JP3562682B2 - 中通し釣竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、竿管の内側に環状や螺旋状の釣糸ガイドを突出させた中通し釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、釣糸が竿先に絡み難いため中通し釣竿が使用されてきている。この中通し釣竿では釣糸を竿管内部に挿通させるため、その糸抵抗を低減すべく内部に釣糸ガイドを配設することが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、釣竿の継合部は、継ぎ合わせた前側小径竿管に作用する荷重をこの継合部において受けるため、それに対抗できる強度が必要である。
一方、釣糸抵抗低減の観点から大径竿管内部に釣糸ガイドを設けた場合、釣糸ガイド部位はそれが無い部位に比べて剛性が高くなり、そのガイドの無い部位には応力集中が生ずる。特に釣糸ガイドが螺旋状に連続している場合には、釣糸ガイドの途切れた終端部付近において竿管が弱く、応力の集中が生ずる。このように釣竿では一般に部位によって剛性が変動し、このため、応力集中の対策が必要となる。更には、継合を振出式に設定すれば、前側の小径竿管は後側の大径竿管内部に収納可能に構成されなければならず、各部の寸法が制約を受ける。このように寸法制約を受けつつ、応力集中に配慮して滑らかな撓みを得るように釣竿全体の剛性バランスを設定する必要がある。
【0004】
依って本発明は、応力集中を防止しつつ内部に釣糸ガイドを設けた高強度の中通し釣竿の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑みて本発明は、請求項1において、竿管先端部の継合部の直後に前細テーパ部を形成し、該テーパ部の後方はストレート状か、或いは、前細の緩テーパ状の竿管本体部であり、該竿管本体部の内側に釣糸ガイドを突出配設し、該釣糸ガイドの内口径が前記継合部の内径よりも大きく、前記継合部から前記釣糸ガイドの少なくとも最先端位置にまで亘って本体層を補強する補強層を設けていることを特徴とする中通し釣竿を提供する。
【0006】
釣糸ガイドが設けられているため釣糸抵抗が低減し、この内口径が前端部の継合部の内径よりも大きいため、この竿管と前側の小径竿管とが振出式に継ぎ合わされていても、前側小径竿管はこの竿管内部に収納できる。また前端部の継合部から釣糸ガイドの少なくとも最先端位置にまで亘って本体層を補強する補強層を設けているため、補強されて剛性の高い継合部と、釣糸ガイドの配設された領域との間の、元来剛性の低い領域に釣竿が撓んだ際に応力が集中することを防止できる。更に補強層に連続して補強としての作用もある釣糸ガイドが形成されており、また、補強層の大部分は、竿管本体部よりも大きな前細テーパのテーパ部とその前の継合部に設けられているため、竿管本体部との剛性差は小さくバランスが採れており、釣竿の撓みが滑らかになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を添付図面に示す実施の形態例に基づき、更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る中通し釣竿の側面図であり、元竿10の継合部10Tに第1中竿12が、第1中竿12の継合部12Tに第2中竿14が、第2中竿14の継合部14Tに穂先竿16が夫々振出式に継ぎ合わされている。穂先竿にはトップガイド18が着脱可能に螺着されている。各竿管はエポキシ樹脂等の合成樹脂をマトリックスとし、炭素繊維等の強化繊維で強化して構成されている。また、元竿10にはリール26を固定するリール固定装置22が装着されており、元竿の前部には釣糸28を導入する釣糸導入部20が設けられている。この釣糸導入部は第1中竿12に形成してもよい。リール固定装置22の前後にはグリップ28,30が形成されており、24は尻栓であり、着脱可能に螺着されている。
【0008】
図2は図1の要部縦断面の拡大図であり、後側の大径竿管としての第1中竿12の継合部12Tに、前側小径竿管としての第2中竿14が継ぎ合わされた状態を示している。第1中竿12の先端部は先細である継合部12Tであり、その後部は該継合部12Tのテーパよりも大きく前方に向って縮径するテーパ部12Sに形成されているが、テーパ部は継合部と同じテーパであってもよい。このテーパ部12Sの後部は僅かに前細形状か、或いは殆どストレートな形状の竿管本体部12Hであり、この内部には螺旋状の釣糸ガイドRG2が適宜なピッチで一体化されている。
【0009】
テーパ部12Sの長さは継合部12Tの長さよりも長く、釣糸ガイドのピッチの2倍以上、好ましくは3倍以上に長く形成する。然しながら、テーパ部に代えて段差部に構成し、継合部の後部を内径の大きな竿管本体部としてもよい。この場合も後述のように補強層を竿管本体部内の釣糸ガイド部位にまで延設する。
【0010】
継合部12Tの内部には第1の補強層H1が一体化されており、テーパ部12Sの内部には第2の補強層H2が一体化されている。この第2補強層の内面K2のテーパ率は2/1000を超え、100/1000以下が好ましい。また、第2補強層の途切れる後端縁L2は、上記釣糸ガイドRG2の前側終端部に連続させ、後端縁L2の釣糸ガイドと連続していないその他の部分E2は、曲面状や傾斜面にして肉厚を漸減させ、竿管本体12Hに連続させており、これにより釣糸ガイドとの連続性が保持できると共に、肉厚の急変を防止して撓み時の応力緩和ができ、また、釣糸を傷つけず、好ましい。更には、この後端縁L2は竿管の長手方向に対して概ね直交方向に形成しており、補強層が竿管の円周方向に対して均等になるため補強効果が偏らず、好ましい。
【0011】
上記構造の第1中竿12の各部の肉厚について、継合部の肉厚t4は竿管本体部の肉厚t1よりも厚く、釣糸ガイド部位の総肉厚t2よりも薄くし、その他との関係は以下の通りである。
t2 ≧ t3 ≧ t4 > t1
従って、継合部やテーパ部は竿管本体部12Hの肉厚t1に比較して厚いため強度が向上し、継ぎ合わせ力に対抗できる。
【0012】
また、内径の関係は以下の通りである。
d1 > d2 ≧ d3 > d0 > d4
従って、釣糸ガイドの内口径d2は第2中竿14の後端継合部の最大外径d0(これは第1中竿の継合部12Tの最大内径と同等か、或いはより大きい)よりも大きく、小径竿管14を大径竿管12の竿管本体部12Hの後方にまで収納できるが、径d2と径d0の差が1mm以上あれば収納が容易であり、竿管内に釣糸を挿通させた状態で収納しても、小径竿管14と釣糸ガイドRG2との間に釣糸が食い込んで絡まることが防止できる。
【0013】
肉厚に関していえば、継合部12Tとテーパ部12Sとは竿管本体部12Hの肉厚t1に比較して厚肉化されており、強度が向上すると共に撓み剛性も向上するが、この先部は先細形状であって竿管本体部12Tよりも大きく縮径しているため、その分撓み剛性が小さく、この他、竿管本体部側は釣糸ガイドも補強作用が有り、結果的に、竿管全体としての剛性バランスが採れている。従って、撓みが滑らかになり易い。また、釣糸ガイドを配設しない先部を縮径しているため、釣糸ガイドの高さを高く設定し易く、糸抵抗の低減に寄与する。
【0014】
竿管本体部12Hのテーパ率を2/1000以下、好ましくは1/1000以下に形成すれば、釣糸ガイドRG2を樹脂や繊維強化樹脂素体によって成形し、繊維強化樹脂の竿管本体部に一体化させる加圧加熱時に、緊締テープ等による加圧の作用で釣糸ガイド素体が位置ずれしたり、樹脂や繊維の流動が生ずることを小さく押えることができ、安定化した成形が行え、強度も向上する。
【0015】
小径竿管の第2中竿14は、その後端に合成樹脂材等で形成され、セラミックス等の硬質部材で形成された環状ガイドリングG4を保持している保持体14Sが着脱可能に螺着されている。竿管本体の内部には螺旋状の釣糸ガイドRG4が適宜なピッチで一体化されている。釣糸ガイドの後側終端は保持体14Sの近くに位置している。また、保持体14Sの後部は糸通し等の際に釣糸等を受け易くするために、後方に向って拡開した円錐状の受け面14Aを形成している。また保持体14Sの前部には前方に拡開した凹部が形成されており、穂先竿16を収納させた場合に、その後端部を容易に受け止め、寸法によってはその後端部を保持する作用を果たす。
【0016】
補強層H1は継合部12Tの補強のための内側層であり、補強層H2はこの補強層H1と釣糸ガイドRG2を連続させる内側層であり、共に強化繊維は円周方向繊維を主体にして形成する。円周方向繊維を主体にしたプリプレグでも竿管を厚肉化することで強度が向上し、耐継合強度を向上させ、また、釣糸ガイド後端部位に生ずる応力集中を防止できると共に、長手方向繊維を少なくしていると共にテーパによって竿管を先細形状にしているため、強度が高い割には撓み剛性が高くならず、竿管全体の撓みが滑らかになる。補強層H1は竿管の本体層形成のための本体プリプレグとは別のプリプレグを巻回した補強のための層全体のことであり、本体プリプレグの内層側でも、中層でも、外側層でも、又はこれらを組み合わせてもよい。
【0017】
この形態例のように継合部の補強層H1とこれを釣糸ガイドに連続させる層H2とを、必ずしも別々に形成する必要はなく、例えば、補強層H1を延長させるようにして補強層H2をも一緒に形成してもよい。別体で形成する場合は、両層の間に隙間が生じないよう、境界部を本形態例のように幾分重ねて形成するのがよく、この重合部位の外径が外側に膨出するようにその前後よりも厚肉に形成してもよい。特に、継ぎ合わせた小径竿管14の後端近傍に厚肉部を形成することが好ましい。また、補強層H2の領域は補強層H1の領域に比較して、平均肉厚を厚く形成すると共に、円周方向繊維の単位体積当りの繊維比率を相対的に小さくする。竿管先端からの裂けや割れの発生に対しては、補強層H1の方が円周方向繊維比率が大きく、効果的に防止でき、補強層H2の方はそうした必要性が少ないからである。
以上では、大径竿管を第1中竿とし、小径竿管を第2中竿として説明したが、これは1例であり、これに限らない。
【0018】
図3は図2に代る他の形態例であり、図2の場合と異なるのは、継合部12Tの補強のための層を螺旋状釣糸ガイドRG2の終端から2ピッチ程度後方の所まで延設している補強層HKとしていることである。また、釣糸ガイドの最終端部を竿管12の長手方向に対して概ね直交する方向に巻回しており、この部位の釣糸ガイドから前方に向って漸次薄肉化させ、テーパ部12S内で終端させた肉盛部NMを釣糸ガイドに連続させて形成している。
【0019】
上記補強層HKによって一般的な継合部の補強作用を果たし、該継合部に近いテーパ部12Sの強度低下や強度のばらつきを防止し、また、釣糸ガイドの終端部とその近くの竿管本体との剛性等の相違による応力集中を防止している。更には、肉盛部NMは釣糸ガイドの頂部と竿管内面との高さの差を埋めており、釣糸ガイドの終端部の応力集中を防止する作用の他、継合部12Tに振出式に継ぎ合わせた小径竿管を収納させる際に、小径竿管の後端が釣糸ガイド端部に引っ掛らず、円滑に収納できるようにする作用を果たす。特に、釣糸を挿通させた状態で収納させる場合に、釣糸を絡み難くすることもできる。
【0020】
補強層HKは、長手方向に連続したプリプレグを用いて1層以上形成するのがよいが、長手方向に複数に分けたプリプレグを用いて巻装してもよい。積層数は任意であるが、補強の結果、継合部の肉厚t4は竿管本体部の肉厚t1の1.2倍以上、2倍以下にすることが好ましい。補強層は円周方向繊維を主体とした引揃えプリプレグや織布やこれらの組み合わせで形成する。釣糸ガイドの部材よりも高弾性、高強度のプリプレグを用いることで補強効果が一層向上する。また、補強層を形成した範囲において、本体層の軸長方向繊維量を先端側程減少させれば、先端の裂けや割れに対しては高強度でありながら、撓み易くできる。この段落の説明は図2の場合も同様である。
【0021】
補強層を追加した竿管本体部の肉厚t1’、釣糸ガイド部位の総肉厚t2、肉盛部NMを追加した釣糸ガイド終端部近傍の厚さt3とすれば下記の大小関係にある。
t2 = t3 > t4 > t1’ > t1
t2=t3は概ね同じの意味である。これにより、補強効率向上、釣糸ガイドの高さ確保による釣糸抵抗の低減、及び撓み剛性のバランス向上が図れる。然しながら、補強層の形成によっては、継合部の肉厚t4が肉厚t2より厚くてもよい。
【0022】
テーパ部12Sのテーパ率は2/1000を超え、100/1000以下が好ましいが、2/1000を超え、20/1000以下が更に好ましい。また、竿管本体部12Hとテーパ部とのテーパ率の変化点は、補強層HKや肉盛部NMの形成部位であり、テーパの変化による強化繊維の蛇行や乱れ等が生じても強度確保ができ、高強度な竿管にできる。
その他の構造は図2の場合と同様である。
【0023】
図4は竿管12の先部の実施形態例を示す。本体層に対する補強層H11を継合部12Tの内側に設け、更に、釣糸ガイドRG2を横断面の突出側が曲線に囲まれた滑らかな形状とし、そのガイドを終端させた後、そのガイド素体をそのまま、或いは潰して幅広に使用し、前記補強層H11や釣糸ガイド終端部位との段差を少なくするように肉盛部NMを形成している。継合部先端の肉厚t15は釣糸ガイド部位の肉厚t12よりも薄く、竿管本体部の肉厚t11よりも厚く、1.2倍以上1.6倍以下が好ましく、2倍以下に形成する。肉盛部の肉厚t14は肉厚t12と概ね同じか、或いは厚く、補強層H11との重合部の肉厚t14’が最大である。
【0024】
肉盛部NMの後端縁部E12は曲面や傾斜面にして、応力集中の緩和作用と、釣糸の傷つき防止作用を果たす。継合部の外形状は先部外周12Rを曲面状か傾斜状に形成して先細としている。更には、竿管12のテーパの変化点を前記最大肉厚t14’の部位に設定しているため、強度低下を防止できる。
【0025】
図5は竿管12の継合部12Tの直後のテーパ部12Sには肉盛部NMを形成し、これに続く竿管本体部12Hに螺旋状釣糸ガイドRG2を配設しており、肉盛部は釣糸ガイドの終端部に高さも概ね揃えて連続させ、先側に行くに従って肉厚が漸減する。これにより小径竿管を円滑収納可能となる。
【0026】
図6は継合部の他の形態を示す。内部に釣糸ガイドRG2を配設する竿管本体部12H’の形成に使用するプリプレグとは分断された別体のプリプレグによって継合部12T’を形成するが、加熱成形は一緒に行って一体化させている。こうすれば、プリプレグに使用されている軸長方向強化繊維がテーパ部や段差部によって蛇行することが防止され、竿管本体部12H’を成形し易いと共に、釣糸ガイドを一体化形成し易い。
【0027】
図7では小径竿管14を大径竿管12内に円滑収納させるための工夫につき説明する。継合部12Tの直後のテーパ部12Sの後部は内側に螺旋状釣糸ガイドRG2を配設した竿管本体部12Hであり、この釣糸ガイドの横断面は、図示の如く、竿管12の軸長方向に対して直交する面を有さず、角部の無い曲線(半円状)で囲まれている。一方、継合部に振出式に継ぎ合わされた小径竿管14の後端縁部14Rと、図2のG4に相当する環状ガイドリングを保持する保持体14S’の後端縁部14SRとは角を丸めており、収納時にこれらが釣糸ガイドRG2に接触して引っ掛ったり破損したり、傷つくことを防止できる。
【0028】
釣糸ガイドも含め、各角部の丸め半径は1.5mm以上にし、好ましくは5mm以上にする(円でなくてもよい)。後端縁部14Rと14SR等は傾斜面でもよい。傾斜面の図7に現われる長さは2mm以上が好ましいが、円滑に収納できればそれ以下でもよい。
また、釣糸ガイドRG2の表面硬さよりも保持体14S’の後部を柔らかくすればよい。例えば、ゴムや合成樹脂等の柔軟な材料で形成すると、釣糸と釣糸ガイドの保護ができる。更には小径竿管14の後端縁部14Rも上記柔軟材で形成したり、被覆すればよく、上記角の丸めや傾斜面と組み合わせると更によい。
【0029】
図8では、竿管の本体層HSと釣糸ガイドRGの関係につき説明する。本体層HSは典型的には外側層SS、中間層TS、内側層USとを有しており、夫々、円周方向に指向した強化繊維、軸長方向に指向した強化繊維、円周方向に指向した強化繊維を主体とした繊維強化樹脂プリプレグで構成されている。内側層の更に内側の最内層として軸長方向強化繊維や織布、又は樹脂層を配設してもよく、この内側に釣糸ガイドRGを突出形成する。
【0030】
外側層の周方向繊維量よりも内側層の周方向繊維量、又は内側層と釣糸ガイドとの周方向繊維量の和が多くなるように配分すると、釣糸ガイドの存在による竿管内側の凹凸に基づく強度低下を防止できるため好ましい。厚さは釣糸ガイドの方を内側層よりも厚く形成するとよい。また、内側層の周方向繊維よりも低弾性な繊維を釣糸ガイドの繊維として使用すると、螺旋状や環状に形成し易く、破損もし難い。樹脂比率に関しても内側層よりも釣糸ガイドの方を高くし、繊維密度を少なくすれば、螺旋状や環状に形成し易く、破損もし難い。
【0031】
また、釣糸ガイドRGには、竿管の軸長方向に対して概ね直交する方向に指向する繊維を有するように形成すると、釣糸を受け易く、耐摩耗性向上と糸抵抗低減とから好ましい。また、この繊維は耐摩耗性が大きく、滑り性のよい繊維が、釣糸抵抗の低減から好ましい。繊維径も大きな方が、露出した大径繊維が安定して釣糸を受けて案内できるため、糸抵抗低減からして好ましい。
竿管形成用のプリプレグの強化繊維と、一体化させる釣糸ガイドの繊維とが同種繊維の場合は、釣糸ガイドの方を大きな径の繊維にすることが耐摩耗性向上と糸抵抗低減とから好ましい。竿管本体層の内層の強化繊維を傾斜させる場合には、その繊維の傾斜方向は釣糸ガイドの傾斜方向(指向方向)に近づける方が好ましい。例えば、内層の強化繊維方向を竿管の軸長方向に対して45度に設定する場合2つの方向があるが、螺旋状釣糸ガイドの傾斜側の45度を選択する。
【0032】
以上の各要件を組み合わせれば更に好ましい。
然しながら、説明した上記各要件にしなくともよい。例えば、釣糸ガイドの厚さを内側層の厚さよりも薄くすれば、釣糸を本体層の内面でより多く受ける場合に適する。
【0033】
釣糸ガイドRGは螺旋状の場合、図9に略示するように合成樹脂をマトリックスとして繊維KSで強化したものが適し、特に合成樹脂は竿管と同質の樹脂が一体化のために好ましい。繊維は、炭素繊維やセラミックス繊維やガラス繊維や金属繊維や複合材繊維等の強化繊維の他、耐摩耗性繊維や滑り性の高い繊維が好ましい。これらの繊維を束にして樹脂を含浸させた素体にヨリを掛けて芯金に巻装すると高い(厚い)釣糸ガイドが形成し易い。但し、釣糸ガイド自体の長手方向に対して繊維KSの傾斜角度θは45度以下、好ましくは30度以下にし、竿管内を通過する釣糸がこの繊維を直交するように通過することが好ましい。
【0034】
この他、釣糸ガイドの高さを高く、安定した形状に形成するには、加熱成形時の温度でも完全な溶融をし難い熱可塑性樹脂等の条体で形成した釣糸ガイド素体を常温で予め最終的な釣糸ガイド形状に近似させる等、一定の形態にし、これを芯金に巻回する等して竿管本体層と一緒に成形する。
その他、糸条に成形した熱硬化性樹脂や天然材料を使用して釣糸ガイド素体を形成してもよい。
【0035】
図10では、竿管本体層HSに一体化接合される釣糸ガイドRGの構造につき説明する。釣糸ガイド素体RGKを図9で説明したような方法で予め成形する。この釣糸ガイド素体は、マトリックス樹脂を強化繊維KSで強化した状態に形成されており、強化繊維は素体の突出側表面近くに集めている。この強化繊維はセラミックスや金属等の耐摩耗性部材の繊維が好ましいが、必須ではなく、無くてもよい。マトリックス樹脂は竿管本体層のマトリックス樹脂よりも硬い合成樹脂を使用する。例えば、フッ素樹脂の4フッ化エチレン樹脂を使用する。これは硬度も高く、また耐熱性にも優れる。
【0036】
この釣糸ガイド素体RGKを、竿管本体層や釣糸ガイド素体のマトリックス樹脂よりも軟質な合成樹脂の接合層GS(本体層と釣糸ガイド素体との間は後述の境界層にも相当する)を介して本体層の内側層USに一体化接合する。これによって釣糸ガイドの突出した竿管中心側である釣糸接触部から竿管本体層側に向って、段階的に硬度が柔らかくなり、釣糸接触部には耐摩耗性の強化繊維KSがあって摩耗し難く、更には竿管本体に応力が集中し難い構造となっている。
摩擦による発熱でも傷付きが防止される耐熱性樹脂材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ−P−キシリレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル等があり、これらを利用してもよい。
また、透明状の釣糸ガイドを形成して、竿管内部の釣糸ガイドRGの汚れを、竿管の一端から簡便に視認判定して、掃除のタイミングを図ることもできる。
【0037】
図11では竿管の本体層HSと、これに一体的に形成された釣糸ガイドRGとの間の境界層KSにつき説明する。この境界層は釣糸ガイドの幅よりも広く、その前後に亘って広がっており、竿管本体層と密着性のよいエポキシ樹脂等の合成樹脂や、これを含むガラス繊維のスクリムクロスシート等の繊維強化プリプレグ等で形成する。この他、カーボンテープ、合成樹脂フィルム、紙等が使用されるが、シート状部材に限らず、糸状合成樹脂、綿糸等でもよい。竿管の加熱成形時に完全には溶融してしまわない熱可塑性樹脂フィルムや糸条を使用してもよい。
【0038】
本体層HSは図8に示すように3層状に形成されていても、また、1層に形成されていてもよい。更には、境界層KSは図11のように本体層HSに埋没させないで内表面に付着するように形成してもよく、また、本体層内に境界層の厚さ方向が、部分的に、或いは厚さの全体が埋没するように形成してもよい。部分や全体に埋没させる場合には、3層の本体層の内側層に埋没させ易い。
こうして釣糸ガイドの一体化に伴う周辺の竿管本体層への応力集中に対して本体層が補強され、強度が向上する。
【0039】
境界層を本体層、又は釣糸ガイドのマトリックス材よりも軟質な材料、又は弾力性の大きなゴム材料や軟質合成樹脂を用いることで、本体層と釣糸ガイドとの間の応力の影響を更に緩和し、竿管の強度的な安定向上が図れる。
釣糸ガイドRGに強化繊維を配設して螺旋状に形成し、境界層KSを釣糸ガイドに対して剥離性を有する材料で形成したり、或いは、釣糸ガイドとの境界表面に剥離性を持たせる処理を施せば、釣竿使用において竿管本体層HSが破損した場合にも、釣糸ガイドは本体層から剥離し易く、強化繊維による補強作用もあって、本体層の破損に伴ってちぎれてしまうことが防止され、これによって内部に挿通している釣糸が切断され難く、その先部の仕掛けの回収が可能となる。
【0040】
本体層の内側層部や釣糸ガイドに比較して境界層KSを硬質の材料、高強度な材料、潤滑性の高い材料、耐摩耗性の高い材料、撥水性や撥油性の高い材料、伸度の高い材料を使用し、釣糸ガイドの幅よりも前後方向広い範囲(本体層内面の全面でも可)に亘って形成すれば、本来的な補強や緩和の層としての作用の他、こうした各特性を有する面が竿管内側に露出し、こうした材料の特性を活かした竿管が得られる。
【0041】
図12では、竿管本体層の内面に釣糸ガイドを一体的に突出形成する手法を説明する。螺旋状釣糸ガイドを例に説明する。芯金50に、厚肉のテープ52を所定間隔(5〜25mm程度)を隔てて巻回し、このテープの上から、各厚肉テープ間56(0.3〜3mm程度)を覆うように、また厚肉テープ52の上で小さな隙間(0.3〜3mm)58を設けるように薄いテープ54を巻回する。これらの各テープは竿管の加熱成形に耐える熱特性の材料、例えば、シリコン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等で形成する。こうした各テープの上から竿管成形用プリプレグを巻回したり、或いは、釣糸ガイド用の素材を厚肉テープ52間であって、薄肉テープ54の上に巻回し、その後、竿管本体層のプリプレグ(図14の場合は内側層用プリプレグと外側層用プリプレグ)を巻回して加圧加熱成形すれば、前者では図13のように本体層HSと同材質の螺旋状釣糸ガイドRG’と微小な突条SRGが内側に突出形成され、後者では図14に示すような螺旋状釣糸ガイドRGと微小な突条SRGが内側に形成される。
【0042】
厚肉テープ52の間の凹部空間56を覆うように薄肉テープ54を使用しているため、釣糸ガイドRG,RG’が厚肉テープ間の段差状の空間形状そのままで形成されるのではなく、角部が丸まって形成され、図13の場合も図14の場合も釣糸の引っ掛るような角部が形成されず、釣糸保護と共に釣糸抵抗が低減できる。また、図14の場合で説明すれば、釣糸ガイドRGと本体層の内側層USとの接合の前後縁部HSRは内側方向に凹状の曲面に形成され、釣糸ガイド前後部位における応力集中が防止できる。
【0043】
また、釣糸ガイドRGの上面を略平面状に形成し、上部を本体層の内側層US内に厚さ方向一部埋込み状に一体的に形成しており、上部の前後縁部GRを丸めて形成しているため、竿管が大きく撓んだ際等においてもこの釣糸ガイド部位からの破損を防止できる。この内側層USは円周方向繊維を主体とした繊維強化樹脂プリプレグによる層、樹脂のみの層、或いは繊維強化樹脂プリプレグの樹脂の多い内側表面部である。更には、釣糸ガイド或いは内側層US、又はその両方を撥水性、撥油性、潤滑性等を持たせた処理を行っても、釣糸ガイドRGは埋込み状況等によって強く一体化されているため、本体層HSから取れたりし難く、しかも釣糸抵抗が低減される。
【0044】
微小な突条SRGは螺旋状釣糸ガイドRGにそって概ね平行に設けられ、その高さは釣糸ガイドRGの高さの1/10程度以下にし、通常25ミクロン以下、10ミクロン前後となる。従って、竿管内部を通過する釣糸が蛇行して弛んだ状態で走行し、本体層の内側層に接触しようとしても、この微小突条で受けられ、内側層に直接接触する割合を少なくでき、糸抵抗を低減できる。釣糸ガイドも微小突条も概ね平行に形成されているため、釣糸が当る角度を略一致させられ、釣糸繰出し時の振動や振れを押え、僅かに螺旋状になりながら円滑に通過できる。また釣糸ガイドも微小突条も竿管成形と一緒に成形でき、製造し易い。
【0045】
上記微小突条は図示のような横断面が半円形状のものに限らず、周囲の本体層内面(内側層内面)に比較して竿管の中心側に凸な条体があればよい。従って、本体層内面に幅の広い凹条が存在しても、その縁部は凸条と見ることができる。こうした条体が複数条あってもよく、更には、内側層内面を更に微細な凹凸や粗面に形成し、これらと上記微小凸条SRGと釣糸ガイドRGとを複合させた釣糸案内構造であってもよい。
【0046】
釣糸ガイドRGは、繊維強化樹脂プリプレグ、繊維強化金属、セラミックス、熱可塑性や熱硬化性の樹脂、ゴム、その他綿糸等の天然材料を使用する。また、竿管用プリプレグよりも低比重の材料を使用することで軽量化が図れ、更に、竿管用プリプレグの樹脂よりも糸滑り性の良い性質を付加した材料が好ましい。その他撥水性や耐摩耗性の高い材料が好ましい。単一材料でこれらの所望物性が得難い場合には、表面にこれらの物性を有する被膜をコーティングすることで容易に所望の物性が得られる。
【0047】
例えば、フッ素樹脂で釣糸ガイドを形成すれば撥水性が有り、糸滑り性が向上する。但し、竿管本体層の繊維強化樹脂プリプレグとの密着性が劣るため、密着性向上のための被膜を界面に形成するか、本体層の内側層USをフッ素樹脂等同系統の樹脂で形成すると剥離が防止できる。
【0048】
釣糸ガイドにカーボン、ガラス、ボロン等の高強度高弾性な強化繊維を使用した場合、竿管本体層よりも低剛性(又は低弾性)にする場合には、その強化繊維の体積比率は50%未満にするのがよく、また、混合繊維(混合材)として合成樹脂繊維等の低弾性な材料を使用した場合は、その混合材を30%以上にし、100%に近づけるとよい。後者の例としては、フッ素樹脂を混合材とし、エポキシ樹脂をマトリックス材とするような場合があり、フッ素樹脂のみでは成形性が悪く、形状保持のためと本体層への一体化のためにエポキシ樹脂をマトリックス材として使用する。
竿管本体層と同等以上の剛性(弾性)にする場合は、50%以上とし、70%以上にできれば更に良い。
なお、繊維の方向はランダムな方向や釣糸ガイドの長手方向と一致させることも直交させることもでき、釣糸の挿通方向に合せることもできる。
【0049】
図15は螺旋状釣糸ガイドRGを内部に一体化させた大径竿管12の継合部12Tに小径竿管14を振出式に継ぎ合わせた状態の縦断面図である。継合部の直後はテーパ部12Sであり、その後ろは内側テーパ率が2/1000以下の緩いテーパかストレート状の竿管本体部12Hである。この後端部には、セラミックス等の硬質部材で形成された環状ガイドリングG2を保持している合成樹脂材等で形成された保持体12Sが着脱可能に螺着されている。
【0050】
前記螺旋状釣糸ガイドRGが保持体12Sの前端近くにまで形成されている場合には、このガイド高さh1を保持体12Sの先端の高さh0よりも低く構成すれば、後方から糸通しを行う場合に、糸通し具や釣糸が引っ掛り難くなる。
後述の図16に示すように、釣糸ガイドの端部を保持体端部から遠く(螺旋状釣糸ガイドのピッチ程度以上)離した位置にすれば、上記高さ条件h1<h0が無くても糸通しが容易になる。
【0051】
螺旋状釣糸ガイドRGは竿管の後端まで一体的に形成した後、保持体12Sを螺着するための雌ねじ部を形成すると、螺旋状釣糸ガイドの端部の竿管本体部への一体化が不安定になって、強度不足になるということが防止され、一体化の安定した状態に形成し易くなる。この際、ねじ部領域の釣糸ガイドは除去切削するが、この際、竿管本体部12Hの内面を丁度残すか、或いは幾分か削り取り、雌ねじ部の内口径がその直前の竿管本体部12Hの内面を延長した面の内径と同等以上になるように形成する。
これにより竿管本体部の内面の繊維方向と釣糸ガイドの繊維方向とが異なっていたり異質の材料が使用されていても、除去されるため、形成した雌ねじ部の山が欠けたり剥離することが防止できる。従って、耐久性に優れた螺着構造が提供できる。
【0052】
竿管の内面に一体形成する螺旋状釣糸ガイドRGの素材を延長利用して竿管本体部12Hの雌ねじ部の形成される領域面に一体化させて、ここを厚肉化し、この厚肉層を使って雌ねじを切削加工する場合には、その素材の強化繊維の指向方向が竿管本体部の軸芯に対して直交する方向か、或いはこの直交方向に対して、加工成形する雌ねじのリード角の範囲内に収まる方向になるように素材を巻回することで強度の安定した雌ねじ部が形成できる。
【0053】
螺旋状釣糸ガイドRGを図15のように後端継合部12KTの補強層HKの範囲内において終端させれば、この補強層HKと螺旋状釣糸ガイドRGとが竿管本体部に対して長手方向において連続するため、竿管本体部12Hに強度の急に弱くなる領域が無く、高強度の竿管12が提供できる。なお、補強層HKのプリプレグは1枚でも、複数枚に分けて巻装してもよく、また、この形態のように外層に設ける他、中間の層や内側の層として設けてもよく、更には、夫々の層に分配配設してもよい。
竿管のテーパ率の変化点はこうした補強層のある領域に設定すれば、成形時に強化繊維の乱れ等が生じていても、竿管強度が保持される。
【0054】
図16は他の竿管12の全長の縦断面図であり、螺旋状釣糸ガイドRGの一体化形成された竿管本体部12Hは内側のテーパ率が2/1000以下の緩テーパ状、或いはストレート状であり、その先に内側が急テーパのテーパ部12S、それに続いて継合部12Tが形成されている。この継合部に小径竿管14が振出式に継ぎ合わされている。この継合部からテーパ部を経由して竿管本体部12Hの先端近くである螺旋状釣糸ガイドRGの終端部に至るまでの領域Z1の内面には補強層HK1が一体化されている。従って、テーパ率の変化する部位は補強された領域Z1内にあり、高強度な竿管となる。
【0055】
竿管後端には環状ガイドリングG2を保持している保持体12Sが螺着されており、既述の如く、螺旋状釣糸ガイドRGの後側終端部は保持体12Sの先端から幾分離隔しているが、竿管本体部12Hの外側には後端位置からこの釣糸ガイドの終端部にまで亘って補強層HK2が一体化されている。このように螺旋状釣糸ガイドの前後の終端部位置の竿管には、夫々、補強層HK1,HK2が連続しているため、釣糸ガイドの一体化による竿管補強効果の存在しない領域は各補強層によって補強できており、竿管全体に亘った剛性バランスがとれ、高強度な竿管が提供できる。
【0056】
竿管本体部12Hの元部側の肉厚と釣糸ガイドの高さを合せた厚さt2’は、先部側のその厚さt2よりも厚く、かつ、継合部12Tの肉厚t4よりも厚く形成する。釣糸ガイドの高さを略同一にした場合は、厚さt2’は、厚さt2,t4の内の厚い方の厚さの1.15倍以上に厚く形成すると好ましい。更に好ましくは1.25倍以上にする。また、元側補強層HK2の形成領域は厚さt2’よりも更に厚く形成している。
【0057】
以上により、釣糸ガイドを配設していても、竿管剛性は概ね元側程高くでき、竿管全体の剛性バランスがとれ、これにより局部的に剛性の低く、低強度となる領域の存在を防止しており、滑らかな撓みが得られて竿管強度が向上する。
また、釣糸ガイドを一体化させた竿管本体部12Hは、内側のテーパ率が2/1000以下と非常に緩いため、釣糸ガイドの一体化形成時に竿管の加圧加熱によって竿管本体層の強化繊維が蛇行したり乱れることが防止され、そのために局所的に強度の低い部分が生ずることも防止している。
【0058】
図17は竿管本体部12Hの元部側と先部側における釣糸ガイド等の比較を示す。従来は、螺旋状釣糸ガイドRGを竿管内側に一体的に突出形成する場合、テープ状素材を使用する等の製造条件から、釣糸ガイドを一定の高さや幅に形成していた。これでは、釣糸ガイド一体化部位の応力集中等の竿管強度への配慮や、釣糸の案内性能に改善の余地がある。
【0059】
螺旋状に限らないが、釣糸ガイドのピッチは25mm以下に形成する。釣糸ガイドRGの幅は、竿管の補強を兼ねることを主体に考えれば、幅の広いことが好ましい。高さは竿管の撓み曲率の大きな部位において高くすれば釣糸が竿管内面に接触し難くて好ましい。撓み曲率の大きな部位は、継竿ではその竿管が釣竿全体の中のどの位置の竿管であるかによって、竿管の先側部位であったり、元側部位であったりする。また、大径竿管の先部に釣糸導入部が形成され、その直前部に継合部が形成されており、ここに小径竿管が継ぎ合わされた場合、小径竿管の元部側の釣糸ガイドを高く構成すると釣糸が大径竿管の内面に接触し難くて好ましい。こうした各条件によって釣糸ガイドの大きさ等を変えることが望ましい。その意味で、竿管本体部12Hの肉厚が先側t1を元側t1’よりも薄く形成した或竿管本体部の先側の撓み曲率が元側よりも大きい条件であれば、釣糸ガイドRGの高さは先側h2を元側h2’よりも高くする。
【0060】
釣糸抵抗低減や耐摩耗性を考えると、釣糸ガイドは高く、広く形成するのがよい。上述したような種々の条件により竿管の元側の釣糸ガイドを先側よりも大きくしたい場合は、この大きな釣糸ガイドを一体化させたことによるガイド前後部位の応力集中を防止し、竿管元側部を先側部よりも剛性を高くして全体の剛性バランスを保持するという本来的な強度保持と剛性バランス保持の観点から、竿管本体部12Hの厚さを先側よりも元側を厚肉化させることが必須であり、竿管本体部厚さと釣糸ガイド厚さを加えた厚さを、先側に対して元側を1.5倍以上、好ましくは1.7倍以上に大きく形成する。これにより強度保持と剛性バランスに優れた竿管にできる。また撓みバランスが改善される。
【0061】
図1でいう穂先竿16と、第2中竿14や第1中竿12とのように、前者を先側竿管とし、後者を元側竿管として、比較対比した釣糸ガイドの好ましい形態や材料関係を下記に示す。
【0062】
1)は先側が大きく撓むため、釣糸ガイドの間隔を小さくすれば、撓んでも釣糸は釣糸ガイドで受けられ、竿管内面に接触することが防止されるので、釣糸抵抗が低減できるからである。2)は小径の先側竿管では内部に侵入した水を排出させて糸抵抗を低減させる必要性が大きく、また、竿管本体の撓み剛性が本来的に小さいので、剛性を高くしないように設定する必要があり、このため軸長方向に傾斜させるとよい。3)は先側竿管の小径に合致したガイドになり、釣糸が挿通し易く、かつ、軽量で持ち重りが防止される。4)は、2)で説明したように先側竿管は撓み剛性が本来的に低いため、これを高めないためである。
【0063】
5)では、大きな負荷が作用すれば、先側竿管の後方、即ち、元側竿管が大きな曲率で撓み、先側竿管は直線的に下方に向くため、大きな力で擦られ難く、逆に元側竿管は下方にまで向かず、曲った状態で釣糸に擦られるため耐摩耗性の高いものが必要である。小さな負荷では摩耗は殆ど問題ではない。6)では、元側は交換等のメインテナンスが容易になる。
上記1)から6)を1組以上組み合わせることにより、釣糸抵抗低減や耐久性の向上等、種々の利点を有する釣糸ガイドが形成される。
上記1)から6)の夫々につき、逆の構成にしてもよい。例えば、先側竿管の内径が比較的に大きい場合は、3)の逆構成にもでき、この構造では、先側で強く水切りを行って、元側に水を侵入させたくない場合に適する。
【0064】
その釣竿の標準的対象魚に相当する負荷を与えた場合に、釣竿のもっとも大きく曲る(曲率の大きい)部位とその近くに、その前後に配した釣糸ガイドよりも耐摩耗性に優れた部材で形成した釣糸ガイドを配設するとよい。また、形状的には、幅広や台形状等、釣糸の接触面積を大きくすると耐久性が向上し、釣竿全体の釣糸ガイドの耐久性のバランスが図れる。
【0065】
更には、図18に示すように、(a)は先側竿管であり、(b)は元側竿管である。図の左側が穂先方向である。(a)の場合は、竿管内径が小さく、釣糸ガイドRGの横断面形状は主に前側の急傾斜面S1と後側の緩傾斜面S2とによって形成されており、釣糸が繰出される方向Aの場合は、釣糸を緩傾斜面S2で受けて中心側に押しやりつつ、その繰出しエネルギーを低減させないで送ることができる。逆に引き込む方向Bの場合には、釣糸は急傾斜面S1側で扱かれるように拭かれるため水切りがよくなる。(b)の場合は特に方向性を持たせていないが、竿管内径が大きいため、先側竿管と比較すれば、(a)のような繰出し時の配慮は殆ど不要であり、引き込み時は先側において水切りがなされているため、やはり(a)のような引き込み時の配慮は殆ど不要となるためである。
【0066】
図19では、竿管本体層形成用プリプレグ等によって本体層の成形時に、そのまま一緒に釣糸ガイドRG’(図20)を成形する方法を示す。この方法では、別途釣糸ガイドを準備する必要が無いため、材料費や工数等が低減できる。従って、廉価タイプの釣竿に適する。
既述のような耐熱性材料のテープ52’を、その幅方向において部分的に重ねながら芯金50に巻回する。こうしてできた窪みTBに、粘性の高い液状の離型剤を塗布して乾燥させるか、或いは仮止め用樹脂や塗料等を塗布し、これを乾燥させた後、上に離型剤を塗布コーティングすれば、この窪みが曲面状になると共に、その表面に離型剤がコーティングされた状態となる。この上から本体層形成用のプリプレグHSPを巻回し、緊締テープ等で加圧しつつ加熱成形し、成形テープ52’と共に、離型剤や仮止め用樹脂等を竿管内部から除去する。
【0067】
この結果、図20に示す断面形状の釣糸ガイドRG’の一体化された竿管が形成される。この釣糸ガイドRG’の頂部TB’は、上述の如く、窪みTBが曲面状に形成された結果角が生ぜず、曲面状に形成される。従って、釣糸が接触しても損傷させず、また釣糸抵抗を低減できる。
この他、釣糸ガイドの竿管内への突出側を曲面状に形成するには、既述の耐熱性材料の厚いテープ52’に、例えば、図21の(a),(b),(c)のような凹形状の窪みを形成し、窪み側が外側になるようにしてこれを芯金に巻回し、外側からプリプレグ等の材料で覆ったり、樹脂その他の釣糸ガイド用材料を所望形状の窪み内に配設し、外側に竿管形成用プリプレグを巻回して加圧加熱成形すれば、所望断面形状の釣糸ガイドが形成できる(テープは後で除去する)。
【0068】
以上の本願各説明は、収納の寸法関係を除き、継合部が振出し以外の並継ぎ、インロー継ぎ、逆並継ぎであっても適用できる。また各説明構造を単独で使用してもよく、更には、いくつかを適宜組み合わせてもよく、それは任意である。
【0069】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、内部に釣糸ガイドを設けても高強度で剛性バランスがとれ、釣竿の撓みが滑らかな中通し釣竿が提供できる。また、釣糸ガイドの内口径を継合部の内径よりも大きくしているため、振出式であれば、小径竿管が大径竿管内部にまで収納可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る釣竿の側面図である。
【図2】図2は図1の要部の拡大縦断面図である。
【図3】図3は図2に代る他の縦断面図である。
【図4】図4は継合部の形態例の図である。
【図5】図5は釣竿の他の形態例の図である。
【図6】図6は継合部の他の形態を示す図である。
【図7】図7は振出式継合部の形態例の図である。
【図8】図8は釣糸ガイドと本体層の関係説明図である。
【図9】図9は釣糸ガイドの斜視図である。
【図10】図10は釣糸ガイドと本体層の関係説明図である。
【図11】図11は釣糸ガイドと本体層の関係説明図である。
【図12】図12は釣糸ガイドと本体層の一体化成形方法説明図である。
【図13】図13は図12の方法によって成形された竿管断面図である。
【図14】図14は図12の方法によって成形された竿管断面図である。
【図15】図15は竿管縦断面図である。
【図16】図16は他の竿管縦断面図である。
【図17】図17は竿管内での前後位置による釣糸ガイド大きさの相違説明図である。
【図18】図18は竿管の位置相違による釣糸ガイド相違の図である。
【図19】図19はエコノミータイプの釣糸ガイド付竿管の製造方法を示す図である。
【図20】図20は図19の方法によって製造された部分竿管縦断面図である。
【図21】図21は釣糸ガイドを成形するテープの横断面図である。
【符号の説明】
12H 竿管本体部
12KT 後端部継合部
12S テーパ部
12T 継合部
H1,H2,HK 補強層
RG,RG2 釣糸ガイド
Claims (1)
- 竿管先端部の継合部の直後に前細テーパ部を形成し、該テーパ部の後方はストレート状か、或いは、前細の緩テーパ状の竿管本体部であり、
該竿管本体部の内側に釣糸ガイドを突出配設し、
該釣糸ガイドの内口径が前記継合部の内径よりも大きく、
前記継合部から前記釣糸ガイドの少なくとも最先端位置にまで亘って本体層を補強する補強層を設けている
ことを特徴とする中通し釣竿。
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