JP3562743B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板およびPDP(プラズマディスプレイパネル)用ガラス基板などの各種の被処理基板に対して処理を施すための基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)に対して薬液や純水による処理を施し、ウエハの洗浄を行ったり、ウエハの表面に薄膜パターンを形成したりするための基板処理装置が用いられている。
このような基板処理装置は、一般に、複数の処理部から構成されており、たとえば、複数の処理部を予め定められた順序でウエハが渡り歩くことにより、このウエハに対して一連の処理が施されるようになっている。各処理部では、フッ酸などの薬液を用いる処理や、ウエハを加熱したりするための処理が行われる。したがって、処理部内では、薬液蒸気を含む薬液雰囲気や、加熱雰囲気が発生する。これらの薬液雰囲気や加熱雰囲気は、当該処理部において次に処理されるウエハに悪影響を与えたり、他の処理部における処理に悪影響を与えたりするおそれがある。そこで、基板処理装置においては、処理部は排気管を介して負圧源に接続されており、内部雰囲気の排気のための構成が備えられるのが一般的である。
【0003】
図11および図12は、従来の基板処理装置における排気に関連する構成を概念的に示す図解図である。図11および図12の構成では、複数の処理部11,12,13,14には、それぞれ副排気管21,22,23,24の各一端が接続されている。副排気管21,22,23,24の各他端は、排気集合容器3に接続されている。この排気集合容器3は、主排気管4を介して、適当な負圧源に接続されている。図11の構成においては、排気集合容器3は、基板処理装置の内部の適所に配置されており、図12の構成においては、排気集合容器3は基板処理装置の外部に設けられている。
【0004】
複数の処理部11,12,13,14と排気集合容器3との間の配管長は等しくはないから、複数本の副排気管21,22,23,24における圧力損失は相互に異なっている。しかし、複数の処理部11,12,13,14の排気経路の圧力損失が等しくなければ、いずれかの処理部の排気が不十分になり、結果として、ウエハに対する処理を良好に施すことができない。そこで、従来では、各副排気管21,22,23,24には、ダンパなどが介装されており、このダンパを手動調整することによって、副排気管21,22,23,24における圧力損失の均一化が図られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、各副排気管21,22,23,24ごとにダンパを設ける上述の構成は複雑であり、しかも、ダンパの手動調整は極めて困難な作業である。
一方、複数の処理部11,12,13,14のなかに加熱処理部が含まれていると、熱排気のために排気集合容器3の温度が上昇する。排気集合容器3は、一般に熱容量が大きいから、この排気集合容器3の近傍に配置された処理部は、高温になった排気集合容器3からの熱の影響を受ける。
【0006】
ところが、従来の基板処理装置においては、排気集合容器3から発散される熱の影響は考慮されておらず、配置しやすいスペースに排気集合容器3を配置している。そのため、排気集合容器3の近傍の処理部における処理が必ずしも最良の条件下で行えるとは限らないという問題があった。
この問題を解決するために、排気集合容器3を冷却するための冷却設備を設けることが考えられるが、基板処理装置の構造が複雑になるうえ、コストが嵩むことになるから、あまり実用的であるとは言い難い。
【0007】
そこで、この発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、排気に関連する構成が簡単で、かつ、困難な調整作業を要することのない基板処理装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、排気集合容器からの熱による基板処理に対する影響が低減された基板処理装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板に処理を施すための複数の処理部と、これらの複数の処理部にそれぞれ接続され、圧力損失がほぼ等しい複数の副排気管と、これらの複数の副排気管を介して上記複数の処理部に接続された排気集合容器と、この排気集合容器に接続された主排気管と、この主排気管を介して上記排気集合容器に接続された負圧源とを備えたことを特徴とする基板処理装置である。
【0009】
複数の副排気管の圧力損失を均一にするには、各副排気管の直径D(m)および長さL(m)などを適切に定めればよい。
副排気管の断面形状は、円形である必要はなく、たとえば、矩形であってもよい。この場合には、上記直径D(m)として、相当直径De(m)を用いればよい。たとえば、図13に示すような矩形断面の流路においては、四隅の部分は実際には気流が生じないため流路の断面積の計算の際には無視され、波線で示す楕円形の部分が流路の断面として把握される。この楕円形の面積と等しい面積の円を想定したときに、この円の直径が相当直径De(m)である。具体的には、矩形の流路断面の縦および横の長さをそれぞれa(m),b(m)とすれば、相当直径De(m)は、次の(1) 式で与えられる。
【0010】
De=1.3 ×(a×b)0.625 /(a+b)0.25 ・・・・・・(1)
気流の動圧をPV (mmH2O )とすれば、管ダクト1m当たりの圧力損失である直管圧損ΔPL (mmH2O/m )は、下記(2) 式で与えられる。
ΔPL =0.02×PV /(DまたはDe) ・・・・・・(2)
ただし、気流の流速をVとすれば、標準大気状態においては、
PV =(V/4.04)2 である。
この直管圧損ΔPL (mmH2O/m )を用いて、管ダクトの圧力損失PL (mmH2O )は、下記(3) 式で与えられる。
【0011】
PL =ΔPL ×L ・・・・・・(3)
したがって、直径D(またはDe)(m)および長さL(m)を適切に定めることによって、圧力損失を調整できることが理解される。
なお、圧力損失は、流路の形状にも依存するから、直径および長さならびに形状を考慮して、全副排気管の圧力損失がほぼ等しくなるように排気系の設計がなされることが好ましい。
【0012】
上記の構成を有する請求項1の発明によれば、複数の処理部と排気集合容器とを結合する複数の副排気管の圧力損失がほぼ等しいから、複数の処理部からの排気流量を均一にすることができる。したがって、個々の副排気管に排気流量調整機構を設ける必要がないから、排気に関連する構成を簡単にすることができる。また、手作業による排気流量の調整が必要となることもない。
【0013】
請求項2記載の発明は、上記複数の処理部のうちの少なくとも1つの処理部に対して基板を受け渡すための搬送手段と、この搬送手段の周囲を取り囲むように形成された搬送室とをさらに備え、上記排気集合容器は、上記搬送室の上方または下方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置である。この発明によれば、搬送手段を収容している搬送室の上方または下方に排気集合容器が配置されているので、装置のスペースの有効利用を図ることができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、上記複数の処理部は、基板に対して加熱処理を施すための加熱処理部を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置である。
この構成によれば、排気集合容器には、加熱処理部からの高温の排気が流入する。したがって、排気集合容器は、周囲に熱を放散する。しかし、この発明では、排気集合容器は、搬送室の上方または下方に配置されているので、排気集合容器から放散される熱の影響が各処理部に及ぶことがない。そのため、各処理部における基板の処理を良好に行うことができ、排気集合容器を冷却する必要もない。
【0015】
とくに、熱は上昇気流を形成するので、排気集合容器が搬送室の上方に配置されている場合には、搬送室への熱影響が低減されるから、搬送手段によって搬送されている基板に熱の悪影響が及ぶことがない。
請求項4記載の発明は、上記排気集合容器は、任意の副排気管から流入する排気の流れ方向に交差する断面積が、当該副排気管と上記排気集合容器との接続面の面積の5倍以上となるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置である。
【0016】
この構成によれば、いわゆるプリナムチャンバー効果によって、副排気管相互間の排気流量のばらつきをさらに低減することができる。
請求項5記載の発明は、上記主排気管に、排気流量を調整するための排気流量調整手段が介装されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置である。
【0017】
この構成によれば、主排気管に介装された排気流量調整手段によって総排気流量を調整することにより、各副排気管の排気流量を一括して調整することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の概念的な構成を示す図解的な平面図である。この基板処理装置は、基板に対して処理を施すための複数の処理部51,52,53,54を備えている。そして、平面視において、一対の処理部51,52と、他の一対の処理部53,54との間には、長尺な排気集合容器6が配置されている。この排気集合容器6と、複数の処理部51,52,53,54との間は、副排気管61,62,63,64で接続されている。副排気管61,62,63,64は、直径および長さが等しく、したがって、圧力損失が相互に等しい。
【0024】
排気集合容器6の一端には、主排気管7の一端が接続されており、この主排気管7の他端は、適当な負圧源8に接続されている。主排気管7の途中部には、排気流量調整手段としてのダンパ9が介装されている。副排気管61,62,63,64における圧力損失が均一であるので、ダンパ9の調整により、各処理部51,52,53,54からの排気流量を一括して調整することができる。
【0025】
排気集合容器6は、任意の副排気管から流入した排気の流れ方向Rに直交する断面の面積が、当該副排気管と排気集合容器6との接続面の面積の5倍以上となるように構成されている。これにより、いわゆるプリナムチャンバー効果を利用して、複数の副排気管61,62,63,64の排気流量のさらなる均一化が図られている。
【0026】
図2は、この発明の第2の実施形態に係る基板処理装置の概念的な構成を示す図解的な平面図である。この図2において、上述の図1に示された各部に対応する部分には同一の参照符号を付して示す。
この実施形態においては、複数の処理部51,52,53,54,55は、平面視においてクラスター型に配置されている。そして、これらの複数の処理部51,52,53,54,55の中央に、排気集合容器6が配置されている。複数の処理部51,52,53,54,55と排気集合容器6とを結合する副排気管61,62,63,64,65の長さおよび直径が等しくされている点は上述の第1の実施形態の場合と同様である。また、プリナムチャンバー効果が得られるように、任意の副排気管から流入した排気の流れ方向Rに直交する断面の面積が、当該副排気管と排気集合容器6との接続面の面積の5倍以上となるように排気集合容器6が構成されている点も、上記の第1の実施形態の場合と同様である。
【0027】
このように、上記第1および第2の実施形態においては、排気集合容器6が、複数の処理部51,52,53,54,55と排気集合容器6とを結合する副排気管61,62,63,64,65の長さを等しくできるようにレイアウトされている。そのため、複数の副排気管61,62,63,64,65の圧力損失が均一であり、ダンパなどの排気流量調整手段を各副排気管に設けることなく、複数の処理部51,52,53,54,55からの排気を良好に行える。したがって、構成が簡単であり、副排気管の圧力損失を調整するための難作業が必要となることもない。
【0028】
また、各副排気管61,62,63,64,65の圧力損失が均一である結果、主排気管7に介装されたダンパ8を調整することによって、各処理部からの排気流量を一括して調整することができる。
図3は、この発明の第3の実施形態に係る基板処理装置の構成を示す平面図である。この基板処理装置は、ウエハWに対して処理液を用いた処理を施すための基板処理ユニット101と、この基板処理ユニット101に対して処理対象のウエハWを供給し、また、処理済みのウエハWを基板処理ユニット101から受け取るインデクサユニット102とを備えている。
【0029】
インデクサユニット102は、複数枚のウエハWをそれぞれ収容することができる複数個のカセットCを所定方向に沿って配列して載置することができるカセット載置部103と、カセット載置部103におけるカセット整列方向に沿って延びる搬送路104と、この搬送路104上を往復直線移動することができるインデクサロボット105とを備えている。インデクサロボット105は、いずれかのカセットCから1枚のウエハWを取り出し、このウエハWを基板処理ユニット101側に受け渡す機能と、基板処理ユニット101によって処理された後の1枚のウエハWを受け取って、そのウエハWをいずれかのカセットCに収納する機能とを有している。
【0030】
基板処理ユニット101は、インデクサユニット102の搬送路104の中間部付近から、この搬送路104にほぼ直交する方向に延びた搬送路110と、この搬送路111に沿って往復直線移動することができる主搬送ロボットMTRとを備えている。搬送路110の上方には、主搬送ロボットMTRを取り囲むように、搬送室115が形成されている。
【0031】
主搬送ロボットMTRは、ウエハWを保持して移動することができるものであり、インデクサロボット105との間でウエハWの受け渡しを行うことができるほか、搬送路110を挟んで配置された第1処理トラック111および第2処理トラック112との間でウエハWの受け渡しを行うことができる。
第1処理トラック111および第2処理トラック112は、ほぼ同様な処理をウエハWに施すことができる。第1処理トラック111と第2処理トラック112とは、搬送路110の中心線を含む鉛直面に対して対称に構成されており、各処理トラック111,112は、フッ酸などの薬液や純水を用いた処理を施すための薬液処理部MTCと、薬液処理部MTCによる処理が施された後のウエハWに対して超音波洗浄や純水洗浄などの洗浄処理およびウエハWを高速回転させて水切り乾燥するスピン乾燥処理を施すための洗浄処理部DTCとを有している。
【0032】
薬液処理部MTCに関連して、主搬送ロボットMTRから未処理のウエハWを受け取り、このウエハを薬液処理部MTCに搬入する第1の副搬送ロボットSTR1が設けられている。また、薬液処理部MTCと洗浄処理部DTCとの間には、薬液処理が施された後のウエハWを洗浄処理部DTCに移送するための第2の副搬送ロボットSTR2が設けられている。また、洗浄処理部DTCのインデクサユニット102側には、洗浄処理が施された後のウエハWを主搬送ロボットMTRに受け渡すための第3の副搬送ロボットSTR3が設けられている。
【0033】
この構成により、カセットCから取り出されたウエハWに対して、薬液処理部MTCおよび洗浄処理部DTCによる一連の処理が順に施され、この処理が終了した後に、当該ウエハWはカセットCに収納されることになる。
主搬送ロボットMTRが往復直線移動する搬送路110の下方、すなわち、搬送室115の下方には、搬送路110に沿って、長尺な排気集合容器120が配置されている。
【0034】
図4は、排気集合容器120の構成を示す平面図であり、図5は図4の切断面線V−Vから見た断面図であり、図6は図5の矢印VI方向から見た正面図である。排気集合容器120は、長手方向に直交する断面が上下方向に長い長方形である排気流入部121を備え、この排気流入部121の一端には、排気集合容器120の長手方向に直交する断面がほぼ正方形である排気流出部122が結合されている。さらに、排気流出部122の端部には、断面が円形の排気出口125が設けられている。
【0035】
排気流入部121の側面123,124には、断面が円形の排気流入口131,132,133,134が外方に突出して形成されており、この排気流入口131,132,133,134には、それぞれ、副排気管141,142,143,144が接続されている。これらの副排気管141,142,143,144は、それぞれ、第1処理トラック111の薬液処理部MTC、第1処理トラック111の洗浄処理部DTC、第2処理トラック112の薬液処理部MTC、第2処理トラック112の洗浄処理部DTCに接続されている。副排気管141,142,143,144は、排気ダクトで構成されてもよく、また、装置の壁面を利用して形成された通路であってもよいが、各副排気管141,142,1433,144の圧力損失がほぼ等しくされていることが必要である。すなわち、副排気管141,142,143,144は、各部の直径(または相当直径)、長さ、および形状などが、圧力損失が相互に等しくなるように設計されている。
【0036】
図3に示すように、排気出口125には、主排気管130の一端が結合されている。この主排気管130の他端は、負圧源140に結合されている。そして、主排気管130の途中部には、排気流量調整手段としてのダンパ150が介装されている。
上記の構成によれば、第1処理トラック111および第2処理トラック112が備える複数の処理部(各処理トラック111,112の薬液処理部MTCおよび洗浄処理部DTC)を排気集合容器120に結合する副排気管141,142,143,144の圧力損失が均一であるので、各副排気管141,142,143,144にダンパなどの排気流量調整機構を設けることなく、各処理部の排気を良好に行える。したがって、排気のための構成を簡単にすることができ、かつ、排気流量の調整のための難作業が不要である。
【0037】
また、主排気管130の途中部に介装されたダンパ150を調整するだけで、排気流量を一括して調整することができる。
さらに、この実施形態の構成では、主搬送ロボットMTRの搬送路110の下方に排気集合容器120が配置されているので、装置のスペースを有効に利用することができる。
【0038】
なお、排気集合容器120は、各副排気管141,142,143,144からの排気の流速が排気集合容器120内において1/5以下に減速されるように構成されている。換言すれば、排気集合容器120は、各副排気管141,142,143,144からの排気の流れ方向Rに直交する断面の面積が、当該副排気管との接続部の面積の5倍以上となるように構成されている。これにより、いわゆるプリナムチャンバー効果を有効に利用することができ、複数の副排気管141,142,143,144における排気流量のさらなる均一化を図ることができる。
【0039】
図7は、この発明の第4の実施形態に係る基板処理装置の構成を示す平面図である。この基板処理装置もまたウエハWに処理を施すためのものである。この基板処理装置は、ウエハWの表面にフォトレジストを塗布する工程と、露光後のフォトレジスト膜を現像する工程とを行うための装置である。
この基板処理装置は、インデクサ部201と、ウエハWに処理を施すため処理ユニット部202と、露光装置(図示せず)と処理ユニット部201との間でウエハを受け渡しするためのインタフェース部203とを備えている。
【0040】
インデクサ部201は、複数枚のウエハWをそれぞれ収容することができるカセット205を複数個整列して載置できるカセット載置部206と、このカセット載置部206に沿う搬送路207を往復移動してカセット205に対するウエハWの搬入/搬出を行うインデクサロボット208とを備えており、いずれかのカセット205から取り出した未処理のウエハWを処理ユニット部202に受け渡す機能と、処理済みのウエハWを処理ユニット部202から受け取って、いずれかのカセット205に収納する機能とを有している。
【0041】
処理ユニット部202は、平面視において、中央に主搬送ロボット210を有している。この主搬送ロボット210は、ウエハWを保持するためのピンセットと、このピンセットを昇降させるための昇降機構と、ピンセットを鉛直な回転軸線まわりに回動させるための回動機構と、ピンセットを回転軸線に対して近接/離反する方向に進退させるための進退機構とを備えている。
【0042】
主搬送ロボット210の周囲には、第1ないし第5処理部群G1,G2,G3,G4,G5が配置されており、これらで取り囲まれた空間は、主搬送ロボット210が昇降する搬送室215を形成している。各処理部群G1,G2,G3,G4,G5は、それぞれ上下方向に複数の処理部が多段に積層された構造となっており、主搬送ロボット210のピンセットの昇降、回動および進退によって、各処理部へのウエハWの搬入、および各処理部からのウエハWの搬出が可能である。
【0043】
インタフェース部203には、可搬性のカセット211と定置型のバッファカセットBRとが2段に積層されて配置されている。このインタフェース部203には、処理ユニット部202からウエハWを受け取って上記のカセット211またはバッファカセットBRに収容するためのロボット212と、ウエハの周辺部を露光するための周辺露光装置213とが備えられている。
【0044】
図8は、上記基板処理装置の簡略化した縦断面図である。インデクサ部201と、主搬送ロボット210との間に配置された第3の処理部群G3は、冷却処理を行うためのクーリングユニットCOL、レジスト膜の密着性を高めるための処理を行うアドヒージョンユニットAD、ウエハWの位置合わせを行うためのアライメントユニットALIM、イクステンションユニットEXT、露光処理前の加熱処理を行うプリベーキングユニットPREBKE、および露光処理後の加熱処理を行うポストベーキングユニットPOBAKEが、下から順に8段に積層されている。インデクサ部201と主搬送ロボット210との間のウエハWの授受は、アライメントユニットALIMをインタフェースとして行われる。
【0045】
第4の処理部群G4も同様に、クーリングユニットCOL、イクステンション・クーリングユニットEXT、クーリングユニットCOL、プリベーキングユニットPREBAKE、およびポストベーキングユニットPOBAKEが、下から順に8段に積層されている。
第1、第2および第5の処理部群G1,G2,G5については、加熱処理部を含まない薬液処理部群、あるいは洗浄処理部群であり、複数の処理部が多段に積層されている。
【0046】
主搬送ロボット210が配置されている搬送室215の上方には、排気集合容器220が配置されている。この排気集合容器220は、第1ないし第5の処理部群G1〜G5に備えられた各処理部と副排気管SPによってそれぞれ結合されている。この複数の副排気管SPは、圧力損失が相互にほぼ等しくなるように直径および長さが調整されている。排気集合容器220は、さらに、主排気管MPを介して負圧源225に接続されている。主排気管MPの途中部には、ダンパ226が介装されており、このダンパ226の調整により、総排気流量の調整が可能である。
【0047】
このように、この実施形態においては、平面視においてクラスター型に配置された複数の処理部と、その中央に配置された搬送室215の上方に設けられた排気集合容器220との間は、圧力損失が等しい複数の副排気管SPによってそれぞれ結合されている。そのため、各副排気管SPに流量調整機構を設けることなく、各処理部の排気を良好に行うことができる。しかも、主排気管MPに介装されたダンパ226の調整を調整すれば、個々の副排気管SPの排気流量をも一括して調整することができる。
【0048】
さらに、この実施形態においては、搬送室215の上方に排気集合容器220が配置されているから、スペースの有効利用を図ることができる。また、プリベーキングユニットやポストベークユニットなどからの高温の排気のために排気集合容器220が高温になるけれども、この排気集合容器220は、搬送室215の上方に配置されているため、主搬送ロボット210によって搬送されるウエハWや各処理部において処理されているウエハWに対して、排気集合容器220からの熱の影響が及ぶおそれはない。したがって、排気集合容器220を冷却するための構成を設ける必要はない。
【0049】
なお、複数の副排気管SPの排気流量のさらなる均一化を図るために、任意の副排気管SPからの排気の流れ方向に直交する断面の面積が当該副排気管SPと排気集合容器220との接続部の面積の5倍以上となるように排気集合容器220を構成し、プリナムチャンバー効果を利用できるようにすることが好ましい。図9は、この発明の第5の実施形態に係る基板処理装置の全体の構成を示す斜視図である。この基板処理装置は、第4の実施形態の装置と同じく、ウエハWへのフォトレジスト塗布工程、および露光処理後のフォトレジスト現像工程を実行するための装置である。
【0050】
この基板処理装置は、インデクサ部IDと、ホットプレートなどの加熱処理部を含む第1処理部群310と、加熱処理部を含まない第2処理部群320とを有している。第1処理部群310と第2処理部群320とは、直線状の搬送路331を挟んで対向配置されており、この搬送路331には、低温ロボットTCが配置されている。この低温ロボットTCは、搬送路331に沿って往復直線移動が可能であり、かつ、ウエハWを保持するためのピンセットを鉛直軸線まわりに回動させることができるように構成されており、主として第1処理部群310と第2処理部群320との間でのウエハWの移載を行う。
【0051】
また、第1処理部群310に対して搬送路331とは反対側には、直線状の搬送路332が設けられている。この搬送路332には、高温ロボットTHが配置されている。この高温ロボットTHは、搬送路332に沿って往復直線移動することができ、ウエハWを保持するためのピンセットを、昇降させたり、鉛直軸線まわりに回動させたり、その回動軸線に対して近接/離反変位させたりすることができるものである。これにより、高温ロボットTHは、インデクサIDから未処理のウエハWを受け取って第1処理部群310のなかのいずれかの処理部に搬入する機能と、第1処理部群310の処理部間でウエハWを移動させる機能と、処理済みのウエハWをインデクサ部IDに受け渡す機能とを有している。
【0052】
インデクサ部IDは、複数個のカセットCを直列に整列して載置することができるカセット載置部335と、カセット載置部335に沿う搬送路336を往復移動するインデクサロボット337とを備えている。インデクサロボット337は、カセット載置部335に載置されたいずれのカセットからウエハWを取り出して、高温ロボットTHに受け渡す機能と、高温ロボットTHから処理済みのウエハWを受け取って、カセット載置部335に載置されたいずれかのカセットにそのウエハWを収納する機能とを有する。
【0053】
なお、図9において、IFBは、この基板処理装置を露光装置(図示せず)と結合するためのインタフェース部であり、ウエハWを一時蓄えるためのバッファ部や、ウエハのハンドリングのためのロボットなどを備えている。
図10は、図9の切断面線X−Xにおける簡略化した断面図である。第1処理部群310は、多段に積層された複数の処理部をそれぞれ有するグループを搬送路331に沿って直列に配列して構成されている。そのうちの1つのグループには、たとえば、クールプレートCP、インタフェース部IF2、ホットプレートHP2、および2つのホットプレートHP4が、下から順に積層されている。低温ロボットTCは、搬送室301に収容されており、高温ロボットTHは、搬送室302に収容されている。
【0054】
第1処理部群310の上方には、この第1処理部群310の延在方向に沿って延びる長尺な排気集合容器340が設けられている。この排気集合容器340と、第1処理部群310を構成する個々の処理部との間は、それぞれ、副排気管SP1によって結合されている。この複数の副排気管SP1は、圧力損失がほぼ等しくなるように、直径および長さなどが調整されている。排気集合容器340は、さらに、主排気管MP1を介して負圧源350に結合されている。また、主排気管MP1の途中部には、排気流量を調整するためのダンパ351が設けられている。
【0055】
一方、第2処理部群320は、図9に示すように、ウエハWを回転させながらフォトレジストを塗布するためのスピンコータSCと、ウエハWを回転させながら現像液を供給することによって露光後のレジスト膜の現像を行うスピンデベロッパSD1およびSD2とを有している。スピンコータSCおよびスピンデベロッパSD1,SD2の下方の空間は、薬液や廃液を収納するための収納部341となっている。この収納部341内の適当な位置には、排気集合容器345が設けられている。排気集合容器345は、副排気管SP2を介して、第2処理部群320を構成する個々の処理部(スピンコータSCおよびスピンデベロッパSD1,SD2)にそれぞれ接続されている。副排気管SP2は、いずれも圧力損失が等しくなるように、長さおよび直径が調整されている。排気集合容器345は、主排気管MP2を介して、負圧源360に接続されている。主排気管MP2の途中部には、排気流量を調整するためのダンパ361が介装されている。
【0056】
この構成によれば、排気集合容器340に接続された複数の副排気管SP1、および排気集合容器345に接続された複数の副排気管SP2は、それぞれ圧力損失が等しいので、上述の第1ないし第4の実施形態と同様、個々に排気流量を調整するための機構を要することなく、各処理部からの排気を良好に行わせることができる。
【0057】
また、加熱処理部(ホットプレート)からの排気は、第1処理部群310の上方に設けられた排気集合容器340に導かれるから、第1および第2の処理部群310,320のいずれの処理部にも、排気集合容器340から放散される熱の影響が及ぶおそれはない。とくに、排気集合容器340は、薬液が使用されるスピンコータSCやスピンデベロッパSD1,SD2よりも上方に設けられているから、排気集合容器340から放散される熱が、薬液を用いた処理に悪影響を及ぼすおそれはない。また、排気集合容器340は、搬送ロボットTC,THが収容された搬送室310,302よりも上方に設けられているので、この排気集合容器340からの熱が搬送途中のウエハWに悪影響を及ぼすおそれもない。これにより、排気集合容器340を冷却するための特別の構成を要することなく、ウエハWに対する処理を良好に行える。
【0058】
なお、複数の副排気管SP1,SP2の排気流量のさらなる均一化を図るために、任意の副排気管SP1,SP2からの排気の流れ方向に直交する断面の面積が当該副排気管SP1,SP2と排気集合容器340,345との接続部の面積の5倍以上となるように排気集合容器340,345を構成し、プリナムチャンバー効果を利用できるようにすることが好ましい。
【0059】
この発明の5つの実施形態について説明してきたが、この発明が他の実施形態をとりうることは言うまでもない。たとえば、上述の第3の実施形態においては、搬送室115の下方に排気集合容器120が配置されているが、たとえば、搬送室115の上方に排気集合容器120を配置しても、装置内のスペースを有効に利用できる。
【0060】
また、上述の第4の実施形態においては、搬送室215の上方に排気集合容器220を配置した構成例について説明したが、排気集合容器は、処理部群G1,G2,G3,G4,G5のうちのいずれかの上方、または処理部群G3,G4のいずれかの下方に配置されてもよく、この場合には、2個以上の排気集合容器を設けたり、2つ以上の処理部群にわたって1個の排気集合容器を設けたりしてもよい。さらに、搬送室215の下方の適当なスペースに排気集合容器を配置するようにしてもよい。
【0061】
さらに、上述の第5の実施形態においては、加熱処理部を含む第1処理部群310の上方に第1処理部群310のための排気集合容器340が配置されているが、この第1処理部群310の下方に排気集合容器340を配置してもよく、また、搬送室301または搬送室302の上方または下方に排気集合容器340を配置してもよく、さらにまた、第2処理部群320の上方に排気集合容器340を配置してもよい。第2処理部群320のための排気集合容器345は、第2処理部群320の上方に配置されてもよく、また、搬送室301の上方または下方に配置されてもよく、さらにまた、第1処理部群310の上方または下方に配置にされてもよい。
【0062】
また、上述の各実施形態においては、ウエハの処理を行う基板処理装置について主として説明したが、この発明は、液晶表示装置用ガラス基板やPDP表示装置用ガラス基板などの他の種類の基板を処理するための装置にも同様に適用することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の設計変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の概念的な構成を示す図解的な平面図である。
【図2】図2は、この発明の第2の実施形態に係る基板処理装置の概念的な構成を示す図解的な平面図である。
【図3】図3は、この発明の第3の実施形態に係る基板処理装置の構成を示す平面図である。
【図4】図4は、排気集合容器120の構成を示す平面図でである。
【図5】図5は図4の切断面線V−Vから見た断面図である。
【図6】図6は図5の矢印VI方向から見た正面図である。
【図7】図7は、この発明の第4の実施形態に係る基板処理装置の構成を示す平面図である。
【図8】図8は、上記第4の実施形態の基板処理装置の簡略化した縦断面図である。
【図9】図9は、この発明の第5の実施形態に係る基板処理装置の全体の構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、上記第5の実施形態の基板処理装置の内部構成を簡略化して示す断面図である。
【図11】従来の基板処理装置における排気に関連する構成を概念的に示す図解図である。
【図12】排気に関連する構成の他の従来例の構成を示す図解図である。
【図13】相当直径の概念を説明するための図である。
【符号の説明】
6 排気集合容器
7 主排気管
8 負圧源
9 ダンパ
51,52,53,54,55 処理部
61,62,63,64,65 副排気管
MTC 薬液処理部
DTC 洗浄処理部
MTR 主搬送ロボット
115 搬送室
120 排気集合容器
130 主排気管
140 負圧源
150 ダンパ
141,142,143,144 副排気管
210 主搬送ロボット
215 搬送室
G1,G2,G3,G4,G5 処理部群
220 排気集合容器
SP 副排気管
MP 主排気管
225 負圧源
226 ダンパ
310 第1処理部群
320 第2処理部群
TC 低温ロボット
TH 高温ロボット
301 搬送室
302 搬送室
340 排気集合容器
350 負圧源
351 ダンパ
SP1 副排気管
MP1 主排気管
345 排気集合容器
360 負圧源
361 ダンパ
SP2 副排気管
MP2 主排気管
Claims (5)
- 基板に処理を施すための複数の処理部と、
これらの複数の処理部にそれぞれ接続され、圧力損失がほぼ等しい複数の副排気管と、
これらの複数の副排気管を介して上記複数の処理部に接続された排気集合容器と、
この排気集合容器に接続された主排気管と、
この主排気管を介して上記排気集合容器に接続された負圧源と、
を備えたことを特徴とする基板処理装置。 - 上記複数の処理部のうちの少なくとも1つの処理部に対して基板を受け渡すための搬送手段と、
この搬送手段の周囲を取り囲むように形成された搬送室と、をさらに備え、
上記排気集合容器は、上記搬送室の上方または下方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。 - 上記複数の処理部は、基板に対して加熱処理を施すための加熱処理部を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
- 上記排気集合容器は、任意の副排気管から流入する排気の流れ方向に直交する断面積が、当該副排気管と上記排気集合容器との接続面の面積の5倍以上となるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置。
- 上記主排気管に、排気流量を調整するための排気流量調整手段が介装されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置。
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