JP3566181B2 - 電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、コンピュータやテレビジョン受像機などのディスプレイに利用され、基板上に薄膜トランジスタ(TFT:Thim Film Transistor)などの複数個のスイッチング素子を備えた透過型または反射型の液晶表示装置などの電子部品の製造方法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、ゲート配線と、ソース配線と、このゲート配線とソース配線との交差部の近傍に設けられたスイッチング素子とを有し、このスイッチング素子が上記ゲート配線に接続されたゲート電極と、上記ソース配線に接続されたソース電極と、液晶層に電圧を印加するための画素電極に接続されたドレイン電極とからなる液晶表示装置のアクティブマトリックス基板に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来技術の電子部品の製造方法について、TFT型の液晶表示装置のアクティブマトリックス基板2の製造方法を一例として説明する。図7は、透過型のTFT型液晶表示装置1のアクティブマトリックス基板2の一般的な構成を示す電気回路図である。図7に示すように、アクティブマトリックス基板2には、数万から数十万個以上の画素電極3がマトリックス状に形成されており、この画素電極3にはスイッチング素子である薄膜トランジスタ4(以下、TFT4と略記する)が接続されて設けられる。このTFT4のゲート電極6には走査信号を供給するためのゲート配線5が接続され、このゲート電極6に入力されるゲート信号によってTFT4が駆動制御される。また、TFT4のソース電極7には表示信号を供給するためのソース配線8が接続され、TFT4の駆動時に、TFT4を介して表示信号が画素電極3に入力される。各ゲート配線5とソース配線8とは、マトリクス状に配列された画素電極3の周囲を通り、絶縁膜を介した状態で互いに直交差するように設けられる。さらに、TFT4のドレイン電極は、画素電極3および付加容量9に接続され、この付加容量9の対向電極24はそれぞれ共通配線10に接続される。
【0004】
図8は、TFT型液晶表示装置1のTFT4部分の断面図である。図8に示すように、まず、透明絶縁性基板11上に、ゲート配線5に接続されたゲート電極6が積層され、その上を覆って、ゲート絶縁膜12が積層される。さらにその上に、ゲート電極6と重畳するように半導体層13が形積層され、その中央部にチャネル保護層14が積層される。このチャネル保護層14の両端部および半導体層13の一部を覆い、チャネル保護層14上で分断された状態で、ソース電極7およびドレイン電極15となるn+Si層が積層される。一方のn+Si層であるソース電極7上に、ソース配線8と同一の素材の膜で金属層16が積層され、他方のn+Si層であるドレイン電極15上に、ドレイン電極15と画素電極3とを接続する金属層16が積層される。このようにして、スイッチング素子であるTFT4とその周辺構造が形成される。さらに、TFT4、ゲート電極6およびソース電極7の上部を覆って、層間絶縁膜17が積層される。この層間絶縁膜17の上に、画素電極3となる透明導電膜18が積層され、この透明導電膜18は、層間絶縁膜17を貫くコンタクトホール19を介して、TFT4のドレイン電極15と接続した金属層16に接続される。
【0005】
このように、ゲート配線5およびソース配線8と、画素電極3となる透明導電膜18との間に層間絶縁膜17が介在されているので、ゲート配線5とソース配線6とに対して画素電極3をオーバーラップさせることができる。このような構造は、たとえば、特開昭58−172685号公報に開示されている。これによって、液晶表示装置1の開口率を向上させることができるとともに、ゲート配線5およびソース配線8に起因する電界をシールドすることができ、液晶分子の配向が崩れるディスクリネーションを抑制することができる。
【0006】
上記のゲート絶縁膜12および層間絶縁膜17は、窒化シリコン(SiN)などの無機膜をCVD法(Chemical Vapor Deposition法:プラズマ励起化学気相成長法)によって、膜厚が300〜500nm(0.3〜0.5μm)程度に形成される。これ以上の膜厚に形成しないのは、デポジションに時間がかかって、生産効率が悪くなったり、残留応力によって、基板11が反ったり、クラック23などの不良が増加するためである。また層間絶縁膜17は、有機膜を膜厚1〜5μm程度に形成する場合もある。また、開口率が落ちるという問題があるが、層間絶縁膜17を形成しない場合もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の液晶表示装置1では、半導体層13及び導電膜18の積層数が0〜2層と少ない配線部21と、2〜5層と多いスイッチング素子部22とが、基板2上に交互に配列されて混在する。すなわち、生産コストおよび不良品率の異なる配線部21およびスイッチング素子部22を、同時に、同一工程で形成しているので、この従来技術の製造方法は、製造効率が悪い。さらに、この従来技術の製造方法では、TFT4上に、CVD法またはスパッタ法によって、SiNx、SiO2およびTaOx(Ta:タンタル)からなる絶縁膜12あるいは層間絶縁膜17を成膜しているので、この成膜されたゲート絶縁膜12および層間絶縁膜17は、その下地膜の膜厚による凹凸を反映する。このような多層構造のTFT4またはソース配線8とゲート配線5とのクロス部といった凹凸部では、残留応力の影響で、クラック23が入ったり、残留応力またはその他の影響で、エッチング液が染み込んで短絡や断線の不良が生じる。
【0008】
したがって、数万から数十万個以上のTFT4を同時に同一工程で順番に積層して製造する従来技術の製造方法では、上記のように、不良部分が生じると、この不良部分だけを、正常なものに交換して、補修することが困難である。したがって、この従来技術では、数万から数十万個のTFT4の内の僅かなTFT4の欠陥によって、アクティブマトリックス基板2自体を破棄しなければならないこともある。これによって生産コストが増加してしまうという問題がある。さらに大型基板になるほど、残留応力の分布、温度分布、エッチング液および不純物の濃度分布のムラが大きく、TFT4の不良品率が増加する。したがって従来技術では、これらの要因を均一化するために、装置の条件を厳密に制御する。しかしながら、これによって、処理時間が増加したり、特殊な装置改良を必要する。また、液晶表示装置1では、全体の生産効率を向上するために、部品の取れ数が多くなるように、益々大きい基板を採用する動きがある。
【0009】
このように、基板が大型化すると、たとえば量産開始時に予定していたスピードで生産ラインが立ち上がらず、需給バランスのうねりの中、収益が充分に確保されなかったり、ユーザにタイムリーに商品が納入できないといった不具合が生じる。また、同様の要因で液晶表示装置1の信頼性が低下することもある。
【0010】
さらに従来技術では、基板ごと次の工程に搬送して、膜形成処理を行っているので、上記のように基板サイズが大きくなると、各工程の製造装置自体も大型化しなければならない。さらに、搬送手段、搬送経路および搬送時間が制限され、組立および搬送が困難となる。したがって、工場全体が大きくなり、これによって、用地確保が困難となったり、工場内の生産ラインのクリーン度を均一に制御することが困難になる。また、装置各の外形寸法のばらつきも増加し、ライン設計が困難となる。
【0011】
本発明の目的は、TFT型液晶表示装置のアクティブマトリックス基板のように、基板上に、TFTなどの無数の半導体素子を有する電子部品を効率よく製造することができる電子部品の製造方法を提供することである。特に、大型基板上に無数の半導体素子が形成されて構成される電子部品を、半導体素子の不良品率を低減し、生産効率を向上させるとともに、大型の製造装置を必要とせずに、製造することができる電子部品の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、予め配線パターンが形成された主基板上に、予め作成された半導体チップを実装する工程を含む電子部品の製造方法において、
前記半導体チップは、電子部品の製造工程中に、吸引保持して移動するために錐形形状の突部を形成することを特徴とする電子部品の製造方法である。
【0013】
また本発明は、前記主基板上には、複数の同一配線パターンが形成され、前記半導体チップは複数設けられ、各半導体チップには、前記主基板上の配線パターンに対応し、実装したときに基板側配線パターンに接続されるチップ側配線パターンがそれぞれ形成され、
前記主基板上の各配線パターンに対応して、前記半導体チップがそれぞれ実装されることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記半導体チップを前記主基板上に実装した後に、錐形状の半導体チップの頂点側部分を除去して、半導体チップを平坦化することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記錐形形状の半導体チップは、シリコン基板をエッチングして作成されることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、紫外線で剥離される紫外線剥離樹脂によって、突部の前記吸引保持前に、前記半導体チップを被覆して保護し、前記半導体チップを前記移動して主基板上に実装した後、紫外線レーザを照射することによって、半導体チップの紫外線剥離樹脂を除去することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記主基板の配線パターンと前記半導体チップの電極パターンとを、金を用いて接続することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、形形状の凹部が形成された吸引口部分を有する移載治具を準備し、
この吸引口部分は、突部のテーパ面(94b)を案内するテーパ面(83a)を有し、吸引口部分によって半導体チップの前記錐形形状の前記突部を吸引保持し、半導体チップを吸引保持したまま、移載治具を前記主基板上に移動し、
の後、吸引保持を解除して、主基板上の配線パターンに半導体チップの電極パターンを接続することを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、従来技術では、主基板上に順番に膜を積層して製造していた電子部品を、複数の同一の配線パターンが形成された主基板と、この配線パターンに接続されるチップ側パターンが形成された半導体チップとに分けて別々に作成し、この半導体チップを主基板上の各配線パターンに個別に対応させた状態で、複数の半導体チップを主基板上に実装して製造する。したがって、従来技術に比べて、生産効率が向上する。さらに、大型の主基板上に半導体チップを有する電子部品を製造する場合には、半導体チップは、主基板以外の小型の基板に膜を積層して高密度に配置して形成した後、分割して作成し、この半導体チップを、配線パターンを形成した大型基板に実装する。つまり、半導体チップは、小型のチップ製造装置で作成することができ、これによって、大型の主基板上に半導体チップを備えた電子部品を製造する場合でも、大型のチップ製造装置を必要とせず、したがって工場を大きくする必要がない。また、半導体チップと主基板とを別々に作成することによって、半導体チップを実装する前に、不良な半導体チップを、予め取り除くことができるので、電子部品の歩留りが向上する。
【0022】
半導体チップを実装するとき、まず、錐形形状の凹部が形成された吸引口を複数有する移載治具によって、複数の半導体チップをまとめて吸引して保持し、半導体チップを吸引したまま、移載治具を主基板上まで移動し、その後、吸引保持を解除して、主基板上に、半導体チップをまとめて実装する。移載治具で半導体チップを吸引保持するとき、半導体チップは錐形形状を有しているので、半導体チップのテーパ面が、吸引口の凹部のテーパ面に沿って、案内され、半導体チップは、正確に位置決めされた状態で、吸引保持される。したがって、吸引時に半導体チップの位置ずれを自動的に修正し、半導体チップ間のピッチ精度を高精度にすることができる。
【0023】
さらに、錐形形状の半導体チップを実装した後、半導体チップの頂点側部分を除去して、平坦化する。たとえば、半導体チップが、液晶表示装置のスイッチング素子である場合では、上記のように、実装した半導体チップを平坦化することによって、この半導体チップをスペーサとして使用することができる。したがって、液晶表示装置の製造工程で、スペーサ形成工程およびスペーサ配置工程を省略でき、さらに、この液晶表示装置は、画素電極部にスペーサが配置されないので、開口率が高くなり、表示品位が向上する。
【0024】
また、錐形状の半導体チップは、シリコン基板をエッチングして作成されるので、シリコン基板の有する(1,1,1)結晶面と(1,0,0)結晶面とのエッチングの異方性を利用して、54.7度の鋭利な角度を有する四角錐体の半導体チップを容易に作成することができる。
【0025】
また、半導体チップを、紫外線で容易に剥離される紫外線剥離樹脂によって、突部の吸引保持前に、被覆して、保護しているので、半導体チップを吸引保持するとき、あるいは半導体チップを主基板上に移動させるときなどに、半導体チップに傷などが生じることがなく、さらに半導体チップに異物などが付着することが防止される。この紫外線樹脂の被覆層は、半導体チップを基板上に実装した後、半導体チップに紫外線レーザが照射されるので、半導体チップの形状が複雑であったとしても、被覆した紫外線剥離樹脂を確実に除去することができ、半導体チップの清浄度が向上する。
【0026】
また、半導体チップの電極と主基板の配線とを、金で接続することによって、金以外の接続材料に比べて、接続部の腐食や酸化を防止することができ、信頼性が高く、この電子部品を安定して使用することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の電子部品および電子部品の製造方法について、TFT型の液晶表示装置のアクティブマトリックス基板90を一例として説明する。図1は、本発明の実施の一形態の電子部品の製造方法で製造された電子部品であるアクティブマトリックス基板90の画素近傍の構造を示す平面図であり、図2は、アクティブマトリックス基板90の画素近傍の断面図であり、図3は、アクティブマトリックス基板90の画素近傍の斜視図である。図1〜図3に示すように、アクティブマトリックス基板90は、主基板51と、この主基板51上に実装された複数個の四角錐台形状の半導体チップ92とによって構成される。
【0029】
主基板51は、たとえば一辺が数100mm以上の矩形のガラス基板上に透明導電材料からなる画素電極52が、マトリックス状に数万個(図1では、3個示す)以上形成されたものである。さらに、主基板51には、これらの画素電極52の周囲を通り、互いに直交するように、走査信号を供給するためのゲート配線53および表示信号(データ信号)を供給するためのソース配線54と、画素電極52に接続されるドレイン配線57とが形成されている。このソース配線54とゲート配線53とドレイン配線57とによって、一組の配線パターン91が構成され、この一組の配線パターン91が、全ての画素電極52の近傍に形成されている。
【0030】
半導体チップ92は、単結晶シリコンからなる四角錐台形状のチップ本体95と、このチップ本体95の内部の底面寄りの位置に設けられた薄膜トランジスタ55(以下、TFT55と略記する)と、このTFT55のゲート電極53bに接続されたゲート配線53cと、TFT55のソース電極54bに接続されたソース配線54cと、TFT55のドレイン電極57bに接続されたドレイン配線57cとからなる。
【0031】
上記半導体チップ92が、主基板51の複数の配線パターン91に個別に対応した状態で、主基板51上に実装されて、アクティブマトリックス基板90が構成されている。半導体チップ92のゲート配線53c、ソース配線54cおよびドレイン配線57cと、配線パターン91のゲート配線53、ソース配線54およびドレイン配線57とが、それぞれ接続されている。したがって、ゲート電極53bに入力される信号によって、TFT55が駆動制御され、ソース電極54aから、ドレイン電極57aを介して画素電極52に入力される表示信号を供給または遮断する。
【0032】
以上のように構成される本発明の電子部品であるアクティブマトリックス基板90を備える液晶表示装置では、この半導体チップ92の四角錐台形状のチップ本体95をスペーサとして使用することができる。したがって、画素電極52部分にスペーサが配置されないので、開口率が高くなり、液晶表示装置の表示品位が向上する。
【0033】
次に、このアクティブマトリックス基板90の製造方法について説明する。まず、前述の主基板51を準備する。主基板51に半導体チップ92を実装する前に、この主基板51上に、複数の画素電極52と、この画素電極52に個別に対応する上記配線パターン91とを予め形成する。
【0034】
この主基板51とは別に、四角錐形状の突部94を有する半導体チップ92aを準備する。図4は、この実装前の四角錐形状の突部94を有する半導体チップ92aを示す図である。この四角錐形状の半導体チップ92aは、以下のようにして作成される。主基板51よりも小さい元基板に、予め、TFT55、ゲート配線53a、ソース配線54aおよびこのゲート配線53aとソース配線54aとのクロス部を作成する。さらに、これらの配線53a,54a,57aに電気的に接続される端子77が形成され、この端子77は、金によって構成される。このTFT55は、MOS型のトランジスタ構造を有し、たとえば、厚さが100nm程度のクロムからなるゲート電極と、厚さが100nm程度の二酸化シリコンからなるゲート絶縁膜と、厚さが、400nm程度のn+,P-の単結晶シリコン領域とを含んで構成される。
【0035】
元基板にTFT55を作製した後、元基板を、たとえば紫外線で容易に剥離される紫外線剥離樹脂で動かないように固定した状態で、元基板をエッチングして、四角錐形状の突部94とTFT55とを有する半導体チップ92aが形成される。なお、この突部94とTFT55との間に、前述のチップ本体95となるストップ層88が設けられる。また、この元基板は、たとえば一辺が数百mm程度のガラス基板やセラミック基板であってもよいが、さらに好ましくは、数インチ径の小型のシリコン基板であることが好ましい。このように、元基板がシリコン基板であると、シリコン基板の有する(1,1,1)結晶面と(1,0,0)結晶面とのエッチングの異方性を利用して、54.7度の鋭利な角度を有する四角錐形状の突部94を有する複数の半導体チップ92を容易に作成することができる。
【0036】
図5は、半導体チップ92aを吸引保持する直前の状態を示す図である。図6は、主基板51に半導体チップ92aを実装する直前の状態を示す図である。まず、上記のようにして作成した複数の半導体チップ92aをTFT55部分を下に向けた状態で、たとえば平坦なステージ78上に並べて載置する。このとき、この複数の半導体チップ92aは、正方マトリクス状に並べた状態で載置しておくことが好ましい。なお、半導体チップ92aは、ステージ78上に並べて載置された状態で、検査され、仮に不良な半導体チップ92aがあれば、このとき正常なものに交換する。このように並べて、載置した複数の半導体チップ92aを図6に示す移載治具97によって、まとめて吸引して保持する。
【0037】
移載治具97は、複数の吸引孔81を有し、この吸引孔81の吸引口82部分には、四角錐形状の凹部83が形成される。この吸引孔81は、主基板51の各画素電極52と同じピッチ幅を開けて、正方マトリクス状に並べて配置されている。このように構成される移載治具97で、ステージ上に並べて載置された半導体チップ92aを吸引保持するとき、半導体チップ92aは、突部94のテーパ面94が、凹部83のテーパ面83aに沿って、案内されながら、上方に吸引されるので、半導体チップ92aの位置ずれが自動的に修正され、半導体チップ92a間のピッチ精度が高精度に保持される。したがって、半導体チップ92aをステージ78上に並べるとき、厳密に位置決めを行う必要がない。さらに、突部94が四角錐形状であるため、各配線53a,54a,57aに対する半導体チップ92aの向きも自動的に位置決めされる。
【0038】
半導体チップ92aを吸引保持した後、移載治具97を主基板51上まで移動させる。このとき、半導体チップ92aは、前述した紫外線剥離樹脂で被覆されていることが好ましい。このように半導体チップ92aを樹脂で被覆して保護することによって、半導体チップ92aを吸引保持するとき、あるいは主基板51上に移動させるときなどに、半導体チップ92aに傷などが生じることがなく、さらに半導体チップに異物などが付着することが防止される。
【0039】
半導体チップ92aを主基板51の上方まで移動させると、移載治具97を下降させて、各半導体チップ92aを主基板51上に乗載して実装する。このように移載治具97によって、複数の半導体チップ92aをまとめて吸着保持し、ステージ78から主基板51に移し変える構成であるので、効率よく、かつ高精度に実装することができる。上記の半導体チップ92aを保護していた紫外線樹脂を除去し、樹脂を除去した後、半導体チップ92aに紫外線レーザを照射する。したがって、半導体チップ94aから紫外線剥離樹脂が完全に除去されて、高清浄度となる。
【0040】
その後、主基板51側の金から成る接続端子76と半導体チップ92a側の金から成る接続端子77とを、接続する。このように半導体チップ92aと主基板51とを、金で接続することによって、接続部の腐食や酸化を防止することができ、信頼性が高く、このアクティブマトリックス基板90を安定して使用することができる。
【0041】
このようにして、半導体チップ92aを実装した後、半導体チップ92aと主基板51との接続部に、たとえば光硬化性樹脂であるポリイミドからなる保護樹脂99を供給して、硬化させて実装する。
【0042】
その後、CMP法(Chemical mechamical Polish法)で四角錐形状の突部94の頂点側部分94aを除去して、突部94を平坦化する。このとき突部94の底面側には、前述したSiOからなるストップ層88が設けられているので、このCMP工程で除去される頂点側部分94aの除去位置が正確に制御される。以上のようにして、本発明の電子部品であるアクティブマトリックス基板90が製造される。
【0043】
以上のように、アクティブマトリックス基板90は、主基板51と、TFT55を有する半導体チップ92aとを、別々に作成した後、両者を実装して製造されるので、実装後のTFT55が不良であった場合などでは、この不良のTFT55のみを取り除いて、正常なものに取り換えることができる。
【0044】
さらに、大型のアクティブマトリックス基板90を製造する場合には、半導体チップ92aは、主基板51よりも小型の元基板に高密度に配置して作成し、この半導体チップ92aを、配線パターンを形成した大型の主基板51に実装する。つまり、半導体チップ92aは、小型のチップ製造装置で作成することができる。これによって、大型のアクティブマトリックス基板90を製造する場合、大型のチップ製造装置を必要とせず、したがって工場を大きくする必要がない。
【0045】
また上記主基板51は、ガラス基板に限るものではなく、シリコン基板であっても良い。このように、シリコン基板にすることによって、半導体チップ94aを高温接続で確実に接続できる。また主基板51は、プラスチックであっても良い。プラスチックは軽量で、可撓性を有するので、平面形状以外のものを製造することができる。
【0047】
なお、本発明の電子部品の製造方法で製造される電子部品は、上記したアクティブマトリックス基板90だけでなく、多数の配線、スイッチング素子およびセンサ部が繰り返して配置されて、複数の膜のパターンを形成した半導体素子、たとえばDMDなどの液晶以外の表示装置、またはイメージセンサなどの電子部品に適用できる。
【0048】
さらに詳しく述べると、本発明の電子部品の製造方法で製造される電子部品は、電卓、デジタルカメラ、ハンディスキャナ、携帯型ラジオ、ミニディスク再生装置、電子辞書および電子情報端末手帳などの小型または携帯用の各種電子機器に搭載される電子部品をも含む。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、従来技術で主基板上に順番に膜を積層して製造していた電子部品を、複数の同一の配線パターンが形成された主基板と、半導体チップとに、分けて別々に作成し、この主基板上の各配線パターンに個別に対応して、複数の半導体チップを基板上に実装して製造するので、従来技術に比べて、生産効率が向上する。さらに、大型の主基板上に半導体チップを有する電子部品を製造する場合には、半導体チップは、主基板以外の小型の基板に高密度に配置して作成し、この半導体チップを、配線パターンを形成した大型の主基板に実装する。つまり、半導体チップは、小型のチップ製造装置で作成することができ、これによって、大型の主基板上に半導体チップを備えた電子部品を製造する場合でも、大型のチップ製造装置を必要としない。
【0050】
また本発明によれば、半導体チップを実装するとき、錐形状の凹部を有する移載治具によって、複数の半導体チップをまとめて吸引して保持し、半導体チップを吸引したまま、移載治具を主基板上まで移動し、その後、吸引保持を解除して、主基板上に、半導体チップをまとめて実装する。移載治具で半導体チップを吸引保持するとき、半導体チップは錐形状を有しているので、半導体チップのテーパ面が、吸引口の凹部のテーパ面に沿って、案内され、半導体チップは、正確に位置決めされた状態で、吸引保持される。したがって、半導体チップの位置ずれを自動的に修正し、半導体チップ間のピッチ精度を高精度にすることができる。
【0051】
また本発明によれば、錐形状の半導体チップを実装した後、半導体チップの頂点側部分を除去して、平坦化する。たとえば、半導体チップが、液晶表示装置のスイッチング素子である場合では、上記のように、実装した半導体チップを平坦化することによって、この半導体チップをスペーサとして使用することができる。
【0052】
また本発明によれば、錐形状の半導体チップは、シリコン基板をエッチングして作成されるので、シリコン基板の有する(1,1,1)結晶面と(1,0,0)結晶面とのエッチングの異方性を利用して、54.7度の鋭利な角度を有する四角錐体の半導体チップを容易に作成することができる。
【0053】
また本発明によれば、半導体チップは、紫外線で容易に剥離される紫外線剥離樹脂によって被覆して、保護されているので、半導体チップを吸引保持するとき、あるいは基板上に移動させるときなどに、半導体チップに傷などが生じることがなく、さらに半導体チップに異物などが付着することが防止される。
【0054】
また本発明によれば、半導体チップの電極と主基板の配線とを、金で接続することによって、接続部の腐食や酸化を防止することができ、信頼性が高く、この電子部品を安定して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の電子部品の製造方法で製造されたアクティブマトリックス基板90の画素近傍の構造を示す平面図である。
【図2】アクティブマトリックス基板90の画素近傍の断面図である。
【図3】アクティブマトリックス基板90の画素近傍の斜視図である。
【図4】四角錐形状の突部94を有する実装前の半導体チップ92aを示す図である。
【図5】半導体チップ92aを吸引保持する直前の状態を示す図である。
【図6】半導体チップ92aを実装する直前の状態を示す図である。
【図7】アクティブマトリックス基板2の一般的な構成を示す電気回路図である。
【図8】アクティブマトリックス基板2のTFT4部分の断面図である。
【符号の説明】
51 主基板
55 薄膜トランジスタ
90 アクティブマトリックス基板
91 配線パターン
92 半導体チップ
94 突部
97 移載治具

Claims (7)

  1. 予め配線パターンが形成された主基板上に、予め作成された半導体チップを実装する工程を含む電子部品の製造方法において、
    前記半導体チップは、電子部品の製造工程中に、吸引保持して移動するために錐形形状の突部を形成することを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. 前記主基板上には、複数の同一配線パターンが形成され、前記半導体チップは複数設けられ、各半導体チップには、前記主基板上の配線パターンに対応し、実装したときに基板側配線パターンに接続されるチップ側配線パターンがそれぞれ形成され、
    前記主基板上の各配線パターンに対応して、前記半導体チップがそれぞれ実装されることを特徴とする請求項1記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記半導体チップを前記主基板上に実装した後に、錐形形状の半導体チップの頂点側部分を除去して、半導体チップを平坦化することを特徴とする請求項1または2記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記錐形形状の半導体チップは、シリコン基板をエッチングして作成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子部品の製造方法。
  5. 紫外線で剥離される紫外線剥離樹脂によって、突部の前記吸引保持前に、前記半導体チップを被覆して保護し、前記半導体チップを前記移動して主基板上に実装した後、紫外線レーザを照射することによって、半導体チップの紫外線剥離樹脂を除去することを特徴とする請求項4記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記主基板の配線パターンと前記半導体チップの電極パターンとを、金を用いて接続することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の電子部品の製造方法。
  7. 形形状の凹部が形成された吸引口部分を有する移載治具を準備し、
    この吸引口部分は、突部のテーパ面(94b)を案内するテーパ面(83a)を有し、吸引口部分によって半導体チップの前記錐形形状の前記突部を吸引保持し、半導体チップを吸引保持したまま、移載治具を前記主基板上に移動し、
    の後、吸引保持を解除して、主基板上の配線パターンに半導体チップの電極パターンを接続することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の電子部品の製造方法。
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