JP3562248B2 - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の蒸発燃料処理装置に関し、特に機関運転条件に応じて燃焼方式を均質燃焼と成層燃焼とに切換える場合の蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車用内燃機関の蒸発燃料処理装置は、燃料タンクにて発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタと、このキャニスタから吸気系へのパージ通路に介装されて蒸発燃料を含むパージガスのパージ量を制御するパージ制御弁とを備えている(特開平7−42588号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料を直接燃焼室に噴射する直噴火花点火式内燃機関では、機関の運転条件に応じて、燃焼方式を切換制御、すなわち、吸気行程にて燃料を噴射することにより、燃焼室内に燃料を拡散させ均質の混合気を形成して行う均質燃焼と、圧縮行程にて燃料を噴射することにより、点火栓回りに集中的に層状の混合気を形成して行う成層燃焼とに切換制御する。尚、空燃比は、均質燃焼時にはストイキ(14.6)又はリーン(20〜30)、成層燃焼時にはリーン(40程度)に設定する。
【0004】
しかしながら、例えば、成層燃焼で設定空燃比がリーンの状態から、均質燃焼で空燃比がストイキの状態へ切換える場合、空燃比を徐々に変化させつつ、その途中で成層燃焼から均質燃焼へ切換えるので、例えば成層燃焼中に空燃比が成層燃焼としてはリッチな状態を通過するなど、不安定な状態となることがあり、このときに、パージガスが導入されると、更に不安定な状態となって、運転性や排気へ影響を与えるという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、燃焼方式の切換時のパージガス導入による不具合を確実に防止できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明では、燃焼方式を均質燃焼と成層燃焼とに切換可能な燃焼方式切換手段を備える一方、燃料タンクにて発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタと、このキャニスタから吸気系へのパージ通路に介装されて蒸発燃料を含むパージガスのパージ量を制御するパージ制御弁とを備え、車両に搭載される内燃機関の蒸発燃料処理装置において、前記内燃機関は補助動力を有することのない、前記車両の唯一の動力源であり、図1に示すように、前記燃焼方式切換手段による成層燃焼から均質燃焼への切換時に、一時的に、前記パージ制御弁を閉じて、パージをカットする切換時パージカット手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記燃焼方式切換手段は、機関運転条件に基づいて目標燃焼方式を設定し、この目標燃焼方式の切換わりより遅らせて実際に燃焼方式を切換えるものであり、前記切換時パージカット手段は、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式を切換える時点まで、パージをカットするものであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記燃焼方式切換手段は、機関運転条件に基づいて目標燃焼方式を設定し、この目標燃焼方式の切換わりより遅らせて実際に燃焼方式を切換えるものであり、前記切換時パージカット手段は、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式が切換わって、その燃焼方式での目標空燃比が得られる時点まで、パージをカットするものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記燃焼方式切換手段は、機関運転条件に基づいて目標燃焼方式を設定し、この目標燃焼方式の切換わりより遅らせて実際に燃焼方式を切換えるものであり、前記切換時パージカット手段は、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式が切換わった後所定時間経過する時点まで、パージをカットするものであることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記パージカット手段によるパージカット後のパージ再開時に、パージ量を徐々に増加させる再開時パージ量漸増手段を設けたことを特徴とする(図1参照)。
請求項6に係る発明では、前記再開時パージ量漸増手段は、所定時間毎にパージ量を所定幅ずつ増加させるものであることを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る発明では、前記再開時パージ量漸増手段は、目標パージ量を基に1次遅れ計算(加重平均)でパージ量を制御するものであることを特徴とする。
【0012】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、成層燃焼から均質燃焼への切換時に、一時的に、パージをカットすることにより、切換中の空燃比のズレを抑制して、運転性等を損なうことなく、切換えを行うことができる。
請求項2に係る発明によれば、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式を切換える時点まで、パージをカットするようにすることで、燃焼方式切換制御における演算フラグなどを利用して、簡易に制御することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式が切換わって、その燃焼方式での目標空燃比が得られる時点まで、パージをカットするようにすることで、目標空燃比が得られる時点まで、確実に空燃比のズレを抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式が切換わった後所定時間経過する時点まで、パージをカットするようにすることで、カットが必要な期間を時間設定で簡単に設定できる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、パージ再開時に、パージ量を徐々に増加させることで、再開時のトルクショックを抑制することができる。
請求項6に係る発明によれば、パージ量を徐々に増加させる際に、所定時間毎にパージ量を所定幅ずつ増加させることにより、トルク増加速度を一定にすることができる。
【0015】
請求項7に係る発明によれば、パージ量を徐々に増加させる際に、目標パージ量を基に1次遅れ計算でパージ量を制御することにより、パージ量によらず、再開時に遷移状態となっている時間を一定にすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
図2は実施の一形態を示す内燃機関のシステム図である。先ず、これについて説明する。
車両に搭載される内燃機関1の各気筒の燃焼室には、エアクリーナ2から吸気通路3により、スロットル弁(ここでは電制スロットル弁)4の制御を受けて、空気が吸入される。
【0017】
電制スロットル弁4は、コントロールユニット20からの信号により作動するステップモータ等により開度制御される。
そして、燃焼室内に燃料(ガソリン)を直接噴射するように、電磁式の燃料噴射弁(インジェクタ)5が設けられている。
燃料噴射弁5は、コントロールユニット20から機関回転に同期して吸気行程又は圧縮行程にて出力される噴射パルス信号によりソレノイドに通電されて開弁し、所定圧力に調圧された燃料を噴射するようになっている。そして、噴射された燃料は、吸気行程噴射の場合は燃焼室内に拡散して均質な混合気を形成し、また圧縮行程噴射の場合は点火栓6回りに集中的に層状の混合気を形成し、コントロールユニット20からの点火信号に基づき、点火栓6により点火されて、燃焼(均質燃焼又は成層燃焼)する。尚、燃焼方式は、大きくは均質燃焼と成層燃焼とに分けられるが、更に空燃比制御との組合わせで、均質燃焼が均質ストイキ燃焼と均質リーン燃焼とに分けられて、均質ストイキ燃焼、均質リーン燃焼(空燃比20〜30)、成層リーン燃焼(空燃比40程度)に分けられる。
【0018】
機関1からの排気は排気通路7より排出され、排気通路7には排気浄化用の触媒8が介装されている。
また、燃料タンク9にて発生する蒸発燃料を処理すべく、蒸発燃料処理装置としてのキャニスタ10が設けられている。キャニスタ10は、密閉容器内に活性炭などの吸着剤11を充填したもので、燃料タンク9からの蒸発燃料導入管12が接続されている。従って、機関1の停止中などに燃料タンク9にて発生した蒸発燃料は、蒸発燃料導入管12を通って、キャニスタ10に導かれ、ここに吸着される。
【0019】
キャニスタ10にはまた、新気導入口13が形成されると共に、パージ通路14が導出されている。パージ通路14はパージ制御弁15を介して吸気通路3のスロットル弁4下流(吸気マニホールド)に接続されている。パージ制御弁15は、コントロールユニット20からのデューティ信号により開度制御される。このパージ制御弁15が開くと、機関1の吸入負圧がキャニスタ10に作用する結果、新気導入口13から導入される空気によってキャニスタ10の吸着剤11に吸着されていた蒸発燃料が脱離され、この脱離した蒸発燃料を含むパージガスがパージ通路14を通って吸気通路3のスロットル弁4下流に吸入され、この後、機関1の燃焼室内で燃焼処理される。
【0020】
コントロールユニット20は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイクロコンピュータを備え、各種のセンサから信号が入力されている。
前記各種のセンサとしては、機関1のクランク軸又はカム軸回転を検出するクランク角センサ21,22が設けられている。これらのクランク角センサ21,22は、気筒数をnとすると、クランク角720°/n毎に、予め定めたクランク角位置(例えば圧縮上死点前110°)で基準パルス信号REFを出力すると共に、1〜2°毎に単位パルス信号POSを出力するもので、基準パルス信号REFの周期などから機関回転数Neを算出可能である。
【0021】
この他、吸気通路3のスロットル弁4上流で吸入空気量Qaを検出するエアフローメータ23、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度)ACCを検出するアクセルセンサ24、スロットル弁4の開度TVOを検出するスロットルセンサ25(スロットル弁4の全閉位置でONとなるアイドルスイッチを含む)、機関1の冷却水温Twを検出する水温センサ26、排気通路7にて排気空燃比のリッチ・リーンに応じた信号を出力する酸素センサ27、車速VSPを検出する車速センサ28などが設けられている。
【0022】
ここにおいて、コントロールユニット20は、前記各種のセンサからの信号を入力しつつ、内蔵のマイクロコンピュータにより、所定の演算処理を行って、電制スロットル弁4によるスロットル開度、燃料噴射弁5による燃料噴射量及び噴射時期、点火栓6による点火時期、更に、パージ制御弁15の開度を総合的に制御する。
【0023】
このうち、燃焼方式の切換制御とパージ制御弁15の開度制御とについて、図3及び図4のフローチャート(第1の実施例)により説明する。
図3は燃焼方式切換制御ルーチンであり、所定時間毎に実行される。
S1(目標燃焼方式設定手段)では、機関回転数Neと目標トルクtTeとをパラメータとして目標燃焼方式を定めたマップを、水温Tw、始動後時間などの条件別に複数備えていて、これらの条件から選択されたマップより、実際のパラメータに従って、均質ストイキ燃焼、均質リーン燃焼又は成層リーン燃焼のいずれかに目標燃焼方式を設定する。
【0024】
ここで、目標燃焼方式が均質燃焼(均質ストイキ燃焼又は均質リーン燃焼)の場合は、目標燃焼方式切換フラグFSTR1=0、成層燃焼(成層リーン燃焼)の場合は、目標燃焼方式切換フラグFSTR1=1にする。また、均質ストイキ燃焼と均質リーン燃焼とを区別するため、ストイキ燃焼の場合は、リーン燃焼フラグFLEAN=0、リーン燃焼の場合は、リーン燃焼フラグFLEAN=1とする。
【0025】
尚、目標トルクtTeは、アクセル開度ACCと機関回転数Neとから、これらに応じてドライバ要求トルクを定めたマップを参照して、ドライバ要求トルクを得、これに所要の機関要求トルクを加算して、算出する。
S2(基本目標当量比設定手段)では、燃焼方式別のマップを参照し、機関回転数Ne及び目標トルクtTeから基本目標当量比TFBYA0を設定する。尚、当量比は、理論空燃比を14.6とすると、当量比=14.6/空燃比となる。
【0026】
S3(目標当量比算出手段)では、吸入空気量のシリンダへの流入遅れに合わせるべく、基本目標当量比TFBYA0に加重平均により1次遅れの遅れ処理を施して、目標当量比TFBYAを算出する(次式参照)。
TFBYA=M×TFBYA0+(1−M)×TFBYA
但し、Mは加重平均重み付け定数である。
【0027】
ここで算出された目標当量比TFBYAは燃料噴射量や吸入空気量の制御に用いられる。例えば、燃料噴射量については、シリンダ空気量Qcyl と目標当量比TFBYAとから、目標燃料噴射量tQfi=K×Qcyl ×TFBYA(Kは定数)を算出して、制御する。
S4(燃焼方式切換タイミング判定手段)では、目標当量比TFBYAを目標燃焼方式に応じて設定されるしきい値と比較し、目標当量比TFBYAがしきい値をよぎった時点で、実際に燃焼方式を切換える。
【0028】
ここで、均質燃焼(均質ストイキ燃焼又は均質リーン燃焼)に切換える場合は、実燃焼方式切換フラグFSTR2=0とし、燃料噴射時期を吸気行程に設定する。成層燃焼(成層リーン燃焼)に切換える場合は、実燃焼方式切換フラグFSTR2=1とし、燃料噴射時期を圧縮行程に設定する。
本ルーチンが燃焼方式切換手段に相当し、この燃焼方式切換手段は、機関運転条件に基づいて目標燃焼方式を設定する目標燃焼方式設定手段(S1)と、目標燃焼方式に従って基本目標当量比を設定する基本目標当量比設定手段(S2)と、基本目標当量比に遅れ処理を施して燃料噴射量及び吸入空気量制御用の目標当量比を算出する目標当量比算出手段(S3)と、目標当量比をしきい値と比較し比較結果に従って実際に燃焼方式を切換えるタイミングを判定する燃焼方式切換タイミング判定手段(S4)とを含んで構成される。
【0029】
また、図7には、成層燃焼から均質燃焼に切換える場合について、目標燃焼方式の切換わった後、空燃比の変化に従って、実際に燃焼方式が切換えられる様子を示してある。
図4はパージ制御ルーチンの第1の実施例であり、所定時間毎に実行される。
S11では、パージ再開中(再開中フラグ=1)か否かを判定し、NOの場合はS12へ進む。
【0030】
S12では、パージカット中(カット中フラグ=1)か否かを判定し、NOの場合はS13へ進む。
S13では、目標燃焼方式が切換わって、燃焼方式切換要求が発生したか否か、具体的には、目標燃焼方式切換フラグFSTR1≠実燃焼方式切換フラグFSTR2か否かを判定する。
【0031】
燃焼方式切換要求が発生していない場合は、S14へ進んで、通常のパージ制御を行う。すなわち、燃焼方式を含む機関運転条件に従ってパージ量EVPを設定し、これに基づいてパージ制御弁15をデューティ制御する。
これに対し、燃焼方式切換要求が発生した場合は、S15へ進んで、パージカットを行う。すなわち、パージ量EVP=0に設定し、パージ制御弁15を全閉に制御する。この部分が切換時パージカット手段に相当する。そして、S16で、カット中フラグ=1にセットする。
【0032】
パージカット後は、カット中フラグ=1になるので、本ルーチンの実行時に、S12での判定で、S17へ進む。
S17では、実際に燃焼方式の切換えがなされたか否か、具体的には、目標燃焼方式切換フラグFSTR1=実燃焼方式切換フラグFSTR2か否かを判定すし、実際の切換え前は、そのまま本ルーチンを終了して、パージカットを続行する。
【0033】
実際に燃焼方式の切換えがなされた場合は、パージを再開すべく、S18でカット中フラグ=0にし、S19で再開中フラグ=1にセットした後、S20へ進んで、パージ量EVPを0から漸増する。
そして、S21でパージ量EVPが目標パージ量に到達したか否かを判定し、未達であれば、そのまま本ルーチンを終了する。
【0034】
パージ再開後は、再開中フラグ=1になるので、本ルーチンの実行時に、S11での判定で、S20へ進む。
S20では、パージ量EVPを漸増する。そして、これに基づいてパージ制御弁15をデューティ制御する。この部分が再開時パージ量漸増手段に相当する。
パージ量EVPの漸増方法としては、例えば、次式(1)のごとく、パージ量EVPを演算し、所定時間(本ルーチンの実行時間隔)毎にパージ量EVPを所定幅(ΔEVP)ずつ増加させる。
【0035】
EVP=EVP+ΔEVP ・・・(1)
但し、ΔEVPは定数である。
又は、次式(2)ごとく、パージ量EVPを演算し、目標パージ量tEVPを基に1次遅れ計算(加重平均)でパージ量EVPを制御する。
EVP=F×tEVP+(1−F)×EVP ・・・(2)
但し、Fは加重平均重み付け定数である。
【0036】
このように、パージ再開時に、パージ量EVPを徐々に増加させることで、再開時のトルクショックを抑制することができる。また特に、(1)式の漸増方法では、トルク増加速度を一定にすることができ、(2)式の漸増方法では、パージ量によらず、再開時に遷移状態となっている時間を一定にすることができる。
そして、S21でパージ量EVPが目標パージ量に到達したか否かを判定し、未達であれば、そのまま本ルーチンを終了するが、到達した場合は、S22へ進んで、再開中フラグ=0にする。
【0037】
本実施例では、図7において、パージカット(1)に示すように、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式を切換える時点まで、パージをカットする。これにより、切換中の空燃比のズレを抑制して、運転性等を損なうことなく、切換えを行うことができる。また、燃焼方式切換制御における演算フラグ(FSTR1,FSTR2)を利用して、簡易に実施することができる。
【0038】
次に他の実施例について説明する。
図5はパージ制御ルーチンの第2の実施例であり、所定時間毎に実行される。
異なる点は、パージ再開タイミングを決定するS17,S17’の部分であり、この部分について説明する。
パージカット後は、カット中フラグ=1になるので、本ルーチンの実行時に、S12での判定で、S17へ進む。
【0039】
S17では、実際に燃焼方式の切換えがなされたか否か、具体的には、目標燃焼方式切換フラグFSTR1=実燃焼方式切換フラグFSTR2か否かを判定すし、実際の切換え前は、そのまま本ルーチンを終了して、パージカットを続行する。
実際に燃焼方式の切換えがなされた場合は、S17’へ進み、目標当量比TFBYAが基本目標当量比TFBYA0付近に到達したか否かを判定し、到達前は、そのまま本ルーチンを終了して、パージカットを続行する。
【0040】
目標当量比TFBYAが基本目標当量比TFBYA0付近に到達した場合は、パージを再開すべく、S18でカット中フラグ=0にし、S19で再開中フラグ=1にセットした後、S20へ進んで、パージ量EVPを0から漸増する。
本実施例では、図7において、パージカット(2)に示すように、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式が切換わって、その燃焼方式での目標空燃比が得られる時点まで、パージをカットする。これにより、切換中の空燃比のズレを抑制して、運転性等を損なうことなく、切換えを行うことができる。また、目標空燃比が得られる時点まで、確実に空燃比のズレを抑制することができる。尚、図5のフローチャートにおいて、S17のステップは省略してもよい。
【0041】
図6はパージ制御ルーチンの第3の実施例であり、所定時間毎に実行される。
異なる点は、パージ再開タイミングを決定するS17,S17”の部分であり、この部分について説明する。
パージカット後は、カット中フラグ=1になるので、本ルーチンの実行時に、S12での判定で、S17へ進む。
【0042】
S17では、実際に燃焼方式の切換えがなされたか否か、具体的には、目標燃焼方式切換フラグFSTR1=実燃焼方式切換フラグFSTR2か否かを判定すし、実際の切換え前は、そのまま本ルーチンを終了して、パージカットを続行する。
実際に燃焼方式の切換えがなされた場合は、S17”へ進み、実際の切換えから所定時間経過したか否かを判定し、所定時間内の場合は、そのまま本ルーチンを終了して、パージカットを続行する。
【0043】
実際の切換えから所定時間経過した場合は、パージを再開すべく、S18でカット中フラグ=0にし、S19で再開中フラグ=1にセットした後、S20へ進んで、パージ量EVPを0から漸増する。
本実施例では、図7において、パージカット(3)に示すように、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式が切換わった後所定時間経過する時点まで、パージをカットする。これにより、切換中の空燃比のズレを抑制して、運転性等を損なうことなく、切換えを行うことができる。また、カットが必要な期間を時間設定により簡単に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示す機能ブロック図
【図2】本発明の実施の一形態を示す内燃機関のシステム図
【図3】燃焼方式切換制御ルーチンのフローチャート
【図4】パージ制御ルーチンの第1の実施例のフローチャート
【図5】パージ制御ルーチンの第2の実施例のフローチャート
【図6】パージ制御ルーチンの第3の実施例のフローチャート
【図7】成層燃焼から均質燃焼への切換えの様子を示す図
【符号の説明】
1 内燃機関
4 電制スロットル弁
5 燃料噴射弁
6 点火栓
9 燃料タンク
10 キャニスタ
14 パージ通路
15 パージ制御弁
20 コントロールユニット
21,22 クランク角センサ
23 エアフローメータ
24 アクセルセンサ
27 酸素センサ
Claims (7)
- 燃焼方式を均質燃焼と成層燃焼とに切換可能な燃焼方式切換手段を備える一方、
燃料タンクにて発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタと、このキャニスタから吸気系へのパージ通路に介装されて蒸発燃料を含むパージガスのパージ量を制御するパージ制御弁とを備え、車両に搭載される内燃機関の蒸発燃料処理装置において、
前記内燃機関は補助動力を有することのない、前記車両の唯一の動力源であり、
前記燃焼方式切換手段による成層燃焼から均質燃焼への切換時に、一時的に、前記パージ制御弁を閉じて、パージをカットする切換時パージカット手段を設けたことを特徴とする内燃機関の蒸発燃料処理装置。 - 前記燃焼方式切換手段は、機関運転条件に基づいて目標燃焼方式を設定し、この目標燃焼方式の切換わりより遅らせて実際に燃焼方式を切換えるものであり、
前記切換時パージカット手段は、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式を切換える時点まで、パージをカットするものであることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。 - 前記燃焼方式切換手段は、機関運転条件に基づいて目標燃焼方式を設定し、この目標燃焼方式の切換わりより遅らせて実際に燃焼方式を切換えるものであり、
前記切換時パージカット手段は、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式が切換わって、その燃焼方式での目標空燃比が得られる時点まで、パージをカットするものであることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。 - 前記燃焼方式切換手段は、機関運転条件に基づいて目標燃焼方式を設定し、この目標燃焼方式の切換わりより遅らせて実際に燃焼方式を切換えるものであり、
前記切換時パージカット手段は、目標燃焼方式が切換わった時点から、実際に燃焼方式が切換わった後所定時間経過する時点まで、パージをカットするものであることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。 - 前記パージカット手段によるパージカット後のパージ再開時に、パージ量を徐々に増加させる再開時パージ量漸増手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
- 前記再開時パージ量漸増手段は、所定時間毎にパージ量を所定幅ずつ増加させるものであることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
- 前記再開時パージ量漸増手段は、目標パージ量を基に1次遅れ計算でパージ量を制御するものであることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
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