JP3562702B2 - ベルトコンベヤのキャリアローラ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、様々な曲率を持つカーブを含んだ搬送経路で使用されるベルトコンベヤのキャリアローラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルトコンベヤは、土木や建築の分野で広く使用されてきた運搬機械であり、運搬対象物としては、骨材、セメント、掘削ずりなど広い範囲に及ぶが、古くからあるものは運搬距離にして数mの可搬式のものが多かった。
【0003】
一方、例えば山岳トンネルの掘削作業で生じた掘削ずりを運搬搬出する場合、機関車とトロを組み合わせたレール方式や、ダンプトラックなどの車両を用いるタイヤ方式が主流であったが、レール方式ではレールの維持保守にコストを要したり、タイヤ方式では入出坑、実車・空車の入換え、方向転換などに難点があって大断面トンネルでしか使えないといった問題がある。
【0004】
かかる状況下、最近では、人手をかけることなく長期間にわたってしかも大量の土を長距離搬送可能な長さ数十kmにも及ぶ大型のベルトコンベヤも開発されるようになってきた。
【0005】
かかるベルトコンベヤを用いれば、トンネルの規模によっては、従来のレール方式やタイヤ方式よりも低コスト・高効率で掘削ずりを搬出することができる。
【0006】
ベルトコンベヤは、一般的には、両端に設けられたテールプーリとヘッドプーリにエンドレスベルトを掛け、数m間隔で配置したキャリアローラでベルトを支持するとともに、返り側のベルトについてはリターンローラでこれを支持し、ベルト駆動用モータを機首側、あるいは積荷側(尾端側)に設けて構成することが多い。また、ベルトを支持するキャリアローラを単に平坦に配置するのではなく、下方に凸となるように配置することによって、その上を通過するベルトにトラフ角と呼ばれる湾曲変形を与え、搬送物が側方にこぼれるのを防止するのが一般的である。
【0007】
ここで、このようなベルトコンベヤにおいては、直線部分では発生し得ない特殊な問題がカーブ部分で生じる。すなわち、カーブ部分では、内周と外周の周長が異なることやベルトに張力が作用することに起因して、ベルトが曲率中心方向へ引っ張られ、キャリアローラから外れてしまうことがある。
【0008】
そのため、自動車の高速走行路面に設けられるバンクのごとく、キャリアローラによるトラフ角を左右対称とせずに曲率中心側に傾けるなどの工夫がなされていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トラフ角を左右非対称とする構成では、どうしてもカーブの曲率に限度があり、200mR程度以下の曲率半径では、カーブがきつすぎてやはりベルトがキャリアローラから外れてしまったり、これを無理に拘束しようとするとカーブ外側で引張力が過大となってベルトが切れてしまうという問題を生じていた。
【0010】
一方、かかる問題を解決すべく、ベルトそのものをU字状あるいは円筒状に丸く成形加工し、テール側及びヘッド側でのみ平坦状に戻して搬送物の積み降ろしをするように構成したベルトコンベヤも開発されており、かかるベルトコンベヤによれば、搬送中においてはベルトがU字状あるいは円筒状になっているため、曲率の大きなカーブに適用してもベルトが外れてしまうという懸念がないとともに、搬送物がU字状あるいは円筒状内部空間に収納された状態で搬送されるため、搬送途中で搬送物がこぼれてしまうこともないという利点を有する。
【0011】
ところが、かかるベルトコンベヤでは、ベルト自体を特殊加工する必要があるためコストが高くなったり、ベルト自体がU字状や円筒状に予め加工成形してある関係上、リターン側でもその形状を保持させた状態で戻す必要があり、その結果、キャリア側とリターン側とを合わせたコンベヤ断面が大きくなり、ベルトコンベヤ全体の設置占有スペースが大きくなるという問題を生じており、常設で使用する分にはともかく、仮設での使用には適さないという問題を生じていた。
【0012】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、曲率の大きなカーブにも適用可能であってなおかつ製造コストを低減可能なベルトコンベヤのキャリアローラ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置は請求項1に記載したように、ベルトを搬送支持するためのキャリアローラがそれぞれ設けられた複数のローラ支持要素を回動自在に連結してなるキャリア機構と、該キャリア機構を支持する支持架台と、前記ローラ支持要素をその回動位置が調整自在となるように保持する調整保持機構とを備え、前記調整保持機構を両端に連結ピンが差し込まれる連結孔が設けられた起伏部材で構成してその各端を前記支持架台と前記キャリア機構の前記ローラ支持要素とにそれぞれ連結するとともに、前記連結孔のうち、少なくともいずれかの側の連結孔を複数個で構成したものである。
【0015】
また、本発明に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置は、前記キャリア機構の両端に連結部を設けるとともに、該各連結部をつなぎ部材の各端に設けられた被連結部にそれぞれ連結できるように構成したものである。
【0016】
また、本発明に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置は、前記キャリアローラを前記ローラ支持要素ごとに鉛直面に対して千鳥状に配置したものである。
【0017】
本発明に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置においては、キャリア機構を構成する複数のローラ支持要素のそれぞれに設けられたキャリアローラでベルトを支持するが、ローラ支持要素についてはこれらを回動自在に連結してあり、調整保持機構を操作することによってかかるローラ支持要素の回動位置を調整するようになっている。そして、ベルトコンベヤのベルトを直線状に走行させる場合には、キャリア機構が例えば従来と同様の形状、すなわち下方にやや凸となる湾曲形状となるように調整保持機構でローラ支持要素の回動位置を調整する。このようにすると、ベルトは、キャリア機構によって所定のトラフ角で支持されることとなる。
【0018】
一方、ベルトが例えば200mR程度の曲率半径を持つカーブに沿って搬送される場合には、キャリア機構の全体形状がU字状となるように該キャリア機構を構成するローラ支持要素の回動位置を調整保持機構で調整する。このようにすると、ベルトは、キャリア機構によってU字状断面に変形し、上述したカーブに適した変形状態となる。
【0019】
また、ベルトがさらに急カーブに沿って搬送される場合には、キャリア機構の全体形状が円環状となるように該キャリア機構を構成するローラ支持要素の回動位置を調整保持機構で調整する。このようにすると、ベルトは、キャリア機構によって円筒状断面に変形し、上述した急カーブに適した変形状態となる。
【0020】
キャリア機構を支持架台でどのように支持するかは任意であり、例えば複数のローラ支持要素のうち、キャリア機構の中間に位置するものを支持架台に固定する方法が考えられる。なお、この場合、キャリア機構の中間に位置するローラ支持要素を、キャリアローラを支持架台に直接取り付けて構成するようにしてもよい。一方、キャリア機構を対で構成し、該一対のキャリア機構を互いに向かい合う位置にて支持架台に固定しあるいは回動自在に連結する方法も考えられる。なお、この場合、一対のキャリア機構の基端部を離隔状態で支持架台に固定あるいは回動自在に連結し、その間に新たなローラ支持要素を設けるようにしてもよい。そして、かかるローラ支持要素については、上述したようにキャリアローラを支持架台に直接取り付けて構成することができる。
【0021】
ローラ支持要素は、そのすべてが隣接するローラ支持要素に回動自在に連結されている必要はなく、一部のローラ支持要素間では回動できないように連結されている場合も含む。
【0022】
ここで、複数のローラ支持要素に設けられる各キャリアローラを同一の鉛直面内に配置するようにしてもよいが、かかるキャリアローラを前記ローラ支持要素ごとに鉛直面に対して千鳥状に配置したならば、ベルトをU字状あるいは円筒状に変形させるべく、各ローラ支持要素をキャリア機構が閉じる方向に回動させたときに、隣接するキャリアローラ同士が接触するおそれがなくなる。
【0023】
調整保持機構は、搬送経路のカーブの曲率に応じた断面形状となるようにベルトをキャリア機構で変形させることができる限り、必ずしもすべてのローラ支持要素の回動位置を調整できるように構成しておく必要はなく、一部のローラ支持要素の回動位置を調整するだけで足りる場合も考えられる。なお、直線状の経路であってもベルトに一定のトラフ角を付与することが一般的であるため、かかるトラフ角にてベルトが変形される場合をキャリア機構の最大の開き位置とし、それを上回って各ローラ支持要素が回動しないように制限することが考えられる。
【0024】
このように調整保持機構は、すべてのローラ支持要素の回動位置を調整できるように構成してもよいし、その一部を調整できるように構成してもよい。また、その構成をどのようにするかは任意であり、例えば車載ジャッキのような手動式油圧アクチュエータをローラ支持要素と支持架台との間に介在させ、その伸縮操作でローラ支持要素を起伏させてその回動状態を変化させるように構成したり、ヒンジ接合されたローラ支持要素の連結箇所を跨ぐように調整ロッドを取り付け、該調整ロッドを操作することで該ローラ支持要素同士の回動角度を変化させる構成などが考えられる。
【0025】
ここで、かかる調整保持機構を、両端に連結ピンが差し込まれる連結孔が設けられた起伏部材で構成してその各端を前記支持架台と前記キャリア機構の前記ローラ支持要素とにそれぞれ連結するとともに、前記連結孔のうち、少なくともいずれかの側の連結孔を複数個で構成したならば、連結ピンが差し込まれる連結孔の位置に応じて、ローラ支持要素の起伏の程度、すなわち回動位置を正確かつ容易に変化させることができる。
【0026】
また、前記キャリア機構の両端に連結部を設けるとともに、該各連結部をつなぎ部材の各端に設けられた被連結部にそれぞれ連結できるように構成したならば、該つなぎ部材及びキャリア機構によってその内部にクローズな中空空間が安定した構造で形成されることとなり、該中空空間を通るベルトをU字状あるいは円筒状に容易に変形させることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
図1は、本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置を示した全体図である。同図でわかるように、本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置1は、ベルト2を搬送支持するキャリア機構3と、該キャリア機構を支持する支持架台4とを備え、キャリア機構3は、5つのローラ支持要素5a〜5eをヒンジ接合によって相互に回動自在となるように連結するとともに各ローラ支持要素5a〜5eにベルト2を搬送支持するためのキャリアローラ6を設けてある。
【0029】
かかるキャリアローラ6は、同図(b)でよくわかるようにローラ支持要素5a〜5eごとに鉛直面に対して千鳥状に配置してあり、ローラ支持要素5a〜5eを回動させてキャリア機構3を湾曲状からU字状さらには円環状へと閉じていったときにキャリアローラ6同士の接触が未然に防止できるようになっている。
【0030】
ここで、ローラ支持要素5a〜5eのうち、キャリア機構3の中央に位置するローラ支持要素5cは支持架台4に固定してあり、該ローラ支持要素5cを介してキャリア機構3全体及びそれに搬送されるベルト2並びに該ベルトに積載される搬送物の重量を支持架台4で支持するようになっている。
【0031】
また、ローラ支持要素5aとローラ支持要素5bとは、上述したようにヒンジ接合によって回動自在に連結してあるが、キャリア機構3の開き状態が同図一点鎖線で示す位置で最大となるように構成してある。かかる最大の開き位置は、例えば直線経路上のベルト2に対して最適なトラフ角が付与されるように適宜設定すればよい。なお、ローラ支持要素5dとローラ支持要素5eについても同様に構成してある。
【0032】
また、ローラ支持要素5bとローラ支持要素5dには、それらの回動位置(水平面に対する起伏角)を調整自在に保持する調整保持機構としての起伏部材7、7をそれぞれ連結してある。
【0033】
各起伏部材7は、短冊状の鋼材(例えばFB)で構成してあり、その上端には図示しない連結ピンを介してローラ支持要素5b、5dに連結するための連結孔9を設けてあるとともに、下端にはやはり図示しない連結ピンを介して支持架台4に連結するための連結孔8を設けてある。ここで、連結孔8は、複数個(同図では4ヶ所)設けてあり、連結ピンの差込位置を変えることによってローラ支持要素5b、5dの回動位置(起伏角度)を調整し、ひいては同図でわかるようにキャリア機構3全体の開き状態を変化させることができるようになっている。
【0034】
一方、キャリア機構3の両端、すなわちローラ支持要素5aとローラ支持要素5eの各解放端には連結部11、11を設けてあり、該各連結部を調整保持機構としてのつなぎ部材12の各端に設けられた被連結部13、13にそれぞれ連結できるようになっている。
【0035】
本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置1においては、キャリア機構3を構成する複数のローラ支持要素5a〜5eのそれぞれに設けられたキャリアローラ6でベルト2を搬送支持するが、ローラ支持要素5a〜5eについてはこれらを回動自在に連結してあり、調整保持機構である起伏部材7及びつなぎ部材12を用いることによってローラ支持要素5a〜5eの回動位置、ひいてはキャリア機構3の開き状態を調整することができる。
【0036】
具体的に説明すると、まず、ベルトコンベヤのベルト2を直線状に走行させる場合には、キャリア機構3が例えば従来と同様の形状、すなわち下方にやや凸となる湾曲形状となるように連結孔8の位置を適宜選択し、かかる連結孔8に連結ピンを差し込んで起伏部材7を支持架台4に連結し、ローラ支持要素5b、5dの回動位置(起伏角度)を調整する。このようにすると、ベルト2は、キャリア機構3によって所定のトラフ角で搬送支持されることとなる(図1の一点鎖線で示した開き状態)。
【0037】
次に、直線ではないが緩やかなカーブに沿ってベルト2を走行させる場合には、連結ピンが差し込まれる起伏部材7の連結孔8の位置を変えることにより、ローラ支持要素5b、5dの回動位置(起伏角度)を調整してキャリア機構3を閉じ、例えば図1の実線で示した開き状態に移行してベルト2のトラフ角を大きくする。
【0038】
なお、カーブの曲率半径がさらに小さい場合には、連結ピンが差し込まれる連結孔8の位置を順次下げながら、上述したと同様の手順でキャリア機構3を閉じ、ベルト2を変形させてそのトラフ角を大きくしていけばよい。
【0039】
一方、ベルト2が例えば200mR程度の曲率半径を持つカーブに沿って搬送される場合には、図2に示すように連結ピンが差し込まれる連結孔8の位置を最も下のものに差し替えてローラ支持要素5b、5dを水平面に対し例えば60度程度に起こすとともに、つなぎ部材12の両端に設けられた被連結部13、13をローラ支持要素5aとローラ支持要素5eの各端に設けられた連結部11、11にそれぞれ連結する。
【0040】
このようにすると、キャリア機構3は、全体としてU字状となるように保持されるとともに、ベルト2はかかるキャリア機構3によってU字状断面に変形し、上述したカーブに適した変形状態となる。
【0041】
次に、ベルト2がさらに急カーブに沿って搬送される場合には、図3に示すようにつなぎ部材12を取り外し、別のつなぎ部材21をつなぎ部材12と同様にしてローラ支持要素5aとローラ支持要素5eの各端に設けられた連結部11、11にそれぞれ連結する。
【0042】
このようにすると、キャリア機構3は、全体として円環状となるように保持されるとともに、ベルト2はかかるキャリア機構3によって円筒状断面に変形し、上述したカーブに適した変形状態となる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置1によれば、調整保持機構である起伏部材7やつなぎ部材12あるいはつなぎ部材21を用いることによってキャリア機構3の開き状態を変え、ひいては該キャリア機構に保持されるベルト2の断面形状をカーブの曲率に応じて変形させることが可能となる。
【0044】
したがって、搬送経路に直線部分やさまざまな曲率を有するカーブ部分がさまざまに入り混じっているような場合であっても、本実施形態のキャリアローラ装置1を用いれば、その経路のカーブ状況に応じた適切な断面形状にベルト2を変形させることが可能となり、従来のようにベルトがキャリアローラから外れたり、周長差に起因する無理な引張応力がベルトに作用してベルトが破損したりといった事態を未然に防止することができる。また、直線部分も含めて任意の曲率の搬送経路に適用可能な汎用性の高い装置となるため、刻々と変化する現場の状況に応じてベルトコンベヤのレイアウトを変更せねばならないような状況であっても、かかる状況に容易に対応することができる。さらには、通常の汎用ベルトを使用することができるため、既設のベルトコンベヤへの組込みも容易に行うことが可能となり、ベルトコンベヤ全体の設備コストを大幅に低減することができる。
【0045】
なお、本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置1は、上述したようにベルト2自体を予め円筒状あるいはU字状に加工するわけではないため、リターン側ではフラットな状態で戻すことができるので、装置全体をコンパクトにまとめることができることは言うまでもない。
【0046】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置1によれば、両端に連結ピンが差し込まれる連結孔8、9が設けられた起伏部材7で調整保持機構を構成し、その各端を支持架台4とキャリア機構3のローラ支持要素5b、5dとにそれぞれ連結するとともに、支持架台4側の連結孔8を複数個で構成したので、連結ピンが差し込まれる連結孔8の位置に応じて、ローラ支持要素5b、5dの起伏の程度、すなわち回動位置を正確かつ容易に変化させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置1によれば、キャリア機構3の両端に連結部11,11を設けるとともに、該各連結部をつなぎ部材12又はつなぎ部材21の各端に設けられた被連結部13,13にそれぞれ連結できるように構成したので、該つなぎ部材及びキャリア機構3によってその内部にクローズな中空空間が安定した構造で形成されることとなり、該中空空間を通るベルト2をU字状あるいは円筒状に容易に変形させることができる。
【0048】
したがって、搬送経路が急カーブであっても、汎用ベルトに無理な引張力が作用して切れてしまったり、キャリアローラから外れてしまったりといった事態を未然に防止することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置1によれば、キャリアローラ6をローラ支持要素5a〜5eごとに鉛直面に対して千鳥状に配置するようにしたので、ローラ支持要素5a〜5eを回動させてキャリア機構3を湾曲状からU字状さらには円環状へと閉じていったときにキャリアローラ6同士の接触を未然に防止することが可能となる。
【0050】
本実施形態では、キャリア機構3の中間に位置するローラ支持要素5cを支持架台4に固定することでキャリア機構3の重量を支持架台4で支持するように構成したが、これに代えて、図4に示すようにキャリア機構を一対のキャリア機構3a、3bで構成し、該一対のキャリア機構を互いに向かい合うように対向させた状態にて、キャリア機構3aのローラ支持要素5bの基端側とキャリア機構3bのローラ支持要素5dの基端側とをそれぞれ支持架台4に回動自在に連結するようにしてもよい。
【0051】
かかる構成においても、上述の実施形態とほぼ同様の作用効果を奏する。なお、ローラ支持要素5bの基端側とローラ支持要素5dの基端側との間の離間距離が大きい場合には、両者の間に新たなキャリアローラを支持架台4に別途取り付け、該キャリアローラでベルト2の中央部分を支持するように構成してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、短冊状の鋼材の両端に連結孔8、9が設けられた起伏部材7で調整保持機構を構成したが、これに代えて手動式油圧アクチュエータで起伏部材を構成してもよい。
【0053】
かかる構成においては、該手動式油圧アクチュエータの伸縮操作でローラ支持要素5b、5dを起伏させてその回動状態を変化させるように構成することができる。
【0054】
また、図5に示すように、ヒンジ接合されたローラ支持要素5a〜5eの連結箇所を跨ぐように調整ロッド31を取り付け、該調整ロッドの調整ボルト32をねじ込んだり緩めたりといった操作を行うことでローラ支持要素5a〜5e同士の回動角度を変化させるようにしてもよい。この場合には、かかる調整ロッド31が調整保持機構として作用するので、上述の実施形態で用いた起伏部材7やつなぎ部材12あるいはつなぎ部材21は不要となるとともに、ローラ支持要素5a、5eに設けた連結部11も省略することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に係る本発明のベルトコンベヤのキャリアローラ装置によれば、調整保持機構を用いることによってキャリア機構の開き状態を変え、ひいては該キャリア機構に保持されるベルトの断面形状をカーブの曲率に応じて変形させることが可能となる。
【0056】
したがって、搬送経路に直線部分やさまざまな曲率を有するカーブ部分がさまざまに入り混じっているような場合であっても、その経路のカーブ状況に応じた適切な断面形状にベルトを変形させることが可能となり、従来のようにベルトがキャリアローラから外れたり、周長差に起因する無理な引張応力がベルトに作用してベルトが破損したりといった事態を未然に防止することができる。
【0057】
また、請求項1に係る本発明のベルトコンベヤのキャリアローラ装置によれば、連結ピンが差し込まれる連結孔の位置に応じて、ローラ支持要素の起伏の程度、すなわち回動位置を正確かつ容易に変化させることができるという作用効果も奏する。
【0058】
また、請求項2に係る本発明のベルトコンベヤのキャリアローラ装置によれば、つなぎ部材及びキャリア機構によってその内部にクローズな中空空間が安定した構造で形成されることとなり、該中空空間を通るベルトをU字状あるいは円筒状に容易に変形させることができるとともに、その結果、搬送経路が急カーブであっても、汎用ベルトに無理な引張力が作用して切れてしまったり、キャリアローラから外れてしまったりといった事態を未然に防止することが可能となるという作用効果も奏する。
【0059】
また、請求項3に係る本発明のベルトコンベヤのキャリアローラ装置によれば、ローラ支持要素を回動させてキャリア機構を湾曲状からU字状さらには円環状へと閉じていったときにキャリアローラ同士の接触を未然に防止することが可能となるという作用効果も奏する。
【0060】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置1の図であり、(a)は全体正面図、(b)は全体平面図。
【図2】ベルト2がU字状に変形するように起伏部材7及びつなぎ部材12を用いてキャリア機構3の開き状態を保持した様子を示した図であり、(a)は全体正面図、(b)は全体平面図。
【図3】ベルト2が円筒状に変形するように起伏部材7及びつなぎ部材21を用いてキャリア機構3の開き状態を保持した様子を示した図であり、(a)は全体正面図、(b)は全体平面図。
【図4】変形例に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置を示した図であり、(a)は全体正面図、(b)は全体平面図。
【図5】調整保持機構の変形例を示した詳細正面図。
【符号の説明】
1 ベルトコンベヤのキャリアローラ装置
2 ベルト
3、3a、3b キャリア機構
4 支持架台
5a〜5e ローラ支持要素
6 キャリアローラ
7 起伏部材(調整保持機構)
8 連結孔
12、21 つなぎ部材(調整保持機構)
31 調整ロッド(調整保持機構)

Claims (3)

  1. ベルトを搬送支持するためのキャリアローラがそれぞれ設けられた複数のローラ支持要素を回動自在に連結してなるキャリア機構と、該キャリア機構を支持する支持架台と、前記ローラ支持要素をその回動位置が調整自在となるように保持する調整保持機構とを備え、前記調整保持機構を両端に連結ピンが差し込まれる連結孔が設けられた起伏部材で構成してその各端を前記支持架台と前記キャリア機構の前記ローラ支持要素とにそれぞれ連結するとともに、前記連結孔のうち、少なくともいずれかの側の連結孔を複数個で構成したことを特徴とするベルトコンベヤのキャリアローラ装置。
  2. 前記キャリア機構の両端に連結部を設けるとともに、該各連結部をつなぎ部材の各端に設けられた被連結部にそれぞれ連結できるように構成した請求項1記載のベルトコンベヤのキャリアローラ装置。
  3. 前記キャリアローラを前記ローラ支持要素ごとに鉛直面に対して千鳥状に配置した請求項1記載のベルトコンベヤのキャリアローラ装置。
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