JP3564268B2 - ディーゼルエンジンの遠心式ガバナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディーゼルエンジンの遠心式ガバナに関し、特にフォークレバーの基端入力部に設けた転動ローラの偏摩耗等を解消する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の遠心式ガバナとしては、従来より例えば図2に示すものが知られている。この遠心式ガバナ1は、ガバナ室2内に燃料噴射ポンプ30とガバナレバー7とガバナ軸3とカム軸34とを収容し、ガバナ軸3の一端部に筒軸部材8を固定し、この筒軸部材8に嵌着したボール軸受11をガバナ室2の一側壁2aで回転自在に枢支するとともに、ガバナ軸3の他端部に嵌着したボール軸受12をガバナ室2の他側壁2bで枢支し、上記ガバナ軸3にガバナスリーブ6を摺動自在に外嵌し、上記筒軸部材8の一端部に伝動歯車9を固定し、上記筒軸部材8の他端面にウエイトホルダ13を固定し、上記ウエイトホルダ13に設けたガバナウエイト5のガバナ力Gをガバナスリーブ6の一側端面6aに作用させ、当該ガバナスリーブ6を介してガバナレバー7を燃料減量側Lへ揺動するように構成されている。
【0003】
上記ガバナレバー7は、それぞれ板金部材で形成された第1レバー7aと第2レバー7bとから構成され、このガバナレバー7はガバナ室2の側壁に支軸Pを介して揺動自在に支持されている。上記第1レバー7aの先端出力部は燃料噴射ポンプ30のコントロールラック31に連動連結され、第2レバー7bは図示しない調速レバーを介してガバナスプリング33により燃料増量側Rに付勢される。また、上記ガバナレバー7の基端入力部は第1レバー7aと一体に形成され、ガバナ軸3を跨ぐ状態で左右一対の脚部7c・7cとローラ軸支部7d・7dとが一体に形成され、このローラ軸支部7d・7dにそれぞれ転動ローラ14・14を設け、上記転動ローラ14・14をガバナスプリング33の張力でガバナスリーブ6の他端面6bに押圧接当するように構成されている。なお、図2中の符号10はギヤケースを、32はトルクアップ装置を、34はカム軸を、35はカムギヤを示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記ガバナレバー7は、コスト低減を図る見地より板金部材で形成されていることから、鋳物で形成したものよりも歪による変形が生じ易く、左右一対の転動ローラ14の平行度や組付精度が劣る。このためガバナスリーブ6の他端面6bに押圧接当する転動ローラ14の偏当りや偏摩耗が生じ、ひいては転動ローラ14の円滑な転動が阻害されガバナ制御の外乱要素となる。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、フォークレバーのコスト低減を図りつつ、上記転動ローラの偏摩耗等によるガバナ制御の外乱要素を解消することを技術課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のように構成される。
即ち、請求項1に記載した発明は、ガバナウエイト5をガバナ軸3に摺動自在に外嵌したガバナスリーブ6の一側端面6aに接当させて、当該ガバナスリーブ6を介してガバナレバー7を燃料減量側Lへ揺動するように構成し、上記ガバナレバー7の先端出力部を、燃料噴射ポンプ30のラックピン31に連動連結するとともに、調速レバーを介してガバナスプリング33により燃料増量側Rに付勢し、上記ガバナレバー7の基端入力部にガバナ軸3を跨ぐ状態で左右一対の脚部7c・7cとローラ軸支部7d・7dとを一体に形成し、このローラ軸支部7d・7dにそれぞれ転動ローラ14・14を設け、上記転動ローラ14・14をガバナスプリング33の張力でガバナスリーブ6の他端面6bに押圧接当するように構成したディーゼルエンジンの遠心式ガバナにおいて、
上記ガバナレバー7を弾性変形可能な板金部材で形成するとともに、その板金部材の左右両端部をガバナ軸心Zと平行をなすように立ち起こして脚部7cとローラ軸支部7dとを一体に形成し、上記各ローラ軸支部7dでそれぞれ個々のローラ軸7eを支え、各ローラ軸7eの左右両端で、各ローラ軸支部7dの左右両側に転動ローラ14・14を設け、上記各ローラ軸支部7dの脚部7c寄りに、ガバナスリーブ6との接当圧により弾性変形するスリット孔15を形成し、このスリット孔15をローラ軸7eを中心とする円弧状に形成し、各ローラ軸支部7dの左右両側に転動ローラ14・14を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載したディーゼルエンジンの遠心式ガバナにおいて、上記スリット孔15の中央部が閉じることによりローラ軸支部7dの弾性変形を規制するように構成したことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の作用・効果】
請求項1に記載した発明では、ガバナレバー7をコストの低い板金部材で形成するとともに、その板金部材の左右両端部をガバナ軸心Zと平行をなすように立ち起こして脚部7cとローラ軸支部7dとを一体に形成し、上記各ローラ軸支部7dの脚部寄りに、ガバナスリーブ6との接当圧により弾性変形するスリット孔15を形成したことから、ローラ軸支部7dの剛性が低下して、弾性変形し易くなる。そして転動ローラ14・14がガバナスリーブ6の他端面6bに弾圧接当することにより、ローラ軸支部7d及びスリット孔15が弾性変形し、各ローラ軸支部7dの左右両側に設けた転動ローラ14・14はガバナスリーブ6の他端面6bに均等に接当する。これによりフォークレバーのコスト低減を図りつつ、転動ローラの偏摩耗等によるガバナ制御の外乱要素を解消することができる。
【0008】
また、請求項2に記載した発明では、請求項1に記載したディーゼルエンジンの遠心式ガバナにおいて、スリット孔15の中央部が閉じることによりローラ軸支部7dの弾性変形を規制するように構成したことから、フォークレバー7がガバナスリーブ6を介して強いガバナ力Gを受けるとスリット孔15の中央部が閉じてローラ軸支部7d及びスリット孔15がそれ以上弾性変形することはない。これによりスリット孔をあけたローラ軸支部の耐久性は確保される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る遠心式ガバナを示し、図1(A)は遠心式ガバナの要部縦断面図、図1(B)はその要部の拡大図、図1(C)は図1(B)の右正面図である。ここで図1中の符号1は遠心式ガバナ全体を示し、この遠心式ガバナ1は、図2の従来例と同様の基本構成を備える。
【0010】
この遠心式ガバナ1は、図1(A)に示すように、ガバナ室2内に燃料噴射ポンプとガバナレバー7とガバナ軸3等を収容し、ガバナ軸3の前部に筒軸部材8を固定し、この筒軸部材8に設けたボール軸受11をガバナ室2の前部側壁2aで、ガバナ軸3の後方のボール軸受12をガバナ室2の後部側壁2bで、それぞれ回転自在に枢支し、上記ガバナ軸3のガバナ室2内に位置する部位にガバナスリーブ6を摺動自在に外嵌し、上記筒軸部材8の前部に伝動歯車9を固定し、上記筒軸部材8の後側端面にウエイトホルダ13を固定し、上記ウエイトホルダ13に設けたガバナウエイト5のガバナ力Gをガバナスリーブ6の一端面6aに作用させてガバナレバー7を燃料減量側へ揺動するように構成されている。
【0011】
上記ガバナレバー7は、それぞれ板金部材で形成された第1レバー7aと第2レバー7bとから構成され、このガバナレバー7はガバナ室2の側壁に支軸Pを介して揺動自在に支持されている。上記第1レバー7aの先端出力部は図外の燃料噴射ポンプのコントロールラックに連動連結され、第2レバーは図示しない調速レバーを介してガバナスプリングにより燃料増量側に付勢される。
【0012】
また、上記ガバナレバー7の基端入力部は、図1(B)(C)に示すように、第1レバー7aと一体に形成され、ガバナ軸3を跨ぐ状態で左右一対の脚部7c・7cとローラ軸支部7d・7dとが一体に形成され、このローラ軸支部7d・7dにそれぞれ転動ローラ14・14を設け、上記転動ローラ14・14をガバナスプリングの張力でガバナスリーブ6の他端面6bに押圧接当するように構成されている。なお、図1(A)中の符号10はギヤケースを示す。
【0013】
以下、本発明の特徴構成について説明する。
上記ガバナレバー7は、前記の通り弾性変形可能な板金部材で形成され、図1(A)〜(C)に示すように、その板金部材の左右両端部をガバナ軸心Zと平行をなすように立ち起こして脚部7cとローラ軸支部7dとを一体に形成してある。上記各ローラ軸支部7dでそれぞれ個々のローラ軸7eを支え、各ローラ軸7eの左右両端で、各ローラ軸支部7dの左右両側に転動ローラ14・14を設けている。また、上記各ローラ軸支部7dの脚部7c寄りには、ガバナスリーブ6との接当圧により弾性変形する円弧状のスリット孔15を形成し、このスリット孔15をローラ軸7eを中心とする円弧状に形成している。そして各ローラ軸支部7dを挟んでその左右両側には一対の転動ローラ14・14が設けられている。
【0014】
上記スリット孔15を設けることにより、ローラ軸支部7dの剛性が低下して弾性変形し易くなる。これは転動ローラ14・14がガバナスリーブ6の他端面6bに弾圧接当することにより、ローラ軸支部7d及びスリット孔15が弾性変形することを意図したもので、各ローラ軸支部7dを挟んでその左右両側に設けた転動ローラ14・14は、この弾性変形によりガバナスリーブ6の他端面6bに均等に接当する。これによりフォークレバーのコスト低減を図りつつ、転動ローラの偏摩耗等によるガバナ制御の外乱要素を解消することができる。
【0015】
また、上記スリット孔15は、その中央部が閉じることによりローラ軸支部7dの弾性変形を規制するように構成されている。これはフォークレバー7がガバナスリーブ6を介して強いガバナ力Gを受けたときにスリット孔15の中央部が閉じてローラ軸支部7d及びスリット孔15がそれ以上弾性変形しないように意図したものである。これによりスリット孔15をあけたローラ軸支部7dの耐久性は確保される。
【0016】
なお、上記実施形態では、スリット孔15が円弧状のものとして説明したが、その形状や位置についても適宜変更を加えて実施することができる。また、上記実施形態では、ガハナレバーが2本式のものについて例示したが、これには限らない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る遠心式ガバナを示し、図1(A)はその遠心式ガバナの要部縦断面図、図1(B)はその要部の拡大図、図1(C)は図1(B)の右正面図である。
【図2】従来例に係る遠心式ガバナの縦断面図である。
【符号の説明】
1…遠心式ガバナ、3…ガバナ軸、5…ガバナウエイト、6…ガバナスリーブ、6a…ガバナスリーブの一端面、6b…ガバナスリーブの他端面、7…ガバナレバー、7c…ガバナレバーの脚部、7d…ガバナレバーのローラ軸支部、14…転動ローラ、15…スリット孔、30…燃料噴射ポンプ、31…ラックピン、33…ガバナスプリング、G…ガバナ力、L…燃料減量側、R…燃料増量側、Z…ガバナ軸心。

Claims (2)

  1. ガバナウエイト(5)を上記ガバナ軸(3)に摺動自在に外嵌したガバナスリーブ(6)の一側端面(6a)に接当させて、当該ガバナスリーブ(6)を介してガバナレバー(7)を燃料減量側(L)へ揺動するように構成し、
    上記ガバナレバー(7)の先端出力部を、燃料噴射ポンプ(30)のラックピン(31)に連動連結するとともに、調速レバーを介してガバナスプリング(33)により燃料増量側(R)に付勢し、
    上記ガバナレバー(7)の基端入力部にガバナ軸(3)を跨ぐ状態で左右一対の脚部(7c)(7c)とローラ軸支部(7d)(7d)とを一体に形成し、
    このローラ軸支部(7d)(7d)にそれぞれ転動ローラ(14)(14)を設け、上記転動ローラ(14)(14)をガバナスプリング(33)の張力でガバナスリーブ(6)の他端面(6b)に押圧接当するように構成したディーゼルエンジンの遠心式ガバナにおいて、
    上記ガバナレバー(7)を弾性変形可能な板金部材で形成するとともに、その板金部材の左右両端部をガバナ軸心(Z)と平行をなすように立ち起こして脚部(7c)とローラ軸支部(7d)とを一体に形成し、
    上記各ローラ軸支部(7d)でそれぞれ個々のローラ軸(7e)を支え、各ローラ軸(7e)の左右両端で、各ローラ軸支部(7d)の左右両側に転動ローラ(14)(14)を設け、
    上記各ローラ軸支部(7d)の脚部(7c)寄りに、ガバナスリーブ(6)との接当圧により弾性変形するスリット孔(15)を形成し、このスリット孔 ( 15 ) をローラ軸(7e)を中心とする円弧状に形成した、ことを特徴とするディーゼルエンジンの遠心式ガバナ。
  2. 請求項1に記載したディーゼルエンジンの遠心式ガバナにおいて、上記スリット孔(15)の中央部が閉じることによりローラ軸支部(7d)の弾性変形を規制するように構成した、ことを特徴とするディーゼルエンジンの遠心式ガバナ。
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