JP3562179B2 - 流体封入式筒形マウント - Google Patents
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Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、内部に封入された流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式筒形マウントに係り、特に広い周波数域に亘って流体の流動作用に基づく低動ばね効果が発揮される流体封入式筒形マウントに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、特開平1−126452号公報や特公平7−99186号公報等に記載されているように、互いに径方向に所定距離を隔てて配された内筒金具と外筒金具を、それらの間に介装された本体ゴム弾性体で連結すると共に、本体ゴム弾性体にて壁部の一部が構成されて振動入力により内圧変動が生ぜしめられる受圧室を形成する一方、壁部の一部が第一のゴム膜で構成されて容積変化が許容される第一の平衡室と、壁部の一部が第二のゴム膜で構成されて容積変化が許容される第二の平衡室をそれぞれ形成すると共に、第一の平衡室を受圧室に連通する第一のオリフィス通路と、第二の平衡室を受圧室に連通する第二のオリフィス通路をそれぞれ形成し、且つそれら受圧室と第一及び第二の平衡室に非圧縮性流体を封入せしめた構造の流体封入式筒形マウントが、知られている。
【0003】
そして、このような流体封入式筒形マウントは、振動入力時に第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等に基づいて有効な防振効果を得ることが出来ることから、例えば自動車用エンジンマウント等として用いられている。また、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路のチューニングを異ならせて、第一のオリフィス通路による流体の共振周波数と、第二のオリフィス通路による流体の共振周波数を、それぞれ防振すべき振動周波数域に設定することにより、異なる二つの周波数域の入力振動に対して、何れも、流体の流動作用に基づく防振効果を有利に得ることが出来るのである。
【0004】
ところで、自動車用エンジンマウント等の防振装置では、車両の走行条件等に応じて広い周波数域に亘る振動が入力されることから、数十Hz以上の広い周波数域の全体に亘って良好な振動絶縁性能が要求される場合がある。例えば、自動車用エンジンマウントでは、一般に、一次〜数次のアイドリング振動や低〜中速度のこもり音振動等に相当する20〜80Hz程度の広い周波数域で、全体に亘って低動ばね特性による振動絶縁性能が要求される。
【0005】
ところが、前記公開公報に記載されているような従来構造の筒形マウントにおいては、各オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される低動ばね効果は、オリフィス通路がチューニングされた極めて狭い流体の共振周波数域だけでしか有効に発揮され得ず、しかも、共振周波数域より高周波側では、流体の反共振的作用によって著しい高動ばね化が惹起されて防振性能が大幅に悪化するという不具合があった。そのために、たとえ二つのオリフィス通路を設けても、第一のオリフィス通路による流体の共振周波数域と第二のオリフィス通路による流体の共振周波数域との、それぞれ狭い二つの周波数域の入力振動に対してしか、有効な防振効果が発揮され得ず、特に、それら二つの周波数域間では、要求される防振効果を得ることが極めて難しいという問題があったのである。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、第一及び第二のオリフィス通路による流体の共振作用に基づく低動ばね効果が充分に広い周波数域で全体に亘って発揮され得て、広い周波数域の入力振動に対して何れも有効な振動絶縁効果を発揮し得る流体封入式筒形マウントを提供することにある。
【0007】
【解決手段】
そして、このような課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、軸部材と、該軸部材の軸直角方向外方に所定距離を隔てて配された外筒部材とを、それらの間に介装された本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体にて壁部の一部が構成されて振動入力により内圧変動が生ぜしめられる受圧室を形成する一方、壁部の一部が第一の可撓性膜で構成されて容積変化が許容される第一の平衡室と、壁部の一部が第二の可撓性膜で構成されて容積変化が許容される第二の平衡室をそれぞれ形成すると共に、該第一の平衡室を前記受圧室に連通する第一のオリフィス通路と、該第二の平衡室を前記受圧室に連通する第二のオリフィス通路をそれぞれ形成し、且つそれら受圧室と第一及び第二の平衡室に非圧縮性流体を封入せしめた流体封入式筒形マウントにおいて、前記第一の可撓性膜の変形に基づく前記第一の平衡室の壁ばね剛性を、前記第二の可撓性膜の変形に基づく前記第二の平衡室の壁ばね剛性よりも大きく設定すると共に、前記第一のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数を、前記第二のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数よりも低くチューニングしたことを、その特徴とするものである。
【0008】
このような請求項1に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、第一の平衡室の壁ばね剛性が第二の平衡室の壁ばね剛性よりも大きくされており、同じ単位量だけ室内容積を変化させた場合の室内圧力の変化量が第二の平衡室よりも第一の平衡室のほうが大きくなるように設定されていることによって、第一の平衡室に接続された第一のオリフィス通路における流体の流通抵抗が大きくされている。
【0009】
その結果、第一のオリフィス通路を通じての流体の流動量が抑えられて、第一のオリフィス通路による流体の共振周波数を越えた周波数域での反共振的作用が低減され、著しい高動ばね化が有効に軽減乃至は防止され得る。それに加えて、第二のオリフィス通路を通じての流体の流動量が一層有利に確保されることから、第一のオリフィス通路による流体の共振周波数よりも高い周波数域において、第二のオリフィス通路による流体の共振作用に基づく低動ばね効果が極めて有効に発揮されるのであり、かかる低動ばね効果によっても、第一のオリフィス通路の反共振的作用による高動ばね化が抑えられる。
【0010】
要するに、かかる流体封入式筒形マウントにおいては、第一のオリフィス通路における反共振的作用そのものが低く抑えられることに加えて、反共振的作用に起因する高動ばね化が、第二のオリフィス通路による共振作用によって抑えられるのであり、それらの相乗的効果によって、第一及び第二のオリフィス通路の各チューニング周波数域だけでなく、それらの間の周波数域の全体に亘って、低動ばね特性が有利に実現されることから、第一のオリフィス通路のチューニング周波数域から第二のオリフィス通路のチューニング周波数域に亘る広い周波数域に亘って優れた防振効果が発揮されることとなるのである。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記第一のオリフィス通路における通路断面積:A1 と通路長さ:L1 の比:A1 /L1 の値が、前記第二のオリフィス通路における通路断面積:A2 と通路長さ:L2 の比:A2 /L2 の値よりも小さく設定されていることを、特徴とする。
【0012】
このような請求項2に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、第一のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数を、第二のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数よりも低くチューニングすることが容易とされる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記第一の可撓性膜と前記第二の可撓性膜が、何れもゴム弾性膜にて構成されていると共に、該第一の可撓性膜よりも該第二の可撓性膜が大きな面積をもって形成されていることを、特徴とする。
【0014】
このような請求項3に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、前記第一の可撓性膜の変形に基づく前記第一の平衡室の壁ばね剛性を、前記第二の可撓性膜の変形に基づく前記第二の平衡室の壁ばね剛性よりも大きく設定することが容易とされる。
【0015】
なお、第一の平衡室の壁ばね剛性を第二の平衡室の壁ばね剛性よりも大きく設定するには、請求項3に記載の発明に従う構成に加えて或いは代えて、例えば、第一の平衡室と第二の平衡室の各壁部を構成する部材自体の材質を異ならせたり、各壁部の部材厚さを異ならせること等によって、両壁部の変形抵抗力や弾性を異ならせること等も、有効である。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記第一のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数:f1 と、前記第二のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数:f2 の差:f2 −f1 の値が、20〜80Hzとされていることを、特徴とする。
【0017】
このような請求項4に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、第一のオリフィス通路による反共振的な高動ばね化に対して、第二のオリフィス通路による共振作用に基づく抑制効果が、より有効に発揮されるのであり、その結果、第一のオリフィス通路のチューニング周波数域と第二のオリフィス通路のチューニング周波数域の間の全体に亘る充分に広い周波数域で、低動ばね特性による良好な振動絶縁効果が一層有利に発揮され得るのである。
【0018】
また、請求項1乃至4の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、第一の平衡室および第二の平衡室の壁部を、何れも、本体ゴム弾性体から実質的に独立して形成することが望ましい。それによって、第一及び第二の平衡室に対して、入力振動が直接に及ぼされることが防止されることから、第一及び第二のオリフィス通路を通じての流体流動が安定し、目的とする防振効果を安定して得ることが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
先ず、図1〜4には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、軸部材としての内筒金具12と、外筒部材としての外筒金具14が、互いに径方向に所定距離を隔てて配設されていると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって連結されている。そして、内筒金具12と外筒金具14の各一方が、図示しないボデーとパワーユニットの各何れか一方に取り付けられることにより、パワーユニットとボデーの間に介装されて、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、内筒金具12と外筒金具14は、僅かに偏心配置されており、装着状態下でパワーユニット重量が及ぼされて本体ゴム弾性体16が弾性変形することにより、内外筒金具12,14が略同軸的に位置せしめられるようになっていると共に、防振すべき主たる振動が略内外筒金具12,14の偏心方向に入力されるようになっている。
【0021】
より詳細には、内筒金具12は、小径の円筒形状を有しており、その径方向外方には、所定距離を隔てて且つ僅かに偏心して略大径円筒形状の金属スリーブ18が配設されている。この金属スリーブ18は、軸方向中央部分の小径部20と、軸方向両端部分の大径部22,22を有する段付円筒形状とされており、小径部20によって、周方向に延びる幅広の周溝23が形成されている。また、かかる金属スリーブ18には、内筒金具12との偏心方向における離隔距離の大なる側に、周方向略半周に亘って開口する第一の窓部24が設けられている一方、内筒金具12との偏心方向における離隔距離の小なる側に、周方向四半周よりも小さい開口の第二の窓部26と、周方向略四半周で開口する第三の窓部28が、互いに周方向に所定距離を隔てて設けられている。
【0022】
そして、これら内筒金具12と金属スリーブ18の間に、本体ゴム弾性体16が介装されており、内筒金具12の外周面と金属スリーブ18の内周面に対してそれぞれ加硫接着された一体加硫成形品とされている。また、内筒金具12と金属スリーブ18の間には、それらの偏心方向における離隔距離の小なる側において、軸方向に貫通する貫通空所30が、周方向に略半周に亘って形成されており、本体ゴム弾性体16が、実質的に、内筒金具12と金属スリーブ18の間において、それらの偏心方向における離隔距離の大なる側にだけ介装されている。これにより、パワーユニット荷重が本体ゴム弾性体16に及ぼされた際、本体ゴム弾性体16における引張応力の発生が軽減乃至は防止されて、良好なる耐久性が確保されるようになっている。
【0023】
また、本体ゴム弾性体16には、外周面に開口する凹所状の第一のポケット部32が設けられており、金属スリーブ18の第一の窓部24を通じて外周面に開口せしめられている。また一方、貫通空所30には、薄肉の袋形状を有する第一の可撓性膜としての第一のゴム弾性膜34と、該第一のゴム弾性膜34よりも大きな袋形状を有する第二の可撓性膜としての第二のゴム弾性膜36が配設されている。そして、第一のゴム弾性膜34の開口周縁部が、金属スリーブ18の第二の窓部26の周縁部に加硫接着されることによって、第二の窓部26を通じて外周面に開口する凹所状の第二のポケット部38が形成されている。更に、第二のゴム弾性膜36の開口周縁部が、金属スリーブ18の第三の窓部28の周縁部に加硫接着されることによって、第三の窓部28を通じて外周面に開口する凹所状の第三のポケット部40が形成されている。
【0024】
なお、本実施形態では、第一のゴム弾性膜34と第二のゴム弾性膜36が、何れも、本体ゴム弾性体16と一体的に形成されている。また、金属スリーブ18の周溝23の外周面には、略全面に亘って広がる薄肉のシールゴム層42が、本体ゴム弾性体16と一体的に形成されている。
【0025】
さらに、このような本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、オリフィス部材44が、外周面上に組み付けられている。このオリフィス部材44は、金属や合成樹脂等の硬質材料で形成されており、金属スリーブ18の周溝23に対応した断面形状をもって周方向に略2/3周の長さで延びる切欠きリング形状を有している。そして、かかるオリフィス部材44は、一体加硫成形品に対して、内筒金具12と金属スリーブ18の偏心方向に略直交する一方の側から径方向に外挿されることにより、金属スリーブ18の周溝23に嵌め込まれており、それによって、金属スリーブ18における第一の窓部24の開口部上から周方向一方の側に向かって延び、第二の窓部26の開口部を周方向に跨いで、第三の窓部28の開口部上にまで至るようにして配設されている。なお、オリフィス部材44には、内筒金具12と金属スリーブ18の偏心方向両側において、第一のポケット部32内に所定高さで突出する第一のストッパ部52と、第三のポケット部40内に所定高さで突出する第二のストッパ部54とが、それぞれ一体形成されている。
【0026】
また、オリフィス部材44には、図5〜7にも示されているように、外周面上に開口して周方向の略全周に亘って延び、且つ周方向両端部においてそれぞれUターン状に折り返して更に半周近くまで延びる凹溝46が形成されている。そして、この凹溝46は、両端部の底部に設けられた第一及び第二の連通孔48,50を通じて、第一のポケット部32と第二のポケット部38に連通せしめられている。
【0027】
さらに、オリフィス部材44が装着された一体加硫成形品には、外筒金具14が外挿され、八方絞り加工等によって金属スリーブ18に対して外嵌固定されており、以て、金属スリーブ18における第一〜三の窓部24,26,28が、外筒金具14によって流体密に覆蓋されて、第一〜三のポケット部32,38,40が、外部空間に対して密閉されている。それにより、それぞれ内部に所定の非圧縮性流体が封入された受圧室56,第一の平衡室58および第二の平衡室60が形成されている。なお、外筒金具14の内周面には、略全面に亘ってシールゴム層66が形成されており、金属スリーブ18への嵌着面の流体密性が確保されるようになっている。また、封入流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が好適に採用され、例えば、一体加硫成形品への外筒金具14の組付けを流体中で行うこと等によって、流体の封入が容易に為され得る。
【0028】
また、受圧室56は、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されており、振動入力時には、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて内圧変動が生ぜしめられるようになっている。更に、第一の平衡室58および第二の平衡室60は、壁部の一部が第一のゴム弾性膜34および第二のゴム弾性膜36で構成されており、かかる第一のゴム弾性膜34および第二のゴム弾性膜36の変形が容易に許容されることによって、何れも容積変化が比較的容易に許容されるようになっている。
【0029】
さらに、外筒金具14によって、オリフィス部材44の外周面に開口して形成された凹溝46も覆蓋されており、以て、受圧室56と第一の平衡室58を相互に連通せしめて、それら両室56,58間での流体流動を許容する第一のオリフィス通路62が形成されている。更にまた、一体加硫成形品において第一のポケット部32と第三のポケット部40の周方向端部間に跨がって延びる、オリフィス部材44が嵌め込まれていない金属スリーブ18の周溝23も、外筒金具14によって覆蓋されており、以て、受圧室56と第二の平衡室60を相互に連通せしめて、それら両室56,60間での流体流動を許容する第二のオリフィス通路64が形成されている。
【0030】
ここにおいて、第一のゴム弾性膜34と第二のゴム弾性膜36は、同じゴム材料で形成されていると共に、略同一の肉厚を有しているが、図1及び図2から明らかなように、第一のゴム弾性膜34よりも第二のゴム弾性膜36の方が周方向寸法が略2倍程度と充分に大きく設定されている。それによって、同じ量だけ室内容積を変化させるために必要とされる室内圧力の変化量が、第二の平衡室60よりも第一の平衡室58のほうが大きくなるように設定されており、第一の平衡室58の壁ばね剛性が第二の平衡室60の壁ばね剛性よりも大きくされている。
【0031】
また、図1〜3からも明らかなように、第一のオリフィス通路62は第二のオリフィス通路64よりも、流路断面積が小さく且つ流路長さが長く設定されている。即ち、第一のオリフィス通路62における通路断面積:A1 と通路長さ:L1 の比:A1 /L1 の値が、第二のオリフィス通路64における通路断面積:A2 と通路長さ:L2 の比:A2 /L2 の値よりも小さく設定されているのである。
【0032】
そして、これら第一及び第二のオリフィス通路62,64における各通路断面積や通路長さの値は、第一及び第二の平衡室58,60の壁ばね剛性をも考慮して、第一のオリフィス通路62による流体の共振作用に基づく低動ばね効果が防振すべき低周波側の振動周波数域で発揮されるように、また第二のオリフィス通路64による流体の共振作用に基づく低動ばね効果が防振すべき高周波側の振動周波数域で発揮されるように、それぞれチューニングされている。なお、第一のオリフィス通路62および第二のオリフィス通路64の各それぞれにおいては、連通された平衡室の壁ばね剛性を一定とすれば、通路断面積と通路長さの比の値を大きく設定することによって、オリフィス通路のチューニング周波数を高周波側に移行せしめることができる。
【0033】
すなわち、第一の平衡室58の壁ばね剛性が第二の平衡室60よりも大きく設定されていることに加えて、第一のオリフィス通路62は、第二のオリフィス通路64に比して、通路断面積と通路長さの比の値が小さく設定されていることから、第二の平衡室60に接続された第二のオリフィス通路64よりも、第一の平衡室58に接続された第一のオリフィス通路62の方が、流体が流れにくくされているのであり、また、第一のゴム弾性膜34が第二のゴム弾性膜36よりも小さくされていることから、第二の平衡室60よりも第一の平衡室58の方が、容積変化量に対する壁ばね剛性の立上りが早く或いは大きくされている。
【0034】
その結果、内外筒金具12、14間に振動が入力された際、第一のオリフィス通路62を通じての流体の流動量が抑えられることにより、第一のオリフィス通路62による流体の共振周波数を越えた周波数域での反共振的作用が低減されることに加えて、第二のオリフィス通路64を通じての流体の流動量が一層有利に確保されることにより、第一のオリフィス通路62による流体の共振周波数よりも高い周波数域において、第二のオリフィス通路64による流体の共振作用に基づく低動ばね効果が極めて有効に発揮されるのであり、かかる低動ばね効果によっても、第一のオリフィス通路62の反共振的作用による高動ばね化が有効に抑えられるのである。
【0035】
なお、第一及び第二のオリフィス通路62,64における各チューニング周波数は、マウントの要求特性に応じて適宜に決定されるものであって限定されるものでないが、それら両オリフィス通路62,64のチューニング周波数が余り近すぎると有効な防振効果が発揮される周波数域を充分に確保することが難しくなり、また両オリフィス通路62,64のチューニング周波数が余り遠すぎると第一のオリフィス通路62による流体の反共振的作用に起因する高動ばね化を第二のオリフィス通路64による流体の共振作用で抑えることが難しくなる。そこで、一般に、第一のオリフィス通路62による流体の共振周波数:f1 と、第二のオリフィス通路64による流体の共振周波数:f2 の差:f2 −f1 の値が、20〜80Hzとなるようにチューニングすることが、望ましい。
【0036】
従って、上述の如き構造とされたエンジンマウント10に対して、その装着状態下で内外筒金具12,14間に振動が入力されると、受圧室56と第一の平衡室58および第二の平衡室60の間に惹起される内圧差に基づいて、第一のオリフィス通路62および第二のオリフィス通路64を通じての流体の流動が生ぜしめられる。そして、各オリフィス通路62,64のチューニング周波数域では、それぞれ流体の共振作用に基づく低動ばね作用により優れた防振効果が発揮されることとなる。
【0037】
しかも、かかるエンジンマウントにおいては、第一のオリフィス通路62による反共振的作用に起因する高動ばね化が軽減乃至は抑制されることから、第一のオリフィス通路62と第二のオリフィス通路64の各チューニング周波数域間の広い範囲に亘って、低動ばね特性が有利に実現され得て、第一のオリフィス通路62がチューニングされた低周波側振動から第二のオリフィス通路64がチューニングされた高周波側振動に至る広い周波数域の入力振動に対して、何れも良好な防振効果が発揮されるのである。
【0038】
それ故、例えば、第一のオリフィス通路62および第二のオリフィス通路64による流体の共振作用に基づく低動ばね効果によって、アイドリング一次だけでなく、二次や三次,四次等の高次振動に対する防振効果や、更に低速から中速に至るこもり音振動等に対する防振効果を、何れも有利に得ることが出来るのであり、エンジンマウントに要求される低〜中周波数域の防振性能を高度に達成することが可能となるのである。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これは文字通りの例示であって、本発明は、かかる具体的な実施形態例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0040】
例えば、第一のゴム弾性膜34と第二のゴム弾性膜36の肉厚を異ならせること等によって、或いは第一のゴム弾性膜34と第二のゴム弾性膜36を別部材として異なる材質を採用すること等によって、第一の平衡室58と第二の平衡室60の壁ばね剛性を異ならせることも可能である。なお、そのような場合には、第一のゴム弾性膜34の大きさを第二のゴム弾性膜36よりも小さくしたり、第一の平衡室58の容積を第二の平衡室60の容積より小さくしたりすることは、必須でない。
【0041】
また、第一及び第二のオリフィス通路の形態や構造は、何等限定されるものでなく、マウントの要求特性等に応じて適宜に変更され得る。例えば、周方向に連続して延びるオリフィス部材を採用して、マウント外周部分を周方向に一周以上の長さで延びるオリフィス通路等を形成することも可能である。
【0042】
更にまた、第一及び第二の平衡室の配置形態や構造は、何等限定されるものでなく、例えば、受圧室の内部を仕切って平衡室を形成すること等も可能である。
【0043】
加えて、本発明は、自動車用エンジンマウントの他、ボデーマウントやデフマウント,サスペンションブッシュ、或いは自動車以外の各種筒形マウントに対して、何れも、有効に適用されることは、勿論である。
【0044】
その他、一々列挙はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様で実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0045】
【実施例】
図1〜3に示された、上述の実施形態に従う構造とされたエンジンマウントであって、第一のオリフィス通路による流体の共振作用に基づく低動ばね化のピークが略40Hzとなり、第二のオリフィス通路による流体の共振作用に基づく低動ばね化のピークが略80Hzとなるようにチューニングしたものを試作し、パワーユニット荷重として内外筒金具間に120kgの静的荷重を加えた状態下で、±0.05mmの振幅の振動を内外筒金具間に入力することによって、防振性能の周波数特性を実測した。その結果を、図8に示す。また、比較例として、同様な構造とされたエンジンマウントであって、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路のチューニング周波数を逆に設定し、壁ばね剛性が大きい第一の平衡室に接続された第一のオリフィス通路を、流体の共振作用に基づく低動ばね化のピークが略80Hzとなるように、壁ばね剛性が小さい第二の平衡室に接続された第二のオリフィス通路を、流体の共振作用に基づく低動ばね化のピークが略40Hzとなるように、それぞれチューニングしたものを試作し、上記実施例と同様、防振性能の周波数特性を実測した結果を、図8に併せ示す。
【0046】
かかる図8に示された実測結果からも、本発明の実施例としてのエンジンマウントでは、第一のオリフィス通路による流体の反共振的作用に起因する動ばね定数の著しい上昇が極めて有効に抑えられて、第一のオリフィス通路のチューニング周波数域と第二のオリフィス通路のチューニング周波数域との間の極めて広い周波数領域に亘って比較的フラットな低動ばね特性が実現されて、優れた防振効果が発揮されることが明らかに認められる。
【0047】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、請求項1乃至4の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、何れも、第一のオリフィス通路による流体の共振周波数域と第二のオリフィス通路による流体の共振周波数域との間の広い周波数域に亘って、低動ばね特性が有利に実現されることとなり、広い周波数域の各種振動に対して何れも優れた防振効果が発揮されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す横断面図であって、図2におけるI−I断面に相当する図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの縦断面図である。
【図3】図1における III−III 断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV断面図である。
【図5】図1に示されたエンジンマウントを構成するオリフィス部材を単体で示す左側面図である。
【図6】図1に示されたエンジンマウントを構成するオリフィス部材を単体で示す平面図である。
【図7】図1に示されたエンジンマウントを構成するオリフィス部材を単体で示す底面図である。
【図8】図1に従う構造とされたエンジンマウントの実施例としての試作品について防振性能の周波数特性を実測した結果を、比較例についての同様な測定結果と共に、併せ示すグラフである。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 内筒金具
14 外筒金具
16 本体ゴム弾性体
34 第一のゴム弾性膜
36 第二のゴム弾性膜
56 受圧室
58 第一の平衡室
60 第二の平衡室
62 第一のオリフィス通路
64 第二のオリフィス通路
【技術分野】
本発明は、内部に封入された流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式筒形マウントに係り、特に広い周波数域に亘って流体の流動作用に基づく低動ばね効果が発揮される流体封入式筒形マウントに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、特開平1−126452号公報や特公平7−99186号公報等に記載されているように、互いに径方向に所定距離を隔てて配された内筒金具と外筒金具を、それらの間に介装された本体ゴム弾性体で連結すると共に、本体ゴム弾性体にて壁部の一部が構成されて振動入力により内圧変動が生ぜしめられる受圧室を形成する一方、壁部の一部が第一のゴム膜で構成されて容積変化が許容される第一の平衡室と、壁部の一部が第二のゴム膜で構成されて容積変化が許容される第二の平衡室をそれぞれ形成すると共に、第一の平衡室を受圧室に連通する第一のオリフィス通路と、第二の平衡室を受圧室に連通する第二のオリフィス通路をそれぞれ形成し、且つそれら受圧室と第一及び第二の平衡室に非圧縮性流体を封入せしめた構造の流体封入式筒形マウントが、知られている。
【0003】
そして、このような流体封入式筒形マウントは、振動入力時に第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等に基づいて有効な防振効果を得ることが出来ることから、例えば自動車用エンジンマウント等として用いられている。また、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路のチューニングを異ならせて、第一のオリフィス通路による流体の共振周波数と、第二のオリフィス通路による流体の共振周波数を、それぞれ防振すべき振動周波数域に設定することにより、異なる二つの周波数域の入力振動に対して、何れも、流体の流動作用に基づく防振効果を有利に得ることが出来るのである。
【0004】
ところで、自動車用エンジンマウント等の防振装置では、車両の走行条件等に応じて広い周波数域に亘る振動が入力されることから、数十Hz以上の広い周波数域の全体に亘って良好な振動絶縁性能が要求される場合がある。例えば、自動車用エンジンマウントでは、一般に、一次〜数次のアイドリング振動や低〜中速度のこもり音振動等に相当する20〜80Hz程度の広い周波数域で、全体に亘って低動ばね特性による振動絶縁性能が要求される。
【0005】
ところが、前記公開公報に記載されているような従来構造の筒形マウントにおいては、各オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される低動ばね効果は、オリフィス通路がチューニングされた極めて狭い流体の共振周波数域だけでしか有効に発揮され得ず、しかも、共振周波数域より高周波側では、流体の反共振的作用によって著しい高動ばね化が惹起されて防振性能が大幅に悪化するという不具合があった。そのために、たとえ二つのオリフィス通路を設けても、第一のオリフィス通路による流体の共振周波数域と第二のオリフィス通路による流体の共振周波数域との、それぞれ狭い二つの周波数域の入力振動に対してしか、有効な防振効果が発揮され得ず、特に、それら二つの周波数域間では、要求される防振効果を得ることが極めて難しいという問題があったのである。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、第一及び第二のオリフィス通路による流体の共振作用に基づく低動ばね効果が充分に広い周波数域で全体に亘って発揮され得て、広い周波数域の入力振動に対して何れも有効な振動絶縁効果を発揮し得る流体封入式筒形マウントを提供することにある。
【0007】
【解決手段】
そして、このような課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、軸部材と、該軸部材の軸直角方向外方に所定距離を隔てて配された外筒部材とを、それらの間に介装された本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体にて壁部の一部が構成されて振動入力により内圧変動が生ぜしめられる受圧室を形成する一方、壁部の一部が第一の可撓性膜で構成されて容積変化が許容される第一の平衡室と、壁部の一部が第二の可撓性膜で構成されて容積変化が許容される第二の平衡室をそれぞれ形成すると共に、該第一の平衡室を前記受圧室に連通する第一のオリフィス通路と、該第二の平衡室を前記受圧室に連通する第二のオリフィス通路をそれぞれ形成し、且つそれら受圧室と第一及び第二の平衡室に非圧縮性流体を封入せしめた流体封入式筒形マウントにおいて、前記第一の可撓性膜の変形に基づく前記第一の平衡室の壁ばね剛性を、前記第二の可撓性膜の変形に基づく前記第二の平衡室の壁ばね剛性よりも大きく設定すると共に、前記第一のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数を、前記第二のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数よりも低くチューニングしたことを、その特徴とするものである。
【0008】
このような請求項1に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、第一の平衡室の壁ばね剛性が第二の平衡室の壁ばね剛性よりも大きくされており、同じ単位量だけ室内容積を変化させた場合の室内圧力の変化量が第二の平衡室よりも第一の平衡室のほうが大きくなるように設定されていることによって、第一の平衡室に接続された第一のオリフィス通路における流体の流通抵抗が大きくされている。
【0009】
その結果、第一のオリフィス通路を通じての流体の流動量が抑えられて、第一のオリフィス通路による流体の共振周波数を越えた周波数域での反共振的作用が低減され、著しい高動ばね化が有効に軽減乃至は防止され得る。それに加えて、第二のオリフィス通路を通じての流体の流動量が一層有利に確保されることから、第一のオリフィス通路による流体の共振周波数よりも高い周波数域において、第二のオリフィス通路による流体の共振作用に基づく低動ばね効果が極めて有効に発揮されるのであり、かかる低動ばね効果によっても、第一のオリフィス通路の反共振的作用による高動ばね化が抑えられる。
【0010】
要するに、かかる流体封入式筒形マウントにおいては、第一のオリフィス通路における反共振的作用そのものが低く抑えられることに加えて、反共振的作用に起因する高動ばね化が、第二のオリフィス通路による共振作用によって抑えられるのであり、それらの相乗的効果によって、第一及び第二のオリフィス通路の各チューニング周波数域だけでなく、それらの間の周波数域の全体に亘って、低動ばね特性が有利に実現されることから、第一のオリフィス通路のチューニング周波数域から第二のオリフィス通路のチューニング周波数域に亘る広い周波数域に亘って優れた防振効果が発揮されることとなるのである。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記第一のオリフィス通路における通路断面積:A1 と通路長さ:L1 の比:A1 /L1 の値が、前記第二のオリフィス通路における通路断面積:A2 と通路長さ:L2 の比:A2 /L2 の値よりも小さく設定されていることを、特徴とする。
【0012】
このような請求項2に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、第一のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数を、第二のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数よりも低くチューニングすることが容易とされる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記第一の可撓性膜と前記第二の可撓性膜が、何れもゴム弾性膜にて構成されていると共に、該第一の可撓性膜よりも該第二の可撓性膜が大きな面積をもって形成されていることを、特徴とする。
【0014】
このような請求項3に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、前記第一の可撓性膜の変形に基づく前記第一の平衡室の壁ばね剛性を、前記第二の可撓性膜の変形に基づく前記第二の平衡室の壁ばね剛性よりも大きく設定することが容易とされる。
【0015】
なお、第一の平衡室の壁ばね剛性を第二の平衡室の壁ばね剛性よりも大きく設定するには、請求項3に記載の発明に従う構成に加えて或いは代えて、例えば、第一の平衡室と第二の平衡室の各壁部を構成する部材自体の材質を異ならせたり、各壁部の部材厚さを異ならせること等によって、両壁部の変形抵抗力や弾性を異ならせること等も、有効である。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記第一のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数:f1 と、前記第二のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数:f2 の差:f2 −f1 の値が、20〜80Hzとされていることを、特徴とする。
【0017】
このような請求項4に記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、第一のオリフィス通路による反共振的な高動ばね化に対して、第二のオリフィス通路による共振作用に基づく抑制効果が、より有効に発揮されるのであり、その結果、第一のオリフィス通路のチューニング周波数域と第二のオリフィス通路のチューニング周波数域の間の全体に亘る充分に広い周波数域で、低動ばね特性による良好な振動絶縁効果が一層有利に発揮され得るのである。
【0018】
また、請求項1乃至4の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、第一の平衡室および第二の平衡室の壁部を、何れも、本体ゴム弾性体から実質的に独立して形成することが望ましい。それによって、第一及び第二の平衡室に対して、入力振動が直接に及ぼされることが防止されることから、第一及び第二のオリフィス通路を通じての流体流動が安定し、目的とする防振効果を安定して得ることが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
先ず、図1〜4には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、軸部材としての内筒金具12と、外筒部材としての外筒金具14が、互いに径方向に所定距離を隔てて配設されていると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって連結されている。そして、内筒金具12と外筒金具14の各一方が、図示しないボデーとパワーユニットの各何れか一方に取り付けられることにより、パワーユニットとボデーの間に介装されて、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、内筒金具12と外筒金具14は、僅かに偏心配置されており、装着状態下でパワーユニット重量が及ぼされて本体ゴム弾性体16が弾性変形することにより、内外筒金具12,14が略同軸的に位置せしめられるようになっていると共に、防振すべき主たる振動が略内外筒金具12,14の偏心方向に入力されるようになっている。
【0021】
より詳細には、内筒金具12は、小径の円筒形状を有しており、その径方向外方には、所定距離を隔てて且つ僅かに偏心して略大径円筒形状の金属スリーブ18が配設されている。この金属スリーブ18は、軸方向中央部分の小径部20と、軸方向両端部分の大径部22,22を有する段付円筒形状とされており、小径部20によって、周方向に延びる幅広の周溝23が形成されている。また、かかる金属スリーブ18には、内筒金具12との偏心方向における離隔距離の大なる側に、周方向略半周に亘って開口する第一の窓部24が設けられている一方、内筒金具12との偏心方向における離隔距離の小なる側に、周方向四半周よりも小さい開口の第二の窓部26と、周方向略四半周で開口する第三の窓部28が、互いに周方向に所定距離を隔てて設けられている。
【0022】
そして、これら内筒金具12と金属スリーブ18の間に、本体ゴム弾性体16が介装されており、内筒金具12の外周面と金属スリーブ18の内周面に対してそれぞれ加硫接着された一体加硫成形品とされている。また、内筒金具12と金属スリーブ18の間には、それらの偏心方向における離隔距離の小なる側において、軸方向に貫通する貫通空所30が、周方向に略半周に亘って形成されており、本体ゴム弾性体16が、実質的に、内筒金具12と金属スリーブ18の間において、それらの偏心方向における離隔距離の大なる側にだけ介装されている。これにより、パワーユニット荷重が本体ゴム弾性体16に及ぼされた際、本体ゴム弾性体16における引張応力の発生が軽減乃至は防止されて、良好なる耐久性が確保されるようになっている。
【0023】
また、本体ゴム弾性体16には、外周面に開口する凹所状の第一のポケット部32が設けられており、金属スリーブ18の第一の窓部24を通じて外周面に開口せしめられている。また一方、貫通空所30には、薄肉の袋形状を有する第一の可撓性膜としての第一のゴム弾性膜34と、該第一のゴム弾性膜34よりも大きな袋形状を有する第二の可撓性膜としての第二のゴム弾性膜36が配設されている。そして、第一のゴム弾性膜34の開口周縁部が、金属スリーブ18の第二の窓部26の周縁部に加硫接着されることによって、第二の窓部26を通じて外周面に開口する凹所状の第二のポケット部38が形成されている。更に、第二のゴム弾性膜36の開口周縁部が、金属スリーブ18の第三の窓部28の周縁部に加硫接着されることによって、第三の窓部28を通じて外周面に開口する凹所状の第三のポケット部40が形成されている。
【0024】
なお、本実施形態では、第一のゴム弾性膜34と第二のゴム弾性膜36が、何れも、本体ゴム弾性体16と一体的に形成されている。また、金属スリーブ18の周溝23の外周面には、略全面に亘って広がる薄肉のシールゴム層42が、本体ゴム弾性体16と一体的に形成されている。
【0025】
さらに、このような本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、オリフィス部材44が、外周面上に組み付けられている。このオリフィス部材44は、金属や合成樹脂等の硬質材料で形成されており、金属スリーブ18の周溝23に対応した断面形状をもって周方向に略2/3周の長さで延びる切欠きリング形状を有している。そして、かかるオリフィス部材44は、一体加硫成形品に対して、内筒金具12と金属スリーブ18の偏心方向に略直交する一方の側から径方向に外挿されることにより、金属スリーブ18の周溝23に嵌め込まれており、それによって、金属スリーブ18における第一の窓部24の開口部上から周方向一方の側に向かって延び、第二の窓部26の開口部を周方向に跨いで、第三の窓部28の開口部上にまで至るようにして配設されている。なお、オリフィス部材44には、内筒金具12と金属スリーブ18の偏心方向両側において、第一のポケット部32内に所定高さで突出する第一のストッパ部52と、第三のポケット部40内に所定高さで突出する第二のストッパ部54とが、それぞれ一体形成されている。
【0026】
また、オリフィス部材44には、図5〜7にも示されているように、外周面上に開口して周方向の略全周に亘って延び、且つ周方向両端部においてそれぞれUターン状に折り返して更に半周近くまで延びる凹溝46が形成されている。そして、この凹溝46は、両端部の底部に設けられた第一及び第二の連通孔48,50を通じて、第一のポケット部32と第二のポケット部38に連通せしめられている。
【0027】
さらに、オリフィス部材44が装着された一体加硫成形品には、外筒金具14が外挿され、八方絞り加工等によって金属スリーブ18に対して外嵌固定されており、以て、金属スリーブ18における第一〜三の窓部24,26,28が、外筒金具14によって流体密に覆蓋されて、第一〜三のポケット部32,38,40が、外部空間に対して密閉されている。それにより、それぞれ内部に所定の非圧縮性流体が封入された受圧室56,第一の平衡室58および第二の平衡室60が形成されている。なお、外筒金具14の内周面には、略全面に亘ってシールゴム層66が形成されており、金属スリーブ18への嵌着面の流体密性が確保されるようになっている。また、封入流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が好適に採用され、例えば、一体加硫成形品への外筒金具14の組付けを流体中で行うこと等によって、流体の封入が容易に為され得る。
【0028】
また、受圧室56は、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されており、振動入力時には、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて内圧変動が生ぜしめられるようになっている。更に、第一の平衡室58および第二の平衡室60は、壁部の一部が第一のゴム弾性膜34および第二のゴム弾性膜36で構成されており、かかる第一のゴム弾性膜34および第二のゴム弾性膜36の変形が容易に許容されることによって、何れも容積変化が比較的容易に許容されるようになっている。
【0029】
さらに、外筒金具14によって、オリフィス部材44の外周面に開口して形成された凹溝46も覆蓋されており、以て、受圧室56と第一の平衡室58を相互に連通せしめて、それら両室56,58間での流体流動を許容する第一のオリフィス通路62が形成されている。更にまた、一体加硫成形品において第一のポケット部32と第三のポケット部40の周方向端部間に跨がって延びる、オリフィス部材44が嵌め込まれていない金属スリーブ18の周溝23も、外筒金具14によって覆蓋されており、以て、受圧室56と第二の平衡室60を相互に連通せしめて、それら両室56,60間での流体流動を許容する第二のオリフィス通路64が形成されている。
【0030】
ここにおいて、第一のゴム弾性膜34と第二のゴム弾性膜36は、同じゴム材料で形成されていると共に、略同一の肉厚を有しているが、図1及び図2から明らかなように、第一のゴム弾性膜34よりも第二のゴム弾性膜36の方が周方向寸法が略2倍程度と充分に大きく設定されている。それによって、同じ量だけ室内容積を変化させるために必要とされる室内圧力の変化量が、第二の平衡室60よりも第一の平衡室58のほうが大きくなるように設定されており、第一の平衡室58の壁ばね剛性が第二の平衡室60の壁ばね剛性よりも大きくされている。
【0031】
また、図1〜3からも明らかなように、第一のオリフィス通路62は第二のオリフィス通路64よりも、流路断面積が小さく且つ流路長さが長く設定されている。即ち、第一のオリフィス通路62における通路断面積:A1 と通路長さ:L1 の比:A1 /L1 の値が、第二のオリフィス通路64における通路断面積:A2 と通路長さ:L2 の比:A2 /L2 の値よりも小さく設定されているのである。
【0032】
そして、これら第一及び第二のオリフィス通路62,64における各通路断面積や通路長さの値は、第一及び第二の平衡室58,60の壁ばね剛性をも考慮して、第一のオリフィス通路62による流体の共振作用に基づく低動ばね効果が防振すべき低周波側の振動周波数域で発揮されるように、また第二のオリフィス通路64による流体の共振作用に基づく低動ばね効果が防振すべき高周波側の振動周波数域で発揮されるように、それぞれチューニングされている。なお、第一のオリフィス通路62および第二のオリフィス通路64の各それぞれにおいては、連通された平衡室の壁ばね剛性を一定とすれば、通路断面積と通路長さの比の値を大きく設定することによって、オリフィス通路のチューニング周波数を高周波側に移行せしめることができる。
【0033】
すなわち、第一の平衡室58の壁ばね剛性が第二の平衡室60よりも大きく設定されていることに加えて、第一のオリフィス通路62は、第二のオリフィス通路64に比して、通路断面積と通路長さの比の値が小さく設定されていることから、第二の平衡室60に接続された第二のオリフィス通路64よりも、第一の平衡室58に接続された第一のオリフィス通路62の方が、流体が流れにくくされているのであり、また、第一のゴム弾性膜34が第二のゴム弾性膜36よりも小さくされていることから、第二の平衡室60よりも第一の平衡室58の方が、容積変化量に対する壁ばね剛性の立上りが早く或いは大きくされている。
【0034】
その結果、内外筒金具12、14間に振動が入力された際、第一のオリフィス通路62を通じての流体の流動量が抑えられることにより、第一のオリフィス通路62による流体の共振周波数を越えた周波数域での反共振的作用が低減されることに加えて、第二のオリフィス通路64を通じての流体の流動量が一層有利に確保されることにより、第一のオリフィス通路62による流体の共振周波数よりも高い周波数域において、第二のオリフィス通路64による流体の共振作用に基づく低動ばね効果が極めて有効に発揮されるのであり、かかる低動ばね効果によっても、第一のオリフィス通路62の反共振的作用による高動ばね化が有効に抑えられるのである。
【0035】
なお、第一及び第二のオリフィス通路62,64における各チューニング周波数は、マウントの要求特性に応じて適宜に決定されるものであって限定されるものでないが、それら両オリフィス通路62,64のチューニング周波数が余り近すぎると有効な防振効果が発揮される周波数域を充分に確保することが難しくなり、また両オリフィス通路62,64のチューニング周波数が余り遠すぎると第一のオリフィス通路62による流体の反共振的作用に起因する高動ばね化を第二のオリフィス通路64による流体の共振作用で抑えることが難しくなる。そこで、一般に、第一のオリフィス通路62による流体の共振周波数:f1 と、第二のオリフィス通路64による流体の共振周波数:f2 の差:f2 −f1 の値が、20〜80Hzとなるようにチューニングすることが、望ましい。
【0036】
従って、上述の如き構造とされたエンジンマウント10に対して、その装着状態下で内外筒金具12,14間に振動が入力されると、受圧室56と第一の平衡室58および第二の平衡室60の間に惹起される内圧差に基づいて、第一のオリフィス通路62および第二のオリフィス通路64を通じての流体の流動が生ぜしめられる。そして、各オリフィス通路62,64のチューニング周波数域では、それぞれ流体の共振作用に基づく低動ばね作用により優れた防振効果が発揮されることとなる。
【0037】
しかも、かかるエンジンマウントにおいては、第一のオリフィス通路62による反共振的作用に起因する高動ばね化が軽減乃至は抑制されることから、第一のオリフィス通路62と第二のオリフィス通路64の各チューニング周波数域間の広い範囲に亘って、低動ばね特性が有利に実現され得て、第一のオリフィス通路62がチューニングされた低周波側振動から第二のオリフィス通路64がチューニングされた高周波側振動に至る広い周波数域の入力振動に対して、何れも良好な防振効果が発揮されるのである。
【0038】
それ故、例えば、第一のオリフィス通路62および第二のオリフィス通路64による流体の共振作用に基づく低動ばね効果によって、アイドリング一次だけでなく、二次や三次,四次等の高次振動に対する防振効果や、更に低速から中速に至るこもり音振動等に対する防振効果を、何れも有利に得ることが出来るのであり、エンジンマウントに要求される低〜中周波数域の防振性能を高度に達成することが可能となるのである。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これは文字通りの例示であって、本発明は、かかる具体的な実施形態例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0040】
例えば、第一のゴム弾性膜34と第二のゴム弾性膜36の肉厚を異ならせること等によって、或いは第一のゴム弾性膜34と第二のゴム弾性膜36を別部材として異なる材質を採用すること等によって、第一の平衡室58と第二の平衡室60の壁ばね剛性を異ならせることも可能である。なお、そのような場合には、第一のゴム弾性膜34の大きさを第二のゴム弾性膜36よりも小さくしたり、第一の平衡室58の容積を第二の平衡室60の容積より小さくしたりすることは、必須でない。
【0041】
また、第一及び第二のオリフィス通路の形態や構造は、何等限定されるものでなく、マウントの要求特性等に応じて適宜に変更され得る。例えば、周方向に連続して延びるオリフィス部材を採用して、マウント外周部分を周方向に一周以上の長さで延びるオリフィス通路等を形成することも可能である。
【0042】
更にまた、第一及び第二の平衡室の配置形態や構造は、何等限定されるものでなく、例えば、受圧室の内部を仕切って平衡室を形成すること等も可能である。
【0043】
加えて、本発明は、自動車用エンジンマウントの他、ボデーマウントやデフマウント,サスペンションブッシュ、或いは自動車以外の各種筒形マウントに対して、何れも、有効に適用されることは、勿論である。
【0044】
その他、一々列挙はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様で実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0045】
【実施例】
図1〜3に示された、上述の実施形態に従う構造とされたエンジンマウントであって、第一のオリフィス通路による流体の共振作用に基づく低動ばね化のピークが略40Hzとなり、第二のオリフィス通路による流体の共振作用に基づく低動ばね化のピークが略80Hzとなるようにチューニングしたものを試作し、パワーユニット荷重として内外筒金具間に120kgの静的荷重を加えた状態下で、±0.05mmの振幅の振動を内外筒金具間に入力することによって、防振性能の周波数特性を実測した。その結果を、図8に示す。また、比較例として、同様な構造とされたエンジンマウントであって、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路のチューニング周波数を逆に設定し、壁ばね剛性が大きい第一の平衡室に接続された第一のオリフィス通路を、流体の共振作用に基づく低動ばね化のピークが略80Hzとなるように、壁ばね剛性が小さい第二の平衡室に接続された第二のオリフィス通路を、流体の共振作用に基づく低動ばね化のピークが略40Hzとなるように、それぞれチューニングしたものを試作し、上記実施例と同様、防振性能の周波数特性を実測した結果を、図8に併せ示す。
【0046】
かかる図8に示された実測結果からも、本発明の実施例としてのエンジンマウントでは、第一のオリフィス通路による流体の反共振的作用に起因する動ばね定数の著しい上昇が極めて有効に抑えられて、第一のオリフィス通路のチューニング周波数域と第二のオリフィス通路のチューニング周波数域との間の極めて広い周波数領域に亘って比較的フラットな低動ばね特性が実現されて、優れた防振効果が発揮されることが明らかに認められる。
【0047】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、請求項1乃至4の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、何れも、第一のオリフィス通路による流体の共振周波数域と第二のオリフィス通路による流体の共振周波数域との間の広い周波数域に亘って、低動ばね特性が有利に実現されることとなり、広い周波数域の各種振動に対して何れも優れた防振効果が発揮されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す横断面図であって、図2におけるI−I断面に相当する図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの縦断面図である。
【図3】図1における III−III 断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV断面図である。
【図5】図1に示されたエンジンマウントを構成するオリフィス部材を単体で示す左側面図である。
【図6】図1に示されたエンジンマウントを構成するオリフィス部材を単体で示す平面図である。
【図7】図1に示されたエンジンマウントを構成するオリフィス部材を単体で示す底面図である。
【図8】図1に従う構造とされたエンジンマウントの実施例としての試作品について防振性能の周波数特性を実測した結果を、比較例についての同様な測定結果と共に、併せ示すグラフである。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 内筒金具
14 外筒金具
16 本体ゴム弾性体
34 第一のゴム弾性膜
36 第二のゴム弾性膜
56 受圧室
58 第一の平衡室
60 第二の平衡室
62 第一のオリフィス通路
64 第二のオリフィス通路
Claims (4)
- 軸部材と、該軸部材の軸直角方向外方に所定距離を隔てて配された外筒部材とを、それらの間に介装された本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体にて壁部の一部が構成されて振動入力により内圧変動が生ぜしめられる受圧室を形成する一方、壁部の一部が第一の可撓性膜で構成されて容積変化が許容される第一の平衡室と、壁部の一部が第二の可撓性膜で構成されて容積変化が許容される第二の平衡室をそれぞれ形成すると共に、該第一の平衡室を前記受圧室に連通する第一のオリフィス通路と、該第二の平衡室を前記受圧室に連通する第二のオリフィス通路をそれぞれ形成し、且つそれら受圧室と第一及び第二の平衡室に非圧縮性流体を封入せしめた流体封入式筒形マウントにおいて、
前記第一の可撓性膜の変形に基づく前記第一の平衡室の壁ばね剛性を、前記第二の可撓性膜の変形に基づく前記第二の平衡室の壁ばね剛性よりも大きく設定すると共に、前記第一のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数を、前記第二のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数よりも低くチューニングしたことを特徴とする流体封入式筒形マウント。 - 前記第一のオリフィス通路における通路断面積:A1 と通路長さ:L1 の比:A1 /L1 の値が、前記第二のオリフィス通路における通路断面積:A2 と通路長さ:L2 の比:A2 /L2 の値よりも小さく設定されている請求項1に記載の流体封入式筒形マウント。
- 前記第一の可撓性膜と前記第二の可撓性膜が、何れもゴム弾性膜にて構成されていると共に、該第一の可撓性膜よりも該第二の可撓性膜が大きな面積をもって形成されている請求項1又は2に記載の流体封入式筒形マウント。
- 前記第一のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数:f1 と、前記第二のオリフィス通路による前記非圧縮性流体の共振周波数:f2 の差:f2 −f1 の値が、20〜80Hzとされている請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式筒形マウント。
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