JP2002125538A - スピニングリールの往復移動装置 - Google Patents

スピニングリールの往復移動装置

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JP2002125538A
JP2002125538A JP2000328241A JP2000328241A JP2002125538A JP 2002125538 A JP2002125538 A JP 2002125538A JP 2000328241 A JP2000328241 A JP 2000328241A JP 2000328241 A JP2000328241 A JP 2000328241A JP 2002125538 A JP2002125538 A JP 2002125538A
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slider
shaft
spool
spinning reel
guide
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Kouji Takikura
恒治 滝倉
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Shimano Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スピニングリールのオシレーティング機構に
おいて、巻き上げ時の感触を損なわないようにする。 【解決手段】 スピニングリールのオシレーティング機
構6は、リール本体に前後移動自在に装着されたスプー
ル軸をハンドルの回転に連動して前後に往復移動させる
ものであって、2本のガイド軸24a,24bと、スラ
イダ22と、螺軸とを備えている。2本のガイド軸24
a,24bは、スプール軸と平行に配置された軸であ
る。スライダ22は、スプール軸を少なくとも前後移動
不能に装着可能な装着部と、各ガイド軸24a,24b
がそれぞれ貫通しかつ各ガイド軸が接触する前後方向長
さが全体の前後方向長さより短い複数のガイド孔25
a,25bとを有している。螺軸は、ハンドルの回転に
連動してスライダを前後移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、往復移動装置、特
に、スピニングリールのリール本体に前後移動自在に装
着されたスプール軸をハンドルの回転に連動して前後に
往復移動させるスピニングリールの往復移動装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般にスピニングリールには、釣り糸
を、スプール外周に前後方向に均一に巻くためにオシレ
ーティング機構が設けられている。トラバースカム方式
のオシレーティング機構(往復移動装置の一例)は、先
端にスプールが装着されたスプール軸と平行に配置され
た螺軸と、螺軸をハンドルの回転に連動して回転させる
ための連動機構と、螺軸に係合するスライダとを有して
いる。螺軸の外周には螺旋状の溝が形成されており、ス
ライダの一部がこの溝に係合している。スライダは、螺
軸と平行に配置された2本のガイド軸によりスプール軸
と平行に案内される。
【0003】スライダには、平行に配置された2本のガ
イド軸が貫通する2つのガイド孔が平行に形成されてい
る。ガイド孔は、ガイド軸より若干大きな内径で形成さ
れており、ガイド軸とスライダの全長で線接触するのが
好ましいが、実際にはガイド孔の両端の小口で点接触し
ている。このようにガイド孔はガイド軸と点接触してい
るので、ガイド軸を2本以上設けることで接触点を2点
以上にしてガイド軸に対するスライダの姿勢のがたつき
を抑えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成では、
ガイド軸の平行度の精度が正確にでていない、つまりガ
イド軸の取り付け精度が悪いと、スライダのガイド孔に
おけるガイド軸との接触点が移動途中で変化し、スライ
ダの姿勢自体が変動してしまう。このため、巻き上げ時
のスムーズな感触を損なうおそれがある。
【0005】本発明の課題は、スピニングリールの往復
移動装置において、巻き上げ時のスムーズな感触を損な
わないようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明1に係るスピニング
リールの往復移動装置は、スピニングリールのリール本
体に前後移動自在に装着されたスプール軸をハンドルの
回転に連動して前後に往復移動させる装置であって、複
数本のガイド軸と、スライダと、スライダ駆動機構とを
備えている。複数本のガイド軸は、スプール軸と平行に
配置された軸である。スライダは、スプール軸を少なく
とも前後移動不能に装着する装着部と、各ガイド軸がそ
れぞれ貫通しかつ各ガイド軸が接触する前後方向長さが
全体の前後方向長さより短い複数のガイド孔とを有して
いる。スライダ駆動機構は、ハンドルの回転に連動して
スライダを前後移動させる機構である。
【0007】この往復移動装置では、ハンドルが回転す
ると、その回転がスライダ駆動機構に伝達されガイド軸
に案内されたスライダが前後に往復移動する。このと
き、ガイド孔はスライダの前後方向の全長より短い長さ
でガイド軸に接触している。このため、ガイド孔とガイ
ド軸との接触長さが短くなり、ガイド軸の平行度があま
り正確ではなくても接触位置が限定され、スライダの移
動中に接触位置が変動しにくくなる。このため、スライ
ダの姿勢が移動中に変動しにくくなり、巻き上げ時のス
ムーズな感触が損なわれにくくなる。特に、スプールに
釣り糸を密に巻き付け可能な密巻型のスピニングリール
の場合、ハンドルの回転に対してスプールの前後移動速
度が遅いので、僅かな姿勢変動に対しても巻き上げのス
ムーズな感触がそこなわれることがあるが、ここでは、
接触位置の変動を抑えているので姿勢が変化しにくく、
密巻型のスピニングリールでも巻き上げのスムーズの感
触を損ないにくくなる。
【0008】発明2に係るスピニングリールの往復移動
装置は、発明1に記載の装置において、複数のガイド孔
は、スライダの一端側に向けて先細り形状のテーパ孔で
形成されている。この場合には、ガイド孔がテーパ孔に
より形成されているので、接触長さがさらに短くなり接
触位置の変動が少なくなる。しかも、スライダをダイキ
ャスト成形で作製する場合には、ガイド孔を型抜きのた
めの抜き勾配のテーパ孔で形成することにより、加工の
必要がなくなり、ガイド孔の加工コストを削減できる。
【0009】発明3に係るスピニングリールの往復移動
装置は、発明1に記載の装置において、複数のガイド孔
は、一部がスライダの一端側に向けて先細り形状のテー
パ孔で形成され、残りが他端側に向けて先細り形状のテ
ーパ孔で形成されている。この場合には、一部のガイド
孔と残りのガイド孔とがテーパの方向が異なるので、ス
ライダの両端部でそれぞれのガイド孔がガイド軸と接触
する。このため、スライダが傾きにくくなる。
【0010】発明4に係るスピニングリールの往復移動
装置は、発明1に記載の装置において、ガイド孔は、ス
ライダの一端側が大径で他端側が小径の段付き孔で形成
されている。この場合には、小径の孔の長さによって接
触長さを任意に設定できる。また、孔の内径表面をリー
マ等で摩擦抵抗の少ない表面状態に仕上げられるととも
に、ガイド孔の寸法の検査や管理を行いやすくなる。
【0011】発明5に係るスピニングリールの往復移動
装置は、発明1から4のいずれかに記載の装置におい
て、スライダ駆動機構は、ハンドルの回転に連動して回
転しスプール軸と平行に配置されスライダに係合する螺
軸を有する。この場合には、トラバースカム型の往復移
動装置において、加工コストの低減と歩留まりの向上と
を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】〔全体構成及びリール本体の構
成〕図1において、本発明の一実施形態を採用したスピ
ニングリールは、ハンドル1と、ハンドル1を回転自在
に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4と
を備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転
自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面
に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在
に配置されている。
【0013】リール本体2は、側部に開口2cを有する
リールボディ2aと、リールボディ2aから斜め上前方
に一体で延びるT字状の竿取付脚2bと、リールボディ
2aの開口2cを閉塞するための蓋体2dとを有してい
る。
【0014】リールボディ2aは、図2及び図3に示す
ように、内部に空間を有しており、その空間内には、ロ
ータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ
駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を
均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設け
られている。
【0015】図2に示すように、リールボディ2aの図
2右側面には、筒状のボス部17aが形成されている。
ボス部17aは、ハンドル軸10(後述)の図2右端を
支持する軸受16aを収納するためにリールボディ2a
の内方に突出して形成されている。蓋体2dのボス部1
7aに対向する位置には、ボス部17bが形成されてい
る。ボス部17bはハンドル軸10の図2左端を支持す
る軸受16bを収納するために蓋体2dの内方に突出し
て形成されている。ハンドル1が装着された側と逆側の
ボス部(図2ではボス部17a)は、軸カバー19aに
より閉塞されている。ハンドル1が装着された側のボス
部(図2ではボス部17b)は、孔あきカバー19bに
より水の侵入が防止されている。軸カバー19a及び孔
あきカバー19bは、円形の部材であり、それぞれボス
部にねじ込み固定されている。
【0016】リールボディ2aのボス部17aの前方に
は、図3に示すように、後述する回転伝達機構(図3)
14を収納するための膨出部2eが形成されている。膨
出部2eは、図2下方側に向かって徐々に突出するよう
に斜めに形成されており、膨出部2eの下端には、回転
伝達機構14を構成する第1軸受部28が着脱自在に装
着されている。膨出部2eの基端側には、リールボディ
2aの内方に突出する第2軸受部29が形成されてい
る。
【0017】ロータ駆動機構5は、図1及び図2に示す
ように、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸
10と、ハンドル軸10とともに回転するフェースギア
11と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア
12とを有している。ハンドル軸10の両端は、軸受1
6a,16bを介してリールボディ2a及び蓋体2dに
回転自在に支持されている。この貫通孔にハンドル1が
回転不能にねじ込み固定されている。
【0018】〔オシレーティング機構の構成〕オシレー
ティング機構6は、スプール4の中心部に固定されたス
プール軸15をロータ3に連動して前後方向に移動させ
てスプール4を同方向に移動させるための機構である。
オシレーティング機構6には、回転伝達機構14を介し
てハンドル1の回転が伝達される。
【0019】オシレーティング機構6は、図1,図2及
び図4に示すように、スプール軸15の下方に配置され
た螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動するス
ライダ22と、スライダ22を案内する2本のガイド軸
24a,24bとを有している。螺軸21は、スプール
軸15と平行に配置されており、リールボディ2aに回
転自在に支持されている。また、螺軸21の外周部には
螺旋状の交差する溝21aが形成されている。この溝2
1aのリード角θは、20〜45゜に設定されている。
なお、螺旋溝21aのリード角θとは、溝21aの底径
をD、螺軸21の一回転で進む軸方向の長さすなわちリ
ードをLとした場合、 リード角θ=アークcot(πD/L) で表される角度である。このリード角θが20゜より小
さい場合は溝間の肉厚が薄くなるとともに溝の交差部の
数が増加するので好ましくない。一方、45゜を越える
と、回転運動から直線運動への変換効率が低下するので
好ましくない。
【0020】スライダ22は、スライダ本体25と、ス
ライダ本体25内に収納された係合部材26とを有して
いる。スライダ本体25は、たとえばアルミダイキャス
ト製であり、ガイド軸24a,24bが貫通するガイド
孔25a,25bと、係合部材26が装着される係合孔
25cと、スプール軸15が回転不能に固定される装着
孔25dとを有している。スライダ本体25は、ガイド
軸24a,24bによりスプール軸15と平行に案内さ
れる。
【0021】ガイド孔25a,25bは、図5及び図6
に示すように、スライダ本体25の前側端に向かって徐
々に縮径するテーパ孔で形成されている。ガイド孔25
a,25bの前側部26a,26b(26aのみ図示)
はアール面取りされている。この面取りされた部分の最
小内径部分でガイド孔25a,25bは、ガイド軸24
a,24bに接触している。ガイド孔25a,25bの
テーパ角度αは、たとえば1.5度〜2.5度の範囲で
あり、ダイキャスト成型時の型抜きのための抜き角度に
等しい。このため、ガイド孔25a,25bを加工によ
り形成する必要がなくなり,ガイド孔25a,25bの
加工コストを削減できる。
【0022】スプール軸15の後端部は、略半円断面の
装着孔25dに回転不能に装着されており、たとえばビ
ス(図示せず)によりスライダ本体25に固定されてい
る。これにより、スライダ22の前後移動がスプール軸
15及びスプール4の前後移動に伝達される。また、ス
プール4がドラグ作動したときにスプール軸15の回転
を防止している。
【0023】係合部材26は、係合孔25c内に回動自
在に装着されており、係合部材26の先端は、螺軸21
の溝21aに噛み合っている。この噛み合いにより、螺
軸21が回転すると、スライダ22がスプール軸方向に
前後に往復移動する。
【0024】回転伝達機構14は、図3に示すように、
膨出部2eの内部に収納されており、ピニオンギア12
と、連結軸36と、連結軸36の下端を回転自在に支持
する第1軸受部28と、連結軸36の上端を回転自在に
支持する第2軸受部29と、第1〜第3ギア37〜39
とを有している。ピニオンギア12は、ロータ駆動機構
5を構成するとともに回転伝達機構14も構成してい
る。ピニオンギア12は、後部にねじ歯車からなるギア
部12bを有しており、このギア部12bがフェースギ
ア11に噛み合っている。
【0025】連結軸36は、螺軸21に連結可能にピニ
オンギア12と食い違う軸に沿って斜めに配置された軸
であり、膨出部2eの内部に配置されている。具体的に
は、連結軸36は、ピニオンギア12と螺軸21とにそ
れぞれ軸交差角が90度となるようにハンドル軸10と
交差する面に対して傾いて、つまりリール本体2に対し
て水平(左右)方向及び垂直(上下)方向に対して斜め
に傾いて配置されている。このように連結軸36を斜め
に配置することで、連結軸36を設けても、水平方向及
び垂直方向のサイズをバランスよく維持した状態で、リ
ール本体2をコンパクト化することができる。
【0026】第1軸受部28は、前述したようにリール
ボディ2aに形成された膨出部2eの下面に着脱自在に
装着されており、ねじ23により固定されている。第2
軸受部29は、前述したように膨出部2eの基端部から
リールボディ2aの内方に向かって突出して形成されて
いる。第1及び第2軸受部28,29は、連結軸36を
回転自在に支持するための軸受28a,29aをそれぞ
れ有している。
【0027】第1ギア37は、ピニオンギア12のギア
部12bにフェースギア11の噛み合い位置と逆側の面
で噛み合うねじ歯車であり、連結軸36に回転不能に固
定されている。第2ギア38は、ねじ歯車であり、連結
軸36に第1ギア37と間隔を隔てて設けられている。
この第2ギア38は、連結軸36と一体形成されてい
る。第3ギア39は、第2ギア38に噛み合うねじ歯車
であり、螺軸21の前端に回転不能に固定されている。
【0028】この回転伝達機構14の減速比NCは、た
とえば略1/5である。この減速比NCの範囲は、1/
4〜1/24の範囲が好ましい。この減速比NCが1/
4未満であると、スプール4の移動速度が速くなりスプ
ール4への密巻き付け効果が十分に得られない。また、
1/24を越えると、スプール4の移動速度が遅くなり
すぎ、細い釣り糸でもロータ3の1回転で2度巻するこ
とがある。
【0029】ここで、第2ギア38は、第1ギア37よ
り外径が小さい。また、ピニオンギア12のピッチ円筒
ねじれ角(以下、ねじれ角という)は、たとえば55度
に、第1ギア37のねじれ角は35度にそれぞれ設定さ
れている。第2ギア38のねじれ角は、たとえば77.
5度に、第2ギア38のねじれ角は13.5度に設定さ
れている。このように、ピニオンギア12及び第2ギア
38のねじれ角を第1ギア37及び第3ギア39に対し
て大きくしたので、外径の寸法の変化に対して減速比を
大きくすることができる。なお、図3は、これらのギア
12,37〜39を模式的に描いたものであり、ねじれ
角や歯数を正確に描いてはいない。
【0030】第1軸受部28は、リールボディ2aに着
脱自在に装着された蓋部材28bと、蓋部材28bに装
着された玉軸受28aとを有している。蓋部材28b
は、ロータ3の円筒部30の後端部で覆われるようにリ
ールボディ2aの前部に形成されたフランジ部2gより
後方でリールボディ2aに着脱自在に装着されている。
蓋部材28bの装着部分において、リールボディ2aの
底部には、第2ギア38の最外径より大径の内周面を有
する貫通孔2fが形成されている。この貫通孔2fに蓋
部材28bがはめ込まれる。蓋部材28bは、ビス23
によりリールボディ2aに固定されている。
【0031】このような構成では、第2ギア38の外径
が第1ギア37の外径より大きく、かつ蓋部材28b装
着部分に第2ギア38の外径より大径の貫通孔2fが形
成されているので、蓋部材28bを開けると、連結軸3
6とともに2つのギア37,38を取り出すことができ
る。このため、メンテナンス時にこれらのギア37,3
8にグリースなどを塗布する作業を行う場合、スプール
軸15やオシレーティング機構6を分解する必要がなく
なる。したがって、回転伝達機構14のメンテナンス作
業を容易に行うことができる。
【0032】回転伝達機構14の減速比(ピニオンギア
12の回転に対する螺軸21の回転の比)NC は、ロー
タ3の1回転当たりのスプール4の移動量RM が糸径D
L と同じになるように設定されている。つまり、ロータ
3の一回転に対して釣り糸の径DLだけずらしながらス
プール4に釣り糸を巻き付けるようにスプール4の移動
量RM が設定されている。ここで、前述したリード(螺
軸21の一回転あたりの移動量)をLとし、釣り糸の糸
径をDL とすると、ロータ3一回転に対して釣り糸の糸
径DLだけずらしながら釣り糸をスプール4に巻き付け
る場合、ロータ3の一回転に対する螺軸21の回転数の
比である減速比NC は、NC =DL /Lとなる。
【0033】たとえば、糸径DL が0.2mm(1.5
号)、リードLが3.6mmであれば、減速比NC は、
NC =0.2/3.6=1/18となる。つまり、ロー
タ3から螺軸21への減速比NC を1/18に設定すれ
ばロータ3一回転に対してスプール4は0.2mmずつ
移動してスプール4に釣り糸が密に巻き付けられる。こ
のような場合には、たとえば、ギア部12bと第1ギア
37との間で1/2に減速し、第2ギア38と第3ギア
39との間で1/9に減速すれば、全体の減速比NC を
1/18に設定でき、ロータ3の一回転に対して釣り糸
が糸径分ずれてスプール4に巻き付けられ、スプール4
に釣り糸が密に巻き付けられる。なお、螺軸21の溝2
1aが端部で進行方向を変えるためにリード角が他の部
分より小さくなっているので、その部分では螺軸21の
リードLが小さくなり前述した移動量RM も小さくな
る。
【0034】なお、スプール4を一往復させるのに要す
る螺軸21の回転数をCN とした場合、この数値は必ず
整数である必要があるが、これに対応するロータ3の回
転数が整数(つまり回転位相が2nπ)であると、下層
の釣り糸と上層の釣り糸が交差する点が常に同じ位相で
現れるため、スプール軸芯に垂直な断面の糸巻形状が楕
円のように2方向に突出した形状になってしまう。これ
は回転位相が(2n+1)πであっても同じで、(2n
+1/2)πであれば四角形に近い断面になる。円に近
い多角形に近づけるためには回転位相を2nπ+ιとし
て、ιを整数倍した場合に2nπで割り切れないように
設定すればよい。ただし、ιがあまり小さいと突出部が
近接して連続して発生するため、糸巻形状が螺旋模様に
なってしまう。
【0035】たとえば、上記の例に沿って説明すれば、
スプール4を一往復させるのに必要な螺軸21の回転数
を10とすれば、これに対応するロータ3の回転数は1
80である。しかし、リードLを3.6から3.666
mmに変更することによって減速比NC が200/36
66となり、ロータ3の回転数を183.3にできる。
これによってスプール軸芯に垂直な断面の糸巻形状を円
に近い多角形にすることができる。
【0036】このような回転伝達機構14を用いて螺軸
21を遅い速度で回転させているので、スライダ22の
移動速度も遅くなる。このため、スライダ本体25に形
成したガイド孔25a,25bをテーパ孔にしてガイド
孔25a,25bの加工精度を低くしても移動速度が遅
い分だけこじも生じにくくなる。
【0037】〔ロータの構成〕ロータ3は、図1に示す
ように、円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向
してそれぞれ設けられた第1及び第2ロータアーム3
1,32とを有している。円筒部30と両ロータアーム
31,32とは一体成形されている。
【0038】円筒部30の前部には前壁33が形成され
ており、前壁33の中央部にはボス33aが形成されて
いる。このボス33aの貫通孔をピニオンギア12の前
部12a及びスプール軸15が貫通している。前壁33
の前方側にはナット34が配置されており、このナット
34がピニオンギア12の先端のネジ部に螺合してい
る。ナット34の内周部には、ナット34をスプール軸
15に対して回転自在に支持するための軸受35が配置
されている。
【0039】第1及び第2ロータアーム31,32の先
端には、ベールアーム44が糸巻取姿勢と糸開放姿勢と
の間で揺動自在に装着されている。ベールアーム44
は、図1及び図3に示すように、第1及び第2ロータア
ーム31,32の先端の内側にそれぞれ揺動自在に装着
された第1及び第2ベール支持部材40,42と、第1
ベール支持部材40の先端に基端が固定された固定軸を
含む固定軸カバー47と、釣り糸をスプール4に案内す
るラインローラ41と、固定軸カバー47と第2ベール
支持部材42とを連結するベール43とを有している。
第1ベール支持部材40は、図1に示すように、第1ロ
ータアーム31の先端外側に揺動自在に装着されてい
る。第2ベール支持部材42は、第2ロータアーム32
の先端内側に揺動自在に装着されている。
【0040】ラインローラ41は軸受(図示せず)を介
して固定軸に回転自在に支持されている。ラインローラ
41は、周面に軸方向の中央部が小径となるように2つ
のテーパ面が形成された鼓状の部材である。この小径部
には円周方向の周溝(図示せず)が形成されている。こ
の周溝の溝幅は2mm以下であり、望ましくは、糸径の
2倍以下の値が好ましい。このように周溝の溝幅を小さ
くすることで釣り糸がスプール4の軸方向にずれにくく
なり、スプール4の移動速度を遅くした場合に釣り糸が
精度良くスプール4に巻き付けられる。
【0041】ロータ3の円筒部30の内部にはロータ3
の逆転防止機構50が配置されている。逆転防止機構5
0は、ローラ型のワンウェイクラッチ51と、ワンウェ
イクラッチ51を作動状態及び非作動状態に切り換える
操作機構52とを有している。ワンウェイクラッチ51
は、外輪がリールボディ2aに固定され、内輪がピニオ
ンギア12に回転不能に装着されている。操作機構52
は、リールボディ2aの後部に配置された操作レバー5
3を有しており、操作レバー53を揺動させることでワ
ンウェイクラッチが2つの状態に切り換られ、作動状態
のときにロータ3が逆転不能になり、非作動状態のとき
ロータ3が逆転可能になる。
【0042】〔スプールの構成〕スプール4は、ロータ
3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との
間に配置されており、スプール軸15の先端にドラグ機
構60を介して固定されている。スプール4は、外周に
釣り糸が巻き付けられる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4a
の後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻胴部
4aの前部に固定された前フランジ部4cとを有してい
る。糸巻胴部4aはロータ3の円筒部30の外周側まで
延びる円筒状の部材である。また、スカート部及び前フ
ランジ部4b,4cは、糸巻胴部4aの両端から垂直に
径方向外方に拡がっている。これにより、釣り糸がスプ
ール4の糸巻胴部4aに巻き付けられるとき、各糸巻段
での釣り糸の巻数がほぼ等しくなる。
【0043】〔リールの操作及び動作〕このスピニング
リールでは、キャスティング時には、ベールアーム44
を糸巻取姿勢から糸開放姿勢に倒す。これにより第1及
び第2ベール支持部材40,42は、同方向に揺動す
る。
【0044】釣り糸巻取時には、ベールアーム44を糸
巻取姿勢に倒す。これは、ハンドル1を糸巻取方向に回
転させると図示しないカムとバネの働きにより自動的に
行われる。ハンドル1を糸巻取方向に回転させると、こ
の回転力はハンドル軸10及びフェースギア11を介し
てピニオンギア12に伝達される。このピニオンギア1
2に伝達された回転力は、ピニオンギア12前部12a
を介してロータ3に伝達され、ロータ3が糸巻取方向に
回転する。
【0045】一方、ピニオンギア12に噛み合う第1ギ
ア37によって連結軸36が回転し、第2ギア38を介
して第3ギア39が回転し螺軸21が前述した減速比N
C で減速されて回転する。この結果、螺軸21の溝21
aに噛み合うスライダ22がガイド軸24a,24bに
案内されて前後方向に移動する。このとき、ガイド孔2
5a,25bをテーパ孔で形成しているので、ガイド軸
24a,24bとの接触位置が常にガイド孔25a,2
5bの小口付近の小径部に限定され、ガイド軸24a,
24bの平行度があまり正確ではなくても、スライダ2
2の姿勢が変化せず、巻き上げのスムーズな感触を損な
いにくい。とくに、スライダ22の移動速度が遅いので
スライダ22の僅かな姿勢の変化に対しても巻き上げの
スムーズな感触は損なわれやすいが、ここでは、接触位
置の変動を抑えているので、密巻型のオシレーティング
機構6であっても巻き上げのスムーズな感触が損なわれ
にくい。
【0046】そして、スプール軸15およびスプール4
が前後方向に往復移動し、ベール43及びラインローラ
41によってスプール4に案内された釣り糸は、ロータ
3の1回転に対して糸径分ずれてスプール4の糸巻胴部
4aに巻き付けられ、スプール4に釣り糸が密に巻き付
けられる。このため、スプール4に釣り糸が効率よく巻
き付けられる。
【0047】〔他の実施形態〕 (a)スピニングリールの形態は前記実施形態に限定さ
れるものではなく、ドラグ機構を有さないものや後部に
有するものや、逆転防止機構に代えてブレーキレーバを
有する制動機構を装着したものにも本発明を適用でき
る。
【0048】(b)前記実施形態では、スライダ本体2
5をアルミダイキャスト成形品で形成したため、ガイド
孔25a,25bのテーパ角度αをアルミダイキャスト
の抜き角度に合わせて1.5度〜2.5度に設定した。
しかし、他の成形方法、たとえば亜鉛ダイキャスト成形
する場合には、0.5度〜1.5度程度に設定すればよ
く、ガイド孔25a,25bのテーパ角度αは成形方法
の抜き角度に合わせればよい。また、抜き角度より大き
くしてもよい。
【0049】(c)前記実施形態では、前端側に向かっ
て徐々に縮径するテーパ孔でガイド孔25a,25bを
形成したが、図7に示すように、ガイド孔125a,1
25bのテーパ孔の縮径方向を異ならせてもよい。この
場合には、ガイド孔125aとガイド孔125bとがテ
ーパの方向が異なるので、スライダの両端部でそれぞれ
のガイド孔125a,125bがガイド軸24a,24
bと接触する。このため、スライダ22が傾きにくくな
る。
【0050】(d)前記実施形態では、テーパ孔でガイ
ド孔25a,25bを形成したが、図8に示すように、
ガイド孔225a,225bをスライダ本体25の前端
側が小径で後端側が大径の段付き孔で形成してもよい。
この場合には、小径の孔の長さによって接触長さを任意
に設定できる。
【0051】(e)前記実施形態では、螺軸を有するト
ラバースカム方式のオシレーティング機構を例示した
が、回転カム機構によりハンドルの回転を往復運動に変
換する減速カム方式のオシレーティング機構にも本発明
を適用できる。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、ガイド孔はスライダの
前後方向の全長より短い長さでガイド軸に接触してい
る。このため、ガイド孔とガイド軸との接触長さが短く
なり、ガイド軸の平行度があまり正確ではなくても接触
位置が限定され、スライダの移動中に接触位置が変動し
にくくなる。このため、スライダの姿勢が移動中に変動
しにくくなり、巻き上げ時のスムーズな感触が損なわれ
にくくなる。特に、スプールに釣り糸を密に巻き付け可
能な密巻型のスピニングリールの場合、ハンドルの回転
に対してスプールの前後移動速度が遅いので、僅かな姿
勢変動に対しても巻き上げのスムーズな感触が損なわれ
ることがある。しかし、ここでは、接触位置の変動を抑
えているので姿勢が変化しにくく、密巻型のスピニング
リールでも巻き上げのスムーズの感触を損ないにくくな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリー
ルの左側面断面図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】図1のIII−III断面図。
【図4】オシレーティング機構の断面図。
【図5】スライダ本体の断面模式図。
【図6】図5の拡大部分図。
【図7】他の実施形態の図5に相当する図。
【図8】他の実施形態の図5に相当する図。
【符号の説明】
1 ハンドル 2 リール本体 3 ロータ 4 スプール 6 オシレーティング機構 12ピニオンギア 15 スプール軸 21 螺軸 22 スライダ 24a,24b ガイド軸 25a,25b ガイド孔 25d 装着孔

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スピニングリールのリール本体に前後移動
    自在に装着されたスプール軸をハンドルの回転に連動し
    て前後に往復移動させるスピニングリールの往復移動装
    置であって、 前記スプール軸と平行に配置された複数本のガイド軸
    と、 前記スプール軸を少なくとも前後移動不能に装着可能な
    装着部と、前記各ガイド軸がそれぞれ貫通しかつ前記各
    ガイド軸が接触する前後方向長さが全体の前後方向長さ
    より短い複数のガイド孔とを有するスライダと、 前記ハンドルの回転に連動して前記スライダを前後移動
    させるスライダ駆動機構と、を備えたスピニングリール
    の往復移動装置。
  2. 【請求項2】前記複数のガイド孔は、前記スライダの一
    端側に向けて先細り形状のテーパ孔で形成されている、
    請求項1に記載のスピニングリールの往復移動装置。
  3. 【請求項3】前記複数のガイド孔は、一部が前記スライ
    ダの一端側に向けて先細り形状のテーパ孔で形成され、
    残りが他端側に向けて先細り形状のテーパ孔で形成され
    ている、請求項1に記載のスピニングリールの往復移動
    装置。
  4. 【請求項4】前記ガイド孔は、前記スライダの一端側が
    大径で他端側が小径の段付き孔で形成されている、請求
    項1に記載のスピニングリールの往復移動装置。
  5. 【請求項5】前記スライダ駆動機構は、前記ハンドルの
    回転に連動して回転し前記スプール軸と平行に配置され
    前記スライダに係合する螺軸を有する、請求項1から4
    のいずれかに記載のスピニングリールの往復移動装置。
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