JP3561665B2 - Amラジオ受信機 - Google Patents

Amラジオ受信機

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、AMラジオ受信機に関し、AM受信時における帯域切替及び検波の方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
AMラジオ受信機では、受信されたRF受信信号に局部発振信号を混合してIF受信信号に周波数変換し、これをAM検波して低周波信号を得ている。このときIF増幅部には所定の周波数帯域のフィルタが設けられており、必要な帯域の受信信号のみが取り出される。
【0003】
わが国におけるAM放送の送信キャリアは±9kHzステップで設けられており、従来のAMラジオ受信機は、通常±3kHzの帯域幅のフィルタを前記IF増幅部に使用している。このフィルタ帯域は、隣接局の妨害電波を考慮したものであり、希望局に対して隣接妨害局が入力される場合に生じる混信を防止している。
【0004】
しかしながら、前述した±3kHzのフィルタ帯域では、正常受信時の音質劣化と隣接妨害局の除去能力の低下を招くという問題があった。
【0005】
また、隣接妨害局の防止に関しては、前述したように、日本国内における送信キャリアの間隔からすれば、±3kHzのフィルタ帯域は十分な隣接局分離を可能にするが、例えば、夜間などにおいては国外からの隣接妨害電界が著しく大きくなり、この結果、±3kHzのフィルタ帯域では、良好な隣接局の分離が行えないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点を解決するために、特開平5−21889号(H04B 1/00)には、AM受信状態に応じて最適なフィルタ帯域を選択して、良好な音質で受信でき、かつ隣接妨害を排除するように、AM信号の通過帯域を切り替えるAM受信帯域切り替え回路が開示されている。
【0007】
上記した回路においては、受信した妨害局の信号を遮断するために最も広いフィルタ帯域を選択して出力するように構成しているので、妨害電波信号を遮断し、広帯域で受信することができる。
【0008】
しかしながら、上記した回路においては、AM検波方式として、整流検波や包絡線検波を用いているため、希望局の+(正)側もしくは−(負)側の一方の側だけに妨害電波がある場合においても、±両側の通過帯域を狭くして妨害局の信号を遮断している。このため、必要以上に帯域を狭めることになり、音声の再生帯域が狭くなるという難点があった。
【0009】
この発明は、上述した従来の問題点に鑑みなされたものにして、帯域が絞られた音声を再生するのではなく、できる限り広帯域で音声信号の生成が行えるAMラジオ受信機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、正側、負側にそれぞれ異なる帯域のフィルタを備え、これらのフィルタからの出力により妨害局のある帯域を混信状態判別部で判別し、この判別結果に応じて前記AM検波部は妨害のない側の帯域を用いてSSBに基づく同期検波を行うことを特徴とする。
【0011】
また、この発明は、ミキサ回路と、このミキサ回路からの出力を増幅するIF増幅部と、IF増幅部からの信号を検波するAM検波部と、を有するAMラジオ受信機において、IF増幅部は、正側、負側にそれぞれ異なる帯域のフィルタを有する複数のIF増幅器を備え、これらIF増幅器からの出力により妨害局のある帯域を混信状態判別部で判別し、この判別結果に応じて前記AM検波部は妨害のない側の帯域を用いてSSBに基づく同期検波を行うことを特徴とする。
【0012】
前記AM検波部は、整流検波部と同期検波部とを備え、前記混信状態判別部の判別結果により、検波に用いる検波部を切り替えるように構成することができる。
【0013】
上記構成によれば、希望局の片側だけに妨害局がある場合には、片側の妨害のない広帯域信号をSSBで用いた同期検波により検出することで、良質な音声を再生できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態につき図面に従い説明する。図1は、この発明の全体構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、この実施の形態におけるAMラジオ受信機は、ミキサ回路1とIF増幅部2と混信状態判断部3とAM検波部4とが直列接続されている。このミキサ回路1は図示しない高周波増幅器及びアンテナが接続され、受信した希望局のRF受信信号をIF増幅部2で周波数変換し、IF増幅部2で増幅する。IF増幅部2で増幅された信号は混信状態判断部3に与えられる。この混信状態判断部3はIF増幅部2からの与えられた出力信号のエネルギー状態に基づき、混信状態を判別し通過帯域信号及びAM検波部4の検波方式を決めるモード信号をAM検波部4に与える。
【0016】
AM検波部4は、この実施の形態においては、整流検波方式とSSBで用いる同期検波方式の2種類の検波部、すなわち、整流検波部41及び同期検波部42を備え、混信状態判断部3からのモード信号に応じて検波方式を選択し、入力された帯域通過信号を検波する。
【0017】
この実施の形態におけるIF増幅部2は6種類のIF増幅器21〜26を有し、希望局より+側の帯域を通過させるバンドパスフィルタ(+BPF)を備えた3種類のIF増幅器21,22,23と、希望局より−側の帯域を通過させるバンドパスフィルタ(−BPF)を備えた3種類のIF増幅器24,25,26とで構成されている。
【0018】
IF増幅器21のBPF1は希望局+7kHzの広帯域のフィルタ、IF増幅器22のBPF2は希望局+3kHzの中帯域のフィルタ、IF増幅器23のBPF3は希望局+1kHzの狭帯域のフィルタを有し、各帯域のIF受信信号を増幅する。
【0019】
また、IF増幅器24のBPF1は希望局−7kHzの広帯域のフィルタ、IF増幅器25のBPF2は希望局−3kHzの中帯域のフィルタ、IF増幅器26のBPF3は希望局−1kHzの狭帯域のフィルタを有し、各帯域のIF受信信号を増幅する。
【0020】
IF増幅部2とAM検波器4との間に設けられる混信状態判断部3は、混信状態判別回路31と切替回路32とを備える。IF増幅部2の6種類のIF増幅器21〜26からの出力が混信状態判別回路31及び切替回路32にそれぞれ与えられる。
【0021】
混信状態判別回路31は、各IF増幅器21…から与えられる出力信号のエネルギー状態を判別し、そのエネルギー状態で混信状態を判断する。そして、その判断結果を切替回路32に与える。切替回路32は、混信状態判別回路31の出力に基づき、各IF増幅器21…からの出力を切り替えAM検波部4に与える。
【0022】
また、混信状態判別回路31は、AM検波部4の検波方式を設定するためのモード信号を与える。混信状態判断部2からの帯域通過信号とモード信号AM検波部4の切替回路43に与えられる。この切替回路43は混信状態判別回路31からのモード信号により、整流検波回路41に帯域通過信号を与えるか、同期検波回路42に与えるかを切り替えてる。整流検波回路41または同期検波回路42にて検波された出力は出力ポート44から出力される。
【0023】
以上のように構成されるAM受信機の動作について説明する。条件としては、図3に示すように、希望局はある所定の搬送波周波数で、振幅1.0、信号400Hz正弦波とする。妨害局は振幅0.5、希望局より+9kHzの搬送波周波数で、信号4kHzの正弦波とする。
【0024】
このような希望局と妨害局との信号を受信し、ミキサ回路1からIF増幅部3の各IF増幅器に信号が与えられる。このような信号が入力されると、各IF増幅器21…からの出力は混信状態判別回路31に与えられる。混信状態判別回路31は、入力信号のエネルギー状態から希望局より+3kHz以上で+7kHz内に妨害電波があり、−側には妨害電波が存在しないことを判別する。このように、+側にのみ妨害電波がある場合には、片側の広帯域信号をSSBで用いる同期検波で検波するように、混信判別回路31は、AM検波部4が同期検波回路42を用いるように、モード信号を与える。また、切替回路32にもIF増幅器24からの帯域信号をAM検波部4に与えるように制御する。
【0025】
この結果、同期検波回路42でIF増幅器24の出力のみが検波され、−7kHzの広帯域のSSBで用いる同期検波により検波されるので、良好な音質が得られる。
【0026】
図4は、図3に示す信号を−7kHzの広帯域を同期検波回路42により検波したこの発明の実施の形態と、±7kHzの広帯域を整流検波回路で行ったときのAM検波の結果を示す。図4に示すように、従来の整流検波であれば、ノイズを含んで検波されたのに対して、この発明では、広帯域にも関わらず、ノイズのない良好な検波が行われる。
【0027】
また、混信判別回路31は、エネルギー状態により、選択希望局のみを受信していると判断した場合には、両側の広帯域信号を用いて検波するように、整流検波回路41を用いるようにモード信号を与え、そして、切替回路32にもIF増幅器21及び24からの帯域信号を検波回路4に与えるように制御する。
【0028】
この結果、整流検波回路4でIF増幅器21及び24出力が検波され、±7kHzの広帯域により検波されるので、良好な音質が得られる。
【0029】
同様にして、混信判別回路31はエネルギー状態により、どの帯域で且つどちらの側に妨害電波があるかを判別し、それぞれの状態で最も広い帯域で検波できるように、切替回路32及びAM検波部4の検波回路の種別を選別するためのモード信号をAM検波回路4に与える。たとえば、+側1kHz以上3kHz以内に妨害電波がある場合には、片側−7kHzの広帯域のSSBで用いる同期検波を行う。
【0030】
また、+側1kHz以上3kHz以内に妨害電波が、そして、−7kHz未満−3kHz以上にも妨害電波がある場合には、−3kHzの中帯域のSSBで用いる同期検波を行う。
【0031】
また、±同じレベルで妨害電波がある場合には、妨害電波が存在しない帯域で整流検波による検波を行う。
【0032】
以上のように構成すると、妨害局が正、負どちらか一方にある場合においては、片側の妨害のない広帯域信号を用いて同期検波により検波が行えるので、良質な音声信号が再生できる。
【0033】
なお、上記実施の形態では、正負にそれぞれ3つのIF増幅器を用いたが、IF増幅器の数を多くして、フィルタ幅の種類を多くすれば、妨害信号を遮断しつつより広い受信帯域を確保できるので、より良質な音声信号が再生できる。
【0034】
また、上記した実施の形態においては、整流検波部と同期検波部の2つの検波部を用いているが、同期検波部のみ備える構成のものにおいてもこの発明は適用できる。この場合、混信状態判別部からは希望局よりどちらか一方の妨害隣接局が無いもしくは、帯域の広い側の帯域通過信号を検波部に与える。
【0035】
上記した実施の形態においては、ミキサ回路を用いて各帯域のフィルタに信号を入力させるように構成しているが、ミキサ回路を用いずに直接複数のフィルタに入力させ、各フィルタからの出力により、混信状態判別部で妨害局のある帯域を判別するように構成しても良い。すなわち、ダイレクト検波方式のものにおいてもこの発明は適用できる。。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、帯域が絞られた音声を再生するのではなく、広帯域の音声信号を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のラジオ受信機の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明のラジオ受信機の要部を示すブロック図である。
【図3】この発明の動作状態を説明するための説明図である。
【図4】AM検波の結果を示す特性図である。
【符号の説明】
1 ミキサー回路
2 IF増幅部
3 混信状態判別部
4 AM検波部

Claims (3)

  1. 正側、負側にそれぞれ異なる帯域のフィルタを備え、これらのフィルタからの出力により妨害局のある帯域を混信状態判別部で判別し、この判別結果に応じて前記AM検波部は妨害のない側の帯域を用いてSSBに基づく同期検波を行うことを特徴とするAMラジオ受信機。
  2. ミキサ回路と、このミキサ回路からの出力を増幅するIF増幅部と、IF増幅部からの信号を検波するAM検波部と、を有するAMラジオ受信機において、IF増幅部は、正側、負側にそれぞれ異なる帯域のフィルタを有する複数のIF増幅器を備え、これらIF増幅器からの出力により妨害局のある帯域を混信状態判別部で判別し、この判別結果に応じて前記AM検波部は妨害のない側の帯域を用いてSSBに基づく同期検波を行うことを特徴とするAMラジオ受信機。
  3. 前記AM検波部は、整流検波部と同期検波部とを備え、前記混信状態判別部の判別結果により、検波に用いる検波部が切り替えられることを特徴とする請求項1または2に記載のAMラジオ受信機。
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