JP3561296B2 - 硫黄含有ポリマー及びその製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、硫黄含有ポリマー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック光学材料は、無機材料に比べ軽量で、割れにくく、加工し易いという利点があり、近年眼鏡レンズ、カメラレンズや液晶表示装置の位相差補償板等光学関係の部品として急速に普及してきている。特開昭61−28513号公報には、フマル酸ジエステルの重合物、当該共重合体からなる樹脂が上記の目的に適する高い屈折率を持つ樹脂として提案されている。
【0003】
しかし、上記樹脂の屈折率は高いとはいえ1.6未満であるために、光学関係の部品に用いた場合には、ガラスに比べレンズの厚みが大きくなる欠点を有している。
【0004】
位相差補償板には、最近の高速応答性液晶の位相差補償を行うために、更に屈折率の高い材料が求められている。しかし、従来のプラスチック光学材料は屈折率が最大で1.65程度であり、液晶の高性能化に対応しきれない欠点を有している。
【0005】
プラスチック光学材料を選択反射膜、選択透過膜等の光学多層膜として利用するには、屈折率1.70以上の性能を持つことを要求されるが、このような高い屈折率を有するプラスチック光学材料は乏しく、高屈折率材料であっても透明性や材料の着色、脆性破壊等の問題を有しており実用に耐えない欠点を有している。
【0006】
従って、現在利用されている光学多層膜は無機材料の蒸着によって作成されているが、大面積の蒸着が難しくかつ高コストになるため、潜在的な市場要求はあるものの汎用的に利用されるに至っていない段階であり、簡便な塗工法によって塗膜を形成し得る高屈折率を有するプラスチック光学材料に対する要求が高まってきている。
【0007】
一方、芳香族系含硫黄ポリマーは耐熱性や耐薬品性に優れたエンジニアリングプラスチックであり、硫黄や芳香族環の分子屈折の高さから、そのポリマーも高屈折率を有していると考えられている。また、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン基を主鎖に含むポリマーについては、着色が少なく、透明性に優れており、光学用途にも使用が可能である。
【0008】
しかしながら、PPS(ポリフェニレンスルフィド)に代表されるスルフィド系のポリマーは、着色が激しく透明性がよくないために、光学用途として使用するには大きな問題点を持っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、プラスチック光学材料として使用できる高い屈折率を有し、しかも透明性に優れた硫黄含有ポリマー及び上記硫黄含有ポリマーの製造法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、硫黄含有ポリマーを、式(I)で表される繰り返し単位10〜60モル%、及び、式(II)で表される繰り返し単位90〜40モル%により構成し、還元粘度を0.3〜0.75dl/g(N−メチル−2−ピロリドン中、30℃、1g/dl)とし、屈折率を1.72以上とするところに存する。
【0011】
【化3】
【0012】
本発明の硫黄含有ポリマーは、式(I)で表される繰り返し単位及び式(II)で表される繰り返し単位で構成され、その分率は、式(II)で表される繰り返し単位が40〜90モル%である。式(II)の繰り返し単位が40%未満であると結晶化が生じて透明性が低下し、90モル%以上であると耐熱性が低下するので、上記範囲に限定される。
【0013】
上記硫黄含有ポリマーの還元粘度は、0.30〜0.75dl/g(30℃、N−メチル−2−ピロリドン中、1g/dl)である。還元粘度が0.30dl/g未満であると成型時に脆性破壊を起こし、0.75dl/gを超えると成型時の応力歪みが成形体に残存し複屈折等が発生するので、上記範囲に限定される。
【0014】
本発明の硫黄含有ポリマーは、極性溶媒中で、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属炭酸塩の存在下で、加熱重合する求核置換重縮合法により製造することができる。
上記極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホン等のスルホン系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリン等のアミド系溶媒等が好ましい。これらの溶媒は、単独又は2種以上の併用が可能である。また、必要に応じ水を除去する目的で、トルエン、クロロベンゼン等の水と共沸する溶媒を用いてもよい。
【0015】
上記アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム等が挙げられる。上記アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、シュウ酸カリウム、重炭酸カリウム等が挙げられ、中でも炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が好ましい。
【0016】
上記求核置換重縮合法を行う際の反応温度は、一般に120〜350℃であり、好ましくは150〜300℃である。更に上記求核置換重縮合法を行う際、重合漕にすべてのモノマーを一括して投入する方法以外に、分子構造を制御する目的で一部のモノマーを重合後期に投入する方法をとることができる。また重合を促進するために、重合に先立ち水と共沸溶媒を用いて還流脱水を行ってもよい。
【0017】
上記式(I)で表される繰り返し単位を形成するモノマー構造は、一般式(III)で表される化合物により構成される。
【0018】
【化4】
【0019】
上記化合物としては、例えば、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4−ヒドロキシ−4′−フルオロビフェニル、4−ヒドロキシ−4′−クロロビフェニル、4−ヒドロキシ−4′−ブロモビフェニル、4,4′−ジフルオロビフェニル、4,4′−ジクロロビフェニル、4,4′−ジブロモビフェニル等が挙げられ、なかでも4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4−ヒドロキシ−4′−クロロビフェニル、4,4′−ジブロモビフェニル等が好ましい。
【0020】
また、上記式(II)で表される繰り返し単位を形成するモノマー構造は、一般式(IV)で表される化合物により構成される。
【0021】
【化5】
【0022】
上記化合物としては、例えば、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4−ヒドロキシ−4′−フルオロスルフィド、4−ヒドロキシ−4′−クロロスルフィド、4−ヒドロキシ−4′−ブロモスルフィド、4,4′−ジクロロジフェニルスルフィド、4,4′−ジフルオロジフェニルスルフィド等が挙げられ、なかでもビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4−ヒドロキシ−4′−クロロスルフィド、4,4′−ジクロロジフェニルスルフィド等が好ましい。
【0023】
一般式(I)及び一般式(II)で表されるモノマーに含まれるハロゲンの数は、水酸基の数の0.95〜1.05倍である。この範囲を逸脱すると重合反応が阻害され、得られる重合体は還元粘度0.3dl/g未満となり、光学材料としての成型に適さないので、上記範囲に限定される。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
実施例1
攪拌機、ガス導入管、温度計及びデーンシュターク管を付した凝縮器を備えた反応容器に,ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド65.4重量部(50モル%、以下全モノマーの中に占めるモノマーのモル分率)、4,4′−ジブロモビフェニル94.2重量部(50モル%)、無水炭酸カリウム45.6重量部を仕込み窒素置換を行った。
窒素雰囲気下でN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと省略)500重量部、トルエン200重量部を仕込み攪拌しながら昇温を開始した。180℃に達したところで昇温を停止して、その状態で5時間、トルエンと水を共沸させて還流脱水を行った。
【0026】
190℃に昇温し、そのまま5時間重合反応を行った。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、NMPを2000重量部注ぎ、次に大量のメタノール−アセトン混合溶媒中に溶液を注ぎ、ホモジナイザーで攪拌しながら生成物を析出させた。メタノール、水により順次洗浄することにより溶媒と塩化カリウムを除去し、ポリマーを回収した。
得られたポリマーを1軸型押出機でペレット化し、次に射出成型機で温度300℃の条件にて0.5×50×105mmの平板とした。上記に従って作成した試験片を用いて、以下のように還元粘度、透明性、屈折率(n)の試験を行った。その結果を表1に示した。
還元粘度は、NMP中、濃度1.0g/dlで測定した。
透明性は、全光線透過率が75%以上のものを透明性○、75%未満のものを不透明とした。
屈折率は、溝尻光学製DVA−36L型自動エリプソンメータを用い、波長632.8nmで測定した。
【0027】
実施例2、4、比較例2〜5
ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4′−ジクロロジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジブロモビフェニルを表1に示したモル分率に代えたこと以外は、実施例1と同様にして行った。結果を表1に示した。
【0028】
実施例3
攪拌機、ガス導入管、温度計及びデーンシュターク管を付した凝縮器を備えた反応容器に,ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド65.40重量部、4,4′−ジブロモビフェニル94.2重量部、無水炭酸カリウム45.6重量部を仕込み窒素置換を行った。
窒素雰囲気下でスルホラン500重量部、トルエン200重量部を仕込み攪拌しながら昇温を開始した。170℃に達したところで昇温を停止して、その状態で5時間、トルエンと水を共沸させて還流脱水を行った。
200℃に昇温し、そのまま5時間重合反応を行った。その後は実施例1と同様して行った。結果を表1に示した。
【0029】
比較例1
ポリカーボネート樹脂帝人化成社製パンライト(分子量10万)を実施例1と同様に成型し、評価した。結果を第1表に示した。
比較例6
重合時間を10時間にしたこと以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示した。
【0030】
比較例7
重合時間を1時間にしたこと以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示した。
【0031】
比較例8
実施例1において、モノマーの配合比をビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド50%に対し、4,4′−ジブロモビフェニルを40%、4,4′−ジヒドロシキビフェニルを10% (ブロムの総数に対する水酸基の総数が1.5倍)にしたこと以外は、実施例1と同様にして行った。結果を表1に示した。
【0032】
比較例9
110℃以上に昇温しないようしたこと以外は、実施例1と同様にして行った。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、NMPを2000重量部注ぎ、この反応液を大量のメタノール−アセトン混合溶媒中に注ぎ、処理を行った。結果を表1に示した。
【0033】
比較例10
110℃以上に昇温しないようにしたこと以外は、実施例3と同様にして行った。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、NMPを2000重量部注ぎ、この反応液を大量のメタノール−アセトン混合溶媒中に注ぎ、処理を行った。結果を表1に示した。
【0034】
表1中、Aは、4,4′−ジブロモビフェニルを表す。Bは、4,4′−ジヒドロシキビフェニルを表す。Cは、4,4′−ジクロロジフェニルスルフィドを表す。Dは、ビス−(4−ヒドロシキフェニル)スルフィドを表す。
ポリマ−分率は、元素分析によるポリマ−中の硫黄の含有量より確認したもので、[1]は式(I)のモル%を表し、[2]は式(II)のモル%を表す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明の硫黄含有ポリマーは、上述の構成よりなるので、1.72以上の高屈折率を有し、材料の着色が少なく、透明性に優れており、各種光学材料、例えば、光学レンズ、位相差補填板及び光学多層膜等に好適に利用できる。
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