JP3562117B2 - 希ガス放電灯 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は希ガス放電灯に関し、特にガラスバルブの外周面に一対の帯状の外部電極を有する希ガス放電灯において、外部電極の端部コ−ナ部間の絶縁構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種希ガス放電灯は、例えば図10〜図11に示すように構成されている。尚、図11は図10の展開状態を示す図である。同図において、Aは例えばガラスバルブよりなる外囲器であって、その内面には希土類蛍光体,ハロリン酸塩蛍光体などの蛍光体よりなる発光層Bが形成されている。尚、外囲器Aの内部空間には例えば水銀などの金属蒸気を含まないキセノンガスなどを主成分とする希ガスが所定量封入されている。一方、外囲器Aの外周面には、例えばアルミニウムなどの不透光性の金属部材よりなる帯状の一対の外部電極C,Dが互いに対向するように貼着されており、その外周面は熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブEにて被覆・保護されている。尚、外部電極C,Dの端部からは端子F,Fが導出されており、図示しないハ−ネスなどが半田付けされる。
【0003】
即ち、まず、図12に示すように、外囲器Aの外周面に一方の面に接着層を有する帯状の外部電極C,Dを、互いに所定の間隔だけ離隔するように、手作業によって貼付ける。次に、外部電極C,Dの端部に銅よりなる端子F,Fを鉛−錫−銀−アンチモンの四元合金よりなる半田部材を用いて接続すると共に、端子F,Fに図示しない外部導出用のハ−ネスを半田付けする。尚、外部電極C,Dの外囲器Aへの貼着は、外部電極C,Dに端子F,Fを半田付けした後に行なうこともできる。次に、外囲器Aをシリコ−ンワニス液に浸漬し引き上げた後、例えば1時間程度乾燥させる。これにより外囲器A及び外部電極C,Dの表面にはシリコ−ンワニスの被膜が形成される。然る後、図10に示すように、外囲器Aに熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブEを被せると共に、この保護チュ−ブEを150〜200°C程度に加熱して熱収縮させ、外囲器Aの外周面に保護チュ−ブEを密着させることによって希ガス放電灯が製造される。
【0004】
この希ガス放電灯は、端子F,Fを介して外部電極C,Dに高周波高電圧(例えば25KHzで2500Vo−p)を印加することによりキセノンガスの放電が生じ、キセノンガスの励起線によって発光層Bが励起されて発光するものであり、光は外部電極C,Dの端部Ca,Da間の開口部Pから放出される。特に、この希ガス放電灯には水銀が用いられていないために、点灯後における光量の立ち上がりが急峻であり、点灯と同時に光量がほぼ100%近くにまで達するという特徴を有している。このために、近時、ファクシミリ,イメ−ジスキャナなどの原稿読取用の光源として脚光を浴びている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この希ガス放電灯は、外囲器Aの外周面が熱収縮性の保護チュ−ブEにて被覆されているために、外部電極C,Dに高周波高電圧が印加されても、通常の使用状態では組み込み機器に対し十分の絶縁性を維持することができるものの、湿度の高い状態で使用されると、外部電極C,Dのコ−ナ部Cca−Dca又はCcb−Dcb間で沿面放電による絶縁破壊が生じ、希ガス放電灯の正常な動作が期待できなくなるのみならず、原稿の読み取り機能を奏し得なくなるという問題がある。
【0006】
この原因としては次のことが推測される。即ち、外囲器Aの外周面を保護チュ−ブEにて被覆する際に、熱収縮によって保護チュ−ブEを外囲器A及び外部電極C,Dに密着させても、外部電極C,D及び保護チュ−ブEが例えば70μm前後の厚みを有するために、すべての部分に完全に密着させることはできない。従って、外部電極C,Dの周縁部分には、図10に示すように、保護チュ−ブEと外部電極C,Dの端部Ca,Cb,Da,Dbと外囲器Aとで囲まれる部分に空間部Gが形成される。そして、使用雰囲気の湿度が高くなったりすると、空間部Gに湿気が侵入し、対向する端部間の絶縁間隔が短縮されることになる。特に、コ−ナ部Cca,Dca,Ccb,Dcbはほぼ直角に形成されているために、外部電極C,Dに高周波高電圧が印加されると、同コ−ナ部分の電位傾度が他の部分に比べて高くなる。このために、空間部Gが必要以上に大きく形成されたり、保護チュ−ブEの外囲器Aに対する密着性が低下したりすると、外囲器Aの外周面にシリコ−ンワニスの被膜が形成されていても、コ−ナ部Cca−Dca又はCcb−Dcb間に十分の絶縁性を保つことができなくなって沿面放電するものと推測される。
【0007】
一方、この希ガス放電灯の製造には、例えば手作業による外部電極C,Dの貼着工程,シリコ−ンワニスの被着−乾燥工程,保護チュ−ブEの装着−熱収縮工程などのように数多くの製造工程を経なければならないこともあって、量産性を改善し難いという問題もある。
【0008】
それ故に、本発明の目的は、簡単な構成によって外部電極の周縁部分に空間部が形成されても、外部電極のコ−ナ部間の絶縁破壊を効果的に改善できる希ガス放電灯を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、上述の目的を達成するために、内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って離隔して配置した金属部材よりなる帯状の一対の外部電極と、外囲器の外周面に、外部電極が被覆されるように装着した透光性の絶縁部材とを具備し、前記外部電極の、すべてのコ−ナ部に面取り部を形成したものであり、本発明の第2の発明は、前記絶縁部材を、透光性シ−ト又は熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブにて構成したことを特徴とする。
【0010】
又、本発明の第3の発明は、内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の全長とほぼ同程度の長さを有する透光性シ−トの一方の面に金属部材よりなる帯状の一対の外部電極を互いに離隔して配置し、かつ外部電極の、すべてのコ−ナ部に面取り部を形成してなるシ−ト構体とを具備し、前記外囲器の外周面にシ−ト構体を、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回したことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の第4の発明は、前記外部電極の面取り部の内角を90°を超える値に設定したことを特徴とし、さらに第5の発明は、前記シ−ト構体に粘着ないし接着機能を有する接着層を形成し、このシ−ト構体を外囲器の外周面に、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回し接着したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第1の実施例について図1〜図4を参照して説明する。同図において、1は例えばガラスバルブにて密閉状に構成された直管状の外囲器であって、その内面には希土類蛍光体,ハロリン酸塩蛍光体などの蛍光体よりなる発光層2が形成されている。特に、外囲器1はガラスバルブの端部にディスク状の封着ガラス1a,1bを封着して構成されているが、例えばガラスバルブを加熱しながら縮径加工し溶断して構成することもできる。尚、この外囲器1の密閉空間には水銀などの金属蒸気を含まない例えばキセノン(Xe),クリプトン(Kr),ネオン(Ne),ヘリウム(He)などの希ガスが単一又は混合して所定量封入されているが、キセノンを主成分とする希ガスを例えば20〜110Torrの圧力で封入することが望ましい。
【0013】
この外囲器1の外周面にはシ−ト構体3が密着するように巻回されている。このシ−ト構体3は、例えば外囲器1の全長とほぼ同程度の長さを有し、かつ厚さが20〜100μmの範囲に設定された透光性シ−ト4と、この透光性シ−ト4の一方の面に互いに所定の間隔だけ離隔配置して接着された不透光性の金属部材よりなる帯状の一対の外部電極5,6と、この外部電極5,6の端部に一体的に形成された端子51,61と、透光性シ−ト4の一方の面に付与された粘着ないし接着機能を有する接着層9とから構成されている。特に、外部電極5,6の端部5a,5b,6a,6bのコ−ナ部5ca,5cb,6ca,6cbには円弧状(R状)の面取り部(5ca,5cb,6ca,6cb)が形成されており、その内角は90°を超える値に設定されている。この面取り部(5ca,5cb,6ca,6cb)は半径が0.3mm以上、好ましくは0.5mm(0.5R)以上に設定されている。
【0014】
このシ−ト構体3において、透光性シ−ト4は、例えばポリエチレンテレフタレ−ト(PET)樹脂が好適するが、透光性,電気絶縁性に優れておればポリエステル樹脂,弗素樹脂(テフロン:登録商標)など他の樹脂も利用できる。又、外部電極5,6は、例えばアルミニウム箔が好適するが、導電性に優れており、かつ不透光性であれば、銅,銀,ニッケルなどのように他の金属部材を利用できる。尚、この外部電極C,Dから導出される端子51,61は外部電極5,6とは別部材にて構成し、半田部材,導電性接着剤,かしめ,溶着などによって電気的に接続することができる。さらに、接着層9としてはシリコ−ン系接着剤が好適するが、アクリル系接着剤なども使用できる。特に、この接着層9は外部電極5,6の露出面にも形成されているが、予め透光性シ−ト4の一方の面にのみ形成して外部電極5,6の露出面には形成しないように構成することもできる。
【0015】
上述のシ−ト構体3は外囲器1の外周面に、外部電極5,6が外囲器1と透光性シ−ト4との間に位置するように装着されており、後述の第2の開口部(8)において、透光性シ−ト4の一方の端部4aに他方の端部4bを重ね合わせて接着した上で超音波溶着,熱圧着などにより溶着されている。この溶着部は重ね合わせ部分の長手方向に沿って連続的ないし部分的に形成されている。尚、この状態において、端子51,61は透光性シ−ト4の端部から突出するように配慮されている。特に、シ−ト構体3の外囲器1への装着状態において、外部電極5,6の一端5a,6aの間には第1の開口部7が、外部電極5,6の他端5b,6bの間には第2の開口部8がそれぞれ形成されており、発光層2からの光は主として第1の開口部7から放出される。尚、第1,第2の開口部7,8の開口角θ1 ,θ2 はθ1 >θ2 の関係に設定することが望ましいが、同一に設定することもできる。
【0016】
この希ガス放電灯は、例えば次のように製造される。まず、図5に示すように、シ−ト構体3を展開した状態で所定の部位例えば組み立てステ−ジに載置する。次に、外囲器1をシ−ト構体3の透光性シ−ト4の一端4aに、外囲器1の長手方向が外部電極5,6の長手方向に沿うように(平行となるように)位置させる。この状態で、外囲器1を透光性シ−ト4に若干押しつけるようにして図示矢印方向(透光性シ−ト4の他端4bの方向)に転動させる。これによって、シ−ト構体3は、図1に示すように、外囲器1の外周面に巻回される上、透光性シ−ト4の一端4aに他端4bが重ね合わされ、接着層9によって接着される。次に、周波数が例えば40KHzの超音波溶着装置のホ−ンの先端部分を透光性シ−ト4の重ね合わせ部分に若干押圧するように当接させることによって重ね合わせ部分は溶着される。そして、ホ−ンの当接位置を長手方向に沿って適宜に移動させることにより、重ね合わせ部分の溶着を完了する。
【0017】
この実施例によれば、外部電極5,6の端部5a,5b,6a,6bのコ−ナ部5ca,5cb,6ca,6cbには円弧状(R状)の面取り部(5ca,5cb,6ca,6cb)が形成されているために、外部電極5,6に高周波高電圧が印加されても、コ−ナ部5ca,5cb,6ca,6cbにおける面取り部の電位傾度を従来例の直角に比較して低い値に抑えることができる。従って、外囲器1の外周面に透光性シ−ト4を巻回・密着させる際に、コ−ナ部5ca,5cb,6ca,6cbの周辺部分に空間部(G)が形成されても、最短距離のコ−ナ部5ca−6ca間又は5cb−6cb間での絶縁破壊による沿面放電の生成を防止でき、安定した動作状態を維持できる。
【0018】
又、上述の方法によれば、外囲器1をシ−ト構体3の上で単に転動させるだけで、外部電極5,6を外囲器1の外周面に貼着できるし、外部電極5,6は透光性シ−ト4に予め所定の間隔で配列されているために、貼り付けの際に外部電極5,6の間隔を所定の間隔となるように調整する必要が全くなく、仮に手作業であっても作業能率を著しく向上できる。具体的には、従来方法では製造に60分間を要していたものが、本発明方法によれば1分程度に短縮できる。
【0019】
その上、シ−ト構体3における透光性シ−ト4の一方の面には、接着層9が形成されているために、外囲器1をシ−ト構体3の上で転動させるだけの単純動作によって、シ−ト構体3を外囲器1の外周面に巻回し密着させることができる。従って、作業能率を飛躍的に改善できるのみならず、機械化が可能となり、一層の量産効果が期待できる。
【0020】
しかも、シ−ト構体3の外囲器1の外周面への巻回・密着状態において、透光性シ−ト4の端部4a,4bは互いに重ね合わせて接着されているために、重ね合わせ部分の溶着作業が容易となるのみならず、外部電極5,6の被覆信頼性をも高めることができる。特に、透光性シ−ト4の厚さを20〜100μmの範囲に設定すれば、端部4a,4bの安定した重合・接着性が得られる。しかしながら、その厚さが20μm未満になると、十分の絶縁性を確保できなくなるし、逆に100μmを超えると、シ−トの腰が強くなって端部4a,4bの重ね合わせ部分が剥がれ易くなり、溶着作業のみならず巻回作業も面倒になる。従って、シ−ト厚さは上記範囲に設定することが望ましい。
【0021】
さらには、外部電極5,6は、シ−ト構体3を外囲器1に装着する際に、透光性シ−ト4と外囲器1の外周面との間に位置するように配慮されているために、ファクシミリなどのOA機器に適用されて使用時に高電圧が印加されても、外部電極間は勿論のこと、対地間絶縁をも十分に確保することができる。
【0022】
図6は本発明の第2の実施例を示すものであって、基本的な構成は図1に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、第1の開口部7に対応する外囲器1の内面部分に発光層2を形成しないアパ−チャ部(光放出部)2aを形成したことである。このアパ−チャ部2aの開口角は例えば70〜110度の範囲に設定されているが、用途,目的などに応じて適宜に変更できる。
【0023】
この実施例によれば、発光層2から放射された光は外囲器内において高密度化されてアパ−チャ部2aから第1の開口部7を経て外部に放出されるために、原稿照射装置に適用した場合、原稿面の照度を高めることができ、原稿の読み取り精度を向上できる。
【0024】
特に、外部電極5,6の外囲器側の面に光反射性を付与すれば、アパ−チャ部2aの照度をさらに高めることができ、原稿の読み取り精度も一層改善できる。これの材料としては、例えばアルミニウム箔のように光反射性を有する金属部材が好適する。
【0025】
図7は本発明の第3の実施例を示すものであって、基本的な構成は図6に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、シ−ト構体3の外囲器1への巻回・密着状態において、透光性シ−ト4のそれぞれの端部4a,4bの主たる重ね合わせ部分を外部電極5の外面側に設定し、この部分を超音波溶着したことである。尚、この重ね合わせ・溶着部分は外部電極6の外面側とすることもできる。
【0026】
この実施例によれば、超音波溶着が外部電極5の外面側において行なわれるために、外囲器内面の発光層2に作用する超音波振動が緩和される。従って、第1,第2の実施例に比べると、発光層2の外囲器内面からの剥離を大幅に抑制でき、光出力の改善が可能となる。
【0027】
図8は本発明の第4の実施例を示すものであって、基本的な構成は図1に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、シ−ト構体3の外周面に熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブ10を被せたことである。尚、この保護チュ−ブ10は外囲器1に装着した後、例えば150〜200°C程度に加熱し、収縮させることによりシ−ト構体3に密着される。
【0028】
この実施例によれば、希ガス放電灯の適用部所における環境条件が厳しい,安全基準が高いなどの場合には、例えば耐熱性などに優れ、かつ透光性を有する保護チュ−ブ10にてシ−ト構体3を被覆することによって、より高品位の製品を提供できる。
【0029】
特に、この実施例の構造は、図6,図7に示す第2,第3の実施例にも適用することができる。
【0030】
図9は本発明の第5の実施例を示すものであって、基本的な構成は図3に示すシ−ト構体と同じである。異なる点は、透光性シ−ト4に離隔して配置された外部電極5,6のコ−ナ部5ca,5cb,6ca,6cbに内角が90°を超える値に設定された三角状の面取り部(5ca,5cb,6ca,6cb)を形成したことと、端子51,61を別設して外部電極5,6から導出したことである。この面取り部(5ca,5cb,6ca,6cb)は切り取られる三角状の一辺の長さが0.5mm以上、好ましくは1.0mm(1.0C)以上に設定されている。
【0031】
図6,図7に示す第2,第3の実施例を利用して本発明の第6の実施例について説明する。この実施例は、外囲器1の外周面に一対の外部電極5,6を貼着した後、透光性シ−ト4を外囲器1の外周面に、外部電極5,6が被覆されるように巻回・密着させると共に、透光性シ−ト4のそれぞれの端部4a,4bを重ね合わせて超音波溶着するものである。尚、この外部電極5,6のコ−ナ部には内角が90°以上の面取り部(R又はC)が形成されている。
【0032】
この実施例によれば、上述の各実施例に比較すると、機械化,作業能率の点で劣るものの、従来例よりは改善できる。特に、透光性シ−ト4の巻回に先立って、予め、外囲器1の外周面にシリコ−ンワニスなどの絶縁被膜を形成しておけば、外部電極5,6への面取り部の形成と相俟って絶縁性の一層の改善が可能となる。
【0033】
尚、本発明は、何ら上記実施例にのみ制約されることなく、例えば外部電極の面取り部はすべてのコ−ナ部に形成する他、外部電極の離隔距離の小さい側のコ−ナ部にのみ形成することもできる。外囲器の外周面へのシ−ト構体の貼着は、外囲器をシ−ト構体の上で転動させる他、シ−ト構体を回転させて貼着することもできるし、それぞれの動作を併用させることもできる。又、外囲器をシ−ト構体上で転動させる場合、シ−ト構体の端部以外の部分例えば中央部分に位置させ、前後に転動させて貼着させることもできる。又、シ−ト構体のそれぞれの端部は溶着の他、単に接着させることもできる。
【0034】
【実施例】
次に、実験例について説明する。外径が8mm,長さが300mmの鉛ガラスよりなる外囲器に図4に示すシ−ト構体を巻回・密着させる。このシ−ト構体における外部電極には肉厚が70μm,巾が8mmの帯状のアルミニウムを用い、それの端部コ−ナ部には0.5Rの面取り部が形成されている。そして、外部電極の間隔は3mmに設定されている。この希ガス放電灯を周囲温度が60°C,相対湿度が90%の雰囲気に配置し、外部電極に27KHz,2500Vo−pの高周波高電圧を印加する加速試験を行なったところ、100時間経過後において、0.5Rの面取り部を形成した希ガス放電灯では沿面放電の発生した形跡は全く認められないのみならず、透光性シ−トにも何ら変化は認められなかった。しかしながら、面取り部を形成しない従来例(コ−ナ部内角が90°)では35時間経過後に沿面放電による絶縁破壊が生じた。
【0035】
この結果から、外部電極のコ−ナ部には0.5R以上の面取り部を形成することが望ましいことが理解できるが、実用的には0.3R以上であれば一応の効果が期待できる。尚、図9に示す形状の面取り部でも、0.5C以上であれば同様の効果が得られる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、外部電極の端部のコ−ナ部には内角が90°を超える値に設定された面取り部が形成されているために、外部電極に高周波高電圧が印加されても、コ−ナ部における面取り部の電位傾度を従来例の直角に比較して低い電位に抑えることができる。従って、外囲器の外周面に透光性シ−トを巻回・密着させる際に、コ−ナ部の周辺部分に空間部が形成されても、コ−ナ部での絶縁破壊による沿面放電の生成を防止でき、安定した動作状態を確保できる。
【0037】
又、外囲器をシ−ト構体の上で単に転動させるだけで、外部電極を外囲器の外周面に貼着できるし、外部電極は透光性シ−トに予め所定の間隔で配列されているために、貼り付けの際に外部電極の間隔を所定の間隔となるように調整する必要が全くなく、仮に手作業であっても作業能率を著しく向上できる。
【0038】
その上、シ−ト構体における透光性シ−トの一方の面に接着層を形成すれば、外囲器をシ−ト構体の上で転動させるだけの単純動作によって、シ−ト構体を外囲器の外周面に巻回させることができるのみならず、外囲器への密着性も向上できる。従って、機械化が可能となり、一層の量産効果が期待できるのみならず、上述の密着性に基づいて絶縁破壊の発生を効果的に抑えることができる。
【0039】
さらに、外部電極は、シ−ト構体を外囲器に装着する際に、透光性シ−トと外囲器の外周面との間に位置するように配慮されているために、ファクシミリなどのOA機器に適用されて使用時に高電圧が印加されても、外部電極間は勿論のこと、対地間絶縁をも十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す縦断面図。
【図2】図1の一部破断状態の側面図。
【図3】本発明にかかるシ−ト構体の展開図。
【図4】図3のX−X断面図。
【図5】本発明方法を説明するための縦断面図。
【図6】本発明の第2の実施例を示す縦断面図。
【図7】本発明の第3の実施例を示す縦断面図。
【図8】本発明の第4の実施例を示す縦断面図。
【図9】本発明にかかる他のシ−ト構体の展開図。
【図10】従来例の縦断面図。
【図11】図10の展開図。
【図12】従来方法を説明するための斜視図。
【符号の説明】
1 外囲器
2 発光層
2a アパ−チャ部
3 シ−ト構体
4 透光性シ−ト
4a,4b 端部
5,6 外部電極
5a,5b,6a,6b 端部
5ca,5cb,6ca,6cb コ−ナ部(面取り部)
51,61 端子
7 第1の開口部
8 第2の開口部
9 接着層
10 保護チュ−ブ
Claims (5)
- 内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って離隔して配置した金属部材よりなる帯状の一対の外部電極と、外囲器の外周面に、外部電極が被覆されるように装着した透光性の絶縁部材とを具備し、前記外部電極の、すべてのコ−ナ部に面取り部を形成したことを特徴とする希ガス放電灯。
- 前記絶縁部材を、透光性シ−ト又は熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブにて構成したことを特徴とする請求項1記載の希ガス放電灯。
- 内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の全長とほぼ同程度の長さを有する透光性シ−トの一方の面に金属部材よりなる帯状の一対の外部電極を互いに離隔して配置し、かつ外部電極の、すべてのコ−ナ部に面取り部を形成してなるシ−ト構体とを具備し、前記外囲器の外周面にシ−ト構体を、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回したことを特徴とする希ガス放電灯。
- 前記外部電極の面取り部の内角が90°を超える値に設定したことを特徴とする請求項1又は3記載の希ガス放電灯。
- 前記シ−ト構体に粘着ないし接着機能を有する接着層を形成し、このシ−ト構体を外囲器の外周面に、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回し接着したことを特徴とする請求項1又は3記載の希ガス放電灯。
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