JP3556781B2 - 脂溶性ビタミンを含有する乳化組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳化組成物に関する技術分野に属する。より詳細には、特に含有する脂溶性ビタミンの経時的安定性に優れた水溶性溶媒中油型エマルションを主体とした乳化組成物に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、皮膚外用剤の有効成分として各種のビタミン類が用いられており、その中でも、ビタミンA,ビタミンE,ビタミンD等の脂溶性ビタミン類は、肌改善効果の高い薬剤として非常に有効な成分として知られている。
しかしながら、これらの脂溶性ビタミン類は水が存在しない場合は、比較的安定であるが、水の存在下では非常に酸化されやすく不安定であることが知られている。
よって、有効成分と水とが接触する機会が多い皮膚外用剤において、この脂溶性ビタミンを配合することを企図する場合には、脂溶性ビタミンを経時的に安定に保つことが重要事項となる。
【0003】
従来から、乳化系の皮膚外用剤にも、これらの脂溶性ビタミン類が配合されているが、系中に存在する水のために極めて不安定であり、経時と共に速やかに酸化されてその効力の多くを失う傾向が強く、この系中において長期にわたり脂溶性ビタミン類を安定に保持することは容易ではない。
さらに、通常の乳化工程では、安定な乳化系を得ることを主な目的として、加熱工程を伴うことが多く、その結果、ビタミンAやビタミンDのように熱分解性の高い脂溶性ビタミン類は、一層安定性が低下する傾向にある。
【0004】
そこで、これらの脂溶性ビタミン類の乳化系における安定化を図るべく、例えばビタミンAの配合製剤において、各種のトコフェロール抗酸化剤やエデト酸塩や特定のエステル油との併用が提案されているが(特開昭58−41813号公報)、この場合はエステル油の配合による製品の使用感に及ぼす影響が問題となり、抜本的な解決手段とはいえない面があることは否めない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決すべき課題は、有効成分として配合する脂溶性ビタミン類の安定性を格段に向上させ、かつ加熱工程を経なくても十分安定なエマルションを形成し、熱分解性の高い脂溶性ビタミン類の加熱による分解を回避することができる乳化組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題の解決に向けて鋭意検討を行った。その結果、上記の安定な水中油型エマルションの製造法(特開昭57−29213号公報)に従って水中油型エマルションを製造するに際して、添加する油相に脂溶性ビタミンを含ませることで、上記の課題を解決することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の工程を含む製造方法により製造される脂溶性ビタミン(ビタミンAパルミテート,α−トコフェロール及びビタミンEアセテートを除く)を含んでなる乳化組成物を提供する。
1.親水性非イオン性界面活性剤を添加した水溶性溶媒中に水を含有させ、次いでこれにビタミンAパルミテート,α−トコフェロール及びビタミンEアセテートを除く脂溶性ビタミンを含む油相を添加して、水溶性溶媒中油型エマルションを調製する第1工程;
2.上記水溶性溶媒中油型エマルションに水相を添加する第2工程。
以下の工程を含む製造方法により製造される脂溶性ビタミン(ビタミンAパルミテート,α−トコフェロール及びビタミンEアセテートを除く)を含んでなる乳化組成物。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
A.水溶性溶媒中油型エマルションを調製する第1工程における実施の形態:
先ず、後述する親水性非イオン性界面活性剤を水溶性溶媒に溶解させ、この水溶性溶媒の表面張力が小さいことを利用して、界面に親水性非イオン性界面活性剤を効率よく配向させた後、水を徐々に添加することにより水溶性溶媒に水相としての役割をを代行させる。
【0009】
この水溶性溶媒中に添加する親水性非イオン性界面活性剤は、概ね酸化エチレンを15モル以上付加重合させた非イオン性界面活性剤であり、これらは概ねHLBが10以上の非イオン性界面活性剤である。
【0010】
具体的には、例えばPOE−ソルビタンモノラウレート,POE−ソルビタンモノステアレート,POE−ソルビタンモノオレエート,POE−ソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE−ソルビットモノラウレート,POE−ソルビットモノラウレート,POE−ソルビットモノオレエート,POE−ソルビットペンタオレエート,POE−ソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POE−グリセリンモノステアレート,POE−グリセリンモノイソステアレート,POE−グリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POE−モノオレエート,POE−ジステアレート,POE−モノジオレーエート,ステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類;POE−ラウリルエーテル,POE−オレイルエーテル,POE−ステアリルエーテル,POE−ベヘニルエーテル,POE2−オクチルドデシルエーテル,POE−コレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE−オクチルフェニルエーテル,POE−ノニルフェニルエーテル,POE−ノニルフェニルエーテル,POE−ジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;ブルロニック等のプルアロニック型類;POE・POP−セチルエーテル,POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル;POE・POP−モノブチルエーテル,POE・POP水添ラノリン,POE・POP−グリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類;テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類:POEヒマシ油,POE硬化ヒマシ油,POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート,POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート,POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル,POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油又は硬化ヒマシ油誘導体;POEソルビットミツロウ等のミツロウラノリン誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド,ラウリン酸モノエタノールアミド,脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド;POEプロピレングリコール脂肪酸エステル,POEアルキルアミン,POE脂肪酸アミド,ショ糖脂肪酸エステル,POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物,アルキルエトキシジメチルアミンオキシド,トリオレイルリン酸等を挙げることが可能である。また、これらを単独で添加することも可能であり、また2種以上を組み合わせて添加することも可能である。
【0011】
本発明において、特に好ましい親水性非イオン性界面活性剤としては、本発明乳化組成物の製造工程において、系に配合する油相や水溶性溶媒の選択幅を広くし得るという理由から、例えばヒマシ油又は硬化ヒマシ油の酸化エチレン30〜80モル付加物、オレイン酸モノグリセリド又はステアリルグリセリルエーテルの酸化エチレン20〜100モル付加物、ラノリン又はその脂肪酸若しくはアルコール類の酸化エチレン15〜60モル付加物等を挙げることができる。
【0012】
本発明乳化組成物における上記親水性非イオン性界面活性剤の配合量は、組成物に対して0.1重量%以上,10重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは同0.3重量%以上,5重量%以下である。この配合量が組成物の0.1重量%未満では、乳化組成物の経時的安定性が低下する傾向にあり好ましくなく、逆に同10重量%を越えると、配合する脂溶性ビタミンの安定性を損ねる傾向にあり好ましくない。
【0013】
この親水性非イオン性界面活性剤を添加する水溶性溶媒は、低級1価アルコール類,低級多価アルコール類,ケトン類,アルデヒド類,エーテル類,アミン類,低級脂肪酸類等親水性で、「親水性非イオン性界面活性剤を溶解する」という性質を有する限り特に限定されるものではない。
【0014】
例えば、メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロパノール,ベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール,プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ポリグリセリン(ジグリセリン,トリグリセリン,テトラグリセリン等)のグリセリン類;澱粉分解還元アルコール等の多価アルコール;アセトン,アセトニルアセトン,ジアセトンアルコール等のケトン類;ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド等のアルデヒド類;エチレンオキサイド,ジオキサン,エチレングリコールモノメチルエーテル,ジメチレングリコールモノプロピルエーテル,エチレングリコールモノイソプロピルエーテル,エチレングリコールモノブチルエーテル,エチレングリコールモノイソブチルエーテル,エチレングリコールモノプロピルエーテル(モノイソプロピルエーテル),ジメチレングリコールモノエチルエーテル,ジメチレングリコールモノメチルエーテル,ジメチレングリコールモノブチルエーテル,ジメチレングリコールジエチルエーテル,エトキシトリグリコール,モノプロピレングリコールメチルエーテル,酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル,酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル,酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,n−ブチルアミン,エチレンジアミン,プロピレンジアミン,エチルアミン,ピリジン,シクロヘキシルアミン等のアミン類;蟻酸,酢酸,酪酸,乳酸等の低級脂肪酸類;その他酢酸メトキシグリコール,乳酸メチル,乳酸エチル,アセトニトリル,テトラヒドロフラン,フルフリルアルコール等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、これらの水溶性溶媒は、単独で用いることも可能であり、また2種以上を組み合わせて用いることにより、例えば上述の親水性非イオン性界面活性剤の溶解性を適宜調整することが可能である。
【0015】
本発明において、特に好ましい水溶性溶媒としては、非常に細かい乳化粒子を得ることが容易であるという理由から、例えばプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等を挙げることができる。
【0016】
本発明において用いる上記水溶性溶媒は、前記のように水を徐々に添加するが、最終的にはこの水溶性溶媒に対して1重量%以上,30重量%以下の水を含有させることが好ましく、さらに好ましくは同5重量%以上,15重量%以下である。この水の含有量が、水溶性溶媒に対して1重量%未満では、上述の親水性非イオン性界面活性剤を水溶性溶媒に添加するにつれて、かなりの高粘度となる傾向にあるため、水溶性溶媒中に、添加した親水性非イオン性界面活性剤を均一に溶解させることが困難になる傾向になり好ましくなく、逆に同30重量%を越えると、乳化粒子が合一しやすくなるために、乳化組成物の経時的安定性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0017】
この水を含有する水溶性溶媒は、組成物の概ね1重量%以上,90重量%以下の範囲で本発明乳化組成物中に配合される。
【0018】
次に、上記の親水性非イオン性界面活性剤を添加して溶解させた水溶性溶媒に、ビタミンAパルミテート,α−トコフェロール及びビタミンEアセテートを除く脂溶性ビタミンを含む油相を添加して、水溶性溶媒中油型エマルションを調製する。
【0019】
添加する脂溶性ビタミンは、ビタミンAパルミテート,α−トコフェロール及びビタミンEアセテートを除く脂溶性ビタミンであれば特に限定されない。
具体的には、例えばレチノール,3−ヒドロレチノール,レチナール,3−ヒドロレチナール,レチノイン酸,3−デヒドロレチノイン酸,ビタミンAアセテート等のビタミンA類;α,β,γ−カロチン,β−クリプトキサンチン,エキネノン等のカロテノイドやキサントフィル等のプロビタミンA類を挙げることができる。
【0020】
また、ビタミンD2 乃至D7 等のビタミンD類;β,γ,δ−トコフェロール、α,β,γ,δ−トコトリエノール,ニコチン酸ビタミンE等のエステル類;ビタミンK1 乃至K3 等のビタミンK類を挙げることができる。
また、これらの脂溶性ビタミン類は、単独で添加することもできるが、2種以上を組み合わせて添加することも可能である。
【0021】
上記の脂溶性ビタミンの配合量は、本発明乳化組成物の具体的な剤型や付与する機能等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。
上記の脂溶性ビタミンを含む油相成分には、本発明の所期の効果を損なわない限り、他の油相成分(薬効成分及び/又は基剤成分)を配合することができる。
【0022】
この他の油性成分としては、例えばアマニ油,ツバキ油,マカデミアナッツ油,トウモロコシ油,ミンク油,オリーブ油,アボガド油,サザンカ油,ヒマシ油,サフラワー油,ホホバ油,ヒマワリ油,ナタネ油,ゴマ油,大豆油,落花生油,トリグリセリン,トリオクタン酸グリセリン,トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂;カカオ脂,ヤシ油,パーム油,パーム核油,硬化油,硬化ヒマシ油,モクロウ,シアバター等の固体油脂;流動パラフィン,スクワラン,スクワレン,パラフィン,イソパラフィン,セレシン,ワセリン,マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素油;ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,メチルハイドロジエンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン,ドデカメチルポリシロキサン,テトラメチルテトラハイドロジエンポリシロキサン等の環状ポリシロキサン等のシリコーン油;3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム等のシリコーン油等を挙げることができる。
【0023】
また、パラアミノ安息香酸等のパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸オクチル,サリチル酸フェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸オクチル,パラメトキシケイ皮酸イソプロピル,ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤を配合することができる。
【0024】
また、ビサボロール,チモール,パントテニルエチルエーテル,エチニルエストラジオール等の油溶性の各種薬剤;ギシギシ,クララ,コウホネ,オレンジ,セージ,ノコギリソウ,ゼニアオイ,センキュウ,センブリ,タイム,トウキ,トウヒ,バーチ,スギナ,ヘチマ,マロニエ,ユキノシタ,アルニカ,ユリ,ヨモギ,シャクヤク,アロエ,クチナシ,サワラ,イザヨイバラ等の植物の有機溶媒抽出物;エチルパラベン,メチルパラベン等の脂溶性の防腐剤;脂溶性の色素,香料等を上記油相成分として、本発明乳化組成物に配合することができる。
【0025】
このようにして、脂溶性ビタミンを含んでなる油相を添加することにより、所望の水溶性溶媒中油型エマルションを調製することができる。
【0026】
B.水溶性溶媒中油型エマルションに水相を添加して本発明乳化組成物を調製する工程における実施の形態:
次いで、上記Aで調製した水溶性溶媒中油型エマルションにさらに水相を添加して本発明乳化組成物を調製する。
【0027】
水相成分としては、水は勿論のこと、アラビアゴム,カラギーナン,ペクチン,寒天,クインスシード(マルメロ),デンプン,アルゲコロイド(褐藻エキス)等の植物系高分子、デキストラン,プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン,カゼイン,ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン,メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース,ニトロセルロース,エチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOL等)等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム,ポリアクリルアミド等のアクリル酸系高分子、ベントナイト,ケイ酸アルミニウムマグネシウム,ラポナイト等の無機系水溶性高分子等の水溶性高分子;ビタミンB類(例えばビタミンB1,同B2 ,同B6 ,同B12,同B15等),ビタミンC,パントテン酸,パンテチン,葉酸等の水溶性ビタミン;ヒノキチオール,イノシトール,サポニン類(サイコサポニン,ニンジンサポニン,ヘチマサポニン,ムクロジサポニン等),トラネキサム酸,プラセンタエキス等の水溶性の各種薬剤;ギシギシ,クララ,コウホネ,オレンジ,セージ,ノコギリソウ,ゼニアオイ,センキュウ,センブリ,タイム,トウキ,トウヒ,バーチ,スギナ,ヘチマ,マロニエ,ユキノシタ,アルニカ,ユリ,ヨモギ,シャクヤク,アロエ,クチナシ,サワラ,イザヨイバラ等の植物のアルコール,多価アルコール,水,水性アルコール等の水溶性溶媒抽出物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
この水相と上記水溶性溶媒中油型エマルションの配合比率は、具体的剤型等に応じて95:5〜5:95の範囲で広く選択することができる。
従来の乳化方法においては、水相が10%以下の安定な水中油型エマルションを調製することは困難であったが、上記した手段により、このように油相の存在比率が高い水中油型エマルションをも安定して製造することが可能である。
【0029】
上記のような水相成分を、上記Aで調製した水溶性溶媒中油型エマルションに添加することにより、本発明乳化組成物を調製することができる。
本発明乳化組成物のとり得る形態及び剤型は、クリーム,乳液等の乳化形態を採る形態及び剤型であれば特に限定されない。
【0030】
本発明乳化組成物は、少ない界面活性剤の添加量に関わらず乳化安定性に優れ、含有する脂溶性ビタミンの安定性にも大変優れる乳化組成物である。
本発明乳化組成物の具体的処方は、後述する実施例において具体的に説明する。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、これにより本発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきものではない。なお、この実施例中、配合量は重量%を表す。
具体的な本発明乳化組成物の処方に言及する前に、本発明の所期の効果を検討する手段を記載する。
【0032】
▲1▼保存安定性試験
乳化組成物を50℃の恒温槽中に静置し、1ヵ月後の状態を観察した。
「安定性」の評価基準
○:色調・臭い・外観性状のいずれにも全く変化がない。
×:色調・臭い・外観性状のいずれかに変化が見られた。
【0033】
▲2▼薬剤安定性試験
乳化組成物を50℃の恒温槽に1ヵ月静置後、各乳化組成物中の薬剤濃度をHPLC法により定量し、各脂溶性ビタミンの当初の配合量に対する残存率(%)を算出した。
【0034】
〔実施例1,比較例1〕下記第1表に示す処方の乳化組成物を下記の製造方法に従って製造し、これらの乳化組成物を上記の基準に基づき評価した。その結果も第1表に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
<製法>
1)実施例1
先ず(A)部について、プロピレングリコールにPOE硬化ヒマシ油を溶解させた後にイオン交換水を徐々に加えて、これに油相部(B)を添加し、乳化を行い、ホモミキサー処理により乳化した。
【0037】
次に、この乳化物に水相部(C)を添加攪拌することにより、乳化組成物を製造した。なお、これらの組成物における乳化粒子の大きさは均一で粒径は、1〜2μm の非常に細かいものであった。
【0038】
2)比較例1
先ず(A)部について、プロピレングリコールにPOE硬化ヒマシ油を溶解させた後にイオン交換水を徐々に加えて、これを水相部(C)に溶解し、70℃に加熱し、これに油相部(B)を添加し乳化を行い、ホモミキサー処理により乳化組成物を調製した。なお、この組成物における乳化粒子の大きさは均一で粒径は、5〜15μm であった。
【0039】
第1表により、実施例1の本発明乳化組成物は、保存安定性にも、脂溶性ビタミンの安定性にも優れていることが明らかになった。その一方で、比較例1の組成物は、処方が同一であっても、実施例1と製造方法が異なり、保存安定性に劣っていた。
【0040】
このことより、所期の効果を得るためには、処方のみならず、その製造方法も重要な要素となることが明らかになった。また、添加する界面活性剤を増量すると、保存安定性にはほとんど影響を及ぼさないものの、薬剤安定性が大きく低下する。特に、界面活性剤を増量して、組成物の調製過程で加熱工程を伴うと、熱に不安定な脂溶性ビタミン類の分解が進行し、薬剤安定性がさらに低下する。
【0041】
【0042】
<製法>
前記実施例1の製法と同様である。
この実施例2の乳化組成物は、乳化粒子が非常に細かく、非常に優れた経時的安定性及び薬剤安定性を有していた。
【0043】
【0044】
<製法>
前記実施例1の製法と同様である。
この実施例3の乳化組成物は、乳化粒子が非常に細かく、非常に優れた経時的安定性及び薬剤安定性を有していた。
【0045】
【0046】
<製法>
前記実施例1の製法と同様である。
この実施例4の乳化組成物は、乳化粒子が非常に細かく、非常に優れた経時的安定性及び薬剤安定性を有していた。
【0047】
【発明の効果】
本発明により、乳化粒子径が細かく、経時的安定性及び薬剤安定性に優れる乳化組成物が提供される。
Claims (6)
- 以下の工程を含む製造方法により製造される脂溶性ビタミン(ビタミンAパルミテート,α−トコフェロール及びビタミンEアセテートを除く)を含んでなる乳化組成物:
1.親水性非イオン性界面活性剤を組成物の0.1重量%以上,10重量%以下添加した水溶性溶媒中に、水を水溶性溶媒に対して1重量%以上,30重量%以下含有させ、次いでこれにビタミンAパルミテート,α−トコフェロール及びビタミンEアセテートを除く脂溶性ビタミンを含む油相を添加して、水溶性溶媒中油型エマルションを調製する第1工程;
2.上記水溶性溶媒中油型エマルションに水相を添加する第2工程。 - 請求項1記載の乳化組成物において、第1工程で水溶性溶媒中に添加する親水性非イオン性界面活性剤が、10.0以上のHLBの非イオン性界面活性剤である乳化組成物。
- 請求項1記載の乳化組成物において、第1工程で水溶性溶媒中に添加する親水性非イオン性界面活性剤が、ヒマシ油又は硬化ヒマシ油の酸化エチレン30〜80モル付加物、オレイン酸モノグリセリド又はステアリルグリセリルエーテルの酸化エチレン20〜100モル付加物、並びにラノリン又はその脂肪酸若しくはアルコール類の酸化エチレン15〜60モル付加物からなる群の親水性非イオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の親水性非イオン性界面活性剤である乳化組成物。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかの請求項記載の乳化組成物において、第1工程における水溶性溶媒中の水の含有量が、この水溶性溶媒に対して5重量%以上,15重量%以下である乳化組成物。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかの請求項記載の乳化組成物において、第1工程における親水性非イオン性界面活性剤の水溶性溶媒中への添加量が、組成物の0.3重量%以上,5重量%以下である乳化組成物。
- 第1工程と第2工程が、常温にて行われる、請求項1乃至請求項5のいずれかの請求項記載の乳化組成物。
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JPH10101524A (ja) | 1998-04-21 |
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