JP3775636B2 - リターンローラ装置及びそれを用いたベルトコンベヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、様々な曲率を持つカーブを含んだ搬送経路で使用されるリターンローラ装置及びそれを用いたベルトコンベヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルトコンベヤは、土木や建築の分野で広く使用されてきた運搬機械であり、運搬対象物としては、骨材、セメント、掘削ずりなど広い範囲に及ぶが、古くからあるものは運搬距離にして数mの可搬式のものが多かった。
【0003】
一方、例えば山岳トンネルの掘削作業で生じた掘削ずりを運搬搬出する場合、機関車とトロを組み合わせたレール方式や、ダンプトラックなどの車両を用いるタイヤ方式が主流であったが、レール方式ではレールの維持保守にコストを要したり、タイヤ方式では入出坑、実車・空車の入換え、方向転換などに難点があって大断面トンネルでしか使えないといった問題がある。
【0004】
かかる状況下、最近では、人手をかけることなく長期間にわたってしかも大量の土を長距離搬送可能な長さ数十kmにも及ぶ大型のベルトコンベヤも開発されるようになってきた。
【0005】
かかるベルトコンベヤを用いれば、トンネルの規模によっては、従来のレール方式やタイヤ方式よりも低コスト・高効率で掘削ずりを搬出することができる。
【0006】
ベルトコンベヤは、一般的には、両端に設けられたテールプーリとヘッドプーリにエンドレスベルトを掛け、数m間隔で配置したキャリアローラでベルトを支持するとともに、戻り側のベルトについてはリターンローラでこれを支持し、ベルト駆動用モータを機首側、あるいは積荷側(尾端側)に設けて構成することが多い。また、ベルトを支持するキャリアローラを単に平坦に配置するのではなく、下方に凸となるように配置することによって、その上を通過するベルトにトラフ角と呼ばれる湾曲変形を与え、搬送物が側方にこぼれるのを防止するのが一般的である。
【0007】
ここで、このようなベルトコンベヤにおいては、直線部分では発生し得ない特殊な問題がカーブ部分で生じる。すなわち、カーブ部分では、内周と外周の周長が異なることやベルトに張力が作用することに起因して、ベルトが曲率中心方向へ引っ張られ、キャリアローラやリターンローラから外れてしまうことがある。
【0008】
そのため、ベルトそのものをU字状あるいは円筒状に丸く成形加工し、テール側及びヘッド側でのみ平坦状に戻して搬送物の積み降ろしをするようにしたベルトコンベヤも開発されており、かかるベルトコンベヤによれば、搬送中においてはベルトがU字状あるいは円筒状になっているため、曲率の大きなカーブに適用してもベルトが外れてしまうという懸念がないとともに、搬送物がU字状あるいは円筒状内部空間に収納された状態で搬送されるため、搬送途中で搬送物がこぼれてしまうこともないという利点を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかるベルトコンベヤでは、ベルト自体を特殊加工する必要があるため、ベルト製作コストが高くなることはもちろん、キャリア側とリターン側とを合わせたコンベヤ断面が大きくなり、ベルトコンベヤ全体の占有スペースが大きくなったり、ベルトコンベヤの製作コストが高くなったりするという問題を生じていた。
【0010】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、曲率の大きなカーブにも適用可能であってなおかつ製作コストを低減可能なリターンローラ装置及びそれを用いたベルトコンベヤを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るリターンローラ装置は請求項1に記載したように、曲線状に配置されるベルトコンベヤのリターンローラ装置であって、リターンローラをベルトの戻り側に配置するとともに該リターンローラを水平面に対して傾斜自在となるように架台に取り付け、前記ベルトの戻り側を、前記各リターンローラの上側と下側を交互に通過するように該リターンローラにそれぞれ掛けるとともに、カーブの外側では前記各リターンローラの高さ位置がほぼ揃うように、かつカーブの内側では前記各リターンローラの高さ位置が交互に上下するように前記リターンローラの傾斜角度を調整することにより前記ベルトの周長差を吸収するように構成したものである。
【0012】
また、本発明に係るベルトコンベヤは請求項2に記載したように、曲線状に配置されるベルトコンベヤであって、リターンローラをベルトの戻り側に配置するとともに該リターンローラを水平面に対して傾斜自在となるように架台に取り付けてなるリターンローラ装置を戻り方向に沿って所定間隔ごとに配置するとともに、該各リターンローラ装置のリターンローラの上側と下側に戻り側のベルトを掛け、前記ベルトの戻り側を、前記各リターンローラの上側と下側を交互に通過するように該リターンローラにそれぞれ掛けるとともに、カーブの外側では前記各リターンローラの高さ位置がほぼ揃うように、かつカーブの内側では前記各リターンローラの高さ位置が交互に上下するように前記リターンローラの傾斜角度を調整することにより前記ベルトの周長差を吸収するように構成したものである。
また、本発明に係るベルトコンベヤは請求項3に記載したように、キャリアローラ装置及びリターンローラ装置を備えてなり曲線状に配置されるベルトコンベヤであって、該キャリアローラ装置は、ベルトを搬送支持するためのキャリアローラがそれぞれ設けられた複数のローラ支持要素を回動自在に連結してなるキャリア機構と、該キャリア機構を支持する架台と、前記ローラ支持要素をその回動位置が調整自在となるように保持する調整保持機構とを備えるとともに、前記調整保持機構を両端に連結ピンが差し込まれる連結孔が設けられた起伏部材で構成してその各端を前記架台と前記キャリア機構の前記ローラ支持要素とにそれぞれ連結し、前記連結孔のうち、少なくともいずれかの側の連結孔を複数個で構成してなり、前記リターンローラ装置は、リターンローラを前記ベルトの戻り側に配置するとともに該リターンローラを水平面に対して傾斜自在となるように前記架台に取り付けて戻り方向に沿って所定間隔ごとに配置するとともに、前記リターンローラの上側と下側に戻り側のベルトを掛け、カーブの外側では前記各リターンローラの高さ位置がほぼ揃うように、かつカーブの内側では前記各リターンローラの高さ位置が交互に上下するように前記リターンローラの傾斜角度を調整することにより前記ベルトの周長差を吸収するように構成してなるものである。
また、本発明に係るベルトコンベヤは、前記キャリア機構の両端に連結部を設けるとともに、該各連結部をつなぎ部材の各端に設けられた被連結部にそれぞれ連結できるように構成したものである。
また、本発明に係るベルトコンベヤは、前記キャリアローラを前記ローラ支持要素ごとに鉛直面に対して千鳥状に配置したものである。
【0013】
本発明に係るリターンローラ装置及びそれを用いたベルトコンベヤにおいては、リターンローラは、従来と同様、ベルトの戻り側に配置されるが、本発明では、かかるリターンローラを水平面に対して傾斜自在となるように架台に取り付けてなり、戻り側のベルトは、従来のように各リターンローラの上に載せるのではなく、各リターンローラの上側と下側を基本的には交互に通過するように該リターンローラにそれぞれ掛けてある。
【0014】
そのため、ベルトコンベヤのカーブ部分において各リターンローラの傾斜角度を調整する、具体的には例えばカーブの外側では各リターンローラの高さ位置がほぼ揃うように、カーブの内側では各リターンローラの高さ位置が交互に上下するようにリターンローラの傾斜角度を調整すれば、ベルトは、カーブ外側ではほぼ水平になり、カーブ内側では上下に蛇行する。
【0015】
すなわち、ベルトのカーブ内側縁部は、上下に蛇行させられた分だけ、カーブ外側縁部よりも長い距離を走行することとなり、かくして、カーブ部分の内側と外側との間で生じる周長差が上述した蛇行作用で吸収され、その結果、ベルト外側で張力が発生したりそれに伴ってベルトがリターンローラから外れたりといった事態が未然に防止される。
【0016】
なお、リターンローラの傾斜角度をすべて水平にすれば、ベルトコンベヤを直線部分で使用することができることは言うまでもない。
【0017】
また、ベルトは、リターンローラの上側と下側に交互に掛けていくことを基本とするが、請求項3乃至請求項5に係るベルトコンベヤにおいては、かかるベルトの掛け方に限定されるものではなく、例えば上側で二箇所通過させた後、下側で2箇所通過させるパターンや、上側で二箇所通過させた後、下側で一箇所通過させるパターンなど任意の掛け方が考えられる。
【0018】
リターンローラを水平面に対して傾斜自在とする構成については任意であり、例えばリターンローラの一端をピン接合するとともに他端を昇降自在に取り付ける、リターンローラの両端を昇降自在に取り付けるなどの構成が考えられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るリターンローラ装置及びそれを用いたベルトコンベヤの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0020】
図1は、本実施形態に係るベルトコンベヤを示した全体平面図及び全体側面図である。同図でわかるように、本実施形態に係るベルトコンベヤ1は、機首側に設けられたヘッドプーリ3と尾端側に設けられたテールプーリ4にエンドレスのベルト2を掛けるとともに、ヘッドプーリ3に掛けられたベルト2をベルト駆動用モータ5で駆動するようになっている。
【0021】
ここで、搬送側においては、複数のキャリアローラ装置6を所定間隔ごとに架台7に取り付けてあり、ベルト2のうち、搬送側のベルト2aを該キャリアローラ装置で搬送支持するようになっている。
【0022】
図2(a)は、図1のA―A線方向から見た詳細正面図、図3は、キャリアローラ装置6の詳細平面図である。これらの図でわかるように、キャリアローラ装置6は、搬送側のベルト2aを搬送支持するキャリア機構13を架台7の梁材14に取り付けてなり、キャリア機構13は、5つのローラ支持要素15a〜15eをヒンジ接合によって相互に回動自在となるように連結するとともに各ローラ支持要素15a〜15eにベルト2aを搬送支持するためのキャリアローラ16を設けてなる。
【0023】
かかるキャリアローラ16は、図3でよくわかるようにローラ支持要素15a〜15eごとに鉛直面に対して千鳥状に配置してあり、ローラ支持要素15a〜15eを回動させてキャリア機構13を湾曲状からU字状、さらには円環状へと閉じていったときにキャリアローラ16同士の接触が未然に防止できるようになっている。
【0024】
ここで、ローラ支持要素15a〜15eのうち、キャリア機構13の中央に位置するローラ支持要素15cは梁材14に固定してあり、該梁材を介してキャリア機構13全体及びそれに搬送されるベルト2a並びに該ベルトに積載される搬送物の重量を架台7で支持するようになっている。
【0025】
ローラ支持要素15aとローラ支持要素15bとは、上述したようにヒンジ接合によって回動自在に連結してあるが、キャリア機構13の開き状態が図2の一点鎖線で示す位置で最大となるように構成してある。かかる最大の開き位置は、例えば直線経路上のベルト2aに対して最適なトラフ角が付与されるように適宜設定すればよい。なお、ローラ支持要素15dとローラ支持要素15eについても同様に構成してある。
【0026】
ローラ支持要素15bとローラ支持要素15dには、それらの回動位置(水平面に対する起伏角)を調整自在に保持する調整保持機構としての起伏部材17、17をそれぞれ連結してある。
【0027】
各起伏部材17は、短冊状の鋼材(例えばFB)で構成してあり、その上端には図示しない連結ピンを介してローラ支持要素15b、15dに連結するための連結孔19を設けてあるとともに、下端にはやはり図示しない連結ピンを介して梁材14に連結するための連結孔18を設けてある。ここで、連結孔18は、複数個(同図では4ヶ所)設けてあり、連結ピンの差込位置を変えることによってローラ支持要素15b、15dの回動位置(起伏角度)を調整し、ひいては同図でわかるようにキャリア機構13全体の開き状態を変化させることができるようになっている。
【0028】
キャリア機構13の両端、すなわちローラ支持要素15aとローラ支持要素15eの各解放端には連結部21、21を設けてあり、該各連結部を調整保持機構としてのつなぎ部材22の各端に設けられた被連結部23、23にそれぞれ連結できるようになっている。
【0029】
一方、ベルト2の戻り側においては、図1に示すように複数のリターンローラ装置8を戻り方向に沿って所定間隔ごとに配置してある。
【0030】
リターンローラ装置8は、図2に示すように、リターンローラ32をベルト2の戻り側に配置するとともに該リターンローラを水平面に対して傾斜自在となるように架台7の柱材31、31に取り付けてあり、本実施形態に係るベルトコンベヤ1は、かかるリターンローラ装置8のリターンローラ32の下側に戻り側のベルト2bを掛けた後、次のリターンローラ装置8では、図4に示すように、リターンローラ32の上側に戻り側のベルト2bを掛けてあり、以下、同様にして各リターンローラ装置8のリターンローラ32の上側と下側に交互に掛けてある。図5は、戻り側のベルト2bを各リターンローラ装置8のリターンローラ32の上側と下側に交互に掛けた様子を示したものである。
【0031】
ここで、リターンローラ32は、図2でよくわかるようにその回転軸の一端(同図では左端)を取付部材36を介して左側の柱材31にピン接合してあるとともに、反対側の他端を取付部材33を介して右側の柱材31に取り付けてあるが、その取付けにあたっては、同図(b)に詳細に図示したように取付部材33に穿孔された長孔34、34及び柱材31に穿孔された鉛直方向のガイド孔35に挿通されたボルト37で行うように構成してあり、ボルト37を緩めた状態であれば、リターンローラ32をピン38の廻りに回動させつつ、取付部材33を柱材31に沿って昇降させることで、リターンローラ32を所望の傾斜角度に位置決めするとともに、かかる状態でボルト37を締め付けることで該所望の傾斜角度にてリターンローラ32を固定することができるようになっている。
【0032】
ガイド孔35の下端及び上端高さ(換言すれば鉛直方向ストローク)並びにピン38の設置高さについては、リターンローラ32の傾斜角度範囲ひいては対象となるカーブの曲率限度に応じて適宜定めればよい。
【0033】
次に、本実施形態に係るベルトコンベヤ1の使用方法について説明する。まず、ベルトコンベヤ1を図1のように直線部分で使用する場合には、キャリアローラ装置6のキャリア機構13が例えば従来と同様の形状、すなわち下方にやや凸となる湾曲形状となるように連結孔18の位置を適宜選択し、かかる連結孔18に連結ピンを差し込んで起伏部材17を梁材14に連結し、ローラ支持要素15b、15dの回動位置(起伏角度)を調整する。このようにすると、ベルト2aは、キャリア機構13によって所定のトラフ角で搬送支持されることとなる(図2の一点鎖線で示した開き状態)。
【0034】
一方、リターンローラ装置8については、それらのリターンローラ32の傾斜角度をすべて水平に調整しておく。このようにすると、戻り側のベルト2bは、各リターンローラ32の上側と下側を交互に通過するので、該リターンローラの径に相当する分だけ、全体的に上下に蛇行するものの、直線走行には何らの支障も生じない。
【0035】
次に、ベルトコンベヤ1を図6のようにカーブ部分で使用する場合には、図7及び図8に示すように、まず、キャリアローラ装置6側で連結ピンが差し込まれる起伏部材17の連結孔18の位置を変えることにより、ローラ支持要素15b、15dの回動位置(起伏角度)を調整してキャリア機構13を閉じ、ベルト2aのトラフ角を大きくするとともに、カーブ内側部分(同図では右側)に該当するローラ支持要素15aをほぼ垂直に起こす。
【0036】
このようにすると、搬送側のベルト2aは、ローラ支持要素15aのキャリアローラ16によってカーブ内側への側方移動が拘束され、キャリア機構13から外れるおそれがなくなる。
【0037】
一方、リターンローラ装置8側では、カーブの内側(図7及び図8の右側)で各リターンローラ32の高さ位置が交互に上下するように、言い換えれば、各リターンローラ32が交互に右上がりと右下がりになるようにそれらの傾斜角度を調整する。
【0038】
このようにすると、戻り側のベルト2bは、カーブ外側ではほぼ水平になり、カーブ内側では上下に蛇行する。すなわち、ベルト2bのカーブ内側縁部は、上下に蛇行させられた分だけ、カーブ外側縁部よりも長い距離を走行することとなり、かくして、カーブ部分の内側と外側との間で生じる周長差が上述した蛇行作用で吸収される。
【0039】
なお、ローラ支持要素15aを立設姿勢で保持するにあたっては、適当な長さに調整されたつなぎ部材22aの両端に設けられた被連結部23、23をローラ支持要素15aとローラ支持要素15eの各端に設けられた連結部21、21にそれぞれ連結すればよい。
【0040】
次に、カーブの曲率半径がさらに小さい場合には、キャリアローラ装置6側で連結ピンが差し込まれる連結孔18の位置を順次下げながら、上述したと同様の手順でキャリア機構13を閉じ、ベルト2aを変形させてそのトラフ角を大きくしていくとともに、リターンローラ装置8側では、リターンローラ32の傾斜角度をさらに大きくしていけばよい。
【0041】
例えば、図9に示すように連結ピンが差し込まれる起伏部材17の連結孔18の位置を最も下のものに差し替えてローラ支持要素15b、15dを水平面に対し例えば60度程度に起こすとともに、つなぎ部材22の両端に設けられた被連結部23、23をローラ支持要素15aとローラ支持要素15eの各端に設けられた連結部21、21にそれぞれ連結する。このようにすると、キャリア機構13は、全体としてU字状となるように保持されるとともに、ベルト2aはかかるキャリア機構13によってU字状断面に変形し、上述したカーブに適した変形状態となる。
【0042】
また、さらに急カーブに沿って搬送される場合には、図10に示すように適当な長さに調整された別のつなぎ部材22bをローラ支持要素15aとローラ支持要素15eの各端に設けられた連結部21、21にそれぞれ連結すればよい。このようにすると、キャリア機構13は、全体として円環状となるように保持されるとともに、ベルト2aはかかるキャリア機構13によって円筒状断面に変形し、上述したカーブに適した変形状態となる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係るベルトコンベヤのリターンローラ装置8によれば、水平面に対して傾斜自在に構成されたリターンローラ32によってカーブ部分の内側と外側との間で生じる周長差を吸収することが可能となる。
【0044】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置6によれば、キャリア機構13の開き状態を変えることで該キャリア機構に保持されるベルト2aの断面形状をカーブの曲率に応じて変形させることが可能となる。
【0045】
したがって、本実施形態のリターンローラ装置8及びキャリアローラ装置6を備えたベルトコンベヤ1を用いれば、搬送経路に直線部分やさまざまな曲率を有するカーブ部分が入り混じっているような場合であっても、搬送側においてはその経路のカーブ状況に応じた適切な断面形状にベルト2aを変形させ、戻り側においてはやはりそのカーブ状況に応じた適切な上下蛇行がカーブ内側で生じるようにリターンローラ32の傾斜角度を調整することにより、従来のようにベルトがキャリアローラやリターンローラから外れたり、周長差に起因する無理な引張応力がベルトに作用してベルトが破損したりといった事態を未然に防止することが可能となる。また、直線部分も含めて任意の曲率の搬送経路に適用可能な汎用性の高い装置となるため、刻々と変化する現場の状況に応じてベルトコンベヤのレイアウトを変更せねばならないような状況であっても、かかる状況に容易に対応することができる。さらには、通常の汎用ベルトを使用することができるため、既設のベルトコンベヤへの組込みも容易に行うことが可能となり、ベルトコンベヤ全体の設備コストを大幅に低減することができる。
【0046】
特に、本実施形態に係るベルトコンベヤのリターンローラ装置8によれば、戻り側ベルト2bのカーブ内側を上下蛇行させるだけの高さが確保できれば足りるのであって、戻り側ベルト2b自体はフラットの状態で使用するため、U字状若しくは円筒状ベルトを使用していた従来に比べて、ベルトコンベヤの全体高さを大幅に抑えることが可能となる。
【0047】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置6によれば、両端に連結ピンが差し込まれる連結孔18、19が設けられた起伏部材17で調整保持機構を構成し、その各端を梁材14とキャリア機構13のローラ支持要素15b、15dとにそれぞれ連結するとともに、梁材14側の連結孔18を複数個で構成したので、連結ピンが差し込まれる連結孔18の位置に応じて、ローラ支持要素15b、15dの起伏の程度、すなわち回動位置を正確かつ容易に変化させることができる。
【0048】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置6によれば、両端がキャリア機構13の各端にそれぞれ連結されるつなぎ部材21、22a、22bで姿勢調整機構を構成したので、該つなぎ部材及びキャリア機構13によってその内部にクローズな中空空間が安定した構造で形成されることとなり、該中空空間を通るベルト2aをU字状あるいは円筒状に容易に変形させることができる。
【0049】
したがって、搬送経路が急カーブであっても、汎用ベルトに無理な引張力が作用して切れてしまったり、キャリアローラから外れてしまったりといった事態を未然に防止することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤのキャリアローラ装置6によれば、キャリアローラ16をローラ支持要素15a〜15eごとに鉛直面に対して千鳥状に配置するようにしたので、ローラ支持要素15a〜15eを回動させてキャリア機構13を湾曲状からU字状さらには円環状へと閉じていったときにキャリアローラ16同士の接触を未然に防止することが可能となる。
【0051】
本実施形態では、ベルトコンベヤ1にキャリアローラ装置6を設けるようにしたが、本発明に係るベルトコンベヤは、搬送側でのベルト支持をどのように行うかは任意であって、キャリアローラ装置6に限定されるものではない。
【0052】
また、本実施形態では、リターンローラ32の一端をピン接合し、他端を昇降自在に取り付けるようにしたが、これに代えてリターンローラ32の両端を昇降自在に取り付けるようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のリターンローラ装置及びそれを用いたベルトコンベヤによれば、水平面に対して傾斜自在に構成されたリターンローラによってカーブ部分の内側と外側との間で生じる周長差を吸収することが可能となり、搬送経路に直線部分やさまざまな曲率を有するカーブ部分が入り混じっているような場合であっても、戻り側においてはそのカーブ状況に応じた適切な上下蛇行がカーブ内側で生じるようにリターンローラの傾斜角度を調整することにより、従来のようにベルトがリターンローラから外れたり、周長差に起因する無理な引張応力がベルトに作用してベルトが破損したりといった事態を未然に防止することが可能となる。また、戻り側ベルトのカーブ内側を上下蛇行させるだけの高さが確保できれば足りるのであって、戻り側ベルト自体はフラットの状態で使用するため、U字状若しくは円筒状ベルトを使用していた従来に比べて、ベルトコンベヤの全体高さを大幅に抑えることが可能となる。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るベルトコンベヤの図であり、(a)は全体平面図、(b)は全体側面図。
【図2】本実施形態に係るリターンローラ装置及びキャリアローラ装置の図であり、(a)は図1のA―A線方向から見た正面図、(b)はリターンローラ端部の詳細図。
【図3】本実施形態に係るキャリアローラ装置の平面図。
【図4】図1のB―B線方向から見た本実施形態に係るリターンローラ装置及びキャリアローラ装置の正面図。
【図5】本実施形態に係るリターンローラ装置の作用を示した概念図。
【図6】本実施形態に係るベルトコンベヤの使用態様を示した全体平面図。
【図7】本実施形態に係るリターンローラ装置及びキャリアローラ装置の図であり、図6のC―C線方向から見た正面図。
【図8】本実施形態に係るリターンローラ装置及びキャリアローラ装置の図であり、図6のD―D線方向から見た正面図。
【図9】本実施形態に係るキャリアローラ装置の使用態様を示した図であり、(a)は正面図、(b)は平面図。
【図10】本実施形態に係るキャリアローラ装置の別の使用態様を示した図であり、(a)は正面図、(b)は平面図。
【符号の説明】
1 ベルトコンベヤ
2 ベルト
2a 搬送側のベルト
2b 戻り側のベルト
6 キャリアローラ装置
7 架台
8 リターンローラ装置
32 リターンローラ
Claims (5)
- 曲線状に配置されるベルトコンベヤのリターンローラ装置であって、リターンローラをベルトの戻り側に配置するとともに該リターンローラを水平面に対して傾斜自在となるように架台に取り付け、前記ベルトの戻り側を、前記各リターンローラの上側と下側を交互に通過するように該リターンローラにそれぞれ掛けるとともに、カーブの外側では前記各リターンローラの高さ位置がほぼ揃うように、かつカーブの内側では前記各リターンローラの高さ位置が交互に上下するように前記リターンローラの傾斜角度を調整することにより前記ベルトの周長差を吸収するように構成したことを特徴とするベルトコンベヤのリターンローラ装置。
- 曲線状に配置されるベルトコンベヤであって、リターンローラをベルトの戻り側に配置するとともに該リターンローラを水平面に対して傾斜自在となるように架台に取り付けてなるリターンローラ装置を戻り方向に沿って所定間隔ごとに配置するとともに、該各リターンローラ装置のリターンローラの上側と下側に戻り側のベルトを掛け、前記ベルトの戻り側を、前記各リターンローラの上側と下側を交互に通過するように該リターンローラにそれぞれ掛けるとともに、カーブの外側では前記各リターンローラの高さ位置がほぼ揃うように、かつカーブの内側では前記各リターンローラの高さ位置が交互に上下するように前記リターンローラの傾斜角度を調整することにより前記ベルトの周長差を吸収するように構成したことを特徴とするベルトコンベヤ。
- キャリアローラ装置及びリターンローラ装置を備えてなり曲線状に配置されるベルトコンベヤであって、該キャリアローラ装置は、ベルトを搬送支持するためのキャリアローラがそれぞれ設けられた複数のローラ支持要素を回動自在に連結してなるキャリア機構と、該キャリア機構を支持する架台と、前記ローラ支持要素をその回動位置が調整自在となるように保持する調整保持機構とを備えるとともに、前記調整保持機構を両端に連結ピンが差し込まれる連結孔が設けられた起伏部材で構成してその各端を前記架台と前記キャリア機構の前記ローラ支持要素とにそれぞれ連結し、前記連結孔のうち、少なくともいずれかの側の連結孔を複数個で構成してなり、前記リターンローラ装置は、リターンローラを前記ベルトの戻り側に配置するとともに該リターンローラを水平面に対して傾斜自在となるように前記架台に取り付けて戻り方向に沿って所定間隔ごとに配置するとともに、前記リターンローラの上側と下側に戻り側のベルトを掛け、カーブの外側では前記各リターンローラの高さ位置がほぼ揃うように、かつカーブの内側では前記各リターンローラの高さ位置が交互に上下するように前記リターンローラの傾斜角度を調整することにより前記ベルトの周長差を吸収するように構成したことを特徴とするベルトコンベヤ。
- 前記キャリア機構の両端に連結部を設けるとともに、該各連結部をつなぎ部材の各端に設けられた被連結部にそれぞれ連結できるように構成した請求項3記載のベルトコンベヤ。
- 前記キャリアローラを前記ローラ支持要素ごとに鉛直面に対して千鳥状に配置した請求項3記載のベルトコンベヤ。
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