JP4103662B2 - シートベルトアンカ取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等車両のシートベルトアンカ取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
エアバックを装着した(特に助手席に)車両などにおいて、シート上の荷重によってエアバックの展開を制御することを目的としてシート上の重量を検出する着座センサを備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この着座センサは、シート(クッション)とフロア(パネル)の間に配設されているものが一般的である。また、シートベルトのアンカを車両側に取り付ける構造として、従来からフロアパネルに取り付ける構造が一般的である。このような車両にチャイルドシートを取り付ける場合、チャイルドシートの取付には一般的にシートベルトをリトラクタから全て引き出し、シートベルトに常にテンションがかかるように、別体のフックなどで留めている。
【0004】
このような場合、シートベルトに常時テンションが加わるため、シートベルトのアンカとバックルとにより下方向の荷重が発生して、実際のシート上の重量よりも重く検出するおそれがある。
【0005】
これを改善するために、シートアジャスタのアッパレールにシートベルトのアンカを取り付け、アンカとバックルとの間のシートベルトにより加わる下方向の力がシートクッション及び着座センサに加わらないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、このようにシートベルトのアンカをシートアジャスタのアッパレール等着座センサ上方の部材に固定した場合には、衝突時又は衝突時相当の荷重が入った際の支持強度(剛性)の面で不利である(荷重をフロア側に逃がすことができない)ため、着座センサ等の部材板厚を増大する必要がある等でコストアップを招来するという問題点があった。また、シートアジャスタのアッパレールにシートベルトのアンカを取り付けた場合には、シートアジャスタを前方に移動させて、シートバックを前方に倒して後席などに対し乗降する場合、シートベルトのアンカがシートアジャスタとともに前方に移動するため、シートベルトが乗降口を遮り乗降の妨げとなるという不具合があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、荷重検出手段の誤検出を防止する一方で簡単な補強手段により衝突時又は衝突時相当の荷重が入った際の支持強度も確保できるシートベルトアンカ取付構造を提供することにある。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−108748号公報
【特許文献2】
特開2000−302004号公報(第6頁,図4)
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明は、シートクッションの支持部材とフロアとの間に配設され前記支持部材に加わった下方向の荷重を検出する荷重検出手段を備え、前記シートクッション上の乗員を拘束するシートベルトのアンカプレートを前記支持部材側に固定すると共に、前記支持部材側とフロア側とを前記荷重検出手段の可動範囲内の弛みを持たせた索条で連結したので、通常時はシートベルトの張力が荷重検出手段に作用しないと共に衝突時又は衝突時相当の荷重が入った際には索条が荷重をフロア側に分散させることができる。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、前記索条の支持部材側の連結部位はアンカプレートであるので、荷重入力部を効果的に補強できる。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、前記索条のフロア側の連結部位はシートクッション後部のフットブラケットであるので、シートアジャスタ等に予めアッセンブリ可能となる。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、前記支持部材は、シートクッションが取り付けられているアッパレールがロアレールに対して相対的に移動することでシート位置を調節するシートアジャスタで、前記アンカプレートは、このシートアジャスタのロアレールに固定されるので、シートアジャスタを前方に移動させて、シートバックを前方に倒して後席などに対し乗降する場合、シートベルトのアンカプレートがシートアジャスタ(アッパレール)とともに前方に移動することはなく、シートベルトが乗降口を遮り乗降の妨げとなることはない。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、前記索条は、前記シートベルトの張力が作用する方向とほぼ平行な方向に沿って張設されるので、効果的に支持強度を上げられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシートベルトアンカ取付構造を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
[第1実施例]
図1は本発明の第1実施例を示すシートアジャスタ部の側面図、図2は図1のA−A線断面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、シートクッション1を支持するシートアジャスタ2(支持部材)はアッパレール3と該アッパレール3を車両前後方向にスライド自在に案内するリップ溝付きチャンネル型のロアレール4とを有すると共に、ロアレール4の下面部に同ロアレール4に加わった下方向の荷重によりシート上の重量を検出する荷重センサ(荷重検出手段)5が組み付けられ、該荷重センサ5の下センサハウジング5aの前,後両端部においてフットブラケット6を介して車体のフロアパネル7にマウントされている。
【0017】
そして、前記シートクッション1上の乗員を拘束するシートベルト8のアンカプレート9(アンカ)は、前記ロアレール4の後端部に固設されている。詳細には、図2に示すように、前記アンカプレート9の水平固定板部9aは前記ロアレール4の下面部と前記荷重センサ5の上面部、厳密には上センサハウジング5bの上面部に溶接等された取付ブラケット10との間に重合されるようにして、前記ロアレール4の下面部には溶接等により接合される一方、前記取付ブラケット10にはボルト11で締着される。
【0018】
また、前記アンカプレート9は、前記水平固定板部9aより車幅方向に水平に突出した横方向延出部9bと更に先端が上方に屈曲した縦方向延出部9cとを有した断面L字型に形成され、前記縦方向延出部9cにアンカ部9dが別体に形成されてボルト12で締着されている。
【0019】
そして、前記アンカプレート9の横方向延出部9bとフロアパネル7とが、前記荷重センサ5の少なくとも上下方向の可動範囲内の弛み(約20mm)を持たせたチェーン13(索条)で連結されている。尚、図示例では乗員が着座状態でチェーン13が若干弛んだ状態を示している。
【0020】
また、前記チェーン13は、前記シートベルト8の張力Tが作用する方向とほぼ平行な方向に沿って張設されている。
【0021】
このようにして本実施例では、乗員を拘束するシートベルト8のアンカプレート9を前記ロアレール4に固定したことにより、シートベルト使用時に、荷重センサ5に不要な荷重がかからないため、誤検出を防止できる。さらに、ロアレール4はシートとともに移動しないため、シートベルト8のアンカプレート9がシートアジャスタ2(厳密にはアッパレール3側)とともに前方に移動することも無く、シートベルト8が乗降口(ツードア車の後席等に対する)を遮るようなこともなく乗降が良好に行える。
【0022】
また、前記アンカプレート9とフロアパネル7とが、前記荷重センサ5の少なくとも上下方向の可動範囲内の弛みを持たせたチェーン13で連結されているため、通常時はチェーン13に張力がかからない状態にあり重量検知には悪影響を及ぼさないが、車両衝突時等の大荷重発生時にはチェーン13がピーンと張った状態となり、チェーン13が荷重をフロアパネル7へ分散させることになる。
【0023】
これにより、アンカプレート9の支持強度(剛性)が高まり、荷重センサ5やフットブラケット6等の部材板厚を薄くできるので、コストダウンが図れる。また、チェーン13は可撓性(屈曲性)を有しているため、部材間の寸法設定が容易であると共に、センサ耐性を要求している低速衝突後に部品の干渉が発生しにくく、センサ性能を確保しやすい。また、荷重をフロアパネル7へ分散させるので、シート取付点強度にも有利である。また、前記チェーン13は前記シートベルト8の張力Tが作用する方向とほぼ平行な方向に沿って張設されるので、効果的に支持強度を上げられる。尚、前記チェーン13のフロアパネル7側の連結点は、アンカプレート9の連結点直下より車両後方であれば好適である。
【0024】
[第2実施例]
図3は本発明の第2実施例を示すシートアジャスタ部の側面図である。
【0025】
これは、第1実施例におけるチェーン13のフロアパネル7側の連結部位をロアレール4後部側のフットブラケット6に変更した例である。これによれば、シートアジャスタ2等に予めアッセンブリ可能となり、車両組立の能率向上が図れる。
【0026】
尚、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、アンカプレート9の形状変更等各種変更が可能であることは言うまでもない。また、チェーン13に代えてワイヤ等可撓性のある索条でも良い。また、チェーン13はアンカプレート9に代えてロアレール4に連結されても良い。また、チェーン13はシートベルト8のバックル側に設けても良い。また、本発明はアンカプレート9がアッパレール3に固設された車両にも適用できる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、シートクッションの支持部材とフロアとの間に配設され前記支持部材に加わった下方向の荷重を検出する荷重検出手段を備え、前記シートクッション上の乗員を拘束するシートベルトのアンカプレートを前記支持部材側に固定すると共に、前記支持部材側とフロア側とを前記荷重検出手段の可動範囲内の弛みを持たせた索条で連結したので、通常時はシートベルトの張力が荷重検出手段に作用しないと共に衝突時又は衝突時相当の荷重が入った際には索条が荷重をフロア側に分散させることができ、荷重検出手段の誤検出を防止する一方で簡単な補強手段により衝突時又は衝突時相当の荷重が入った際の支持強度も確保できる。この結果、アンカプレートの支持強度(剛性)が高まり、荷重検出手段やフットブラケット等の部材板厚を薄くできるので、コストダウンが図れる。
【0028】
また、請求項2の発明によれば、前記索条の支持部材側の連結部位はアンカプレートであるので、荷重入力部を効果的に補強できる。
【0029】
また、請求項3の発明によれば、前記索条のフロア側の連結部位はシートクッション後部のフットブラケットであるので、シートアジャスタ等に予めアッセンブリ可能となる。
【0030】
また、請求項4の発明によれば、前記支持部材は、シートクッションが取り付けられているアッパレールがロアレールに対して相対的に移動することでシート位置を調節するシートアジャスタで、前記アンカプレートは、このシートアジャスタのロアレールに固定されるので、シートアジャスタを前方に移動させて、シートバックを前方に倒して後席などに対し乗降する場合、シートベルトのアンカプレートがシートアジャスタ(アッパレール)とともに前方に移動することはなく、シートベルトが乗降口を遮り乗降の妨げとなることはない。
【0031】
また、請求項5の発明によれば、前記索条は、前記シートベルトの張力が作用する方向とほぼ平行な方向に沿って張設されるので、効果的に支持強度を上げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すシートアジャスタ部の側面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の第2実施例を示すシートアジャスタ部の側面図である。
【符号の説明】
1 シートクッション
2 シートアジャスタ
3 アッパレール
4 ロアレール
5 荷重センサ
6 フットブラケット
7 フロアパネル
8 シートベルト
9 アンカプレート
10 取付ブラケット
11 ボルト
12 ボルト
Claims (5)
- シートクッションの支持部材とフロアとの間に配設され前記支持部材に加わった下方向の荷重を検出する荷重検出手段を備え、前記シートクッション上の乗員を拘束するシートベルトのアンカプレートを前記支持部材側に固定すると共に、前記支持部材側とフロア側とを前記荷重検出手段の可動範囲内の弛みを持たせた索条で連結したことを特徴とするシートベルトアンカ取付構造。
- 前記索条の支持部材側の連結部位はアンカプレートであることを特徴とする請求項1記載のシートベルトアンカ取付構造。
- 前記索条のフロア側の連結部位はシートクッション後部のフットブラケットであることを特徴とする請求項1又は2記載のシートベルトアンカ取付構造。
- 前記支持部材は、シートクッションが取り付けられているアッパレールがロアレールに対して相対的に移動することでシート位置を調節するシートアジャスタで、前記アンカプレートは、このシートアジャスタのロアレールに固定されることを特徴とする請求項1,2又は3記載のシートベルトアンカ取付構造。
- 前記索条は、前記シートベルトの張力が作用する方向とほぼ平行な方向に沿って張設されることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のシートベルトアンカ取付構造。
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