JP3560381B2 - 地盤改良用撹拌ロッド - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は地盤改良用撹拌ロッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
地中に地盤改良部を造成する工法として、従来図5に示すようにオーガ1により所要間隔をおいて地盤2を削孔し、オーガ1を引上げながらその側部に開口するジェットノズル3から流体を噴射して削孔を拡大させるとともにオーガ1の注入口4からモルタル等の薬液を注入して連続状に地盤改良部を造成する技術(特公昭56−30416号公報)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに上記工法によると、ジェットノズル3から噴射する流体の噴射範囲が定まらないため、連続的に地盤改良柱列を造成する際に既設の改良地盤を乱してしまい、良好な連続性のある地盤改良部を造成することができなかった。また圧力水の代りにモルタル等の薬液を噴射した場合、大量の薬液が散逸して著しい無駄を生じるという問題点があった。
【0004】
本発明はこれに鑑み、一定の限定された範囲内の地盤のみを均等に改良し、かつ隣位の改良部との連続性を与えることができ、薬液の浪費をなくして良好な地盤改良部を造成することができる地盤改良用撹拌ロッドを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記従来の技術が有する問題点を解決する手段として、本発明は、前記ロッドを回転しその下端部に取り付けられる切削刃で地盤を切削しながら固化剤と土砂を攪拌して地盤改良を行うための地盤改良用攪拌ロッドにおいて、固化剤の通路を有し駆動部と接続されるロッドと、切削刃を有するスクリュ翼と、前記スクリュ翼の上位に配置され、前記ロッド内の通路を通じて供給される固化材を噴射する高圧噴射ノズルと、外郭形状が互いに隙間なく敷詰め状態に連続性を持ち得る多角形状で所要高さを有し、高圧噴射ノズルから噴出される固化剤の噴射される領域を取り囲むケースと、前記ケースを前記スクリュ翼の上位で前記ロッドに回転自在に取り付けるための軸受と、を備えることを特徴とする。
なお好ましくは、前記ケースの外郭形状が正六角形乃至は正四角形とされ、隣位の改良部との連続性を持ちやすくされる。また必要によりロッドの下部に高圧噴射ノズルとは独立に低圧流体の低圧吐出口を設けることができる。
【0006】
【作用】
撹拌ロッドを回転させつつ下降させ、その下端の掘削刃により先端地盤を掘削して行き、その掘削当初より高圧噴射ノズルからモルタル、セメントミルク等の固化材(薬液)を噴射させる。高圧噴射された固化材は多角形状をなすケースにより噴射範囲が規制され、その範囲内の地盤を改良し、大きく散逸することはない。またケースは撹拌ロッドに遊嵌されているので、地盤の抵抗を受けて回転が抑えられ、撹拌ロッドと共廻りすることがない。
【0007】
高圧噴射された固化材は、撹拌ロッドによる掘り残し部分(ケースの内隅部)を掘削するとともに高圧による噴射の勢いで土砂と混合撹拌される。なお低圧吐出口を設けた場合は、低圧吐出口からも固化材が吐出されてこれも撹拌混合される。
【0008】
上記掘削撹拌が所定深度にまで到達したら、撹拌ロッドを逆転して土砂の混合撹拌を継続しつつ撹拌ロッドを引抜く。その際に高圧噴射ノズルからの固化材の噴射または低圧吐出口からの固化材の供給は適宜選択される。
【0009】
上記によりケース内の地盤の改良が完了し、ついで多角形状に改良された既改良部の一辺にケースの一辺が接するようにして次位の掘削撹拌を行なうようにして順次作業を進めれば、結果としてケースが正六角形であれば蜂巣状に広範囲の地盤を互いに重複や隙間が生じることなく地盤改良部を造成することができる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明を図面に示す実施例を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明による地盤改良用撹拌ロッド5の一実施例の正面を示し、図2は同縦断面を、図3は同底面を示しており、図2では便宜上低圧吐出口を90°ずらした状態として断面表示している。
【0012】
上記撹拌ロッド5は、中空軸状のロッド6を有し、このロッド6の下端には短いスクリュ翼7が形成され、このスクリュ翼7の先端には掘削刃8が設けられており、ロッド6の中間位置には所要数の撹拌翼9,9…が平面よりみて十字状配置となるように突設されている。
【0013】
前記ロッド6の下端近くには平面形状が多角形の外郭を有するケース10が回転自由に遊嵌支持されている。図示の実施例におけるケース10は、正六角形状を有する鉄板製の枠状のもので、その内隅部に固設された6枚のリブ11,11…の上端に固着の軸受筒12がロッド6の外周に設けられた軸受部13に回転自由に嵌合されており、このケース10の平面の投影面積は前記スクリュ翼7の投影面積より若干大とされている。そして上記軸受部13の直上位置のロッド6には直径方向に2枚の掘削刃8a,8aが突設され、この掘削刃8a,8aは前記ケース10と略同径位置まで延びている。
【0014】
前記ロッド6の内部軸線方向には、高圧流体通路14とその外周に低圧流体通路15とが2重管構造として設けられ、これら各通路14,15の下端は盲栓6aにより封止されており、これら通路14,15はロッド6の下端近くの外周に開口する高圧噴射ノズル16および低圧吐出口17に各別に連通されている。これら高圧噴射ノズル16および低圧吐出口17は前記ケース10の高さの範囲内に位置し、図においてはケース10の下端近くの内周面に対向して高圧噴射ノズル16が、それより上位に低圧吐出口17が位置されている。そして上記高圧噴射ノズル16からの噴射圧力は200Kg/cm2 、低圧吐出口17の吐出圧力は10Kg/cm2 程度とされる。
【0015】
前記ロッド6の上端は、図示しないが周知の作業機械のタワーにそって昇降可能に支持された駆動部に接続して使用され、回転および上下動が与えられるものである。
【0016】
次に上記実施例の作用を説明する。
【0017】
作業機械により撹拌ロッド5を吊持してこれを回転させつつ下降させ、下端の掘削刃8により先端地盤を掘削する。この掘削の当初より高圧噴射ノズル16からモルタル、セメントミルク等の固化材(薬液)を噴射する。
【0018】
噴射される固化材は正六角形状のケース10により噴射範囲が規制されてその範囲内の地盤が改良され、他に大きく拡散することがない。またケース10は、ロッド6に回転自由に遊嵌されているので、地盤の抵抗を受けて回転せず、ロッド6と共廻りすることはない。
【0019】
高圧噴射される固化材は、掘削刃8によるケース10の内隅部の掘り残し部分を掘削するとともに、高圧噴射による勢いで土砂と混合撹拌される。混合された土砂には、低圧吐出口17から供給される固化材も撹拌翼9,9…により混合撹拌される。なおこの場合、高圧噴射ノズル16からの噴射のみで固化材量が十分であれば、低圧吐出口17からの固化材の供給は必要としないが、ロッド6の周囲にも十分に固化材をゆきわたらせる場合には低圧吐出口17からも固化材を供給するようにする。
【0020】
上記の掘削撹拌が所定の深度にまで到達したら、撹拌ロッド5を逆転させて土砂の混合撹拌を継続しつつ撹拌ロッド5を引抜く。この際、高圧噴射ノズル16からの固化材の噴射、または低圧吐出口17からの固化材の供給は適宜選択される。
【0021】
上記のようにして正六角形の領域の地盤が改良され、ついで上記正六角形の既改良部の一辺にケース10の一辺が接するように次位の掘削撹拌を行なうようにして順次作業を進めれば、その結果として図4に示すように地盤改良部Sが蜂巣状に連続的に形成され、地盤改良部Sの重複や隙間が生じることなく改良することができる。
【0022】
なお上記実施例では、ケース10の外郭形状を正六角形とした場合を例示したが、正四角形であってもよい。しかし正六角形を採用すれば、ケース10によって改良範囲が規制されて改良された地盤の境界線Saが一直線状とならず、折れ線状となるのでこの境界にそったクラックの発生を予防するうえで好ましい実施形態である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ロッドの高圧噴射ノズルから高圧で噴射される地盤改良用の薬液はケースによりその噴射範囲が規制されるので大きく散逸することがなく、所定の範囲のみを無駄なく改良することができ、また高圧噴射しても既改良部を乱してしまうことがない。
【0024】
またケースはその外郭形状が互いに隙間なく敷詰め状態に連続性を持ち得る多角形としたので、順次改良位置を移行させながら掘削撹拌を行なうことにより改良部が重複せずかつ隙間なく連続状態に広範囲に地盤の改良を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による地盤改良用撹拌ロッドの一実施例を示す一部破断した正面図。
【図2】同、縦断面図。
【図3】同、底面図。
【図4】地盤改良部の形態例を示す説明図。
【図5】従来の技術を示す説明図。
【符号の説明】
2 地盤
5 撹拌ロッド
6 ロッド
7 スクリュ翼
8,8a 掘削刃
9 撹拌翼
10 ケース
11 リブ
12 軸受筒
13 軸受部
14 高圧流体通路
15 低圧流体通路
16 高圧噴射ノズル
17 低圧吐出口
S 地盤改良部
Claims (4)
- ロッドを回転しその下端部に取り付けられる切削刃で地盤を切削しながら固化剤と土砂を攪拌して地盤改良を行うための地盤改良用攪拌ロッドにおいて、
固化剤の通路を有し駆動部と接続されるロッドと、
前記ロッドの下端部に取り付けられ、切削刃を有するスクリュ翼と、
前記スクリュ翼の上位に配置され、前記ロッド内の通路を通じて供給される固化材を噴射する高圧噴射ノズルと、
外郭形状が互いに隙間なく敷詰め状態に連続性を持ち得る多角形状で所要高さを有し、高圧噴射ノズルを取り囲み固化剤の噴射される領域を区画するケースと、
前記ケースを前記スクリュ翼の上位で前記ロッドに回転自在に取り付けるための軸受と、
を備えることを特徴とする地盤改良用撹拌ロッド。 - 前記ケースの外郭形状が正六角形である請求項1記載の地盤改良用撹拌ロッド。
- 前記ケースの外郭形状が正四角形である請求項1記載の地盤改良用撹拌ロッド。
- 前記ロッドは二重管からなり、該二重管構造の通路を通じて供給される低圧流体の低圧吐出口を前記高圧噴射ノズルとは独立して有する請求項1記載の地盤改良用撹拌ロッド。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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JPH08239830A JPH08239830A (ja) | 1996-09-17 |
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JP04694695A Expired - Fee Related JP3560381B2 (ja) | 1995-03-07 | 1995-03-07 | 地盤改良用撹拌ロッド |
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JP (1) | JP3560381B2 (ja) |
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1995
- 1995-03-07 JP JP04694695A patent/JP3560381B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08239830A (ja) | 1996-09-17 |
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