JP3563794B2 - タイヤの防滑具 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、氷雪路用として形成されたスタッドレスタイヤにおいても走破不可能な、例えば硬い氷盤上、つるつるの積雪路面での走行を可能とし、しかも着脱を容易とするタイヤの防滑具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冬期に氷雪路面を走行するには、ショートリンクチェーンを梯子状、又はネット状に組立てタイヤ周面に巻付けて使用するいわゆるタイヤチェーンが知られている。このようなタイヤチェーンは、金属を用いて形成されているため、タイヤに装着することによって車両は乗心地が低下し、かつ走行騒音が増大するという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題点の一端を解決すべく、例えば実公平5−35843号に開示するように、タイヤの防滑具本体を合成樹脂等の非金属材料を用いて形成したものも出現しているが、このものは、形状が梯子状、又はネット状であり、このような構成の滑り止め具を非金属材料を用いて形成した場合には、装着時において左側の金具及び右側の金具をバランスよく交互に締め付けを行わねばならず、手間を要し、又横部材が存在するために、ドライ路面における走行騒音を抑制し得ないという問題がある。
【0004】
発明者は、タイヤのトレッド面を周回する周方向溝に着目し、この周方向溝に防滑具を装着し、装着時にあっては、スパイクのみトレッド面から突出するよう形成すること。又防滑具をリング状に形成しかつタイヤ内圧を充填した状態でトレッド面よりも内方に沈下させて保持すること、さらには、空気圧を下げて装脱することを前提とすることによって無端環状の構造を採用でき、前記問題点を解決できることを見出し本発明を完成させたのである。
【0005】
本発明は、耐久性を保持し、かつ着脱が可能であり、特にスタッドレスタイヤに装着することによって、氷雪路面、殊に登坂路における走行性能を大巾に向上でき、しかも走行騒音を低下しかつ乗心地の向上を図りうるタイヤの防滑具の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本件請求項1に係る発明は、空気入りタイヤのトレッド面に連続して周方向に形成される周方向溝内に装着されるタイヤの防滑具であって、
長手方向に延在する金属又は有機繊維の補強コードを、半径方向外側の耐摩耗性を目的とした硬質ゴムからなる外側層と、半径方向内側の周方向溝との密着性を良好に保つクッション性を有するゴムからなる内側層と、前記外側層、内側層をともに包被するシート状をなしかつキャンバスを用いた補強層とからなる覆材により被覆した防滑具基体に、スパイクピンを埋着するとともに、
前記防滑具基体は無端環状をなし、
かつ前記スバイクピンは、前記防滑具基体が防滑具本体が周方向溝に嵌着された際に、その先端が、空気入りタイヤに正規の空気圧を充填した状態においてトレッド面より2〜5 mm の範囲で突出することを特徴とするタイヤの防滑具である。
【0007】
なお補強コードは、長尺のコード材を複数回巻回することによって形成することができる。
【0008】
【作用】
無端環状をなし周方向溝内に装着されるものであるから連結部がなく、乗心地が高まり、かつ通過騒音の低減を図りうる。しかも連結部がないため連結部から破損する危険がない。
【0009】
なお装着はタイヤの空気圧を下げて行うことを前提としており、従って取付け、取外しが容易であり、しかも正規内圧のもとにあっては、周方向溝と強い嵌合力を有して装着される。
【0010】
防滑具基体は、タイヤの周方向溝内に装着されているため、梯子状又はネット状をなす従来の防滑具のようにサイドウォール部から側方に突出することがなく、タイヤに取付けた際にも車体と干渉する危険がない。又、走行時において、防滑具基体と路面との接触を避けることができ、基体に摩耗損傷が生じるのを排除でき、耐久性を高めうる。
【0011】
又スパイクピンは、トレッド面から突出しているため、このスパイクピンによって圧雪、氷盤をグリップすることが出来、氷雪路における制動性、登坂性を高める。
【0012】
又本発明のタイヤの防滑具をスタッドレスタイヤに装着した場合には、スタッドレスタイヤのみ有する圧雪路の走破性と相まって一層の性能を向上しうる。
【0013】
なお補強コードを長尺のコード材を複数回巻回することにより形成した場合には、防滑具基体の経時的な伸びが少なくなり一層の耐久性の向上を図りうる。
【0014】
【実施例】
以下本発明の一実施例を、スタッドレスタイヤとして形成された空気入りタイヤに装着する場合を例にとり、図面に基づき説明する。
【0015】
図1〜4において、タイヤの防滑具1は、空気入りタイヤ2のトレッド面3に連続して周方向に形成される周方向溝4内に装着される防滑具基体5にトレッド面3から突出するスパイクピン9を設けている。
【0016】
空気入りタイヤ2は、本実施例では、氷雪路用のスタッドレスタイヤとして形成され、図2、3に示すように、前記トレッド面3を形成するトレッド部12の両端からタイヤ半径方向内方にのびるサイドウォール部13、13と、該サイドウォール部13、13の半径方向内端に位置するビード部14、14とを有する空気入りタイヤとして形成される。又タイヤ2にはトレッド部12からサイドウォール部13を通りビード部14のビードコア15の周りを折返すトロイド状のカーカス16と、その半径方向外側かつトレッド部12の内部に配されるベルト層17とを具える。
【0017】
前記カーカス16は、本実施例では2枚のカーカスプライからなり、このカーカスプライは、カーカスコードをタイヤの赤道Cに対して本実施例では70°〜90°の角度で配列し、かつトッピングゴムで被覆したいわゆるラジアル又はセミラジアル方向の配列のシート体をなし、又カーカスコードとしてナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コード又はスチールコードが採用される。
【0018】
前記ベルト層17は、本実施例では2枚のベルトプライからなり、これらのベルトプライは、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コード、又はスチールコードをプライ間で互いに交差する向きに配列している。
【0019】
又トレッド部12の前記ベルト層17の半径方向外側かつトレッド面4を形成するトレッドゴム19にあっては、本実施例ではタイヤ半径方向内側に位置するベースゴム19Aと、その外側に配されるキャップゴム19Bとからなり、キャップゴム19Bには、例えば−5℃においてJISA硬度が55〜61度の軟質のゴムが用いられ氷路面との粘着摩擦力を大として氷雪路上の走行性能を高めている。
【0020】
前記ベースゴム19Aは、キャップゴム19Bとして前記した如く軟質のゴムを用いたことに起因するパターン剛性の低下を補うため、−5℃におけるJISA硬度を65〜70度とした硬質のゴムを用いて形成している。
【0021】
トレッド面には、広巾の周方向溝4が、タイヤ赤道C上を周方向に連続して形成され、この周方向溝とトレッド縁Eとの間には、多数の横パターン溝X、縦パターン溝Yが設けられる。トレッド面にはこれらの縦、横のパターン溝Y、X、トレッド縁及び周方向溝によって囲まれた多数のブロックBが形成され、軟らかい雪上を走行する際におけるグリップ力を高めている。
【0022】
ブロックBは、その周面に周方向に対して交わる向きに配されるサイピング20が施され、氷路面における摩擦抵抗を高めている。なお周方向溝4は、その溝深さGHをトレッド縁E、E間のタイヤ軸方向の距離であるトレッド巾WTの0.06〜0.14倍に、又溝巾GWを前記トレッド巾WTの0.08〜0.18倍の範囲に形成される。
【0023】
前記周方向溝4の内にタイヤの防滑具1が装着される。タイヤの防滑具1は、周方向溝4の溝内に嵌着する防滑具基体5と、この防滑具基体5から突出するスパイクピン9とからなる。
【0024】
前記防滑具基体5は、その長手方向に延在する補強コード7をゴム又は剛性樹脂材からなる覆材によって覆われた無端環状体であり、空気入りタイヤ適用リムに嵌着しかつ正規空気圧を装填したときにその外周面5aがトレッド面3よりも若干沈ませて前記周方向溝4に嵌着、固定される。なお防滑具基体5の両側側面5b、5bは前記周方向溝4の溝壁面4b、4bに沿う形状に形成される。
【0025】
前記補強コード7としてスチールなどの金属コード又はナイロン又は芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維が採用でき、本実施例では可撓性を有し、しかもスチールと略同等の単位断面積当たりの引張強度を有する芳香族ポリアミド繊維を巾方向に間隔を有して複数回、本例では7回連続して周回することにより、巻回している。
【0026】
覆材8は、本実施例では半径方向外側に耐摩耗性を目的とした硬質ゴムからなる外側層8Aと、半径方向内側には、周方向溝4との密着性を良好に保つことを目的としたクッション性を有するゴムからなる内側層8Bと、これらの外側層8A、内側層8Bをともに包被するシート状をなしかつキャンバスによって補強された補強層8Cとからなる。
【0027】
又、覆材8には、図1に示す如く基台21が覆材8上面と略面一にかつ長手方向にかつ間隔を隔てて埋設され、この基台21の上には、硬化処理を施したスチール等の硬質の金属からなるスパイクピン9を突設している。このスパイクピン9は、防滑具本体5が周方向溝4に嵌着した際に、その先端が空気入りタイヤ1に正規の空気圧を充填した状態においてトレッド面3より2〜5mmの範囲で突出させるのが好ましい。
【0028】
このように構成されたタイヤの防滑具1を空気入りタイヤ2に装着するには、該空気入りタイヤ2に充填された空気を抜き内圧を0の状態とすることにより、トレッド部12は自在に変形でき、これによりタイヤの防滑具1は、周方向溝4内に容易に装着することができる。装着後、再び空気入りタイヤ2に空気圧を充填することにより、トレッド部12は拡径し、タイヤの防滑具2を周方向溝4内で相対回動不能に固着される。
【0029】
内側層8Bがクッション性を有するゴムを用いて形成しているので、タイヤの防滑具の周方向溝4への装入が一層容易となり、しかも嵌着強さを一層高めることが出来る。
【0030】
さらに図6に示す如く、タイヤ1に周方向溝4を複数条設け、各周方向溝4、4にそれぞれ前記構成のタイヤの防滑具1、1を装着してもよい。
【0031】
【具体例】
図1に示す構成タイヤの防滑具をタイヤサイズが165R13であり、かつ図2及び図4に示す構成を有するタイヤに装着し(実施例1、2)その性能をJASA(日本自動車交通安全用品協会)432−1992に定める試験方法によりテストを行った。
【0032】
【表1】
Figure 0003563794
【0033】
テストの結果、実施例のものは何れもJASA規格を上回っており、期待通りの成果を得ることが出来た。
【0034】
【発明の効果】
叙上の如く本発明のタイヤの防滑具は、前記構成を具えることにより、梯子状又はネット状とした従来の防滑具に比べてタイヤへの取付けが確実に装着でき、使い勝手を向上するとともに、圧雪上及び氷盤上での制動、発進能力が高まり、スタッドレスタイヤに用いることによって、スタッドレスタイヤにおいて走破が不可能であった氷盤、圧雪上での走行が可能となりその利用度を更に高めうる。
【0035】
又防滑具基体を無端環状としたため、連結部がなくドライ舗装路における乗心地を高め、かつ騒音低下を図りうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】そのタイヤの装着具を空気入りタイヤに装着した状態で示すタイヤ軸方向断面図である。
【図3】その部分平面図である。
【図4】本発明の装着具をタイヤに装着した他の態様を示すタイヤ軸方向断面図である。
【符号の説明】
2 空気入りタイヤ
3 トレッド面
4 周方向溝
5 防滑部基体
7 補強コード
8 覆材
9 スパイクピン

Claims (2)

  1. 空気入りタイヤのトレッド面に連続して周方向に形成される周方向溝内に装着されるタイヤの防滑具であって、
    長手方向に延在する金属又は有機繊維の補強コードを、半径方向外側の耐摩耗性を目的とした硬質ゴムからなる外側層と、半径方向内側の周方向溝との密着性を良好に保つクッション性を有するゴムからなる内側層と、前記外側層、内側層をともに包被するシート状をなしかつキャンバスを用いた補強層とからなる覆材により被覆した防滑具基体に、スパイクピンを埋着するとともに、
    前記防滑具基体は無端環状をなし、
    かつ前記スバイクピンは、前記防滑具基体が防滑具本体が周方向溝に嵌着された際に、その先端が、空気入りタイヤに正規の空気圧を充填した状態においてトレッド面より2〜5 mm の範囲で突出することを特徴とするタイヤの防滑具。
  2. 前記補強コードは、長尺のコード材を複数回巻回することにより形成されたことを特徴とする請求項1記載のタイヤの防滑具。
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