JP3565879B2 - 光ディスク装置のディスク回転制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ミニディスク等の記録可能な光ディスクに対する記録再生が可能な光ディスク装置において光ディスクの回転を制御する光ディスク装置のディスク回転制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置として、最近では、小型の光ディスクに記録再生を行なう、いわゆるミニディスク装置が開発され、一般への普及が進められている。このようなミニディスク装置に記録媒体として用いられるミニディスク(以降、MDと称する)には、すでに音楽情報等が記録されている再生専用のディスクと、ユーザによる記録が可能なレコーダブルディスクとがある。
【0003】
このうち、レコーダブルディスクには、あらかじめ、(1/7)×FS (FS =44.1kHz)のデータレートで周波数変調がかけられた平均周波数が(1/2)×FS であるウォブル信号が、蛇行する案内溝としてディスク全域に刻み込まれている。そのウォブル信号は、記録再生時に、録音情報のアドレスデータとして利用される他、トラッキングサーボやスピンドルサーボの制御データとして利用される。
【0004】
具体的には、記録再生時にそのウォブル信号をFM復調し、その復調出力により同期信号を基準としてアドレス情報を得て、このアドレス情報をマイクロコンピュータに与える。また、スピンドルモータの回転制御については、例えば再生専用のMD装置では、ディジタル回路で、そのウォブル信号から回転速度誤差を検出し、それを用いながら単位フレームの周波数である22.05kHz/3=7.35kHzを回転制御のためのサンプリング周波数とするという簡易的な方式が採用されている。また、他に、高コストではあるが、アナログVCO素子を設けて、回転制御を行なう構成もある。
【0005】
上記の簡易的な手法では、具体的には、図5の(a)に示すウォブル信号をパルス状に波形整形することにより、同図の(b)に示すウォブルクロックを得る。そして、このウォブルクロックを分周比3で分周することにより、同図の(c)に示す周波数がフレーム周波数と同一の7.35kHzのサンプリング信号を得る。さらに、そのサンプリング周波数に基づいて、同図の(d)に示すような速度誤差を検出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記の簡易的な手法において、ウォブル信号が理想的に22.05kHz平均で出力されるようにスピンドルモータの回転制御が行なわれ、このとき検出された速度誤差±Δfが±1kHzであるとする。一般的に、サンプリング周波数とサーボ帯域とは反比例の関係にあるので、上記のような場合では十分なサーボ帯域をとることができる。
【0007】
しかしながら、その反面、記録再生兼用のMD装置に上記の手法を採用してウォブル信号によるスピンドルモータの回転制御を行なう場合、その速度誤差が記録時と再生時とで積算される。±1kHzの変調成分からどれくらいずれているかが速度誤差となるので、上記のような簡易的な方式では、速度誤差が上記の積算によりウォブル信号の±1kHzの変調成分とほぼ同じになってしまい、回転制御が不安定になることがあった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、ウォブル信号を用いたスピンドルモータの回転制御を、高コストの部品を用いることなく安定して行なうことを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ディスク装置のディスク回転制御装置は、上記の課題を解決するために、ディジタルデータのサンプリング周波数の1/7倍のデータレートで周波数変調されて平均周波数が上記サンプリング周波数の1/2倍となる制御信号があらかじめ物理的に形成された光ディスクから、その制御信号を読み取る信号読取手段と、この信号読取手段により読み取られた制御信号をパルス状に波形整形する波形整形手段と、この波形整形手段の出力パルスの周波数が上記サンプリング周波数の1/(7×2×N)倍(Nは2以上の整数)となるように上記出力パルスを分周する分周手段と、この分周手段の出力パルスに基づいて光ディスクの回転制御に用いる回転速度誤差を検出する誤差検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0010】
【作用】
上記の構成においては、信号読取手段により光ディスクから制御信号が読み取られると、その制御信号は波形整形手段でパルス状に波形整形される。このパルスは、分周手段により所定の分周比で上記の周波数となるように分周される。そして、分周手段の出力パルスに基づいて回転速度誤差が検出され、この回転速度誤差により光ディスクの回転制御が行なわれる。
【0011】
上記の構成では、波形整形手段の出力パルスの周波数が上記のように設定されることにより、Nが2以上となる各場合において制御信号の変調成分の影響を低減することができる。それゆえ、光ディスク回転制御の安定性を向上させることが可能になる。
【0012】
【実施例】
本発明をMD装置に適用した一実施例について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0013】
本実施例に係るMD装置は、図2に示すように構成されている。まず、このMD装置の記録時および再生時の動作の概略について説明する。
【0014】
記録時において、音声入力は、A/Dコンバータ1により44.1kHzのサンプリング周波数でディジタル信号に変換された後、音声圧縮伸長回路2でATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding) 方式により圧縮される。圧縮後の音声データは、ショックプルーフメモリコントローラ3を経て、信号処理回路4で誤り訂正検出用のパリティ付加、サブコード情報付加、EFM変調等の処理が施される。
【0015】
また、このとき、ショックプルーフメモリコントローラ3を経た音声データがショックプルーフメモリ5に一時的に蓄えられる。これにより、音声圧縮伸長回路2から出力される音声データと信号処理回路4に入力される音声データの転送速度との差が吸収される。
【0016】
さらに、信号処理回路4から出力されたデータは、RFアンプ6で増幅された後、光ピックアップ7に与えられる。また、一方、信号処理回路4からのデータは、ヘッド駆動回路8にも与えられる。ヘッド駆動回路8は、そのデータに基づいて記録ヘッド9を光ディスクとしてのディスク10の記録位置まで駆動し、記録ヘッド9に磁界変調用の記録信号を与える。これにより、記録可能なMDであるディスク10には、記録位置にレーザー光が照射されると同時に信号処理されたデータに対応した磁界が印加される。
【0017】
また、記録時、光ピックアップ7は、送りモータ11によりディスク10のトラックに直交する方向へ駆動される。また、ディスク10は、スピンドルモータ12により回転駆動される。上記の送りモータ11およびスピンドルモータ12は、ドライブ回路13により電力が供給され回転駆動される。さらに、光ピックアップ7に備えられた対物レンズ駆動装置(図示せず)も同様に、ドライブ回路13により電力が供給されて駆動される。
【0018】
サーボ回路14は、信号読取手段としての光ピックアップ7から照射される光をディスク10の目標のトラックに追従させるなどのトラッキング動作が正確に行なわれるように、ドライブ回路13により駆動される上記の各装置をフィードバック制御する。
【0019】
再生時において、光ピックアップ7により、ディスク10に光が照射されるとともにディスク10からの反射光が取り込まれ、ディスク10に記録されたRF信号(変調された音声データ)が読み込まれる。光ピックアップ7から出力されたRF信号は、RFアンプ6で増幅された後、信号処理回路4にて記録時と逆の処理が施され、音声データに変換される。
【0020】
この音声データは、ショックプルーフメモリコントローラ3を経て一旦ショックプルーフメモリ5に蓄えられる。これにより、再生時にMD装置が受けた振動等の外乱により、再生が中断されることを防止できる。そして、音声データは、ショックプルーフメモリ5から出力されると、音声圧縮伸長回路2で前記のATRAC方式にしたがって元の大きさに伸長され、D/Aコンバータ15によりアナログ信号に変換されて音声出力となる。
【0021】
ところで、本MD装置において、上記の全ての処理は、マイクロコンピュータからなるシステムコントローラ16により集中管理されている。また、アドレスデコーダ17では、22.05kHzの正弦波信号に変調されてRF信号に重畳されているウォブル信号をRFアンプ6から得て、そのウォブル信号によりディスク10の全域に記録信号の有無に関わらず13.3ms毎に記録されているアドレス情報が読み出される。なお、制御信号としてのウォブル信号は、ディスク10に13.3msの周期で蛇行する案内溝(図示せず)としてあらかじめ形成されている。
【0022】
システムコントローラ16では、そのアドレス情報が絶対時間として管理されるとともに、ウォブル信号を用いてスピンドルサーボ速度誤差信号が生成される。このスピンドルサーボ速度誤差信号は、サーボ回路14に与えられ、スピンドルモータ12の回転制御に用いられる。また、システムコントローラ16は、10キー18からのユーザによる入力で記録再生動作等の制御を行なう。さらに、電源ON/OFF回路19は、信号処理回路4、RFアンプ6、光ピックアップ7、ドライブ回路13、サーボ回路14およびシステムコントローラ16への電源供給のON/OFFを行なう回路である。
【0023】
ここで、本MD装置において、ディスク回転制御装置となる主要部について説明する。
【0024】
図1に示すように、RFアンプ6内には、ウォブル信号を処理するために、バンドパスフィルタ(図中、BPF)21と、ウォブルコンパレータ22と、ローパスフィルタ(図中、LPF)23と、バイフェーズコンパレータ24とが設けられている。また、アドレスデコーダ17内には、分周器25と、位相比較器26と、ディジタルPLL(Phase Locked Loop) 27と、バイフェーズクロック生成回路28と、CRC(Cyclic Redundancy Code) 検出回路29と、アドレスラッチ30とが設けられている。さらに、サーボ回路14には、誤差検出回路31と、PWM出力回路32とが設けられている。
【0025】
バンドパスフィルタ21は、ウォブル信号からノイズ成分を除き、22.05±1kHzのFM信号成分のみ通過させる回路である。波形整形手段としてのウォブルコンパレータ22は、バンドパスフィルタ21の出力を所定レベルとを比較する回路であり、バンドパスフィルタ21の出力をパルス状に波形整形してウォブルクロックを出力する回路である。位相比較器26は、ウォブルクロックとディジタルPLL27の出力とを位相比較する回路である。ディジタルPLL27は、位相比較器26の出力を誤差信号として内蔵する図示しないVCO(電圧制御発振器)により発振周波数を制御してウォブル信号に同期するクロックを出力するようになっている。
【0026】
ローパスフィルタ23は、位相比較器26の比較出力を所定周波数成分より低い成分のみ通過させる回路である。バイフェーズコンパレータ24は、ローパスフィルタ23の出力と所定レベルとを比較する回路であり、ローパスフィルタ23の出力の波形整形を行なうようになっている。
【0027】
バイフェーズクロック生成回路28は、ディジタルPLL27から出力されるクロックに基づいて、バイフェーズコンパレータ24の出力をバイフェーズ復調してアドレス情報に変換する回路である。CRC検出回路29は、バイフェーズ復調後の出力に付加された誤り検出用の巡回符号(CRC)に基づいて、アドレス情報の誤りを検出する回路である。アドレスラッチ30は、アドレス情報をCRC検出回路29の検出出力と同期させるようにラッチするとともに、アドレス情報と上記の検出出力とを併せて出力する回路である。
【0028】
本実施例では、ウォブル信号が周波数変調される際のデータレートが(1/7)×FS (=44.1kHz)であり、ウォブル信号の平均周波数が(1/2)×FS であることに基づいて、スピンドルモータ回転制御のためのサンプリング周波数が(1/7)×(1/2)×(1/N)×FS に設定される。したがって、分周手段としての分周器25は、ウォブルコンパレータ22からのウォブルクロックを分周比7×N(Nは2以上の整数)で分周して上記周波数のサンプリング信号を前記のスピンドルモータサーボ速度誤差信号として出力するようになっている。なお、本実施例の場合、N=2として、分周比が14に設定されている。
【0029】
誤差検出手段としての誤差検出回路31は、分周器25からのサンプリング信号のエッジ検出を行ない、エッジ間隔をカウントすることにより速度誤差を検出する回路である。PWM出力回路32は、上記の速度誤差に応じたパルス幅のPWM信号を出力する回路である。このPWM信号は、スピンドルモータドライブ信号として、前記のドライブ回路13に与えられるようになっている。
【0030】
上記のように構成されるディスク回転制御装置において、図3の(a)に示すウォブル信号は、バンドパスフィルタ21によりノイズ成分のない22.05±1kHzの成分が抽出される。なお、上記のウォブル信号は、分かりやすくするため、同図の(a)において周波数差が拡大して描かれている。
【0031】
バンドパスフィルタ21の出力は、ウォブルコンパレータ22で波形整形されて同図の(b)に示すようなウォブルクロックとなる。このウォブルクロックは、位相比較器26でディジタルPLL27の出力クロックと位相比較される。位相比較器26の比較出力は、ローパスフィルタ23で帯域制限された後、バイフェーズコンパレータ24により波形整形されて、同図の(c)に示すバイフェーズデータとなり、バイフェーズクロック生成回路28に入力される。
【0032】
バイフェーズクロック生成回路28では、上記のバイフェーズデータが、ディジタルPLL27の出力クロックに基づいてバイフェーズ復調されて、バイフェーズクロックに変換される。このバイフェーズクロックは、アドレス情報となるものであり、CRC検出回路29で巡回符号により誤り検出が行なわれる。そして、上記のアドレス情報は、アドレスラッチ30でラッチされ、CRC検出回路29の誤り検出結果と併せて前記のシステムコントローラ16に送出される。
【0033】
また、ウォブルコンパレータ22から出力されたウォブルクロックは、分周器25にも入力されており、ここで1/14に分周されて同図の(d)に示すようなサンプリング信号となり、誤差検出回路31に出力される。さらに、誤差検出回路31にて、上記のサンプリング信号に基づいて同図の(e)に示す速度誤差が検出されると、その検出結果に基づいてPWM出力回路32でPWM信号が発生する。そして、このPWM信号がドライブ回路13に与えられることにより、スピンドルモータ12は、速度誤差がなくなるように回転制御される。
【0034】
このように、本実施例のMD装置では、回転制御のためのサンプリング周波数が、〔1/(14×N)〕×FS としてNを2とすることにより1.575kHzとなる。これにより、速度誤差は、変調成分による最大値が相殺されて±Δf/2となり、従来に比べて半減する。また、N=2とした場合、サーボ帯域についても十分な良好な結果が得られた。
【0035】
図4にその結果を示すが、この図から、N=2、3、4、5…となるとき、変調成分の+成分と−成分とが相殺されて最大検出誤差が低下する。また、ディスク10が理想的に回転制御されているとすると、Nが大きくなるにつれて最大検出誤差が限りなく“0”に近づく。
【0036】
ちなみに、前述の従来の回転制御方法は、分周器25の分周比を3としたものに相当する。このような構成では、速度誤差の最大値が図4においてNが1以下となる点の値であるため、変調成分による影響が大きくなる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の光ディスク装置のディスク回転制御装置は、以上のように、ディジタルデータのサンプリング周波数の1/7倍のデータレートで周波数変調されて平均周波数が上記サンプリング周波数の1/2倍となる制御信号があらかじめ物理的に形成された光ディスクから、その制御信号を読み取る信号読取手段と、この信号読取手段により読み取られた制御信号をパルス状に波形整形する波形整形手段と、この波形整形手段の出力パルスの周波数が上記サンプリング周波数の1/(7×2×N)倍(Nは2以上の整数)となるように上記出力パルスを分周する分周手段と、この分周手段の出力パルスに基づいて光ディスクの回転制御に用いる回転速度誤差を検出する誤差検出手段とを備えている構成である。
【0038】
これにより、分周手段の分周比を上記のように設定することで、Nが2以上となる各場合において制御信号の変調成分の影響を低減することができる。それゆえ、簡素で安価な構成により光ディスク回転制御の安定性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るMD装置におけるディスク回転制御装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】上記MD装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1のディスク回転制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図4】回転速度誤差のサンプリング周波数依存性を示す波形図である。
【図5】従来の光ディスク装置におけるディスク回転制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
7 光ピックアップ(信号読取手段)
10 ディスク(光ディスク)
22 ウォブルコンパレータ(波形整形手段)
25 分周器(分周手段)
31 誤差検出回路(誤差検出手段)
Claims (1)
- ディジタルデータのサンプリング周波数の1/7倍のデータレートで周波数変調されて平均周波数が上記サンプリング周波数の1/2倍となる制御信号があらかじめ物理的に形成された光ディスクから、その制御信号を読み取る信号読取手段と、
信号読取手段により読み取られた制御信号をパルス状に波形整形する波形整形手段と、
波形整形手段の出力パルスの周波数が上記サンプリング周波数の1/(7×2×N)倍(Nは2以上の整数)となるように上記出力パルスを分周する分周手段と、
分周手段の出力パルスに基づいて光ディスクの回転制御に用いる回転速度誤差を検出する誤差検出手段とを備えていることを特徴とする光ディスク装置のディスク回転制御装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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