JP3559823B2 - レールブラスト装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道の線路において、レールを絶縁させた状態で接続させる際に、レールの継目の近傍における腹部面にサンドブラスト処理を施すための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道における無人踏切では、鉄道車両が接近したことに伴い、自動で遮断機が作動される。その際、鉄道車両が接近したことを遮断機に知らせるために、絶縁レールによるスイッチが使用される。絶縁レールについて説明する。なお、本明細書では、絶縁レールをレールと区別する必要がある場合にのみ、「レールR」、「絶縁レールR’」と記載する。図10及び図11に示されるように、踏切Fの手前側において、レールRとレールRとの間に絶縁レールR’が敷設されている。この絶縁レールR’は、レールRと突き合わせられる部分に隙間(継目K)が設けられ、該継目Kに絶縁剤Wが充填されることによって、レールRから絶縁されている。このように、前後のレールRから絶縁された状態で接続されたレールRが「絶縁レールR’」である。この絶縁レールR’と各遮断機51を作動させるためのモータ52とが、それぞれ信号線53によって結線されている。矢印Pの方向に走行する鉄道車両Tが、一対の絶縁レールR’を走行すると、該鉄道車両Tの車輪54及び車軸(図示せず)を介して一対の絶縁レールR’が通電される。そのため、各遮断機51のモータ52が作動され、遮断棹51aが降ろされる。
【0003】
上記したレールR’,Rは、次のようにして接続される。図12に示されるように、レールRと絶縁レールR’の両端面が相対向して配置され、枕木55に固定される。レールR’,Rどうしの継目Kには、僅かな隙間が設けられている。この状態で、レールR’,Rの継目Kの近傍の腹部面1が、加熱装置(図示せず)によって所定の温度に加熱される。その後、該腹部面1にサンドブラスト処理が施される。腹部面1を加熱するのは、絶縁剤Wが良好に塗布されるようにするためであり、サンドブラスト処理を施すのは、レールR’,Rの腹部面1の酸化物(スケール)を除去するためである。続いて、レールR’,Rの継目Kに絶縁剤Wが充填されると共に、レールR’,Rの腹部面1に同一の絶縁剤Wが塗布される。
【0004】
そして、図13に示されるように、レールR’,Rの腹部面1の両側に取付けられた各継目板56の挿通孔56aに締結ボルト57が挿通され、平座金58を介して締結ナット59により締め付けられて固定される。なお、締結ボルト57のねじ軸部57aは、絶縁チューブ61によって被覆されている。更に、該締結ボルト57は、前記絶縁チューブ61の外周部に絶縁剤Wが塗布された状態で締め付けられるため、該締結ボルト57を介してレールRと絶縁レールR’とが導通されることはない。
【0005】
上記したレールRの腹部面1に、サンドブラスト処理を施すための装置(レールブラスト装置)について説明する。従来のレールブラスト装置A’は、図14及び図15に示されるように、レールRの上端部に設置されたベースプレート62の上面に、レールRの長手方向に沿って一対のラック63が配設されていると共に、レールRの長手方向に直交して2基の減速機付モータM’が配設された構成である。一対のラック63は、レールRにおける幅方向の両側に配設されている。各減速機付モータM’のモータ軸には、それぞれピニオン64が装着されていて、各ラック63と歯合されている。また、一対のラック63の長手方向における一方側の端部の下方には、各ブラケット65を介して一対の研摩剤供給パイプ66が取付けられている。各減速機付モータM’を作動させて、それぞれのピニオン64を所定方向に回転させると、レールRの長手方向に沿って一対のラック63が移動される。同時に、一対の研摩剤供給パイプ66が同方向に移動される。また、モータM’を逆方向に回転させることにより、一対のラック63及び一対の研摩剤供給パイプ66を逆方向に移動させることもできる。
【0006】
ベースプレート62の下面には、各ブラケット67を介して一対の軸受部68が取付けられている。一対の軸受部68には、前記一対の研摩剤供給パイプ66をレールRの長手方向に沿って移動させる際に、該パイプ66を支持するための軸受(図示せず)が内装されている。一対の研摩剤供給パイプ66の先端部には、各ブラストノズルN’が取付けられている。このブラストノズルN’は、人手により、研磨剤供給パイプ66の軸心C’を中心に回動可能である。なお、図14において、符号H1 は研摩剤供給パイプ66に研摩剤Sを送り込むための研摩剤供給ホース、符号H2 は研摩剤Sを吸引するための研摩剤吸引ホース、符号69はレールRの腹部面1に吹き付けられた研摩剤Sが飛散することを防止するための研摩剤飛散防止カバーである。
【0007】
一対の研摩剤供給パイプ66は、レールRの長手方向に沿って配設されている。そのため、各ブラストノズルN’における研摩剤噴出孔71は、図15に示されるように、平面視において約45°の角度で傾斜した状態で形成されている。この研摩剤噴出孔71の孔径は、4〜5mmである。研摩剤供給パイプ66から高速で供給された研摩剤Sが、ブラストノズルN’の研摩剤噴出孔71から傾斜された角度でレールRの腹部面1に吹き付けられる。このようにして、レールRの腹部面1にサンドブラスト処理が施される。このサンドブラスト処理作業は、列車の運行の間合いを利用して成されるため、迅速な作業が不可欠である。
【0008】
従来のレールブラスト装置A’には、次に示す不具合が存する。(1)レールRの腹部面1の全体に研摩剤Sを吹き付けるためには、ブラストノズルN’の取付角度をいちいち調整することが必要である。即ち、ブラストノズルN’の研磨剤噴出孔71を、研磨剤供給パイプ66の軸心C’を中心に、上下方向に回動させなければならない。この調整作業は、人手によって成されている。しかも、研摩剤供給パイプ66を複数回往復移動させることが必要である。そのため、多くの作業時間が必要である。(2)ブラストノズルN’の移動距離は800mm程度必要であるため、研摩剤供給パイプ66の長さも同程度必要である。その結果、装置全体の大きさが大きくなり、搬送、保管等の際に大きな空間を専有する。(3)ブラストノズルN’の研摩剤噴出孔71が傾斜して設けられているため、研摩剤Sが詰まり易い。また、レールRの腹部面1に対して傾斜された方向から吹き付けるため、研摩剤Sの衝撃圧が低下する。そのため、効率が悪い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した不具合に鑑み、レールの腹部面におけるサンドブラスト処理が迅速にできるようにすることを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、レールを絶縁させた状態で接続する際に、レールの継目の近傍における腹部面にサンドブラスト処理を施すための装置であって、走行手段によってレールの長手方向に沿って自走されるフレームと、レールの幅方向の両側で、しかも該レールの長手方向に沿って配設され、回動手段によって回動される一対の回動軸と、前記一対の回動軸の端部に、該回動軸の軸心に対して直角に取付けられ、レールの腹部面に相対向して配置された一対のブラストノズルとを備え、前記フレームをレールの長手方向に沿って自走させると共に、前記一対の回動軸を所定角度内で連続して往復回動させ、前記一対のブラストノズルをレールの横断面を含む垂直面内において連続して上下方向に往復回動させながら研摩剤を吹き付けることにより、レールの腹部面にサンドブラスト処理を施すことを特徴としている。
【0011】
レールの上面に設置されたフレームが、走行手段により、レールの長手方向に沿って走行される。フレームの走行とほぼ同時に、レールの幅方向の両側に配設された一対の回動軸が、回動手段により回動される。前記一対の回動軸の端部には、該回動軸の軸心に対して直角にブラストノズルが取付けられていて、その研磨剤噴出孔はレールの腹部面に相対向されている。各ブラストノズルは、レールの横断面を含む垂直面内において連続して上下方向に往復回動されながら、レールの長手方向に沿って移動される。そのため、各ブラストノズルの研磨剤噴出孔は、レールの腹部面全体に相対向される。この状態で、各ブラストノズルからレールの腹部面に研摩剤が吹き付けられ、レールの腹部面全体にサンドブラスト処理が施される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明に係るレールブラスト装置Aの斜視図、図2は同じく正面図、図3は同じく側面図、図4は図3のX−X線断面図である。本発明に係るレールブラスト装置Aは、断面視においてほぼ逆U字状のフレーム2に配設された自走手段と、レールRの腹部面1に研摩剤Sを吹き付けてサンドブラスト処理を施すためのブラストノズルNを連続して往復回動させるための回動手段とから構成されている。研摩剤Sは、研摩剤供給装置B1 によって供給される。また、吹き付けられた研摩剤Sは、研摩剤吸引装置B2 によって吸引される。
【0013】
最初に、自走手段について説明する。図1ないし図3に示されるように、断面視において逆U字状のフレーム2における長手方向の両端部には、ローラ軸3a,3b が水平に配設されている。各ローラ軸3a,3b の両端部は、前記フレーム2の両側面部2aの外側面に取付けられた各軸受4に支承されていて、各ローラ軸3a,3b は回転自在である。各ローラ軸3a,3b における軸方向のほぼ中央部には、それぞれ走行ローラ5a,5b が装着されている。各走行ローラ5a,5b の外周面は、レールRの頭部におけるコーナー部6の形状に対応している。そして、後方の走行ローラ5bが装着されたローラ軸3bの一端部は、前記軸受4から突出されていて、該突出部分に鎖歯車7が装着されている。また、フレーム2の上部における長手方向のほぼ中央部には、ブラケット8が立設されている。このブラケット8の所定位置には、4個の長孔9が上下方向に設けられていて、該長孔9を介してL字状のモータブラケット11が取付けられている。このため、該モータブラケット11の上下方向の取付位置は調整可能である。前記モータブラケット11には、ローラ軸3a,3b の軸方向に沿って走行モータM1 が取付けられている。この走行モータM1 は、減速機付モータであり、インバータ等の手段により無段変速が可能である。そして、走行モータM1 のモータ軸には、上記した鎖歯車7と対応する位置に鎖歯車12が装着されていて、両者7,12の間に鎖13が掛装されている。なお、図3及び図4において符号14は、モータブラケット11の取付位置を調整するための調整ねじである。
【0014】
フレーム2における両側面部2aの下端部には、各ガイドローラ支持板15が、前記フレーム2のほぼ全長に亘って水平に取付けられている。そして、フレーム2の内側における各ガイドローラ支持板15の上部には、それぞれ一対のガイドローラ16が、それらの軸心を垂直にして取付けられている。各ガイドローラ16の外周面16aは、レールRの頭部の側面部に当接されている。このため、走行中のフレーム2にモーメントが発生しても、一対のガイドローラ16によってフレーム2がレールRから外れることが抑止される。そのため、該フレーム2は、常に水平状態を維持しながら走行される。各ガイドローラ16の外周面の下端部は軸方向にすぼまっていて、テーパ部16bが形成されている。このため、図5に示されるように、レールブラスト装置Aのフレーム2をレールRに設置させる際に、前記テーパ部16bをレールRの頭部のコーナー部6にならわせて設置させることができるため、簡単にフレーム2を設置させることができるという効果が奏される。
【0015】
走行モータM1 を駆動させることにより、両鎖歯車7,12及び鎖13を介して後方の走行ローラ5bが駆動回転される。同時に、一対のガイドローラ16によってフレーム2を傾斜させようとするモーメントが抑止される。その結果、フレーム2は、レールRの長手方向に沿ってスムーズに自走される。フレーム2の走行に伴い、前方の走行ローラ5aは従動回転される。
【0016】
次に、一対のブラストノズルNを回動させるための回動手段について説明する。一対のブラストノズルNを回動させるための手段はいずれも同一なので、一方側のブラストノズルNを回動させるための手段についてのみ説明する。フレーム2における長手方向の両端部で、前述したガイドローラ支持板15の下面には、二個の回動軸支持ブラケット17が取付けられている。これらの回動軸支持ブラケット17には、レールRの長手方向に沿って同心の挿通孔17aが設けられている。各挿通孔17aには、回動軸18が挿通されている。この回動軸18は、二個の回動軸支持ブラケット17により回動可能に支承されている。また、フレーム2の前部の上面には、L字状のモータブラケット19が立設されている。該モータブラケット19におけるフレーム2の幅方向のほぼ中央部には、レールRの長手方向に沿って回動モータM2 が取付けられていて、そのモータ軸には、駆動歯車21が装着されている。この回動モータM2 は、減速機付モータである。そして、この駆動歯車21の両側には、該駆動歯車21と歯合される一対の従動歯車22が、回転自在に取付けられている。
【0017】
各従動歯車22の正面部には、前方に突出する上側クランク軸23が固着されている。この上側クランク軸23の軸心は、前記従動歯車22の軸心と異なっている。そして、このクランク軸23には、上側ジョイント24の一端部に設けられた軸受部が装着されている。そのため、上側ジョイント24は、上側クランク軸23の軸心を中心に回転自在である。また、上側ジョイント24の他端部には、雌ねじ(図示せず)が形成されている。
【0018】
回動軸18の前端部には、前記回動軸18と同心の円板に張出部25aが設けられて略卵形状を成す回動板25が装着されている。この回動板25の張出部25aには、下側クランク軸26が前方に突出した状態で固着されている。そして、この下側クランク軸26に、下側ジョイント27の一端部に設けられた軸受部が装着されている。そのため、下側ジョイント27は、下側クランク軸26の軸心を中心に回転自在である。また、下側ジョイント27の他端部には、前記上側ジョイント24の他端部に設けられた雌ねじと逆の雌ねじ(図示せず)が形成されている。上側クランク軸23と下側クランク軸26とは、対応した位置に設けられている。
【0019】
上記した上側ジョイント24と下側ジョイント27とは、ターンバックル28によって連結されている。このターンバックル28の一端部には、ねじ軸28aが設けられていて、他端部には逆ねじ軸28bが設けられている。このねじ軸28aが上側ジョイント24の雌ねじと螺合されており、逆ねじ軸28bが下側ジョイント27の雌ねじと螺合されている。そして、それぞれ締付けナット29,31によって固定されている。各締付けナット29,31を緩めてターンバックル28を所定方向に回転させ、上下の各ジョイント24,27の心間距離を変更させることにより、回動板25の初期設定角度θ(回動軸18の軸心Cと下側クランク軸26の軸心とを結んだ直線が、水平面と成す角度)を調整することができる。即ち、レールRの腹部面1において、研摩剤Sが吹き付けられる範囲を調整することができる。回動モータM2 を作動させて、駆動歯車21を回転させることにより、一対の従動歯車22が回転される。同時に、上側クランク軸23が回転され、ターンバックル28をほぼ垂直方向に沿って往復移動させる。その結果、回動板25の張出部25aが、回動軸18の軸心Cを中心に上下方向に往復回動される。
【0020】
図3に示されるように、各回動軸18の後端部には、それぞれブラストノズルNが取付けられている。これらのブラストノズルNは、それらの先端面をレールRの腹部面1に相対向させた状態で取付けられている。回動モータM2 を作動させ、各回動板25を介して一対の回動軸18を回動させることにより、ブラストノズルNが連続して上下方向に往復回動される。フレーム2の後部には、ブラストノズルNから噴出された研摩剤Sが飛散することを防止するための研摩剤飛散防止カバー32が取付けられている。この研摩剤飛散防止カバー32において、各ブラストノズルNが回動される部分には、上下方向に長孔32aが設けられている。そのため、各ブラストノズルNが回動されても、研摩剤飛散防止カバー32と干渉することはない。また、この研磨剤飛散防止カバー32は、各ブラストノズルNの周囲を被覆するだけで済む。各ブラストノズルNの後端部は、研摩剤供給ホースH1 に接続されていて、該ホースH1 を介して研摩剤Sが供給される。また、研摩剤飛散防止カバー32の後端部には、研摩剤吸引ホースH2 が取付けられていて、レールRの腹部面1に吹き付けられた後、研摩剤飛散防止カバー32の内部で飛散する研摩剤Sが常に吸引されている。
【0021】
このブラストノズルNの軸心には、研摩剤噴出孔33が設けられている。図6に示されるように、この実施例におけるブラストノズルNの研摩剤噴出孔33は、ブラストノズルNの軸心に沿ったストレート形状である。そのため、この部分で研摩剤Sが詰まる恐れは全くない。なお、図1において符号34は、リミットスイッチである。レールブラスト装置Aのフレーム2が所定の距離だけ自走すると、レールRの所定位置に設置されたストッパ35によってリミットスイッチ34が作動され、該装置Aは自動停止する。
【0022】
本発明に係るレールブラスト装置Aの作用について説明する。レールブラスト装置Aのフレーム2に取付けられた走行ローラ5a,5b が、上方からレールRの上面に設置される。各ガイドローラ16の下端部にテーパ部16bが設けられているため、走行ローラ5a,5b を容易に設置することができる。走行モータM1 を作動させて、後ろ側の走行ローラ5bを駆動回転させる。レールブラスト装置Aを構成するフレーム2が、レールRの長手方向に沿って走行される。同時に、回動モータM2 を作動させ、回動板25を介して一対の回動軸18を回動させる。一対の回動軸18は、その軸心Cを中心として所定角度内において回動される。そのため、一対の回動軸18の後端部に取付けられた一対のブラストノズルNも、前記回動軸18の軸心Cを中心とし、レールRの横断面を含む垂直面内において上下方向に回動される。即ち、図7に示されるように、従動歯車22が回転して上側ジョイント24が最上部に位置されると、回動板25の張出部25aも最上部に回動される。その結果、ブラストノズルNの先端面はレールRの脚部近傍と相対向される。ブラストノズルNには、研摩剤供給ホースH1 から研摩剤Sが供給される。ブラストノズルNから研摩剤Sが吹き付けられ、レールRの脚部近傍がサンドブラスト処理される。同様にして、図8に示されるように、従動歯車22が回転して上側ジョイント24が最下部に位置されると、回動板25の張出部25aも最下部に回動される。その結果、ブラストノズルNの先端面はレールRの頭部近傍と相対向される。ブラストノズルNから研摩剤Sが吹き付けられ、レールRの頭部近傍がサンドブラスト処理される。従動歯車22は連続回転されるため、ブラストノズルNの往復回動も連続して行われる。そのため、ブラストノズルNは、レールRの腹部面1全体と相対向される。
【0023】
上記したように、各ブラストノズルNがレールRの横断面を含む平面内において上下方向に往復回動されながら、レールRの長手方向に沿って矢印Pの方向に走行される。その際のブラストノズルNの先端面の軌跡36を、図9に示す。このように、研摩剤SはレールRの腹部面1に対して波状に吹き付けられる。この軌跡36における波の山部37と山部37とのピッチL1 は、フレーム2の走行速度(走行モータM1 の回転速度)又はノズルNの回動速度(回動モータM2 の回転速度)のいずれかを調整することによって自在に調整可能である。ここで、フレーム2の走行速度をVとし、ノズルNの回動速度をUとする。Vを一定にしたままUを変化させると、ブラストノズルNの先端面の軌跡36における波の山部37と山部37とのピッチL1 が変化する。例えば、Uを速くするとピッチL1 は短くなり、逆に遅くするとピッチL1 は長くなる。即ち、レールRの腹部面1に対する研摩剤Sの吹き付けの程度を変化させることができる。その結果、吹き付け位置のばらつきが小さくなる。また、Uを一定にしたままVを変化させると、レールRの腹部面1に対する研摩剤Sの吹き付け密度を変化させることができる。このように、フレーム2の走行速度(V)とノズルNの回動速度(U)とを調整した状態で、フレーム2をレールRの長手方向に沿って一度走行させるだけで、レールRと絶縁レールR’の腹部面1の全体に、ほぼ均一に研摩剤Sが吹き付けられ、サンドブラスト処理が施される。絶縁レールR’の長手方向における所定位置の上面には、ストッパ35(図1参照)が取付けられている。このストッパ35の下面には、永久磁石が取付けられていて、該永久磁石によって絶縁レールR’の上面に取付けられる。フレーム2が所定の距離L2 (約800mm)だけ走行されると、該フレーム2に取付けられたリミットスイッチ34が前記ストッパ35に当接されるため、フレーム2が停止される。
【0024】
続いて、レールRと絶縁レールR’との継目Kに設けられた隙間に絶縁剤Wを充填させると共に、レールR’,Rの腹部面1に前記絶縁剤Wを塗布した後、レールR’,Rを継目板により接続させる(図13参照)。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係るレールブラスト装置は、フレームをレールの長手方向に沿って自走させるための走行手段と、レールの幅方向の両側に、しかも該レールの長手方向に沿って配設され、回動手段によって回動される一対の回動軸と、前記一対の回動軸の端部に、該回動軸の軸心に対して直角に取付けられ、レールの腹部面に相対向して配置された一対のブラストノズルと、前記ブラストノズルを介して研摩剤を吹き付けるための研摩剤供給装置とを備えていて、前記フレームをレールの長手方向に沿って自走させると共に、前記一対の回動軸を所定角度内で連続して往復回動させ、前記一対のブラストノズルをレールの横断面を含む平面内において連続して上下方向に往復回動させながら研摩剤を吹き付けることにより、レールの継目の近傍における腹部面にサンドブラスト処理を施すことを特徴としている。そのため、次の諸効果が奏される。(1)フレームの走行に伴い、ブラストノズルが自動で上下方向に回動される。そのため、作業者が、ブラストノズルの角度を調整する作業が不要となる。しかも、フレームを1回片道走行させるだけでレールの腹部面の全体に、ほぼ均一にサンドブラスト処理が施されるため、作業時間が大幅に短縮される。(2)前記ブラストノズルが回動する際の初期設定角度が調整可能である。そのため、レールの腹部面において、研摩剤が吹き付けられる範囲を調整可能である。(3)フレームが自走する構成であり、フレームと同時にブラストノズルも走行される。そのため、研摩剤飛散防止カバーはブラストノズルの周囲のみを被覆するだけで済むため、装置全体の大きさをコンパクトなものにすることができる。(4)ブラストノズルの先端面がレールの腹部面に相対向させて配置されているため、ブラストノズルの研摩剤噴出孔をストレートにすることができる。そのため、該ノズル内で研摩剤が詰まることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレールブラスト装置Aの斜視図である。
【図2】同じく正面図である。
【図3】同じく側面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】レールRにフレーム2を設置させる状態の作用説明図である。
【図6】図3のY矢視図である。
【図7】回動板25を回動させることによって、ブラストノズルNがレールRの脚部近傍と相対向される状態の作用説明図である。
【図8】同じく、ブラストノズルNがレールRの頭部近傍と相対向される状態の作用説明図である。
【図9】ブラストノズルNの軌跡36を示す図である。
【図10】絶縁レールR’の作用を示す図である。
【図11】図10の平面図である。
【図12】レールRの絶縁部分の拡大側面図である。
【図13】レールRを絶縁状態で接続する場合の作用説明図である。
【図14】従来のレールブラスト装置A’の側面断面図である。
【図15】一部を破断した図14のZ矢視図である。
【図16】従来のレールブラスト装置A’におけるブラストノズルN’の拡大断面図である。
【符号の説明】
A:レールブラスト装置
C:回動軸の軸心
K:継目
M1 :走行モータ(走行手段)
M2 :回動モータ(回動手段)
N:ブラストノズル
R:レール
R’:絶縁レール
S:研摩剤
θ:初期設定角度
1:腹部面
2:フレーム
18:回動軸
32:研摩剤飛散防止カバー
32a:長孔
33:研摩剤噴出孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道の線路において、レールを絶縁させた状態で接続させる際に、レールの継目の近傍における腹部面にサンドブラスト処理を施すための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道における無人踏切では、鉄道車両が接近したことに伴い、自動で遮断機が作動される。その際、鉄道車両が接近したことを遮断機に知らせるために、絶縁レールによるスイッチが使用される。絶縁レールについて説明する。なお、本明細書では、絶縁レールをレールと区別する必要がある場合にのみ、「レールR」、「絶縁レールR’」と記載する。図10及び図11に示されるように、踏切Fの手前側において、レールRとレールRとの間に絶縁レールR’が敷設されている。この絶縁レールR’は、レールRと突き合わせられる部分に隙間(継目K)が設けられ、該継目Kに絶縁剤Wが充填されることによって、レールRから絶縁されている。このように、前後のレールRから絶縁された状態で接続されたレールRが「絶縁レールR’」である。この絶縁レールR’と各遮断機51を作動させるためのモータ52とが、それぞれ信号線53によって結線されている。矢印Pの方向に走行する鉄道車両Tが、一対の絶縁レールR’を走行すると、該鉄道車両Tの車輪54及び車軸(図示せず)を介して一対の絶縁レールR’が通電される。そのため、各遮断機51のモータ52が作動され、遮断棹51aが降ろされる。
【0003】
上記したレールR’,Rは、次のようにして接続される。図12に示されるように、レールRと絶縁レールR’の両端面が相対向して配置され、枕木55に固定される。レールR’,Rどうしの継目Kには、僅かな隙間が設けられている。この状態で、レールR’,Rの継目Kの近傍の腹部面1が、加熱装置(図示せず)によって所定の温度に加熱される。その後、該腹部面1にサンドブラスト処理が施される。腹部面1を加熱するのは、絶縁剤Wが良好に塗布されるようにするためであり、サンドブラスト処理を施すのは、レールR’,Rの腹部面1の酸化物(スケール)を除去するためである。続いて、レールR’,Rの継目Kに絶縁剤Wが充填されると共に、レールR’,Rの腹部面1に同一の絶縁剤Wが塗布される。
【0004】
そして、図13に示されるように、レールR’,Rの腹部面1の両側に取付けられた各継目板56の挿通孔56aに締結ボルト57が挿通され、平座金58を介して締結ナット59により締め付けられて固定される。なお、締結ボルト57のねじ軸部57aは、絶縁チューブ61によって被覆されている。更に、該締結ボルト57は、前記絶縁チューブ61の外周部に絶縁剤Wが塗布された状態で締め付けられるため、該締結ボルト57を介してレールRと絶縁レールR’とが導通されることはない。
【0005】
上記したレールRの腹部面1に、サンドブラスト処理を施すための装置(レールブラスト装置)について説明する。従来のレールブラスト装置A’は、図14及び図15に示されるように、レールRの上端部に設置されたベースプレート62の上面に、レールRの長手方向に沿って一対のラック63が配設されていると共に、レールRの長手方向に直交して2基の減速機付モータM’が配設された構成である。一対のラック63は、レールRにおける幅方向の両側に配設されている。各減速機付モータM’のモータ軸には、それぞれピニオン64が装着されていて、各ラック63と歯合されている。また、一対のラック63の長手方向における一方側の端部の下方には、各ブラケット65を介して一対の研摩剤供給パイプ66が取付けられている。各減速機付モータM’を作動させて、それぞれのピニオン64を所定方向に回転させると、レールRの長手方向に沿って一対のラック63が移動される。同時に、一対の研摩剤供給パイプ66が同方向に移動される。また、モータM’を逆方向に回転させることにより、一対のラック63及び一対の研摩剤供給パイプ66を逆方向に移動させることもできる。
【0006】
ベースプレート62の下面には、各ブラケット67を介して一対の軸受部68が取付けられている。一対の軸受部68には、前記一対の研摩剤供給パイプ66をレールRの長手方向に沿って移動させる際に、該パイプ66を支持するための軸受(図示せず)が内装されている。一対の研摩剤供給パイプ66の先端部には、各ブラストノズルN’が取付けられている。このブラストノズルN’は、人手により、研磨剤供給パイプ66の軸心C’を中心に回動可能である。なお、図14において、符号H1 は研摩剤供給パイプ66に研摩剤Sを送り込むための研摩剤供給ホース、符号H2 は研摩剤Sを吸引するための研摩剤吸引ホース、符号69はレールRの腹部面1に吹き付けられた研摩剤Sが飛散することを防止するための研摩剤飛散防止カバーである。
【0007】
一対の研摩剤供給パイプ66は、レールRの長手方向に沿って配設されている。そのため、各ブラストノズルN’における研摩剤噴出孔71は、図15に示されるように、平面視において約45°の角度で傾斜した状態で形成されている。この研摩剤噴出孔71の孔径は、4〜5mmである。研摩剤供給パイプ66から高速で供給された研摩剤Sが、ブラストノズルN’の研摩剤噴出孔71から傾斜された角度でレールRの腹部面1に吹き付けられる。このようにして、レールRの腹部面1にサンドブラスト処理が施される。このサンドブラスト処理作業は、列車の運行の間合いを利用して成されるため、迅速な作業が不可欠である。
【0008】
従来のレールブラスト装置A’には、次に示す不具合が存する。(1)レールRの腹部面1の全体に研摩剤Sを吹き付けるためには、ブラストノズルN’の取付角度をいちいち調整することが必要である。即ち、ブラストノズルN’の研磨剤噴出孔71を、研磨剤供給パイプ66の軸心C’を中心に、上下方向に回動させなければならない。この調整作業は、人手によって成されている。しかも、研摩剤供給パイプ66を複数回往復移動させることが必要である。そのため、多くの作業時間が必要である。(2)ブラストノズルN’の移動距離は800mm程度必要であるため、研摩剤供給パイプ66の長さも同程度必要である。その結果、装置全体の大きさが大きくなり、搬送、保管等の際に大きな空間を専有する。(3)ブラストノズルN’の研摩剤噴出孔71が傾斜して設けられているため、研摩剤Sが詰まり易い。また、レールRの腹部面1に対して傾斜された方向から吹き付けるため、研摩剤Sの衝撃圧が低下する。そのため、効率が悪い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した不具合に鑑み、レールの腹部面におけるサンドブラスト処理が迅速にできるようにすることを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、レールを絶縁させた状態で接続する際に、レールの継目の近傍における腹部面にサンドブラスト処理を施すための装置であって、走行手段によってレールの長手方向に沿って自走されるフレームと、レールの幅方向の両側で、しかも該レールの長手方向に沿って配設され、回動手段によって回動される一対の回動軸と、前記一対の回動軸の端部に、該回動軸の軸心に対して直角に取付けられ、レールの腹部面に相対向して配置された一対のブラストノズルとを備え、前記フレームをレールの長手方向に沿って自走させると共に、前記一対の回動軸を所定角度内で連続して往復回動させ、前記一対のブラストノズルをレールの横断面を含む垂直面内において連続して上下方向に往復回動させながら研摩剤を吹き付けることにより、レールの腹部面にサンドブラスト処理を施すことを特徴としている。
【0011】
レールの上面に設置されたフレームが、走行手段により、レールの長手方向に沿って走行される。フレームの走行とほぼ同時に、レールの幅方向の両側に配設された一対の回動軸が、回動手段により回動される。前記一対の回動軸の端部には、該回動軸の軸心に対して直角にブラストノズルが取付けられていて、その研磨剤噴出孔はレールの腹部面に相対向されている。各ブラストノズルは、レールの横断面を含む垂直面内において連続して上下方向に往復回動されながら、レールの長手方向に沿って移動される。そのため、各ブラストノズルの研磨剤噴出孔は、レールの腹部面全体に相対向される。この状態で、各ブラストノズルからレールの腹部面に研摩剤が吹き付けられ、レールの腹部面全体にサンドブラスト処理が施される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明に係るレールブラスト装置Aの斜視図、図2は同じく正面図、図3は同じく側面図、図4は図3のX−X線断面図である。本発明に係るレールブラスト装置Aは、断面視においてほぼ逆U字状のフレーム2に配設された自走手段と、レールRの腹部面1に研摩剤Sを吹き付けてサンドブラスト処理を施すためのブラストノズルNを連続して往復回動させるための回動手段とから構成されている。研摩剤Sは、研摩剤供給装置B1 によって供給される。また、吹き付けられた研摩剤Sは、研摩剤吸引装置B2 によって吸引される。
【0013】
最初に、自走手段について説明する。図1ないし図3に示されるように、断面視において逆U字状のフレーム2における長手方向の両端部には、ローラ軸3a,3b が水平に配設されている。各ローラ軸3a,3b の両端部は、前記フレーム2の両側面部2aの外側面に取付けられた各軸受4に支承されていて、各ローラ軸3a,3b は回転自在である。各ローラ軸3a,3b における軸方向のほぼ中央部には、それぞれ走行ローラ5a,5b が装着されている。各走行ローラ5a,5b の外周面は、レールRの頭部におけるコーナー部6の形状に対応している。そして、後方の走行ローラ5bが装着されたローラ軸3bの一端部は、前記軸受4から突出されていて、該突出部分に鎖歯車7が装着されている。また、フレーム2の上部における長手方向のほぼ中央部には、ブラケット8が立設されている。このブラケット8の所定位置には、4個の長孔9が上下方向に設けられていて、該長孔9を介してL字状のモータブラケット11が取付けられている。このため、該モータブラケット11の上下方向の取付位置は調整可能である。前記モータブラケット11には、ローラ軸3a,3b の軸方向に沿って走行モータM1 が取付けられている。この走行モータM1 は、減速機付モータであり、インバータ等の手段により無段変速が可能である。そして、走行モータM1 のモータ軸には、上記した鎖歯車7と対応する位置に鎖歯車12が装着されていて、両者7,12の間に鎖13が掛装されている。なお、図3及び図4において符号14は、モータブラケット11の取付位置を調整するための調整ねじである。
【0014】
フレーム2における両側面部2aの下端部には、各ガイドローラ支持板15が、前記フレーム2のほぼ全長に亘って水平に取付けられている。そして、フレーム2の内側における各ガイドローラ支持板15の上部には、それぞれ一対のガイドローラ16が、それらの軸心を垂直にして取付けられている。各ガイドローラ16の外周面16aは、レールRの頭部の側面部に当接されている。このため、走行中のフレーム2にモーメントが発生しても、一対のガイドローラ16によってフレーム2がレールRから外れることが抑止される。そのため、該フレーム2は、常に水平状態を維持しながら走行される。各ガイドローラ16の外周面の下端部は軸方向にすぼまっていて、テーパ部16bが形成されている。このため、図5に示されるように、レールブラスト装置Aのフレーム2をレールRに設置させる際に、前記テーパ部16bをレールRの頭部のコーナー部6にならわせて設置させることができるため、簡単にフレーム2を設置させることができるという効果が奏される。
【0015】
走行モータM1 を駆動させることにより、両鎖歯車7,12及び鎖13を介して後方の走行ローラ5bが駆動回転される。同時に、一対のガイドローラ16によってフレーム2を傾斜させようとするモーメントが抑止される。その結果、フレーム2は、レールRの長手方向に沿ってスムーズに自走される。フレーム2の走行に伴い、前方の走行ローラ5aは従動回転される。
【0016】
次に、一対のブラストノズルNを回動させるための回動手段について説明する。一対のブラストノズルNを回動させるための手段はいずれも同一なので、一方側のブラストノズルNを回動させるための手段についてのみ説明する。フレーム2における長手方向の両端部で、前述したガイドローラ支持板15の下面には、二個の回動軸支持ブラケット17が取付けられている。これらの回動軸支持ブラケット17には、レールRの長手方向に沿って同心の挿通孔17aが設けられている。各挿通孔17aには、回動軸18が挿通されている。この回動軸18は、二個の回動軸支持ブラケット17により回動可能に支承されている。また、フレーム2の前部の上面には、L字状のモータブラケット19が立設されている。該モータブラケット19におけるフレーム2の幅方向のほぼ中央部には、レールRの長手方向に沿って回動モータM2 が取付けられていて、そのモータ軸には、駆動歯車21が装着されている。この回動モータM2 は、減速機付モータである。そして、この駆動歯車21の両側には、該駆動歯車21と歯合される一対の従動歯車22が、回転自在に取付けられている。
【0017】
各従動歯車22の正面部には、前方に突出する上側クランク軸23が固着されている。この上側クランク軸23の軸心は、前記従動歯車22の軸心と異なっている。そして、このクランク軸23には、上側ジョイント24の一端部に設けられた軸受部が装着されている。そのため、上側ジョイント24は、上側クランク軸23の軸心を中心に回転自在である。また、上側ジョイント24の他端部には、雌ねじ(図示せず)が形成されている。
【0018】
回動軸18の前端部には、前記回動軸18と同心の円板に張出部25aが設けられて略卵形状を成す回動板25が装着されている。この回動板25の張出部25aには、下側クランク軸26が前方に突出した状態で固着されている。そして、この下側クランク軸26に、下側ジョイント27の一端部に設けられた軸受部が装着されている。そのため、下側ジョイント27は、下側クランク軸26の軸心を中心に回転自在である。また、下側ジョイント27の他端部には、前記上側ジョイント24の他端部に設けられた雌ねじと逆の雌ねじ(図示せず)が形成されている。上側クランク軸23と下側クランク軸26とは、対応した位置に設けられている。
【0019】
上記した上側ジョイント24と下側ジョイント27とは、ターンバックル28によって連結されている。このターンバックル28の一端部には、ねじ軸28aが設けられていて、他端部には逆ねじ軸28bが設けられている。このねじ軸28aが上側ジョイント24の雌ねじと螺合されており、逆ねじ軸28bが下側ジョイント27の雌ねじと螺合されている。そして、それぞれ締付けナット29,31によって固定されている。各締付けナット29,31を緩めてターンバックル28を所定方向に回転させ、上下の各ジョイント24,27の心間距離を変更させることにより、回動板25の初期設定角度θ(回動軸18の軸心Cと下側クランク軸26の軸心とを結んだ直線が、水平面と成す角度)を調整することができる。即ち、レールRの腹部面1において、研摩剤Sが吹き付けられる範囲を調整することができる。回動モータM2 を作動させて、駆動歯車21を回転させることにより、一対の従動歯車22が回転される。同時に、上側クランク軸23が回転され、ターンバックル28をほぼ垂直方向に沿って往復移動させる。その結果、回動板25の張出部25aが、回動軸18の軸心Cを中心に上下方向に往復回動される。
【0020】
図3に示されるように、各回動軸18の後端部には、それぞれブラストノズルNが取付けられている。これらのブラストノズルNは、それらの先端面をレールRの腹部面1に相対向させた状態で取付けられている。回動モータM2 を作動させ、各回動板25を介して一対の回動軸18を回動させることにより、ブラストノズルNが連続して上下方向に往復回動される。フレーム2の後部には、ブラストノズルNから噴出された研摩剤Sが飛散することを防止するための研摩剤飛散防止カバー32が取付けられている。この研摩剤飛散防止カバー32において、各ブラストノズルNが回動される部分には、上下方向に長孔32aが設けられている。そのため、各ブラストノズルNが回動されても、研摩剤飛散防止カバー32と干渉することはない。また、この研磨剤飛散防止カバー32は、各ブラストノズルNの周囲を被覆するだけで済む。各ブラストノズルNの後端部は、研摩剤供給ホースH1 に接続されていて、該ホースH1 を介して研摩剤Sが供給される。また、研摩剤飛散防止カバー32の後端部には、研摩剤吸引ホースH2 が取付けられていて、レールRの腹部面1に吹き付けられた後、研摩剤飛散防止カバー32の内部で飛散する研摩剤Sが常に吸引されている。
【0021】
このブラストノズルNの軸心には、研摩剤噴出孔33が設けられている。図6に示されるように、この実施例におけるブラストノズルNの研摩剤噴出孔33は、ブラストノズルNの軸心に沿ったストレート形状である。そのため、この部分で研摩剤Sが詰まる恐れは全くない。なお、図1において符号34は、リミットスイッチである。レールブラスト装置Aのフレーム2が所定の距離だけ自走すると、レールRの所定位置に設置されたストッパ35によってリミットスイッチ34が作動され、該装置Aは自動停止する。
【0022】
本発明に係るレールブラスト装置Aの作用について説明する。レールブラスト装置Aのフレーム2に取付けられた走行ローラ5a,5b が、上方からレールRの上面に設置される。各ガイドローラ16の下端部にテーパ部16bが設けられているため、走行ローラ5a,5b を容易に設置することができる。走行モータM1 を作動させて、後ろ側の走行ローラ5bを駆動回転させる。レールブラスト装置Aを構成するフレーム2が、レールRの長手方向に沿って走行される。同時に、回動モータM2 を作動させ、回動板25を介して一対の回動軸18を回動させる。一対の回動軸18は、その軸心Cを中心として所定角度内において回動される。そのため、一対の回動軸18の後端部に取付けられた一対のブラストノズルNも、前記回動軸18の軸心Cを中心とし、レールRの横断面を含む垂直面内において上下方向に回動される。即ち、図7に示されるように、従動歯車22が回転して上側ジョイント24が最上部に位置されると、回動板25の張出部25aも最上部に回動される。その結果、ブラストノズルNの先端面はレールRの脚部近傍と相対向される。ブラストノズルNには、研摩剤供給ホースH1 から研摩剤Sが供給される。ブラストノズルNから研摩剤Sが吹き付けられ、レールRの脚部近傍がサンドブラスト処理される。同様にして、図8に示されるように、従動歯車22が回転して上側ジョイント24が最下部に位置されると、回動板25の張出部25aも最下部に回動される。その結果、ブラストノズルNの先端面はレールRの頭部近傍と相対向される。ブラストノズルNから研摩剤Sが吹き付けられ、レールRの頭部近傍がサンドブラスト処理される。従動歯車22は連続回転されるため、ブラストノズルNの往復回動も連続して行われる。そのため、ブラストノズルNは、レールRの腹部面1全体と相対向される。
【0023】
上記したように、各ブラストノズルNがレールRの横断面を含む平面内において上下方向に往復回動されながら、レールRの長手方向に沿って矢印Pの方向に走行される。その際のブラストノズルNの先端面の軌跡36を、図9に示す。このように、研摩剤SはレールRの腹部面1に対して波状に吹き付けられる。この軌跡36における波の山部37と山部37とのピッチL1 は、フレーム2の走行速度(走行モータM1 の回転速度)又はノズルNの回動速度(回動モータM2 の回転速度)のいずれかを調整することによって自在に調整可能である。ここで、フレーム2の走行速度をVとし、ノズルNの回動速度をUとする。Vを一定にしたままUを変化させると、ブラストノズルNの先端面の軌跡36における波の山部37と山部37とのピッチL1 が変化する。例えば、Uを速くするとピッチL1 は短くなり、逆に遅くするとピッチL1 は長くなる。即ち、レールRの腹部面1に対する研摩剤Sの吹き付けの程度を変化させることができる。その結果、吹き付け位置のばらつきが小さくなる。また、Uを一定にしたままVを変化させると、レールRの腹部面1に対する研摩剤Sの吹き付け密度を変化させることができる。このように、フレーム2の走行速度(V)とノズルNの回動速度(U)とを調整した状態で、フレーム2をレールRの長手方向に沿って一度走行させるだけで、レールRと絶縁レールR’の腹部面1の全体に、ほぼ均一に研摩剤Sが吹き付けられ、サンドブラスト処理が施される。絶縁レールR’の長手方向における所定位置の上面には、ストッパ35(図1参照)が取付けられている。このストッパ35の下面には、永久磁石が取付けられていて、該永久磁石によって絶縁レールR’の上面に取付けられる。フレーム2が所定の距離L2 (約800mm)だけ走行されると、該フレーム2に取付けられたリミットスイッチ34が前記ストッパ35に当接されるため、フレーム2が停止される。
【0024】
続いて、レールRと絶縁レールR’との継目Kに設けられた隙間に絶縁剤Wを充填させると共に、レールR’,Rの腹部面1に前記絶縁剤Wを塗布した後、レールR’,Rを継目板により接続させる(図13参照)。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係るレールブラスト装置は、フレームをレールの長手方向に沿って自走させるための走行手段と、レールの幅方向の両側に、しかも該レールの長手方向に沿って配設され、回動手段によって回動される一対の回動軸と、前記一対の回動軸の端部に、該回動軸の軸心に対して直角に取付けられ、レールの腹部面に相対向して配置された一対のブラストノズルと、前記ブラストノズルを介して研摩剤を吹き付けるための研摩剤供給装置とを備えていて、前記フレームをレールの長手方向に沿って自走させると共に、前記一対の回動軸を所定角度内で連続して往復回動させ、前記一対のブラストノズルをレールの横断面を含む平面内において連続して上下方向に往復回動させながら研摩剤を吹き付けることにより、レールの継目の近傍における腹部面にサンドブラスト処理を施すことを特徴としている。そのため、次の諸効果が奏される。(1)フレームの走行に伴い、ブラストノズルが自動で上下方向に回動される。そのため、作業者が、ブラストノズルの角度を調整する作業が不要となる。しかも、フレームを1回片道走行させるだけでレールの腹部面の全体に、ほぼ均一にサンドブラスト処理が施されるため、作業時間が大幅に短縮される。(2)前記ブラストノズルが回動する際の初期設定角度が調整可能である。そのため、レールの腹部面において、研摩剤が吹き付けられる範囲を調整可能である。(3)フレームが自走する構成であり、フレームと同時にブラストノズルも走行される。そのため、研摩剤飛散防止カバーはブラストノズルの周囲のみを被覆するだけで済むため、装置全体の大きさをコンパクトなものにすることができる。(4)ブラストノズルの先端面がレールの腹部面に相対向させて配置されているため、ブラストノズルの研摩剤噴出孔をストレートにすることができる。そのため、該ノズル内で研摩剤が詰まることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレールブラスト装置Aの斜視図である。
【図2】同じく正面図である。
【図3】同じく側面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】レールRにフレーム2を設置させる状態の作用説明図である。
【図6】図3のY矢視図である。
【図7】回動板25を回動させることによって、ブラストノズルNがレールRの脚部近傍と相対向される状態の作用説明図である。
【図8】同じく、ブラストノズルNがレールRの頭部近傍と相対向される状態の作用説明図である。
【図9】ブラストノズルNの軌跡36を示す図である。
【図10】絶縁レールR’の作用を示す図である。
【図11】図10の平面図である。
【図12】レールRの絶縁部分の拡大側面図である。
【図13】レールRを絶縁状態で接続する場合の作用説明図である。
【図14】従来のレールブラスト装置A’の側面断面図である。
【図15】一部を破断した図14のZ矢視図である。
【図16】従来のレールブラスト装置A’におけるブラストノズルN’の拡大断面図である。
【符号の説明】
A:レールブラスト装置
C:回動軸の軸心
K:継目
M1 :走行モータ(走行手段)
M2 :回動モータ(回動手段)
N:ブラストノズル
R:レール
R’:絶縁レール
S:研摩剤
θ:初期設定角度
1:腹部面
2:フレーム
18:回動軸
32:研摩剤飛散防止カバー
32a:長孔
33:研摩剤噴出孔
Claims (4)
- レールを絶縁させた状態で接続する際に、レールの継目の近傍における腹部面にサンドブラスト処理を施すための装置であって、
走行手段によってレールの長手方向に沿って自走されるフレームと、
レールの幅方向の両側で、しかも該レールの長手方向に沿って配設され、回動手段によって回動される一対の回動軸と、
前記一対の回動軸の端部に、該回動軸の軸心に対して直角に取付けられ、レールの腹部面に相対向して配置された一対のブラストノズルと、
を備え、
前記フレームをレールの長手方向に沿って自走させると共に、前記一対の回動軸を所定角度内で連続して往復回動させ、前記一対のブラストノズルをレールの横断面を含む垂直面内において連続して上下方向に往復回動させながら研摩剤を吹き付けることにより、レールの腹部面にサンドブラスト処理を施すことを特徴とするレールブラスト装置。 - 前記ブラストノズルが回動する際の初期設定角度が調整可能であることを特徴とする請求項1に記載のレールブラスト装置。
- 前記フレームの後部に研摩剤飛散防止カバーが設けられていて、前記ブラストノズルが回動するための長孔が、前記カバーの上下方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレールブラスト装置。
- 前記ブラストノズルの研摩剤噴出孔がストレートであることを特徴とする請求項1に記載のレールブラスト装置。
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