JP3562106B2 - 希ガス放電灯 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は希ガス放電灯に関し、特にガラスバルブの外周面に一対の帯状の外部電極を有する希ガス放電灯において、外部電極の端部からの端子の導出構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種希ガス放電灯は、例えば図11〜図13に示すように構成されている。即ち、Aは例えばガラスバルブよりなる直管状の外囲器であって、その内面には希土類蛍光体,ハロリン酸塩蛍光体などの蛍光体よりなる発光層Bが形成されている。尚、外囲器Aの内部空間には例えば水銀などの金属蒸気を含まないキセノンガスなどを主成分とする希ガスが所定量封入されている。一方、外囲器Aの外周面には、例えばアルミニウムなどの不透光性の金属部材よりなる帯状の一対の外部電極C,Dが互いに対向するように貼着されており、その外周面は熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブEにて被覆・保護されている。又、外部電極C,Dの端部には例えば銅などの端子F,Fが鉛−錫−銀−アンチモンの四元合金よりなるアルミニウム接続用の半田(以下、アルミ半田という)G,Gにて半田付けされている。
【0003】
この希ガス放電灯は、外部電極C,Dに高周波高電圧(例えば29KHzで2500Vo−p)を印加することによりキセノンガスの放電が生じ、キセノンガスの励起線によって発光層Bが励起されて発光するものであり、光は外部電極C,Dの端部Ca,Da間の開口部Pから放出される。特に、この希ガス放電灯には水銀が用いられていないために、点灯後における光量の立ち上がりが急峻であり、点灯と同時に光量がほぼ100%近くにまで達するという特徴を有している。このために、近時、ファクシミリ,イメ−ジスキャナ,複写機などのOA機器の原稿読取用の光源として脚光を浴びている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この希ガス放電灯は、次のように製造されるために、最終製品の形態の一定化が難しい上、量産性の改善も難しいという問題がある。
【0005】
即ち、まず、図12に示すように、外囲器Aの外周面に一方の面に接着層を有する外部電極C,Dを、互いに所定の間隔だけ離隔するように、手作業によって貼付ける。そして、外部電極C,Dの端部に端子F,Fをアルミ半田G,Gにて半田付けすると共に、端子F,Fに図示しない外部導出用のハ−ネスを半田付けする。尚、外部電極C,Dの外囲器Aへの貼着は、外部電極C,Dに端子F,Fを半田付けした後に行なうこともできる。次に、外囲器Aをシリコ−ンワニス液に浸漬し引き上げた後、例えば1時間程度乾燥させることにより、外囲器A及び外部電極C,Dの表面にはシリコ−ンワニスの被膜が形成される。然る後に、図11及び図13に示すように、外囲器Aに熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブEを被せると共に、この保護チュ−ブEを150〜200°C程度に加熱して熱収縮させ、外囲器Aの外周面に保護チュ−ブEを密着させることによって希ガス放電灯が製造される。
【0006】
このように希ガス放電灯の製造工程には、外部電極C,Dの端部に端子F,Fをアルミ半田G,Gにて半田付けする工程があるが、外部電極C,Dに対する端子F,Fの幅が大きく半田付け面積が広い上に、手作業によって行なわれるために、作業者間のバラツキが大きく、アルミ半田G,Gの盛り上がり形態が一定化しない傾向にある。例えばアルミ半田G,Gが大きく盛り上がってしまうと、端子F,Fの面積が広いために、図13に示すように、保護チュ−ブEを装着した状態において、端子F,Fの外部電極C,Dへの半田付け部分の外径が外囲器Aの中央部分の外径に比べて局部的に大きくなる。
【0007】
ところで、近時、ファクシミリ,イメ−ジスキャナ,複写機などのOA機器は、ユ−ザ−などの要請に基づいて小形化が進められており、これに組み込まれる原稿読取用光源としての希ガス放電灯に対しても同様に小形化が求められている。従って、組み込み部所における希ガス放電灯とOA機器との間のクリアランスは極めて小さいものである。
【0008】
このために、希ガス放電灯の外径のバラツキが全長に亘って小さい場合には何ら問題はないものの、上述のように希ガス放電灯の外径が局部的に大きくなると、OA機器の所定位置に組み込めなくなるという問題が生ずる。
【0009】
しかも、この希ガス放電灯では、外部電極C,Dの外囲器Aへの密着性,貼着性及び端子F,Fの外部電極C,Dへの接続強度などの観点から、外部電極C,Dには肉厚の小さいアルミニウムが、端子F,Fには外部電極C,Dの幅の50%を超える幅の短冊状の銅がそれぞれ使用されている。これらの金属部材は腐食電位列が大きく離れているために、長期間の使用によって双方の接触部分が異種金属接触腐食を起こす。特に、この希ガス放電灯は、使用状態において、それの外部電極C,Dに端子F,Fを介して高周波高電圧が印加されるために、異種金属接触腐食が加速され、ついには、端子F,Fと外部電極C,Dとの電気的な接続関係が断たれてしまい、希ガス放電灯の点灯維持ができなくなるという問題がある。
【0010】
一方、この希ガス放電灯の製造には、例えば手作業による外部電極C,Dの貼着工程,シリコ−ンワニスの被着−乾燥工程,保護チュ−ブEの装着−熱収縮工程などのように数多くの製造工程を経なければならないこともあって、量産性を改善し難いという問題もある。
【0011】
それ故に、本発明の目的は、比較的に簡単な構成によって最終製品の形態のバラツキを小さくでき、生産性を改善できる上、異種金属接触腐食も抑制可能な希ガス放電灯を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、上述の目的を達成するために、内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って離隔して配置した金属部材よりなる帯状の一対の外部電極と、外部電極の端部に電気的な接続関係を有するように重ね合わせると共に、それの端部から導出した端子と、外囲器の外周面に、外部電極が被覆されるように装着した透光性の絶縁部材とを具備し、前記外部電極及び端子を、腐食電位列が離れた位置にある金属部材にて構成すると共に、前記端子と外部電極とが重なり合う表面の少なくとも一方に、その腐食電位列が外部電極及び端子の腐食電位列の間に位置する金属部材にて、メッキ層を形成したものであり、本発明の第2の発明は、前記透光性の絶縁部材を、透光性シ−ト又は熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブにて構成したことを特徴とする。
【0013】
又、本発明の第3の発明は、内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の全長とほぼ同程度の長さを有する透光性シ−トの一方の面に金属部材よりなる帯状の一対の外部電極を互いに離隔して配置し、かつ外部電極の端部に、該外部電極を構成する金属部材とは腐食電位列が離れた位置にある金属部材にて構成された端子を、電気的な接続関係を有するように重ね合わせて導出してなるシ−ト構体とを具備し、前記端子と外部電極とが重なり合う表面の少なくとも一方に、その腐食電位列が外部電極及び端子の腐食電位列の間に位置する金属部材にて、メッキ層を形成すると共に、外囲器の外周面にシ−ト構体を、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回・密着したことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の第4の発明は、前記メッキ層を前記端子の表面に形成すると共に、この端子を外部電極の端部に重ね合わせ、接続手段を介して電気的に接続したことを特徴とし、第5の発明は、前記外部電極の幅Wと端子の幅dとを0.1W≦d≦0.5Wの関係に設定したことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第1の実施例について図1〜図5を参照して説明する。同図において、1は例えばガラスバルブにて密閉状に構成された直管状の外囲器であって、その内面には希土類蛍光体,ハロリン酸塩蛍光体などの蛍光体よりなる発光層2が形成されている。特に、外囲器1の封着構造はガラスバルブの端部にディスク状の封着ガラス板1a,1bを封着して構成されているが、例えば単にガラスバルブを加熱しながら縮径加工し溶断して構成することもできる。尚、この外囲器1の密閉空間には水銀などの金属蒸気を含まない例えばキセノン(Xe),クリプトン(Kr),ネオン(Ne),ヘリウム(He)などの希ガスが単一又は混合して所定量封入されているが、キセノンを主成分とする希ガスを例えば20〜110Torrの圧力で封入することが望ましい。
【0016】
この外囲器1の外周面にはシ−ト構体3が密着するように巻回されている。このシ−ト構体3は、例えば外囲器1の全長とほぼ同程度の長さを有し、かつ厚さが20〜100μmの範囲に設定された透光性シ−ト4と、この透光性シ−ト4の一方の面に互いに所定の間隔だけ離隔配置して接着された不透光性の金属部材よりなる帯状の一対の外部電極5,6と、この外部電極5,6の端部から、それと電気的な接続関係を有し、かつ導出端が透光性シ−ト4の端縁部分より突出するように導出された端子51,61と、透光性シ−ト4の一方の面に付与された粘着ないし接着機能を有する接着層9とから構成されている。尚、端子51,61の表面には後述するメッキ層52,62が形成されている。
【0017】
このシ−ト構体3において、接着層9としてはシリコ−ン系接着剤が好適するが、アクリル系接着剤なども使用できる。又、この接着層9は外部電極5,6の露出面にも形成されているが、予め透光性シ−ト4の一方の面にのみ形成した状態において外部電極5,6を貼着することによって外部電極5,6の露出面には形成しないように構成することもできる。さらに、透光性シ−ト4としては、例えばポリエチレンテレフタレ−ト(PET)樹脂が好適するが、ポリエステル樹脂なども利用できる。
【0018】
又、外部電極5,6及び端子51,61は、腐食電位列が離れた位置にある金属部材にて構成されており、例えば外部電極5,6としては帯状のアルミニウム箔が、端子51,61としては短冊状の銅が好適する。しかしながら、外部電極5,6としては導電性に優れ、かつ不透光性の金属部材であればアルミニウムの他に、ニッケルなどの金属部材も利用できるし、端子51,61としては銅の他に、銀,ステンレス,Cu−Ni合金などの金属部材も利用できる。特に、外部電極5,6の幅Wと端子51,61の幅dとは、0.1W≦d≦0.5W なる関係に設定されている。特に、端子51,61の肉厚は0.1〜0.5mmの範囲が望ましい。尚、外部電極5,6と端子51,61との電気的な接続は例えば超音波溶着が好適するが、導電性接着剤,半田付け,かしめなどの接続方法も利用可能である。
【0019】
さらに、端子51,61の表面には、外部電極5,6及び端子51,61を構成する金属部材とは異なった金属部材で、かつ外部電極5,6及び端子51,61を構成する金属部材の位置する腐食電位列の間に位置する金属部材でメッキ層52,62が形成されている。例えば外部電極5,6にアルミニウム箔が、端子51,61に銅が用いられる場合には、メッキ層52,62を構成する金属部材としてはニッケル,鉛−錫系半田が望ましい。又、外部電極がニッケル(又は銅)、端子が銅(又はニッケル)の場合には錫にてメッキ層52,62を形成することもできる。このメッキ層52,62の形成は電気メッキ,無電解メッキが好適するが、浸漬,溶射などによって被着・形成することもできる。このメッキ層52,62の厚みは、例えば5〜30μm、特に10〜20μm程度が望ましいが、その範囲外での使用も可能である。尚、メッキ層を複数層に構成すれば、ピンホ−ルの影響を軽減できる。
【0020】
上述のシ−ト構体3は外囲器1の外周面に、外部電極5,6が外囲器1と透光性シ−ト4との間に位置するように装着されており、後述の第2の開口部(8)において、透光性シ−ト4の一方の端部4aに他方の端部4bを重ね合わせた上で接着されている。特に、シ−ト構体3の外囲器1への装着状態において、外部電極5,6の一端5a,6aの間には第1の開口部7が、外部電極5,6の他端5b,6bの間には第2の開口部8がそれぞれ形成されており、発光層2からの光は主として第1の開口部7から放出される。尚、第1,第2の開口部7,8の開口角θ ,θ はθ >θ の関係に設定することが望ましいが、同一に設定することもできる。
【0021】
この希ガス放電灯は、例えば次のように製造される。まず、端子51,61の一方の端部を外部電極5,6の端部に重ね合わせ、重ね合わせ部分を超音波溶着する。この外部電極5,6を透光性シ−ト4の所定部分に、端子51,61が透光性シ−ト側となるように配置し接着してシ−ト構体3が完成する。次に、図6に示すように、シ−ト構体3を展開した状態で例えば組み立てステ−ジに載置する。引き続き、外囲器1をシ−ト構体3の透光性シ−ト4の一端4aに、外囲器1の長手方向が外部電極5,6の長手方向に沿うように(平行となるように)位置させる。この状態で、外囲器1を透光性シ−ト4に若干押しつけるようにして図示矢印方向(透光性シ−ト4の他端4bの方向)に転動させる。これによって、シ−ト構体3は、図1に示すように、外囲器1の外周面に巻回される上、透光性シ−ト4の一端4aに他端4bが重ね合わされ、接着層9によって接着される。尚、接着層9に熱硬化性接着剤を使用する場合には、熱処理することが望ましい。
【0022】
この希ガス放電灯によれば、端子51,61の一方の端部は外部電極5,6に重ね合わせた上で超音波溶着によって電気的機械的に接続されているために、端子部分の厚みを十分に小さくできる。このために、シ−ト構体3を外囲器1の外周面に巻回・密着させた状態において、放電灯の外径は全長に亘ってほぼ均斉化され、外囲器端部で局部的に外径が大きくなるということはなくなる。従って、OA機器において、希ガス放電灯の組み込み空間部がかなり制約された状態であっても、確実に組み込むことができる。
【0023】
しかも、外部電極5,6と端子51,61との重なり部分にはメッキ層52,62が介在されているために、腐食電位列の離れた位置にある金属部材にて構成された外部電極5,6と端子51,61とを直接的に接続しても異種金属接触腐食の発生を抑制することができる。
【0024】
その上、外部電極5,6の幅Wと端子51,61の幅dとは、0.1W≦d≦0.5Wの関係に設定されているために、外部電極5,6と端子51,61との接続部分における異種金属接触腐食の発生をより効果的に抑制できる。従って、長期間に亘って安定した動作状態を維持できる。しかしながら、端子51,61の幅dが0.1W未満になると、外部電極に対する接続強度が低下する。逆に、それの幅dが0.5Wを超えると、シ−ト構体3を外囲器1に巻回する際に、端子51,61を外囲器1の外周面に倣い易くするための加工をしなければならず、その加工が極めて面倒になる。従って、両者は上述の関係に設定することが望ましい。
【0025】
一方、上述の方法によれば、外囲器1をシ−ト構体3の上で単に転動させるだけで、外部電極5,6を外囲器1の外周面に貼着できるし、外部電極5,6は透光性シ−ト4に予め所定の間隔で配列されているために、貼り付けの際に外部電極5,6の間隔を所定の間隔となるように調整する必要が全くなく、仮に手作業であっても作業能率を著しく向上できる。具体的には、従来方法では製造に60分間を要していたものが、本発明方法によれば1分程度に短縮できる。
【0026】
又、シ−ト構体3における透光性シ−ト4の一方の面には、接着層9が形成されているために、外囲器1をシ−ト構体3の上で転動させるだけの単純動作によって、シ−ト構体3を外囲器1の外周面に巻回し密着させることができる。従って、作業能率を飛躍的に改善できるのみならず、機械化が可能となり、一層の量産効果が期待できる。
【0027】
しかも、シ−ト構体3の外囲器1の外周面への巻回・密着状態において、透光性シ−ト4の端部4a,4bは互いに重ね合わせて接着されているために、外部電極5,6の被覆信頼性を高めることができる。特に、透光性シ−ト4の厚さを20〜100μmの範囲に設定すれば、端部4a,4bの安定した重合・接着性が得られる。しかしながら、その厚さが20μm未満になると、十分の絶縁性を確保できなくなるし、逆に100μmを超えると、シ−トの腰が強くなって端部4a,4bの重ね合わせ部分が剥がれ易くなり、巻回作業も面倒になる。従って、シ−ト厚さは上記範囲に設定することが望ましい。
【0028】
又、外部電極5,6は、シ−ト構体3を外囲器1に装着する際に、透光性シ−ト4と外囲器1の外周面との間に位置するように配慮されているために、ファクシミリなどのOA機器に適用されて使用時に高電圧が印加されても、外部電極間は勿論のこと、対地間絶縁をも十分に確保することができる。
【0029】
図7〜図8は本発明の第2の実施例を示すものであって、基本的な構成は図1〜図4に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、第1の開口部7に対応する外囲器1の内面部分に発光層2を形成しないアパ−チャ部(光放出部)2aを形成したこと、外部電極5,6の端部に端子51,61を導電性接着剤53を層状に介在させて電気的機械的に接続したことである。この導電性接着剤53としては樹脂系接着剤(バインダ−)に導電性粉末(フィラ−)を所定量分散させて構成されており、例えばアクリル系接着剤にニッケル粉末を分散させたものが好適するが、樹脂系接着剤としてはアクリル系の他、シリコ−ン系,エポキシ系,ビニル系などが、導電性粉末としてはニッケルの他、カ−ボン,銅,銀などの部材をそれぞれ適宜に組み合わせて使用することもできる。又、アパ−チャ部2aの開口角は例えば70〜110度の範囲に設定されているが、用途,目的などに応じて適宜に変更できる。
【0030】
この実施例によれば、外部電極5,6と端子51,61とは、その間に導電性接着剤53を層状に介在させることによって接続されているために、放電灯の最終外径のバラツキは端子の肉厚程度に抑えることができる。このために、OA機器の小形化によって、組み込み空間が狭くなっても、確実に組み込むことができる。
【0031】
その上、外部電極5,6と端子51,61との間には導電性接着剤53が介在されているために、異種金属接触腐食の進行をメッキ層の介在と相俟って効果的に抑制できる。特に、ニッケル粉末を含む導電性接着剤を適用すれば、一層の抑制効果が期待できる。
【0032】
又、発光層2から放射された光は外囲器内において高密度化されてアパ−チャ部2aから第1の開口部7を経て外部に放出されるために、原稿照射装置に適用した場合、原稿面の照度を高めることができ、原稿の読み取り精度を高めることができる。
【0033】
特に、外部電極5,6の外囲器側の面に光反射性を付与すれば、アパ−チャ部2aの照度をさらに高めることができ、原稿の読み取り精度も一層改善できる。これの材料としては、例えばアルミニウム箔のように光反射性を有する金属部材が好適する。
【0034】
図9は本発明の第3の実施例を示すものであって、基本的な構成は図7〜図8に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、シ−ト構体3の外囲器1への巻回・密着状態において、透光性シ−ト4のそれぞれの端部4a,4bの主たる重ね合わせ部分を外部電極5の外面側に設定したことである。尚、この重ね合わせ部分は外部電極6の外面側とすることもできる。
【0035】
図10は本発明の第4の実施例を示すものであって、基本的な構成は図1〜図4に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、シ−ト構体3の外周面に熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブ10を被せたことである。尚、この保護チュ−ブ10は外囲器1に装着した後、例えば150〜200°C程度に加熱し、収縮させることによりシ−ト構体3に密着される。
【0036】
この実施例によれば、希ガス放電灯の適用部所における環境条件が厳しい,安全基準が高いなどの場合には、例えば耐熱性などに優れ、かつ透光性を有する保護チュ−ブ10にてシ−ト構体3を被覆することによって、より高品位の製品を提供できる。
【0037】
特に、この実施例の構造は、図7,図9に示す第2,第3の実施例にも適用することができる。
【0038】
図7,図9に示す第2,第3の実施例を利用して本発明の第5の実施例について説明する。この実施例は、端部にメッキ層を有する端子51,61を電気的機械的に接続してなる一対の外部電極5,6を外囲器1の外周面に貼着した後、透光性シ−ト4を外囲器1の外周面に、外部電極5,6が被覆されるように巻回・密着させると共に、透光性シ−ト4のそれぞれの端部4a,4bを重ね合わせて接着するものである。
【0039】
この実施例によれば、上述の各実施例に比較すると、機械化,作業能率の点で劣るものの、従来例よりは改善できる。特に、透光性シ−ト4の巻回に先立って、予め、外囲器1の外周面にシリコ−ンワニスなどの絶縁被膜を形成しておけば、絶縁性の一層の改善が可能となる。
【0040】
尚、本発明は、何ら上記実施例にのみ制約されることなく、例えば外囲器の外周面へのシ−ト構体の貼着は、外囲器をシ−ト構体の上で転動させる他、シ−ト構体を回転させて貼着することもできるし、それぞれの動作を併用させることもできる。又、シ−ト構体のそれぞれの端部は重ね合わせる他、突き合わせたり,若干隙間が形成されるように処理することもできる。又、メッキ層は端子の全面に形成する他、外部電極に重なり合う部分にのみ形成することもできるし、外部電極の表面に形成することもできる。さらに、外部電極と端子との幅の関係は上述の関係以外に設定することもできる。
【0041】
【実施例】
次に、第1の実験例について説明する。外径が8mm,長さが300mmの鉛ガラスよりなる外囲器に図4に示すシ−ト構体を巻回・密着させる。このシ−ト構体において、外部電極には肉厚が70μm,幅Wが8mmの帯状のアルミニウムを用い、端子には肉厚が0.15mm,幅dが2mmの短冊状の銅を用い、その全面に厚さが12μmのニッケルメッキ層を形成し、両者は超音波溶着により電気的機械的に接続されている。この希ガス放電灯を周囲温度が60°C,相対湿度が90%の雰囲気に配置し、外部電極に25KHz,2000Vo−pの高周波高電圧を端子を介して印加する加速試験を行なったところ、1500時間を経過するも、外部電極と端子との接続部分に腐食は全く認められなかった。しかしながら、端子の幅dを4.5mmに設定し、外部電極と端子とを鉛(59%)−錫(40%)−銀(0.5%)−アンチモン(0.5%)よりなるアルミ半田で接続した以外は本発明品と同一構成の従来品では、700時間を経過した段階で腐食が進行し始めていることが認められた。
【0042】
これは、本発明品において、腐食電位の高い銅の端子と腐食電位の低いアルミニウムの外部電極との間にニッケルメッキ層が介在されている上に、端子の幅dが外部電極の幅Wに対してほぼ0.25と十分に狭くなっているために、腐食が抑制されたものと推測される。しかしながら、従来品では、0.56であり、この状態で腐食の進行が認められたことから、端子の幅dと外部電極の幅Wとの関係はd=0.1W〜0.5Wに設定することが望ましい。
【0043】
又、本発明品では、外径のバラツキ(最大値−最小値)が0.31mmであったのに対し、従来品ではバラツキが2.6mmであった。このために、本発明品では、小形化されたOA機器への組み込みに何の支障も生じなかったが、従来品では組み込みに支障の生ずるものが発生した。
【0044】
次に、第2の実験例について説明する。外径が6mm,長さが280mmの鉛ガラスよりなる外囲器に図4に示すシ−ト構体を巻回・密着させる。このシ−ト構体における外部電極には肉厚が70μm,幅Wが5mmの帯状のアルミニウムを用い、端子には肉厚が0.2mm,幅dが1.5mmの短冊状の銅を用い、その表面に厚さが18μmの鉛−錫系の半田メッキ層を形成し、両者は超音波溶着により電気的機械的に接続されている。この希ガス放電灯を第1の実験例と同一の雰囲気に配置し、外部電極に25KHz,1500Vo−pの高周波高電圧を端子を介して印加する加速試験を行なったところ、1500時間を経過するも、外部電極と端子との接続部分に腐食は全く認められなかった。しかしながら、端子の幅dを3.0mmに設定しアルミ半田で接続した以外は本発明品と同一構成の従来品では、750時間を経過した段階で腐食が進行し始めていることが認められた。
【0045】
これは、本発明品において、端子と外部電極との間に半田メッキ層が介在されている上に、端子の幅dが外部電極の幅Wに対してほぼ0.3と十分に狭くなっているために、腐食が抑制されたものと推測される。しかしながら、従来品では、0.6であった。
【0046】
又、本発明品では、外径のバラツキ(最大値−最小値)が0.42mmであったのに対し、従来品ではバラツキが2.6mmであった。このために、本発明品では、小形化されたOA機器への組み込みに何の支障も生じなかったが、従来品では組み込みに支障の生ずるものが発生した。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、端子は外部電極に電気的な接続関係を有するように重ね合わされているために、端子部分の厚みを十分に小さくできる。このために、シ−ト構体を外囲器の外周面に巻回・密着させた状態において、放電灯の外径は全長に亘ってほぼ均斉化され、外囲器端部で局部的に外径が大きくなるということはなくなる。従って、OA機器において、希ガス放電灯の組み込み空間部がかなり制約された状態であっても、確実に組み込むことができる。
【0048】
しかも、外部電極と端子との重なり部分にはメッキ層が介在されているために、腐食電位列の離れた位置にある金属部材にて構成された外部電極と端子とを直接的に接続しても異種金属接触腐食の発生を抑制することができる。従って、長期間に亘って安定した動作状態を維持できる。
【0049】
その上、外部電極の幅Wと端子の幅dとの関係を0.1W≦d≦0.5Wに設定すれば、外部電極と端子との間にメッキ層を介在させる構成と相俟って外部電極と端子との接続部分における異種金属接触腐食の発生をより効果的に抑制できる。従って、苛酷な使用環境でも安定した動作状態を維持できる。
【0050】
又、外囲器をシ−ト構体の上で単に転動させるだけで、外部電極を外囲器の外周面に貼着できるし、外部電極は透光性シ−トに予め所定の間隔で配列されているために、貼り付けの際に外部電極の間隔を所定の間隔となるように調整する必要がない。従って、作業能率を飛躍的に改善できるのみならず、機械化が可能となり、一層の量産効果が期待できる。
【0051】
さらに、外部電極は、シ−ト構体を外囲器に装着する際に、透光性シ−トと外囲器の外周面との間に位置するように配慮されているために、ファクシミリなどのOA機器に適用されて使用時に高電圧が印加されても、外部電極間は勿論のこと、対地間絶縁をも十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す縦断面図。
【図2】同図(a)は図1のX−X断面図、同図(b)は同図(a)のM拡大図。
【図3】図1の一部破断状態の側面図。
【図4】本発明にかかるシ−ト構体の展開図。
【図5】図4のY−Y断面図。
【図6】本発明方法を説明するための縦断面図。
【図7】本発明の第2の実施例を示す縦断面図。
【図8】図7の要部断面図。
【図9】本発明の第3の実施例を示す縦断面図。
【図10】本発明の第4の実施例を示す縦断面図。
【図11】従来例の縦断面図。
【図12】従来方法を説明するための斜視図。
【図13】図11のZ−Z断面図。
【符号の説明】
W 外部電極の幅
d 端子の幅
1 外囲器
2 発光層
2a アパ−チャ部
3 シ−ト構体
4 透光性シ−ト
5,6 外部電極
51,61 端子
52,62 メッキ層
53 導電性接着剤
7 第1の開口部
8 第2の開口部
9 接着層
10 保護チュ−ブ

Claims (5)

  1. 内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って離隔して配置した金属部材よりなる帯状の一対の外部電極と、外部電極の端部に電気的な接続関係を有するように重ね合わせると共に、それの端部から導出した端子と、外囲器の外周面に、外部電極が被覆されるように装着した透光性の絶縁部材とを具備し、
    前記外部電極及び端子を、腐食電位列が離れた位置にある金属部材にて構成すると共に、
    前記端子と外部電極とが重なり合う表面の少なくとも一方に、その腐食電位列が外部電極及び端子の腐食電位列の間に位置する金属部材にて、メッキ層を形成したことを特徴とする希ガス放電灯。
  2. 前記透光性の絶縁部材を、透光性シ−ト又は熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブにて構成したことを特徴とする請求項1記載の希ガス放電灯。
  3. 内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の全長とほぼ同程度の長さを有する透光性シ−トの一方の面に金属部材よりなる帯状の一対の外部電極を互いに離隔して配置し、かつ外部電極の端部に、該外部電極を構成する金属部材とは腐食電位列が離れた位置にある金属部材にて構成された端子を、電気的な接続関係を有するように重ね合わせて導出してなるシ−ト構体とを具備し、
    前記端子と外部電極とが重なり合う表面の少なくとも一方に、その腐食電位列が外部電極及び端子の腐食電位列の間に位置する金属部材にて、メッキ層を形成すると共に、
    外囲器の外周面にシ−ト構体を、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回・密着したことを特徴とする希ガス放電灯。
  4. 前記メッキ層を前記端子の表面に形成すると共に、この端子を外部電極の端部に重ね合わせ、接続手段を介して電気的に接続したことを特徴とする請求項1又は3記載の希ガス放電灯。
  5. 前記外部電極の幅Wと端子の幅dとを0.1W≦d≦0.5Wの関係に設定したことを特徴とする請求項1又は3記載の希ガス放電灯。
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