JP3556780B2 - 乳化組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳化組成物に関する技術分野に属する。より詳細には、水溶性溶媒中油型エマルションを主体とした乳化組成物に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
乳化化粧料としては、乳液,クリーム,軟膏等のように、水相成分と油相成分とを主要成分とする水中油型エマルション又は油中水型エマルションを主体とした剤形のものが汎用されている。通常は、これらのエマルションを製造するに際しては、各種の界面活性剤が乳化剤として用いられる。
しかし、これらの界面活性剤を多量に配合した化粧料は、使用に際してべたついた使用感を伴う傾向があるため、可能な限り化粧料における界面活性剤の使用量を減じた化粧料の開発が盛んに行われている。
【0003】
ところが、一般に界面活性剤はエマルションの安定性に大きく寄与しているため、界面活性剤の配合量が少なく、かつ経時的に安定な乳化組成物を得ることは非常に困難である。
このような背景から、安定な水中油型エマルションの製造法(特開昭57−29213号公報)等が提供され、特定の製造法で乳化組成物を調製することで、界面活性剤の使用量を少なくしても、非常に安定な乳化組成物を得ることが可能になるに至った。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
確かに、上記の界面活性剤の配合量を少なくした乳化組成物は、経時的安定性に優れ、べたつた使用感を伴うことも少ない。
しかしながら、その一方で肌へのなじみが悪く,こくが足りない等の点で改善するべき点も少なからず存在する。
そこで、本発明が解決すべき課題は、上記の界面活性剤の配合量を少なくした乳化組成物の優れた特徴を維持しつつ、肌へのなじみが良好で、こくのある理想的な化粧品等に用いる乳化組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題の解決に向けて鋭意検討を行った。その結果、上記の安定な水中油型エマルションの製造法(特開昭57−29213号公報)に従って水中油型エマルションを製造するに際して、添加する油相に高級アルコール及びエステル油を添加することで、上記の課題を解決することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明者は、以下の工程を含む製造方法により製造される乳化組成物を提供する。
1.親水性非イオン性界面活性剤を添加した水溶性溶媒中に水を含有させ、次いでこれに高級アルコール及びエステル油を含む油相を添加して、水溶性溶媒中油型エマルションを調製する第1工程;
2.上記水溶性溶媒中油型エマルションに水相を添加する第2工程。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
A.水溶性溶媒中油型エマルションを調製する第1工程における実施の形態:
先ず、後述する親水性非イオン性界面活性剤を水溶性溶媒に溶解させ、この水溶性溶媒の表面張力が小さいことを利用して、界面に親水性非イオン性界面活性剤を効率よく配向させた後、水を徐々に添加することにより水溶性溶媒に水相としての役割を代行させる。
【0008】
後述する水溶性溶媒中に添加する親水性非イオン性界面活性剤は、概ね酸化エチレンを15モル以上付加重合させた非イオン性界面活性剤であり、これらは概ねHLBが10以上の非イオン性界面活性剤である。
【0009】
具体的には、例えばPOE−ソルビタンモノラウレート,POE−ソルビタンモノステアレート,POE−ソルビタンモノオレエート,POE−ソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE−ソルビットモノラウレート,POE−ソルビットモノオレエート,POE−ソルビットペンタオレエート,POE−ソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POE−グリセリンモノステアレート,POE−グリセリンモノイソステアレート,POE−グリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POE−モノオレエート,POE−ジステアレート,POE−モノジオレーエート,ステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類;POE−ラウリルエーテル,POE−オレイルエーテル,POE−ステアリルエーテル,POE−ベヘニルエーテル,POE2−オクチルドデシルエーテル,POE−コレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE−オクチルフェニルエーテル,POE−ノニルフェニルエーテル,POE−ノニルフェニルエーテル,POE−ジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;ブルロニック等のプルアロニック型類;POE・POP−セチルエーテル,POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル;POE・POP−モノブチルエーテル,POE・POP水添ラノリン,POE・POP−グリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類;テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類:POEヒマシ油,POE硬化ヒマシ油,POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート,POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート,POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル,POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油誘導体又は硬化ヒマシ油誘導体;POEソルビットミツロウ等のミツロウラノリン誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド,ラウリン酸モノエタノールアミド,脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド;POEプロピレングリコール脂肪酸エステル,POEアルキルアミン,POE脂肪酸アミド,ショ糖脂肪酸エステル,POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物,アルキルエトキシジメチルアミンオキシド,トリオレイルリン酸等を挙げることが可能である。また、これらを単独で添加することも可能であり、また2種以上を組み合わせて添加することも可能である。
【0010】
本発明において、特に好ましい親水性非イオン性界面活性剤としては、本発明乳化組成物の製造工程において、系に配合する油相や水溶性溶媒の選択幅を広くし得るという理由から、例えばヒマシ油又は硬化ヒマシ油の酸化エチレン30〜80モル付加物、オレイン酸モノグリセリド又はステアリルグリセリルエーテルの酸化エチレン20〜100モル付加物、ラノリン又はその脂肪酸若しくはアルコール類の酸化エチレン15〜80モル付加物、コレスタノール又はコレステロールの酸化エチレン15〜60モル付加物等を挙げることができる。
【0011】
本発明乳化組成物における上記親水性非イオン性界面活性剤の配合量は、組成物に対して0.1重量%以上,10重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは同0.3重量%以上,5重量%以下である。この配合量が組成物の0.1重量%未満では、乳化組成物の経時的安定性が低下する傾向にあり好ましくなく、逆に同10重量%を越えると、添加した親水性非イオン性界面活性剤自体に起因するべたつきを組成物が伴う傾向にあり好ましくない。
【0012】
この親水性非イオン性界面活性剤を添加する水溶性溶媒は、低級1価アルコール類,低級多価アルコール類,ケトン類,アルデヒド類,エーテル類,アミン類,低級脂肪酸類等親水性で、「親水性非イオン性界面活性剤を溶解する」という性質を有する限り特に限定されるものではない。
【0013】
例えば、メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロパノール,ベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール,プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ポリグリセリン(ジグリセリン,トリグリセリン,テトラグリセリン等)のグリセリン類;澱粉分解還元アルコール等の多価アルコール;アセトン,アセトニルアセトン,ジアセトンアルコール等のケトン類;ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド等のアルデヒド類;エチレンオキサイド,ジオキサン,エチレングリコールモノメチルエーテル,ジメチレングリコールモノプロピルエーテル,エチレングリコールモノイソプロピルエーテル,エチレングリコールモノブチルエーテル,エチレングリコールモノイソブチルエーテル,エチレングリコールモノプロピルエーテル(モノイソプロピルエーテル),ジメチレングリコールモノエチルエーテル,ジメチレングリコールモノメチルエーテル,ジメチレングリコールモノブチルエーテル,ジメチレングリコールジエチルエーテル,エトキシトリグリコール,モノプロピレングリコールメチルエーテル,酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル,酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル,酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,n−ブチルアミン,エチレンジアミン,プロピレンジアミン,エチルアミン,ピリジン,シクロヘキシルアミン等のアミン類;蟻酸,酢酸,酪酸,乳酸等の低級脂肪酸類;その他酢酸メトキシグリコール,乳酸メチル,乳酸エチル,アセトニトリル,テトラヒドロフラン,フルフリルアルコール等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、これらの水溶性溶媒は、単独で用いることも可能であり、また2種以上を組み合わせて用いることにより、例えば上述の親水性非イオン性界面活性剤の溶解性を適宜調整することが可能である。
【0014】
本発明において、特に好ましい水溶性溶媒としては、非常に細かい乳化粒子を得ることが容易であるという理由から、例えばプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等を挙げることができる。
【0015】
本発明において用いる上記水溶性溶媒には、前記のように水を徐々に添加するが、最終的にはこの水溶性溶媒に対して1重量%以上,30重量%以下の水を含有させることが好ましく、さらに好ましくは同5重量%以上,15重量%以下である。この水の含有量が、水溶性溶媒に対して1重量%未満では、上述の親水性非イオン性界面活性剤を水溶性溶媒に添加するにつれて、かなりの高粘度となる傾向にあるため、水溶性溶媒中に、添加した親水性非イオン性界面活性剤を均一に溶解させることが困難になる傾向になり好ましくなく、逆に同30重量%を越えると、乳化粒子が合一しやすくなるために、乳化組成物の経時的安定性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0016】
この水を含有する水溶性溶媒は、組成物の概ね1重量%以上,90重量%以下の範囲で本発明乳化組成物中に配合される。
【0017】
次に、上記の親水性非イオン性界面活性剤を添加して溶解させた水溶性溶媒に、高級アルコール及びエステル油を含む油相を添加して、水溶性溶媒中油型エマルションを調製する。
【0018】
添加する高級アルコールは、炭素数が12以上,28以下の室温で固形状の高級アルコールである。
具体的には、例えばラウリルアルコール,セチルアルコール,ステアリルアルコール,ベヘニルアルコール,ミリスチルアルコール,セトステアリルアルコール等の直鎖高級アルコール;グリセリルモノステアリルエーテル(バチルアルコール),グリセリルモノセチルエーテル(キミルアルコール)等の分岐鎖アルコール等を挙げることが可能であるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの高級アルコールは、後述するエステル油と共に単独で添加することもできるが、2種以上を組み合わせて添加することも可能である。
【0019】
上記の高級アルコールの添加量は、組成物の0.1重量%以上,20重量%以下であり、好ましくは、同0.5重量%以上,10重量%以下である。組成物の0.1重量%未満では、所期の効果が十分に発揮されず好ましくなく、逆に同20重量%を越えて添加しても添加量に見合った効果の向上が見られず好ましくない。
【0020】
また、上記高級アルコールと共に添加するエステル油は特に限定されず、例えばオクタン酸セチル,ラウリン酸ヘキシル,ミリスチン酸イソプロピル,パルミチン酸オクチル,ステアリン酸イソセチル,イソステアリン酸イソプロピル,イソパルミチン酸オクチル,オレイン酸イソデシル,トリ2−エチルヘキサンペンタエリスリット,コハク酸2−エチルヘキシル,セバシン酸ジエチル等を挙げることができる。
また、これらのエステル油は、前記した高級アルコールと共に単独で添加することもできるが、2種以上を組み合わせて添加することも可能である。
【0021】
上記のエステル油の添加量は、組成物の0.2重量%以上,40重量%以下であり、好ましくは同1重量%以上,20重量%以下である。組成物の0.2重量%未満では、所期の効果が十分に発揮されず好ましくなく、逆に同40重量%を越えて添加しても添加量に見合った効果の向上が見られず好ましくない。
【0022】
なお、油相中における上記高級アルコールとエステル油は、油相全量に対し、高級アルコール1重量%以上,30重量%以下を含有させ、かつエステル油をこの高級アルコールに対して重量比で1〜2倍量含有させることが好ましい。
【0023】
上記の高級アルコールとエステル油とを含む油相成分には、本発明の所期の効果を損なわない限り、他の油相成分(薬効成分及び/又は基剤成分)を配合することができる。
【0024】
この他の油性成分としては、例えばアマニ油,ツバキ油,マカデミアナッツ油,トウモロコシ油,ミンク油,オリーブ油,アボガド油,サザンカ油,ヒマシ油,サフラワー油,ホホバ油,ヒマワリ油,ナタネ油,ゴマ油,大豆油,落花生油,トリグリセリン,トリオクタン酸グリセリン,トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂;カカオ脂,ヤシ油,パーム油,パーム核油,硬化油,硬化ヒマシ油,モクロウ,シアバター等の固体油脂;流動パラフィン,スクワラン,スクワレン,パラフィン,イソパラフィン,セレシン,ワセリン,マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素油;ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,メチルハイドロジエンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン,ドデカメチルポリシロキサン,テトラメチルテトラハイドロジエンポリシロキサン等の環状ポリシロキサン等のシリコーン油;3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム等のシリコーン油等を挙げることができる。
【0025】
また、パラアミノ安息香酸等のパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸オクチル,サリチル酸フェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸オクチル,パラメトキシケイ皮酸イソプロピル,ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤を配合することができる。
【0026】
また、例えばビタミンA類,、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンK等の脂溶性ビタミン;ビサボロール,チモール,パントテニルエチルエーテル,エチニルエストラジオール等の油溶性の各種薬剤;ギシギシ,クララ,コウホネ,オレンジ,セージ,ノコギリソウ,ゼニアオイ,センキュウ,センブリ,タイム,トウキ,トウヒ,バーチ,スギナ,ヘチマ,マロニエ,ユキノシタ,アルニカ,ユリ,ヨモギ,シャクヤク,アロエ,クチナシ,サワラ,イザヨイバラ等の植物の有機溶媒抽出物;エチルパラベン,メチルパラベン等の脂溶性の防腐剤;脂溶性の色素,香料等を上記油相成分として、本発明乳化組成物に配合することができる。
このようにして、高級アルコールとエステル油とを含む油相を添加することにより、所望の水溶性溶媒中油型エマルションを調製することができる。
【0027】
B.水溶性溶媒中油型エマルションに水相を添加して本発明乳化組成物を調製する工程における実施の形態:
次いで、上記Aで調製した水溶性溶媒中油型エマルションにさらに水相を添加して本発明乳化組成物を調製する。
【0028】
水相成分としては、水は勿論のこと、アラビアゴム,カラギーナン,ペクチン,寒天,クインスシード(マルメロ),デンプン,アルゲコロイド(褐藻エキス)等の植物系高分子、デキストラン,プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン,カゼイン,ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン,メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース,ニトロセルロース,エチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOL等)等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム,ポリアクリルアミド等のアクリル酸系高分子、ベントナイト,ケイ酸アルミニウムマグネシウム,ラポナイト等の無機系水溶性高分子等の水溶性高分子;ビタミンB類(例えばビタミンB1 ,同B2 ,同B6 ,同B12,同B15等),ビタミンC,パントテン酸,パンテチン,葉酸等の水溶性ビタミン;ヒノキチオール,イノシトール,サポニン類(サイコサポニン,ニンジンサポニン,ヘチマサポニン,ムクロジサポニン等),トラネキサム酸,プラセンタエキス等の水溶性の各種薬剤;ギシギシ,クララコウホネ,オレンジ,セージ,ノコギリソウ,ゼニアオイ,センキュウ,センブリ,タイム,トウキ,トウヒ,バーチ,スギナ,ヘチマ,マロニエ,ユキノシタ,アルニカ,ユリ,ヨモギ,シャクヤク,アロエ,クチナシ,サワラ,イザヨイバラ等の植物のアルコール,多価アルコール,水,水性アルコール等の水性溶媒抽出物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
この水相と上記水溶性溶媒中油型エマルションの配合比率は、具体的剤型等に応じて95:5〜5:95の範囲で広く選択することができる。上記のような水相成分を、上記Aで調製した水溶性溶媒中油型エマルションに添加することにより、本発明乳化組成物を調製することができる。
【0030】
従来の乳化方法においては、水相が10%以下の安定な水中油型エマルジョンを調製することは困難であったが、上記した手段により、このように油相の存在比率が高い水中油型エマルジョンをも安定して製造することが可能である。
【0031】
本発明乳化組成物のとり得る形態及び剤型は、クリーム,乳液等の乳化形態を採る形態及び剤型であれば特に限定されない。
【0032】
本発明乳化組成物は、従来の界面活性剤の配合量を少なくした乳化組成物(特開昭57−29213号公報)等の優れた特徴を維持しつつ、肌へのなじみが良好で、こくのある理想的な化粧品となり得る乳化組成物である。
本発明乳化組成物の具体的処方は、後述する実施例において具体的に説明する。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、これにより本発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきものではない。なお、この実施例中、配合量は重量%を表す。
具体的な本発明乳化組成物の処方に言及する前に、本発明の所期の効果を検討する手段を記載する。
【0034】
▲1▼女性専門パネルによる実使用テスト
乳化組成物の使用感について、女性専門パネルによる実使用テストを行った。
すなわち、女性専門パネル25名に、洗顔後、各試料を1週間使用させ、「なじみ」及び「こく」について下記基準により評価した。
【0035】
「なじみ」の評価基準
○:良(25名中20名以上が良と評価)
△:やや良(25名中10名以上,20名未満が良と評価)
×:劣る(25名中10名未満が良と評価)
【0036】
「こく」の評価基準
○:良(25名中20名以上が良と評価)
△:やや良(25名中10名以上,20名未満が良と評価)
×:劣る(25名中10名未満が良と評価)
【0037】
▲2▼安定性試験
乳化組成物を50℃の恒温槽中に静置し、1ヵ月後の状態を観察した。
「安定性」の評価基準
○:色調・臭い・外観性状のいずれにも全く変化がない。
×:色調・臭い・外観性状のいずれかに変化が見られた。
【0038】
〔実施例1,比較例1〜3〕
下記第1表に示す処方の乳化組成物を下記の製造方法に従って製造し、これらの乳化組成物を上記の基準に基づき評価した。その結果も第1表に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
<製法>
▲1▼実施例1及び比較例2,3
先ず(A)部について、プロピレングリコールにPOE硬化ヒマシ油を添加して70℃に加熱して溶解させた後にイオン交換水を徐々に添加し、さらにこれに油相部(B)を添加し、乳化を行い、ホモミキサー処理により乳化した。
【0041】
次に、この乳化物に水相部(C)を添加攪拌することにより、乳化組成物を製造した。なお、これらの組成物における乳化粒子の大きさは均一で粒径は、1〜2μm の非常に細かいものであった。
【0041】
▲2▼比較例1
先ず(A)部について、プロピレングリコールにPOE硬化ヒマシ油を添加して70℃に加熱して溶解させた後にイオン交換水を徐々に添加し、これを水相部(C)に溶解して70℃に加熱し、これに油相部(B)を添加し乳化を行い、ホモミキサー処理により乳化組成物を調製した。なお、この組成物における乳化粒子の大きさは均一で粒径は、5〜15μm であった。
【0042】
実施例1と比較例2,3との比較において、油相中に高級アルコール(ステアリルアルコール)とエステル油(ミリスチン酸イソプロピル)の双方が含まれることによってはじめて優れた安定性,なじみ及びこくの乳化組成物が得られることが明らかになった。
【0043】
また、実施例1と比較例1との比較において、処方が同一であっても、実施例と製造方法が異なる比較例1は安定性において劣っていた。
このことより、所期の効果を得るためには、処方のみならず、その製造方法も重要な要素となることが明らかになった。
【0044】
【0045】
<製法>
前記実施例1の製法と同様である。
この実施例2の乳化組成物は、乳化粒子が非常に細かく、優れた安定性,なじみ及びこくを有していた。
【0046】
【0046】
<製法>
前記実施例1の製法と同様である。
この実施例3の乳化組成物は、乳化粒子が非常に細かく、優れた安定性,なじみ及びこくを有していた。
【0047】
【0048】
<製法>
前記実施例1の製法と同様である。
この実施例4の乳化組成物は、乳化粒子が非常に細かく、優れた安定性,なじみ及びこくを有していた。
【0049】
【発明の効果】
本発明により、乳化粒子径が細かく、経時的安定性に優れ、かつ優れたなじみ及びこくを有する乳化組成物が提供される。
Claims (12)
- 以下の工程を含む製造方法により製造される乳化組成物:
1.親水性非イオン性界面活性剤を添加した水溶性溶媒中に、この水溶性溶媒に対して1重量%以上,30重量%以下の水を含有させ、次いでこれに高級アルコール及びエステル油を含む油相を添加して、水溶性溶媒中油型エマルションを調製する第1工程;
2.上記水溶性溶媒中油型エマルションに水相を添加する第2工程。 - 請求項1記載の乳化組成物において、第1工程で水溶性溶媒中に添加する親水性非イオン性界面活性剤が、10.0以上のHLBの非イオン性界面活性剤である乳化組成物。
- 請求項1記載の乳化組成物において、第1工程で水溶性溶媒中に添加する親水性非イオン性界面活性剤が、ヒマシ油又は硬化ヒマシ油の酸化エチレン30〜80モル付加物、オレイン酸モノグリセリド又はステアリルグリセリルエーテルの酸化エチレン20〜100モル付加物、ラノリン又はその脂肪酸若しくはアルコール類の酸化エチレン15〜80モル付加物、並びにコレスタノール又はコレステロールの酸化エチレン15〜60モル付加物からなる群の親水性非イオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の親水性非イオン性界面活性剤である乳化組成物。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかの請求項記載の乳化組成物において、第1工程で添加する油相に含まれる高級アルコールが、炭素数12以上,28以下の室温で固形状の高級アルコールである乳化組成物。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかの請求項記載の乳化組成物において、第1工程における水溶性溶媒中の水の含有量が、この水溶性溶媒に対して5重量%以上,15重量%以下である乳化組成物。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかの請求項記載の乳化組成物において、第1工程における親水性非イオン性界面活性剤の水溶性溶媒中への添加量が、組成物の0.1重量%以上,10重量%以下である乳化組成物。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかの請求項記載の乳化組成物において、第1工程における親水性非イオン性界面活性剤の水溶性溶媒中への添加量が、組成物の0.3重量%以上,5重量%以下である乳化組成物。
- 請求項1乃至請求項7のいずれかの請求項記載の乳化組成物において、第1工程における油相中に含まれる高級アルコールの含有量が、組成物の0.1重量%以上,20重量%以下である乳化組成物。
- 請求項1乃至請求項7のいずれかの請求項記載の乳化組成物において、第1工程における油相中に含まれる高級アルコールの含有量が、組成物の0.5重量%以上,10重量%以下である乳化組成物。
- 請求項1乃至請求項9のいずれかの請求項記載の乳化組成物において、第1工程における油相中に含まれるエステル油の含有量が、組成物の0.2重量%以上,40重量%以下である乳化組成物。
- 請求項1乃至請求項9のいずれかの請求項記載の乳化組成物において、第1工程における油相中に含まれるエステル油の含有量が、組成物の1重量%以上,20重量%以下である乳化組成物。
- 請求項1乃至請求項11のいずれかの請求項記載の乳化組成物において、第1工程における油相中の高級アルコールが、この油相に対して1重量%以上,30重量%以下の割合で含まれており、かつエステル油がこの高級アルコールに対して、重量比で1〜2倍量この油相中に含まれている乳化組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27718796A JP3556780B2 (ja) | 1996-09-29 | 1996-09-29 | 乳化組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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