JP3832944B2 - 防水部における側溝構造とこれに用いる側溝部材。 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
この発明は、防水部、特に一戸建て住宅等のベランダ、バルコニ−等の防水層部に隣接して形成され、防水層部から流出する雨水等を排水孔に誘導排出するための側溝構造とこれに用いられる側溝部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ベランダ、バルコニ−等の下部空間を有効に利用するため居室その他を形成する場合、降雨等の対策として防水処理が必要となる。そして、この防水面を流れる雨水等は排水孔に集中させて外部に排出することになる。
ところで、排水孔への水の流出は、防水部面に若干の勾配を形成し、この傾斜を利用して行なえば良いが、防水部面を流れる水をすべて排水孔に集中させるような勾配を形成するには複雑な傾斜処理が必要であり、施工も複雑となる。
このため、従来一般にはベランダ、バルコニ−等の端部に側溝を形成し、この側溝に防水層部から雨水等を流出せしめた後、排水孔に誘導排出するようにしている。 側溝の形成にあたっては、現場でモルタル等を用いて勾配をつける、あるいは角材、合板等の組み合わせにより勾配を形成する等の方策がとられていたが、この方法は作業者個人の技術に左右されるため作業品質の安定性に欠ける虞がある。
そこで、このような手作業による側溝形成に替えて、あらかじ工場等で水勾配をつけた成形部材を作成し、これらを現場でつなぎ合わせて側溝を所定箇所に形成する工法が多く用いられている。図5は、このような従来工法における側溝構造を示す図である。
図において、11は端部側溝部材であり、底部11aとこの底部11aの両端縁に立ち上がる壁部11b,11bおよび突当部11cとを具えている。21は傾斜側溝部材で、勾配底部21a、この勾配底部21aの両端縁に立ち上がる壁部21b,21bとを具えている。また、端部側溝部材11および傾斜側溝部材21の各壁部の上端には水平フランジ11d,21cおよびL型フランジ11e,21dがそれぞれ設けられており、不図示の相手方部材を介してベランダ、バルコニ−等の床面あるいは立上部に取り付けられている。なお、31はベランダ、バルコニ−等の防水層部、41は同じく立上部である。防水層部31に連接する側溝の形成は、前述の端部側溝部材11に傾斜側溝部材21を通常は複数連結してなされることになる。
例えば、図5に示す端部側溝部材11の溝の深さ、すなわち壁部11bの高さは20mmであり、これに連接される傾斜側溝部材21において壁部21bの始端部(端部側溝部材11に接する側、図で右側)の高さは20mmで、終端部(図で左側)では40mmとなっているから、この傾斜側溝部材21の終端部の溝深さ40mmと同一の深さの始端部を有する他の傾斜側溝部材、さらには端部側溝部材を順次連設して所定長さの側溝を形成することになる。
【0003】
【発明が解決すべき課題】
しかしながら、上述の従来技術には、部品点数の増大に起因すべき多くの不都合がある。
すなわち、形成すべき側溝の長さ、勾配等はベランダ、バルコニ−等の形状、広さにより種々様々であり、これに対応するため多種類の寸法形状の傾斜側溝部材を用意する必要がある。また、排水孔の位置によって前記L型フランジと水平フランジの形成位置を逆にする必要もあるから、用意すべき側溝部材溝部材の種類はさらに多くなり、煩雑な設計作業、煩雑な施工、多種類の部材に伴う在庫管理の過大な負担、これらに伴うコストの高騰等を強いられることになる。
【0004】
【発明の概要】
本願発明は、側溝構造を、勾配部と、この勾配部上に設置される側溝本体部と、前記側溝本体部の両側端に形成される一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部とを具えて構成して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
そして、上記において、前記勾配部は所定の勾配を有する単位勾配部材を連設して形成するとともに、前記側溝本体部は基部とその両端に形成される壁部を有する側溝部材を1または2以上前記勾配部上に連結載置し、前記一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部は前記側溝部材の両側端に付設される柔軟性を有する樹脂シ−トにより構成することがある。
さらに、上記において、前記単位勾配部材は発泡樹脂材により、前記側溝部材は塩化ビニ−ル被覆鋼板により、また前記折曲・湾曲自在な立ち上がり部は塩化ビニ−ルシ−トによりそれぞれ構成することがある。
さらにまた、上記において、前記一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部は、一体に形成されて前記側溝部材の底部表面を被覆することがある。
また、本願は、基部と、その両端に形成される一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部とを具える側溝部材を提供して、上記従来の課題解決に寄与しようとするものである。
そして、上記側溝部材において、前記基部はその両端に形成される壁部を有し、前記一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部は基部の前記壁部にそれぞれ付設することがある。
また、上記側溝部材において、前記一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部は一体に形成するとともに、基部の底部表面を被覆することがある。
さらに、上記側溝部材において、前記基部は塩化ビニ−ル被覆鋼板で構成し、前記折曲・湾曲自在な立ち上がり部は柔軟性を有する樹脂シ−トで構成することがある。
【0005】
【発明の実施例】
図面に基ずいて本願発明の実施例を説明する。
図1は、本願に係る側溝構造の1実施例を示す一部切欠斜視図であり、図において、1は後述の側溝部材を複数連結して形成される側溝本体部、2は両側端に形成される一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部、3は後述の単位勾配部材を連結・積層してなる勾配部で、これら側溝本体部1、一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部2および勾配部3により側溝Aが構成されている。
Sはコンクリ−トスラブ、PCはベランダの床面を形成するコンクリ−トパネル、4は合板、5は合板4の上面に貼着された防水層としての塩化ビニ−ルシ−ト、6はベランダ床面の表層を形成する外装材である。
また、7は側溝Aの側端を処理するための支持部材、8は支持部材7との間に折曲・湾曲自在な立ち上がり部2の一端を挟持する塩化ビニ−ルシ−トである。
そして、一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部2の一方端(図で右方)は、コンクリ−トパネルPCの端部に設置された塩ビ被覆鋼板(ブラケット)B1に係止されていて、これを覆うように前述の防水層としての塩化ビニ−ルシ−ト5が貼着されている。
また、一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部2の他方端(図で左方)は、支持部材7に取り付けられた塩ビ被覆鋼板(ブラケット)B2に係止されていて、これを覆うように前述の塩化ビニ−ルシ−ト8が貼着されている。 このようにして、一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部2は、側溝Aのいわば壁面を形成することになる。
【0006】
図2は、図1における側溝本体部1、折曲・湾曲自在な立ち上がり部2および勾配部3との関連構成を示す斜視図である。勾配部3は、後述の単位勾配部材3a,3b,3cを連設・積層して条件に合致する所定長さの勾配部3を形成しているが、勿論、このような構成によらず、適宜の支持材を敷設して勾配部を形成してもよい。 なお、図において、2a,2aは折曲・湾曲自在な立ち上がり部2の上端の折返し端部で、前述のように係止ブラケット等の支持係止手段により固定されることになる。
【0007】
図3(a)は、図1、2に示す側溝本体部1を構成する側溝部材9を示す図で、両端に壁部9b,9bを一体に有して成る断面コ字形状の長手状部材である基部9aと、塩化ビニ−ルシ−トからなる折曲・湾曲自在な立ち上がり部2と、から構成されている。そしてこの実施例では、前記基部9aはいわゆる塩ビ被覆鋼板で形成されている。折曲・湾曲自在な立ち上がり部2は、基部9aの両端縁にそれぞれ立ち上がり可能なように1対設けられるが、本実施例では一体に形成され、しかも基部9aの底表面を被覆するように基部9aに所定の接着手段により貼着されている。なお、図3(b)は、前記とは異なり、一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部2を基部9aの両端縁に各個に付設した例を示している。
なお、折曲・湾曲自在な立ち上がり部2の立ち上がり可能長さ(図3で垂直部分の長さ)は、形成すべき側溝の深さと前述のブラケット等に係止するために折返す部分とを勘案した長さに設定する。
さらに、当該実施例では、基部9aは塩ビ被覆鋼板で形成する例を示したが、材質はこれに限られることなく、塗装鋼板、アルミ板、各種のプラスチック材を用いることができる。また、折曲・湾曲自在な立ち上がり部2も、ゴム、ポリエステルその他の柔軟性を有する樹脂材、あるいはアスファルト含浸不織布等の防水機能を有するものを使用することができる。
【0008】
図4(a),(b),(c)はそれぞれ、図2における勾配部3を構成する単位勾配部材3a,3b,3cを示す斜視図である。これらの単位勾配部材3a,3b,3cの長さはすべて等しく、単位勾配部材3a,3bの勾配はあらかじめ定めた所定の傾斜角に設定してあり、スチロ−ル等の発泡樹脂材で形成されている。そして、単位勾配部材3bの始端aの厚さは、単位勾配部材3aの終端bの厚さに等しく設定されている。また、3cは傾斜角を有しない平板である。この平板3cの厚さと単位勾配部材3aの始端aの厚さとの和は、単位勾配部材3aの終端bの厚さに等しくなっている。また、単位勾配部材3bの終端bと平板3cの厚さの和は、単位勾配部材3aの始端aと平板3cの厚さの2倍との和に等しく設定されてる。このため、これら各種の単位勾配部材を連結・積層することにより、図2に示すように、側溝設置条件に対応した所望の勾配部を形成することができる。
なお、単位勾配部材は図示のように側溝本体部の全長にわたり敷設することなく、点在させてもよい。また、発泡樹脂材の成形、加工は容易であるから、上述のように予め所定の形状寸法の単位勾配部材を準備することなく、施工現場で各種の条件に合わせて加工設置することも可能である。
【0009】
次に、図1に示す側溝構造の施工手順の概要を説明する。
まず、側溝の設置箇所に単位勾配部材3a,3b,3c等を連結・積層することにより、図2に示すような所定長さの勾配部3を形成する。各単位勾配部材のスラブ面への固着は両面接着シ−ト等を使用する。
次いで、図3に示す側溝部材9を1または複数個、前記勾配部3上に連結して側溝本体部1を形成する。なお、勾配部材と側溝部材との固定は前記同様、両面接着シ−トを用いる。図3に示す側溝部材9には、予め折曲・湾曲自在な立ち上がり部としての塩化ビニ−ルシ−ト2が付設されているから、これを垂直方向に展張し、その端部を折返して図1に示すブラケットB1,B2に貼着した後、塩化ビニ−ルシ−ト5、8等を張り合せる。上述において、塩化ビニ−ルシ−ト2を展張してブラケットに対して折返す場合、折返し端部2aは不整形になるから,図2に示すようにカッタ−等で切り揃えてもよい。
【0010】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明は、側溝構造を、勾配部と、この勾配部上に設置される側溝本体部と、前記側溝本体部の両側端に形成される一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部と、この立ち上がり部の端部係止手段を具えて構成して、前記勾配部は所定の勾配を有する単位勾配部材を連設して形成するとともに、前記側溝本体部は基部とその両端に形成される壁部を有する側溝部材を1または2以上前記勾配部上に連結載置し、前記一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部は前記側溝部材の両側端に付設される柔軟性を有する樹脂シ−トにより構成したので、特にベランダ、バルコニ−等における側溝の構築にあたり、設計、施工が迅速、容易となり、構成部材の部品点数も少ないため原価コストも低廉である。
また、本願に係るの側溝部材も前述の構成により、ベランダ、バルコニ−等における側溝の構築を極めて容易ならしめる効果を有する。
することがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る側溝構造の1実施例を示す一部切欠斜視図である。
【図2】図1において、側溝本体部1、折曲・湾曲自在な立ち上がり部2および勾配部3との関連構成を示す斜視図である。
【図3】(a)折曲・湾曲自在な立ち上がり部を具えた側溝部材の1実施例を示す斜視図である。
【図3】(b)折曲・湾曲自在な立ち上がり部を具えた側溝部材の他の実施例を示す斜視図である。
【図4】(a),(b),(c)ともに単位勾配部材の1実施例を示す斜視図である。
【図5】 従来技術を示す一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
1 側溝本体部
2 折曲・湾曲自在な立ち上がり部
3 勾配部
3a,3b,3c 勾配部材
4 防水層
9 側溝部材
Claims (4)
- 防水部から流出する雨水等を排水孔に誘導排出するため防水部に隣接形成される側溝構造であって、勾配部と、この勾配部上に設置される側溝本体部と、前記側溝本体部の両側端に形成される一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部とを具えてなり、
前記勾配部は所定の勾配を有する単位勾配部材を連設して形成するとともに、前記側溝本体部は基部とその両端に形成される壁部を有する側溝部材を1または2以上前記勾配部上に連結載置し、前記一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部は前記側溝部材の両側端に付設される柔軟性を有する樹脂シ−トにより構成したことを特徴とする防水部における側溝構造。 - 請求項1において、前記単位勾配部材は発泡樹脂材により、前記側溝部材は塩化ビニ−ル被覆鋼板により、また前記折曲・湾曲自在な立ち上がり部は塩化ビニ−ルシ−トによりそれぞれ構成するとともに、前記一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部は、一体に形成されて前記側溝部材の底部表面を被覆するようにしたことを特徴とする防水部における側溝構造。
- 防水部から流出する雨水等を排水孔に誘導排出するため防水部に隣接形成される側溝構造に用いる側溝部材であって、基部と、その両端に形成される一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部とを具え、前記基部はその両端に形成される壁部を有し、前記一対の折曲・湾曲自在な立ち上がり部は前記壁部にそれぞれ付設したことを特徴とする側溝部材。
- 請求項3において、前記基部は塩化ビニ−ル被覆鋼板で構成し、前記折曲・湾曲自在な立ち上がり部は一体に形成して柔軟性を有する樹脂シ−トで構成するとともに、基部の前記底部表面を被覆するようにしたことを特徴とする側溝部材。
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