JP3556072B2 - スピニングリールのレベルワインド機構 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レベルワインド機構、特に、ロータとロータに対向しかつロータの軸方向に相対移動するスプールとにより釣り糸をスプールに軸方向にずらして巻き付けるためのスピニングリールのレベルワインド機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
釣り用リールには、回転体と回転体に対向しかつ回転体の軸方向に相対移動する移動体とにより釣り糸をスプールに軸方向にずらして巻き付けるためのレベルワインド機構が設けられている。
【0003】
スピニングリールには、回転するロータの先端に設けられたラインローラにより案内された釣り糸をスプールにほぼ均等に巻き付けるためのレベルワインド機構が設けられている。
【0004】
スピニングリールでは、レベルワインド機構によりスプールをロータの回転に連動して軸方向に往復移動させている。このスピニングリールのレベルワインド機構は、スプール軸に平行に配置され外周面に交差する螺旋溝が形成された螺軸と、螺軸に係合する係合部を有しスプール軸が固定された移動部材と、移動部材を軸方向に移動自在に支持するガイド部材と、ロータを回転させるためのマスターギアに連動して螺軸を回転させる回転伝達機構とを有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のレベルワインド機構では、ロータ一回転当たりのスプールの移動量は、螺軸のリード角によって決定される。このリード角は、下層の釣り糸と上層の釣り糸とができるかぎり重ならないように設定されている。このため、スプールでの糸巻形状に極端な段差は生じにくい。しかし、糸と糸との間の空間が多くなるため、釣り糸自体の体積に対する糸巻全体の体積が大きくなる。したがって、計算される釣り糸の体積に対してスプールの糸巻部分の容量を十分に大きくする必要がある。この結果、スプールでの糸巻効率が低下しスプールの大型化を招いている。しかも、下層と上層とが重ならないように設定しても表面の細かな凹凸が避けられない。
【0006】
本発明の課題は、釣り糸の糸径に応じて釣り糸をスプールに効率よく巻き取れるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明1に係るスピニングリールのレベルワインド機構は、はす歯ギア部を有するピニオンギアにより回転駆動されるロータとロータに対向しかつロータの軸方向に相対移動するスプールとにより釣り糸を軸方向にずらしてリール本体に装着されたスプールに巻き付けるための機構であって、移動機構と、回転伝達手段とを備えている。移動機構は、スプールの軸方向に沿って配置され外周に螺旋溝が形成された螺軸と、螺軸に螺合してスプールを往復移動させる移動部材と、螺軸に沿って配置され移動部材を案内するガイド部材とを有し、スプールを軸方向に往復移動させるためのものである。回転伝達手段は、螺軸と直交するように配置されリール本体に回転自在に支持されたギア軸と、ギア軸に回転不能に装着されはす歯ギア部に噛み合いロータの回転が伝達されるはす歯ギアと、前記ギア軸に前記はす歯ギアと間隔を隔てて装着されたウォームギアと、螺軸に回転不能に装着されウォームギアに噛み合うウォームホィールとを有し、釣り糸の糸径に応じてロータ一回転当たり所定の移動量でスプールを移動させるようにロータの回転を連続的に減速して移動機構に伝達するものである。
【0008】
このレベルワインド機構では、移動機構によりスプールがロータの軸方向に往復移動する。このときのスプールは、ギア軸に回転不能に装着されはす歯ギア部に噛み合いロータの回転が伝達されるはす歯ギアと、はす歯ギアと間隔を隔ててギア軸に回転不能に装着されたウォームギアと、螺軸に回転不能に装着されウォームギアに噛み合うウォームホィールとを有する回転伝達手段により釣り糸の糸径に応じてロータ一回転当たり所定の移動量で移動するように移動機構に連続的に減速して伝達された回転により往復移動する。このため、釣り糸間の隙間を少なく巻くことができ、釣り糸の糸径に応じて釣り糸をスプールに効率よく巻き取れるようになる。また、ロータの回転軸と螺軸とを同軸に配置されたはす歯ギアとウォームギアとで減速できるので、回転伝達機構の構成が簡素である。さらに、回転伝達手段によりロータの回転を変速して螺軸に伝達すると、螺軸と移動部材との係合によりロータの回転が移動部材の直線運動に変換され、糸径に応じた移動量でスプールが往復移動する。このため、回転伝達手段による変速比を糸径に応じて設定することで簡単な構成で釣り糸をスプールに効率よく巻き取れるようになる。
【0009】
発明2に係るスピニングリールのレベルワインド機構は、発明1に記載の機構において、回転伝達手段は、糸径に応じて少なくともスプールの糸巻部の中央部において所定の移動量でスプールを移動させるように回転を伝達する。この場合には、糸径に応じて少なくともスプールの糸巻部の中央部においてスプールが移動するので、少なくとも中央部で釣り糸を効率よくスプールに巻き取れるようになる。
【0010】
発明3に係るスピニングリールのレベルワインド機構は、発明1又は2に記載の機構において、回転伝達手段は、糸径分の距離からその倍の距離までの範囲でスプールを移動させるように回転を伝達する。この場合には、一回転当たり糸径の2倍以下の範囲でしかスプールに巻付けた釣り糸がずれないので、釣り糸を密に巻くことができ、釣り糸をスプールに効率よく巻き取れるようになる。
【0011】
発明に係るスピニングリールのレベルワインド機構は、発明1から3のいずれかに記載の機構において、螺旋溝は、螺軸の外周に交差して形成されている。この場合には、螺軸の一方向の回転で移動部材を往復移動させることができる。
【0012】
発明に係るスピニングリールのレベルワインド機構は、発明1からのいずれかに記載の機構において、ロータは釣り糸を案内するラインローラを有し、ラインローラは、2mm以下の幅の周溝を外周に有している。この場合には、細い釣り糸でも精度良くラインローラの周溝で案内してスプール上に密に巻き付けることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔全体構成及びリール本体の構成〕
図1〜図3に示す本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、ロータ3の前部に前後移動可能に配置され釣り糸を外周に巻き取るものである。
【0014】
リール本体2は、ロータ3やスプール4を支持する筐体部10と、筐体部10の両側面に着脱自在にネジ止めされた1対の蓋体部11a,11bと、筐体部10から上方に延びる竿取付部12とを有している。筐体部10はたとえばアルミニウム合金製の薄肉の部材であり、両側に開口部10a,10bを有している。筐体部10の内部には、ロータ3を回転させるためのロータ駆動機構5と、スプール4を前後移動させてスプール4に釣り糸を均一に巻き取るためのレベルワインド機構6とが設けられている。
【0015】
蓋体部11a,11bは、たとえばアルミニウム合金製の薄肉の部材であり、筐体部10の開口部10a,10bをそれぞれカバーする。一方の蓋体部11a(図2上側)には、ハンドル1が先端に固定されたハンドル軸7を支持する側方に突出する筒状のハンドル支持部8が設けられている。ハンドル支持部8の両端には軸受9が配置されており、軸受9によりハンドル軸7はハンドル支持部8に回転自在に支持されている。
【0016】
竿取付部12は、筐体部10から上方に斜め前方に延びる部材であり、筐体部10と一体にほぼT字状に形成されている。竿取付部12の上部には、竿取付面12aが形成されている。
【0017】
ロータ駆動機構5は、ハンドル1が固定されたハンドル軸7の基端にハンドル軸7と一体で形成されたフェイスギア13と、このフェイスギア13に噛み合うピニオンギア14とを有している。ピニオンギア14は筒状に形成されており、その後部にはす歯ギア部14bが形成されている。またピニオンギア14の前部14aはロータ3の中心部を貫通してスプール4側に延びている。そして、その先端にはねじ部が形成されている。ピニオンギア14は、その軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受15,16を介してリール本体2の筐体部10に回転自在に支持されている。
【0018】
〔レベルワインド機構の構成〕
レベルワインド機構6は、スプール4の中心部に固定されたスプール軸20を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。レベルワインド機構6は、図1及び図4に示すように、スプール4を前後方向に往復移動させるための移動機構17と、釣り糸の糸径に応じてスプール4の一回転当たり所定の移動量でスプール4を移動させるようにロータ3の回転を移動機構17に伝達する回転伝達機構18とを備えている。
【0019】
移動機構17は、スプール軸20の上方に配置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動するスライダ22と、スライダ22を案内する2本のガイド軸24a,24bとを有している。螺軸21は、スプール軸20と平行に配置されており、筐体部10に回転自在に支持されている。また、螺軸21の外周部には螺旋状の交差する溝21aが形成されている。この溝21aのリード角θは、20〜45゜に設定されている。なお、螺旋溝21aのリード角θとは、溝21aの底径をD、螺軸21の一回転で進む軸方向の長さすなわちリードをLとした場合、
リード角θ=アークcot(πD/L)
で表される角度である。このリード角θが20゜より小さい場合は溝間の肉厚が薄くなるとともに溝の交差部の数が増加するので好ましくない。一方、45゜を越えると、回転運動から直線運動への変換効率が低下するので好ましくない。
【0020】
スライダ22は、図4〜図6に示すように、スライダ本体25と、スライダ本体25内に収納された係合部材26とを有している。
【0021】
スライダ本体25は、螺軸21の図5裏側に沿って配置された本体部25aと、本体部25aの前部(図5左側)から上方に延びるガイド部25bと、本体部25aの後部(図5右側)から下方に延びる固定部25cとを有している。本体部25aには、螺軸21と直交するように横方向の孔27が形成されており、この孔27に係合部材26が回動自在に挿入されている。ガイド部25bは、螺軸21の上方に平行に配置されたガイド軸24aに摺動自在に装着される。固定部25cは、螺軸21の下方に平行に配置されたガイド軸24bに摺動自在に装着されるとともに、その下方に配置されたスプール軸20に対してネジ28により軸方向に移動不能に固定されている。なお、スプール軸20の固定部25cと嵌合する部分には切欠き20aが形成されており、外周の一部が平坦になっている。そして、固定部25cの対応する孔25dも完全な円形ではなく、切欠き20aに対応する平坦部25eを有している。このような嵌合によりスライダ本体25は、スプール軸20に対して相対回転が禁止されている。
【0022】
係合部材26の先端には、螺軸21の溝21aに噛み合う係合部26aが形成されている。本体部25aの孔27の基端には蓋部材29が固定されており、係合部材26を孔27内からの脱落を防止している。また、孔27の先端には係合部材の先端側への移動を規制するストッパ(図示せず)が設けられている。
【0023】
回転伝達機構18は、図4に示すように、ピニオンギア14のはす歯ギア部14bに噛み合うはす歯ギア37と、はす歯ギア37の上方に同軸で配置されたウォームギア38と、螺軸21の前端(図4の右端)に回転不能に装着されウォームギア38に噛み合うウォームホィール39とを有している。はす歯ギア37とウォームギア38とは、螺軸21に直交するように配置されリール本体2の筐体部10に回転自在に支持されたギア軸23に上下に間隔を隔てて回転不能に装着されている。
【0024】
回転伝達機構18の減速比(ピニオンギア14の回転に対する螺軸21の回転の比)NC は、ロータ3の1回転当たりのスプール4の移動量RM が糸径DL と同じになるように設定されている。つまり、ロータ3一回転に対して釣り糸の径DL だけずらしながらスプール4に釣り糸を巻き付けるようにスプール4の移動量RM が設定されている。ここで、前述したリード(螺軸21の一回転あたりの移動量)をLとし、釣り糸の糸径をDL とすると、ロータ3一回転に対して釣り糸の糸径DL だけずらしながら釣り糸をスプール4に巻き付ける場合、ロータ3の一回転に対する螺軸21の回転数の比である減速比NC は、NC =DL /Lとなる。
【0025】
たとえば、糸径DL が0.2mm(1.5号)、リードLが3.6mmであれば、減速比NC は、NC =0.2/3.6=1/18となる。つまり、ロータ3から螺軸21への減速比NC を1/18に設定すればロータ3一回転に対してスプール4は0.2mmずつ移動してスプール4に釣り糸が密に巻き付けられる。このような場合には、たとえば、はす歯ギア部14bとはす歯ギア37との間で1/2に減速し、ウォームギア38とウォームホィール39との間で1/9に減速すれば、全体の減速比NC を1/18に設定でき、図9に示すように、ロータ3一回転に対して釣り糸が糸径DL ずつずれてスプール4に巻き付けられ、スプール4に釣り糸が密に巻き付けられる。なお、螺軸21の溝21aが端部で進行方向に変えるためにリード角が他の部分より小さくなっているので、その部分では螺軸21のリードLが小さくなり前述した移動量RM も小さくなる。
【0026】
なお、スプール4を一往復させるのに要する螺軸21の回転数をCN とした場合、この数値は必ず整数である必要があるが、これに対応するロータ3の回転数が整数(つまり回転位相が2nπ)であると、下層の釣り糸と上層の釣り糸が交差する点が常に同じ位相で現れるため、スプール軸芯に垂直な断面の糸巻形状が楕円のように2方向に突出した形状になってしまう。これは回転位相が(2n+1)πであっても同じで、(2n+1/2)πであれば四角形に近い断面になる。円に近い多角形に近づけるためには回転位相を2nπ+ιとして、ιを整数倍した場合に2nπで割り切れないように設定すればよい。ただし、ιがあまり小さいと突出部が近接して連続して発生するため、糸巻形状が螺旋様になってしまう。
【0027】
たとえば、上記の例に沿って説明すれば、スプール4を一往復させるのに必要な螺軸21の回転数を10とすれば、これに対応するロータ3の回転数は180である。しかし、リードLを3.6から3.666mmに変更することによって減速比NC が200/3666となり、ロータ3の回転数を183.3にできる。これによってスプール軸芯に垂直な断面の糸巻形状を円に近い多角形にすることができる。
【0028】
〔ロータの構成〕
ロータ3は、図1に示すように、円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向してそれぞれ設けられた第1及び第2ロータアーム31,32とを有している。円筒部30と両ロータアーム31,32とは一体成形されている。
【0029】
円筒部30の前部には前壁33が形成されており、前壁33の中央部にはボス33aが形成されている。このボス33aの貫通孔をピニオンギア14の前部14a及びスプール軸20が貫通している。前壁33の前方側にはナット34が配置されており、このナット34がピニオンギア14の先端のネジ部に螺合している。ナット34の内周部には、ナット34をスプール軸20に対して回転自在に支持するための軸受35が配置されている。
【0030】
ロータ3の前壁33には、円筒状の糸噛み防止部材36が設けられている。この糸噛み防止部材36は、スプール4に巻き付けられた釣り糸がロータ3との間の隙間から入ってスプール軸20に噛み込むのを防止するための部材である。
【0031】
第1及び第2ロータアーム31,32の先端には、ベールアーム40が糸巻取姿勢と糸解放姿勢との間で揺動自在に装着されている。ベールアーム40は、図7に示すように、第1及び第2ロータアーム31,32の先端の内側にそれぞれ揺動自在に装着された第1及び第2ベール支持部材41,42と、第1ベール支持部材41の先端に基端が固定された固定軸43と、釣り糸をスプール4に案内するラインローラ44と、固定軸43の先端に固定された固定軸カバー45と、固定軸カバー45と第2ベール支持部材42とを連結するベール46とを有している。第1ベール支持部材41は、図1に示すように、2つの軸受41aにより第1ロータアーム31に回転自在に支持されている。また、第2ベール支持部材42を、例えば、他の部分より比重の大きい材質で構成し、第1ベール支持部材41及びラインローラ44に起因する回転時のアンバランスを解消するためのバランサとして機能させることも可能である。
【0032】
ラインローラ44は、図8に示すように、軸受(図示せず)を介して固定軸43に回転自在に支持されている。ラインローラ44は、周面に軸方向の中央部が小径となるように2つのテーパ面が形成された鼓状の部材である。この小径部には円周方向の周溝44aが形成されている。この周溝44aの溝幅は2mm以下であり、望ましくは、糸径の2倍以下の値が好ましい。このように周溝44aの溝幅を小さくすることで釣り糸がスプール4の軸方向にずれにくくなり、スプール4の移動速度を遅くした場合に釣り糸が精度良くスプール4に巻き付けられる。
【0033】
また、第1及び第2ベール支持部材41,42をロータアーム31,32の内周側に装着することにより、ベールアーム40の回転半径が小さくなり、釣り竿も持つ手に当たりにくくなる。したがって、竿取付部12を短くしてスプール4と釣り竿を近づけることができ、全体として小型化が可能になる。
【0034】
ここで、両ベール支持部材41,42は、図1に示すように、一本の揺動軸Mを中心に揺動自在である。そして、揺動軸Mと第1ロータアーム31の第1ベール支持部材取付面とが交差する点を揺動中心C1とし、揺動軸Mと第2ロータアーム32の第2ベール支持部材取付面とが交差する点を揺動中心C2とした場合、揺動中心C2は揺動中心C1より前方に位置している。すなわち、揺動軸Mは、スプール軸20と直交する軸に対して後方に傾いている。また、各ベール支持部材41,42は、それらの揺動面が揺動軸Mに対して直交するように配置されている。
【0035】
ロータ3の円筒部30の内部にはロータ3の逆転防止機構50が配置されている。逆転防止機構50は、ローラ型のワンウェイクラッチ(図示せず)と、ワンウェイクラッチを作動状態及び非作動状態に切り換える操作機構51とを有している。ワンウェイクラッチは、外輪が筐体部10に固定され、内輪がピニオンギア14に固定されている。操作機構51は、筐体部10の下部に配置された操作レバー52を有しており、操作レバー52を揺動させることでワンウェイクラッチが2つの状態に切り換られ、作動状態のときにロータ3が逆転不能になり、非作動状態のときロータ3が逆転可能になる。
【0036】
〔スプールの構成〕
スプール4は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸20の先端に固定されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻き付けられる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成された後フランジ部4bと、糸巻胴部4aの前部に固定された前フランジ部4cとを有している。糸巻胴部4aはロータ3の円筒部30の外周側まで延びる円筒状の部材である。また、両フランジ部4b,4cは、糸巻胴部4aの両端から垂直に径方向外方に拡がっている。これにより、釣り糸がスプール4の糸巻胴部4aに巻き付けられるとき、各糸巻段での釣り糸の巻数がほぼ等しくなる。
【0037】
〔リールの操作及び動作〕
このスピニングリールでは、キャスティング時には、ベールアーム40を糸巻取姿勢から糸解放姿勢に倒す。これにより第1及び第2ベール支持部材41,42は、揺動軸Mを中心として同方向に回転する。このとき、第1及び第2ベール支持部材41,42は、第1及び第2ロータアーム31,32の内周側に配置され、かつ揺動軸Mがスプール軸20に対して後方に傾いているので、第1ベール支持部材41及びその先端のラインローラ44は、糸巻取姿勢時の位置よりもさらに内周側に移動する。このため、キャスティング時に繰り出された釣り糸が第1ベール支持部材41やラインローラ44に絡みにくくなる。
【0038】
釣り糸巻取時には、ベールアーム40を糸巻取姿勢に倒す。これは、ハンドル1を糸巻取方向に回転させると図示しないカムとバネの働きにより自動的に行われる。ハンドル1を糸巻取方向に回転させると、この回転力はハンドル軸7及びフェイスギア13を介してピニオンギア14に伝達される。このピニオンギア14に伝達された回転力は、ピニオンギア14前部を介してロータ3に伝達され、ロータ3が糸巻取方向に回転する。
【0039】
一方、ピニオンギア14に噛み合うはす歯ギア37によってギア軸23が回転し、ウォームギア38を介してウォームホィール39が回転し螺軸21が前述した減速比NC で減速されて回転する。この結果、螺軸21の溝21aに噛み合うスライダ22がガイド軸24a,24bに案内されて前後方向に移動する。このときのスプール4の移動量RM は、前述のように糸径DL に応じたものである。そして、スプール軸20およびスプール4が前後方向に往復移動し、ベール46及びラインローラ44によってスプール4に案内された釣り糸は、図9に示すように、ロータ3の1回転に対して糸径DL ずつずれてスプール4の糸巻胴部4aに巻き付けられ、スプール4に釣り糸が密に巻き付けられる。このため、スプール4に釣り糸が効率よく巻き付けられる。
【0040】
なお、スピニングリールの形態は前記実施形態に限定されるものではなく、ドラグ機構を前部又は後部に有するものや、逆転防止機構に代えてブレーキレーバを有する制動機構を装着したものにも本発明を適用できる。
【0041】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、釣り糸の糸径に応じてロータ一回転当たり所定の移動量でスプールが往復移動するように移動機構にロータからの回転が伝達され、その回転によりスプールが往復移動するので、釣り糸をスプールに効率よく巻き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリールの断面側面図。
【図2】その底面図
【図3】その背面図。
【図4】レベルワインド機構の斜視図。
【図5】スライダの側面図。
【図6】図5のVI−VI断面図。
【図7】スピニングリールの一部破断正面図。
【図8】ラインローラの正面拡大図。
【図9】スプールの断面模式図。
【符号の説明】
2 リール本体
3 ロータ
4 スプール
6 レベルワインド機構
17 移動機構
18 回転伝達機構
21 螺軸
22 スライダ
24a,24b ガイド軸
44 ラインローラ

Claims (5)

  1. はす歯ギア部を有するピニオンギアにより回転駆動されるロータと前記ロータに対向しかつ前記ロータの軸方向に相対移動するスプールとにより釣り糸を前記軸方向にずらしてリール本体に装着された前記スプールに巻き付けるためのスピニングリールのレベルワインド機構であって、
    前記スプールの軸方向に沿って配置され外周に螺旋溝が形成された螺軸と、前記螺軸に螺合して前記スプールを往復移動させる移動部材と、前記螺軸に沿って配置され前記移動部材を案内するガイド部材とを有し、前記スプールを前記軸方向に往復移動させるための移動機構と、
    前記螺軸と直交するように配置され前記リール本体に回転自在に支持されたギア軸と、前記ギア軸に回転不能に装着され前記はす歯ギア部に噛み合い前記ロータの回転が伝達されるはす歯ギアと、前記ギア軸に前記はす歯ギアと間隔を隔てて回転不能に装着されたウォームギアと、前記螺軸に回転不能に装着され前記ウォームギアに噛み合うウォームホィールとを有し、釣り糸の糸径に応じて前記ロータ一回転当たり所定の移動量で前記スプールを往復移動させるように前記ロータの回転を前記移動機構に連続的に減速して伝達する回転伝達手段と、
    を備えたスピニングリールのレベルワインド機構。
  2. 前記回転伝達手段は、前記糸径に応じて少なくとも前記スプールの糸巻部の中央部において前記所定の移動量で前記スプールを移動させるように前記回転を伝達する、請求項1に記載のスピニングリールのレベルワインド機構。
  3. 前記回転伝達手段は、前記糸径分の距離からその倍の距離までの範囲で前記スプールを移動させるように前記回転を伝達する、請求項1又は2に記載のスピニングリールのレベルワインド機構。
  4. 前記螺旋溝は、前記螺軸の外周に交差して形成されている、請求項1から3のいずれかに記載のスピニングリールのレベルワインド機構。
  5. 前記ロータは釣り糸を案内するラインローラを有し、前記ラインローラは、2mm以下の幅の周溝を外周に有している、請求項1からのいずれかに記載のスピニングリールのレベルワインド機構。
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