JP3557772B2 - 建築物における面構造体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物における面構造体に係り、さらに詳しくは、建築物での屋根面や内外壁面などを構成する面板単体部材で、特に少なくとも接合面が直線状をなす複数の面板単体部材を用い、これらの各面板単体部材の隣接する相互を接合部材を介するとともに、所定の係止部構造によって下地側に引き留め係止して構成する面構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の建築物における屋根や内外壁面などの面構造体を構成するのに用いられる面板単体部材、および面板単体部材相互の接合構造に関しては、従来から数多くの提案がなされている。これらの提案を縦葺き形式による屋根構造のみに限定しても、▲1▼面板単体部材に対応されるところの屋根板部材自体、ならびに、▲2▼隣接して葺き上げられる屋根板部材相互の接合ないし結合仕様および構造形態、あるいは機能面、外観仕様などでの考案についての開発、提案がさかんに行われ、さらに、▲3▼その付帯構造について屋根下地面への取り付けのための同様な結合仕様あるいは構造形態などのさまざまな提案がなされ、これらのものは個々の提案ごとにそれぞれ特有の作用、効果を達成し得るものとされている。
【0003】
このような建築物における面構造体の従来例として、たとえば特開平2−266053号公報に開示されているようなものがある。
その内容は、図7,8に示すように、少なくとも長手方向に延びる面板部12、この面板部12の両側接合部で斜め外側下方へ折曲される押さえ固定部13、各押さえ固定部13の端部で内側へ折り返される係止部14をそれぞれに形成した面板単体部材(縦葺き屋根板部材)11と、長手方向に延びる連接表面部22、この連接表面部22の両側接合部で斜め内側下方へ折曲されて、前記押さえ固定部13に圧接される押圧部23、各押圧部23の端部で外側へ折り返されて、前記係止部14に外側から接合される接合部24をそれぞれに形成した接合部材21と、接合基板部32の両側部に立ち上げた係止立ち上がり部33、各係止立ち上がり部33の上端部で外側へ折曲されて、前記面板部12を裏面側から受支する面板支持部34、各面板支持部34の端部で下方に垂下されて、下地側に取り付け固定される基板取り付け部36、各係止立ち上がり部33相互の内側上向き空間部37内で斜め下向きに対向突出されて、前記係止部14に内側から係止される係止縁39を備えた面板係止部38をそれぞれに形成した吊子部材31と、少なくとも長手方向に伸び、前記各係止立ち上がり部33によって下地側に押止保持される敷込み部42、前記各係止立ち上がり部33相互の外側下向き空間部40内で敷込み部42の両側部から立ち上げて、前記各面板支持部34の裏面側に当接される側壁部43をそれぞれ形成した水受け樋部材41とを備えて構成したことを特徴とする建築物における面構造体である。
【0004】
なお、面板単体部材11での面板部12の裏面には、必要に応じ押さえ固定部13の一部を含めて、少なくとも耐候性、熱絶縁性、吸音性、緩衝性などの諸特性をもつ裏張り材16を貼付させるのがよく、また、吊子部材31の外側にあって、下地側面と面板単体部材11の裏面との間に下地材52を介装させることができる。
このように、吊子部材31によって、水受け樋部材41の取り付け固定と、面板単体部材11ならびに接合部材21の相互接合係着との二様の作用に兼用させるようにしているので、これらの水受け樋部材41と面板単体部材11、接合部材21とのそれぞれを相互にまったく関係ない状態で、これらをそれぞれの目的のもとに単独して作用させることとなる。
【0005】
そして、施工時には、母屋材51上に、まず下地材52とアスファルトルーフィング53を敷き、さらにアスファルトルーフィング53上に所定の間隔ごとに各水受け樋部材41を敷き込むように各吊子部材31をそれぞれ取り付け止着具54によって母屋材51に止着し、その後各吊子部材31間に下地材52を埋めるように敷き込み、面板単体部材11を吊子部材31の面板係止部38に係止し、その後上向き空間部37を塞ぐように接合部材21を接合させることによって、所期通りの縦葺き屋根を葺き上げ得るのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように構成される特開平2−266053号公報の縦葺き屋根構造の場合には、接合内部に敷き込まれる長手方向に一連とされる水受け樋部材41は、接合部24から侵入する雨水を外部に排出する雨樋になるもので、このようにして所期通りの縦葺き屋根を構成し得るが、その反面、葺き上げに際して、その構成中で吊子部材31の面板係止部38にまず面板単体部材11を係止し、その後に接合部材21を接合する必要があるから、以下のような不利を免れ難いものであった。
【0007】
すなわち、接合部材21を接合する際には、すでに面板単体部材11が吊子部材31に係止されており、接合部材21を接合させる際には施工者が面板単体部材11上に乗るかあるいは足を載せて作業する必要があり、その際に面板単体部材11の表面に傷をつける恐れが大きい。面板単体部材11表面の傷は、美観を損ねるばかりではなく、面板単体部材11に塗装薄鋼板を使用する場合はその塗装膜に傷をつけることになるから、長年の使用期間において塗装膜の傷部から発錆する恐れが大きい。
【0008】
そこで、面板単体部材11表面に傷をつけないようにするために、施工時には面板単体部材11上にビニールシートなどの敷物あるいは被覆を施すことが考えられるが、施工費用が高くつくとか、施工効率を低下させる等の不具合が発生するので実質的に困難である。さらに、面板単体部材11上に荷重をかけることにより面板単体部材11の変形が起こり、屋根面全体に波打ち現象とか接合各部からの水漏れなどを生ずる恐れがある。
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の有する課題を解決して、施工時に発生する面板単体部材表面上の傷が発生することのない、さらに雨漏れなどを生ずることのないように、良好かつ効果的に、しかも作業性よく接合し得るようにした建築物における面構造体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも長手方向に延びる面板部(12)と、この面板部(12)の両側縁部で下方に折曲し、さらに前記面板部(12)に平行になるように折曲させた押さえ固定部 (13A,13A)と、該押さえ固定部 (13A,13A)の端面から下方に折曲しさらに内側に折り返される係止部 (14A,14A)をそれぞれ形成した面板単体部材 (11A)と、長手方向に延びる連接表面部 (22A)と、該連接表面部 (22A)の両側縁部で斜め下方へ折曲され、前記連接表面部 (22A)に平行になるよう外側に折曲された前記押さえ固定部 (13A,13A)に圧接される面板支持部 (25,25)と、該面板支持部 (25,25)の端部から斜め内側に下方に折曲し、そして斜め外側下方に折曲させた後に、前記連接表面部 (22A)にほぼ平行になるよう内側に折曲し、さらにほぼ直角下方に折り返されて接合部材係止部 (62,62)に外側から接合される接合部 (24A,24A)をそれぞれ形成した接合部材(21A)と、接合基板部 (32A)の両側部に立ち上げた接合立ち上がり部 (61,61)と、該接合立ち上がり部 (61,61)の上端で底部が前記接合基板部 (32A)と平行とされる面を有し、前記接合部材 (21A)を係止する接合部材係止部 (62,62)と、さらに該接合部材係止部 (62,62)から斜め内側に折曲されて、前記接合基板部 (32A)に平行になるように内側に折曲された前記連接表面部 (22A)を裏面側から受支する接合部材支持部 (63,63)と、前記接合基板部 (32A)上の接合立ち上がり部 (61,61)より外側で立ち上げた係止立ち上がり部 (33A,33A)と、該係止立ち上がり部 (33A,33A)の上端で内側および外側に折曲されて、前記面板部(12)を裏面側から受支する面板支持部 (34,34)と、該面板支持部 (34,34)の内側折曲部の端部から斜め下方に折曲させた面板係止部 (38,38)と、さらに該面板係止部 (38,38)の外側折曲部の端部で下方に垂下させた垂下部 (35,35) と、下地材(52)に取り付け固定される基板取り付け部 (36,36)をそれぞれ形成した吊子部材 (31A) と、少なくとも長手方向に延び、前記接合立ち上がり部 (61,61)によって下地材(52)側に押止保持される敷込み部(42)と、前記係止立ち上がり部 (61,61)と垂下部 (35,35) 間の下向き空間部 (40,40) 内で前記敷込み部(42)の両側部から立ち上げて、前記面板支持部 (34,34)裏側に当接される折り返し部 (44, 44) を備えた側壁部 (43,43) をそれぞれ形成した水受け樋部材 (41A) と、を備えてなることを特徴とする建築物における面構造体である。
【0011】
なお、接合部材 (21A)を取り付けた吊子部材 (31A) を下地材(52)に止着し、その後に面板単体部材 (11A)を係止してもよく、また、面板単体部材 (11A)での面板部 (12) の裏面に、必要に応じて、押さえ固定部 (13A,13A)を含めて、耐候性、断熱性、吸音性、耐衝撃性、補強性、難燃性などの諸特性をもつ裏張り材 (16) を貼付させてもよく、さらに、面板単体部材 (11A)に少なくとも長手方向に湾曲させた曲面構成のものを用いてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施の形態について、図1ないし図5を参照して詳しく説明する。図1は本発明の実施態様の要部を示す側断面図であり、図2ないし図5は主要構成部材の個々の部分図である。なお、図中において従来例と同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0013】
本発明の面構造体は、縦葺き屋根面の主体部を構成する縦葺き屋根板部材である面板単体部材11Aと、隣接する面板単体部材11A,11A間を接合する接合部材21Aと、接合された各面板単体部材11A,11Aおよび接合部材21Aを母屋材51側に係止する吊子部材31Aと、吊子部材31Aの下部をカバーして雨水を流す水受け樋部材41Aとで構成される。
【0014】
まず、面板単体部材11Aについては、所定幅に設定されて長手方向に延びる長尺状の面板部12を有しており、この面板部12の両側縁部で下方に折り曲げし、さらに面板部12に平行になるように内側に折り曲げられた押さえ固定部13A, 13Aをそれぞれに形成させるとともに、これら押さえ固定部13A, 13Aの端面から下方に折り曲げしさらに内側に折り返して係止部14A, 14Aとし、かつこれをさらに折り返した上で縁曲げ部15A, 15Aを形成する。なお、押さえ固定部13A, 13Aの一部を含む面板部12の裏面側には、十分な耐候性や断熱性、吸音性、耐衝撃性、補強性、難燃性などの諸特性をもつ裏張り材16が貼付される。
【0015】
なお、この面板単体部材11Aは、特に限定するものではないが、通常、所定幅を有する長尺の強靱な溶融めっき鋼板やステンレスなどの金属薄鋼板類を材料に用いるのが望ましく、これをその長手方向に沿いロール成形するか、あるいは所定長さに裁断したうえで折り曲げ加工(ベンダ加工)等で一連に成形するなどして形成される。
【0016】
接合部材21Aについては、面板単体部材11Aと同様に、長手方向に一連とされる長尺状で、後述するように、面板単体部材11Aを相互に隣接させた状態で対向される各押さえ固定部13A, 13A間の幅とほぼ同じ幅にされた連接表面部22Aを有しており、この連接表面部22Aの左右両側縁部にあって、この場合も、これらの押さえ固定部13A, 13Aに沿って斜め下方へ折り曲げられ、連接表面部22Aに平行になるよう外側に折り曲げられた押さえ固定部13A,13Aに圧接される左右の面板支持部25,25を形成するとともに、各面板支持部25,25の端部から斜め内側に下方に折り曲げ、そして斜め外側下方に折り曲げられた押圧部23Aと、さらに連接表面部22Aにほぼ平行になるよう内側に折り曲げられ、さらにほぼ直角下方に折り返されて、後述する吊子部材31Aの接合部材係止部62, 62に外側から接合させる接合部24A, 24Aをそれぞれ形成する。
【0017】
吊子部材31Aについては、接合基板部32Aの両側の中央部寄りに立ち上げた接合立ち上がり部61, 61と、これら接合立ち上がり部61, 61の上端で底部が接合基板部32Aと平行とされる面を有する前記接合部材21Aを係止する接合部材係止部62, 62と、さらにこれら接合部材係止部62, 62から斜め内側に折り曲げられて、前記接合基板部32Aに平行になるように内側に折り曲げられた前記接合部材21Aの連接表面部22Aを裏面側から受支する接合部材支持部63, 63と、接合基板部32A上の接合立ち上がり部61, 61より外側で上向き空間部64, 64を介して立ち上げられる係止立ち上がり部33A, 33Aと、各係止立ち上がり部33A, 33Aの上端で内側および外側に折り曲げられて、前記面板単体部材11Aの面板部12を裏面側から受支する面板支持部34, 34と、これら面板支持部34, 34の内側折り曲げ部の端部から斜め下方に折り曲げられた面板係止部38, 38と、さらに面板支持部34, 34の外側折り曲げ部の端部で下方に下地材52の厚さ相当分だけそれぞれ垂下された垂下部35, 35と、これら垂下部35, 35の下側端部から外側に折り返されて、下地材52に取り付け固定される基板取り付け部36, 36をそれぞれ形成する。
【0018】
なお、この吊子部材31Aは、たとえばアルミ押出材により一連に成形して形成し、これを所定の長さに裁断して用いるのが望ましいが、強度等が問題なければ強化プラスチック(FRP)とか炭素繊維製品等を用いてもよい。
さらに、水受け樋部材41Aについては、その幅は前記係止立ち上がり部33A, 33Aを超える所定幅に設定されて、少なくとも長手方向に延びる長尺の敷込み部42を有しており、この敷込み部42の両側縁部を、前記係止立ち上がり部33Aと垂下部35間の下向き空間部40内で立ち上げられる側壁部43と、これら側壁部43を内側に敷込み部42に平行な方向に折り曲げて、各面板支持部34, 34の裏側に当接する折り返し部44, 44とをそれぞれに形成したものであり、この水受け樋部材41Aは、前記した面板単体部材11Aの場合と同様の手段で形成される。
【0019】
なお、この場合、前記隣接される各面板単体部材11A, 11Aの面板部12, 12に対して、図6に示されるように、接合部材21Aの連接表面部22Aの形状を変化させることによって、外観上、一つの区切り、ないしは変化を与えるようにしてもよい。すなわち、図6(a) は凹状とされる連接表面部22Bを有する接合部材21Bを、また図6(b) は凸状の連接表面部22Cを有する接合部材21Cをそれぞれ例示している。また、面板単体部材11Aに対しても、その面板部12の長手方向または横手方向に沿い、適宜に段部とか、凸部、あるいは凹部等を形成させて、同様の効果を与え、かつ表面自体の補強などを図ることを妨げるものではない。
【0020】
つぎに、このように構成される本発明の面構造体を用いて、縦葺き屋根構造を葺き上げる手順について説明する。
すなわち、建築物の母屋材51の表面上に下地材52、アスファルトルーフィング53等を介した状態で、まず、棟側から軒側にかけた上下方向の所定位置で所定間隔ごとに水受け樋部材41Aの複数本を配設するとともに、これらの各水受け樋部材41Aをその長手方向の適所ごとに跨ぐように吊子部材31Aを配設して、個々の吊子部材31Aの左右の各基板取り付け部36, 36をたとえばシンワッシャなどの適切な取り付け止着具54, 54によって、それぞれ母屋材51側にしっかり取り付け固定する。
【0021】
ここで、このように吊子部材31Aによって水受け樋部材41Aを取り付け固定した状態では、この水受け樋部材41Aに敷込み部42が吊子部材31Aの各接合立ち上がり部61, 61の下端によって、また左右の面板支持部34, 34によってそれぞれ母屋材51側に強力に押圧保持されるとともに、左右の各折り返し部44, 44以降の各部が各下向き空間部40, 40内に収まり、かつ吊子部材31Aの中間の中央部上向き空間部37および側部上向き空間部64, 64が開放されたままに配設されることになる。
【0022】
続いて、各吊子部材31Aの隣接する相互間には、木毛セメントなどの下地材52を敷き込んだ後、これらの吊子部材31Aの各接合部材係止部62, 62の上方から接合部材21Aを嵌め込み、この接合部材21Aでの左右の各接合部24A, 24Aを前記左右に配置された接合部材係止部62, 62に係止させ、同時に前記吊子部材31Aの左右に対向される各接合部材支持部63, 63に前記連接表面部22Aをきっちりと圧接させる。
【0023】
そしてさらに、吊子部材31Aの各面板支持部34, 34および下地材52上にあって、対応するそれぞれの面板単体部材11Aを載置させ、その裏面側の裏張り材16を圧接させるとともに、隣接する各面板単体部材11A, 11Aでの左右に対向される各押さえ固定部13A,13Aのそれぞれの各係止部14A, 14Aを接合部分、つまり側部上向き空間部64, 64に露出されている吊子部材31Aでの左右の各面板係止部38, 38に対して外側(対向面側)からそれぞれ係止させる。この状態において、接合内部に納め込まれる長手方向に一連とされた水受け樋部材41Aは、接合部24Aから侵入する雨水を外部に排出する雨樋になるものであり、このようにして、所期通りの縦葺き屋根を葺き上げ得るのである。
【0024】
したがって、以上のような構成においては、いうなれば、吊子部材31Aによって水受け樋部材41Aの取り付け固定と、面板単体部材11Aならびに接合部材21Aの相互接合係止との二様の作用を同時に兼用させるようにしているので、これらの水受け樋部材41Aと面板単体部材11A、接合部材21Aとのそれぞれの目的の基に単独して作用させ得ることができ、しかも直接外部に曝されることになる面板単体部材11Aおよび接合部材21Aの係止はそれぞれ独立して行っているものであり、ビス止めなどによる止着手段を用いる必要がない。つまり、止着該当部に穴明けをなさずに済ませていることとも相まって、吊子部材31Aにまず接合部材21Aを係止させることにより、面板部12の表面の傷つき、あるいは荷重付加による面板部12の変形等の恐れがまったくなく、さらに水受け樋部材41Aには十分な流路断面積が確保されて、たとえ一時的に多量の雨水が流れた場合などでも、この雨水が漏れたりするようなことがない。
【0025】
なお、接合部材 (21A)を取り付けた吊子部材 (31A) を下地材(52)に止着し、その後に面板単体部材 (11A)を係止するようにしてもよい。
また、上記の例では、本発明を縦葺き屋根構造に適用する場合について説明したが、その他の、たとえば長手方向に湾曲させることによって曲面構成を有する屋根構造や横葺き形式による屋根構造はもとより、内外の壁面構造などにも適用して、同様な作用効果を得られることはいうまでもない。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、以下の効果を奏するものである。
▲1▼施工時における面板単体部材の表面の傷つきとか荷重付加による面板部の変形がないこと。
▲2▼接合表面の良好な形態保持ならびに雨漏れ防止を図り得ること。
▲3▼所期の構造体を極めて容易にかつ簡単に作業性よく構成させ得ること。
▲4▼縦葺き屋根構造に限らず湾曲構成の屋根構造にも適用し得ること。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様の要部を示す側断面図である。
【図2】本発明に用いられる面板単体部材の正面図である。
【図3】本発明に用いられる接合部材の正面図である。
【図4】本発明に用いられる吊子部材の正面図である。
【図5】本発明に用いられる水受け樋部材の正面図である。
【図6】(a) ,(b) は本発明に用いられる接合部材の他の例を示す正面図である。
【図7】従来例の要部を示す側断面図である。
【図8】(a) 〜(d) は各構成部材の斜視図である。
【符号の説明】
11A 面板単体部材(縦葺き屋根板部材)
12 面板部
13A 押さえ固定部
14A 係止部
15A 縁曲げ部
16 裏張り材
21A,21B,21C 接合部材
22A,22B,22C 連接表面部
23A 押圧部
24A 接合部
25 面板支持部
31A 吊子部材
32A 接合基板部
33A 係止立ち上がり部
34 面板支持部
35 垂下部
36 基板取り付け部
37 上向き空間部
38 面板係止部
40 下向き空間部
41A 水受け樋部材
42 敷込み部
43 側壁部
44 折り返し部
51 母屋材
52 下地材
53 アスファルトルーフィング
54 取り付け止着具
61 接合立ち上がり部
62 接合部材係止部
63 接合部材支持部
64 上向き空間部
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物における面構造体に係り、さらに詳しくは、建築物での屋根面や内外壁面などを構成する面板単体部材で、特に少なくとも接合面が直線状をなす複数の面板単体部材を用い、これらの各面板単体部材の隣接する相互を接合部材を介するとともに、所定の係止部構造によって下地側に引き留め係止して構成する面構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の建築物における屋根や内外壁面などの面構造体を構成するのに用いられる面板単体部材、および面板単体部材相互の接合構造に関しては、従来から数多くの提案がなされている。これらの提案を縦葺き形式による屋根構造のみに限定しても、▲1▼面板単体部材に対応されるところの屋根板部材自体、ならびに、▲2▼隣接して葺き上げられる屋根板部材相互の接合ないし結合仕様および構造形態、あるいは機能面、外観仕様などでの考案についての開発、提案がさかんに行われ、さらに、▲3▼その付帯構造について屋根下地面への取り付けのための同様な結合仕様あるいは構造形態などのさまざまな提案がなされ、これらのものは個々の提案ごとにそれぞれ特有の作用、効果を達成し得るものとされている。
【0003】
このような建築物における面構造体の従来例として、たとえば特開平2−266053号公報に開示されているようなものがある。
その内容は、図7,8に示すように、少なくとも長手方向に延びる面板部12、この面板部12の両側接合部で斜め外側下方へ折曲される押さえ固定部13、各押さえ固定部13の端部で内側へ折り返される係止部14をそれぞれに形成した面板単体部材(縦葺き屋根板部材)11と、長手方向に延びる連接表面部22、この連接表面部22の両側接合部で斜め内側下方へ折曲されて、前記押さえ固定部13に圧接される押圧部23、各押圧部23の端部で外側へ折り返されて、前記係止部14に外側から接合される接合部24をそれぞれに形成した接合部材21と、接合基板部32の両側部に立ち上げた係止立ち上がり部33、各係止立ち上がり部33の上端部で外側へ折曲されて、前記面板部12を裏面側から受支する面板支持部34、各面板支持部34の端部で下方に垂下されて、下地側に取り付け固定される基板取り付け部36、各係止立ち上がり部33相互の内側上向き空間部37内で斜め下向きに対向突出されて、前記係止部14に内側から係止される係止縁39を備えた面板係止部38をそれぞれに形成した吊子部材31と、少なくとも長手方向に伸び、前記各係止立ち上がり部33によって下地側に押止保持される敷込み部42、前記各係止立ち上がり部33相互の外側下向き空間部40内で敷込み部42の両側部から立ち上げて、前記各面板支持部34の裏面側に当接される側壁部43をそれぞれ形成した水受け樋部材41とを備えて構成したことを特徴とする建築物における面構造体である。
【0004】
なお、面板単体部材11での面板部12の裏面には、必要に応じ押さえ固定部13の一部を含めて、少なくとも耐候性、熱絶縁性、吸音性、緩衝性などの諸特性をもつ裏張り材16を貼付させるのがよく、また、吊子部材31の外側にあって、下地側面と面板単体部材11の裏面との間に下地材52を介装させることができる。
このように、吊子部材31によって、水受け樋部材41の取り付け固定と、面板単体部材11ならびに接合部材21の相互接合係着との二様の作用に兼用させるようにしているので、これらの水受け樋部材41と面板単体部材11、接合部材21とのそれぞれを相互にまったく関係ない状態で、これらをそれぞれの目的のもとに単独して作用させることとなる。
【0005】
そして、施工時には、母屋材51上に、まず下地材52とアスファルトルーフィング53を敷き、さらにアスファルトルーフィング53上に所定の間隔ごとに各水受け樋部材41を敷き込むように各吊子部材31をそれぞれ取り付け止着具54によって母屋材51に止着し、その後各吊子部材31間に下地材52を埋めるように敷き込み、面板単体部材11を吊子部材31の面板係止部38に係止し、その後上向き空間部37を塞ぐように接合部材21を接合させることによって、所期通りの縦葺き屋根を葺き上げ得るのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように構成される特開平2−266053号公報の縦葺き屋根構造の場合には、接合内部に敷き込まれる長手方向に一連とされる水受け樋部材41は、接合部24から侵入する雨水を外部に排出する雨樋になるもので、このようにして所期通りの縦葺き屋根を構成し得るが、その反面、葺き上げに際して、その構成中で吊子部材31の面板係止部38にまず面板単体部材11を係止し、その後に接合部材21を接合する必要があるから、以下のような不利を免れ難いものであった。
【0007】
すなわち、接合部材21を接合する際には、すでに面板単体部材11が吊子部材31に係止されており、接合部材21を接合させる際には施工者が面板単体部材11上に乗るかあるいは足を載せて作業する必要があり、その際に面板単体部材11の表面に傷をつける恐れが大きい。面板単体部材11表面の傷は、美観を損ねるばかりではなく、面板単体部材11に塗装薄鋼板を使用する場合はその塗装膜に傷をつけることになるから、長年の使用期間において塗装膜の傷部から発錆する恐れが大きい。
【0008】
そこで、面板単体部材11表面に傷をつけないようにするために、施工時には面板単体部材11上にビニールシートなどの敷物あるいは被覆を施すことが考えられるが、施工費用が高くつくとか、施工効率を低下させる等の不具合が発生するので実質的に困難である。さらに、面板単体部材11上に荷重をかけることにより面板単体部材11の変形が起こり、屋根面全体に波打ち現象とか接合各部からの水漏れなどを生ずる恐れがある。
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の有する課題を解決して、施工時に発生する面板単体部材表面上の傷が発生することのない、さらに雨漏れなどを生ずることのないように、良好かつ効果的に、しかも作業性よく接合し得るようにした建築物における面構造体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも長手方向に延びる面板部(12)と、この面板部(12)の両側縁部で下方に折曲し、さらに前記面板部(12)に平行になるように折曲させた押さえ固定部 (13A,13A)と、該押さえ固定部 (13A,13A)の端面から下方に折曲しさらに内側に折り返される係止部 (14A,14A)をそれぞれ形成した面板単体部材 (11A)と、長手方向に延びる連接表面部 (22A)と、該連接表面部 (22A)の両側縁部で斜め下方へ折曲され、前記連接表面部 (22A)に平行になるよう外側に折曲された前記押さえ固定部 (13A,13A)に圧接される面板支持部 (25,25)と、該面板支持部 (25,25)の端部から斜め内側に下方に折曲し、そして斜め外側下方に折曲させた後に、前記連接表面部 (22A)にほぼ平行になるよう内側に折曲し、さらにほぼ直角下方に折り返されて接合部材係止部 (62,62)に外側から接合される接合部 (24A,24A)をそれぞれ形成した接合部材(21A)と、接合基板部 (32A)の両側部に立ち上げた接合立ち上がり部 (61,61)と、該接合立ち上がり部 (61,61)の上端で底部が前記接合基板部 (32A)と平行とされる面を有し、前記接合部材 (21A)を係止する接合部材係止部 (62,62)と、さらに該接合部材係止部 (62,62)から斜め内側に折曲されて、前記接合基板部 (32A)に平行になるように内側に折曲された前記連接表面部 (22A)を裏面側から受支する接合部材支持部 (63,63)と、前記接合基板部 (32A)上の接合立ち上がり部 (61,61)より外側で立ち上げた係止立ち上がり部 (33A,33A)と、該係止立ち上がり部 (33A,33A)の上端で内側および外側に折曲されて、前記面板部(12)を裏面側から受支する面板支持部 (34,34)と、該面板支持部 (34,34)の内側折曲部の端部から斜め下方に折曲させた面板係止部 (38,38)と、さらに該面板係止部 (38,38)の外側折曲部の端部で下方に垂下させた垂下部 (35,35) と、下地材(52)に取り付け固定される基板取り付け部 (36,36)をそれぞれ形成した吊子部材 (31A) と、少なくとも長手方向に延び、前記接合立ち上がり部 (61,61)によって下地材(52)側に押止保持される敷込み部(42)と、前記係止立ち上がり部 (61,61)と垂下部 (35,35) 間の下向き空間部 (40,40) 内で前記敷込み部(42)の両側部から立ち上げて、前記面板支持部 (34,34)裏側に当接される折り返し部 (44, 44) を備えた側壁部 (43,43) をそれぞれ形成した水受け樋部材 (41A) と、を備えてなることを特徴とする建築物における面構造体である。
【0011】
なお、接合部材 (21A)を取り付けた吊子部材 (31A) を下地材(52)に止着し、その後に面板単体部材 (11A)を係止してもよく、また、面板単体部材 (11A)での面板部 (12) の裏面に、必要に応じて、押さえ固定部 (13A,13A)を含めて、耐候性、断熱性、吸音性、耐衝撃性、補強性、難燃性などの諸特性をもつ裏張り材 (16) を貼付させてもよく、さらに、面板単体部材 (11A)に少なくとも長手方向に湾曲させた曲面構成のものを用いてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施の形態について、図1ないし図5を参照して詳しく説明する。図1は本発明の実施態様の要部を示す側断面図であり、図2ないし図5は主要構成部材の個々の部分図である。なお、図中において従来例と同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0013】
本発明の面構造体は、縦葺き屋根面の主体部を構成する縦葺き屋根板部材である面板単体部材11Aと、隣接する面板単体部材11A,11A間を接合する接合部材21Aと、接合された各面板単体部材11A,11Aおよび接合部材21Aを母屋材51側に係止する吊子部材31Aと、吊子部材31Aの下部をカバーして雨水を流す水受け樋部材41Aとで構成される。
【0014】
まず、面板単体部材11Aについては、所定幅に設定されて長手方向に延びる長尺状の面板部12を有しており、この面板部12の両側縁部で下方に折り曲げし、さらに面板部12に平行になるように内側に折り曲げられた押さえ固定部13A, 13Aをそれぞれに形成させるとともに、これら押さえ固定部13A, 13Aの端面から下方に折り曲げしさらに内側に折り返して係止部14A, 14Aとし、かつこれをさらに折り返した上で縁曲げ部15A, 15Aを形成する。なお、押さえ固定部13A, 13Aの一部を含む面板部12の裏面側には、十分な耐候性や断熱性、吸音性、耐衝撃性、補強性、難燃性などの諸特性をもつ裏張り材16が貼付される。
【0015】
なお、この面板単体部材11Aは、特に限定するものではないが、通常、所定幅を有する長尺の強靱な溶融めっき鋼板やステンレスなどの金属薄鋼板類を材料に用いるのが望ましく、これをその長手方向に沿いロール成形するか、あるいは所定長さに裁断したうえで折り曲げ加工(ベンダ加工)等で一連に成形するなどして形成される。
【0016】
接合部材21Aについては、面板単体部材11Aと同様に、長手方向に一連とされる長尺状で、後述するように、面板単体部材11Aを相互に隣接させた状態で対向される各押さえ固定部13A, 13A間の幅とほぼ同じ幅にされた連接表面部22Aを有しており、この連接表面部22Aの左右両側縁部にあって、この場合も、これらの押さえ固定部13A, 13Aに沿って斜め下方へ折り曲げられ、連接表面部22Aに平行になるよう外側に折り曲げられた押さえ固定部13A,13Aに圧接される左右の面板支持部25,25を形成するとともに、各面板支持部25,25の端部から斜め内側に下方に折り曲げ、そして斜め外側下方に折り曲げられた押圧部23Aと、さらに連接表面部22Aにほぼ平行になるよう内側に折り曲げられ、さらにほぼ直角下方に折り返されて、後述する吊子部材31Aの接合部材係止部62, 62に外側から接合させる接合部24A, 24Aをそれぞれ形成する。
【0017】
吊子部材31Aについては、接合基板部32Aの両側の中央部寄りに立ち上げた接合立ち上がり部61, 61と、これら接合立ち上がり部61, 61の上端で底部が接合基板部32Aと平行とされる面を有する前記接合部材21Aを係止する接合部材係止部62, 62と、さらにこれら接合部材係止部62, 62から斜め内側に折り曲げられて、前記接合基板部32Aに平行になるように内側に折り曲げられた前記接合部材21Aの連接表面部22Aを裏面側から受支する接合部材支持部63, 63と、接合基板部32A上の接合立ち上がり部61, 61より外側で上向き空間部64, 64を介して立ち上げられる係止立ち上がり部33A, 33Aと、各係止立ち上がり部33A, 33Aの上端で内側および外側に折り曲げられて、前記面板単体部材11Aの面板部12を裏面側から受支する面板支持部34, 34と、これら面板支持部34, 34の内側折り曲げ部の端部から斜め下方に折り曲げられた面板係止部38, 38と、さらに面板支持部34, 34の外側折り曲げ部の端部で下方に下地材52の厚さ相当分だけそれぞれ垂下された垂下部35, 35と、これら垂下部35, 35の下側端部から外側に折り返されて、下地材52に取り付け固定される基板取り付け部36, 36をそれぞれ形成する。
【0018】
なお、この吊子部材31Aは、たとえばアルミ押出材により一連に成形して形成し、これを所定の長さに裁断して用いるのが望ましいが、強度等が問題なければ強化プラスチック(FRP)とか炭素繊維製品等を用いてもよい。
さらに、水受け樋部材41Aについては、その幅は前記係止立ち上がり部33A, 33Aを超える所定幅に設定されて、少なくとも長手方向に延びる長尺の敷込み部42を有しており、この敷込み部42の両側縁部を、前記係止立ち上がり部33Aと垂下部35間の下向き空間部40内で立ち上げられる側壁部43と、これら側壁部43を内側に敷込み部42に平行な方向に折り曲げて、各面板支持部34, 34の裏側に当接する折り返し部44, 44とをそれぞれに形成したものであり、この水受け樋部材41Aは、前記した面板単体部材11Aの場合と同様の手段で形成される。
【0019】
なお、この場合、前記隣接される各面板単体部材11A, 11Aの面板部12, 12に対して、図6に示されるように、接合部材21Aの連接表面部22Aの形状を変化させることによって、外観上、一つの区切り、ないしは変化を与えるようにしてもよい。すなわち、図6(a) は凹状とされる連接表面部22Bを有する接合部材21Bを、また図6(b) は凸状の連接表面部22Cを有する接合部材21Cをそれぞれ例示している。また、面板単体部材11Aに対しても、その面板部12の長手方向または横手方向に沿い、適宜に段部とか、凸部、あるいは凹部等を形成させて、同様の効果を与え、かつ表面自体の補強などを図ることを妨げるものではない。
【0020】
つぎに、このように構成される本発明の面構造体を用いて、縦葺き屋根構造を葺き上げる手順について説明する。
すなわち、建築物の母屋材51の表面上に下地材52、アスファルトルーフィング53等を介した状態で、まず、棟側から軒側にかけた上下方向の所定位置で所定間隔ごとに水受け樋部材41Aの複数本を配設するとともに、これらの各水受け樋部材41Aをその長手方向の適所ごとに跨ぐように吊子部材31Aを配設して、個々の吊子部材31Aの左右の各基板取り付け部36, 36をたとえばシンワッシャなどの適切な取り付け止着具54, 54によって、それぞれ母屋材51側にしっかり取り付け固定する。
【0021】
ここで、このように吊子部材31Aによって水受け樋部材41Aを取り付け固定した状態では、この水受け樋部材41Aに敷込み部42が吊子部材31Aの各接合立ち上がり部61, 61の下端によって、また左右の面板支持部34, 34によってそれぞれ母屋材51側に強力に押圧保持されるとともに、左右の各折り返し部44, 44以降の各部が各下向き空間部40, 40内に収まり、かつ吊子部材31Aの中間の中央部上向き空間部37および側部上向き空間部64, 64が開放されたままに配設されることになる。
【0022】
続いて、各吊子部材31Aの隣接する相互間には、木毛セメントなどの下地材52を敷き込んだ後、これらの吊子部材31Aの各接合部材係止部62, 62の上方から接合部材21Aを嵌め込み、この接合部材21Aでの左右の各接合部24A, 24Aを前記左右に配置された接合部材係止部62, 62に係止させ、同時に前記吊子部材31Aの左右に対向される各接合部材支持部63, 63に前記連接表面部22Aをきっちりと圧接させる。
【0023】
そしてさらに、吊子部材31Aの各面板支持部34, 34および下地材52上にあって、対応するそれぞれの面板単体部材11Aを載置させ、その裏面側の裏張り材16を圧接させるとともに、隣接する各面板単体部材11A, 11Aでの左右に対向される各押さえ固定部13A,13Aのそれぞれの各係止部14A, 14Aを接合部分、つまり側部上向き空間部64, 64に露出されている吊子部材31Aでの左右の各面板係止部38, 38に対して外側(対向面側)からそれぞれ係止させる。この状態において、接合内部に納め込まれる長手方向に一連とされた水受け樋部材41Aは、接合部24Aから侵入する雨水を外部に排出する雨樋になるものであり、このようにして、所期通りの縦葺き屋根を葺き上げ得るのである。
【0024】
したがって、以上のような構成においては、いうなれば、吊子部材31Aによって水受け樋部材41Aの取り付け固定と、面板単体部材11Aならびに接合部材21Aの相互接合係止との二様の作用を同時に兼用させるようにしているので、これらの水受け樋部材41Aと面板単体部材11A、接合部材21Aとのそれぞれの目的の基に単独して作用させ得ることができ、しかも直接外部に曝されることになる面板単体部材11Aおよび接合部材21Aの係止はそれぞれ独立して行っているものであり、ビス止めなどによる止着手段を用いる必要がない。つまり、止着該当部に穴明けをなさずに済ませていることとも相まって、吊子部材31Aにまず接合部材21Aを係止させることにより、面板部12の表面の傷つき、あるいは荷重付加による面板部12の変形等の恐れがまったくなく、さらに水受け樋部材41Aには十分な流路断面積が確保されて、たとえ一時的に多量の雨水が流れた場合などでも、この雨水が漏れたりするようなことがない。
【0025】
なお、接合部材 (21A)を取り付けた吊子部材 (31A) を下地材(52)に止着し、その後に面板単体部材 (11A)を係止するようにしてもよい。
また、上記の例では、本発明を縦葺き屋根構造に適用する場合について説明したが、その他の、たとえば長手方向に湾曲させることによって曲面構成を有する屋根構造や横葺き形式による屋根構造はもとより、内外の壁面構造などにも適用して、同様な作用効果を得られることはいうまでもない。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、以下の効果を奏するものである。
▲1▼施工時における面板単体部材の表面の傷つきとか荷重付加による面板部の変形がないこと。
▲2▼接合表面の良好な形態保持ならびに雨漏れ防止を図り得ること。
▲3▼所期の構造体を極めて容易にかつ簡単に作業性よく構成させ得ること。
▲4▼縦葺き屋根構造に限らず湾曲構成の屋根構造にも適用し得ること。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様の要部を示す側断面図である。
【図2】本発明に用いられる面板単体部材の正面図である。
【図3】本発明に用いられる接合部材の正面図である。
【図4】本発明に用いられる吊子部材の正面図である。
【図5】本発明に用いられる水受け樋部材の正面図である。
【図6】(a) ,(b) は本発明に用いられる接合部材の他の例を示す正面図である。
【図7】従来例の要部を示す側断面図である。
【図8】(a) 〜(d) は各構成部材の斜視図である。
【符号の説明】
11A 面板単体部材(縦葺き屋根板部材)
12 面板部
13A 押さえ固定部
14A 係止部
15A 縁曲げ部
16 裏張り材
21A,21B,21C 接合部材
22A,22B,22C 連接表面部
23A 押圧部
24A 接合部
25 面板支持部
31A 吊子部材
32A 接合基板部
33A 係止立ち上がり部
34 面板支持部
35 垂下部
36 基板取り付け部
37 上向き空間部
38 面板係止部
40 下向き空間部
41A 水受け樋部材
42 敷込み部
43 側壁部
44 折り返し部
51 母屋材
52 下地材
53 アスファルトルーフィング
54 取り付け止着具
61 接合立ち上がり部
62 接合部材係止部
63 接合部材支持部
64 上向き空間部
Claims (4)
- 少なくとも長手方向に延びる面板部(12)と、この面板部(12)の両側縁部で下方に折曲し、さらに前記面板部(12)に平行になるように折曲させた押さえ固定部 (13A,13A)と、該押さえ固定部 (13A,13A)の端面から下方に折曲しさらに内側に折り返される係止部 (14A,14A)をそれぞれ形成した面板単体部材 (11A)と、
長手方向に延びる連接表面部 (22A)と、該連接表面部 (22A)の両側縁部で斜め下方へ折曲され、前記連接表面部 (22A)に平行になるよう外側に折曲された前記押さえ固定部 (13A,13A)に圧接される面板支持部 (25,25)と、該面板支持部 (25,25)の端部から斜め内側に下方に折曲し、そして斜め外側下方に折曲させた後に、前記連接表面部 (22A)にほぼ平行になるよう内側に折曲し、さらにほぼ直角下方に折り返されて接合部材係止部 (62,62)に外側から接合される接合部 (24A,24A)をそれぞれ形成した接合部材 (21A)と、
接合基板部 (32A)の両側部に立ち上げた接合立ち上がり部 (61,61)と、該接合立ち上がり部 (61,61)の上端で底部が前記接合基板部 (32A)と平行とされる面を有し、前記接合部材 (21A)を係止する接合部材係止部 (62,62)と、さらに該接合部材係止部 (62,62)から斜め内側に折曲されて、前記接合基板部(32A)に平行になるように内側に折曲された前記連接表面部 (22A)を裏面側から受支する接合部材支持部 (63,63)と、前記接合基板部 (32A)上の接合立ち上がり部 (61,61)より外側で立ち上げた係止立ち上がり部 (33A,33A)と、該係止立ち上がり部 (33A,33A)の上端で内側および外側に折曲されて、前記面板部(12)を裏面側から受支する面板支持部 (34,34)と、該面板支持部 (34,34)の内側折曲部の端部から斜め下方に折曲させた面板係止部 (38,38)と、さらに該面板係止部 (38,38)の外側折曲部の端部で下方に垂下させた垂下部(35,35) と、下地材(52)に取り付け固定される基板取り付け部 (36,36)をそれぞれ形成した吊子部材 (31A) と、
少なくとも長手方向に延び、前記接合立ち上がり部 (61,61)によって下地材(52)側に押止保持される敷込み部(42)と、前記係止立ち上がり部 (61,61)と垂下部 (35,35) 間の下向き空間部 (40,40) 内で前記敷込み部(42)の両側部から立ち上げて、前記面板支持部 (34,34)裏側に当接される折り返し部 (44, 44) を備えた側壁部 (43,43) をそれぞれ形成した水受け樋部材 (41A) と、を備えてなることを特徴とする建築物における面構造体。 - 接合部材 (21A)を取り付けた吊子部材 (31A) を下地材(52)に止着し、その後に面板単体部材 (11A)を係止してなることを特徴とする請求項1記載の建築物における面構造体。
- 面板単体部材 (11A)での面板部 (12) の裏面に、必要に応じて、押さえ固定部 (13A,13A)を含めて、耐候性、断熱性、吸音性、耐衝撃性、補強性、難燃性などの諸特性をもつ裏張り材 (16) を貼付させてなることを特徴とする請求項1または2記載の建築物における面構造体。
- 面板単体部材 (11A)が、少なくとも長手方向に湾曲させた曲面構成とされることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の建築物における面構造体。
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