重合体をメタクリル酸エステル単量体に溶解して得られた重合性溶液を懸濁重合させたところ、時により内部に多数の泡を含んだ重合体粒子の得られることを見出した。
【0010】
この知見に基づいて、この発明者は、さらに実験を繰り返した結果、上述のメタクリル酸エステルが乳化重合法によって得られた重合体である場合に、とくに多数の泡を含んだ重合体粒子が得られること、及びメタクリル酸エステル重合体をメタクリル酸エステルの単量体に溶解して得た重合性溶液を懸濁重合させる際に、水性媒体のpHを6以上に保持すると、多数の泡を含んだ重合体粒子の得られ易いことを見出した。また、この発明者は、上述の単量体がメタクリル酸エステルに限らず、アクリル酸エステルであっても同様な結果の得られることを見出した。さらに、この発明者は、(メタ)アクリル酸エステルを乳化重合させて得られた重合体の代わりに、一般に水溶性重合開始剤を使用して分散重合法、沈澱重合法及び溶液重合法によって得られた重合体を用いても、同じような結果の得られることを見出した。この発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0011】
この発明は、(メタ)アクリル酸エステルを水溶性重合開始剤により重合させ、得られた重合体を(メタ)アクリル酸エステルに溶解して重合性溶液を作り、この重合性溶液を水性媒体中に1〜100μmの微粒子として分散させ、pHを6以上に保持した水性媒体中で上記重合性溶液を懸濁重合させることを特徴とする、内部に複数個の泡を含んだ重合体微粒子の製造方法を提供するものである。
【0012】
【発明実施の形態】
この発明では、単量体として(メタ)アクリル酸エステルを用いる。すなわち、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとを用いることができる。アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとは、何れも1分子内に唯1つの二重結合を含んでいる単量体を意味している。それは、例えばアクリル酸ビニルエステルのように1分子中に2つの二重結合を持ったものを用いると、得られた重合体が網状に結合したものとなって単量体に溶解しなくなるからである。
【0013】
この発明で用いることのできるアクリル酸エステルは、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルのようなアクリル酸アルキルエステル類である。また、この発明で用いることのできるメタクリル酸エステルは、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチルのようなメタクリル酸アルキルエステル類である。これらのエステル類は、単一化合物を単独で用いることが好ましいが、2種以上の化合物を混合して用いることもできる。
【0014】
この発明では、(メタ)アクリル酸エステルを重合させるにあたり、この発明の効果を損なわない範囲内で、他の単量体を共重合させることもできる。共重合させることのできる他の単量体は、例えば、クロロスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル等である。
【0015】
この発明では、初めに(メタ)アクリル酸エステルを水溶性重合開始剤により重合させる。重合の際の媒体としては、水溶性重合開始剤を溶解するものであれば、有機溶剤をも使用することができる。水を媒体として用いるときは、イオン交換水を用いることが好ましい。用いることのできる水溶性重合開始剤は、一般にラジカル重合開始剤と呼ばれているものである。使用できる開始剤は、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムのような過硫酸塩、4、4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸及びその塩のような分子中にカルボキシル基のようなイオン性基を持った水溶性アゾ系化合物である。
【0016】
この発明は、(メタ)アクリル酸エステルを重合させる方法を乳化重合に限っていない。例えば、4、4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸を用い、メタノ−ルと水との混合物を媒体として分散重合させることによって得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体をも使用することができる。そのほか、水溶性重合開始剤を用いて、沈澱重合及び溶液重合させて得られた重合体をも使用することができる。乳化重合させる場合には、そこに水溶性還元剤を存在させてレドックス系で重合させることもできる。水溶性還元剤としては、L−アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等を用いることができる。また、乳化重合させるにあたっては、連鎖移動剤を用いることが好ましい。連鎖移動剤としては、例えばn−オクチルメルカプタンのようなメルカプタン類や、α−メチルスチレンダイマーを用いることができる。
【0017】
この発明では、(メタ)アクリル酸エステルを水溶性重合開始剤により重合させるにあたって、界面活性剤を使用しないことが好ましい。その理由は、界面活性剤を用いると、得られた重合体が耐水性の乏しいものとなるが、界面活性剤を用いないで重合させると、得られた重合体が耐水性のあるものとなるからである。
【0018】
この発明では、上述のようにして得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体が、おおよそ10,000〜300,000の重量平均分子量を持つようにすることが好ましい。その理由は、このような重量平均分子量を持った重合体は、(メタ)アクリル酸エステルに溶解し易いからである。上述のような重量平均分子量を持った重合体は、上述の連鎖移動剤を用いると容易に得ることができる。
【0019】
この発明では、上述の(メタ)アクリル酸エステル重合体を(メタ)アクリル酸エステルに溶解させて重合性を持った溶液とする。この場合、溶剤となる(メタ)アクリル酸エステルは、重合体を構成している(メタ)アクリル酸エステルと同じ化合物であることが好ましい。例えば、重合体を構成しているものがメタクリル酸メチルであれば、溶剤としてメタクリル酸メチルを用いて重合性溶液とすることが好ましい。その理由は、重合体を構成しているものと、溶剤となるものとが一致すると、重合体が溶剤に溶解し易いからである。
【0020】
上述の重合体を溶剤に溶解して重合性溶液とする場合に、両者の混合比には格別の限定がない。溶剤となる(メタ)アクリル酸エステルが重合体を溶解して溶液を形成する限り、またその溶液が水性媒体中に微粒子として分散させることができる限り、両者を混合して使用することができる。通常は溶剤となる(メタ)アクリル酸エステル100重量部に対し、重合体量を0.1〜100重量部の範囲内として用いることができる。
【0021】
この発明では、上述のようにして得られた重合性溶液を水性媒体中に微粒子として分散させる。この場合の水性媒体としてはイオン交換水を用いることが好ましい。この場合の水性媒体は分散安定剤を含むことが好ましい。分散安定剤としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコールのような水溶性高分子化合物も、また、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、水酸化マグネシウム、ピロリン酸マグネシウムのような水に難溶性の無機塩類を用いることができる。
【0022】
上述の無機塩類は、市販の微粉末状のものをそのまま水に分散させて用いることができるが、また例えば第3リン酸ナトリウムと塩化カルシウムとを水中で反応させて、複分解により第3リン酸カルシウムを生成させて、これを用いることもできる。その使用量は重合性溶液100重量部あたり0.1〜20重量部とすることが好ましい。無機塩類は、重合して得られた重合体粒子を水で洗浄したり、塩酸で処理することにより、容易に重合体粒子から取り除くことができる。また無機塩類は重合体粒子の粒度分布を狭くする上で効果がある。従って、無機塩類を分散安定剤として用いることが好ましい。
【0023】
他方、上述の水溶性高分子化合物は、これを用いると、重合して得られた重合体粒子の表面に強く付着するので、これを取り除くことが容易でない。また、これが付着した重合体粒子は、これを加熱すると、付着物が重合体粒子を着色させる。従って、水溶性高分子化合物の使用はなるべく避けることが好ましい。
【0024】
上述の水性媒体は、分散安定剤のほかに、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤はアニオン系のものを用いることが好ましい。好適な界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等である。その使用量はとくに限定されないが、通常水性媒体に対して0.005〜0.3重量%の割合で用いる。
【0025】
この発明では、上述の重合性溶液を水性媒体中で懸濁重合させる。そのためには、重合性溶液に重合開始剤を加えて、重合開始剤を重合性溶液に溶解しておくことが必要である。重合性溶液に溶解できる開始剤としては、懸濁重合用の重合開始剤として知られているものを用いることができる。例を挙げれば、2、2′−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、アゾイソビスブチロニトリル等のアゾ化合物、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物である。これらの開始剤は単独で用いることができるが、また2種以上のものを混合して用いることもできる。開始剤の使用量はとくに限定されないが、通常は、単量体たる(メタ)アクリル酸エステルに対し0.01〜3重量%の割合で用いる。
【0026】
この発明では、上述の重合性溶液、とくに重合開始剤が含まれている重合性溶液を、水性分散媒中に1〜100μmの微粒子として分散させる。この分散は、ホモジナイザーなどの分散機を用いることにより、とくに分散機の回転速度を変えて剪断力を調整することによって、容易に達成することができる。
【0027】
こうして水性媒体中に重合性溶液を微細に分散させたのち、攪拌を継続しながら、水性媒体のpHを6以上に保持して、水性媒体を加温して懸濁重合を行わせる。pHを6以上とする理由は、実験の結果に基づいている。すなわち、pHが6未満では内部に泡を含んだ重合体粒子を得ることができないことが、実験により確かめられているからである。pHが6以上のうちでは、pHを7以上とすることが好ましい。逆に、pHが11を越えると、重合性溶液の分散が不安定になる傾向を示すとともに、(メタ)アクリル酸エステルが加水分解し易くなるから、pHは11以下とすることが好ましい。
【0028】
水性媒体のpHを6以上に保持するには、重合の初期では分散安定剤の選択により、又は酸若しくは塩基の添加により、pHを6以上に調整する。酸としては、塩酸のような無機酸でも、またクエン酸のような有機酸でも用いることができ、塩基としては水酸化ナトリウム若しくはカリウムを用いることができる。また、重合の途中では、重合開始剤の分解などのために、水性媒体のpHが変化することもあるので、必要に応じて上述の酸又は塩基の添加によってpHを6以上に保持する。
【0029】
この発明では、水性媒体のpHを6以上に保持しながら、水性媒体を加熱して適温に維持することによって、重合性溶液を懸濁重合させる。すると、重合性溶液は重合して(メタ)アクリル酸エステルの重合体となる。重合終了後、必要に応じて分散剤を酸などで分解し、重合体を濾過し、洗浄し、乾燥する。こうして得られた重合体微粒子を必要により粉砕し分級して、1〜100μmの粒子径の微粒子を得る。
【0030】
こうして得られた重合体微粒子は内部に複数個の泡を含んでいる。このためにこの重合体微粒子は純白に見え、極めて美麗である。従って、この重合体微粒子は白色顔料として塗料、インク、化粧料の添加剤とするのに適している。
【0031】
この発明によって得られた重合体微粒子が、どうして複数個の泡を含むことになるかの理由は、よく分からない。しかし、この発明者が推定するところでは、水溶性重合開始剤により重合が行われて得られた(メタ)アクリル酸エステルの重合体は、鎖状分子の端に重合開始剤の分解切片を結合していると考えられ、このために重合体が単量体に溶解して得られた溶液は、所定のpHの水性媒体中に分散されると、水性媒体を水滴として中に含んだ粒子を生成し易く、しかもこの粒子が安定であってそのまま重合するので、複数の水滴を含んだ重合体粒子が得られ、これがあとで乾燥されるので、水滴が蒸発してあとに泡が生成されるように思われる。
【0032】
【発明の効果】
この発明によれば、初めに(メタ)アクリル酸エステルを水溶性重合開始剤により重合させて重合体とし、次いでこの重合体を(メタ)アクリル酸エステルに溶解して重合性溶液を作り、その後にこの重合性溶液を水性媒体中に1〜100μmの微粒子として分散させ、pHを6以上に保持した水性媒体中で重合性溶液を懸濁重合させることにより、複数個の泡を含んだ重合体微粒子を得ることができる。従って、この方法によれば、水溶性重合開始剤による重合と、懸濁重合とをそれぞれ1回行うだけで、複数個の泡を含んだ重合体微粒子を得ることができるから、極めて容易に泡入りの微細粒子を能率よく容易に得ることができる。こうして得られた微粒子は塗料、インク、化粧料の添加剤として、また接着剤、樹脂改質剤として有用なものである。この点で、この発明は顕著な効果をもたらすものである。
【0033】
以下に、実施例と比較例とを挙げてこの発明の効果を具体的に明らかにする。
【0034】
【実施例1】
−乳化重合の実施−
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付きのセパラブルフラスコに水600g、メタクリル酸メチル100g、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン(n−OM)0.5gを仕込み、攪拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温させた。内温を70℃に保ち、水溶性重合開始剤として過硫酸カリウム0.5gを添加後、8時間反応させた。得られたエマルジョンより、塩析により重合体を取り出し、水洗、乾燥を行った。得られたポリメタクリル酸メチルは重量平均分子量42,000であった。
【0035】
−重合性溶液の懸濁重合−
2Lのビーカーにイオン交換水500g、第3リン酸カルシウム10g、ドデシル硫酸ナトリウム0.12gを混合した後、水酸化ナトリウムによってpH値を9.0に調整して水性分散媒とした。次いで乳化重合の実施によって得られた上記のポリメタクリル酸メチル10g及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1gをメタクリル酸メチル90gで溶解した重合性組成物を仕込み、ホモミキサーを用いて微細な液滴になるよう分散させて懸濁液とした。攪拌機、温度計、還流コンデンサー付きのセパラブルフラスコに、上記の懸濁液を仕込み、攪拌下に窒素置換しながら60℃まで昇温させた。さらに内温を60℃に保ち、12時間反応させた。
【0036】
反応終了後、塩酸を用いて第3リン酸カルシウムを溶解して濾過し除去した後、水洗、乾燥し、重合体微粒子を得た。得られた重合体微粒子を倍率200倍の拡大鏡を用いて観察すると、粒子内部に多数の空胞を有しており、コールター法による平均粒子径は18μmであり、光散乱性の評価として測定した反射率は25.5%であった。
【0037】
比較のために、粒子内に唯1個の泡を含んだ市販の重合体微粒子(松本油脂製薬社製、商品名 マツモトマイクロスフェアーM−600)を用いて、光散乱性の評価として測定した反射率は24.0%であり、実施例1の重合体微粒子に比べると明らかに光散乱が劣るものであった。
【0038】
上記の光散乱性は、次のようにして測定した。重合体微粒子3gとポリエステル系バインダー(東洋紡社製、商品名 バイロナールMD1200、固形分34%)10gを充分に混合してバインダー中に微粒子を均一に分散させて塗料組成物を作成する。得られた組成物をウェット厚み100μmのアプリーターにて黒地の隠蔽率試験紙に塗布して60℃オーブン中で乾燥し、微粒子含有塗膜が形成された試料片とする。この試料片を色彩色差計(ミノルタ社製、商品名 CR−300)を用いてXYZ表色系にて反射率Yを測定し、値が大きいほど塗膜層に含まれる重合体微粒子による光の散乱が大きいと評価した。
【0039】
【比較例1】
−乳化重合に代わる懸濁重合の実施−
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付きのセパラブルフラスコに水600g、第3リン酸カルシウム10g、ラウリル硫酸ナトリウム0.1g、メタアクリル酸メチル100g、重合開始剤として難水溶性のアゾイソビスブチロニトリル0.5gを仕込み、攪拌下に窒素置換しながら60℃まで昇温させ、さらに内温を60℃に保ち、15時間反応させて懸濁重合を実施した。重合反応終了後、塩酸を用いて第3リン酸カルシウムを除去した後、水洗、乾燥し、重合体微粒子を得た。得られた重合体は、重量平均分子量800,000であった。
【0040】
−重合性溶液の懸濁重合−
上記の重合体を用いて、実施例1と全く同様にして重合性溶液の懸濁重合を行った。得られた重合体微粒子は、これを倍率200倍の拡大鏡を用いて観察すると、粒子内部に空胞を含んでいない真球状の粒子であり、コールター法による平均粒子径は9μmであった。
【0041】
【比較例2】
この比較例が、実施例1において乳化重合の実施によって得られたポリメタクリル酸メチルを用い、これをメタクリル酸メチルに溶解して重合性溶液を作り、この重合性溶液を実施例1と同様にして懸濁重合させたが、その際、クエン酸を用いて水系のpH値を5.5に調整した点だけで、実施例1と異なるようにして懸濁重合を行った。
【0042】
得られた重合体微粒子は、これを倍率200倍の拡大鏡を用いて観察すると、粒子内部に空胞を含んでいない真球状の粒子であり、コールター法による平均粒子径は15μmであった。
【0043】
【実施例2】
−乳化重合の実施−
実施例1において、メタクリル酸メチルに代えて、メタクリル酸n−ブチルを用いて実施例1と同様にして、乳化重合法の実施によって重合された重量平均分子量56,000のポリメタクリル酸n−ブチルを得た。
【0044】
−重合性溶液の懸濁重合−
実施例1におけるメタクリル酸メチルに代えて、上記のポリメタクリル酸n−ブチルと、メタクリル酸n−ブチルを用い、第3リン酸カルシウムに代えてピロリン酸マグネシウムを用いることとした以外は実施例1と同様にして重合を行った。反応終了後、塩酸を用いて複分解法ピロリン酸マグネシウムを溶解・除去した後、水洗、乾燥し、重合体微粒子を得た。
【0045】
得られた重合体微粒子は、これを倍率200倍の拡大鏡を用いて観察すると、内部に多数の空胞を有しており、コールター法による平均粒子径は10μmであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によって得られた重合体微粒子の断面拡大図である。
【図2】この発明によって得られた重合体微粒子断面の顕微鏡写真である。
Claims (2)
- (メタ)アクリル酸エステルを水溶性重合開始剤により重合させ、得られた重合体を(メタ)アクリル酸エステルに溶解して重合性溶液を作り、この重合性溶液を水性媒体中に1〜100μmの微粒子として分散させ、pHを6以上に保持した水性媒体中で上記重合性溶液を懸濁重合させることを特徴とする、内部に複数個の泡を含んだ重合体微粒子の製造方法。
- 水溶性重合開始剤として過硫酸塩又は分子内にイオン性基を含有する水溶性アゾ系化合物を使用し、界面活性剤を使用しないで、(メタ)アクリル酸エステルを重合させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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