JP3982159B2 - 希薄燃焼エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドルストップシステムやハイブリッド電気自動車のためのエンジンとして用いて好適の、希薄燃焼エンジンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、排ガスの削減や燃料消費の抑制や騒音の低減等を目的として、アイドルストップシステムやハイブリッド電気自動車(HEV)が開発されている。
また、アイドルストップシステムでは、信号待ちや渋滞などの車両停止時に自動的にエンジンを停止(アイドリングをストップ)させる。
【0003】
HEVでは、エンジンが発電に用いられる場合、バッテリの残存容量等に応じてエンジンを作動又は停止させ、エンジンが走行に用いられる場合、車両の出力要求等に応じてエンジンを自動的に作動又は停止させる。
このように、アイドルストップシステムやHEVの場合、ドライバのエンジン停止操作に関係なく、状況に応じてエンジンの作動と停止が自動的に行なわれることになる。
【0004】
一方、燃料消費を低減し得るエンジン(内燃機関)として、希薄燃焼エンジンが開発されており、このようなエンジンでは、その燃焼制御モードとして、空燃比がストイキになるようにO2フィードバックにより空燃比を制御するストイキモード(フィードバックモード)や、空燃比がストイキよりも希薄側のリーン状態になるようにオープンループにより空燃比を制御するリーンモードや、空燃比がストイキ近傍或いはストイキよりも濃化側のリッチ状態になるようにオープンループにより空燃比を制御するオープンループモード(エンリッチモードを含む)があり、エンジンの運転状態に応じて使い分けている。また、火花点火式の筒内噴射エンジンの場合、火花点火の直前の圧縮行程に燃料を噴射して層状燃焼を行ない大幅に希薄側の空燃比を実現する超リーンモード(圧縮リーンモード)も設定できる。
【0005】
そして、エンジン回転数やエンジン負荷が小さい場合には、超リーンモード或いはリーンモードを選択し、エンジン回転数やエンジン負荷が大きくなると、ストイキモードを選択し、エンジン回転数やエンジン負荷がさらに大きくなると、オープンループモードエンリッチモードを選択する。
アイドルストップシステムやHEVに適用されるエンジンにおいても、このような各運転モードによりエンジン制御を行なうものが開発されている。
【0006】
例えば図6はアイドルストップシステムをそなえたHEVの駆動系の構成例を示す模式図である。図6に示すように、このHEVは、モータ101と、このモータ101の回転軸101Aにトランスミッション102,クラッチ103及びデファレンシャル(デフ)104を介して接続された駆動輪105,105と、モータ101の回転軸101Aにクラッチ106を介して接続されたエンジン107とをそなえている。また、エンジン107の排気通路108には、上流からO2センサ40,排ガス浄化触媒29が介装されている。
【0007】
そして、通常時は、モータ101とエンジン107との間のクラッチ106を開放して、モータ101の駈動力のみによって走行し、大きな駆動力が要求される場合や、バッテリ(図示略)の残存容量が少なくなってきた場合に、クラッチ106を結合してエンジン107の駈動力を用いるようにする。つまり、駆動力が要求された場合には、エンジン107を車両の駆動力に用い、バッテリの残存容量が少ない場合には、モータ101を発電機として機能させてエンジン107を発電用エンジンとして用いる。
【0008】
走行途中に所定のアイドルストップ条件が成立したら、つまり、▲1▼車両が停止して、▲2▼作動中のエンジン107がアイドル状態になり、▲3▼シフトレバー位置がニュートラルになったら、アイドルストップ(エンジン停止)を実行し、アイドルストップ条件▲1▼〜▲3▼の何れかが不成立になったら(通常は、▲3▼のシフトレバー位置がニュートラルから走行位置に入れられた場合)には、アイドルストップ解除(エンジン始動)を行なう。
【0009】
また、エンジン107の制御モード(燃焼モード)として、前述のように、O2センサ40からの出力に基づいたO2フィードバック制御により空燃比をストイキ近傍に制御するストイキモードと、オープンループ制御により空燃比をリーンに制御するリーンモード(超リーンモードも含む)と、オープンループ制御により空燃比をストイキ近傍若しくはリッチに制御するオープンループモードとをそなえ、エンジン107の出力要求が小さい(エンジン負荷が小さい)場合やエンジン回転数が低い場合には、リーンモードが選択され、エンジン17の出力要求(エンジン負荷)が大きくなったりエンジン回転数が高くなると、ストイキモード又はオープンループモードが選択される。
【0010】
また、ストイキモードで用いるO2センサ40として一般的なもの(例えばジルコニア酸素センサ)は、一般に排ガス中の酸素量が微小になると出力電圧値がステップ状に変化するものであり、O2センサ40の出力電圧値は、ストイキ空燃比を境に、空燃比がストイキよりもリーン側では微小となり、空燃比がストイキよりもリッチ側では所定値以上に大きくなる。
【0011】
そこで、O2フィードバック制御では、O2センサ40の出力電圧値が所定値以上になったら空燃比がストイキよりもリッチ側であるとして空燃比が増加するように目標空燃比を補正し、O2センサ40の出力電圧値が所定値未満になったら空燃比がストイキよりもリーン側であるとして空燃比が減少するように目標空燃比を補正して、燃料噴射量等を制御する。
【0012】
このように、ストイキモードのO2フィードバック制御には、O2センサ40による検出が必須であり、O2センサ40が活性状態にあって確実に反応しなくてはO2フィードバック制御を行なうことはできない。
O2センサ40が活性状態にあれば、空燃比がリッチになると反応する(出力電圧が発生する)ため、O2センサ19が一定以上の反応を示せば、即ちO2センサ40の出力電圧が所定値以上になれば、O2センサ40は活性状態にあると判定し、O2センサ40が一定以上の反応を示さなければ、即ちO2センサ19の出力電圧が所定値未満ならば、O2センサ40は不活性状態にあると判定することができる。
【0013】
そこで、エンジンが始動したら、このような活性判定を行なってO2センサ40が活性状態にある(即ち、O2センサ40の出力電圧が所定値以上になる)ことが確認されるまでは、O2フィードバック制御を行なうストイキモードの選択を禁止するようにしている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のようなアイドルストップシステム付きHEVにおいて、例えば、エンジンのアイドルストップ時に車両を発進させる場合、まずシフトレバーをニュートラル位置から走行位置に切り換えて、その後、アクセルペダルを踏み込んで発進することになる。この場合、例えば図7に示すように、エンジン制御が行なわれる。
【0015】
つまり、シフトレバーを切り換えた時点t1で、停止状態のエンジンが始動する。この始動完了(時点t2)の直後には、アクセルペダルが所定開度以上踏み込まれなければ、エンジン負荷が小さい状態となるためリーンモードが選択され、実A/Fはリーンになる。その後、アクセルペダルが所定開度以上踏み込まれれば(時点t3)、リーンモードでは出力不足となってリーンモードを脱する。
【0016】
リーンモードを脱すると、通常であればストイキモードが選択されるが、上述のように、エンジン始動後にO2センサ40が活性状態にあることが確認されるまではO2フィードバック制御(ストイキモード)の選択が禁止されるので、ここでリーンモードを脱する場合、オープンループ制御で空燃比をストイキ近傍若しくはリッチとするオープンループモードを選択することになる。つまり、エンジン始動後のリーンモードでは、O2センサ40の出力は0(出力電圧がほぼ0)なのでO2センサ40は不活性状態と判定されて、A/Fフィードバックフラグ(ストイキモードフラグ)は禁止(ストイキモード選択禁止)となる。したがって、リーンモードを脱する場合も、オープンループモードを選択することになる。
【0017】
このように、オープンループモードを選択した場合、空燃比をストイキ近傍にするものの、O2フィードバック制御のように実際の空燃比を確認して制御を行なうのでなく、燃料噴射量の空燃比フィードバック用補正係数(A/F−F/B係数)CFBは1(補正なし)に保持されるため、例えばベース空燃比の実際値がリーン側にずれている場合、リーンモードを脱しても、O2センサ40の出力が0のままとなってO2センサ40が不活性状態と判定され続けることがある。この場合、A/Fフィードバックフラグは禁止状態を継続する。したがって、リーンモードを脱しても、なかなかO2フィードバック制御によるストイキモードは選択されずに、ストイキよりもややリーンな運転状態(もちろん、リーンモードよりもストイキに近い運転状態)が続くため、NOxの排出量が大幅に増加してしまう。
【0018】
このように、エンジン停止から再始動したのちにリーンモードを脱しても、O2センサ40を不活性判定する状態が続行する状況は、アイドルストップシステム付きHEVにおけるアイドルストップ時に限らず、一般自動車(エンジン駆動のみによる自動車)におけるアイドルストップ時や、HEVにおいて車両の駆動にエンジン駆動力を追加する場合等にも発生し得る。
【0019】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、希薄燃焼エンジンをそなえたアイドルストップシステム付き自動車やハイブリッド電気自動車等において、エンジンの再始動後に排ガスの悪化を防止することができるようにした、希薄燃焼エンジンの制御装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の希薄燃焼エンジンの制御装置では、燃焼モード選択手段は、運転状態検出手段で検出されたエンジンの運転状態に基づいて、空燃比を理論空燃比よりも希薄側に制御して燃焼を行なう希薄燃焼モード,該空燃比センサの検出結果に基づくフィードバック制御により空燃比を理論空燃比近傍に制御して燃焼を行なうフィードバックモード,オープンループ制御により空燃比を理論空燃比近傍又は理論空燃比よりも濃化側に制御して燃焼を行なうオープンループモードの中からいずれかの燃焼モードを選択する。このとき、活性状態判定手段により空燃比センサが活性状態にあるか否かが判定され、燃焼モード選択手段では、該エンジンが特定の運転状態にあるときには、該活性状態判定手段の判定結果に応じて、該空燃比センサの活性時には該フィードバックモードを選択し、該空燃比センサの不活性時には該オープンループモードを選択し、自動停止・再始動手段では、所定の条件下で該エンジンを自動的に停止及び再始動させた場合の再始動直後は該希薄燃焼モードを選択する。
【0021】
該活性状態判定手段は、人為的操作による始動を含む常時は該空燃比センサの出力に基づいて該空燃比センサが活性状態にあるか否かを判定するが、該自動停止・再始動手段により該エンジンが自動的に再始動された直後には該空燃比センサの出力に関らず該空燃比センサが活性状態にあると擬似判定する。これにより、該燃焼モード選択手段は、該エンジンが自動的に再始動された直後には、該活性状態判定手段により該空燃比センサが活性状態にあると該擬似判定されるため、該エンジンが特定の運転状態になったら該フィードバックモードを選択する(以上、請求項1)。
【0022】
なお、自動停止・再始動手段によるエンジンの自動的な停止及び再始動とは、例えば、アイドルストップシステムにおけるアイドルストップ及びアイドルストップの解除や、ハイブリッド電気自動車における車両駆動用又は発電用エンジンの自動停止及び自動再始動などに相当する。
また、例えば、空燃比センサは理論空燃比の近傍で出力が急変する特性のものとし、空燃比センサの活性判定は、この空燃比センサの出力が急変したか否かで判定するように構成することや、この空燃比センサの出力が所定のレベルに達したか否かで判定するように構成することが好ましい。
【0023】
さらに、該活性状態判定手段は、該再始動直後に該空燃比センサが活性状態にあると擬似判定した後は、該空燃比センサの出力に基づく通常判定に移行することが好ましく、これにより、該エンジンが自動的に再始動された際に、該空燃比センサが実際には不活性状態であった場合に、この不活性状態を速やかに且つ確実に判定することができ、該燃焼モード選択手段では、確実に該オープンループモードを選択して、不活性状態で該フィードバックモードを選択してしまう不具合は回避される(請求項2)。
また、該エンジンは車両に搭載され、該自動停止・再始動手段は、該車両が停止し、且つ、該エンジンがアイドル状態であることを含むエンジン自動停止条件が成立したら該エンジンを自動的に停止させ、該エンジン自動停止条件が成立しなくなったら該エンジンを再始動させることが好ましい(請求項3)。
さらに、該エンジンは走行用モータをさらに備えたハイブリッド車両に搭載され、該自動停止・再始動手段は、該車両の駆動トルクを増加させるため又は該モータを発電機として駆動させるために、該エンジンの出力が要求された場合に該エンジンを始動し、その後、該エンジン出力要求がなくなった場合に該エンジンを停止することが好ましい(請求項4)。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明すると、図1〜図5は本発明の一実施形態としての希薄燃焼エンジンの制御装置について示すものである。
本実施形態にかかる希薄燃焼エンジンは、火花点火式の筒内噴射型エンジン(以下、直噴ガソリンエンジン又は単にエンジンともいう)であって、本エンジンは自動車に搭載されているものとする。まず、本エンジンの構成について説明する。
【0025】
図2に示すように、エンジン1のシリンダヘッド2には、各シリンダ3毎に点火プラグ4とともに燃焼室5内に直接開口する燃料噴射手段としての燃料噴射弁6とが設けられ、点火プラグ4は点火コイル4Aにより燃料噴射弁6はドライバ6Aによりそれぞれ駆動される。シリンダ3内には、クランクシャフト7に連結されたピストン8が装備され、このピストン8の頂面には半球状に窪んだキャビティ9が形成されている。燃料噴射弁6は、エンジンの吸気行程で燃料を筒内に直接噴射することができ、吸気行程燃料噴射手段としても機能する。
【0026】
シリンダヘッド2には、吸気弁10を介して燃焼室5と連通しうる吸気ポート11と排気弁12を介して燃焼室5と連通しうる排気ポート13とが形成されている。吸気ポート11は燃焼室5上方に略鉛直に配設され、ピストン8の頂面のキャビティ9と協働して燃焼室5内で吸気による逆タンブル流を形成させる。
また、シリンダ3外周のウォータジャケット15には冷却水温を検出する水温センサ16が設けられ、クランクシャフト7には所定のクランク角位置で信号を出力するクランク角センサ17が、吸気弁10,排気弁12を駆動するカムシャフト18,19にはカムシャフト位置に応じた気筒識別信号を出力する気筒識別センサ(カム角センサ)20が、それぞれ付設されている。クランク角信号に基づいてエンジン回転速度を算出できるので、クランク角センサ17はエンジン回転速度検出手段としても機能する。
【0027】
吸気系は、上流側からエアクリーナ21,吸気管22,スロットルボディ23,サージタンク24,吸気マニホールド25の順に構成され、吸気マニホールド25の下流端部に吸気ポート11が設けられている。スロットルボディ23には、燃焼室5内へ流入する空気量を調整する空気量調整手段としての電子制御式スロットル弁(ETV)30がそなえられ、このETV30の開度制御は、アクセル開度に応じた制御のみならず、アイドルスピード制御や、後述するリーン運転時の大量吸気導入の制御も行なえるようになっている。
【0028】
さらに、エアクリーナ21の直ぐ下流部分には吸入空気流量を検出するエアフローセンサ37が、スロットルボディ23にはETV30のスロットル開度を検出するスロットルポジションセンサ38とETV30の全閉を検出してアイドル信号を出力するアイドルスイッチ39とがそれぞれ設けられている。吸入空気流量から体積効率Evを算出できるのでエアフローセンサ37は体積効率算出手段としても機能する。
【0029】
排気系は、上流側から排気ポート13を有する排気マニホールド26,排気管27の順に構成され、排気管27には排ガス浄化用の三元触媒29が介装され、排気マニホールド26には、空燃比センサとしてのO2センサ40が設けられている。
なお、燃料供給系については図示しないが、圧力が所定の高圧力〔数十気圧(例えば2〜7MPa)程度〕に調整された燃料が燃料噴射弁6に導かれ、燃料噴射弁6から高圧燃料が噴射されるようになっている。
【0030】
さらに、アクセルペダルの踏込量(アクセルポジション)θapを検出するアクセルポジションセンサ(以下、APSという)42と、変速機のシフトレバー位置を検出するシフトレバー位置センサ43とが設けられている。
そして、点火プラグ4,燃料噴射弁6,ETV30,スタータ(図示略)といった各エンジン制御要素の作動を制御するために、エンジンの制御手段としての機能を有する電子制御ユニット(ECU)60がそなえられている。このECU60には、入出力装置,制御プログラムや制御マップ等の記憶を行なう記憶装置,中央処理装置,タイマやカウンタ等がそなえられており、前述の種々のセンサ類からの検出情報やキースイッチの位置情報等に基づいて、このECU60が、上述の各エンジン制御要素の制御を行なうようになっている。
【0031】
特に、本エンジンは、筒内噴射エンジンであり、燃料噴射を自由なタイミングで実施でき、吸気行程を中心とした燃料噴射(吸気行程噴射)によって、燃料の霧化及び空気との混合を促進させながら均一混合させて均一燃焼を行なうほか、圧縮行程を中心とした燃料噴射(圧縮行程噴射)によって前述の逆タンブル流を利用して混合気を点火プラグ4の近傍に集めて層状燃焼を行なうことができる。本エンジンの運転モード(燃焼モード)としては、O2センサ40の検出情報に基づいたフィードバック制御により空燃比を理論空燃比近傍に保持するO2フィードバックモード(ストイキモード)と、空燃比を理論空燃比近傍又は理論空燃比よりもリッチにするオープンループモード(エンリッチモードを含む)と、空燃比を理論空燃比よりもリーンにして均一燃焼により希薄燃焼させる希薄燃焼モード(吸気リーンモード)と、空燃比を理論空燃比よりも大幅にリーンにして上記の層状燃焼を用いて超希薄燃焼(超リーン運転)させる希薄燃焼モード(圧縮リーンモード)とが設けられている。
【0032】
ECU60では、図示しないマップに基づいて、エンジン回転速度(以下、エンジン回転数という)Ne及びエンジン負荷状態を示す平均有効圧Peの目標値(目標Pe)に応じていずれかの運転モードを選択するようになっており、エンジン回転数Neが小さく目標Peも小さい状態ではリーンモードを選択し、エンジン回転数Neや目標Peが増加していくにつれて、ストイキ,エンリッチの順に運転モードを選択していく。
【0033】
なお、エンジン回転数Neはクランク角センサ17の出力信号から算出され、目標Peはこのエンジン回転数Neと、APS42で検出されたアクセルポジション(アクセル開度)とから算出される。
また、このような本実施形態にかかるエンジンは、例えば既に説明した図6に示すようなアイドルストップシステムをそなえたHEVにそなえられるものとする。つまり、このHEVは、図6に示すように、モータ101と、このモータ101の回転軸101Aにトランスミッション102,クラッチ103及びデファレンシャル(デフ)104を介して接続された駆動輪105,105と、モータ101の回転軸101Aにクラッチ16を介して接続されたエンジン107とをそなえ、エンジン107の排気通路108には、上流からO2センサ40,排ガス浄化触媒29が介装されている。
【0034】
そして、通常時は、クラッチ106を開放してモータ101の駈動力のみによって走行し、大きな駆動力が要求される場合には、クラッチ106を結合してエンジン107を車両の駆動力に用い、バッテリの残存容量が少なくなってきた場合には、クラッチ106を結合してモータ101を発電機として機能させてエンジン107を発電用エンジンとして用いる。
【0035】
また、エンジン駆動による走行途中に、▲1▼車両停止且つ▲2▼エンジン107がアイドル状態且つ▲3▼シフトレバー位置がニュートラルというアイドルストップ条件が成立したら、アイドルストップを実行し、条件▲1▼〜▲3▼の何れかが不成立になったら、アイドルストップを解除する。
このようなエンジン制御を実現するために、ECU60には、エンジンを自動的に始動,停止及び再始動させる機能(自動停止・再始動手段)が設けられている。
【0036】
ここで、このようなエンジン制御を行なう本実施形態の希薄燃焼エンジンの制御装置について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、ECU60内には、エンジンを自動的に始動,停止及び再始動させる自動停止・再始動手段61と、エンジン運転状態から燃焼モード(運転モード)を設定する燃焼モード選択手段62と、燃焼モード選択手段62で設定された運転モード等に基づいて燃料噴射弁6,点火プラグ4,ETV30の作動を制御する燃料噴射弁制御手段63,点火プラグ制御手段64,ETV制御手段65といった各機能要素が備えられている。もちろん、ECU60は、これ以外に、他の種々のエンジン制御要素を制御する機能もそなえている。
【0037】
自動停止・再始動手段61には、エンジン要求対応制御部61aと、アイドルストップ制御部61bとがそなえられる。エンジン要求対応制御部61aでは、モータ101の駈動力のみでは自動車の駆動トルクが不足する場合に車両の駆動トルクを増加させるためや、バッテリ(図示略)の残存容量が少なくなってきた場合にモータ101を発電機として駆動させるために、停止中のエンジンを始動させたり、その後、モータ101の駈動力のみで駆動トルクが充足したり、バッテリの残存容量が所定の残存容量まで回復してきたら、エンジンを停止させる。アイドルストップ制御部61bでは、エンジン運転状態検出手段としてのクランク角センサ(エンジン回転速度検出手段)17,アイドルスイッチ39,シフトレバー位置センサ43からの情報に基づいて、▲1▼車両が停止,▲2▼エンジンがアイドル状態,▲3▼シフトレバー位置がニュートラルというアイドルストップ条件を判断して、エンジン作動時に、アイドルストップ条件(▲1▼&▲2▼&▲3▼)が成立したらアイドルストップ(エンジン停止)させ、アイドルストップ中にアイドルストップ条件が成立しなくなったらエンジンを再始動させる。
【0038】
燃焼モード選択手段62では、前述のように、エンジン運転状態、即ち、エンジン回転数Ne,エンジン負荷(例えば目標Pe)に応じて、マップ等を用いて、フィードバック制御モード(ストイキモード),オープンループ制御モード(エンリッチモードを含む),希薄燃焼制御モード(吸気リーンモード),希薄燃焼制御モード(圧縮リーンモード)のうちからいずれかの運転モードを選択する。
【0039】
ただし、ストイキモードは、O2センサ(空燃比センサ)40の検出結果に基づくフィードバック制御なので、O2センサ40が活性状態にあって正しい検出情報を出力できなくては、制御が成立しない。つまり、O2センサ40が故障していたりして正常に反応しない状態にあると、O2センサ40から誤った検出情報が出力されることになり、このような誤った検出情報に基づいてフィードバック制御をすると、実際の空燃比は、理論空燃比(ストイキ)から次第に離れていき、燃焼が悪化して、燃費性能や排ガス性能の低下を招く。このように、O2センサ(空燃比センサ)40が不活性の場合には、むしろオープンループで空燃比A/Fを制御した方が、良好な燃焼状態が得られ、燃費性能や排ガス性能を確保できる。
【0040】
そこで、ECU60内には、O2センサ40が活性状態にあるか否かを判定する機能(活性状態判定手段)66が設けられ、燃焼モード選択手段62では、この活性状態判定手段66の判定結果に基づいて、ストイキモードの選択を許容したり禁止したりするようになっている。つまり、O2センサ40が活性状態にあれば、空燃比フィードバック制御(O2フィードバック制御)によるストイキモードの選択の可否にかかる空燃比フィードバック制御許容フラグ(A/F−F/Bフラグ)を、オン(ストイキモード選択許可)とする。また、O2センサ40が不活性状態にあれば、A/F−F/Bフラグを、オフ(ストイキモードの選択禁止)とする。
【0041】
ところで、一般に、O2センサ(空燃比センサ)40は、温度にも依存するが、所定の温度に達すると、ストイキ(理論空燃比)を境にこれよりもリーン側とリッチ側とで出力が急変し、ほぼオン・オフ状の出力信号を出す。そこで、このようにO2センサ40の出力値が急変したら、O2センサが活性状態にあると判定することもできるが、よりシンプルには、O2センサ40の出力値が所定値を超えたら、O2センサ40が活性状態にあると判定することができる。
【0042】
本実施形態では、一般に広く使用されるジルコニア酸素センサのように、空燃比がストイキよりもリーン側からリッチ側になる(排ガス中の酸素量が微小になる)と、出力電圧値がほぼ0からステップ状に増加する特性のセンサを用いており、活性状態判定手段66では、O2センサ40の出力値(出力電圧)が予め設定された基準値を超えたら、O2センサ40が活性状態にある(これを活性モードにあるという)と判定するようになっている。
【0043】
逆に、O2センサ40の出力値(出力電圧)が予め設定された基準値を超えていないからといって、これが、実際にO2センサ40がフェイルしていることによるのか、O2センサ40は正常であるが単に空燃比がリーンであるためによるのか、何れであるか判明しない。しかし、O2フィードバック制御時には、O2センサ40の出力電圧値が必ず周期的に基準値を超えるはずであり、O2フィードバック制御時においてO2センサ40の出力電圧値が長期間基準値を超えなければ、こらはO2センサ40のフェイルによるものと判定することができる。そこで、本活性状態判定手段66では、O2フィードバック制御時、即ち、ストイキモード時に、O2センサ40の出力電圧値が基準値を超えない状態が予め設定された所定時間以上継続したら、O2センサ40がフェイルにより不活性にある(これを不活性モードにあるという)と判定するようになっている。
【0044】
このように、O2センサ40活性・不活性の判定は所定条件下でなくては行なえないので、本活性状態判定手段66では、エンジンが停止されない限りは、直近の判定結果を保持するようになっている。
また、エンジン停止時にはO2センサ40の活性判定は不可能であるが、本実施形態では、エンジン停止時には、O2センサ40は不活性(不活性モード)であるとするようになっている。したがって、エンジン始動時には、O2センサ40は不活性であるとして、エンジン制御が開始されることになる。これは、エンジンの冷態始動時を考慮したもので、O2センサ40は、冷態時にはフェイルしていなくても不活性になり、例え空燃比がリッチであっても反応しない(出力電圧が高まらない)。そこで、エンジン始動時には、原則として、O2センサ40は不活性であると擬似判定して、エンジン制御を行なうようにしている。
【0045】
しかし、本エンジンは、ドライバの操作によって、エンジンを停止したり始動したりするほかに、前述のように、自動停止・再始動手段61によって、エンジンの出力が要求された場合にエンジンを始動し、そのエンジン出力要求がなくなった場合にエンジンを停止するという操作や、エンジンの作動中にアイドルストップ条件(▲1▼&▲2▼&▲3▼)が成立したらアイドルストップ(エンジン停止)させ、アイドルストップ中にアイドルストップ条件が成立しなくなったらエンジンを再始動させるという操作が行なわれる。
【0046】
このような自動的なエンジン停止やエンジン始動は、一回の走行中(ドライバがエンジンを始動させてから停止させるまでの間)に何度も発生し得るもので、しかも、エンジンが冷態であることは少なく、特に、アイドルストップはエンジン暖機を条件に実行するように設定することで、O2センサ40の活性判定が不可能であっても、実際には、O2センサ40は活性状態である場合がほとんどである。
【0047】
このような場合までも、エンジン始動時に、O2センサ40が不活性であると擬似判定してしまうと、その大部分は、O2センサ40は活性状態であって、ストイキモードを選択できるのにこれを禁止してオープンループモードを選択しまうことになる。O2センサ40が活性状態であれば、ストイキモードの方がオープンループモードよりも燃焼を効率よく行なえ、排ガス上や燃費上で確実に有利である。
【0048】
そこで、活性状態判定手段66では、自動停止・再始動手段61によって、エンジンが再始動された場合には、O2センサ40は活性状態であると擬似判定するようになっている。もちろん、自動停止・再始動手段61によらない始動、つまり、ドライバの操作による始動時には、前述のように、エンジンの冷態始動時を考慮して、活性状態判定手段66では、O2センサ40は不活性状態であると擬似判定するようになっている。
【0049】
したがって、燃焼モード選択手段62では、この活性状態判定手段66の判定結果に基づいて、自動停止・再始動手段61によりエンジンが再始動された場合には、エンジンがストイキモードに対応した運転状態になったら速やかにストイキモードを選択し、ドライバの操作による始動時には、エンジンがストイキモードに対応した運転状態になっても、O2センサ40の活性状態が確認されるまではストイキモードを選択しないようになっている。
【0050】
活性状態判定手段66では、O2センサ40は活性状態であると擬似判定しても、その後ストイキモードを選べばすぐにO2センサ40の活性・不活性を実際のO2センサ40の出力から判定することができるので、O2センサ40が実際には不活性である場合にも、これを速やかに判定して、不適切なモード選択を回避できるようになっている。また、O2センサ40が不活性状態であると擬似判定した場合にも、エンリッチでのオープンループモードを実行すれば、O2センサ40がフェイルしていない限り、O2センサ40が昇温して活性状態になるので、O2センサ40の出力電圧が所定値を超え、活性状態判定手段66でO2センサ40は活性状態であると判定され、ストイキモードを選択できるようになる。
【0051】
なお、燃料噴射弁制御手段63では、設定された運転モードに応じて備えられたマップ等を用いて、エンジン運転状態、即ち、エンジン回転数Ne,エンジン負荷[例えば目標Pe或いはEv(体積効率)]に基づいて、燃料噴射量及び燃料噴射時期を設定して燃料噴射弁6を制御する。具体的には、燃料噴射の開始時期及び終了時期(何れもクランク角対応)を設定してこれに基づいて燃料噴射弁6を制御する。
【0052】
点火プラグ制御手段64でも、設定された運転モードに応じて備えられたマップ等を用いて、エンジン運転状態、即ち、エンジン回転数Ne,エンジン負荷(例えば目標Pe或いはEv)に基づいて、点火時期を設定して点火プラグ4を制御する。
ETV制御手段65では、設定された運転モードに応じて備えられたマップ等を用いて、アクセル開度や、エンジン運転状態、即ち、エンジン回転数Ne,エンジン負荷(例えば目標Pe或いはEv)に基づいて、ETV30の目標開度を設定してETV30を制御する。
【0053】
本発明の一実施形態としての希薄燃焼エンジンの制御装置は、上述のように構成されているので、例えば、図3,図4に示すように、O2センサ(空燃比センサ)40の活性・不活性の判定が行なわれる。
つまり、図3に示すように、エンジン停止判定(ステップA10)の結果、エンジン停止時には、O2センサ40は不活性状態であると擬似判定する(ステップA20)。
【0054】
そして、エンジンが始動したら、図4に示すように、エンジン始動中(始動完了前)か否かが判断され(ステップB10)、エンジン始動中であれば、ステップB20に進みエンジン始動が自動停止・再始動手段61による自動始動であるか否かが判断される。ここで、自動始動であれば、ステップB30に進みO2センサ40は活性状態であると擬似判定して、不活性タイマ(タイマ値T02)を0にリセットする(ステップB140)。
【0055】
また、自動始動でなければ、即ち、ドライバの操作による始動であれば、ステップB20からステップB40に進み、O2センサ40は不活性状態であると擬似判定して、不活性タイマ(タイマ値T02)を0にリセットする(ステップB140)。
一方、エンジン始動中でなければ、エンジン作動中(始動完了後)であり、ステップB50に進んで、エンジンの運転モードがストイキモードであるか否かが判定される。運転モードがストイキモードなら、ステップB60に進んでO2センサ40の出力電圧値VO2が所定値V1未満か否かが判定される。
【0056】
ここで、出力電圧値VO2が所定値V1未満なら、空燃比はストイキよりもリーンであるため、ステップB80に進んで、燃料噴射量(燃料噴射弁駆動時間)の空燃比フィードバック用補正係数CFBを所定の微小量だけ増加して、燃料噴射量を増加させる。即ち、前回の制御周期の補正係数CFB(n−1)に所定の微小量αを加算したものを、今回の制御周期の補正係数CFB(n)として[CFB(n)=CFB(n−1)+α]、燃料噴射量を設定する。
【0057】
そして、不活性タイマの値T02をインクリメントし(ステップB100)、不活性タイマ値T02が所定値T1以上になったか否かが判定される(ステップB110)。
ストイキモードが続行されれば、フィードバック制御によって、O2センサ40の出力電圧値VO2が所定値V1未満なら、出力電圧値VO2が所定値V1以上になるまで、燃料噴射量を増加補正する(ステップB80)ので、O2センサ40が正常(活性状態にある)ならば、出力電圧値VO2が所定値V1未満の状態が所定時間以上長く続行することはない。
【0058】
不活性タイマの値T02は、出力電圧値VO2が所定値V1未満の状態が継続した時間を示すものである。そこで、不活性タイマの値T02が所定値T1以上になったら、O2センサ40は正常でない(不活性状態にある)と判定する(ステップB120)。そして、不活性タイマ(タイマ値T02)を0にリセットする(ステップB140)。
【0059】
不活性タイマの値T02が所定値T1以上でなければ、O2センサ40の活性・不活性についてのそれまでの判定結果を保持する。
一方、運転モードがストイキモードであって、ステップB60で、O2センサ40の出力電圧値VO2が所定値V1未満でないとされたら、空燃比はストイキよりもリッチであるため、ステップB90に進んで、燃料噴射量(燃料噴射弁駆動時間)の空燃比フィードバック用補正係数CFBを所定の微小量だけ減少して、燃料噴射量を減少させる。即ち、前回の制御周期の補正係数CFB(n−1)に所定の微小量αを減算したものを、今回の制御周期の補正係数CFB(n)として[CFB(n)=CFB(n−1)−α]、燃料噴射量を設定する。
【0060】
そして、O2センサ40の出力電圧値VO2が所定値V1以上なので、O2センサ40は正常である(活性状態にある)と判定して(ステップB130)、不活性タイマ(タイマ値T02)を0にリセットする(ステップB150)。
一方、エンジン作動中(始動完了後)であって、ステップB50で、エンジンの運転モードがストイキモードでないと判定されたら、ステップB70に進んでO2センサ40の出力電圧値VO2が所定値V1以上か否かが判定される。ここで、出力電圧値VO2が所定値V1以上なら、O2センサ40は正常である(活性状態にある)と判定して(ステップB130)、不活性タイマ(タイマ値T02)を0にリセットする(ステップB150)。
【0061】
また、ステップB70でO2センサ40の出力電圧値VO2が所定値V1以上でないと判定されたら、不活性タイマ(タイマ値T02)を0にリセットして(ステップB150)、O2センサ40の活性・不活性についてのそれまでの判定結果を保持する。
このようにして、自動制御によるエンジンの再始動時には、O2センサ40が活性状態であると擬似判定されるので、燃焼モード選択手段62では、再始動時直後からストイキモードの選択を許容するため、エンジンの運転状態(エンジン回転数やエンジン負荷)がストイキモードに適したものになったら、速やかにストイキモードが選択され、O2フィードバック制御によって、空燃比が精度よくストイキ近傍に制御されてエンジンの運転が行なわれる。
【0062】
例えば、図5はこのようなエンジンの再始動時の状況を示すタイムチャートであり、実線は本実施形態について示し、一点鎖線は従来技術(図7参照)について示す。図5に示すように、時点t1でシフトレバーが切り換えられ、アイドルストップ制御によって停止状態にされていたエンジンが始動するものとする。この場合、通常、所定の応答遅れがあってエンジンが始動して、その後の時点t2で始動完了する。このとき、始動開始指令時(時点t1)から、O2センサ40が活性状態である(活性モード)と擬似判定されるので、エンジンの始動完了時点t2からA/Fフィードバックフラグ(ストイキモードフラグ)がオン(ストイキモード選択許可)となる。
【0063】
始動直後には、アクセルペダルが所定開度以上踏み込まれなければ、エンジン負荷が小さい状態となるためリーンモードが選択され、実空燃比(実A/F)実A/Fはリーンになるが、その後、アクセルペダルが所定開度以上踏み込まれれば(時点t3)、リーンモードでは出力不足となってリーンモードを脱して、A/Fフィードバックフラグがストイキモード選択許可となっているので、通常は(アクセルペダルが最大開度程度まで踏み込まれていない限り)、ストイキモードが選択される。
【0064】
ストイキモードが選択されると、応答遅れの後ストイキモードが実施され、実A/Fがリーンからリッチになり、その後は、実A/Fに反応するO2センサ40の出力に基づいて、燃料噴射量の空燃比フィードバック用補正係数(A/F−F/B係数)CFBが空燃比をストイキ近傍でリッチ・リーンに振るように設定される。
【0065】
したがって、空燃比がよくストイキ近傍に保持されるようになり、燃焼が効率よく良好に行なえて、三元触媒29も効率よく作用するため、図5(a)に実線で示すように、NOxの排出量が従来技術(一点鎖線参照)に比べて、大幅に削減される。また、エンジン出力と燃費とが両立するようになる。
また、エンジンの再始動直後に空燃比センサ40が活性状態にあると擬似判定した後は、空燃比センサ40の活性判定を、空燃比センサ40の出力に基づいて通常通りに行なうため、もしもエンジンが自動的に再始動された際に、空燃比センサ40が実際には不活性状態であった場合にも、この不活性状態を速やかに且つ確実に判定することができる。これによって、空燃比センサ40が不活性であるにもかかわらずフィードバックモードを選択してしまう不具合は回避され、不適切なフィードバック制御の選択を回避することができ、燃焼の悪化を抑制して、燃費の悪化や排ガスの悪化を抑えることができる。
【0066】
なお、上述の実施形態は一例であって、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態を種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態では、エンジンの自動停止時には空燃比センサ40が不活性状態であると擬似判定しているが、エンジンの自動停止時から空燃比センサ40が活性状態であると擬似判定してもよい。
【0067】
また、上述の実施形態では、エンジンの自動停止からの再始動時には、再始動直後から、常に空燃比センサ40が活性状態であると擬似判定し、ドライバの操作によるエンジン始動時には、常に空燃比センサ40が不活性状態であると擬似判定しているが、空燃比センサ40が不活性状態であると擬似判定する必要があるのは、エンジンの冷態時であるから、エンジンが冷態の時には、空燃比センサ40が不活性状態であると擬似判定し、エンジンが暖機完了していれば、空燃比センサ40が活性状態であると擬似判定するように構成してもよい。
【0068】
また、ドライバの操作によるエンジン始動時には、常に空燃比センサ40が不活性状態であると擬似判定して、エンジンの自動停止からの再始動時には、エンジンが冷態でなければ(暖機完了していれば)、再始動直後から、空燃比センサ40が活性状態であると擬似判定してもよい。
この場合の、エンジンの冷態は、エンジンの冷却水温やエンジンオイルの油温を利用して冷却水温(又は油温)が所定温度以下なら冷態であると判定してもよく、或いは、エンジンの停止時間が所定時間以上なら冷態であると判定してもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の希薄燃焼エンジンの制御装置によれば、人為的操作による始動を含む常時は空燃比センサの出力に基づいて空燃比センサが活性状態にあるか否かを判定するが、自動停止・再始動手段によりエンジンが自動的に再始動された直後には、再始動直後は該希薄燃焼モードを選択するとともに、空燃比センサの出力に関らず空燃比センサが活性状態にあると擬似判定し、このような判定結果(擬似判定も含む)に基づいて、エンジンが特定の運転状態にあるときには、該空燃比センサが活性状態であればフィードバックモードを選択し、該空燃比センサが不活性状態であればオープンループモードを選択する。したがって、エンジンの再始動の直後からフィードバックモードを選択できるようになり、エンジンの再始動の直後から、空燃比を理論空燃比の近傍にフィードバック制御しながら、エンジン出力と燃費とをバランスさせるとともに、排ガス浄化を促進することができるようになる(請求項1)。
【0070】
また、エンジンの再始動直後に該空燃比センサが活性状態にあると擬似判定した後は、該空燃比センサの出力に基づく通常判定に移行するため、該エンジンが自動的に再始動された際に、該空燃比センサが実際には不活性状態であった場合に、この不活性状態を速やかに且つ確実に判定することができ、該燃焼モード選択手段では、確実に該オープンループモードを選択して、不活性状態で該フィードバックモードを選択してしまう不具合は回避され、不適切なフィードバック制御を回避することができ、燃焼の悪化を抑制して、燃費の悪化や排ガスの悪化を抑えることができる(請求項2)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての筒内噴射型エンジンの制御装置を示す制御ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる筒内噴射型エンジンを示す模式的な構成図である。
【図3】本発明の一実施形態としての希薄燃焼エンジンの制御装置にかかる制御内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態としての希薄燃焼エンジンの制御装置にかかる制御内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態としての希薄燃焼エンジンの制御装置にかかるエンジン制御の具体例を示すタイムチャートであり、(a)はNOx排出量を示し、(b)は燃料噴射量の空燃比フィードバック用補正係数CFBを示し、(c)はO2センサ出力を示し、(d)は空燃比フィードバック用フラグ(A/F−F/Bフラグ)を示し、(e)はO2センサ活性判定の状態を示し、(f)は実際の空燃比(実A/F)を示し、(g)はエンジンの運転モード(燃焼モード)を示し、(h)はエンジン回転数を示し、(i)はスロットル開度(TPS)を示す。
【図6】ハイブリッド電気自動車の駆動系の構成例を示す模式図である。
【図7】従来の希薄燃焼エンジンの制御における課題を説明するタイムチャートであり、(a)はNOx排出量を示し、(b)は燃料噴射量の空燃比フィードバック用補正係数CFBを示し、(c)はO2センサ出力を示し、(d)は空燃比フィードバック用フラグ(A/F−F/Bフラグ)を示し、(e)はO2センサ活性判定の状態を示し、(f)は実際の空燃比(実A/F)を示し、(g)はエンジンの運転モード(燃焼モード)を示し、(h)はエンジン回転数を示し、(i)はスロットル開度(TPS)を示す。
【符号の説明】
1 エンジン
17 エンジン運転状態検出手段としてのクランク角センサ(エンジン回転速度検出手段)
39 アイドルスイッチ
40 空燃比センサとしてのO2センサ
43 シフトレバー位置センサ
61 自動停止・再始動手段
62 燃焼モード選択手段
66 活性状態判定手段
Claims (4)
- 排ガス成分を検出して燃焼混合気の空燃比を検出する空燃比センサをそなえ、空燃比を理論空燃比よりも希薄側に制御して燃焼を行なう希薄燃焼モードと、該空燃比センサの検出結果に基づくフィードバック制御により空燃比を理論空燃比近傍に制御して燃焼を行なうフィードバックモードと、オープンループ制御により空燃比を理論空燃比近傍又は理論空燃比よりも濃化側に制御して燃焼を行なうオープンループモードとの、各燃焼モードをそなえると共に、所定の条件下でエンジンを自動的に停止及び再始動させる自動停止・再始動手段とをそなえる希薄燃焼エンジンの制御装置において、
該空燃比センサが活性状態にあるか否かを判定する活性状態判定手段と、
該エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、
該運転状態検出手段の検出結果から該燃焼モードを設定し、該エンジンが特定の運転状態にあるときには、該活性状態判定手段の判定結果に応じて、該空燃比センサの活性時には該フィードバックモードを選択し、該空燃比センサの不活性時には該オープンループモードを選択し得る共に該自動停止・再始動手段による再始動直後は該希薄燃焼モードを選択する燃焼モード選択手段と、をそなえ、
該活性状態判定手段は、人為的操作による始動を含む常時は該空燃比センサの出力に基づいて該空燃比センサが活性状態にあるか否かを判定し、該自動停止・再始動手段により該エンジンが自動的に再始動された直後には該空燃比センサの出力に関らず該空燃比センサが活性状態にあると擬似判定するとともに、
該燃焼モード選択手段は、該エンジンが自動的に再始動された直後には、該活性状態判定手段により該空燃比センサが活性状態にあると該擬似判定されるため、該エンジンが特定の運転状態になったら該フィードバックモードを選択する
ことを特徴とする、希薄燃焼エンジンの制御装置。 - 該活性状態判定手段は、該再始動直後に該空燃比センサが活性状態にあると擬似判定した後は、該空燃比センサの出力に基づく通常判定に移行する
ことを特徴とする、請求項1記載の希薄燃焼エンジンの制御装置。 - 該エンジンは車両に搭載され、
該自動停止・再始動手段は、該車両が停止し、且つ、該エンジンがアイドル状態であることを含むエンジン自動停止条件が成立したら該エンジンを自動的に停止させ、該エンジン自動停止条件が成立しなくなったら該エンジンを再始動させる
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の希薄燃焼エンジンの制御装置。 - 該エンジンは走行用モータをさらに備えたハイブリッド車両に搭載され、
該自動停止・再始動手段は、該車両の駆動トルクを増加させるため又は該モータを発電機として駆動させるために、該エンジンの出力が要求された場合に該エンジンを始動し、その後、該エンジン出力要求がなくなった場合に該エンジンを停止する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の希薄燃焼エンジンの制御装置。
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