JP3564069B2 - 真空装置 - Google Patents
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Description
本発明は、真空装置に係わり、特に真空ポンプの電力消費量が少なく小型の真空装置に関する。
背景技術
真空装置は、半導体、液晶ディスプレイ製造分野をはじめとして、多くの産業分野で用いられている。特に半導体、液晶ディスプレイ製造分野では、成膜、エッチングやアッシングなど大半のプロセスは真空装置内の減圧雰囲気下で行われている。真空装置では、プロセスや計測等を行うための真空容器の内部を真空あるいは減圧状態に保つために、真空ポンプが用いられる。
真空ポンプには様々なタイプがあるが、大別して、ポンプの吸気口より吸気したガスを排気口から排気するかき出し型のポンプと、ポンプの吸気口より吸気したガスを内部にため込むため込み式のポンプに分類される。ため込み式のポンプは、一般に単独でも高真空領域まで排気が可能であるが、排気可能なガス量には自ずと限界がある。このため、ガスを常時流しながら減圧下で行うプロセスには、ため込み式のポンプは適さず、かき出し型のポンプが用いられている。
かき出し型のポンプは、一般に到達真空度が高いポンプほど排気速度が大きく、また許容背圧が低い傾向にある。到達真空度が高い1.33×10-4Pa(10-6Torr)以上分子流領域で動作する真空ポンプには、ターボ分子ポンプ、ねじ溝ポンプ、油拡散ポンプなどがある。これらのポンプは、小型の物でも排気速度が大きいが、許容背圧が133Pa(1Torr)以下と極めて小さい。到達真空度が低く背圧が大気圧程度で動作するポンプには、ルーツポンプ、スクリューポンプ、ロータリーポンプ、ダイアフラムポンプなど多くの種類のものがある。これらの中間に分類される到達真空度が中程度のポンプとして、メカニカルブースターポンプやエグゼクターポンプなどのブースターポンプがある。
真空装置には、必要なガス圧力、ガス清浄度、ガス流量、ガス種、真空容器容積などに応じて、最適な真空ポンプを用いなければならない。一般には、ガス圧力が比較的高い(40Pa(300mTorr)程度以上)場合には、背圧が大気圧程度で動作するポンプが単独で用いられる。一方、ガス圧力が低い場合には、分子流領域で動作するポンプと背圧が大気圧程度で動作するポンプが直列に接続された排気系が用いられる。ガス流量が多い場合には、これらのポンプ間にブースターポンプを挿入し、3台のポンプを直列に接続して排気を行うこともある。
大半のプロセスが減圧下で行われる半導体や液晶ディスプレイの量産工場では、プロセスが行われる数個の真空容器を1つの装置に集積化することにより、真空容器間の基板の搬送を真空中で行えるようにしたクラスターツールが、複数台隣接して配列されている。すなわち、多数の真空容器が隣接して配置されるのが一般的である。従来の装置では、複数の真空容器が隣接して配置される場合においても、真空容器ごとに独立した排気系を設けていた。すなわち、真空容器とその排気を行う真空ポンプとは1対1に対応しており、各々の真空ポンプは1つの真空容器の排気のみを行う構成になっていた。
背圧が大気圧程度で動作する真空ポンプは、低背圧で動作する同排気速度のポンプと比較してロータ等の回転に大きな動力が必要であり、消費電力が圧倒的に大きい。また、サイズが大きく重量も重い。従来の装置では、このような大型で消費電力の大きな真空ポンプが、真空容器の台数と同じ台数必要であった。このため、ポンプの設置により装置消費電力および装置専有面積が増大し、結果として製品の製造コストを抑えることが困難であった。
さらに背圧が大気圧程度で動作する真空ポンプは吸気側の到達真空度が低いため、不純物ガスが排気系から真空容器内にまわり込むという問題があった。不純物ガスがウェハ表面や真空容器内面に付着すると、プロセス性能が著しく低下してしまう。また、ポンプが大型のため真空容器近辺に設置することが困難な場合が多く、長い配管を介して接続せざるを得なかった。このため、配管のガスコンダクタンスが小さく、大流量ガスを流す必要があるプロセスではプロセス速度やプロセス性能を低下させる大きな要因となっていた。
また、半導体製造プロセス等に適用された真空容器からの排気ガス中に析出性の成分が含有している場合がある。このような析出性の排気ガスが配管内部に固体成分を付着させると真空装置の排気コンダクタンスを低下させる要因となる。
本発明は、装置消費電力および装置専有面積が小さく、不純物ガスが排気系から真空容器内にまわり込むことがなく、大流量ガスを流し得る真空装置を提供することを主な目的とする。さらに、この主目的と共に、不純物ガスが真空容器内にまわり込むようなことがなく、また析出性の排気ガスが生じるような製造プロセスで使用されても配管の断面積が狭くなり排気コンダクタンスが低下することがない真空装置を提供することも本発明の目的に含む。
発明の開示
本発明は、上記の目的を達成するため、ガス導入口と排気口を備える複数の真空容器と、該ガス導入口から該真空容器内に所望のガスを導入するためのガス供給システムと、該真空容器内を減圧に保つための排気システムを備える真空装置において、該排気システムは、直列に多段に接続された複数の真空ポンプを有し、最終段真空ポンプの排気口圧力は略大気圧であり、該最終段真空ポンプ或いはさらに必要により中段の真空ポンプが1台あたり複数の前段真空ポンプからのガスを排気するように構成された真空装置を実現するものである。
本発明の真空装置では、複数の真空装置を同時に排気する共通の補助ポンプを新たに大気側に付加することにより、その前段の真空ポンプの背圧が低く保たれる構成になっている。背圧が大気圧であった従来の構成と比較して、真空ポンプ運転動力が軽減し、真空ポンプの消費電力やサイズが大幅に低減する。結果として、装置全体の消費電力が低減し、装置専有面積が縮小化され、低コスト生産が可能になる。
また、前段の真空ポンプの到達真空度が向上し、真空容器内への不純物ガスのまわり込みを完全に抑制することが可能になる。さらに、前段の真空ポンプが大幅に小型化されたため、このポンプを真空容器近辺に設置できるようになる。結果として、低圧でも大流量ガスを流すことが可能になり、プロセス速度やプロセス性能が大幅に向上する。
さらに、排気ガス中に含有する析出性の排気ガスから固体生成物を有効に取り除く手段を設けることで、長期間に亘り排気コンダクタンスを好ましい状態に維持できる真空装置とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1に係わる装置の概略図である。
図2は、実施例1に係わるメカニカルブースターポンプとルーツポンプの排気特性を比較したグラフである。
図3は、実施例2に係わる装置の概略図である。
図4は、実施例3に係わる装置の概略図である。
図5は、実施例4に係わる装置の概略図である。
図6は、実施例5に係わる装置の概略図である。
図7は、実施例6に係わる装置の概略図である。
図8は、実施例7に係わる装置の概略図である。
発明の実施をするための最良の形態
以下、図面を参照して本発明の真空装置を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでないことはいうまでもない。
(実施例1)
図1は、本発明の真空装置を半導体プロセス装置に適用した実施例を示したものである。
101は真空容器、102、103はそれぞれ真空容器101に設けられたガス導入口、ガス排気口である。104は真空容器3台が1つのプラットフォームに集積化されたクラスターツールである。105はガスコンダクタンスを変えることにより真空容器101内のガス圧力を制御するための圧力調節バルブである。106は高真空ポンプであり、本実施例ではネジ溝式分子ポンプを用いている。107は高真空ポンプ106の背圧を低圧力に保つための低真空ポンプであり、本実施例ではメカニカルブースターポンプを用いている。108はさらに低真空ポンプ107の背圧を低圧力に保つための補助ポンプであり、本実施例ではルーツポンプを用いている。109、110はバルブであり、本実施例では電磁バルブを用いている。111、112、113はガスを流すための配管である。配管113内は、ほぼ大気圧となっている。補助ポンプ108から出たガスは、配管113を通してガス処理装置まで導かれる。本真空装置は、33台のクラスターツール、99個の真空容器が、配管112で接続された構成となっているが、図1には簡略化のため2台のクラスターツールのみが記載されている。本実施例では、真空容器は直径200mmのシリコン基板のエッチング処理またはレジストアッシング処理に用いられる。
直径200mmの基板の高速高性能エッチング処理では、約4.00Pa(30mTorr)の圧力で最大1atm・L/min(大気圧中で換算して1L/min、以下同様に示す)のガスを流す。ガス種は、Ar、Co、C2H6、O2であり、大半はArである。また、高速アッシング処理では、6.67Pa(50mTorr)の圧力で最大1atm・L/minのガスを流す。ガス種は、O2である。これらの条件を満たしうる排気系を構築する必要がある。
まず高真空ポンプ106に関しては、1atm・L/minのガスを流したときに吸気口圧を4.00Pa(30mTorr)以下にするためには、排気速度が1800L/sec以上のネジ溝式分子ポンプが必要になるため、本実施例では排気速度が2000L/secのネジ溝式分子ポンプを採用した。2000L/secクラスのネジ溝式分子ポンプは、背圧が53.33Pa(0.4Torr)を越すと圧縮比が大きく減小してポンプとして動作しなくなる。このため、低真空ポンプ107に関しては、1atm・L/minのガスを流したときに吸気口圧が53.33Pa(0.4Torr)を下回るために、排気速度が最低でも1900L/min、余裕を見て2000L/minの排気速度が必要になり、本実施例では排気速度が2000L/minのメカニカルブースターポンプを採用した。次に補助ポンプ108であるが、このポンプには、全ての真空容器で同時にプロセスを行ったと仮定して最大1atm・L/min×99=99atm・L/minのガスが流れ込む。また、メカニカルブースターポンプの許容背圧は6.67×103(50Torr)である。このため、補助ポンプ108に関しては排気速度が1500L/min以上の排気速度が必要になるが、本実施例では配管112のガスコンダクタンスも考慮して2000L/minのルーツポンプを採用した。
ここで、真空ポンプの消費電力とサイズを従来例と比較してみる。高真空ポンプに関しては、従来例と変わらず、消費電力は1台あたり680Wで、99台では68kWとなる。
低真空ポンプに関しては、従来は背圧が大気圧程度で動作するルーツポンプなどのポンプが用いられていたのに対し、本実施例では1/10気圧以下で動作するメカニカルブースターポンプが用いられている。2000L/minの排気速度をもつルーツポンプとメカニカルブースターポンプについて比較を行ってみる。消費電力は、ルーツポンプが3.7kW、メカニカルブースターポンプが0.4kWであり、同排気速度であるにも係わらずルーツポンプの方が9倍も大きい。これは、ポンプの背圧が高いほどロータを回転させるためのより大きな動力が必要になるためである。ポンプの体積は、ルーツポンプが0.95x0.42x0.55m3=0.22m3、メカニカルブースターポンプが0.48x0.21x0.018m3=0.18m3であり、ルーツポンプの方が12倍大きい。また質量は、ルーツポンプが223kg、メカニカルブースターポンプが22kgであり、ルーツポンプの方が10倍大きい。すなわち、低背圧で動作するメカニカルブースターポンプの方が桁違いに小型で消費電力が小さい。さらに、メカニカルブースターポンプは構造が単純で価格も安い。
図2は、メカニカルブースターポンプとルーツポンプの排気特性を示す。201は排気速度が2000L/minのメカニカルブースターポンプの特性、202は2000L/minのルーツポンプの特性、203は2400L/minのルーツポンプの特性である。ルーツポンプよりも、メカニカルブースターポンプの方が1桁以上低圧力領域で動作することが分かる。分子ポンプのバックポンプとしては、133.32Pa(1Torr)以下の圧力で大きな排気速度を有するポンプが必要である。メカニカルブースターポンプでは4.00Pa(30Torr)程度の低圧力領域まで排気速度が維持されているのに対し、ルーツポンプでは133.32Pa(1Torr)以下の圧力領域において排気速度がかなり劣化している。従って、ルーツポンプにて必要な排気速度を得ようとすると、さらに大型のポンプを選定する必要がある。例えば、ネジ溝式分子ポンプの許容背圧である53.33Pa(0.4Torr)において2000L/minの排気速度を得るには、図2により2400L/minのルーツポンプが必要であることが分かる。2000L/minのメカニカルブースターポンプと2400L/minのルーツポンプの比較を行ってみると、ルーツポンプの方が消費電力が11倍、体積が14倍、質量が12倍大きい。低真空ポンプ99台分の消費電力は、ルーツポンプでは440kW、メカニカルブースターポンプでは40kWとなる。
本実施例では、新たに補助ポンプを設けたためこの消費電力が加算されるが、多数の真空容器を1台で同時に排気しているので、全体としてみればわずかな増加でしかない。結局、全ての真空ポンプの消費電力の合計は、従来例では68+440=508kW、本実施例では68+40+3.7=111.7kWとなり、結局、消費電力を22%に抑制できることが分かる。
次に、真空容器にガスを流していないときの排気系からの真空容器への不純物ガスの回り込みを見積もってみる。図2より、ポンプの到達圧力は、ルーツポンプでは6.00Pa(45mTorr)、メカニカルブースターポンプでは0.53Pa(4mTorr)であることが分かる。ネジ溝式分子ポンプの圧縮比は3000倍(Heガスに対して)であり、排気系からの回り込みだけを考慮すると、バックポンプとしてルーツポンプおよびメカニカルブースターポンプを使用したときの真空容器内の不純物ガス分圧は、それぞれ2.00×10-3Pa(1.5×10-5Torr)および約1.73×10-4(1.3×10-6Torr)となる。従って、従来例と比較して排気系からの真空容器への不純物ガスの回り込みを1桁程度減少できることが分かる。
従来の装置では、低真空ポンプが大型のため真空容器近辺に設置することが困難な場合が多く、高真空ポンプとの間を長い配管を介して接続せざるを得なかった。このため、大流量ガスを流すと配管のガスコンダクタンスの影響で高真空ポンプの背圧が上昇してしまう。例えば、1atm・L/minのガスを流したとき、配管無しでは53.33Pa(0.4Torr)であったのが、内径40mm、長さが10mの円筒形配管を通すと111.99Pa(0.84Torr)になってしまう。この配管を接続した状態で高真空ポンプの背圧を53.33Pa(0.4Torr)以下にするには、ガス流量を0.25atm・L/min以下と1/4に制限しなければならない。結果として、大流量ガスを流す必要があるエッチングやプラズマCVDなどのプロセスでは、プロセス速度やプロセス性能を低下させる大きな要因となっていた。一方、本実施例では、低真空ポンプが非常に小型のため真空容器直近に設置することが可能で、高真空ポンプとの間は短い配管で接続すればよく、ガス流量が制限されることがない。
配管111には、内径36mm、長さ約0.55mのステンレスのフレキシブルチューブを用いた。前述の通り、この配管のガスコンダクタンスは十分大きく、無視できる。配管112には、内径40mm、長さ42mのステンレスの直管を用いた。特に大口径の配管を使用したわけではないが、最大ガス流量である99atm・L/minのガスを流したときでも、配管112の両端間の圧力差は高々386.63Pa(2.9Torr)であり、無視できるレベルである。このように、従来の装置と比較して、特に大口径配管を使用する必要はなく、配管の設置コストが増加することはない。
なお、補助ポンプ108と配管113は、半導体製造工場のクリーンエリア以外に、その他の部分はクリーンエリア内に設置した。
(実施例2)
図3は、本発明の真空装置を半導体プロセス装置に適用した第2の実施例を示したものである。
301は真空容器、302、303はそれぞれ真空容器301に設けられたガス導入口、ガス排気口である。304は真空容器3台が1つのプラットフォームに集積化されたクラスターツールである。305はガスコンダクタンスを変えることにより真空容器301内のガス圧力を制御するための圧力調節バルブである。306は高真空ポンプであり、本実施例ではネジ溝式分子ポンプを用いている。307は高真空ポンプ306の背圧を低圧力に保つための低真空ポンプであり、本実施例ではメカニカルブースターポンプを用いている。308は補助ポンプであり、本実施例ではルーツポンプを用いている。309、310はバルブであり、本実施例では電磁バルブを用いている。311、312、313はガスを流すための配管である。
実施例1との違いは、1台の低真空ポンプ307でクラスターツール内の3台の真空容器を同時に排気することにある。このように低真空ポンプを共通化すると、低真空ポンプ307の台数が1/3になり、実施例1の場合と比較してさらに消費電力、装置設置面積が減少し、コストが削減できる。
本実施例では、1台の低真空ポンプで3台の真空容器を同時に排気する構成になっているが、3台に限定されるわけではない。
(実施例3)
図4は、本発明の真空装置を半導体プロセス装置に適用した第3の実施例を示したものである。
401a、401b、401cは真空容器、402、403はそれぞれ真空容器401に設けられたガス導入口、ガス排気口である。404は真空容器3台が1つのプラットフォームに集積化されたクラスターツールである。405はガスコンダクタンスを変えることにより真空容器401内のガス圧力を制御するための圧力調節バルブである。406は高真空ポンプであり、本実施例ではネジ溝式分子ポンプを用いている。407は低真空ポンプであり、本実施例ではメカニカルブースターポンプを用いている。408は補助ポンプであり、本実施例ではルーツポンプを用いている。409、410はバルブであり、本実施例では電磁バルブを用いている。411、412、413、414はガスを流すための配管である。
真空容器401a、401bはポリシリコンのプラズマCVD装置であり、53.33Pa(400mTorr)以上の比較的高い圧力でプロセスが行われる。401cはポリシリコンのエッチング装置であり、4.00Pa(30mTorr)の低圧力でプロセスが行われる。実施例1との違いは、クラスターツール内の2台の真空容器401a、401bには、高真空ポンプが接続されておらず、直接低真空ポンプで排気するようになっていることである。これは、プロセスが53.33Pa(400mTorr)以上の比較的高い圧力で行われるため、低真空領域での排気能力が必要ないためである。このように、比較的高い圧力でプロセスが行われる場合は、高真空ポンプを装着しないことにより、実施例1の場合と比較してさらに消費電力、装置設置面積が減少し、コストが削減できる。
(実施例4)
図5は、本発明の真空装置を半導体プロセス装置に適用した第4の実施例を示したものである。
図5には、実施例1との変更点のみが示されている。501は補助ポンプであり、本実施例では実施例1とおなじ2000L/minのルーツポンプが2台並列に接続されている。502、503、504はバルブであり、本実施例では502は電動バルブ、503、504は手動バルブである。505、506は、ガスを流すための配管である。配管506内は、ほぼ大気圧となっている。
実施例1〜3では、1台の補助ポンプで多数の真空容器の排気を行っていたため、補助ポンプが故障すると多数の真空容器が同時に使用不能となってしまう問題があった。本実施例では、通常は、バルブ503、504は常時開いており、2台の補助ポンプで同時に排気を行っている。片方の補助ポンプ501が故障した場合は、その前後のバルブ503と504を閉じて、ポンプ交換作業、または修理を行う。この間は、もう片方の補助ポンプのみで排気を行う。すなわち、片方の補助ポンプが故障しても、全く支障なく装置を使用できる。
(実施例5)
図6は、本発明の真空装置を半導体プロセス装置に適用した第5の実施例を示したものである。これは、実施例2の装置に、真空容器内を大気圧から減圧に排気する際に使用する粗引排気系を付加したものである。ここでは、実施例2との変更点のみを説明する。
601は粗引ポンプであり、本実施例では360L/minのスクロールポンプを用いた。このポンプの消費電力は0.45kWと小さく、非常に小型である。到達真空度は1.33Pa(10mTorr)である。602、603はバルブであり、本実施例では電動バルブを用いている。604は配管であり、本実施例では直径9.525mm(3/8インチ)のステンレス管を用いている。605は配管であり、内部はほぼ大気圧となっている。
真空容器内部のメンテナンスなどを行う際には、真空容器内部を大気解放する必要がある。再び真空容器内部を真空引きする際に排気系に大量の大気が流れると、低真空ポンプの背圧が上昇して他の真空容器に影響を及ぼす可能性がある。本実施例では、粗引排気系を新たに付加することにより、この問題を解決している。
真空容器を大気解放している状態では、該当する高真空ポンプは停止しており、該当するバルブ602およびバルブ603は閉じた状態になっている。真空容器内を真空引きする際には、バルブ603が閉じた状態でバルブ602を開き、配管604を通して粗引ポンプ601により大気を排気する。その後、真空容器内部の圧力が2666〜7999Pa(数10Torr)程度まで減少したら、バルブ602を閉じてバルブ603を開く。その後、高真空ポンプを起動し、通常の運転状態に復帰する。
また、本実施例においては、クラスターツール内で同時に2台以上の真空容器でプロセスを行わないようにすれば、プロセスを行っていない真空容器のバルブ603を閉じて粗引きポンプ601を高真空ポンプのバックポンプとして使用することにより、上記実施例2で示した装置よりもガスの回り込みを完全に防止して清浄度を向上させることができる。
なお、本実施例は、粗引排気系を実施例2の装置に付加したものであるが、実施例1〜4の装置に付加しても同様の効果が得られる。また、本実施例では、配管604を高真空ポンプの排気側に接続しているが、真空容器に直接接続してもかまわないし、低真空ポンプの排気側に接続してもかまわない。
(実施例6)
図7は、本発明の真空装置を半導体プロセス装置に適用した第6の実施例を示したものである。これは、実施例2の装置に、真空容器内を大気圧から減圧に排気する際に使用する粗引用排気経路を付加したものである。ここでは、実施例2との変更点のみを説明する。
701、702はバルブであり、本実施例では電動バルブを用いた。703は配管であり、本実施例では直径3.175mm(1/8インチ)のステンレス管を用いている。
真空容器を大気解放している状態では、該当する高真空ポンプは停止しており、該当するバルブ701およびバルブ702は閉じた状態になっている。真空容器内を真空引きする際には、バルブ702が閉じた状態でバルブ701を開き、配管703を通して低真空ポンプにより大気を排気する。このとき、配管703は内径が小さくガスコンダクタンスが小さいため、低真空ポンプに流れ込むガスの流量が抑制され、低真空ポンプの背圧の上昇が抑えられる。その後、真空容器内部の圧力が2666〜7999Pa(数10Torr)程度まで減少したら、バルブ701を閉じてバルブ702を開く。その後、高真空ポンプを起動し、通常の運転状態に復帰する。
なお、本実施例は、粗引用排気経路を実施例2の装置に付加したものであるが、実施例1〜4の装置に付加しても同様の効果が得られる。
(実施例7)
図8は、本発明の真空装置を半導体プロセス装置に適用した第7の実施例を示したものである。この実施例7は実施例2の装置に、ガスの一部を取り除く手段と、真空容器との間の配管を90℃以上に加熱する手段を備えたものである。
図8で、801、802はヒータ付きのバルブであり、803、804はヒータ付きの配管である。これら配管803、804はラバーヒータ809により覆われており、真空装置を使用するときには常に温度を90℃以上に保つような構成である。なお、805、806は通常の配管である。807は水冷式トラップである。また、808は、上記実施例2について示す図3の補助ポンプ308に対応する補助ポンプである。
プラズマCVD装置やプラズマエッチング装置では、真空容器中での処理の後に発生する排気ガス中に析出性の副生成物などが多く含まれる。これらの物質は真空容器中では気相成分と排気ガス中に含まれるが、配管を経るうちに冷やされ、固相成分に変化して、配管の内部に付着する場合がある。このような付着物は真空ポンプの排気性能低下や装置自体の故障の原因となる。このような付着物は配管の断面積を小さくするので排気のコンダクタンスを小さくしてしまうといった問題も包含しており、付着しないような対策を取ることが望ましい。
本実施例では、この付着の原因となるガス状の成分を取り除くための手段として、水冷式トラップ807を備えている。さらに、この水冷式トラップ807までの配管を付着物が発生しない程度の温度に加熱しておくことで、水冷式トラップ807までの配管内での付着を予防することもできる。
本実施例では、排気ガス中の析出性の成分を取り除く手段として水冷式トラップ807を用いて構成したが、これに限定されるものではないことは言うまでもない。また加熱手段についても排気経路で排気ガスと接触する部分を少なくとも90℃以上に加熱できる手段であればよく、セラミックヒータを用いるなど、実施例のラバーヒータに限定されるものではないことも同様である。
また、本実施例は実施例2の装置に付加したものとして説明したが、前述した他の実施例の装置に付加しても同様の効果が得られる。
以上説明したように、本発明によれば、装置消費電力および装置専有面積が小さく、不純物ガスが排気系から真空容器内にまわり込むことがなく、大流量ガスを流し得る真空装置が実現できる。
さらに、排気ガス中に含有する析出性の副生成物を有効に取り除く手段を設けることで、長期間に亘り排気コンダクタンスを好ましい状態に維持できる真空装置とすることもできる。
Claims (8)
- ガス導入口と排気口を備える複数の真空容器と、該ガス導入口から該真空容器内に所望のガスを導入するためのガス供給システムと、該真空容器内を減圧に保つための排気システムを備える真空装置において、
該排気システムは、該複数の真空容器の排気口にそれぞれ接続された複数の初段真空ポンプと、該初段真空ポンプの下流に接続された、該初段真空ポンプの背圧を低減させる中段真空ポンプと、該中段真空ポンプの下流に接続された終段真空ポンプを有し、
該終段真空ポンプの排気口圧力は、略大気圧であり、
該終段真空ポンプは、1台あたり複数の該中段真空ポンプからのガスを排気し、
前記中段真空ポンプの少なくとも1台は、1台あたり複数の前記初段真空ポンプからのガスを排気するように構成されていることを特徴とする真空装置。 - 前記初段真空ポンプは高真空ポンプであり、前記中段真空ポンプは低真空ポンプであって、該初段真空ポンプおよび該中段真空ポンプが前記真空容器直近に設置されることを特徴とする請求項1記載の真空装置。
- 前記低真空ポンプはブースターポンプであることを特徴とする請求項2記載の真空装置。
- 前記真空容器内を略大気圧から減圧に排気する目的で、該真空容器の排気口、あるいは該真空容器の排気口に接続された真空ポンプの下流側に、バルブを介して粗引用真空ポンプが接続されており、
該粗引用真空ポンプの排気口圧力は、略大気圧である請求項1から3のいずれかに記載の真空装置。 - 前記最終段真空ポンプが複数並列に設けられている請求項1から4のいずれかに記載の真空装置。
- 前記最終段真空ポンプとその前段の真空ポンプの間には、ガスの一部を取り除く手段が設けられている請求項1から5いずれかに記載の真空装置。
- 前記真空容器と前記ガスの一部を取り除く手段との間のガス排気経路のガス接触部を、少なくとも90℃以上に加熱する手段が設けられている請求項6に記載の真空装置。
- 前記最終段真空ポンプの吸気口到達圧力が6.67×103Pa(50Torr)以下である請求項1から7いずれかに記載の真空装置。
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