JP3586524B2 - 希ガス放電灯及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は希ガス放電灯及びその製造方法に関し、特にガラスバルブの外周面に一対の帯状の外部電極を有する希ガス放電灯において、外部電極の構造及びシ−ト構体のガラスバルブ外周面への装着方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種希ガス放電灯は、例えば図13〜図15に示すように構成されている。即ち、Aは例えばガラスバルブよりなる直管状の外囲器であって、その内面には希土類蛍光体,ハロリン酸塩蛍光体などの蛍光体よりなる発光層Bが形成されている。尚、外囲器Aの内部空間には例えば水銀などの金属蒸気を含まないキセノンガスなどを主成分とする希ガスが所定量封入されている。一方、外囲器Aの外周面には、例えば肉厚が120μmのアルミニウム箔よりなる帯状の一対の外部電極C,Dが互いに対向するように貼着されており、その外周面は熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブEにて被覆・保護されている。又、外部電極C,Dの端部からは銅よりなる端子F,Fがアルミニウム用の半田(以下、アルミ半田という)G,Gにて半田付けして導出されている。この端子F,Fの導出部分はほぼL形に屈曲された上で、外囲器Aの端面側に配置されている。そして、導出部分のそれぞれの間には絶縁性に優れた接着剤Hが注入・固化されており、これにより端子F,Fが固定される。
【0003】
この希ガス放電灯は、外部電極C,Dに高周波高電圧(例えば25KHzで2500Vo−p)を印加することによりキセノンガスの放電が生じ、キセノンガスの励起線によって発光層Bが励起されて発光するものであり、光は外部電極C,Dの端部Ca,Da間の開口部Pから放出される。特に、この希ガス放電灯には水銀が用いられていないために、点灯後における光量の立ち上がりが急峻であり、点灯と同時に光量がほぼ100%近くにまで達するという特徴を有している。このために、ファクシミリ,イメ−ジスキャナ,複写機などのOA機器の原稿読取用の光源として好適するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この希ガス放電灯は、例えば次のように製造される。まず、図14〜図15に示すように、外囲器Aの外周面に一方の面に接着層を有する外部電極C,Dを、互いに所定の間隔だけ離隔するように、手作業によって貼付ける。次に、外部電極C,Dの端部に端子F,Fをアルミ半田G,Gにて半田付けすることによって、端子F,Fを外部電極C,Dから導出する。尚、外部電極C,Dの外囲器Aの外周面への貼着は、外部電極C,Dに端子F,Fを半田付けした後に行なうこともできる。次に、端子F,Fの導出部分を図示点線状態から実線状態のようにほぼL形に屈曲して外囲器Aの端面に沿わせると共に、それぞれの間に絶縁性に優れた接着剤Hを注入し固化させる。そして、端子F,Fの端部に図示しない外部導出用のハ−ネスを半田付けする。次に、外囲器Aをシリコ−ンワニス液に浸漬し加熱することにより、外囲器A及び外部電極C,Dの表面にシリコ−ンワニスの被膜を形成する。然る後、外囲器Aに保護チュ−ブEを被せると共に、この保護チュ−ブEを150〜200°C程度に加熱して熱収縮させ、外囲器Aの外周面に保護チュ−ブEを密着させることによって希ガス放電灯が製造される。
【0005】
このように希ガス放電灯の製造工程には、外部電極C,Dを外囲器Aの外周面に貼付ける工程があるが、外部電極C,Dが長尺の帯状に形成されている上に、外囲器Aの曲面部分に倣うように貼付ける必要があるために、機械化が難しい。従って、手作業によって貼付けているために、作業能率が低く、生産性を高めるには人海戦術を採用しなければならない。
【0006】
その上、この希ガス放電灯の製造には、上述の手作業による外部電極C,Dの貼着工程の他に、例えば端子間への接着剤Hの注入・固化工程,シリコ−ンワニスの被着−加熱工程,保護チュ−ブEの装着−熱収縮工程などのように数多くの製造工程を経なければならないこともあって、量産性の改善が望まれている。
【0007】
それ故に、本発明の目的は、比較的に簡単な構成によって生産性を改善できる希ガス放電灯及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、上述の目的を達成するために、内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って離隔して配置したアルミニウム箔よりなる帯状の一対の外部電極と、外囲器の外周面に、外部電極が被覆されるように装着した透光性の絶縁部材とを具備し、前記外部電極の肉厚を、アルミニウム箔が硬質の場合には10〜50μm、アルミニウム箔が軟質の場合には30〜100μmの範囲に設定したものであり、本発明の第2の発明は、前記透光性の絶縁部材を、透光性シ−ト又は熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブにて構成したものである。
【0009】
又、本発明の第3の発明は、内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の全長とほぼ同程度の長さを有する透光性シ−トの一方の面にアルミニウム箔よりなる帯状の一対の外部電極を互いに離隔して配置したシ−ト構体とを具備し、前記外囲器の外周面にシ−ト構体を、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回し、かつシ−ト構体における外部電極の肉厚を、アルミニウム箔が硬質の場合には10〜50μm、アルミニウム箔が軟質の場合には30〜100μmの範囲に設定したことを特徴とする。
【0010】
又、本発明の第4の発明は、内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の全長とほぼ同程度の長さを有する透光性シ−トの一方の面にアルミニウム箔よりなる帯状の一対の外部電極を互いに離隔して配置し、かつ外部電極の端部から外部電極と電気的な接続関係を有する端子を導出したシ−ト構体と、外囲器の端面に装着した絶縁性のキャップとを具備し、前記外囲器の外周面にシ−ト構体を、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回すると共に、端子の他方の端部をキャップの側面部に離隔して配置し、かつシ−ト構体における外部電極の肉厚を、アルミニウム箔が硬質の場合には10〜50μm、アルミニウム箔が軟質の場合には30〜100μmの範囲に設定したことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の第5の発明は、接着層を有する透光性シ−トの一方の面に、硬質の場合には肉厚が10〜50μm、軟質の場合には肉厚が30〜100μmの範囲に設定されたアルミニウム箔よりなる帯状の一対の外部電極を互いに離隔して配置してなるシ−ト構体を所定の部位に位置させる工程と、内面に発光層を有する直管状の外囲器を、その長手方向が外部電極の長手方向に沿うようにシ−ト構体に位置させる工程と、外囲器及び/又はシ−ト構体の移動により、外囲器の外周面にシ−ト構体を巻回し密着させる工程とを含むことを特徴とし、第6の発明は、前記外囲器をシ−ト構体の一端に位置させた後、シ−ト構体を移動させることにより外囲器を転動させ、外囲器の外周面にシ−ト構体を巻回し密着させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第1の実施例について図1〜図9を参照して説明する。同図において、1は例えばガラスバルブにて密閉状に構成された直管状の外囲器であって、その内面には希土類蛍光体,ハロリン酸塩蛍光体などの蛍光体よりなる発光層2が形成されている。特に、外囲器1の封着構造はガラスバルブの端部にディスク状の封着ガラス板1a,1bを封着して構成されているが、例えば単にガラスバルブを加熱しながら縮径加工し溶断して構成することもできる。尚、この外囲器1の密閉空間には水銀などの金属蒸気を含まない例えばキセノン(Xe),クリプトン(Kr),ネオン(Ne),ヘリウム(He)などの希ガスが単一又は混合して所定量封入されているが、キセノンを主成分とする希ガスを例えば20〜110Torrの圧力で封入することが望ましい。
【0013】
この外囲器1の外周面にはシ−ト構体3が密着するように巻回されている。このシ−ト構体3は、例えば外囲器1の全長とほぼ同程度の長さを有し、かつ厚さが20〜100μmの範囲に設定された透光性シ−ト4と、この透光性シ−ト4の一方の面に互いに所定の間隔だけ離隔配置して接着された不透光性のアルミニウム箔よりなる帯状の一対の外部電極5,6と、この外部電極5,6の端部から、それと電気的な接続関係を有し、かつ透光性シ−ト4の端縁部分より突出するように導出された端子51,61と、透光性シ−ト4の一方の面に付与された粘着ないし接着機能を有する接着層9とから構成されている。特に、透光性シ−ト4としては、例えばポリエチレンテレフタレ−ト(PET)樹脂が好適するが、ポリエステル樹脂なども利用できる。又、接着層9としてはシリコ−ン系接着剤が好適するが、アクリル系接着剤なども使用できる。
【0014】
又、外部電極5,6は上述のようにアルミニウム箔で構成されているが、その肉厚は、硬質の場合には10〜50μmの範囲に、軟質の場合には30〜100μmの範囲にそれぞれ設定されている。ここで、アルミニウム箔並びにその硬質及び軟質は、一般的に次のように説明されている。即ち、アルミニウム箔は、日本では、JIS−H−4160に基づき、6〜200μmの厚み範囲をアルミニウム箔と規定されている。又、アルミニウム箔の硬質及び軟質は熱処理の有無により区分されており、圧延上がりの状態のままのものが硬質箔、圧延後に焼鈍したものが軟質箔と呼称されている。この外部電極5,6に電気的に接続される端子51,61には、例えば後述する形状の銅が適用されるが、導電性に優れ、かつ外部導出用のハ−ネスと半田付け可能な金属部材であれば銅の他に、ニッケル,ステンレス,Cu−Ni合金などの金属部材も利用できる。尚、外部電極5,6と端子51,61との電気的な接続は、例えば導電性接着剤,超音波溶着,かしめ,溶接,半田付けなどの接続方法により行なわれる。
【0015】
特に、シ−ト構体3において、端子51,61は外部電極5,6に電気的に接続される一方の端部51a,61aの幅dが他方の端部51b,61bの幅gより狭く設定されており、外部電極5,6からの導出部分がほぼL形に形成されている。そして、屈曲された他方の端部51b,61bにはほぼL形の切り起し部52,62が形成されており、その切り起し部分には図示しない外部導出用のハ−ネスが挿入される孔52a,62aが形成されている。尚、この端子51,61の一方の端部51a,61aの幅dは外部電極5,6の幅Wに対し、0.1W≦d≦0.5Wの関係が成立するように設定することが望ましく、又、端子51,61の肉厚は0.1〜0.5mmの範囲が望ましい。
【0016】
上述のシ−ト構体3は外囲器1の外周面に、外部電極5,6が外囲器1と透光性シ−ト4との間に位置するように装着されており、後述の第2の開口部(8)において、透光性シ−ト4の一方の端部4aに他方の端部4bを重ね合わせた上で接着されている。特に、シ−ト構体3の外囲器1への装着状態において、外部電極5,6の一端5a,6aの間には第1の開口部7が、外部電極5,6の他端5b,6bの間には第2の開口部8がそれぞれ形成されており、発光層2からの光は主として第1の開口部7から放出される。尚、第1,第2の開口部7,8の開口角θ1 ,θ2 はθ1 >θ2 の関係に設定することが望ましいが、同一に設定することもできる。
【0017】
さらに、外囲器1の端面(1a)には絶縁性(耐圧),難燃性に優れた絶縁部材にて成形加工されたキャップ10が装着されている。このキャップ10は例えばポリカ−ボネイト樹脂にて成形されており、例えばブロック状のキャップ本体11と、キャップ本体11の周縁部分に一体的に形成された一対のL形状の支持片12,12とから構成されている。特に、キャップ本体11の中央部分には外面側から内面側(外囲器1の端面側)に貫通する孔11aが、外周部分には平坦状の側面部11b,11bがそれぞれ形成されている。そして、このキャップ10は外囲器1の端部に、キャップ本体11が外囲器1の端面側に位置し、かつ支持片12,12が外囲器1の端部を支持するように配置され、孔11a及びキャップ本体11と外囲器1の端面(1a)との間には絶縁性に優れた接着剤13が充実された上で固化されている。これによって、キャップ10は外囲器1に固定(装着)される。その上、このキャップ10の側面部11b,11bには、外部電極5,6から導出された端子51,61の他方の端部51b,61bがほぼ密接するように配置されている。尚、側面部11b,11bに位置する端子部分には、図示しない外部導出用のハ−ネスが半田付けなどにより接続される。
【0018】
この希ガス放電灯は、例えば次のように製造される。まず、図10に示すように、シ−ト構体3を展開した状態で所定の部位例えば組み立てステ−ジ14に載置する。次に、外囲器1をシ−ト構体3の透光性シ−ト4の一端4aに、外囲器1の長手方向が外部電極5,6の長手方向に沿うように(平行となるように)位置させる。この状態で、従動回転する一対のロ−ラ15,15を外囲器1に押し付けるようにセットする。これによって、外囲器1を透光性シ−ト4に若干押し付けられる。この状態において、ステ−ジ14を矢印で示すM方向に若干移動させた後、N方向に移動させると、外囲器1は同一位置においてロ−ラ15,15と共に従動的に回転し、見かけ上、透光性シ−ト4の他端4bの方向に転動することになる。これによって、シ−ト構体3は、図6に示すように、外囲器1の外周面に巻回される上、透光性シ−ト4の一端4aに他端4bが重ね合わされ、接着層9によって接着される。そして、この重ね合わせ部分を超音波溶着によって固定する。尚、この超音波溶着は省略することもできる。次に、キャップ10の内面側に接着剤13を塗布した上で、キャップ10を外囲器1の端部に、キャップ本体11の内面側が接着剤13を介して外囲器1の端面(1a)に接着され、かつ支持片12,12が外囲器1の端部を挟持するように装着する。尚、この際に、端子51,61の他方の端部51b,61bはキャップ10の側面部11b,11bにほぼ当接されるように配置される。この段階で、キャップ10は外囲器1に仮固定される。次に、キャップ10の孔11aから接着剤13を注入し、孔11a及びキャップ本体11の内面側と外囲器1の端面(1a)との隙間部分を充実させる。然る後、接着剤13の固化が行なわれる。尚、接着剤13の塗布,注入は、キャップ10を外囲器1の端部に装着した後に行なうこともできる。又、キャップ10の外囲器1の端部への装着は、支持片12,12が、外囲器1の端部にまで位置するように配置した透光性シ−ト4に覆い被さるように装着することもできる。
【0019】
この実施例によれば、アルミニウム箔よりなる外部電極5,6は、その肉厚が、硬質の場合には10〜50μm、軟質の場合には30〜100μmの範囲に設定されているために、量産性に適した優れた切断・加工性が得られる,端子51,61との電気的な接続が容易になる,外囲器1の外周面にシ−ト構体3を、外部電極5,6及び透光性シ−ト4が外周面にほぼ倣うように円滑に巻回することができる,などの効果が得られる。
【0020】
しかしながら、アルミニウム箔の肉厚が、硬質の場合には10μm未満、軟質の場合には30μm未満になると、所望形状に切断する際の加工性が損なわれたり、外部電極5,6の透光性シ−ト4への貼付け時や外囲器1の外周面への巻回時に破れたり,しわになったりするために、生産性が損なわれるようになる。特に、硬質の場合には電気的な接続性も損なわれる。逆に、アルミニウム箔の肉厚が、硬質の場合には50μmを、軟質の場合には100μmを超えると、外部電極5,6の腰が強くなるために、外囲器1の外周面にシ−ト構体3を巻回した時に、外部電極5,6の端部5a,5b,6a,6bが外囲器の外周面から浮き上がり易くなり、外部電極間の絶縁低下に伴う放電が生起され易くなる。従って、外部電極5,6の肉厚は硬質及び軟質の区分に基づいて上述の範囲に設定することが望ましい。
【0021】
又、端子51,61は、外部電極5,6に電気的に接続される一方の端部51a,61aの幅dが他方の端部51b,61bの幅gより狭くなるように構成されているために、一方の端部51a,61aを外部電極5,6に仮に半田,導電性接着剤などを利用して接続しても、同部分が不所望に盛り上がることはなくなり、最終製品の外径を外囲器1のほぼ全長に亘って均斉化できる。従って、OA機器において、希ガス放電灯の組み込み空間部がかなり制約された状態であっても、確実に組み込むことができる。
【0022】
特に、外部電極5,6の幅Wと端子51,61の一方の端部51a,61aの幅dとの関係を、0.1W≦d≦0.5W に設定すれば、アルミニウム箔よりなる外部電極5,6と銅よりなる端子51,61との接続部分における異種金属接触腐食の発生を抑制できる。従って、長期間に亘って安定した動作状態を維持できる。しかしながら、端子51,61の幅dが0.1W未満になると、外部電極5,6と端子51,61との接触面積が小さくなりすぎて安定した接続状態の維持が難しくなるし、逆に、それの幅dが0.5Wを超えると、シ−ト構体3を外囲器1に巻回する際に、端子51,61が外囲器1の外周面に倣いにくくなる。従って、両者は上述の関係に設定することが望ましい。
【0023】
しかも、端子51,61における他方の端部51b,61bは、その幅gが一方の端部51a,61aの幅dより広く設定されている上に、同部分に切り起し部52,62による孔52a,62aが形成されているために、外部導出用のハ−ネスを孔に挿入した状態で半田付けすることができる。従って、ハ−ネスの接続性を改善することができる。
【0024】
又、外囲器1の端部に装着されたキャップ10は樹脂成形された固形状態に構成されているために、キャップ10を外囲器1に、支持片12,12(又は接着剤13)を利用して簡単に仮固定することができる。従って、キャップ10の外囲器1への装着と同時に、それの側面部11b,11bに端子51,61の他方の端部51b,61bを配置することができ、直ちに端子51,61の他方の端部51b,61bに外部導出用のハ−ネスを半田付けしても、従来のように接着剤に隙間が形成されて絶縁破壊されるというトラブルは全く発生せず、一連の作業を連続的に遂行でき、生産性を高めることができる。
【0025】
その上、キャップ本体11と外囲器1の端面(1a)との間及び孔11aには絶縁性に優れた接着剤13が、少なくとも端子51,61の対向する部分に隙間が形成されないように、充実されているために、苛酷な環境下で動作させても端子間での絶縁破壊による放電の生成を確実に防止できる。
【0026】
一方、上述の製造方法によれば、外囲器1をシ−ト構体3の上で実質的に単に転動させるだけで、外部電極5,6を外囲器1の外周面に貼着できるし、外部電極5,6は透光性シ−ト4に予め所定の間隔で配列されているために、貼り付けの際に外部電極5,6の間隔を所定の間隔となるように調整する必要が全くなく、仮に手作業であっても作業能率を著しく向上できる。具体的には、従来方法では製造に60分間を要していたものが、本発明方法によれば1分程度に短縮できる。
【0027】
又、シ−ト構体3における透光性シ−ト4の一方の面には、接着層9が形成されている上に、外部電極5,6の肉厚が、アルミニウム箔が硬質の場合には10〜50μm、軟質の場合には30〜100μmの範囲にそれぞれ設定されているために、外囲器1をシ−ト構体3の上で転動させるだけの単純動作によって、シ−ト構体3を外囲器1の外周面に、外部電極5,6が破れたり,しわになったりすることなく確実に巻回することができる。従って、作業能率を飛躍的に改善できるのみならず、機械化が可能となり、一層の量産効果が期待できる。
【0028】
しかも、シ−ト構体3の外囲器1の外周面への巻回状態において、透光性シ−ト4の端部4a,4bは互いに重ね合わせて接着されているために、外部電極5,6の被覆信頼性を高めることができる。特に、透光性シ−ト4の厚さを20〜100μmの範囲に設定すれば、端部4a,4bの安定した重合・接着性が得られる。しかしながら、その厚さが20μm未満になると、十分の絶縁性を確保できなくなるし、逆に100μmを超えると、シ−トの腰が強くなって端部4a,4bの重ね合わせ部分が剥がれ易くなり、巻回作業も面倒になる。従って、シ−ト厚さは上記範囲に設定することが望ましい。
【0029】
さらには、外部電極5,6は、シ−ト構体3を外囲器1に装着する際に、透光性シ−ト4と外囲器1の外周面との間に位置するように配慮されているために、ファクシミリなどのOA機器に適用されて使用時に高電圧が印加されても、外部電極間は勿論のこと、対地間絶縁をも十分に確保することができる。
【0030】
図11は本発明の第2の実施例を示すものであって、基本的な構成は図1〜図9に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、端子51Aの他方の端部51bを単にL形に屈曲しただけで、切り起し部を省略したことである。
【0031】
この実施例によれば、第1の実施例のように、切り起し部52を形成しなくてもよいために、端子51Aの構造が単純化される上、製造が簡単になり、コストも有効に低減できる。
【0032】
図12は本発明の第3の実施例を示すものであって、基本的な構成は図1〜図9に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、第1の開口部7に対応する外囲器1の内面部分に発光層2を形成しないアパ−チャ部(光放出部)2aを形成したことと、透光性シ−ト4の端部4a,4bの主たる重ね合わせ部分を外部電極5の外面側に設定したことである。尚、アパ−チャ部2aの開口角は例えば70〜110度の範囲に設定されているが、用途,目的などに応じて適宜に変更できる。又、端部4a,4bの重ね合わせ部分は外部電極6の外面側としたり、或いは第2の開口部8とすることもできる。
【0033】
この実施例によれば、発光層2から放射された光は外囲器内において高密度化されてアパ−チャ部2aから第1の開口部7を経て外部に放出されるために、原稿照射装置に適用した場合、原稿面の照度を高めることができ、原稿の読み取り精度を高めることができる。
【0034】
特に、アルミニウム箔よりなる外部電極5,6の外囲器側の面に光反射性を付与すれば、アパ−チャ部2aの照度をさらに高めることができ、原稿の読み取り精度も一層改善できる。
【0035】
さらに、透光性シ−ト4の端部4a,4bの重ね合わせ部分を超音波溶着する場合には、超音波振動が外部電極5にて緩和されるために、外囲器内面からの発光層2の剥離を効果的に抑制できる。従って、輝度分布の均一性の改善が可能となる。
【0036】
図12に示す第3の実施例を利用して本発明の第4の実施例について説明する。この実施例は、外囲器1の外周面に一対の外部電極5,6を貼着した後、一方の面に接着層を有する透光性シ−ト4を外囲器1の外周面に、外部電極5,6が被覆されるように巻回・密着させると共に、透光性シ−ト4のそれぞれの端部4a,4bを重ね合わせて接着するものである。尚、端子51,61の外部電極5,6への電気的な接続は、外部電極5,6の外囲器1への貼着前又は貼着後のいずれであってもよいし、図11に示す端子51Aを適用することもできる。
【0037】
この実施例によれば、上述の各実施例に比較すると、機械化,作業能率の点で劣るものの、従来例よりは改善できる。特に、透光性シ−ト4の巻回に先立って、予め、外囲器1の外周面にシリコンワニスなどの絶縁被膜を形成しておけば、絶縁性の一層の改善が可能となる。
【0038】
尚、本発明は、何ら上記実施例にのみ制約されることなく、例えば端子はその幅を全体的に同一にしたり、L形に屈曲せずにストレ−ト状などに構成することもできる。又、キャップは、その形態を適宜に変更できる。例えば支持片の数を増加したり、支持片の部分を全周に亘って筒状に形成したり、キャップ本体の側面部を外囲器の外径とほぼ同程度のほぼ円形状に形成したりすることもできるし、或いはキャップを省略することもできる。さらには、外囲器の外周面へのシ−ト構体の貼着は、外囲器をシ−ト構体の上で相対的に転動させる他、シ−ト構体を回転させて貼着することもできるし、それぞれの動作を併用させることもできる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、アルミニウム箔よりなる外部電極は、その肉厚が、硬質の場合には10〜50μm、軟質の場合には30〜100μmの範囲にそれぞれ設定されているために、外囲器の外周面にシ−ト構体を、外部電極及び透光性シ−トが外周面にほぼ倣うように円滑に巻回することができる。従って、外囲器の外周面にシ−ト構体を巻回する時に外部電極が破れたり,しわになったりすることがなく、巻回作業を能率的に行なうことができる。
【0040】
特に、アルミニウム箔よりなる外部電極は、その肉厚の下限側が、硬質の場合には10μm、軟質の場合には30μmに設定されているために、プレス機によって所望形状に打ち抜く際に、アルミニウム箔のプレス機への喰い付きやバリの発生がなく、作業性を向上でき、量産性も高めることができる。
【0041】
又、シ−ト構体は透光性シ−トに外部電極が所定の間隔で配列されているために、単に外囲器及び/又はシ−ト構体を移動させることによってシ−ト構体を外囲器の外周面に巻回・装着することができる。従って、作業能率を飛躍的に改善できるのみならず、機械化が可能となり、一層の量産効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図であって、同図(a)は要部の一部破断状態の側面図、同図(b)は端子の斜視図。
【図2】図1(a)の正面図。
【図3】図2のV−V断面図。
【図4】図2のW−W断面図。
【図5】本発明にかかるキャップの斜視図。
【図6】図4のX−X断面図。
【図7】図1(a)の一部破断状態の側面図。
【図8】本発明にかかるシ−ト構体の展開図。
【図9】図8のY−Y断面図。
【図10】本発明方法を説明するための縦断面図。
【図11】本発明の第2の実施例を示す図であって、同図(a)は要部の一部破断状態の側面図、同図(b)は端子の斜視図。
【図12】本発明の第3の実施例を示す縦断面図。
【図13】従来例の縦断面図。
【図14】従来方法を説明するための斜視図。
【図15】図13のZ−Z断面図。
【符号の説明】
1 外囲器
2 発光層
3 シ−ト構体
4 透光性シ−ト
4a,4b 端部
5,6 外部電極
51,51A,61 端子
51a,61a 一方の端部
51b,61b 他方の端部
9 接着層
10 キャップ
11 キャップ本体
11a 孔
11b 側面部
13 接着剤
14 ステ−ジ
15 ロ−ラ
Claims (6)
- 内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って離隔して配置したアルミニウム箔よりなる帯状の一対の外部電極と、外囲器の外周面に、外部電極が被覆されるように装着した透光性の絶縁部材とを具備し、前記外部電極の肉厚を、アルミニウム箔が硬質の場合には10〜50μm、アルミニウム箔が軟質の場合には30〜100μmの範囲に設定したことを特徴とする希ガス放電灯。
- 前記透光性の絶縁部材を、透光性シ−ト又は熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブにて構成したことを特徴とする請求項1記載の希ガス放電灯。
- 内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の全長とほぼ同程度の長さを有する透光性シ−トの一方の面にアルミニウム箔よりなる帯状の一対の外部電極を互いに離隔して配置したシ−ト構体とを具備し、前記外囲器の外周面にシ−ト構体を、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回し、かつシ−ト構体における外部電極の肉厚を、アルミニウム箔が硬質の場合には10〜50μm、アルミニウム箔が軟質の場合には30〜100μmの範囲に設定したことを特徴とする希ガス放電灯。
- 内面に発光層を有する直管状の外囲器と、外囲器の全長とほぼ同程度の長さを有する透光性シ−トの一方の面にアルミニウム箔よりなる帯状の一対の外部電極を互いに離隔して配置し、かつ外部電極の端部から外部電極と電気的な接続関係を有する端子を導出したシ−ト構体と、外囲器の端面に装着した絶縁性のキャップとを具備し、前記外囲器の外周面にシ−ト構体を、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回すると共に、端子の他方の端部をキャップの側面部に離隔して配置し、かつシ−ト構体における外部電極の肉厚を、アルミニウム箔が硬質の場合には10〜50μm、アルミニウム箔が軟質の場合には30〜100μmの範囲に設定したことを特徴とする希ガス放電灯。
- 接着層を有する透光性シ−トの一方の面に、硬質の場合には肉厚が10〜50μm、軟質の場合には30〜100μmの範囲に設定されたアルミニウム箔よりなる帯状の一対の外部電極を互いに離隔して配置してなるシ−ト構体を所定の部位に位置させる工程と、内面に発光層を有する直管状の外囲器を、その長手方向が外部電極の長手方向に沿うようにシ−ト構体に位置させる工程と、外囲器及び/又はシ−ト構体の移動により、外囲器の外周面にシ−ト構体を巻回し密着させる工程とを含むことを特徴とする希ガス放電灯の製造方法。
- 前記外囲器をシ−ト構体の一端に位置させた後、シ−ト構体を移動させることにより外囲器を転動させ、外囲器の外周面にシ−ト構体を巻回し密着させることを特徴とする請求項5記載の希ガス放電灯の製造方法。
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-
1996
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