JP3565330B2 - ロングスライドレールにおける車体取付ブラケットの構造 - Google Patents

ロングスライドレールにおける車体取付ブラケットの構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用シートの前後位置調節用スライドレール、詳しくは、車体の車床にロングスライドレールのロアレールを締結するための車体取付ブラケットの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスライドレールは、そのロアレールが車体取付ブラケットで車体の車床側に締結されている。
そして、このロアレールは上面側にアッパーレールがスライドするためのスリットが長手方向に開孔され、また、アッパーレールから入力される剥離荷重に対応するために、車体取付ブラケットの一部をロアレールの端部上面に溶接して、ロアレールの変形を防止しているものがある(例えば、実開昭63ー89333号公報)。
【0003】
一方、従来のロングスライドレールには、車床側に固定されるロアレールと、このロアレール内をスライド自在に移動しシートを固定するアッパーレールとからなり、前記ロアレールはシートの着座可能領域と、その前方にシートをスライドさせて前記着座可能領域を荷台とする折畳み領域を備えると共に前記着座可能領域内におけるロアレールの最後部に、車体の傾斜状の取付面に締結する車体取付ブラケットを有し、前記アッパーレールに固定されるシートにはシートベルトのアンカーを備えたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、前記ロングスライドレールに、前記ロアレールの変形を防止するための車体取付ブラケットを溶接して、この車体取付ブラケットを介してロングスライドレールを車床に締結すると、ロアレールの変形を防止することができるが、車体取付ブラケットが、シートベルトからアッパーレールに入力される荷重によって変形する虞れがある。
【0005】
そこで、本発明は斯様なロングスライドレールの車体取付ブラケットの変形等を防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明に係るロングスライドレールの車体取付ブラケットは、前部側がロアレールの最後部の上面から左右側面に渉って抱持し後部側がロアレールの最後部より後方に延出するアッパーブラケットと、前部側がロアレールの最後部の底面から左右側面に渉って抱持すると共に止軸によって前記アッパーブラケットを一体に連結してロアレールの最後部より後方に延出する部分が前記アッパーブラケットの後方延出部と共に四角形閉断面状を呈し前記車床の取付面に締結されるロアブラケットとからなるものである。
【0007】
従って、車体取付個所が閉断面形状で、しかも止軸によってアッパーブラケットとロアブラケットが一体に連結され、また、アッパーブラケットとロアブラケットとでロアレールを抱持されパッチがアッパーブラケットに溶接されているため、車体取付ブラケットの横断面及び縦断面の両断面係数が増大し、その変形を防止できる。
【0008】
また、前記パッチはロアレールの長さ方向に向けてアッパーブラケットに溶接してなることにより、パッチの溶接強度が向上し、パッチがシートベルトからの入力荷重によってアッパーブラケットから剥離することがない。
【0009】
更に、前記アッパーブラケットを高張力鋼板で、パッチをそれに対して張力が弱い鋼板で形成してなることにより、パッチの溶接時における亀裂等を防止できる。
【0010】
加えて、前記アッパーレールに、シートベルトのアンカーを有するシートを装着してなることにより、シートベルトから入力される衝撃荷重によってロアレールと共に車体取付ブラケットが変形することがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るロングスライドレールにおける車体取付ブラケット(1)の取付状態を示し、ロングスライドレールを構成するロアレール(5)は図3に示すように上面にスリットを有する断面角形の長尺体で、車体の車床(70)に設けた左右一対の凹溝(7)内に各々前記車体取付ブラケット(1)と三ケの取付脚(2)(3)(4)によって締結されている。
【0012】
シートバック(SB)、シートクッション(SC)とからなるシートは、レッグ(L)を介してロアレール(5)内をスライドするアッパーレール(6)に固定され、このレッグ(L)又はシートクッション(SC)のフレームに乗員の身体を拘束するシートベルトのアンカーが取付けられている。図中(60)…はアッパーレール(6)に取付けられロアレール(5)内を転動するローラを示す。
【0013】
そして、前記車体取付ブラケット(1)は傾斜状の取付面(71)に締結されている。
【0014】
シートクッション(SC)は、ロアレール(5)の図1実線に示す位置において着座可能領域で、図1鎖線に示すように、ロアレール(5)の最前位置まで前進させてシートバック(SB)を前倒して折り畳むことができるようになっている。
【0015】
このロアレール(5)におけるシートクッション(SC)が鎖線で示す領域を折り畳み領域とし、この領域内にシートクッション(SC)を前進させると、着座可能領域にはシートが存在しないため、荷台として利用可能となる。
【0016】
なお、図1において、図中(SB′)はフロントシートバック、(SC′)はフロントシートクッションを各々示す。
【0017】
図2はロングスライドレールを示し、図中(51)(51)はロアレール(5)のスリットを閉口するゴムプレート、(52)はロアレール(5)の一側面に沿って溶接して樹脂プレートを取付ける取付片、(62)はアッパーレール側に設けてロアレール(5)の係止孔に係合するロック片、(63(63)はアッパーレールに一体で前記シートクッション(SC)のレッグ(L)を取付ける台座を各々示す。
【0018】
また、車体取付ブラケット(1)は、ロアレール(5)の最後部に溶接され、アッパーブラケット(10)、ロングブラケット(11)、パッチ(13)から構成されている。
【0019】
以上のアッパーレール(6)は図3に示すようにロアレール(5)にスライド自在に挿入されている。
【0020】
図4は前記車体取付用の車体取付ブラケット(1)、取付脚(2)(3)(4)を一体に有するロアレール(5)を示す。
【0021】
車体取付ブラケット(1)は、図5に示すようにロアレール(5)に溶接され、図6に示すような形状にアッパーブラケット(10)、ロアブラケット(11)、パッチ(13)が形成されている。
【0022】
また、車体取付ブラケット(1)は、図7乃至図10に示すように車体の取付面(71)に二ケのボルトによって締結されている。
【0023】
即ち、アッパーブラケット(10)は、前部側(10A)(10D)(10D)がロアレール(5)の最後部(50)の上面から左右側面に渉って抱持するような形状に成形し、また、後部側(10B)はロアレール(5)の最後部(50)より後方に延出するように形成されている。
【0024】
また、ロアブラケット(11)は、前部側(11A)(11D)がロアレール(5)の最後部(50)の底面から左右側面に渉って抱持するような形状に形成すると共に止軸(12)によって前記アッパーブラケット(10)を一体に連結してロアレール(5)の最後部(50)より後方に延出する部分が前記アッパーブラケット(10)の後方延出部(10B)と共に図10に示すように四角形閉断面状を呈し前記車床の取付面(7)に締結されるように形成されている。
【0025】
そして、パッチ(13)は前記アッパーブラケット(10)を抱持するような形状に形成され、図5に示すように、ロアレール(5)の長さ方向の端末がアッパーブラケット(10)に溶接(a)…されている。
【0026】
図中(11B)は傾斜状に成形して取付面(71)に締結されるロアブラケットの後部、(11c)(11c)は取付面(71)にボルトで締結するための通孔、(13A)…はパッチ(13)における溶接(a)される端末、(13B)は樹脂プレート取付片を各々示す。
【0027】
また、アッパーブラケット(10)とロアブラケット(11)の前部側で、ロアレール(5)の側面に位置する垂直部(10A)、(11A)は、図5に示すように、その前、後でロアレール(5)に各々溶接(a)…することにより、溶接個所を分散して、亀裂の発生を防止している。
【0028】
なお、アッパーブラケット(10)とロアブラケット(11)の前部側における両者の重なり合う個所近傍は、図8に示すように、まず、ロアブラケット(11)側を溶接した後、アッパーブラケット(10)側を溶接して両ブラケット(10)(11)間を埋めるように溶接(a)するのが好ましい。斯様に溶接することにより、シートの使用による溶接個所の溶接切れを防止できる。
【0029】
また、止軸(12)はアッパーレール(6)のストッパに利用し、図10に示すように、アッパーブラケット(10)、ロアブラケツト(11)により形成された、四角形閉断面状の部分内に挿通され、両ブラケット(10)(11)に一体に溶接される。
【0030】
以上のアッパーブラケット(10)は、高張力鋼板で成形され、パッチ(13)はそれに対して張力が弱い通常のスライドレール等において使用されている鋼板で形成されている。
【0031】
従って、パッチ(13)をアッパーブラケット(10)に溶接すると、パッチ(13)はアッパーブラケット(10)に対して曲げ、伸びに対して有効であるため、パッチ(13)及びこのパッチ(13)に溶接されたアッパーブラケット(10)に上向きで前方の剥離荷重がシートベルトから入力されてもパッチ(13)とアッパーブラケット(10)は破断することがない。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、車体取付ブラケットにおけるロアレールの長手方向及び同短手方向の断面係数が向上するため、アッパーレール側から入力されるシートベルトの荷重によって、車体取付ブラケットが変形したり、或いは溶接個所に亀裂が発生したりすることが全くない。
【0033】
また、車体取付ブラケットによってロアレール自体も補強され、その変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るロングスライドレールの車体取付ブラケットの取付状態を示す説明図である。
【図2】図1に示すロングスライドレールの斜視図である。
【図3】図2のAーA線断面図である。
【図4】ロアレールの斜視図である。
【図5】本発明の要部を示す斜視図である。
【図6】要部の分解斜視図である。
【図7】要部の取付状態を示す側面図である。
【図8】図7のBーB線断面図である。
【図9】図7のCーC線断面図である。
【図10】図7のDーD線断面図である。
【符号の説明】
1 車体取付ブラケット
5 ロアレール
6 アッパーレール
10 アッパーブラケット
11 ロアブラケット
13 パッチ

Claims (4)

  1. 車床側に固定されるロアレールとこのロアレール内をスライド自在に移動しシートを固定するアッパーレールとからなり、前記ロアレールはシートの着座可能領域とその前方にシートをスライドさせて前記着座可能領域を荷台とする折畳み領域を備えると共に前記着座可能領域内におけるロアレールの最後部に車体の傾斜状の取付面に締結する車体取付ブラケットを有するロングスライドレールにおいて、前記車体取付ブラケットは、
    前部側がロアレールの最後部の上面から左右側面に渉って抱持し後部側がロアレールの最後部より後方に延出するアッパーブラケットと、
    前部側がロアレールの最後部の底面から左右側面に渉って抱持すると共に止軸によって前記アッパーブラケットを一体に連結してロアレールの最後部より後方に延出する部分が前記アッパーブラケットの後方延出部と共に四角形閉断面状を呈し前記車床の取付面に締結されるロアブラケットと、
    前記アッパーブラケットを抱持状に溶接するパッチとからなる
    ロングスライドレールにおける車体取付ブラケットの構造。
  2. 前記パッチはロアレールの長さ方向に向けてアッパーブラケットに溶接してなる請求項1記載のロングスライドレールにおける車体取付ブラケットの構造。
  3. 前記アッパーブラケットを高張力鋼板で、パッチをそれに対して張力が弱い鋼板で形成してなる請求項1記載のロングスライドレールにおける車体取付ブラケットの構造。
  4. 前記アッパーレールに、シートベルトのアンカーを有するシートを装着してなるロングスライドレールにおける請求項1記載の車体取付ブラケットの構造。
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