JP3561588B2 - 免疫学的検査具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は糞便等の検体を簡単に検査することが出来る免疫学的検査具に係り、特に検体を体裁良くかつ衛生的に収納すると共に、検体を収納したままの状態で簡単に検査してその結果を判定表示し得る免疫学的検査具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
糞便等の検体を試料とする検査として、潜血成分、特にヒトヘモグロビンの有無を調べる便潜血検査や、小児ウイルス性胃腸炎の主原因であるロタウイルスを検出する検査等がある。この様な検体の糞便中の被検物質を検出する方法には、例えば、動物血球に抗体を感作したものと糞便溶解液とを混合して生じる沈降現象を利用して逆受身血球凝集法、高分子ラテックス粒子に抗体を感作したものと糞便溶解液とを混合して生じる凝集像を利用して検出するラテックス凝集法、酵素標識した抗体を利用する酵素免疫法等の免疫学的方法が用いられている。
【0003】
また、検体の糞便中から被検物質をより簡便に検出する方法として、免疫クロマト法が知られている。免疫クロマト法は、吸水性検査片上に、抗体を固定化した固定相の領域を設け、該領域において被検物質及び着色標識抗体の複合体を結合させることにより、被検物質を吸水性検査片上にトラップして検出する方法である。例えば、採取した糞便をいったん緩衝液に溶解し、この糞便溶解液を吸水性検査片上に展開して測定する方法がよく行われているが、この方法では検査者の操作が煩雑であり、また、糞便溶解液中で被検物質が変性する問題があった。
【0004】
従来、前述のような検体を被検査者自身が採集して検査者に検査を依頼する場合には、フタ付きの採便カップ等に少量の糞便を収納し、この状態で病院等に持参するのが一般的であった。また、最近になって、筒状のプラスチック容器が一般的に使用されるようになって来ている。このプラスチック容器は、キャップ部の天井面に小さなスプーンが一体的に取付けられており、このスプーンの先端に少量の糞便を塗着させ、そのままスプーンを容器の中に挿入し、キャップを容器の開口部に嵌着させて密封した状態で病院に持参する構造の容器であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
処で、前述の構造を有するプラスチック容器は、衛生的であり、かつ大便等の検体を容器内に密封することは出来るが、全体的に嵩張るので郵送に不便であった。また検体を必要以上にスプーンの先端にかき取って付着させる問題もあった。更に、検体を病院で試験するには、プラスチック容器から一旦取り出し、他の容器に移した後で検体の試験をしなければならないので、病院等に於ける検査に手間取る等の問題があった。
【0006】
本発明者は前述の多くの問題点を改善するために、糞便等の検体を吸収性検査片に直接塗着した後、免疫クロマト法に従い、配置した糞便中の被検物質に、標識抗体を結合させ、これを試薬としての展開液によって吸水性検査片上の抗体固定化領域まで展開させて、被検物質を固定化抗体と標識抗体との複合体を形成させ抗体固定化領域に捕捉する方法を開発し、既に特許出願している。
【0007】
しかしながら、この方法を実施する場合には、精度良く検出するために微量の一定量の糞便を塗着する必要があり、そのためには、例えば吸水性検査片に、一定面積の孔を設けた一定厚さの非吸水性フィルム等を貼付し、前記孔と吸水性検査片からなる空隙付近に適当量の検体となる糞便を塗布した後、ヘラ等を用いて過剰に塗布された糞便を擦り切り排除する必要があり、作業が煩雑であった。また、糞便を塗布した後の吸水性検査片及び糞便が付着されたヘラ等をそのまま取り扱うには衛生上の問題があった。
【0008】
本発明に係る試験具は、前述の従来の問題点に鑑み開発された全く新しい技術であって、容器内に載置された吸水性検査片に検体を直接塗ることが出来、かつ容器の表面から吸水性検査片に試薬を添加することによって、その隣りの判定窓より吸水性検査片に現れる検査結果を、直に簡便で精度良く確認することが出来る技術を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る免疫学的検査具は、前述の従来の問題点を根本的に改善した技術であって、特に、第1の抗体が固定化された領域を有する吸水性検査片上の前記領域外に、試料の検体を配置した後、免疫クロマト法に従い、試料中の被検物質に、標識化された第2の抗体を結合させ、これを試薬となる展開液によって前記第1の抗体が固定化された領域まで展開させて、試料中の被検物質と第1の抗体と標識化された第2の抗体との複合体を形成させ、第1の領域に捕捉することによって、試料中の被検物質を検出する免疫学的検査具である。
【0010】
本発明に係る免疫学的検査具の第1発明の要旨は、検体を免疫学的に検査するための検査具に於いて、検体を直接塗着し得る吸水性検査片と、下面壁に試薬添加窓と判定窓とを有し、かつ前記吸水性検査片を該試薬添加窓及び判定窓上に載置出来、上面壁に前記検体を挿通し得る開口部を所定位置に有する容器とを組み合わせて構成したことを特徴とした免疫学的検査具である。
【0011】
また、第2発明の要旨は、前記容器の開口部を開閉し得る蓋板を容器の上面壁に沿って摺動自在に設けると共に、前記吸水性検査片に塗着された余分の検体を擦切り除去し得る擦切刃を該蓋板の天井面に突設して構成したことを特徴とした第1発明の免疫学的検査具である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る免疫学的検査具の一実施例を具体的に説明すると、図1(A),(B)は夫々は本発明に係る免疫学的検査具の斜視説明図、図2は吸水性検査片の説明図、図3(A)は図1に係る免疫学的検査具の縦断面説明図、同図(B)はその免疫学的検査具の平面図、同図(C)はその免疫学的検査具の底面図、図4(A),(B),(C)は夫々図1に係る免疫学的検査具の使用状態を示す縦断面説明図である。
【0013】
図1乃至図4に於いて、1は長方形の容器であって、その上面壁1aの右側部中央には細長の開口部2が穿設されている。また、その容器1の下面壁1bには試薬添加窓3と判定窓4とが夫々右側から左側に向かって並列して穿設されている。この試薬添加窓3には不織布よりなる試薬吸収体5が嵌着され、かつ判定窓4には透明フィルム6が貼着されている。
【0014】
7は前記1の上面壁1aに設けられた開口部2に摺動自在に取付けられた蓋板であって、巾狭の先端部7aと巾広の元部7bとより形成されている。この蓋板7の先端部7aの両側縁は、開口部2の両内側縁に設けられた溝2a内に摺動自在に挿入されており、この蓋板7を摺動することによって、開口部2を自在に開閉し得るように構成されている。
【0015】
8はバー状の擦切刃であって、ゴム,プラスチックス等の弾性体より形成され、前記蓋板7の天井面の所定位置に突設されている。この擦切刃8は、後に詳述するように吸水性検査片の表面に塗着された余分の糞便等の検体を除去し得る際に使用されるものであって、蓋板7の摺動と同時に容器1内を移動し得るように構成されている。
【0016】
図2、図3(A)、図4(A),(B),(C)に於いて、9は吸水性検査片であって、試薬となる展開液を急速に浸透させることが出来る浸透紙10と、この浸透紙10の表裏面に一体的に積層された非吸水性のカバーフィルム11,12より形成されている。カバーフィルム11は浸透紙10とほぼ等しい面積を有しており、かつその先端部には検体を挿入することが出来る巾広の貫通孔よりなるスリット13が穿設されている。従って、スリット13内に挿入された検体14は、カバーフィルム11の裏側の浸透紙10に直接塗着されるように構成されている。
【0017】
また、カバーフィルム12は浸透紙10よりも短い寸法を有しており、カバーフィルム12を浸透紙10の後端縁に合わせて積層した場合には、浸透紙10の先端部裏面が特に図2に示す如く、露出するように構成されている。従って、この吸水性検査片9を図3(A)及び図4(A),(B),(C)に示す如く、容器1内に挿入し、吸水性検査片9を容器1の内底面に試薬添加窓3と判定窓4とに合致させて載置した場合には、吸水性検査片9の浸透紙10の裏面の露出部分が試薬添加窓3の位置と合致するように構成されている。
【0018】
本発明において、吸水性検査片9の浸透紙10は、当該試料に対して免疫クロマト法が適用可能な材料であればよい。即ち、試薬となる展開液を良く吸水し、試料内の被検物質、標識化された第2の抗体を展開できるものであれば特に限定されない。浸透紙10は、検体14の糞便中の被検物質が、標識化された第2の抗体や、固定化された第1の抗体と十分な反応を行うための時間を確保するために、適度な吸水性を有するものが好ましい。好ましい材料としては、例えば、ニトロセルロースメンブレン、酢酸セルロースメンブレン、ガラス繊維濾紙、レーヨン、ポリエステル等の不織布、多孔質材料等が挙げられる。
【0019】
前述の浸透紙10の吸水性を調整したり、測定試料中のタンパク質等の非特異的吸着を抑制するために、当該浸透紙10に親水性重合体、タンパク質、界面活性剤を被覆または含浸させてもよい。浸透紙10の形状は試薬となる展開液によって試料を展開できる形状であれば特に限定されるものではない。例えば、矩形のシート状やロッド状が好ましい。
【0020】
第1の抗体としては被検物質に対する抗体で、通常の免疫学的測定に用いられる公知のものを適宜選択すれば良い。抗体としては、例えば、ウサギ、ヤギ、ヒツジ等由来のポリクロナール抗体、モノクロナール抗体が用いられる。浸透紙10に第1の抗体を固定化する方法は、特に限定されるものではないが、公知の物理吸着法や共有結合法が好ましい方法である。
【0021】
前記浸透紙10に積層する非吸水性のカバーフィルム11,12としては、ポリマーフィルム、例えばPETフィルム等のポリマーフィルムが用いられる。浸透紙10にカバーフィルム11,12を積層する方法は、好ましい方法として浸透紙10に接着剤を塗布した後で、その表面にカバーフィルム11,12を重ねて接着する方法等がある。
【0022】
カバーフィルム11に穿設する貫通孔よりなるスリット13の形状は特に限定されるものではないが、好ましい形状としては浸透紙10の巾方向に長い長方形や楕円形である。スリット13が浸透紙10の巾方向に対して小さい場合は、展開液による試料中の被検物質の拡散が不十分となり、第1の抗体固定化領域での発色に班が生じるからである。カバーフィルム11の厚さは、3mm以下が好ましい。厚すぎる場合、塗布した検体14の糞便の乾燥に時間がかかり、この間に糞便中の被検物質が変性する恐れがあるからである。
【0023】
本発明において、試薬としての展開液は従来より使用されている緩衝液が用いられる。緩衝液としては、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、ほう酸緩衝液等で、pH5〜9付近のものが用いられる。試料中の被検物質と標識化された第2の抗体との結合は、試料中の被検物質が第1の抗体の領域に到達する前であればいつ行っても良い。例えば展開液に標識化された第2の抗体を含有させておき、この液を試料、第1の抗体の順番で通過するように浸透紙10に添加する方法や、浸透紙10に予め標識化された第2の抗体を含有させておき、展開液を添加する方法がある。
【0024】
第2の抗体としては被検物質に対する抗体で、通常の免疫学的測定に用いられる公知のものを適宜選択すれば良い。抗体としては、例えば、ウサギ、ヤギ、ヒツジ等の由来のポリクロナール抗体、モノクロナール抗体が用いられる。標識としては着色粒子が好ましいものとして挙げられる。着色粒子としては金コロイド粒子等の金属コロイド粒子、着色ラテックス粒子、顔料粒子等が用いられる。着色粒子の粒子径は浸透紙にめづまりしない範囲とすることが好ましく、0.01〜3μmがよい。
【0025】
本発明に係る免疫学的検査具の使用に当たっては、特に図4(A),(B),(C)に示す如く、蓋板7を元部7b方向に摺動して開口部2を巾広く開口し、別に綿棒15の先端に糞便等の検体14を塗着させ、綿棒15の先端部を開口部2に挿通し、検体14を吸水性検査片9のカバーフィルム11のスリット13内に塗着し、検体14の一部をスリット13内に位置する浸透紙10や表面に直接塗布する。
【0026】
開口部2より綿棒15を引き抜いた後、蓋板7を先端部6a方向に摺動することによって、蓋板7の天井に取付けられた擦切刃8でスリット13の周りに付着された検体14を完全に擦切って除去し、スリット13内のみに一定量の検体14を残留させる。同時に蓋板7によって開口部2を完全に閉鎖し、かつ擦切刃8で除去された検体14を容器1の内周壁及び擦切刃8とによって臭いが漏れないように衛生的に密封することが出来る。本発明に係る免疫学的検査具は、この状態で封筒に収納して病院等に持参或いは郵送することが出来る。
【0027】
前述のように、本発明の容器に於いては、試薬添加窓3には試薬吸収体5が嵌着されており、かつ判定窓4には透明フィルム6が貼着されているので、これ等の窓3,4より臭いが容器1外に漏れる心配がない。
【0028】
次に、浸透紙10に付着された検体14を試験するに当たっては、容器1を図3(B)に示す状態のまま裏返して図3(C)に示すように下面壁1bを上方にし、容器1の下壁面に設けられた試薬添加窓3に試薬となる展開液を添加し、試薬を試薬吸収体5を介して浸透紙10に浸透させることが出来る。
【0029】
試薬の展開液により塗布された検体14の糞便が溶解され、標識化された第2の抗体と糞便中の被検物質が結合し、さらに第1の抗体領域で被検物質を挟んで標識化された第2の抗体が結合する。その結合した結果を吸水性試験紙9に色彩によって表示するので、判定窓4をのぞくことによってこの標識の色を肉眼観察、または、光学的に測定し、被検物質の存在、または、量を知ることができる。
【0030】
〔実施例1〕
〔標識化された第2の抗体を含有する試薬の展開液の作製〕
青色カルボキシル化ポリスチレンラテックス(平均粒子径0.2μm,1%)10mlに、1−エチル3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩水溶液(5mg/ml)0.2mlを加え、10℃にて10分間攪拌した後、第2の抗体として抗ヒトヘモグロビン抗体(ウサギ1gG,10mg/ml)2mlを加え、10℃にて24時間攪拌した。これを遠心洗浄し、0.1Mリン酸緩衝液(NaCl;0.9%,NaN3 ;0.1%含有,pH7.4)に固形分濃度0.01%となるように再分散させた。
【0031】
〔浸透紙の作製〕
第1の抗体としての抗ヒトヘモグロビン抗体(ウサギIgG)を0.1Mリン酸緩衝液(NaCl;0.9%,NaN3 ;0.1%含有,pH7.4)に溶解し、2mg/mlの溶液に調整した。その後でこの溶液を浸透紙に塗布して次項のように製作した。
【0032】
ニトロセルロース膜(孔径5μm,厚さ160μm,外形6mm×60mm)の一端から30mmの部位に、上記溶液1.51μlをライン状に塗布し、40℃で1時間乾燥した。次に、これを1%ウシ血清アルブミン水溶液に1時間浸漬した後、40℃で3時間乾燥した。ポリエステルフィルム(厚さ25μm)を外形6mm×60mmに切断し、その一端から15mmの部位に1mm×4mmの貫通孔を開けたものをPET(裏)とした。また、別のポリエステルフィルム(厚さ25μm)を外形6mm×52mmに切断したものをPET(表)とした。上記ニトロセルロース膜の抗体を塗布した面と逆の面にPET(裏)を貼合わせた。次にPET(表)をニトロセルロース膜の塗布面に、PET(裏)の貫通孔側の一端から8mmを開けて貼合わせた。
【0033】
〔容器への吸水性検査片の組込み〕
前述のように作製された浸透紙10の表裏面に2種類のカバー11,12フィルムを積層して吸水性検査片9を製造した後、この吸水性検査片9を図3(A),(B),(C)に示す如く、容器1の内底面に収納し、これを所定の方向と位置を規制しながら、試薬添加窓と判定窓4との上に組込み、便中ヒトHb検出用の検査具を構成した。
【0034】
〔試料の作製〕
検体試料は、糞便1g中のヒトヘモグロビン(Hb)の含有量が1,5,10,20,100,1000μgの6種類とした。これらの6種類の含有量の試料は、健常者の糞便に対してヒトHbを適当量だけ混合することにより作製した。また、その作製の際には、糞便中1g中のヒトHbの含有量をEIA法により定量し、確認して調製した。また、試料中のヒトHbが失活しないように、下記ヒトHbの検出試験までの間、試料を冷凍保存した。
【0035】
〔試料中のヒトHbの検出〕
上述のように作製した便中ヒトHb検査具の容器1の開口部2から、内部吸水性検査片9のカバーフィルム11のスリット13の付近に、綿棒15で採取した検体14の試料を適当量塗布し、容器の蓋板7で開口部2を閉じながら、その天井に取付けられた擦切刃8で過剰の検体14を除去した。次に上述のように作製した青色ラテックス粒子で、標識化された第2の抗体を含有する試薬としての展開液100μlを、容器1の試薬添加窓3に添加し、10分後に判定窓4からニトロセルロース膜の発色を肉眼で観察し、ヒトHbの検出を行った。
【0036】
その検出検査の結果は次表に示す通りであった。図中「−」は発色がないことを示し、「+w」は弱い青色に発色したことを示し、「+」は強い青色に発色したことを示している。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明に係る免疫学的検査具は、上述の構造と作用とを有するので、次のような多大な効果を有している。
【0039】
(1)容器の中に吸水性検査片を簡単に載置して収納することが出来る。(2)容器の下面壁には試薬添加窓と判定窓とが設けられているので、容器の裏面側から試薬を添加することが出来ると共に、そのままの状態でその試験結果を判定窓から判定することがで出来る。
【0040】
(3)容器には開口部が設けられているので、綿棒の先端に塗着された検体を開口部から挿入して容器内の吸水性検査片に直接塗着させることが出来る。(4)従って、従来のように容器から検体を一旦取り出し、別の容器等に移して試験及び判定する作業を不要とし、試験及び判定作業を極めて容易にすることが出来る。
【0041】
(5)容器の開口部には蓋板を摺動自在に設けたので、この蓋板によって開口部を自在に開閉することが出来る。(6)蓋板の天井に擦切刃を設けた場合には、吸水性検査片に塗着された過剰の検体を全て除去して、スリット内のみに所定量の検体を残し、吸水性検査片に常に一定量の検体を塗布させておくことが出来る。(7)擦切刃によって除去した検体は臭いが漏れないように容器の内壁及び擦切刃によって衛生的に密封することが出来る。
【0042】
(8)全体の構成が簡単であり、安価に大量生産することが出来る。(9)全体がコンパクトで体裁の良いので、持参及び郵送に便利である。(10)検査が極めて簡便であるので、検体を提供する被検査者自身で検査することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A),(B)は夫々本発明に係る免疫学的検査具の斜視説明図である。
【図2】吸水性検査片の説明図である。
【図3】図3(A)は図1に係る免疫学的検査具の縦断面説明図、同図(B)はその免疫学的検査具の平面図、同図(C)は免疫学的検査具の底面図である。
【図4】図4(A),(B),(C)は夫々図1に係る免疫学的検査具の使用状態を示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
1 容器 1a 上面壁
1b 下面壁 2 開口部
2a 溝 3 試薬添加窓
4 判定窓 5 試薬吸収体
6 透明フィルム 7 蓋板
7a 先端部 7b 元部
8 擦切刃 9 吸水性検査片
10 浸透紙 11,12 カバーフィルム
13 スリット 14 検体
15 綿棒
【発明の属する技術分野】
本発明は糞便等の検体を簡単に検査することが出来る免疫学的検査具に係り、特に検体を体裁良くかつ衛生的に収納すると共に、検体を収納したままの状態で簡単に検査してその結果を判定表示し得る免疫学的検査具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
糞便等の検体を試料とする検査として、潜血成分、特にヒトヘモグロビンの有無を調べる便潜血検査や、小児ウイルス性胃腸炎の主原因であるロタウイルスを検出する検査等がある。この様な検体の糞便中の被検物質を検出する方法には、例えば、動物血球に抗体を感作したものと糞便溶解液とを混合して生じる沈降現象を利用して逆受身血球凝集法、高分子ラテックス粒子に抗体を感作したものと糞便溶解液とを混合して生じる凝集像を利用して検出するラテックス凝集法、酵素標識した抗体を利用する酵素免疫法等の免疫学的方法が用いられている。
【0003】
また、検体の糞便中から被検物質をより簡便に検出する方法として、免疫クロマト法が知られている。免疫クロマト法は、吸水性検査片上に、抗体を固定化した固定相の領域を設け、該領域において被検物質及び着色標識抗体の複合体を結合させることにより、被検物質を吸水性検査片上にトラップして検出する方法である。例えば、採取した糞便をいったん緩衝液に溶解し、この糞便溶解液を吸水性検査片上に展開して測定する方法がよく行われているが、この方法では検査者の操作が煩雑であり、また、糞便溶解液中で被検物質が変性する問題があった。
【0004】
従来、前述のような検体を被検査者自身が採集して検査者に検査を依頼する場合には、フタ付きの採便カップ等に少量の糞便を収納し、この状態で病院等に持参するのが一般的であった。また、最近になって、筒状のプラスチック容器が一般的に使用されるようになって来ている。このプラスチック容器は、キャップ部の天井面に小さなスプーンが一体的に取付けられており、このスプーンの先端に少量の糞便を塗着させ、そのままスプーンを容器の中に挿入し、キャップを容器の開口部に嵌着させて密封した状態で病院に持参する構造の容器であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
処で、前述の構造を有するプラスチック容器は、衛生的であり、かつ大便等の検体を容器内に密封することは出来るが、全体的に嵩張るので郵送に不便であった。また検体を必要以上にスプーンの先端にかき取って付着させる問題もあった。更に、検体を病院で試験するには、プラスチック容器から一旦取り出し、他の容器に移した後で検体の試験をしなければならないので、病院等に於ける検査に手間取る等の問題があった。
【0006】
本発明者は前述の多くの問題点を改善するために、糞便等の検体を吸収性検査片に直接塗着した後、免疫クロマト法に従い、配置した糞便中の被検物質に、標識抗体を結合させ、これを試薬としての展開液によって吸水性検査片上の抗体固定化領域まで展開させて、被検物質を固定化抗体と標識抗体との複合体を形成させ抗体固定化領域に捕捉する方法を開発し、既に特許出願している。
【0007】
しかしながら、この方法を実施する場合には、精度良く検出するために微量の一定量の糞便を塗着する必要があり、そのためには、例えば吸水性検査片に、一定面積の孔を設けた一定厚さの非吸水性フィルム等を貼付し、前記孔と吸水性検査片からなる空隙付近に適当量の検体となる糞便を塗布した後、ヘラ等を用いて過剰に塗布された糞便を擦り切り排除する必要があり、作業が煩雑であった。また、糞便を塗布した後の吸水性検査片及び糞便が付着されたヘラ等をそのまま取り扱うには衛生上の問題があった。
【0008】
本発明に係る試験具は、前述の従来の問題点に鑑み開発された全く新しい技術であって、容器内に載置された吸水性検査片に検体を直接塗ることが出来、かつ容器の表面から吸水性検査片に試薬を添加することによって、その隣りの判定窓より吸水性検査片に現れる検査結果を、直に簡便で精度良く確認することが出来る技術を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る免疫学的検査具は、前述の従来の問題点を根本的に改善した技術であって、特に、第1の抗体が固定化された領域を有する吸水性検査片上の前記領域外に、試料の検体を配置した後、免疫クロマト法に従い、試料中の被検物質に、標識化された第2の抗体を結合させ、これを試薬となる展開液によって前記第1の抗体が固定化された領域まで展開させて、試料中の被検物質と第1の抗体と標識化された第2の抗体との複合体を形成させ、第1の領域に捕捉することによって、試料中の被検物質を検出する免疫学的検査具である。
【0010】
本発明に係る免疫学的検査具の第1発明の要旨は、検体を免疫学的に検査するための検査具に於いて、検体を直接塗着し得る吸水性検査片と、下面壁に試薬添加窓と判定窓とを有し、かつ前記吸水性検査片を該試薬添加窓及び判定窓上に載置出来、上面壁に前記検体を挿通し得る開口部を所定位置に有する容器とを組み合わせて構成したことを特徴とした免疫学的検査具である。
【0011】
また、第2発明の要旨は、前記容器の開口部を開閉し得る蓋板を容器の上面壁に沿って摺動自在に設けると共に、前記吸水性検査片に塗着された余分の検体を擦切り除去し得る擦切刃を該蓋板の天井面に突設して構成したことを特徴とした第1発明の免疫学的検査具である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る免疫学的検査具の一実施例を具体的に説明すると、図1(A),(B)は夫々は本発明に係る免疫学的検査具の斜視説明図、図2は吸水性検査片の説明図、図3(A)は図1に係る免疫学的検査具の縦断面説明図、同図(B)はその免疫学的検査具の平面図、同図(C)はその免疫学的検査具の底面図、図4(A),(B),(C)は夫々図1に係る免疫学的検査具の使用状態を示す縦断面説明図である。
【0013】
図1乃至図4に於いて、1は長方形の容器であって、その上面壁1aの右側部中央には細長の開口部2が穿設されている。また、その容器1の下面壁1bには試薬添加窓3と判定窓4とが夫々右側から左側に向かって並列して穿設されている。この試薬添加窓3には不織布よりなる試薬吸収体5が嵌着され、かつ判定窓4には透明フィルム6が貼着されている。
【0014】
7は前記1の上面壁1aに設けられた開口部2に摺動自在に取付けられた蓋板であって、巾狭の先端部7aと巾広の元部7bとより形成されている。この蓋板7の先端部7aの両側縁は、開口部2の両内側縁に設けられた溝2a内に摺動自在に挿入されており、この蓋板7を摺動することによって、開口部2を自在に開閉し得るように構成されている。
【0015】
8はバー状の擦切刃であって、ゴム,プラスチックス等の弾性体より形成され、前記蓋板7の天井面の所定位置に突設されている。この擦切刃8は、後に詳述するように吸水性検査片の表面に塗着された余分の糞便等の検体を除去し得る際に使用されるものであって、蓋板7の摺動と同時に容器1内を移動し得るように構成されている。
【0016】
図2、図3(A)、図4(A),(B),(C)に於いて、9は吸水性検査片であって、試薬となる展開液を急速に浸透させることが出来る浸透紙10と、この浸透紙10の表裏面に一体的に積層された非吸水性のカバーフィルム11,12より形成されている。カバーフィルム11は浸透紙10とほぼ等しい面積を有しており、かつその先端部には検体を挿入することが出来る巾広の貫通孔よりなるスリット13が穿設されている。従って、スリット13内に挿入された検体14は、カバーフィルム11の裏側の浸透紙10に直接塗着されるように構成されている。
【0017】
また、カバーフィルム12は浸透紙10よりも短い寸法を有しており、カバーフィルム12を浸透紙10の後端縁に合わせて積層した場合には、浸透紙10の先端部裏面が特に図2に示す如く、露出するように構成されている。従って、この吸水性検査片9を図3(A)及び図4(A),(B),(C)に示す如く、容器1内に挿入し、吸水性検査片9を容器1の内底面に試薬添加窓3と判定窓4とに合致させて載置した場合には、吸水性検査片9の浸透紙10の裏面の露出部分が試薬添加窓3の位置と合致するように構成されている。
【0018】
本発明において、吸水性検査片9の浸透紙10は、当該試料に対して免疫クロマト法が適用可能な材料であればよい。即ち、試薬となる展開液を良く吸水し、試料内の被検物質、標識化された第2の抗体を展開できるものであれば特に限定されない。浸透紙10は、検体14の糞便中の被検物質が、標識化された第2の抗体や、固定化された第1の抗体と十分な反応を行うための時間を確保するために、適度な吸水性を有するものが好ましい。好ましい材料としては、例えば、ニトロセルロースメンブレン、酢酸セルロースメンブレン、ガラス繊維濾紙、レーヨン、ポリエステル等の不織布、多孔質材料等が挙げられる。
【0019】
前述の浸透紙10の吸水性を調整したり、測定試料中のタンパク質等の非特異的吸着を抑制するために、当該浸透紙10に親水性重合体、タンパク質、界面活性剤を被覆または含浸させてもよい。浸透紙10の形状は試薬となる展開液によって試料を展開できる形状であれば特に限定されるものではない。例えば、矩形のシート状やロッド状が好ましい。
【0020】
第1の抗体としては被検物質に対する抗体で、通常の免疫学的測定に用いられる公知のものを適宜選択すれば良い。抗体としては、例えば、ウサギ、ヤギ、ヒツジ等由来のポリクロナール抗体、モノクロナール抗体が用いられる。浸透紙10に第1の抗体を固定化する方法は、特に限定されるものではないが、公知の物理吸着法や共有結合法が好ましい方法である。
【0021】
前記浸透紙10に積層する非吸水性のカバーフィルム11,12としては、ポリマーフィルム、例えばPETフィルム等のポリマーフィルムが用いられる。浸透紙10にカバーフィルム11,12を積層する方法は、好ましい方法として浸透紙10に接着剤を塗布した後で、その表面にカバーフィルム11,12を重ねて接着する方法等がある。
【0022】
カバーフィルム11に穿設する貫通孔よりなるスリット13の形状は特に限定されるものではないが、好ましい形状としては浸透紙10の巾方向に長い長方形や楕円形である。スリット13が浸透紙10の巾方向に対して小さい場合は、展開液による試料中の被検物質の拡散が不十分となり、第1の抗体固定化領域での発色に班が生じるからである。カバーフィルム11の厚さは、3mm以下が好ましい。厚すぎる場合、塗布した検体14の糞便の乾燥に時間がかかり、この間に糞便中の被検物質が変性する恐れがあるからである。
【0023】
本発明において、試薬としての展開液は従来より使用されている緩衝液が用いられる。緩衝液としては、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、ほう酸緩衝液等で、pH5〜9付近のものが用いられる。試料中の被検物質と標識化された第2の抗体との結合は、試料中の被検物質が第1の抗体の領域に到達する前であればいつ行っても良い。例えば展開液に標識化された第2の抗体を含有させておき、この液を試料、第1の抗体の順番で通過するように浸透紙10に添加する方法や、浸透紙10に予め標識化された第2の抗体を含有させておき、展開液を添加する方法がある。
【0024】
第2の抗体としては被検物質に対する抗体で、通常の免疫学的測定に用いられる公知のものを適宜選択すれば良い。抗体としては、例えば、ウサギ、ヤギ、ヒツジ等の由来のポリクロナール抗体、モノクロナール抗体が用いられる。標識としては着色粒子が好ましいものとして挙げられる。着色粒子としては金コロイド粒子等の金属コロイド粒子、着色ラテックス粒子、顔料粒子等が用いられる。着色粒子の粒子径は浸透紙にめづまりしない範囲とすることが好ましく、0.01〜3μmがよい。
【0025】
本発明に係る免疫学的検査具の使用に当たっては、特に図4(A),(B),(C)に示す如く、蓋板7を元部7b方向に摺動して開口部2を巾広く開口し、別に綿棒15の先端に糞便等の検体14を塗着させ、綿棒15の先端部を開口部2に挿通し、検体14を吸水性検査片9のカバーフィルム11のスリット13内に塗着し、検体14の一部をスリット13内に位置する浸透紙10や表面に直接塗布する。
【0026】
開口部2より綿棒15を引き抜いた後、蓋板7を先端部6a方向に摺動することによって、蓋板7の天井に取付けられた擦切刃8でスリット13の周りに付着された検体14を完全に擦切って除去し、スリット13内のみに一定量の検体14を残留させる。同時に蓋板7によって開口部2を完全に閉鎖し、かつ擦切刃8で除去された検体14を容器1の内周壁及び擦切刃8とによって臭いが漏れないように衛生的に密封することが出来る。本発明に係る免疫学的検査具は、この状態で封筒に収納して病院等に持参或いは郵送することが出来る。
【0027】
前述のように、本発明の容器に於いては、試薬添加窓3には試薬吸収体5が嵌着されており、かつ判定窓4には透明フィルム6が貼着されているので、これ等の窓3,4より臭いが容器1外に漏れる心配がない。
【0028】
次に、浸透紙10に付着された検体14を試験するに当たっては、容器1を図3(B)に示す状態のまま裏返して図3(C)に示すように下面壁1bを上方にし、容器1の下壁面に設けられた試薬添加窓3に試薬となる展開液を添加し、試薬を試薬吸収体5を介して浸透紙10に浸透させることが出来る。
【0029】
試薬の展開液により塗布された検体14の糞便が溶解され、標識化された第2の抗体と糞便中の被検物質が結合し、さらに第1の抗体領域で被検物質を挟んで標識化された第2の抗体が結合する。その結合した結果を吸水性試験紙9に色彩によって表示するので、判定窓4をのぞくことによってこの標識の色を肉眼観察、または、光学的に測定し、被検物質の存在、または、量を知ることができる。
【0030】
〔実施例1〕
〔標識化された第2の抗体を含有する試薬の展開液の作製〕
青色カルボキシル化ポリスチレンラテックス(平均粒子径0.2μm,1%)10mlに、1−エチル3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩水溶液(5mg/ml)0.2mlを加え、10℃にて10分間攪拌した後、第2の抗体として抗ヒトヘモグロビン抗体(ウサギ1gG,10mg/ml)2mlを加え、10℃にて24時間攪拌した。これを遠心洗浄し、0.1Mリン酸緩衝液(NaCl;0.9%,NaN3 ;0.1%含有,pH7.4)に固形分濃度0.01%となるように再分散させた。
【0031】
〔浸透紙の作製〕
第1の抗体としての抗ヒトヘモグロビン抗体(ウサギIgG)を0.1Mリン酸緩衝液(NaCl;0.9%,NaN3 ;0.1%含有,pH7.4)に溶解し、2mg/mlの溶液に調整した。その後でこの溶液を浸透紙に塗布して次項のように製作した。
【0032】
ニトロセルロース膜(孔径5μm,厚さ160μm,外形6mm×60mm)の一端から30mmの部位に、上記溶液1.51μlをライン状に塗布し、40℃で1時間乾燥した。次に、これを1%ウシ血清アルブミン水溶液に1時間浸漬した後、40℃で3時間乾燥した。ポリエステルフィルム(厚さ25μm)を外形6mm×60mmに切断し、その一端から15mmの部位に1mm×4mmの貫通孔を開けたものをPET(裏)とした。また、別のポリエステルフィルム(厚さ25μm)を外形6mm×52mmに切断したものをPET(表)とした。上記ニトロセルロース膜の抗体を塗布した面と逆の面にPET(裏)を貼合わせた。次にPET(表)をニトロセルロース膜の塗布面に、PET(裏)の貫通孔側の一端から8mmを開けて貼合わせた。
【0033】
〔容器への吸水性検査片の組込み〕
前述のように作製された浸透紙10の表裏面に2種類のカバー11,12フィルムを積層して吸水性検査片9を製造した後、この吸水性検査片9を図3(A),(B),(C)に示す如く、容器1の内底面に収納し、これを所定の方向と位置を規制しながら、試薬添加窓と判定窓4との上に組込み、便中ヒトHb検出用の検査具を構成した。
【0034】
〔試料の作製〕
検体試料は、糞便1g中のヒトヘモグロビン(Hb)の含有量が1,5,10,20,100,1000μgの6種類とした。これらの6種類の含有量の試料は、健常者の糞便に対してヒトHbを適当量だけ混合することにより作製した。また、その作製の際には、糞便中1g中のヒトHbの含有量をEIA法により定量し、確認して調製した。また、試料中のヒトHbが失活しないように、下記ヒトHbの検出試験までの間、試料を冷凍保存した。
【0035】
〔試料中のヒトHbの検出〕
上述のように作製した便中ヒトHb検査具の容器1の開口部2から、内部吸水性検査片9のカバーフィルム11のスリット13の付近に、綿棒15で採取した検体14の試料を適当量塗布し、容器の蓋板7で開口部2を閉じながら、その天井に取付けられた擦切刃8で過剰の検体14を除去した。次に上述のように作製した青色ラテックス粒子で、標識化された第2の抗体を含有する試薬としての展開液100μlを、容器1の試薬添加窓3に添加し、10分後に判定窓4からニトロセルロース膜の発色を肉眼で観察し、ヒトHbの検出を行った。
【0036】
その検出検査の結果は次表に示す通りであった。図中「−」は発色がないことを示し、「+w」は弱い青色に発色したことを示し、「+」は強い青色に発色したことを示している。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明に係る免疫学的検査具は、上述の構造と作用とを有するので、次のような多大な効果を有している。
【0039】
(1)容器の中に吸水性検査片を簡単に載置して収納することが出来る。(2)容器の下面壁には試薬添加窓と判定窓とが設けられているので、容器の裏面側から試薬を添加することが出来ると共に、そのままの状態でその試験結果を判定窓から判定することがで出来る。
【0040】
(3)容器には開口部が設けられているので、綿棒の先端に塗着された検体を開口部から挿入して容器内の吸水性検査片に直接塗着させることが出来る。(4)従って、従来のように容器から検体を一旦取り出し、別の容器等に移して試験及び判定する作業を不要とし、試験及び判定作業を極めて容易にすることが出来る。
【0041】
(5)容器の開口部には蓋板を摺動自在に設けたので、この蓋板によって開口部を自在に開閉することが出来る。(6)蓋板の天井に擦切刃を設けた場合には、吸水性検査片に塗着された過剰の検体を全て除去して、スリット内のみに所定量の検体を残し、吸水性検査片に常に一定量の検体を塗布させておくことが出来る。(7)擦切刃によって除去した検体は臭いが漏れないように容器の内壁及び擦切刃によって衛生的に密封することが出来る。
【0042】
(8)全体の構成が簡単であり、安価に大量生産することが出来る。(9)全体がコンパクトで体裁の良いので、持参及び郵送に便利である。(10)検査が極めて簡便であるので、検体を提供する被検査者自身で検査することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A),(B)は夫々本発明に係る免疫学的検査具の斜視説明図である。
【図2】吸水性検査片の説明図である。
【図3】図3(A)は図1に係る免疫学的検査具の縦断面説明図、同図(B)はその免疫学的検査具の平面図、同図(C)は免疫学的検査具の底面図である。
【図4】図4(A),(B),(C)は夫々図1に係る免疫学的検査具の使用状態を示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
1 容器 1a 上面壁
1b 下面壁 2 開口部
2a 溝 3 試薬添加窓
4 判定窓 5 試薬吸収体
6 透明フィルム 7 蓋板
7a 先端部 7b 元部
8 擦切刃 9 吸水性検査片
10 浸透紙 11,12 カバーフィルム
13 スリット 14 検体
15 綿棒
Claims (2)
- 検体を免疫学的に検査するための検査具に於いて、検体を直接塗着し得る吸水性検査片と、下面壁に試薬添加窓と判定窓とを有し、かつ前記吸水性検査片を該試薬添加窓及び判定窓上に載置出来、上面壁に前記検体を挿通し得る開口部を所定位置に有する容器とを組み合わせて構成したことを特徴とした免疫学的検査具。
- 前記容器の開口部を開閉し得る蓋板を容器の上面壁に沿って摺動自在に設けると共に、前記吸水性検査片に塗着された余分の検体を擦切り除去し得る擦切刃を該蓋板の天井面に突設して構成したことを特徴とした請求項1の免疫学的検査具。
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