JP2001261716A - 重合体微粒子の製造方法 - Google Patents

重合体微粒子の製造方法

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JP2001261716A JP2000077335A JP2000077335A JP2001261716A JP 2001261716 A JP2001261716 A JP 2001261716A JP 2000077335 A JP2000077335 A JP 2000077335A JP 2000077335 A JP2000077335 A JP 2000077335A JP 2001261716 A JP2001261716 A JP 2001261716A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部に複数個の泡を含んだ重合体の微粒子を
簡単な操作によって、容易に、しかも能率よく製造する
方法を提供しようとする。 【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステルを水溶性重
合開始剤により重合させ、得られた重合体を(メタ)ア
クリル酸エステルに溶解させて重合性溶液とし、この溶
液を水性媒体中に微粒子として分散させ、pHを6以上
にして懸濁重合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、重合体微粒子の
製造方法に関するものであり、とくに内部に複数個の泡
を持った重合体微粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】重合体の微粒子は色々な方面で使用され
ている。そのうちでも、平均粒子径が1〜100μmの
微細な重合体粒子は、これに光が当たると光を屈折させ
るために外からは白色に輝いて見える。とりわけ、粒子
内に泡を含んだ微粒子は光を複雑に屈折させるために真
白に見える。従って、このような微粒子は白色顔料とし
て有用なものである。とくに、粒子内に複数個の泡を含
んだ微粒子は、唯1つの泡を含んだ微粒子よりも白さが
一層鮮やかになる。そこで、複数個の泡を含んだ平均粒
子径が1〜100μmの重合体微粒子は、白色顔料とし
て塗料、インク、化粧品などの分野で重宝されている。
【0003】特開昭56−32513号公報は、内部に
泡を含んだ重合体粒子の製造方法を記載している。この
方法は、アルカリ膨潤性のコアを持ったコアシェルラテ
ックスを作り、シェルのガラス転移点以上の温度でアル
カリ処理し、コアを膨潤させることによりシェルを膨張
させ、冷却してシェルを膨張させたままコアだけを収縮
させ、コアの収縮により空洞を形成するという方法であ
る。この方法では、コアを収縮させたあとに泡を生成さ
せるのであるから、1つの粒子内に複数の泡を生成させ
ることが困難であり、また平均粒子径が1〜100μm
というような粒子を作ることが困難である。
【0004】特開昭59−193901号公報は、水相
/モノマー相/水相系の多重エマルジョンを懸濁重合さ
せて、1つの粒子内に1個又は2個以上の球状の泡を含
んだ重合体粒子を作る方法を記載している。この方法で
は、水相及びモノマー相中にそれぞれイオン性界面活性
剤及び非イオン性界面活性剤を何れも大量に加える必要
があるため、費用がかかるだけでなく、界面活性剤を除
くのに手間を要するので、泡を含んだ微粒子を能率よく
作ることができない。
【0005】また、特開平5−125127号公報は、
1つの粒子内に唯1個の泡を含んだ重合体粒子の製造方
法を記載している。この方法は、親水性単量体と架橋性
単量体とからなる単量体混合物中に異種ポリマーを共存
させて懸濁重合を行い、その際、異種ポリマーとして上
記単量体混合物には溶解するが単量体混合物の重合によ
って生成した重合体には溶解しないような特殊なポリマ
ーを用いることによって、唯1個の泡を含んだ重合体粒
子を得ることとしている。だから、この方法では複数個
の泡を含んだ粒子を作ることができない。
【0006】また、発泡性粒子の発泡によって複数個の
泡を含んだ重合体微粒子を作ることができるが、発泡し
た粒子は平均粒子径を1〜100μmの程度に微細にす
ることが困難である。
【0007】このように、これまでは粒子内に複数個の
泡を含んだ重合体の微粒子を能率よく製造することがで
きなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、内部に複
数個の泡を含んだ重合体の微粒子を簡単な操作によって
容易に、しかも能率よく製造できる方法を提供しようと
してなされたものである。
【0009】
【課題解決のための手段】この発明者は、単量体を重合
させる過程で、粒子中に泡を含ませようと企てた。その
ために色々な単量体を用いてこれを懸濁重合させること
を試みた。そのうちに、この発明者は、メタクリル酸エ
ステル重合体をメタクリル酸エステル単量体に溶解して
得られた重合性溶液を懸濁重合させたところ、時により
内部に多数の泡を含んだ重合体粒子の得られることを見
出した。
【0010】この知見に基づいて、この発明者は、さら
に実験を繰り返した結果、上述のメタクリル酸エステル
が乳化重合法によって得られた重合体である場合に、と
くに多数の泡を含んだ重合体粒子が得られること、及び
メタクリル酸エステル重合体をメタクリル酸エステルの
単量体に溶解して得た重合性溶液を懸濁重合させる際
に、水性媒体のpHを6以上に保持すると、多数の泡を
含んだ重合体粒子の得られ易いことを見出した。また、
この発明者は、上述の単量体がメタクリル酸エステルに
限らず、アクリル酸エステルであっても同様な結果の得
られることを見出した。さらに、この発明者は、(メ
タ)アクリル酸エステルを乳化重合させて得られた重合
体の代わりに、一般に水溶性重合開始剤を使用して分散
重合法、沈澱重合法及び溶液重合法によって得られた重
合体を用いても、同じような結果の得られることを見出
した。この発明は、このような知見に基づいて完成され
たものである。
【0011】この発明は、(メタ)アクリル酸エステル
を水溶性重合開始剤により重合させ、得られた重合体を
(メタ)アクリル酸エステルに溶解して重合性溶液を作
り、この重合性溶液を水性媒体中に1〜100μmの微
粒子として分散させ、pHを6以上に保持した水性媒体
中で上記重合性溶液を懸濁重合させることを特徴とす
る、内部に複数個の泡を含んだ重合体微粒子の製造方法
を提供するものである。
【0012】
【発明実施の形態】この発明では、単量体として(メ
タ)アクリル酸エステルを用いる。すなわち、アクリル
酸エステルとメタクリル酸エステルとを用いることがで
きる。アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルと
は、何れも1分子内に唯1つの二重結合を含んでいる単
量体を意味している。それは、例えばアクリル酸ビニル
エステルのように1分子中に2つの二重結合を持ったも
のを用いると、得られた重合体が網状に結合したものと
なって単量体に溶解しなくなるからである。
【0013】この発明で用いることのできるアクリル酸
エステルは、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−ブチルのようなアクリル酸アルキル
エステル類である。また、この発明で用いることのでき
るメタクリル酸エステルは、例えばメタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチルのよ
うなメタクリル酸アルキルエステル類である。これらの
エステル類は、単一化合物を単独で用いることが好まし
いが、2種以上の化合物を混合して用いることもでき
る。
【0014】この発明では、(メタ)アクリル酸エステ
ルを重合させるにあたり、この発明の効果を損なわない
範囲内で、他の単量体を共重合させることもできる。共
重合させることのできる他の単量体は、例えば、クロロ
スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)
アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)ア
クリル酸グリシジルエステル等である。
【0015】この発明では、初めに(メタ)アクリル酸
エステルを水溶性重合開始剤により重合させる。重合の
際の媒体としては、水溶性重合開始剤を溶解するもので
あれば、有機溶剤をも使用することができる。水を媒体
として用いるときは、イオン交換水を用いることが好ま
しい。用いることのできる水溶性重合開始剤は、一般に
ラジカル重合開始剤と呼ばれているものである。使用で
きる開始剤は、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過
硫酸アンモニウムのような過硫酸塩、4、4′−アゾビ
ス−4−シアノ吉草酸及びその塩のような分子中にカル
ボキシル基のようなイオン性基を持った水溶性アゾ系化
合物である。
【0016】この発明は、(メタ)アクリル酸エステル
を重合させる方法を乳化重合に限っていない。例えば、
4、4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸を用い、メタノ
−ルと水との混合物を媒体として分散重合させることに
よって得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体をも
使用することができる。そのほか、水溶性重合開始剤を
用いて、沈澱重合及び溶液重合させて得られた重合体を
も使用することができる。乳化重合させる場合には、そ
こに水溶性還元剤を存在させてレドックス系で重合させ
ることもできる。水溶性還元剤としては、L−アスコル
ビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等を用いることができ
る。また、乳化重合させるにあたっては、連鎖移動剤を
用いることが好ましい。連鎖移動剤としては、例えばn
−オクチルメルカプタンのようなメルカプタン類や、α
−メチルスチレンダイマーを用いることができる。
【0017】この発明では、(メタ)アクリル酸エステ
ルを水溶性重合開始剤により重合させるにあたって、界
面活性剤を使用しないことが好ましい。その理由は、界
面活性剤を用いると、得られた重合体が耐水性の乏しい
ものとなるが、界面活性剤を用いないで重合させると、
得られた重合体が耐水性のあるものとなるからである。
【0018】この発明では、上述のようにして得られた
(メタ)アクリル酸エステル重合体が、おおよそ10,
000〜300,000の重量平均分子量を持つように
することが好ましい。その理由は、このような重量平均
分子量を持った重合体は、(メタ)アクリル酸エステル
に溶解し易いからである。上述のような重量平均分子量
を持った重合体は、上述の連鎖移動剤を用いると容易に
得ることができる。
【0019】この発明では、上述の(メタ)アクリル酸
エステル重合体を(メタ)アクリル酸エステルに溶解さ
せて重合性を持った溶液とする。この場合、溶剤となる
(メタ)アクリル酸エステルは、重合体を構成している
(メタ)アクリル酸エステルと同じ化合物であることが
好ましい。例えば、重合体を構成しているものがメタク
リル酸メチルであれば、溶剤としてメタクリル酸メチル
を用いて重合性溶液とすることが好ましい。その理由
は、重合体を構成しているものと、溶剤となるものとが
一致すると、重合体が溶剤に溶解し易いからである。
【0020】上述の重合体を溶剤に溶解して重合性溶液
とする場合に、両者の混合比には格別の限定がない。溶
剤となる(メタ)アクリル酸エステルが重合体を溶解し
て溶液を形成する限り、またその溶液が水性媒体中に微
粒子として分散させることができる限り、両者を混合し
て使用することができる。通常は溶剤となる(メタ)ア
クリル酸エステル100重量部に対し、重合体量を0.
1〜100重量部の範囲内として用いることができる。
【0021】この発明では、上述のようにして得られた
重合性溶液を水性媒体中に微粒子として分散させる。こ
の場合の水性媒体としてはイオン交換水を用いることが
好ましい。この場合の水性媒体は分散安定剤を含むこと
が好ましい。分散安定剤としてはメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコールのよ
うな水溶性高分子化合物も、また、第3リン酸カルシウ
ム、ハイドロキシアパタイト、水酸化マグネシウム、ピ
ロリン酸マグネシウムのような水に難溶性の無機塩類を
用いることができる。
【0022】上述の無機塩類は、市販の微粉末状のもの
をそのまま水に分散させて用いることができるが、また
例えば第3リン酸ナトリウムと塩化カルシウムとを水中
で反応させて、複分解により第3リン酸カルシウムを生
成させて、これを用いることもできる。その使用量は重
合性溶液100重量部あたり0.1〜20重量部とする
ことが好ましい。無機塩類は、重合して得られた重合体
粒子を水で洗浄したり、塩酸で処理することにより、容
易に重合体粒子から取り除くことができる。また無機塩
類は重合体粒子の粒度分布を狭くする上で効果がある。
従って、無機塩類を分散安定剤として用いることが好ま
しい。
【0023】他方、上述の水溶性高分子化合物は、これ
を用いると、重合して得られた重合体粒子の表面に強く
付着するので、これを取り除くことが容易でない。ま
た、これが付着した重合体粒子は、これを加熱すると、
付着物が重合体粒子を着色させる。従って、水溶性高分
子化合物の使用はなるべく避けることが好ましい。
【0024】上述の水性媒体は、分散安定剤のほかに、
界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤はアニオン
系のものを用いることが好ましい。好適な界面活性剤
は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル
硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
等である。その使用量はとくに限定されないが、通常水
性媒体に対して0.005〜0.3重量%の割合で用い
る。
【0025】この発明では、上述の重合性溶液を水性媒
体中で懸濁重合させる。そのためには、重合性溶液に重
合開始剤を加えて、重合開始剤を重合性溶液に溶解して
おくことが必要である。重合性溶液に溶解できる開始剤
としては、懸濁重合用の重合開始剤として知られている
ものを用いることができる。例を挙げれば、2、2′−
アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、アゾイ
ソビスブチロニトリル等のアゾ化合物、ジラウロイルパ
ーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸
化物である。これらの開始剤は単独で用いることができ
るが、また2種以上のものを混合して用いることもでき
る。開始剤の使用量はとくに限定されないが、通常は、
単量体たる(メタ)アクリル酸エステルに対し0.01
〜3重量%の割合で用いる。
【0026】この発明では、上述の重合性溶液、とくに
重合開始剤が含まれている重合性溶液を、水性分散媒中
に1〜100μmの微粒子として分散させる。この分散
は、ホモジナイザーなどの分散機を用いることにより、
とくに分散機の回転速度を変えて剪断力を調整すること
によって、容易に達成することができる。
【0027】こうして水性媒体中に重合性溶液を微細に
分散させたのち、攪拌を継続しながら、水性媒体のpH
を6以上に保持して、水性媒体を加温して懸濁重合を行
わせる。pHを6以上とする理由は、実験の結果に基づ
いている。すなわち、pHが6未満では内部に泡を含ん
だ重合体粒子を得ることができないことが、実験により
確かめられているからである。pHが6以上のうちで
は、pHを7以上とすることが好ましい。逆に、pHが
11を越えると、重合性溶液の分散が不安定になる傾向
を示すとともに、(メタ)アクリル酸エステルが加水分
解し易くなるから、pHは11以下とすることが好まし
い。
【0028】水性媒体のpHを6以上に保持するには、
重合の初期では分散安定剤の選択により、又は酸若しく
は塩基の添加により、pHを6以上に調整する。酸とし
ては、塩酸のような無機酸でも、またクエン酸のような
有機酸でも用いることができ、塩基としては水酸化ナト
リウム若しくはカリウムを用いることができる。また、
重合の途中では、重合開始剤の分解などのために、水性
媒体のpHが変化することもあるので、必要に応じて上
述の酸又は塩基の添加によってpHを6以上に保持す
る。
【0029】この発明では、水性媒体のpHを6以上に
保持しながら、水性媒体を加熱して適温に維持すること
によって、重合性溶液を懸濁重合させる。すると、重合
性溶液は重合して(メタ)アクリル酸エステルの重合体
となる。重合終了後、必要に応じて分散剤を酸などで分
解し、重合体を濾過し、洗浄し、乾燥する。こうして得
られた重合体微粒子を必要により粉砕し分級して、1〜
100μmの粒子径の微粒子を得る。
【0030】こうして得られた重合体微粒子は内部に複
数個の泡を含んでいる。このためにこの重合体微粒子は
純白に見え、極めて美麗である。従って、この重合体微
粒子は白色顔料として塗料、インク、化粧料の添加剤と
するのに適している。
【0031】この発明によって得られた重合体微粒子
が、どうして複数個の泡を含むことになるかの理由は、
よく分からない。しかし、この発明者が推定するところ
では、水溶性重合開始剤により重合が行われて得られた
(メタ)アクリル酸エステルの重合体は、鎖状分子の端
に重合開始剤の分解切片を結合していると考えられ、こ
のために重合体が単量体に溶解して得られた溶液は、所
定のpHの水性媒体中に分散されると、水性媒体を水滴
として中に含んだ粒子を生成し易く、しかもこの粒子が
安定であってそのまま重合するので、複数の水滴を含ん
だ重合体粒子が得られ、これがあとで乾燥されるので、
水滴が蒸発してあとに泡が生成されるように思われる。
【0032】
【発明の効果】この発明によれば、初めに(メタ)アク
リル酸エステルを水溶性重合開始剤により重合させて重
合体とし、次いでこの重合体を(メタ)アクリル酸エス
テルに溶解して重合性溶液を作り、その後にこの重合性
溶液を水性媒体中に1〜100μmの微粒子として分散
させ、pHを6以上に保持した水性媒体中で重合性溶液
を懸濁重合させることにより、複数個の泡を含んだ重合
体微粒子を得ることができる。従って、この方法によれ
ば、水溶性重合開始剤による重合と、懸濁重合とをそれ
ぞれ1回行うだけで、複数個の泡を含んだ重合体微粒子
を得ることができるから、極めて容易に泡入りの微細粒
子を能率よく容易に得ることができる。こうして得られ
た微粒子は塗料、インク、化粧料の添加剤として、また
接着剤、樹脂改質剤として有用なものである。この点
で、この発明は顕著な効果をもたらすものである。
【0033】以下に、実施例と比較例とを挙げてこの発
明の効果を具体的に明らかにする。
【0034】
【実施例1】−乳化重合の実施− 攪拌機、温度計、還流コンデンサー付きのセパラブルフ
ラスコに水600g、メタクリル酸メチル100g、連
鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン(n−OM)
0.5gを仕込み、攪拌下に窒素置換しながら70℃ま
で昇温させた。内温を70℃に保ち、水溶性重合開始剤
として過硫酸カリウム0.5gを添加後、8時間反応さ
せた。得られたエマルジョンより、塩析により重合体を
取り出し、水洗、乾燥を行った。得られたポリメタクリ
ル酸メチルは重量平均分子量42,000であった。
【0035】−重合性溶液の懸濁重合− 2Lのビーカーにイオン交換水500g、第3リン酸カ
ルシウム10g、ドデシル硫酸ナトリウム0.12gを
混合した後、水酸化ナトリウムによってpH値を9.0
に調整して水性分散媒とした。次いで乳化重合の実施に
よって得られた上記のポリメタクリル酸メチル10g及
び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1gを
メタクリル酸メチル90gで溶解した重合性組成物を仕
込み、ホモミキサーを用いて微細な液滴になるよう分散
させて懸濁液とした。攪拌機、温度計、還流コンデンサ
ー付きのセパラブルフラスコに、上記の懸濁液を仕込
み、攪拌下に窒素置換しながら60℃まで昇温させた。
さらに内温を60℃に保ち、12時間反応させた。
【0036】反応終了後、塩酸を用いて第3リン酸カル
シウムを溶解して濾過し除去した後、水洗、乾燥し、重
合体微粒子を得た。得られた重合体微粒子を倍率200
倍の拡大鏡を用いて観察すると、粒子内部に多数の空胞
を有しており、コールター法による平均粒子径は18μ
mであり、光散乱性の評価として測定した反射率は2
5.5%であった。
【0037】比較のために、粒子内に唯1個の泡を含ん
だ市販の重合体微粒子(松本油脂製薬社製、商品名 マ
ツモトマイクロスフェアーM−600)を用いて、光散
乱性の評価として測定した反射率は24.0%であり、
実施例1の重合体微粒子に比べると明らかに光散乱が劣
るものであった。
【0038】上記の光散乱性は、次のようにして測定し
た。重合体微粒子3gとポリエステル系バインダー(東
洋紡社製、商品名 バイロナールMD1200、固形分
34%)10gを充分に混合してバインダー中に微粒子
を均一に分散させて塗料組成物を作成する。得られた組
成物をウェット厚み100μmのアプリーターにて黒地
の隠蔽率試験紙に塗布して60℃オーブン中で乾燥し、
微粒子含有塗膜が形成された試料片とする。この試料片
を色彩色差計(ミノルタ社製、商品名 CR−300)
を用いてXYZ表色系にて反射率Yを測定し、値が大き
いほど塗膜層に含まれる重合体微粒子による光の散乱が
大きいと評価した。
【0039】
【比較例1】−乳化重合に代わる懸濁重合の実施− 攪拌機、温度計、還流コンデンサー付きのセパラブルフ
ラスコに水600g、第3リン酸カルシウム10g、ラ
ウリル硫酸ナトリウム0.1g、メタアクリル酸メチル
100g、重合開始剤として難水溶性のアゾイソビスブ
チロニトリル0.5gを仕込み、攪拌下に窒素置換しな
がら60℃まで昇温させ、さらに内温を60℃に保ち、
15時間反応させて懸濁重合を実施した。重合反応終了
後、塩酸を用いて第3リン酸カルシウムを除去した後、
水洗、乾燥し、重合体微粒子を得た。得られた重合体
は、重量平均分子量800,000であった。
【0040】−重合性溶液の懸濁重合− 上記の重合体を用いて、実施例1と全く同様にして重合
性溶液の懸濁重合を行った。得られた重合体微粒子は、
これを倍率200倍の拡大鏡を用いて観察すると、粒子
内部に空胞を含んでいない真球状の粒子であり、コール
ター法による平均粒子径は9μmであった。
【0041】
【比較例2】この比較例が、実施例1において乳化重合
の実施によって得られたポリメタクリル酸メチルを用
い、これをメタクリル酸メチルに溶解して重合性溶液を
作り、この重合性溶液を実施例1と同様にして懸濁重合
させたが、その際、クエン酸を用いて水系のpH値を
5.5に調整した点だけで、実施例1と異なるようにし
て懸濁重合を行った。
【0042】得られた重合体微粒子は、これを倍率20
0倍の拡大鏡を用いて観察すると、粒子内部に空胞を含
んでいない真球状の粒子であり、コールター法による平
均粒子径は15μmであった。
【0043】
【実施例2】−乳化重合の実施− 実施例1において、メタクリル酸メチルに代えて、メタ
クリル酸n−ブチルを用いて実施例1と同様にして、乳
化重合法の実施によって重合された重量平均分子量5
6,000のポリメタクリル酸n−ブチルを得た。
【0044】−重合性溶液の懸濁重合− 実施例1におけるメタクリル酸メチルに代えて、上記の
ポリメタクリル酸n−ブチルと、メタクリル酸n−ブチ
ルを用い、第3リン酸カルシウムに代えてピロリン酸マ
グネシウムを用いることとした以外は実施例1と同様に
して重合を行った。反応終了後、塩酸を用いて複分解法
ピロリン酸マグネシウムを溶解・除去した後、水洗、乾
燥し、重合体微粒子を得た。
【0045】得られた重合体微粒子は、これを倍率20
0倍の拡大鏡を用いて観察すると、内部に多数の空胞を
有しており、コールター法による平均粒子径は10μm
であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によって得られた重合体微粒子の断面
拡大図である。
【図2】この発明によって得られた重合体微粒子断面の
顕微鏡写真である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル酸エステルを水溶性重
    合開始剤により重合させ、得られた重合体を(メタ)ア
    クリル酸エステルに溶解して重合性溶液を作り、この重
    合性溶液を水性媒体中に1〜100μmの微粒子として
    分散させ、pHを6以上に保持した水性媒体中で上記重
    合性溶液を懸濁重合させることを特徴とする、内部に複
    数個の泡を含んだ重合体微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 水溶性重合開始剤として過硫酸塩又は分
    子内にイオン性基を含有する水溶性アゾ系化合物を使用
    し、界面活性剤を使用しないで、(メタ)アクリル酸エ
    ステルを重合させることを特徴とする、請求項1に記載
    の方法。
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CN113912765A (zh) * 2021-10-18 2022-01-11 北京化工大学 一种用复合分散剂体系制备超高分子量聚甲基丙烯酸甲酯的悬浮聚合方法

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