JP3558772B2 - 符号錠 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば自転車用錠などに用いられる符号錠に関連し、特にこの発明は、複数個のダイヤルにより所望の解錠符号を自在に設定できる符号錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の符号錠として、実公昭60−13972号公報に記載された構造のものが提案されている。
この符号錠は、図13に示すように、鎖,ワイヤーなどの可撓策(図示せず)の一端に錠本体61が、他端に前記錠本体61に連結される連結部62が、それぞれ取り付けられた構造のものである。
【0003】
前記錠本体61は、ロック機構を構成する複数個のロックギヤ63と、各ロックギヤ63上に嵌められた複数個のダイヤル64とでダイヤル列が構成されており、各ロックギヤ63とダイヤル64との間には、ダイヤル64の符号数に相当する数の噛合位置をもつ噛合部が形成されている。
【0004】
各ロックギヤ63は、パイプ状の支え軸65上に回動可能に配備され、前記支え軸65の内孔66に対し、前記連結部62の連結軸67が挿脱可能となっている。前記連結軸67の外周面には、一定間隔毎に複数個の突起68が突設され、この連結軸67を支え軸65の内孔66へ挿入した後、ダイヤル操作により解錠符号を崩したとき、各突起68が対応するロックギヤ63と係合して施錠状態が形成される。
各ダイヤル64はロックギヤ63に対して軸方向へ変位可能であるが、各ダイヤル64の変位はダイヤル列の端部に設けられた止め金69により規制されている。
【0005】
所望の解錠符号を設定する場合、まず前記止め金69を取り外し、各ダイヤル64を軸方向へ移動させてロックギヤ63より抜き取る。しかる後、各ダイヤル64につき、設定したい解錠符号に合わせて対応するロックギヤ63との噛合位置を設定した上でロックギヤ63上へそれぞれ嵌め込む。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこの符号錠では、解錠符号を設定するのに、止め金69の取外しおよび全てのダイヤル64の抜取りが必要である上に、各ダイヤル64を、向きを揃えて再度ロックギヤ63上に嵌め込んで、止め金69で固定する必要があるため、作業性が悪く、解錠符号の設定に手数がかかるという問題がある。しかも止め金69と全てのダイヤル64とを取り外すため、これら部品の紛失を招くおそれもある。
【0007】
この発明は、上記問題に着目してなされたもので、各ダイヤルを取り外すことなく、解錠符号を自在に設定できる構成とすることにより、解錠符号の設定に手数がかからず、部品を紛失するおそれのない符号錠を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の符号錠は、ワイヤー部の一端にパイプ状の支え軸を有する錠本体が、ワイヤー部の他端に前記支え軸の内孔に挿脱可能な連結軸を有する連結部が、それぞれ取り付けられたものである。前記錠本体は、前記支え軸上にロック機構を構成する複数個のロックギヤが回動可能に配備されかつ各ロックギヤ上にダイヤルがそれぞれ軸方向へ変位可能に嵌められてダイヤル列が構成されるとともに、各ロックギヤとダイヤルとの間にダイヤルの符号数に相当する数の噛合位置をもつ噛合部が形成されている。
前記支え軸の先端部のダイヤル列の端部位置に、回動操作が可能な撮み板が配備されて成り、前記支え軸の先端部の外周面には軸方向に沿う第1の溝部と外周方向に沿う第2の溝部とを連続させたガイド溝が形成され、一方、前記撮み板には前記ガイド溝に先端部が係合するピンが径方向に植設されている。第2の溝部に前記ピンの先端部が係入するとき、各ダイヤルの軸方向への変位が規制されてロックギヤ上に各ダイヤルが噛合状態で定位するように撮み板が締め付けられた状態に設定され、第1の溝部に前記ピンの先端部が係入するとき、各ダイヤルとロックギヤとの噛合状態が外れるのに十分な大きさだけ撮み板および各ダイヤルが軸方向へ変位することが可能なように撮み板が緩められた状態に設定される。
【0009】
【作用】
撮み板を緩めると、各ダイヤルは拘束が解除されて軸方向への変位が許容される。各ダイヤルを撮み板の変位可能な所定量だけ軸方向へ変位させると、各ダイヤルはロックギヤとの噛合状態が外れて回転自由な状態となる。各ダイヤルを設定すべき解錠符号に合わせてロックギヤ上に嵌め込んだ後、撮み板を締め付けると、各ダイヤルはロックギヤ上に噛合状態で定位する。
【0010】
【実施例】
図1は、この発明の一実施例である符号錠1の外観を示す。
図示例の符号錠1は、ワイヤー錠と称される自転車用錠であるが、この発明は自転車用錠に限らず、他の用途にも適用可できる。
【0011】
この符号錠1は、可撓性のあるワイヤー部2の一端に錠本体3が、他端に前記錠本体3に連結される連結部4が、それぞれピン5により屈曲自在に枢着された構造のものである。
前記ワイヤー部2は、芯材としてのワイヤーを合成樹脂製チューブにより被覆して構成されているが、これに限らず、例えば鎖などを用いてワイヤー部2を構成してもよい。
【0012】
前記連結部4は、図2〜図5に示すように、内側に円形の凹部11が形成された合成樹脂製のホルダ10を有し、前記凹部11の中心位置に連結軸12が突設されている。前記連結軸12の外周面には、所定の高さのガイド板13が全長にわたり一体形成されており、このガイド板壁13の上端に、後述するロックギヤ25の幅に相当する間隔で4個の矩形状の係合突起14が一体形成されている。
【0013】
前記錠本体3は、内側に円形の取付穴21が設けられた合成樹脂製のホルダ20を有し、前記取付穴21内に前記連結軸12と同一の長さの支え軸22の一端が嵌入されている。前記支え軸22は、パイプ状であって、全長にわたる内孔23を有しており、この支え軸22上に4個の位置決めバネ24を等間隔に装着して、各位置決めバネ24上にロックギヤ25を回動可能に嵌合してある。
【0014】
各ロックギヤ25上には、合成樹脂製のダイヤル26がそれぞれ軸方向へ変位可能に嵌められて、ダイヤル列が形成されている。各ダイヤル26の外周面には「0」から「9」までの数字が符号として等角度毎に刻まれており、解錠時や解錠符号設定時には、各ホルダ10,20に付された目印27の位置に各ダイヤル26の解錠符号が合わせられる。
なお各ダイヤル26は、外周面の「0」の位置を台形状に突出させて、ダイヤル操作のための撮み操作部28が一体形成してある。
【0015】
各ロックギヤ25の外周面には、幅中央よりホルダ20の側に2個の矩形状の突子30が対角位置に一体形成され、一方、各ダイヤル26の内周面には、ホルダ20の側に、ダイヤル26の符号数に相当する数(10個)の突部32および隣合う突部32,32間に前記ロックギヤ25の各突子30と係合する凹溝部33が形成してある。前記ダイヤル26の凹溝部33とロックギヤ25の各突子30とで噛合部34が構成される。
【0016】
前記突部32および凹溝部33の幅は、隣合う突子30,30の間隔より小さく設定してあり、従ってダイヤル26を図6および図7ホルダ20と反対側へ変位させて、ロックギヤ25との噛合状態が外れたとき、前記突部32が突子30,30間に位置して、ダイヤル26が回転自由な状態となる。
【0017】
各ロックギヤ25の内孔35には、図8および図9に示すように、ほぼ幅中央の位置に前記連結部4における係合突起14が係合する係合壁36が周設されると共に、この係合壁36の所定角度位置には、前記係合突起14が通過できる開口面積の切欠37が開設されている。この係合壁36および切欠37と係合突起14とでロック機構38が構成される。
また各ロックギヤ25の内孔35の内周面には、ホルダ20の側に、ダイヤル26の符号数に相当する数(10個)の切込39が等角度毎に形成されている。
【0018】
前記位置決めバネ24は、バネ板を屈曲して形成されたもので、図3に示されるように、支え軸22の外周面に嵌合される左右の嵌合部40,40と、外向きに突出するV字型の外向き突部41とを有するもので、各嵌合部40と外向き突部41との間には、支え軸22の外周面に形成された2本の固定溝42にそれぞれ係合するV字型の内向き突部43が形成されている。前記外向き突部41は、この位置決めバネ24上に嵌め込まれたロックギヤ25の各切込39と係合するもので、ダイヤル26と一体にロックギヤ25を回動させたとき、外向き突部41が弾性変形しつつ各切込39と順次係合し、ダイヤル26の各符号が前記目印27の位置に停止する。
【0019】
前記支え軸22には、前記連結部4におけるガイド板13をスライドさせるガイド溝44が全長にわたって形成されており、このガイド溝44の位置に各ロックギヤ25の前記切欠37が対向位置したとき、前記連結部4における各係合突起14が通過可能となり、連結部4の連結軸12を支え軸22の内孔23へ挿入することができる。
【0020】
隣合うロックギヤ25,25間にはワッシャ45が介装され、先端部のロックギヤ25の外側にはストップリング46が嵌められてロックギヤ25の軸方向への移動が阻止されている。
前記支え軸22の先端部には、各ダイヤル26の軸方向への変位を規制してロックギヤ25上に各ダイヤル26を噛合状態で定位させるための撮み板47が配備されている。
【0021】
前記撮み板47は、図10および図11に示すように、支え軸22の挿脱が可能な貫通孔48を有し、貫通孔48の内周面には前記連結軸4の係合突起14が通過可能な大きさの切溝49が長さ方向に形成されている。
また撮み板47の所定の角度位置には径方向へピン50が植設され、ピン50の先端部が貫通孔48の内部へ突出している。一方、支え軸22の先端部の外周面には、図12に示すように、ガイド溝51が形成され、このガイド溝51に前記ピン50の先端部が係合する。
【0022】
前記ガイド溝51は、軸方向に沿う第1の溝部51aに、外周方向に沿う第2の溝部51bを連続させて成り、第1の溝部51aの溝端は支え軸22の端面の手前に位置する。
このガイド溝51の第1の溝部51aに前記ピン50の先端部が係入しているとき(図11の状態)、撮み板47は緩められた状態にあり、撮み板47および各ダイヤル26は第1の溝部51aの溝長さ分だけ軸方向へ変位可能である。この第1の溝部51aの溝長さ、すなわち撮み板47および各ダイヤル26の軸方向への変位量は、各ダイヤル26とロックギヤ25との噛合状態が外れるのに十分な大きさに設定される。
また第2の溝部51bに前記ピン50の先端部が係入しているとき(図10の状態)、撮み板47は締め付けられた状態にあり、各ダイヤル26は撮み板47により軸方向の変位が規制される。前記ピン50が第2の溝部51bの溝端に達するまで撮み板47を回動したとき、前記切溝49と支え軸22のガイド溝44とが一致する。
【0023】
上記構成の符号錠1において、解錠符号を設定するには、撮み板47を摘んで回動すると、ピン50の先端部がガイド溝51の第2の溝部51bを摺動して第1の溝部51aの位置に達する。これにより撮み板47は支え軸22の先端部の方向へ第1の溝部51aの溝長さだけ変位することが可能となり、各ダイヤル26は撮み板47による拘束状態から解放され、軸方向への変位が許容される。
【0024】
つぎに各ダイヤル26を摘んで、撮み板47の変位量だけ軸方向へ変位させると、各ダイヤル26はロックギヤ25との噛合状態が外れて回転自由な状態となる。しかる後、各ダイヤル26について、設定すべき解錠符号を目印27の位置に合わせて再度ロックギヤ25と噛み合わせた後、撮み板47を締付け操作すると、各ダイヤル26は軸方向の変位が規制され、ロックギヤ25上に噛合状態で定位する。
【0025】
【発明の効果】
この発明は上記の如く、支え軸の先端部のダイヤル列の端部位置に回動操作が可能な撮み板を配備し、支え軸の先端部の外周面には軸方向に沿う第1の溝部と外周方向に沿う第2の溝部とを連続させたガイド溝を形成する一方で撮み板にはガイド溝に先端部が係合するピンが径方向に植設し、第2の溝部にピンの先端部が係入するとき、各ダイヤルの軸方向への変位が規制されてロックギヤ上に各ダイヤルが噛合状態で定位するように撮み板を締め付けた状態に設定し、第1の溝部にピンの先端部が係入するとき、各ダイヤルとロックギヤとの噛合状態が外れるのに十分な大きさだけ撮み板および各ダイヤルが軸方向へ変位することが可能なように撮み板を緩めた状態に設定するようにしたから、各ダイヤルを取り外すことなく、撮み板と各ダイヤルとを所定量だけ軸方向へ変位させるだけで、任意の解錠符号を容易に設定でき、解錠符号の設定作業に手数を要さない。
また撮み板および各ダイヤルは、軸方向へ変位させるだけで、取り外されることがないから、構成部品を紛失するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である符号錠の外観を示す正面図である。
【図2】符号錠の主要部を示す断面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】符号錠の主要部を分解した状態を示す正面図である。
【図5】錠本体と連結部の構成を示す正面図である。
【図6】撮み板を緩めた状態の錠本体を示す正面図である。
【図7】撮み板を緩めた状態の錠本体および連結部を示す断面図である。
【図8】ロックギヤの一方の側面図である。
【図9】ロックギヤの他方の側面図である。
【図10】撮み板の締め付け時の断面図である。
【図11】撮み板の緩め時の断面図である。
【図12】支え軸の先端部を示す斜視図である。
【図13】従来例の一部を断面した正面図である。
【符号の説明】
1 符号錠
25 ロックギヤ
26 ダイヤル
34 噛合部
38 ロック機構
47 撮み板

Claims (1)

  1. ワイヤー部の一端にパイプ状の支え軸を有する錠本体が、ワイヤー部の他端に前記支え軸の内孔に挿脱可能な連結軸を有する連結部が、それぞれ取り付けられており、前記錠本体は、前記支え軸上にロック機構を構成する複数個のロックギヤが回動可能に配備されかつ各ロックギヤ上にダイヤルがそれぞれ軸方向へ変位可能に嵌められてダイヤル列が構成されるとともに、各ロックギヤとダイヤルとの間にダイヤルの符号数に相当する数の噛合位置をもつ噛合部が形成されて成る符号錠において、
    前記支え軸の先端部のダイヤル列の端部位置に、回動操作が可能な撮み板が配備されて成り、前記支え軸の先端部の外周面には軸方向に沿う第1の溝部と外周方向に沿う第2の溝部とを連続させたガイド溝が形成され、一方、前記撮み板には前記ガイド溝に先端部が係合するピンが径方向に植設されており、第2の溝部に前記ピンの先端部が係入するとき、各ダイヤルの軸方向への変位が規制されてロックギヤ上に各ダイヤルが噛合状態で定位するように撮み板が締め付けられた状態に設定され、第1の溝部に前記ピンの先端部が係入するとき、各ダイヤルとロックギヤとの噛合状態が外れるのに十分な大きさだけ撮み板および各ダイヤルが軸方向へ変位することが可能なように撮み板が緩められた状態に設定される符号錠。
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