JP3248436B2 - 免疫アッセイ装置及び方法 - Google Patents

免疫アッセイ装置及び方法

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JP3248436B2
JP3248436B2 JP26032096A JP26032096A JP3248436B2 JP 3248436 B2 JP3248436 B2 JP 3248436B2 JP 26032096 A JP26032096 A JP 26032096A JP 26032096 A JP26032096 A JP 26032096A JP 3248436 B2 JP3248436 B2 JP 3248436B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検体中の抗原又は
抗体を検出するために用いられる免疫アッセイ装置及び
それを用いた免疫アッセイ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】検体中の抗原又は抗体を簡便に検出する
装置として、酵素免疫アッセイ装置が用いられている。
従来の酵素免疫アッセイ装置を図2に模式的に示す。従
来の酵素免疫アッセイ装置は、ニトロセルロース等の材
質から成るメンブレン部20と、その両端にそれぞれ設
けられた、吸水性の材質から成る展開液パッド部22及
び吸収パッド部24を有する。メンブレン部20には、
標識体を点着した標識体点着部26が設けられている。
標識体点着部26には、タンパク質の非特異的吸着を防
止するためにメンブレンをブロッキングした後、検出す
べき抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原が酵素標識さ
れた標識体が点着されている。さらに、標識体点着部2
6と吸収パッド部24との間には、検出ライン28が設
けられている。検出ライン28には、検出すべき抗原又
は抗体と反応する抗体又は抗原が固定化されている。
【0003】使用時には、検体液を展開液パッド部22
と標識体点着部26の間に位置する検体点着部25に加
えると共に展開液パッド部に展開液を加える。展開液
は、標識体の標識酵素の基質であって、酵素反応により
発色する基質を含む。標識体点着部26に点着されてい
る標識体は検体液中の抗原又は抗体と反応し、展開液パ
ッド部22から流れてくる展開液により流されると共
に、該展開液中の基質と反応する。これらが展開液によ
り流されて検出ライン28に到達すると、検体中の抗原
又は抗体が検出ライン28に固定化されている抗体又は
抗原にトラップされ、そこに留まる。この場合、検体中
の抗原又は抗体は、標識体と結合しているから標識体も
検出ラインに留まる。従って、検体液中に検出すべき抗
原又は抗体が含まれている場合には検出ライン28上で
発色が観察される。なお、展開液及びトラップされなか
った他の成分は吸収パッド部24に吸収される。一方、
検体液中に検出すべき抗原又は抗体が含まれない場合に
は、標識体は検出ライン28にトラップされないので、
そのまま吸収パッド部24に吸収されてしまい、検出ラ
イン28上に発色は観察されない。従って、検出ライン
が発色するか否かにより検体中に検出すべき抗原又は抗
体が含まれるか否かを知ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来の酵素免疫アッセイ装置では、検出感度が
低く、正確な検査を行うためには反応時間を長くとらな
ければならないという問題がある。
【0005】従って、本発明の目的は、従来の酵素免疫
アッセイ装置に比べて検出感度が高く、より短時間で正
確な検査を行うことができる酵素免疫アッセイ装置を及
びそれを用いた酵素免疫アッセイ方法を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、鋭意研
究の結果、従来のアッセイ装置の感度の低さは、検体と
標識体とが展開液で希釈された状態で反応するため反応
が弱く、また、標識体と検体との反応が展開液で流され
ながら起きるために十分に反応が行われないことに起因
することを見出した。さらに、この問題は、標識体を吸
水性の材料から形成される標識体パッドに含有させ、か
つ、該標識体パッドに検体液を点着することにより解決
できることに想到し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、メンブレン部と、該
メンブレン部の両端にそれぞれ設けられた展開液パッド
部と吸収パッド部とを具備し、前記メンブレン部上に、
検出すべき抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原が酵素
標識された標識体が含有された吸水性の材料から形成さ
れた標識体パッドであってその上に検体が点着される検
体点着部が設けられ、かつ、該検体点着部と前記吸収パ
ッドの間には、メンブレン上に固定された、検出すべき
抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原が固定化された検
出部が設けられている酵素免疫アッセイ装置を提供す
る。さらに、本発明は、上記本発明の装置を用い、検体
を前記検体点着部に点着し、前記酵素に対する基質を含
む展開液を前記展開液パッド部から前記メンブレン部に
流し、前記検出部における発色を調べることを含む、酵
素免疫アッセイ方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の酵素免疫アッセイ装置の
好ましい態様を図1に模式的に示す。図1に示すよう
に、本発明のアッセイ装置は、メンブレン部10を含
む。メンブレン部は、従来と同様、通常、ニトロセルロ
ースメンブレンのような材質から成り、通常、長方形状
である。メンブレン部10の両端には、展開液パッド部
12と吸収パッド部14とがそれぞれ設けられている。
これらは、従来と同様、吸水性の材質、例えば、スポン
ジ、吸水性の不織布、ろ紙等からなる。展開液パッド部
12及び吸収パッド部14の厚さは、多量の液を含浸で
きるように、メンブレン部10の厚さよりも通常厚く形
成されているが、このことは必須的ではない。メンブレ
ン部10上には、検体点着部16が設けられている。検
体点着部16には、タンパク質の非特異的吸着を防止す
るためにメンブレンをブロッキングした後、検出すべき
抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原が酵素標識された
標識体が点着され、乾燥状態で含有されている。標識酵
素としては、従来と同様、酵素免疫分析で多用されてい
る、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β
−ガラクトシダーゼ等を用いることができる。この検体
点着部16には、後述のように、酵素免疫アッセイ時に
検体液が点着される。該検体点着部16と吸収パッド1
4の間には検出部18が設けられている。検出部18に
は、従来と同様、検出すべき抗原又は抗体と反応する抗
体又は抗原が固定化されている。検出部18は、従来と
同様線状に形成されていることが好ましいが、必ずしも
線状である必要はなく、円形等の他の形状であってもよ
い。また、従来と同様、メンブレン部10は、タンパク
質の非特異的吸着を防止するために、BSA等でブロッ
キングされている。
【0009】本発明の装置では、吸水性の材料に標識体
を含有させた標識体パッドで検体点着部を構成する。標
識体パッドで検体点着部を構成することにより、多量の
標識体を含有させることができ、さらに多量の検体液を
用いることが可能になり、その結果、高い測定感度を得
ることができる
【0010】標識体パッドの材質は、吸水性のあるもの
であれば特に限定されず、スポンジ、吸水性不織布及び
ろ紙等を挙げることができる。標識体パッドの大きさ
は、特に限定されないが、通常、縦、横3〜10mm程
度で厚さが0.5mm〜4mm程度である。標識体パッ
ドに含有される標識体の量は、メンブレンに直接点着、
乾燥する場合よりも多くすることができ、特に限定され
ず、また、各検査により異なるが、通常、乾燥重量で
0.01〜5μg程度である。
【0011】また、展開液パッドの上部又は下部に容器
を設け、該容器と展開液パッドとを金属箔又は薄いプラ
スチックフィルムのような、指の力で破断することがで
きる破断性膜で隔て、該容器内に展開液を収容しておく
と、使用時に該破断性膜を指の力で破断することにより
展開液を展開パッドに添加することができ、簡便であ
る。
【0012】使用時には、検体液を検体点着部16に加
えると共に展開液パッド部に展開液を加える。展開液
は、標識体の標識酵素の基質であって、酵素反応により
発色する基質を含む。検体点着部16に含まれている標
識体は検体液中の抗原又は抗体と反応し、展開液パッド
部12から流れてくる展開液により流されると共に、該
展開液中の基質と反応する。これらが展開液により流さ
れて検出部18に到達すると、検体中の抗原又は抗体が
検出部18に固定化されている抗体又は抗原にトラップ
され、そこに留まる。この場合、検体中の抗原又は抗体
は、標識体と結合しているから標識体も検出ラインに留
まる。従って、検体液中に検出すべき抗原又は抗体が含
まれている場合には検出部18上で発色が観察される。
なお、展開液及びトラップされなかった他の成分は吸収
パッド部14に吸収される。一方、検体液中に検出すべ
き抗原又は抗体が含まれない場合には、標識体は検出部
18にトラップされないので、そのまま吸収パッド部1
4に吸収されてしまい、検出部18上に発色は観察され
ない。従って、検出部が発色するか否かにより検体中に
検出すべき抗原又は抗体が含まれるか否かを知ることが
できる。なお、前記標識体と前記基質の一部は前記検出
部に到達する前に反応して発色しつつ移動しても構わな
いが、検出部では展開液中に免疫アッセイを行うために
十分な基質量を含有している。この場合、形成された発
色体のうち、前記検出部にトラップされなかったものは
前記吸収パッド部に吸収される。
【0013】なお、上記説明では、酵素標識する物質及
び検出部に固定化する物質を抗体又は抗原としたが、本
願明細書で言う「抗体又は抗原」とは、抗原抗体反応が
可能な物質であれば、例えば抗体断片(Fab フラグメン
ト、F(ab')2 フラグメント等)やハプテン等も包含する
意味で用いている。
【0014】本発明の装置及び方法では、検体液が、標
識体を含有する検体点着部に点着されるので、標識体と
検体とが展開液に希釈されることなく直接反応し、この
ため反応が強く起きる。また、展開液に流されながら反
応が起きるのではないから十分に反応を行わせることが
できる。従って、測定感度が向上する。
【0015】また、上記標識体パッドを採用したことに
より、含有させる標識体の量を従来の2倍以上にするこ
とができる。また、メンブレンに直接点着、乾燥されて
いる場合に比べ、展開液によってよりスムーズに流され
る。さらに、用いる検体液の量を多くすることができ、
従来の5倍程度にすることができる。すなわち、従来の
アッセイ装置では、多量の検体液を標識体点着部に加え
ても、メンブレンが検体液をそれほど多く吸収すること
ができないので、メンブレンの上に盛り上がって装置外
部に流れ出てしまうだけであり、有効に利用することが
できず、多量の検体を用いても無意味である。従って、
加えられる検体液の量は通常5μl程度であり、通常の
スポイトは用いられず、特殊なディスペンサーが用いら
れる。これに対し、標識体パッドを用いた本発明の装置
では、吸水性の標識体パッドに検体液が加えられるの
で、直接メンブレンに加える従来の場合と比較して、多
量の検体液を吸収することができる。これらにより、標
識体パッドを用いた本発明の装置ではこれを設けない場
合よりも検出感度が高く、短時間で正確な検査が可能で
ある。また、25μl程度の検体液を加えることができ
るので、通常のスポイトを用いることができ、この点で
も簡便である。
【0016】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をより具体的に
説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
【0017】実施例1、2 5mmx50mmのニトロセルロースメンブレンからな
るメンブレンの両端に、吸水性の不織布からなる展開液
パッド部及び吸収パッド部を設けた。メンブレン部の吸
収パッド部よりの部分に、抗HBsポリクローナル抗体
を点着し、乾燥し、検出ラインとした。次いでメンブレ
ンをブロッキング後、装置Aでは5mm四方、厚さ1m
mの吸水性不織布から成る標識体パッドをメンブレン上
に設けた。該標識体パッドには12.5μg/mlの濃
度でアルカリホスファターゼ標識抗HBsモノクローナ
ル抗体を含む溶液10μlを点着し乾燥させ、アッセイ
装置とした。一方、装置Bでは標識体パッドを設けるこ
となく25μg/ml濃度のアルカリホスファターゼ標
識抗HBsモノクローナル抗体溶液5μlを直接メンブ
レンに点着し、乾燥させ、アッセイ装置とした。
【0018】検体液として、0〜90ng/mlの濃度
でHBs抗原を含む標準液、HBs陰性血清又は32〜
256倍希釈したHBs陽性血清を用いた。これらの検
体液を前記装置Aでは標識体パッドに25μl加え、装
置Bでは検体点着部に5μl加えた。一方、展開液パッ
ド部に展開液を200μl加えた。展開液は1.5mg
/mlの濃度で基質である5−ブロム−4−クロロ−3
−インドリルリン酸トルイジン塩を含む。展開液添加
後、基質と標識体は検出ラインよりも手前で発色を始
め、検出ラインにトラップされなかったものは吸収パッ
ドに吸収された。展開液添加後15分、30分、60分
後の検出ラインにおける発色を観察した。結果を下記表
1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】なお、表1中、「−」は検出ラインに発色
が観察されなかったこと、「+」は検出ラインに発色が
はっきりと観察されたこと、「±」は検出ラインに発色
がはっきりとではないがかろうじて観察されたことを意
味する。
【0021】実施例3、4 実施例1、2と同じニトロセルロースメンブレンから成
るメンブレンに展開液パッド部及び吸収パッド部を設
け、抗HBsポリクローナル抗体と同じ点着位置にHB
s抗原(0.75μg)を点着して乾燥させ検出ライン
とした。さらにこのメンブレンをブロッキング後、装置
Cでは6mmx10mm、厚さ0.5mmの不織布から
成る標識体パッドをメンブレン上に設けた。該標識体パ
ッドにはアルカリホスファターゼ標識HBs抗原5μl
(25ng)を点着し、乾燥させた。
【0022】さらに、装置Dでは、標識体パッドを設け
ることなく、前記標識HBs抗原をメンブレンに点着
し、乾燥させ、アッセイ装置とした。
【0023】検体液として、0〜64.5mIU/ml
の濃度で抗HBs抗体を含む標準液を用いて、前記アッ
セイ装置C及びDで実施例1、2と同様に展開を行っ
た。展開液添加後、基質と標識体は検出ラインよりも手
前で発色を始め、検出ラインにトラップされなかったも
のは吸収パッドに吸収された。展開液添加後、11分、
15分、20分後の検出ラインの発色を観察した。その
結果を下記表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】本発明により、従来の酵素免疫アッセイ
装置よりも検出感度の優れた酵素免疫アッセイ装置が提
供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の酵素免疫アッセイ装置の好ましい態
様の一例を模式的に示す図である。
【図2】従来の酵素免疫アッセイ装置を模式的に示す図
である。
【符号の説明】
10 メンブレン部 12 展開液パッド部 14 吸収パッド部 16 検体点着部 18 検出部 20 メンブレン部 22 展開液パッド部 24 吸収パッド部 25 検体点着部 26 標識体点着部 28 検出ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−281231(JP,A) 特開 昭64−63865(JP,A) 特開 昭61−145459(JP,A) 特開 平5−126832(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/543 521

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メンブレン部と、該メンブレン部の両端
    にそれぞれ設けられた展開液パッド部と吸収パッド部と
    を具備し、前記メンブレン部上に、検出すべき抗原又は
    抗体と反応する抗体又は抗原が酵素標識された標識体が
    含有された吸水性の材料から形成された標識体パッドで
    あってその上に検体が点着される検体点着部が設けら
    れ、かつ、該検体点着部と前記吸収パッドの間には、メ
    ンブレン上に固定された、検出すべき抗原又は抗体と反
    応する抗体又は抗原が固定化された検出部が設けられて
    いる酵素免疫アッセイ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の装置を用い、検体を前記
    検体点着部に点着し、前記酵素に対する基質を含む展開
    液を前記展開液パッド部から前記メンブレン部に流し、
    前記検出部における発色を調べることを含む、酵素免疫
    アッセイ方法
  3. 【請求項3】 前記標識体と前記基質の一部は展開液が
    前記検出部に到達する前に反応して発色しつつ移動し、
    検出部では免疫アッセイを行うために十分な基質が展開
    液に含まれる請求項2記載の方法
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