JP3558512B2 - 車両のウィンドレギュレータ装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、車両のウィンドガラスを昇降させるウィンドレギュレータ装置に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
ウィンドレギュレータ装置の一種として、ドアパネルに固定されるベース部材に、一端部にドリブンギヤを有するリフトアームを枢着する一方、ウィンドガラスの下端部に沿わせてウィンドブラケットを固定し、このウィンドブラケット内に摺動自在に挿入したスライドシューに、リフトアームの他端部に設けた係合突起を係合させるタイプが知られている。リフトアームのドリブンギヤは、ベース部材に設けたモータ駆動のピニオンと噛み合っており、ピニオンを回転駆動すると、リフトアームが揺動し、ウィンドガラスが昇降する。
【0003】
このウィンドレギュレータ装置では、リフトアームの回動に伴い、スライドシューがウィンドブラケット内を摺動する。さらに、ウィンドガラスの曲率に従って、リフトアームの係合突起がスライドシューに対して首振り運動できるように、リフトアーム側の係合突起に、ロッド部と球状部とを設け、スライドシューに、球状部を転動自在に保持する球状凹部と、ロッド部を挿通させる円錐状のテーパ穴とを設けるタイプが知られている。ところが、この首振りタイプは、球状凹部とテーパ穴部との間の小径部の強度が弱いという問題があった。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、従来品についての以上の問題意識に基づき、リフトアーム側の係合突起とウィンドブラケット内のスライドシューとが、ウィンドガラスの曲率に従って相対運動でき、しかも、係合突起がスライドシューから抜け落ちにくいウィンドレギュレータ装置を得ることを目的とする。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、リフトアーム側の係合突起とウィンドブラケット内のスライドシューとの相対運動は、ウィンドガラスの上下方向の曲率に従って可能であればよく、左右方向には不要であるとの着眼に基づきなされたものである。
【0006】
すなわち本発明は、ウィンドガラスの下端部に沿わせて固定されたウィンドブラケット;このウィンドブラケット内に摺動自在に挿入されたスライドシュー;先端部にこのスライドシューと係合する係合突起を有し、車両ドアパネルに枢着軸で枢着されたリフトアーム;及びこのリフトアームを枢着軸を中心に正逆に駆動する駆動機構;を備えた車両のウィンドレギュレータ装置において、リフトアーム先端の係合突起を、リフトアーム側からスライドシュー側に延びるロッド部と、このロッド部の先端部に一体に設けられた、ロッド部より大径の球状部とを有するピン部材から構成し、スライドシューに、このピン部材の球状部を転動自在に保持する球状凹部と、この球状凹部に連通してロッド部をリフトアーム側に突出させる貫通穴とを設け、かつ、この貫通穴を、ピン部材の球状部を中心とする左右方向の揺動可能量に比して上下方向の揺動可能量が大きくなるように、その上下方向断面形状と左右方向断面形状が異なる異形貫通穴としたことを特徴としている。
【0007】
異形貫通穴は、より具体的には、上下方向の断面形状が球状凹部側から径を拡大するテーパ穴状をなし、左右方向の断面形状が、ほぼ定径穴状または上下方向断面のテーパ穴状断面よりテーパの緩いテーパ穴状をなす形状とすることができる。また、左右方向の最小径は、上下方向の最小径より小さくすることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、車両ドアパネル11の内面には、固定ベース12が固定されており、この固定ベース12に、リフトアーム13が枢着軸14で回動自在に枢着されている。リフトアーム13は、その一端部に、枢着軸14を中心とするドリブンギヤ(セクタギヤ)15を一体に有しており、他端部(先端部)には、ウィンドブラケット16内に摺動自在に挿入したスライドシュー30と係合する係合突起としてのピン部材17が固定されている。ウィンドブラケット16は、ウィンドガラス18の下縁に略水平に固定された直線状のレール部材である。
【0009】
リフトアーム13には、ドリブンギヤ15とピン部材17の中間部分に、軸20でイコライザアーム21が枢着されており、このイコライザアーム21の図1の上端部には、ウィンドブラケット16に嵌まるローラ22が回動自在に枢着されている。イコライザアーム21の図1の下端部には、別にローラ23が枢着されており、このローラ23は、車両ドアパネル11の内面に固定される姿勢維持レール24に転動自在に嵌まっている。姿勢維持レール24は、その一端部をリフトアーム13と同軸に枢着軸14に支持させ、他端固定部25を車両ドアパネル11の内面に固定するものである。
【0010】
固定ベース12には、リフトアーム13に枢着軸14を中心とする揺動運動を与えるためのモータユニット27が固定されている。モータユニット27は、ドリブンギヤ15に噛み合うピニオン28を有するもので、固定ベース12に固定されている。このモータユニット27とドリブンギヤ15は、リフトアーム13の駆動機構を構成する。
【0011】
ピン部材17は、図4、図5に示すように、リフトアーム13へのかしめ固定部17a、一定径のロッド部17b、及びロッド部17bより大径の球状部17cを一体に有している。一方、スライドシュー30は、ウィンドブラケット16内に摺動自在に嵌まるスライド部30aと、このスライド部30aの中心部から、ウィンドブラケット16の切欠部16aを通ってリフトアーム13側に突出する突出部30bとを有している。スライド部30aには、球状凹部30dが形成されており、この球状凹部30dは、突出部30bの中心部に形成した、最小径が球状凹部30dより小径の異形貫通穴30cに連通している。球状凹部30dの径は、ピン部材17の球状部17cの径と対応し、該球状部17cを転動自在に支持する。
【0012】
一方、異形貫通穴30cは、その上下方向の断面形状と左右方向の断面形状が異なる異形穴である。すなわち、その上下方向の断面では、図4に示すように、球状凹部30d側の最小径部から、イコライザアーム13側にかけて径を徐々に拡大するテーパ穴状をなしており、左右方向の断面では、図5に示すように、ほぼ定径の定径穴状をなしている。異形貫通穴30cの最小径は、少なくとも左右方向の断面において、球状部17cの径より十分小さい。つまり、異形貫通穴30cの最小径は、ピン部材17の球状部17cが抜けることがないように設定されている。また、この異形貫通穴30cは、この実施形態では、図3に示すように、左右方向の最小径d2の方が上下方向の最小径d1より小さい(上下方向の最小径d1の方が左右方向の最小径d2より大きい)。
【0013】
なお、ピン部材17は、突出部30bの反対側から、異形貫通穴30c及び球状凹部30dに挿入することができ、挿入後、かしめ固定部17aがリフトアーム13にかしめ固定される。
【0014】
以上の構造のウィンドレギュレータ装置は、リフトアーム13とイコライザアーム21が略X字状をなすことから、Xアーム式と呼ばれる。モータユニット27によりピニオン28を回転させ、ドリブンギヤ15を介してリフトアーム13を枢着軸14を中心に揺動させると、ウィンドブラケット16(ウィンドガラス18)が図1に実線で示す閉位置と鎖線で示す開位置との間を昇降移動する。この際、スライドシュー30はウィンドブラケット16内を摺動する。
【0015】
さらに、ウィンドガラス18が昇降する際、ウィンドガラス18の曲率に従って、ピン部材17はスライドシュー30に対して相対運動する。この相対運動は、ウィンドガラス18の上下方向の曲率に従い、異形貫通穴30cの上下方向において主に生じ、左右方向においてはそれ程あるいは殆ど生じない。つまり、ピン部材17のスライドシュー30に対する相対揺動は、上下方向に大きく、左右方向には小さい。スライドシュー30の異形貫通穴30cは、上下方向断面においてテーパ状をなし、左右方向断面においてはほぼ定径状をなしているから、この相対運動を妨げることがなく、かつ、抜け強度は、左右方向断面の穴形状が定径状であることから、高い。これは、異形貫通穴30cの全体が、上下方向断面のようなテーパ状である場合と比較すると明らかである。従来品は、異形貫通穴30cの全体が上下方向断面のようなテーパ状であったため、抜け強度に乏しかった。
【0016】
また、図示実施形態では、異形貫通穴30cは、左右方向の最小径d2の方が上下方向の最小径d1より小さい(上下方向の最小径d1の方が左右方向の最小径d2より大きい)から、上下方向の首振り運動は生じやすく(妨げられることがなく)、かつ抜けにくい。
【0017】
以上の実施形態では、異形貫通穴30cの左右方向断面の形状を定径状としたが、上下方向断面のテーパより緩いテーパ状としてもよい。
【0018】
また図示実施形態では、ウィンドガラス18に傾きが生じないようにするために、イコライザアーム21を用いたが、ウィンドガラス18を別の昇降ガイドでガイドする場合には、このイコライザアームを省略することができる。また、イコライザアームを使用する場合、その先端部とウィンドブラケット16との間のスライド構造にも、以上のリフトアーム13の先端とウィンドブラケット16との間のスライド構造を採用することができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、リフトアーム側の係合突起とウィンドブラケット内のスライドシューとが、ウィンドガラスの曲率に従って相対運動でき、しかも、係合突起がスライドシューから抜け落ちにくいウィンドレギュレータ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両のウィンドレギュレータ装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のウィンドレギュレータ装置のウィンドブラケットとリフトアームの係合部分の拡大正面図である。
【図3】図2の係合部分におけるウィンドブラケット内に摺動自在に挿入したシューの正面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿う断面図である。
【符号の説明】
11 車両ドアパネル
12 固定ベース
13 リフトアーム
14 枢着軸
15 ドリブンギヤ
16 ウィンドブラケット
17 ピン部材
17a かしめ固定部
17b ロッド部
17c 球状部
18 ウィンドガラス
30 スライドシュー
30a スライド部
30b 突出部
30c 異形貫通穴
30d 球状凹部
Claims (3)
- ウィンドガラスの下端部に沿わせて固定されたウィンドブラケット;
このウィンドブラケット内に摺動自在に挿入されたスライドシュー;
先端部にこのスライドシューと係合する係合突起を有し、車両ドアパネルに枢着軸で枢着されたリフトアーム;及び
このリフトアームを枢着軸を中心に正逆に駆動する駆動機構;
を備えた車両のウィンドレギュレータ装置において、
上記係合突起を、リフトアーム側からスライドシュー側に延びるロッド部と、このロッド部の先端部に一体に設けられた、ロッド部より大径の球状部とを有するピン部材から構成し、
上記スライドシューに、このピン部材の球状部を転動自在に保持する球状凹部と、この球状凹部に連通して上記ロッド部をリフトアーム側に突出させる貫通穴とを設け、
かつ、この貫通穴を、ピン部材の球状部を中心とする左右方向の揺動可能量に比して上下方向の揺動可能量が大きくなるように、その上下方向断面形状と左右方向断面形状が異なる異形貫通穴としたことを特徴とする車両のウィンドレギュレータ装置。 - 請求項1記載のレギュレータ装置において、異形貫通穴の上下方向の断面形状は、球状凹部側から径を拡大するテーパ穴状をなし、左右方向の断面形状は、ほぼ定径穴状または上下方向断面のテーパ穴状断面よりテーパの緩いテーパ穴状をなしている車両のウィンドレギュレータ装置。
- 請求項1または2記載のレギュレータ装置において、異形貫通穴の左右方向の最小径は、上下方向の最小径より小さい車両のウィンドレギュレータ装置。
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JP32313097A JP3558512B2 (ja) | 1997-11-25 | 1997-11-25 | 車両のウィンドレギュレータ装置 |
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